著者
大塚 恵子 木村 肇 松本 明博
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.24-30, 2014-01-10 (Released:2014-04-23)
参考文献数
19
被引用文献数
3

ジアリルフタレート樹脂の接着性と靭性向上を目的として,ポリエチレングリコールユニットの異なるアクリル酸エステルをジアリルフタレート樹脂に配合し,ラジカル重合で同時に反応させることで相互侵入高分子網目構造(IPN)を形成させた。破壊靭性値,およびはく離接着強度とせん断接着強度は,アクリル酸エステルのポリエチレングリコールユニットの分子量や配合割合が大きくなるに従って大きく向上した。特にポリエチレングリコールユニットの分子量が大きい場合に,破壊靭性値と接着強度はジアリルフタレート樹脂と比較して2 倍以上の値を示した。これは,ポリエチレングリコールユニットの導入による柔軟性付与,および柔軟性付与により硬化過程で生じる接着剤層の内部応力が緩和されるためであると考えられ,動的粘弾性挙動と一致した。また,ポリエチレングリコールユニットの分子量の小さいアクリル酸エステルを配合した場合やポリエチレングリコールユニットの分子量の大きいアクリル酸エステルの配合割合が小さい場合には,ジアリルフタレート樹脂にアクリル酸エステルが相溶したIPN を形成した。一方,ポリエチレングリコールユニットの分子量の大きいアクリル酸エステルを20 wt% 以上配合した場合には,ジアリルフタレート樹脂架橋構造中にアクリル酸エステルが分子レベルで微分散した相分離型IPN を形成した。
著者
岡部 正人 江上 寛 並川 和男 高城 克義 由布 雅夫 光野 利英 川村 亮機 荒木 昌典 堀江 二郎 大塚 宗臣
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.933-938, 1981

骨盤内臓器全摘, 回腸導管造設術を6例に行つた. 原疾患は直腸癌が3例で, S状結腸癌, 直腸癌局所再発, 子宮癌再発後のIrradiation necrosisが各1例であつた. 男性4例, 女性2例で, 年令は39~75才であつた. 骨盤底会陰部を含む臓器全摘を5例に, 骨盤底会陰部保存臓器全摘を1例に行つた. 尿路変更は回腸導管で行つた. 術後早期の重篤な合併症はなかつたが, 会陰瘻孔, 開腹創感染, 骨盤底感染, 直腸吻合部のminor leakageが各1例ずつあつた. 合併症に対してはそれぞれ瘻孔切除, 感染創開放, 中心静脈栄養を行い良好な結果をえた. 手術死亡はなく, 生存は現在3例で, 1例は術後4年6ヵ月, 他の2例は術後4ヵ月経過している.<br>死亡3例の死因は1例が癌性胸膜炎による呼吸不全で, 2例が肝転移であり, それぞれ術後6ヵ月, 7ヵ月, 1年6ヵ月で死亡した.
著者
岩切 龍一 田中 聖人 後藤田 卓志 岡 志郎 大塚 隆生 坂田 資尚 千葉 俊美 樋口 和秀 増山 仁徳 野崎 良一 松田 浩二 下野 信行 藤本 一眞 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1370-1396, 2018 (Released:2018-07-20)
参考文献数
160
被引用文献数
1

日本消化器内視鏡学会は,内視鏡診療ガイドライン作成作業の一環として,消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドラインを作成した.本邦と欧米先進国では消化器内視鏡医療の環境が異なる.欧米先進国では消化器内視鏡の施行は,ほぼ専門施設に限られ,厳格な洗浄・消毒の既定が遵守されている.本邦では小規模クリニックでも消化器内視鏡が行われ,年間に行われる消化器内視鏡数は膨大な数になる.内視鏡の洗浄・消毒法も医療機関によって差が認められるのも事実である.洗浄・消毒に関しての根拠は,エビデンスが乏しいのも事実であるが,内視鏡医療の発展のためにも消化器内視鏡の洗浄・消毒の標準化が必要である.
著者
大塚 直輝 建内 宏重 永井 宏達 松村 葵 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ce0109, 2012

【はじめに、目的】 ミリタリープレス(Military press:以下MP) は臨床現場で一般的に行われているリハビリテーションプログラムの1 つであり,肘関節屈曲位で肩関節前方に重錘を保持した肢位を開始肢位として,肘関節伸展しながら肩関節を挙上する動作である。MPは多くの先行研究でリハビリテーションプログラムとしての有用性が示されており,臨床現場では通常の挙上に比べてMPでより容易に拳上可能となることが経験される。しかしながら,通常の拳上に対してMP時の肩甲帯の運動学的,筋電図学的変化について詳細に分析した研究はない。肩関節疾患患者のリハビリテーションでは肩甲骨・鎖骨運動の誘導や,肩関節周囲筋の賦活に焦点を当てることが多く,MP時の運動学的、筋電図学的特徴を知ることは、運動療法の中でのMPの適応を明らかにするために重要な情報となりうる。本研究では,MP時の肩甲帯の動態と肩関節周囲筋の筋活動の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】 対象は健常成人男性 16名(21.8 ± 1.1歳)とし、測定側は利き手側とした。測定には 6 自由度電磁センサー(POLHEMUS 社製, LIBERTY)と表面筋電図(Noraxon社製, TeleMyo2400)を用い,これらを同期して上肢拳上時の肩甲帯の運動学的データと肩関節周囲筋の筋電図学的データを収集した。筋電図は三角筋、僧帽筋上部・中部・下部、前鋸筋に貼付した。拳上方法は上肢矢状面拳上(以下:SE)とMPとし、それぞれに無負荷条件と2 kg重錘負荷条件を設定した。測定は椅坐位にて4秒間で下垂位から最大拳上する動作をそれぞれ5回ずつ行い,間3回の平均値を解析に用いた。運動学的データは胸郭に対しての上肢拳上角度,肩甲骨外旋・上方回旋・後傾角度,鎖骨拳上・後方並進角度を算出し,筋電図学的データは最大等尺性随意収縮時の筋活動を100%として正規化した。また負荷による影響を除外するため,上肢拳上の主動作筋である三角筋の筋活動に対する僧帽筋上部・中部・下部、前鋸筋筋活動の比を算出した。解析区間は上肢拳上30 - 120°とし、30°より10°毎の肩甲骨・鎖骨角度、筋活動比を算出した。なお筋活動比は,各解析時点の前後100 msec間の平均値とした。統計学的処理には肩甲骨・鎖骨角度および,各筋の筋活動比を従属変数とし,拳上方法(SE, MP)、負荷(無負荷, 2 kg)、上肢拳上角度(30 - 120°)を三要因とする反復測定三元配置分散分析を用いた。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には,実験の目的および内容を口頭,書面にて説明し,研究参加への同意を得た。【結果】 肩甲骨外旋角度は,負荷に関わらず拳上初期~中期でMPの方がSEよりも増加していた(挙上方法主効果: p < 0.01,拳上方法・角度間交互作用:p < 0.01)。上方回旋角度は,負荷に関わらず拳上全範囲でMPの方がSEよりも増加していた (挙上方法主効果: p < 0.01)。後傾角度は,負荷に関わらず拳上中期でMPの方がSEよりも増加していた(挙上方法主効果: p < 0.01,拳上方法・角度間交互作用:p < 0.01)。鎖骨後方並進角度は,負荷に関わらず拳上全範囲でMPの方がSEよりも増加していた(挙上方法主効果: p < 0.01)。鎖骨拳上角度では,挙上方法による有意な違いがみられなかった。三角筋に対する僧帽筋上部,前鋸筋の筋活動は,負荷に関わらず拳上全範囲でMPの方がSEよりも増加していた (挙上方法主効果: p < 0.05)。三角筋に対する僧帽筋中部・下部の筋活動では,それぞれ挙上方法による有意な違いがみられなかった。【考察】 本研究の結果,MPではSEと比較して、肩甲骨外旋・上方回旋・後傾と鎖骨後方並進が増加することが明らかとなった。またMPではSEと比較して,三角筋に対する僧帽筋上部と前鋸筋の筋活動が増加することが明らかとなった。肩甲骨・鎖骨運動と肩甲骨周囲筋の筋活動に関して負荷の有無による差は見られなかったため,上記の運動学的・筋電図学的変化はMP時に特異的な運動・筋活動様式であることが考えられる。前鋸筋は特に肩甲骨上方回旋に関わる筋であり,さらに前鋸筋の活動が肩甲骨外旋や後傾にもつながるとされている。また僧帽筋上部の活動は鎖骨後方並進を生み出すとされている。MPでは負荷に対して僧帽筋上部と前鋸筋の筋活動が増加したため、肩甲骨外旋・上方回旋・後傾運動と鎖骨後方並進が増加したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 上肢拳上時の肩甲骨外旋・上方回旋・後傾角度、鎖骨後方並進角度の減少は、様々な肩関節疾患患者で見られる現象である。本研究結果より、MPは前述の特徴を示す肩関節疾患患者の肩甲骨・鎖骨運動を誘導するトレーニングとして有用であると考えられる。
著者
大塚 淳
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

1.スピノザ心理学における目的論の位置づけ;スピノザ『エチカ』における目的論の扱いを考察した。彼の目的原因論批判は目的論全般の否定とは区別されなければならないこと、また彼の体系において目的論は排除されているのではなく、むしろその心理学の根本をなしていることを、彼の目的論を個物について成立する法則的言明として解釈することにより示した。2.生物学的な機能に関する問題;生物学の哲学において議論が交わされている二つの機能解釈、すなわち起源論的機能と因果役割機能について、それぞれの批判を検討したうえで、それぞれは互いに相互背反な関係にあるのではなく、生物を理解するための二つの異なったアプローチを示していることを明らかにした。3.目的論全般に対する考察;現在主流である、目的論の因果的な由来による解釈(etiological view)に対し、目的論の本来的な役割は事物の因果的基盤に関するのではなく、むしろ対象を現象論的・統合的に説明する方式であるという、異なった目的論解釈を示した。4.古生物学での機能推定に関する考察;機能推定メソッドとして古生物学で用いられている「パラダイム法」を,3の考察に基づき形質を統合する目的論的な説明とみなした上で,その説明仮説の真偽を,その仮説がどの程度データを説明するか(尤度)に基づき,ベイズ的手法にのっとって判定する,というアイデアを示した。
著者
手塚 純一 大塚 洋子 長田 正章 岩井 良成
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI2176, 2011

【目的】<BR> 長い間、小脳は純粋に姿勢の制御や随意運動の調節を行なうための神経基盤であると考えられてきた。1980年代半ばから、神経心理学・解剖学・電気生理学などの発展により、運動・前庭機能以外にも様々な認知過程に関与することが明らかになってきた。1998年にはSchmahmannとShermanが小脳病変によって生じる障害の4要素(遂行機能障害・空間認知障害・言語障害・人格障害)を小脳性認知・情動症候群(CCAS)として提唱した。しかしながらリハビリテーションの領域では小脳と高次脳機能についての報告は散見されるが症例報告に留まっており、特に理学療法における報告は少ない。本研究の目的は、小脳の損傷部位と臨床症状の関係について量的研究を行ない、理学療法における小脳損傷に伴う高次脳機能障害に対する対処の必要性を明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>1.対象:<BR> 対象は2008年1月から2010年10月の間に脳卒中を急性発症し当院に入院した患者連続895例のうち、小脳に限局した病変を有する39例である。除外基準は1)脳室穿破、2)水頭症、3)発症前より明らかな認知機能低下を有する例とした。<BR>2.方法<BR> 調査項目は年齢、性別、梗塞・出血の種別、画像所見、臨床症状とした。画像所見は入院時に撮影した頭部CTもしくはMRI画像を利用し、小脳の損傷部位を虫部、中間部、半球部に分け列挙した。臨床症状は意識清明となった時点での運動失調、見当識障害、注意障害、記憶障害、言語障害、空間認知障害、人格障害について次の基準で有無を判定し列挙した。運動失調は鼻指鼻試験もしくは踵膝試験での陽性反応を、人格障害はFIM(Functional Independence Measure)社会的交流項目での減点を認めた場合に有とした。それ以外はMMSE(Mini-Mental State Examination )、HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)の、見当識障害:見当識項目、注意障害:計算項目及び逆唱項目、記憶障害:遅延再生項目、言語障害:物品呼称項目もしくは語想起項目、空間認知障害:図形模写項目、において減点を認めた場合に有とした。<BR>3.解析<BR> 損傷部位と臨床症状に関連があるかを、フィッシャーの正確確率検定を用いて検討した。なお統計学的判定の有意水準は5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究は個人情報を匿名化した上で、その取り扱いについて当院の規定に則り申請し許可を得た。<BR>【結果】<BR>1.最終対象者<BR> 39例中5例は脳室穿破、水頭症もしくは発症前からの認知機能低下を有し対象から除外した。従って最終対象者は34例(男性18例、女性16例、平均年齢70.2±11.0歳)であった。<BR>2.脳損傷様式<BR> 小脳梗塞11例、小脳出血23例、損傷部位は虫部~半球部に渡るものが15例、虫部~中間部が8例、中間部~半球部が9例、半球部のみが2例であった。<BR>3.臨床症状<BR> 項目毎に発生数を計上すると、運動失調31例(91.2%)、記憶障害23例(67.6%)、見当識障害17例(50.0%)、注意障害14例(41.2%)、言語障害9例(26.5%)、人格障害5例(14.7%)、空間認知障害5例(14.7%)であった。上記の症状の多くは合併し、総合すると24例(70.6%)に何らかの高次脳機能障害を認めた。半球部に損傷がある26例のうち22例(84.6%)に何らかの高次脳機能障害を認めた。半球部に損傷がない8例のうち6例(75.0%)には高次脳機能障害を認めなかった。<BR>4.解析<BR> 検定の結果、有意な独立性を認めた項目は1)虫部~中間部の損傷と運動失調の発生率(p<0.01)、2)半球部の損傷と何らかの高次脳機能障害の発生率(p<0.01)、3)半球部の損傷と記憶障害の発生率(p<0.001)であった。<BR>【考察】<BR> 半球部は歯状核から視床外側腹側核を経由して運動前野や前頭前野・側頭葉に投射し、小脳-大脳ループとして認知機能に関与している。本研究で半球部損傷の多くに高次脳機能障害を認めたことは、SchmahmannとShermanの報告と一致した結果となった。多くの例に記憶障害を認めたことにより、CCASの概念で取り上げられている作動記憶の障害や視空間記憶の障害だけでなく、エピソード記憶の障害にも小脳が関与している可能性が示唆された。<BR> 記憶障害・注意障害等による生活指導の定着率低下や、人格障害による練習の拒否等の問題は、理学療法の進行に大きな影響を与える。半球部に損傷を認めた場合には、高次脳機能障害の有無を精査し対処していく必要があると考える。今後は半球部損傷のみの症例数を増やすと同時に、各臨床症状の半球部における責任領域について検討を重ねていきたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 小脳損傷に伴う高次脳機能障害は患者の学習や社会復帰において多大な影響を与える要素であり、理学療法においてもその研究と対策は重要である。本研究はその一助となると考える。
著者
大塚 宜明
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.107, pp.63-108, 2020-02-25

本論では,先史時代を特徴づける資源の一つである黒耀石のうち,置戸産黒耀石に注目し,道内全域の黒耀石原産地推定分析結果を集成し通時的に検討することで,北海道における当該黒耀石の利用の変遷およびその歴史的意義について考察する。 検討の結果,(1) 置戸産黒耀石は旧石器時代からアイヌ文化期(中世)まで通時的に利用されるものの,旧石器時代では利用範囲は限定的であり,縄文時代において道内全域で確認され広域化した後,続縄文時代では利用範囲が限定化され,擦文時代・オホーツク文化以降はその利用範囲が大きく縮小し点在化すること,(2) 旧石器時代・縄文時代・続縄文時代では狩猟具・加工具に用いられるのに対し,擦文時代・オホーツク文化においては利器としての利用方法の限定化,擦文時代とアイヌ文化期の間に黒耀石の非利器化という,黒耀石の利用方法の大きな画期が存在することを明らかにした。 これらの変化が生じた期間は,北海道における鉄器の流入と鉄器化の完了と対応することから,アイヌ文化期に特徴的にみとめられる黒耀石円礫の存在は,黒耀石が利器の原料としての役割を鉄器に譲っていく過程で,利器の原料から非実用的な儀器(副葬品)へと転化されていく,黒耀石を取りまく先史人類社会の変動を示していることが明らかになった。
著者
大森 英之 守谷 直子 石田 三佳 大塚 舞 小橋 有里 本山 三知代 佐々木 啓介 田島 清 西岡 輝美 蔡 義民 三津本 充 勝俣 昌也 川島 知之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.189-200, 2007 (Released:2007-11-26)
参考文献数
33
被引用文献数
7 6

コンビニエンスストアから排出された消費期限切れ食品(コンビニ残さ)の肥育後期豚用発酵リキッド飼料原料としての利用について検討した.コンビニ残さを分別し,弁当めし,おにぎり,菓子パンを主体とする発酵リキッド飼料を調製した.4頭を対照区(新豚産肉能力検定用飼料)に,10頭を発酵リキッド区(FL区)に割り当てた.さらにFL区を5頭ずつCa無添加区(FLN区)とCa添加区(FL+Ca区)に分けた.FL区の肥育成績は対照区と遜色なく,胸最長筋内脂肪含量は対照区(2.9%)に比べて有意に高い値を示した(P<0.01,FLN区 : 4.9%,FL+Ca区 : 5.2%).またFL区の皮下内層脂肪中のリノール酸比率は対照区に比べて有意に低かった(P<0.01).FLN区とFL+Ca区の肥育成績および肉質に大きな差はなかったが,FL+Ca区で血清中総コレステロール濃度は有意に低い値を示した(P<0.05).以上の結果から,分別により粗脂肪含量を抑え,タンパク質源,ミネラル,ビタミンを適切に配合することで,コンビニ残さは肥育後期豚用発酵リキッド飼料原料として利用できることが示された.
著者
松田 泰治 大塚 久哲 樗木 武 内田 広明
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.95-100, 2000-11-17 (Released:2018-09-08)
参考文献数
14

The City of Fukuoka suffered great damage from the heavy rains in July 29th 1999. Peculiarity of this disaster was that underground space was flooded and this caused death. Disaster prevention planing in underground space was not enough. In closed space as underground shopping street, human behavior during evacuation is confused. For safe and quick evacuation, it is important to make rational disaster prevention planing based on the prediction of human behaviors. In this research, human behaviors during evacuation in Teijin underground shopping street were simulated using Cellar Automata. Applicability of this method was discussed in this paper.
著者
磯谷 一枝 山中 学 石川 元直 扇澤 史子 望月 友香 稲葉 百合子 山本 直宗 山中 崇 大塚 邦明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.570-571, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

入院中の高齢者において抑うつは疾患治療を困難にする重要な問題であるが影響を与える因子については明らかではない.65歳以上の入院高齢患者174名を対象に,Geriatric depression scale(以下,GDS)を実施し,性別,年齢,基礎疾患,居住形態,認知機能との関連を検討したところ,患者の居住形態がGDSに最も強く独立して関連し独居群は家族同居群よりもGDSが高く治療意欲の低下を支持する回答が多く,独居高齢者では入院中に心理的援助がより必要である.
著者
大塚 佳臣 中谷 隼 荒巻 俊也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_109-II_116, 2015 (Released:2016-06-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

荒川流域をモデルとして,流域圏全体を対象とした水利用システムに対する環境・社会・経済面にわたる様々な属性を網羅的に扱い,それらに対する住民の個人別選好をACBC(Adaptive Choice Based Conjoint Analysis)を用いて計測した上で,その多様性を評価するのと同時に,それらの選好を持つようになった背景について考察を行なった.その結果,属性間のバランス(41%),事業コスト(23%),地盤沈下(24%),水道水安全性(12%)をそれぞれ重視する4つの住民グループの存在が認められた.これらのグループは,性別,年齢層,居住地との関連はなく,環境問題全般,身近な水辺,水道水に関する意識といった心理的側面の特性を背景にそれぞれの選好を形成していることが明らかになった.
著者
金子 知生 大塚 麻衣 飯田 順一郎
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.31-38, 2016-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1

アロマテラピーの歯科矯正治療に伴う歯痛の緩和効果を評価することを目的とした。被験者は歯科矯正治療で上顎左右第一大臼歯の近遠心に歯間離開を行う患者48名(平均26歳5カ月,男性19名,女性29名)とした。最小化法でラベンダー,ペパーミント,プラセボ(精製水)の3群へ割り付けし,歯間離開開始48時間後にアロマテラピーを1時間行った。歯間離開直後,3, 6, 12, 24, 48時間後,アロマテラピー開始30分後,1時間後に自発痛の評価をvisual analogue scale(VAS)で行った。また,歯間離開直後,48時間後,アロマテラピー開始30分後,1時間後に,打診痛のVASによる評価を行った。さらに,アロマテラピー施行中は近赤外線分光法(NIRS)で血中の酸化・還元ヘモグロビン量を1時間観察した。また,アロマテラピー施行前後にProfile of Mood States(POMS)のアンケートを行った。VASとNIRSによる評価によりラベンダー群は最初の30分は歯痛緩和の効果がみられ,ペパーミント群はラベンダー群より効果がみられた。また,POMSの評価は吸入後にすべての項目で減少した。以上よりアロマテラピー吸入法が,歯間離開における歯痛に対する緩和効果をもたらす可能性が示唆された。
著者
高橋 亨 棟方 充 大塚 義紀 佐藤 敦子 本間 行彦 川上 義和
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.723-727, 1995-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

特発性間質性肺炎 (IIP) の急性増悪症例におけるウイルス感染の関与を血清抗体価・喀痰封入体検査から検討した. 当科に入院したIIP 105名のうち急性増悪(1ヵ月以内に自覚症状の増悪, PaO2 10 Torr以上の低下, 胸部レ線像の悪化のすべてを満たすもの) を呈した症例を対象とした. 経過中にウイルス抗体価の4倍以上変動を認めたか, 喀痰ウイルス封入体を証明したかの, いずれかの例をウイルス関与ありとした. これらの症例につき, 関与したウイルス, 臨床像などを検討した. 急性増悪例は全IIP患者の27% (28例) であった. ウイルス関与ありは増悪例の39% (11例) であった. 関与したウイルスは Influenza: 6例, Parainfluenza: 1例, Adeno:1 例, Herpes simplex: 1例, RS: 1例, Cytomegalo: 2例であった. ウイルス関与群は非関与群に比べ, 増悪前の血清IgA値が有意に低値であった (p<0.05). これらの結果から, 急性増悪では血清IgA低値と関連したウイルス感染の可能性がある.