著者
古市 真木雄 和賀 巌 小田 吉哉
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.55-63, 2020 (Released:2020-12-15)
参考文献数
33

近年,質量分析技術の発展や新技術の出現により,大規模な疾患プロテオーム研究事例が増えてきた.本報告では,血液中の数千種類のタンパク質を同時に解析できる修飾型人工DNA配列(アプタマー)を用いたAffinity Proteomics技術に焦点を当てて,多数の検体が用いられている最近の大規模研究を中心に幾つかの研究例を報告する.今回紹介する技術の特徴は,まず抗体の代わりに数千種類の修飾型アプタマーを準備し,血液中の各標的タンパク質に特異的に結合させ,洗浄し,標的タンパク質と結合したアプタマーのみを遺伝子チップで捕捉して定量する,つまりタンパク質を遺伝子のようにマイクロアレイ上で測定する技術である.本法は多検体測定と定量性に優れていることから臨床応用例が多い.国内における臨床プロテオーム研究分野の発展と社会実装の一助になると考えて最新動向を総説として記述した.
著者
山本 泰大 渡邊 紘章 近藤 綾子 出口 裕子 平野 茂樹 櫻井 愛菜 公文 章子 村路 留美子 持山 めぐみ 奥村 佳美 浅井 泰行 小田切 拓也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.303-308, 2020 (Released:2020-11-24)
参考文献数
12

【緒言】小牧市民病院では2018年3月より外来がん患者を対象としたオピオイド導入支援を開始した.本活動前後の変化を比較検討したため,報告する.【方法】対象は2017年1月〜2019年3月に小牧市民病院で苦痛緩和に対して強オピオイドを導入したがん患者で,本活動前後のオピオイド導入時のレスキュー薬,制吐剤,下剤の処方割合,副作用の発現率について比較した.【結果】対象は122名(活動前/後:54/68).本活動の前後でオピオイド導入時のレスキュー薬の処方率は90.7から98.5%に,制吐剤の処方率は63.0から70.6%,緩下剤の処方率は61.1から70.6%と上昇した.STAS-J2以上の副作用は本活動の前後で22.2,13.2%であった.【考察】当院での本活動の実施により患者に合わせた薬物治療の提供,患者の相談機会の増加に寄与することができた.
著者
木下 眞二 小田切 正
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
no.5, pp.147-158, 2002

サッポロ・オリンピックの直前に完成した,札幌の地下鉄「南北線」も,30周年を迎えた(2001年12月)。その頃は,札幌の人たちは皆,「なんぽく」線と呼んでいた。地下鉄の標識も"Nanpoku Line"であったと思っている。ところが,二年ほど前,地下鉄大通駅の標識が"Nanboku Line"となっていることに,偶然気付いて,びっくりした。初めは,交通局の間違いと思ったが,こちらの間違いであることが,分かった。何十年も,疑うことなく「なんぼく」と信じ,その間違いに気が付かないことに,二度びっくりしたのである。私だけの錯覚なのか。そこで,周りの同年輩の札幌出身の人たちに聞いてみる。皆,「なんぽく」である。しかも,私と同様に,何十年も「なんぽく」と信じて疑うことがなかった。この,まことに不可思議な,札幌の方言「なんぽく線」のことを,同窓会誌などに(資料1, 2),エッセーとして載せたところ,札幌だけでなく北海道,東北地方,関東,関西の,沢山の方々から,意見をいただいた。とくに,俳人の嵩文彦氏,国文学の工藤芳雄氏,英文学の久末弘氏,ケセン語研究者の山浦玄嗣氏,文筆家の遠間昌平氏からは,貴重な資料が寄せられた。ここに,これらの資料の一部と,私たちのその後の調査を記録しておきたい。この「方言」の不思議な現象の実体が,かなり見えてきたように思う。しかし,まだ分からないことが沢山あるようである。以下に述べることは,これらの資料をもとに,私たちの考えをまとめたものである。間違っているところは,また,ご指摘いただきたい。(資料の中で,[]の部分は,私たちが後から加えたものである。)
著者
小田井 剛 牛腸 直樹 丸 智美 和氣 花奈美 日比野 壮功 小林 俊幸 田所 浩
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.234-237, 2016

症例は31歳男性で, 過去に脱力発作や特記すべき既往なし.入院当日, 咽頭痛を訴え近医耳鼻科を受診し, ヒドロコルチゾン静脈投与を受け帰宅した.帰宅後, 自宅にて米飯3杯, イカ・豚の生姜焼き, 漬物を摂食した.摂食3時間後, 四肢脱力・起立困難, 動悸を認め救急要請し当院搬送となった.来院時, 血清カリウム2.1mEq/L, 血清インスリン201.9µU/mLであった.カリウム製剤, スピロノラクトン投与にて, 第2病日には血清カリウム値や四肢脱力は改善した.75g糖負荷試験において, 120分に頂値を示すインスリン過剰分泌反応, 180分に反応性低血糖を呈し, またHOMA-R:2.69であった.周期性四肢麻痺の家族歴を有さず, インスリン抵抗性を背景にもちステロイド投与や糖質過剰摂取がインスリン過剰分泌反応を惹起し続発性低カリウム性周期性四肢麻痺を発症した一例を経験した.インスリン抵抗性や糖尿病を有する患者は数多くおり教訓的で示唆に富んだ症例と考えられ報告する.
著者
小田 力
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.136-144, 1966-10

長崎県大瀬戸町松島の外平部落(115戸)で1961年9月(実験1)に,長崎市郊外の六枚板部落(27戸)で同年10月(実験2)に,及び外平部落で1963年7月(実験3)に,計3回の記号放遂法によるイエバエの分散実験を行なった.放遂バエは25℃の実験室で飼育,羽化後4~6日目のもので,放遂前24時間, P^<32>を含む餌を与えて記号を附し,更に実験3では3ケ所から略同時に放遂したハエを区別できるように,3種類の色素の2%水溶液を噴霧した.放遂後6日間毎日(実験2では放遂後1, 2, 3, 5, 8日に),屋内に設置したハエトリガミとハエトリリボンに附著した記号バエ数及び無記号バエ数を記録した.これらの実験結果から次のことがわかった.1.記号バエの回収数は,放遂後の日数の経過に伴なって減少する.2.記号バエは一般に放遂場所に近い人家で多く回収されるが,放遂場所からの距離が同じ場合には,無記号バエの採集数から判断して,屋内への侵入が容易でありハエの餌が散在している,人家で,回収バエが多く得られる.3.記号バエの分散距離は,放遂地点が人家に囲まれている場合には短かく,放遂地点の一方にのみ人家がある場合や,特に放逐地点が人家から離れている場合には長い.4.イエバエの分散には,ランダムな行動に基づく比較的小規模の分散と,分散飛翔とも呼ぶべきものによる,より規模の大きい分散とがあると推測され,後者は,放遂地点が人家と畠地や荒地との境にある場合や,人家から離れている場合に見られるようである.Dispersal experiments with Musca domestica vicina were conducted by a mark-and-release technique at Hokabira Village (115 houses) in a small island, Nagasaki Prefecture in September 1961 (Exp. 1), at Rokumaiita Village (27 houses) near Nagasaki City in Oc
著者
浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 ASAKAWA Kazumi ODAGIRI Youichi YODA Junko NAKATA Hiroko GOTOU Shigemi KARINO Hidemi SAITOU Sumi アサカワ カズミ Asakawa Kazumi オダギリ ヨウイチ Odagiri Yoichi ヨダ ジュンコ Yoda Junko ナカタ ヒロコ Nakata Hiroko ゴトウ シゲミ Goto Shigemi カリノ ヒデミ Karino Hidemi サイトウ スミ Saito Sumi
出版者
山梨県立看護大学短期大学部
雑誌
紀要 = Bulletin of Yamanashi Junior College of Nursing (ISSN:13420097)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.41-48, 2004-03-01

【目的】易感染者が増加している在宅ケアにおいては、訪問看護師が感染媒体とならないような感染対策が必要であるが、訪問看護師が実際に行っている一連のケア内容と感染媒体としてのリスクの関係を実証的に検証した研究は僅少である。本研究では、訪問看護師のケア内容と感染予防行為における、看護師の身体部位ならびに伝播媒体となりうる物品等について、細菌学的汚染の状況を調査し、在宅看護における感染予防対策の有効性について検討した。【方法】平成14年5月から平成15年2月に、Y訪問看護ステーションの訪問看護師の訪問時に、訪問看護師の手指、手首、全胸部、足底、マンシェットの各部位の細菌を採取した。調査時は研究者が同行し、訪問看護師の実施したケア内容と感染予防行為を時系列に記述し、ケア前と後(最終手洗いの直前)の付着細菌をスタンプ法にて採取し、菌数を測定した。細菌検査はペタンチェック20cm(栄研器材)を用いて、一般細菌およびブドウ球菌の菌数を測定した。【倫理的配慮】訪問対象には、訪問看護から事前に、文書を用いて、研究の目的や方法、拒絶しても不利益が生じないこと等を説明し、同意が得られた事例宅において、調査を行った。データは個人が特定されないような配慮を施すとともに研究者による管理を保証した。【結果及び考察】延べ30事例の訪問時の看護ケアについての実態調査と細菌検査を行った。ケア内容は、生体物質への直接接触を含むケア(High Risk Care:HRC)と含まないケア(Low Risk Care;LRC) に分類された。訪問看護師の感染予防対策の主なものは、(1)石けんと流水による手洗い(2)持参した手拭きの使用(3)HRC時(ケア毎)の手袋の着用、等であった。手首においては、ケア数が多いほど、汚染が高く、排泄ケアや陰部ケアを含む場合に、とくに高くなる傾向が認められたが、ケースを越えた汚染と考えられた例は少数例にとどまった。マンシェットは、一部でケースを越えての細菌汚染の蓄積効果も認められた。本研究の結果より、訪問看護師による療養者間の細菌伝播の可能性は低いと推測され、現状の訪問看護師の感染予防行為が有効に機能していることが確かめられた。
著者
田中(小田) あゆみ 野口 享太郎 古澤 仁美 木下 晃彦 仲野 翔太 小長谷 啓介 山中 高史 水谷 和人 柴田 尚
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>トリュフは外生菌根性のきのこで,食用価値が高く,日本国内での栽培技術確立が求められている.欧米では,土壌pHが高く,攪乱後の土壌でトリュフ生産が増加することが知られているため,本研究では樹木に耕耘と石灰施肥を行い,細根生産量や外生菌根の形成率の変化を調べた.調査地は,山梨県のクリ林と茨城県のクヌギ林の2カ所とし,2016年春に3m×3mの処理区を設置した.山梨では1本の調査木の周囲に施肥区と対照区を隣り合わせに設置し,茨城では施肥区と耕耘区,対照区をそれぞれ独立に設置した.施肥区には約20t/haのてんろ石灰を2-3回に分けて散布した.細根生産はイングロースコア法により求め,根のスキャン画像について画像解析ソフトウェア(WinRHIZO)により総細根長や比根長を求めた.その結果,石灰施肥により細根生産量と比根長,根端数が増加し,菌根形成率も高まる傾向が認められた.しかし,これらの傾向は樹種や試験地間で異なった.また,耕耘処理は樹木の細根生産量や形態に大きな影響を与えなかった.以上より,てんろ石灰施肥による土壌養分量の増加は,樹木細根の量を増やし,トリュフをはじめとする外生菌根の形成を促進する可能性が示唆された.</p>
著者
江藤 千佳 矢田 大輔 松本 雅子 飯田 瀬里香 小田 智昭 成味 恵 幸村(小林) 友希子 磯村 直美 内田 季之 鈴木 一有 伊東 宏晃
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.131-136, 2019

環状第3染色体は稀な様々な表現形を呈する染色体異常であり、これまでの報告例は13例である。症例は30歳、1妊0産、身長137cm。3歳で低身長を主訴に小児科を受診し、環状3番染色体の指摘を受けた。妊娠22週に頸管無力症に対し頸管縫縮術(マクドナルド法)を行った。その後、腸閉塞、尿路外溢流を発症し、妊娠23週に皮膚腸管瘻形成術、尿管ステント挿入術を施行した。妊娠30週に陣痛発来し、妊娠30週1日、体重1726g 41cmの男児を経腟分娩した。本症例では、腸閉塞と尿路外溢流の発症の原因は妊娠子宮の圧迫であったと考えられた。低身長の妊婦が正常発育の胎児を妊娠した場合、妊娠子宮の圧迫症状のリスクに留意する必要がある。本症例が環状3番染色体を持つ女性の初めての妊娠、出産報告である。
著者
高野 和郎 坂田 暉英 福山 公基 太田 宏 前田 洋 李 雅弘 尾上 保夫 青木 隆一 高場 利博 岩堀 嘉和 松下 功 金子 和義 三富 静夫 唐沢 弘文 藤井 浩一 森本 和大 石井 淳一 上村 正吉 藤巻 悦夫 村田 恒雄 森 義明 菅谷 修一 西堀 実 薄井 武人 安藤 公信 清田 卓也 熊谷 日出丸 前田 正雄 鈴木 庸之 本多 儀一 門馬 満 藤本 昇 安藤 光彦 口石 将博 崔 相羽 高須 克弥 平井 啓 小池 勝 平塚 進 鈴木 武松 土持 喬 初鹿野 誠彦 津田 紘輔 諸岡 俊彦 藤井 陽三 清水 一功 八田 善夫 直江 史郎 坂木 洋 海老原 為博 太田 繁興 佐々木 彰 村山 義治 塚田 政明 清水 晃 山口 明志 江頭 亨 坂本 利正 渡辺 佐 加藤 水木 片桐 敬 吉田 文英 小島 昭輔 新谷 博一 鈴木 孝臣 金沢 英夫 落合 泰彦 堀坂 和敬 藤巻 忠夫 平木 誠一 橋本 敏夫 加藤 国之 石井 靖夫 菅 孝幸 赤坂 裕 今村 一男 甲斐 祥生 中西 欽也 太田 繁興 近藤 常郎 落合 元宏 松井 恒雄 依田 丞司 吉田 英機 丸山 邦夫 池内 隆夫 入江 邦夫 佐々木 彰 清水 晃 鈴木 周一 坂木 洋 塚田 政明 秋田 泰正 森 弘道 天野 長久 本多 平吉 山口 明志 坂本 利正 安達 浩行 草ケ谷 雅志 高野 和郎 中川 克宣 鶴岡 延熹 小野 充 阿万 修二 植原 哲 渋谷 徹 桑原 紘一郎 小黒 由里子 後藤 晋 島袋 良夫 安藤 彰彦 国枝 武幸 今西 耕一 小田切 光男 鄭 政男 佐川 文明 田代 浩二 大瀬戸 隆 菅沼 明人 町田 信夫 前田 尚武 小泉 和雄 鈴木 一 安藤 弘 山崎 健二 井出 宏嗣 福山 公基 木村 明夫 小林 祐一郎 狩野 充二 長嶺 安哉 木村 明夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.820-825, 1970
著者
酒井 類 田中 博章 財田 由紀 小田原 健一 伊吹 憲治
出版者
愛知教育大学附属高等学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:09132155)
巻号頁・発行日
no.44, pp.1-12, 2017-03-31

科目「現代社会」では、経済の項目において雇用・労働問題を取り扱うことになっている。しかし、高校生の多くは労働者としての経験がなく、そのためリアリティをもった授業を行うのが難しい現状にある。当該項目において教科書には多くの用語がゴシック体で並ぶが、授業展開はそれを追いかけることに汲々としていたのではないか、そんな問題意識があった。たしかに「労働基準法」という用語を知ることは大切だが、それだけで充分とは言えないであろう。今回の研究授業では、題材としてブラックバイト取り上げた。近い将来多くの生徒が関わるであろうアルバイトゆえ、興味・関心も高いと判断したからである。一方で知識のない学生は、問題に直面した際に、自分の経験で対処しているのが現状である。この状況を鑑みるに、高等学校で労働教育を行う意義は充分にあると考えた。もちろん、いずれ直面する就職の際にも、ここで学んだことは何らかの形で手がかりとなるであろう。本校における労働教育についての現状を報告したい。
著者
小田 隆治 鹿取 信
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症 (ISSN:03894290)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.9-17, 1991-01-10 (Released:2010-04-12)
参考文献数
30

A series of the process of neutrophil extravasation induced by topical application of leukotriene B4 (LTB4) or formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine (fMLP) on microvasculature of the hamster cheek pouch can be divided into five steps; I) rolling on the venular endothelium, II) adhesion on the endothelium, III) passage between the endothelial cells, IV) staying in the venular wall, V) migration from the venular wall to the interstitial space. In step II, topical application of chemoattractants on the microvasculature caused an increase in the number of neutrophils adhered to the venules. In step III, the size of the adhered neutrophils became gradually smaller and finallly disappear from the vascular lumen, as they were observed on the monitor screen. Over 80-90% of the adhered neutrophils passed through the endothelial cells. The whole process from step II to III took about 7 minutes. In step IV, the neutrophils which passed through the endothelial cells stay for about 30 minutes in the venular wall. In step V, neutrophils penetrated the basement membrane and migrated into the interstitial space.Step II and III were suppressed by a cyclic AMP phosphodiesterase inhibitor, fibronectin inhibitor and cytochalasin B. From these results, it was suggested that chemoattractant may cause the contraction of microfilament of neutrophil, and the contraction may induce the expression of adhesive glycoprotein on the neutrophil membrane. The increase of cyclic AMP in the neutrophil may inhibit the contraction of microfilament and/or the expression of adhesive glycoprotein of neutrophil. Dexamethasone did not affect the step I to IV, but suppressed the step V. Dexamethasone may inhibit synthesis and/or release of protease (s) in the neutrophil granules which degrade the basement membrane. In fact, the collagenase inhibitor suppressed the step V, although it did not the step I to IV. Thus, neutophil-derived collagenase may act on the passage of neutrophil through the basement membrane. The process of neutrophil extravasation is the chain of reaction.
著者
小田川 敦 桂 敏樹 星野 明子 志澤 美保 臼井 香苗
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.781, 2020 (Released:2020-05-17)
参考文献数
27

我が国では認知症の増加が重要な健康課題になっている。厚生労働省は認知症を予防する最も効果的な方法はMCI(Mild Cognitive Impairment)を把握し対処することであると指摘している。そこで,本研究では認知症のリスク要因である不活発な身体活動量とMCIの関連を検討することを目的とした。 基本チェックリストによって判定したA市在住閉じこもり高齢者26名と性,年齢,居住地区をマッチさせた非閉じこもり26名を2013年コホートから無作為に抽出し,身体活動量,MCIなどを訪問調査した。その内容は基本属性,基本チェックリスト,IPAQ,MoCA-J,Kohs,HDS-R,GDS-S-J,IADLである。抽出された高齢者の身体活動量(IPAQ)から区分した身体活動の活動群と不活動群の2群間でMCIを比較するためにχ2検定,Mann-Whitney U検定を用いた。統計解析にはSPSSを用い,危険率は5%未満とした。 身体活動不活動群は活発群に比べて殆ど身体活動がなく非活動時間が多く,健康づくりに必要な身体活動量を満たしていなかった。更に不活動群は活動群に比べてMoCA-JによるMCIが多かったが,KohsによるMCIは相違がなかった。 このことから,健康づくりやMCI予防に必要な身体活動レベルを満たしていない不活動状態がMCIのリスク要因になることが明らかになった。本研究は地域在住高齢者から不活動者を把握し,MCIのリスクを早期に発見し対処する方法を考案する必要性を示唆している。
著者
岩崎 稔 八尾師 誠 今井 昭夫 金井 光太朗 篠原 琢 米谷 匡史 工藤 光一 小田原 琳 土田 環
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アジアを中心とした集合的記憶の動態を、「自己確証的想起」及び「脱中心化的想起」という対概念を方法論として解明した。また分析地域を拡大し、ジェンダー論等の具体的成果の再定義や表象文化分析を行った。その結果、集合的記憶の脱中心化的機能は、ナショナル・アイデンティティを相対化・異化し、支配・被支配関係を転換する効果を持つことが明らかになった。脱中心化的想起という視点を通して、正統的歴史叙述から排除された「消去された声」の再生だけではなく、集合的記憶の動態の中に起こりうるイデオロギーを超えた自己撞着や恣意的操作、アイデンティティポリティクスへの批判的な分析視点をより明確に提示できるようになった。