著者
重松 誠 菅 純子 西田 嘉英 澤井 英子 小川 雅史 中川 文夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.56-61, 2003-02-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

Cancer chemotherapy and radiation therapy-induced stomatitis often involves symptoms severe enough that the oral ingestion of food may become difficult. We therefore prepared a polaprezinc (zinc N- (3-aminopropionyl) -L-histidine) suspension dispersed in sodium alginate solution (P-AG) as a specific treatment and agent for the prophylaxis of severe stomatitis, and examined the chemical and physico-chemical stability of P-AG for clinical use.The chemical and physico-chemical stability of P-AG was established from its appearance, the percentage polaprezinc content and viscosity immediately after steam sterilization and uniformity after being left to stand for14 days at 25 and 5°C. Similarly, these parameters were examined in photostability testing (40°C, 2000lux) for14 days at the same time. As a result, a change in appearance was observed after steam sterilization according to photostability testing. However, the percentage of polaprezinc contents did not decline after either steam sterilization, photostability testing or after being left to stand for 14 days regardless of the storage temperature. On the other hand, the viscosity of P-AG declined after steam sterilization according to the findings of photostability testing.
著者
菊池 輝海 上條 隆志 小川 泰浩 岡部 宏秋 石森 良房
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.231-234, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

2000年噴火後の三宅島では,高濃度火山ガスの影響のため,現在も山腹に荒廃斜面が見られる。森林総合研究所と(株)伊豆緑産は,島内での継続的な緑化試験を経て,東京クレセントロール工法を開発した。本研究では,本工法の定量的データを観測し,その治山緑化機能を明らかにすることを目的として,資材の捕捉土砂量と植生定着量の計測を行い,他工法との比較を行った。結果,本資材はピット領域に最大1 kg / m2以上の土砂を堆砂させ,他工法と同等の土砂捕捉能力を示した。また,他工法よりもハチジョウススキの自然侵入と定着を促進させる能力を示した。本工法の施工地に播種・植栽を行うことで,緑化効果を高めることが示された。
著者
西岡 佑介 新家 俊樹 山田 裕貴 金井 孝夫 小川 高
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.221-223, 2012-03-20
参考文献数
7

13歳雑種犬に左眼の第三眼瞼及び下眼瞼結膜の腫脹がみられ生検により脂肪組織が得られた.超音波及びCT検査で腫瘤は眼窩内深部から下眼瞼結膜下へ広がっていた.外科的牽引除去された組織は脂肪腫と病理診断され,良好な予後が得られた.
著者
田島 悠史 大西 未希 小川 克彦
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.27-34, 2013

本研究は、情報コミュケーションに注目することで、小規模アートプロジェクトの持続要因を明らかにするものである。近年日本各地で急増している、地域活性化を目的とした小規模アートプロジェクトは、特殊な魅力を持つ一方で、持続性に問題がある。そこで、アートプロジェクトの関係者の役割と変遷に注目して、関係者間の情報コミュニケーションを分析し、その持続要因を探った。結果としてA期とB期のコミュニケーションにおいて「場所」「意識」「人」における有意差を見出すことができた。そこから「中心スタッフによるプロジェクトの共有」「関係者のゲートキーパー化」「周辺スタッフによるプロジェクトの様式化」という知見を見出した。これらの知見は、コミュニケーションが、一部の人間に占有されている状態から、関係者全体に共有される状態へと変化していることの現れであると考えられる。そこで本研究では「個別役割型から自発共有型へのコミュニケーション構造の変化がアートプロジェクトの持続性に関係している」と結論づけた。
著者
東條 英昭 小川 清彦
出版者
日本家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.14-19, 1975

鶏コクシジウム免疫の成立には, 感染そのものが重要な要素であることはよく知られているが, その理由について明確な説明はなされていない。<br>本実験は, その理由を知る手掛かりを得るために, 盲腸にはよく発達したリンパ組織が存在していることに着目し, 鶏コクシジウム免疫の維持が, 感染部位の切除によりどのような影響を受けるかを調べたものである。得られた結果は以下に要約するとおりである。<br>1. 結紮手術により閉塞した左側盲腸に対し, <i>Eimeria tenella</i> のスポロゾイトを注入し感染を行ない, その後オーシストを経口感染させたところ, 以前に感染を受けていなかった右側盲腸がオーシストによる経口感染に対して充分な抵抗性を示した。また左側盲腸に同様の処置をした後, 左右の盲腸に同数のスポロゾイトの注入で攻撃感染を行ない, 5日目に左右盲腸における感染の状況を組織学的に比較観察したところ, 以前に感染を受けていない右側盲腸が以前に感染を受けた左側盲腸とほぼ同程度の感染防御能を示すことが認められた。<br>2. 感染を経た左側盲腸を感染の2.5~3週間目に切除&bull;摘出し, その後, 右側盲腸に対してオーシストの経口感染を行なったところ, その後に排出されたオーシスト数の測定結果から, 切除された鶏の右側盲腸は, 切除されなかった鶏の右側盲腸とほとんど同程度の感染防御能を示した。これは, 感染を経た一側の盲腸が切除された場合にも, その後のコクシジウム免疫は充分保持されていることを示すものである。<br>以上のことから, コクシジウム免疫は, 感染部位に限定されるものではなく, また感染部位の存在とは無関係に全身的に保持されているものと考えられる
著者
秋山 綾乃 広瀬 大 小川 吉夫 一戸 正勝
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.45, 2011

ブルーチーズは, 代表的なカビ付け成熟型チーズのひとつで, その生産には<I>Penicillium roqueforti</I>が用いられている.生産過程でのこの菌の添加は, 特有の臭いとテクスチャーを生むことになる.ブルーチーズとして有名なのは, ロックフォールト(フランス), フルム・ダンベール(フランス), ゴルゴンゾーラ(イタリア), スティルトン(イギリス)などで, 今日では, これらの他にもデンマーク, ドイツ, スイスなどのヨーロッパ諸国において, また, 日本においても<I>P. roqueforti</I>を用いたカビ付け成熟型チーズが生産されている.これら多様な原産地と製法の相違は, いくつかの遺伝的に変異した<I>P. roqueforti</I>がブルーチーズ生産に用いられていることを予想させる.本研究では, 市場で入手した34種のブルーチーズの各々から<I>P. roqueforti </I>を分離し, beta-tubulinのイントロンを含む部分塩基配列(447塩基対)を基にその遺伝的変異を近隣結合法により解析した.分離された34株は, 2つのクレードに分割され, 一方のクレードは, 4種のロックフォールから分離された4株を含29株から成り, もう一方のクレードはフルム・ダンベールから分離された1株を含む5株から成っていた.ロックフォールとフルム・ダンベールの2つは, 最も古くから生産されているブルーチーズで, その歴史はローマ時代にまで遡るといわれている.これら古くから生産されている2つのチーズの生産で異なる系統の菌株が使用されていることは興味深い.ただし, これら2つの系統間で異なる塩基配列数は2塩基のみで, 近縁の<I>P. roqueforti</I>がブルーチーズの生産に用いられているものと考えられる.ブルーチーズの風味やテクスチャーの相違は使用する原乳や共存する微生物の相違によってもたらされると思われる.
著者
菅屋 潤壹 小川 徳雄 朝山 正巳 宮側 敏明
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.72-79, 1981-10-15 (Released:2010-10-13)
参考文献数
19
被引用文献数
1

発汗発現の部位差を汗腺の分泌能のそれに関連して検討するため, 発汗量対中枢性発汗活動のプロットよりえた回帰直線を, 上半身のいろいろな部位のあいだで比較した。被検者は気候室内で安静椅座位をとり, 室温は2―3℃ずつ30―50分の間隔で35℃から45℃まで段階的に上昇させた。湿度は40%に保持した。室温の各ステップでは, 20分又はそれ以上の平衡時間をとったあとで局所発汗量を測定した。ここでは, 中枢性発汗活動は0.9Tre+0.1Tsであらわし, また, 回帰直線の勾配とx切片をそれぞれ発汗増加能, 発汗発現温度とみなした。汗腺の発汗増加能が低い部位ほど発汗発現温度が高いという一般的傾向が見られた。しかし, 一部の被検者の腋窩と前額は, 発汗増加能が他のどの部位より低いにもかかわらず発汗発現温度ははるかに低かった。各部位からえた回帰直線を外挿したところ, 横軸下の1点に集中することはなかった。このことは, 導管部での水の再吸収量は, おそらくその部位の汗腺の分泌能に比例して変化することを示唆する。腋窩と前額で見られる特異な温熱性発汗のパターンは, それらの部位の再吸収能が極端に低いことを示唆する。
著者
舘 和彦 小川 宣子 下山田 真 渡邊 乾二 加藤 宏治
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.456-462, 2004-09-15
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

乾熱卵白を生中華麺に添加した時の影響について力学物性値の測定と官能試験の結果より評価した.また走査型電子顕微鏡を用いて中華麺の表面および断面構造を解析することにより,以下の結論を得た.<br>(1) 中華麺に乾熱卵白を添加することで茹で伸びを抑制し,破断応力,瞬間弾性率は上昇し,硬さおよび弾力性に改善が見られた.さらに付着性の低下より舌触りが良くなること,引っ張り時の歪率の上昇から伸長が良く切れにくくなっていることが推測された.<br>(2) 官能試験の結果より,乾熱卵白を添加した中華麺は噛みごたえ,弾力性,つるみ感,伸長度において無添加麺や乾燥卵白を添加した麺よりも良い評価となり,且つ高い嗜好性を示した.<br>(3) 走査型電子顕微鏡による観察結果より,乾熱卵白を添加した麺の表面構造は,無添加麺や乾燥卵白を添加した麺と比較して隙間が狭く,滑らかであった.また乾熱卵白を添加した麺の断面構造も,蛋白質によって構成される網目構造が細かく,密であった.
著者
小川隆 山岸真編
出版者
早川書房
巻号頁・発行日
1992
著者
小川 [琢]治
出版者
地球學團
雑誌
地球
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.253-267, 1925-02-01
著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, 2019

就職(内定)状況調査の2018年3月卒業の大学生就職率は98.0%と,極めて高いと喧伝されているが,この数値は高すぎる。この問題はかつて検討したが,再度,学校基本調査と個別大学公表値と比較して検証した。その結果,就職(内定)調査の就職(内定)率は,実態以上に高く出ている可能性が高いことが確かめられた。
著者
小川 哲
出版者
早川書房
雑誌
SFマガジン = SF magazine
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.30-47, 2018-04
著者
高中 健一郎 山縣 瑞恵 安藤 元一 小川 博 TAKANAKA Kenichiro Mizue YAMAGATA Motokazu ANDO Hiroshi OGAWA
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.111-117,

側溝に落下して死亡する小型哺乳類が多いことから,本研究では側溝の深さと側溝内の水位が小型哺乳類の脱出成功率にどのように影響するかを調べると共に,保全対策として脱出用スロープの形状を検討した。脱出できなくなる道路側溝の深さは,モグラ類(ヒミズ,アズマモグラおよびコウベモグラ)では15cm, ジネズミでは24cm, スミスネズミおよびハタネズミは30cmであった。アカネズミおよびヒメネズミは深さ30cmの溝からは概ね脱出可能であり,静かな環境では深さ45cmからも一部の個体が脱出できた。脱出に際して地上性のアカネズミはよじ登りよりもジャンプを用いる傾向が強く,半樹上性のヒメネズミはよじ登りを多用した。側溝内に止水がある場合,ネズミ類は小さな側溝からは水位にかかわらず脱出できたが,大きな側溝ではスミスネズミやハタネズミは水位1cm以上で,アカヤズミとヒメネズミは水位5cm以上で脱出できない個体が現れた。ネズミ類の保護対策としては側溝の深さをできるだけ浅くすることが望ましく,モグラ類についてはスロープ付き側溝を用いることが望ましい。スロープには1.5~4.5cm間隔で段差を付け,傾斜角度を45°以下にするとともに,スロープを側壁で挟んで通路幅を5cm程度にとどめることが望ましい。
著者
福士 秀人 小川 晴子 森腰 俊亨 奥田 恭之 島倉 省吾 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
no.50, pp.p259-263, 1985-12
被引用文献数
2

クラミジア補体結合抗体の保有状況を愛知および岐阜両県のウシ1,048頭,ブタ544頭,ならびに茨城県,岐阜県および東京都のウマ1,103頭について調査した。ウシの平均抗体保有率は30.2%で地域差が認められた。ウマでは茨城および岐阜両県で2.8%および1.0%にそれぞれ抗体が認められた。ブタでは主に種雄豚で0.7%が抗体陽性であった。このように,わが国の家畜にクラミジア感染症が存在することが示唆された。
著者
早川 倫子 小川 容子 虫明 眞砂子
出版者
岡山大学教師教育開発センター
雑誌
岡山大学教師教育開発センター紀要 (ISSN:21861323)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.32-41, 2013-03-08

「学生オペラ」の発信は,教育現場で活躍できる人材育成と,岡山大学を文化活動の拠点とした文化・芸術活動の盛んな地域づくりを目指すことを目的として実施したものである。本稿では,約半年間の準備期間の様子とその成果を報告し,筆者らが取り組んださまざまな連携のあり方と課題について考察した。連携に関しては,①教育学部内の教員の連携(教科内容専門の教員と教科教育専門の教員),②附属学校との連携,③他学部との連携,④地域や卒業生との連携に焦点を当てて検討した。また,オペラ終演後に実施したアンケート結果からは,来場された多くの方が非常に満足されており,これからも継続してほしいと要望していることが明らかになった。
著者
岩本 茂子 小川 祐樹 諏訪 博彦 太田 敏澄
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.1-15, 2019-03-31 (Released:2019-05-01)
参考文献数
24

本研究は,組織内つぶやきシステムがもたらす効用を仮説構築的なモデルとして提示することを目的とする。ある企業において導入された企業内つぶやきシステムは,インフォーマルコミュニケーションの一手段として長期間利用されている。ソーシャルメディアなどでつぶやくことによる効用として,自己効用や関係効用など,様々な効用が指摘されているが,企業内に特化したつぶやきシステムに関する研究は見当たらない。労働者のストレスや不安の解消は,企業内の課題であるとともに,大きな社会問題であり,つぶやきシステムがもたらす効用を明らかにすることは意義がある。我々は,対象の企業内つぶやきシステムのユーザに対し,半構造化インタビュー調査を行い,つぶやきシステムがもたらす効用を仮説構築的なモデルとして提示した。具体的には,半構造化インタビューに基づいて得られた内容を,KJ法を用いて整理し,8個の要因に集約した。さらに,先行研究の知見に基づいてそれらの要因の関連付けを行うことで効用-課題-効果モデルを仮説構築的なモデルとして提示した。その結果,企業内つぶやきシステムがつぶやきの受発信を促進する場を構築し,その場の上で関係構築,社会的スキル向上,ストレス軽減の効用をもたらすことが期待できることを示した。また,企業内つぶやきシステムが情報共有促進,没個人の抑制,モチベーション低下の抑制の効果をもたらすことが期待できることを示した。
著者
丸橋 珠樹 岡崎 祥子 小川 秀司 Nilpaung Warayut 浜田 穣 Malaivijitnond Suchinda
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

2007年12月5日から2008年2月10日までの乾季66日間、158時間の観察時間のデータから、樹上活動時間割合は3%で、ほとんどすべての時間を地上で過ごし、移動は地上移動である。採食部位別時間構成は、果実50%、葉25%、種子24%である。昆虫食は頻繁にみられる。なお、石をひっくり返してカタツムリを採食しようとする行動がみられるが、実際に採食したのは観察158時間で4回に過ぎなかった。また、カエル(未同定)採食も1度観察され、内臓の一部を食べて遺棄した。<br> このような採食生態をもっているベニガオザルの、ウサギの捕獲、肉食が観察された。ウサギ捕食あるいは試みの3例の事例を報告する。2008年1月9日に、何か振り回して捨てていった所に近づいたところ、背中の皮を剥がれたウサギが残され、ウサギは飛び跳ねて森へ逃げていった(丸橋)。2011年10月14日、5歳雄のウサギ捕獲・肉食のVIDEO撮影に成功した(岡崎)。また、2011年12月29日にオトナ雌のウサギ肉食が観察され短時間のVIDEO撮影に成功した(小川)。<br> ベニガオザルのウサギ肉食行動観察の特徴として以下の点を指摘できる。1)肉食対象種はビルマノウサギ (<i>Lepus peguensis</i>) Blyth. 1855 (from Mammals of Thailand) である。2)ウサギが生きている状態で肉食が始まり、つまり捕獲し、その時点でウサギは断末魔の悲鳴を上げていた。3)ウサギの大部分、内臓も含めて消費され、観察時間内では、毛皮は食べられなかった。4)捕獲した個体がだけが継続して、移動しながら肉食し、最低7分半は継続していた。5)他個体の近接や近接個体の追随は見られるが、他の優位個体による奪取や残渣の拾い食いなどは見られなかった。議論では、同じ程度の大きさであるロリスとベニガオザルとの異種間行動についても報告し、反撃を行うロリス<i>Nycticebus coucang</i> (from Mammals of Thailand) では捕食にいたらなかった事例観察(丸橋)との比較を行う。<br> ベニガオザルにとって、ウサギ肉食行動は頻度が低い行動であると考えられ、群のなかで肉食経験のある個体は少なく、食物としての共有認識は低いと考えられ、その影響は個体間での競争や追随はほとんどみられなかったことにも現れている。