著者
山田 昇平
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.33-47, 2014-10-01

本稿では「言便(ごんびん)」を扱う。「言便」は中世中期の義源撰『法華経音義』で発音に関する事柄を広く指すのに用いられる。しかし中世後期には口語的資料の上で発音の良し悪しに関する用法に多く使用される。この用法は「音便」にもみられるが,「音便」は言語事象を説明する文脈に多用され,両者には用法による棲み分けが確認される。また「言便」は,「ゴンビンザワヤカ」の形で多用されるが,近世初期にはこの形が「ゴンビザワヤカ」へと変化した。これにより「言便」は使用の場を狭める。一方で近世中期になると学術的文脈で「言便」が確認されるが,これは先の事情により従来の「言便」が使用されにくくなったため,新たに生じたものと考える。本稿では特に「言便」と「音便」との用法による棲み分けに注目し,学術用語「音便」の成立には,この語の俗語的な側面を「言便」が担っていた背景があると考える。
著者
植木 努 曽田 直樹 山田 勝也 河合 克尚 藤橋 雄一郎
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第26回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.39, 2010 (Released:2010-11-02)

【目的】 これまでに体幹筋の機能に関して多くの報告がされている。腹部表在筋は体幹運動におけるトルクの発揮に関与し、深部筋は腹圧を高め脊柱の安定性に関与しているといわれている。しかし、深部筋の機能に関してはまだ不明な点が多い。そこで本研究の目的は腹筋群の筋厚と体幹筋力及び性差の関係から、腹筋群の特徴を明らかにすることである。 【方法】 対象は健常男性31名、健常女性26名の計57名とした。筋力はバイオデックス及びマイオレットを使用し、各速度30、60°/sでの体幹屈曲最大筋力を測定した。筋厚は超音波画像診断装置を用いて、背臥位にて臍両側の腹直筋と前腋窩線上における腸骨稜近位の外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋を測定し、画像解析はImageJを用いて行った。統計学的分析は、筋力と筋厚の関連性にはPearsonの相関係数、男女間の比較は筋厚及び筋力を対応のないt検定を用いて行った。また被検者には本研究の目的を十分に説明し、参加の同意を得て実施した。 【結果】 体幹屈曲筋力(kg/m)の平均は男性14.80±3.39、女性9.20±2.13、全体11.73±4.64、筋厚(cm)の平均は腹直筋男性1.46±0.30、女性1.10±0.18、全体1.30±0.32、外腹斜筋男性1.00±0.33、女性0.84±0.26、全体0.93±0.31、内腹斜筋男性1.29±0.38、女性1.01±0.30、全体1.16±0.37、腹横筋男性0.66±0.22、女性0.58±0.19、全体0.63±0.20であった。筋力と各筋の筋厚の相関は、腹直筋(r=0.48)、内腹斜筋(r=0.30)、外腹斜筋(r=0.45)は有意な正の相関を示し(p<0.05)、腹横筋は有意な相関は示さなかった。また男女間での比較では、筋力、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋においては、男性が女性に対し有意に高い値を示したが(p<0.05)、腹横筋に有意差は見られなかった。 【考察】 本研究の結果より腹横筋の筋厚は筋力や性差に影響を受けないことが示唆された。その理由として腹横筋は腹圧を高めることで腰椎の安定性に関与し、体幹屈曲作用は少なく表在筋の運動の補助的な役割であるため、筋力に反映されにくいのではないかと考えられる。
著者
中村 英次郎 井口 竹彦 中村 太郎 山田 秀大 七森 和久 酒井 祐一 林 義裕 畑田 和男
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.704-707, 1998-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9

Five cases of the fracture of the sternum due to use of a seat belt were reported. According to the Fowler's classification, our cases were classified as TYPE: 1 case, Type IV: 3 cases and Type VIII: 1 case. With regard to four cases (type I and IV), the mechanism of the fracture was direct violence.A case associated with the injuries of interspinal ligaments of the thoracic spine, the mechanism of the fracture was indirect violence as flexion-compression injury. All cases were treated with rest and immobilization. The importance of radiographic examination on the sternum in patient of seat belt injury.
著者
戎 利光 田中 麻結 松浦 麻衣 安居 曜平 山田 侑希 宮下 裕文
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.39, pp.31-42, 2014

平成24年度の学校保健統計調査1)によると,裸眼視力1.0未満の児童生徒は年々増加傾向にある。視力 の低ドは日常生活に支障をきたすがそれだけではなく,その度合いが強くなると,将来,緑内障や近視 性網膜症,白内障などの重篤な疾患を続発する危険性が高くなる2)ことから,児童生徒の視力低ドに対す る予防対策が必要である。 ただ,児童生徒の視力への影響因子は広く報告されているにもかかわらず,詳細な調査によって広範 囲に検討された研究は少ない。従って本研究の目的は,視力低下を招く可能性のある屋外活動や姿勢を はじめ,勉強中の目の疲れ,教科書を見る様子,教室の明るさ,勉強時間,スポーツ実施時間,テレビ やゲームに費やす時間などを児童生徒にアンケート調査し,さらには,家族の視力,両親の近視の有無 メガネやコンタクトレンズの使用状況,子どもが勉強やゲームをしている状況,テレビゲームの使用制 限,子どもの習い事,子どもの朝食摂取や睡眠等の生活習慣などを,保護者にもアンケート調査するこ とによって,児童生徒の視力と各種環境因子や遺伝因子との関連を明らかにすることである。 福井県内の小学生726人(小学4,5年生),小学生の保護者722人,中学生795人(中学2,3年生), 中学生の保護者770人の合計3,013人に,巻末の資料1~資料3に記載したアンケート調査を行った。本 研究のアンケート回収率は,児童生徒が95.8%,保護者が98.7%であったが,3,013人の回答の中から,不 完全な回答のデータを除き,小学生695人,その保護者702人,中学生762人,その保護者770人の合計2,929 人のデータを分析した。 本研究より,次のような結果が明らかになった。(1)学校で勉強している時目の疲れをよく感じている 児童生徒は視力が比較的悪く,目の疲れをほとんど感じていない児童生徒は視力が比較的よい,(2)教科 書を見る時目を近づけないように気をつけている児童生徒の多くは,視力が比較的よい,(3)教室の明る さについて丁度よいと感じている生徒の多くは,視力が比較的よい,(4)学校で勉強している時目の疲れ をよく感じる児童生徒の多くは,教科書を見る時いつも目を近づけて見てしまう,(5)学校で勉強してい る時目の疲れをよく感じる児童の多くは,教室が「明るすぎる」,「暗すぎる」と感じている,(6)学校で 勉強している時目の疲れをよく感じる児童の多くは,先生の話を聞く時いつも姿勢が悪くなる,(7)教科 書を見る時目を近づけすぎないように気をつけている児童の多くは,教室の明るさが丁度よいと感じて いる,(8)教科書を見る時目を近づけすぎないように気をつけている児童の多くは,先生の話を聞く時い つも姿勢よく聞いている,(9)普段家の外で遊んだりスポーツをしたりしてよく身体を動かしている児童 の多くは,視力が比較的よい,(10)スポーツ少年団やスポーツクラブに入っている生徒の多くは,視力 が比較的よい,(11)視力の比較的よい母親は児童生徒も視力がよく,視力の比較的よい父親の生徒は視 力がよい。以上の研究結果が,児童生徒の視力低下に対する予防策の一端として活用されることを期待する。
著者
平野 信一 山田 努 杉原 真司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100144, 2016 (Released:2016-11-09)

【目的】 東北地方太平洋沖地震の津波から5年余りが経過したが、沿岸域はいまだに東電福島第一原子力発電所事故による放射性物質汚染にさらされている。本研究では、阿武隈川水系などから仙台湾に流入する堆積粒子と原発事故由来の放射性物質の移動・拡散・濃縮を明らかにする。 【方法】 宮城/福島県境沖から仙台港までの仙台湾沿岸域においてこれまで10回(平成24年3月~平成27年9月)にわたり底質試料をエクマンバージ型採泥器、フレーガーコアラ―を使用し採取した。採取試料の堆積物放射能の測定に際しては、九州大学アイソトープ統合安全管理センターのゲルマニウム半導体検出器を使用し、経時変化・深度変化について論じた。 【結果】 試料の137Csの測定結果から、阿武隈川河口沖では、他の海域に比べて放射性セシウムの集積が顕著であることが明らかとなった。この海域においても、より陸地側(水深の浅い)の地点よりも、水深約20 mの地点(B3地点)で集積が進んでいる。これは、阿武隈川集水域で沈着放射性物質の自然除去が継続的に進行しているためと考えられる。集水域で放射性セシウム(134Cs、137Cs)の地表移動過程を経時的に観測した結果から、集中降雨時に大量の放射性物質が河川系を経て流出することが明らかとなっている(Minoura et al., 2014)。沈着放射性セシウムは、細粒物質(フミン、粘土粒子など)に付随している。これら浮遊物が増水時に河川を経て河口から流出し、陸水が海水と混合する過程で凝集し阿武隈河口沖に沈積したと解釈される。セシウム濃度の増大傾向は、集水域における放射性物質が降水により易動的となり、地表流水により効果的に排出されている可能性を示唆している。河口沖で凝集・沈積した細粒堆積物は、再移動作用が波及しない限り、緩やかな生物擾乱を受けながら集積してゆく。この堆積効果により、地表沈着放射性物質は河口沖に埋積される。しかし、強力な底層流を促す沿岸流の発達などは、こうした底質を大規模に侵食する可能性がある。その場合には、埋積された放射性物質の急激な拡散が懸念される。 また、名取川河口沖、特に水深20 m付近のD4地点でも放射性セシウムの中濃度集積が進んでおり、名取川上流域および河口沖でも、それぞれ阿武隈川集水域および河口沖における同様な過程が進行しているとことが予想される。 このように、大河川河口沖では、内陸から流送された放射性物質が水深約20mの海底に堆積しホットスポットを形成していた。
著者
山田 文雄 石井 信夫 池田 透 常田 邦彦 深澤 圭太 橋本 琢磨 諸澤 崇裕 阿部 愼太郎 石川 拓哉 阿部 豪 村上 興正
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.265-287, 2012 (Released:2013-02-06)
被引用文献数
2

政府の府省が進める各種事業の透明化と無駄遣いの防止をねらいとする「行政事業レビュー」において,2012年度に環境省の「特定外来生物防除等推進事業」が「抜本的改善」という厳しい評価を受けた.この事業レビューでは,おもにフイリマングースHerpestes auropunctatus(特定外来生物法ではジャワマングースH. javanicusの和名と学名を使用)やアライグマProcyon lotorの防除事業が取り上げられた.日本哺乳類学会はこの評価結果について,外来生物対策の基本的考え方や事業の成果についての誤解も含まれているとし,この判定の再考と外来生物対策の一層の推進を求める要望書を提出した.本稿では,環境省行政事業レビューの仕組みと今回の結果について報告し,根絶を目標とするマングース防除事業の考え方と実施状況,また,広域分布外来生物の代表としてアライグマを例に対策のあるべき姿を紹介した.さらに,学会が提出した要望書の作成経過と要点について説明し,最後に,行政事業レビューでの指摘事項に対して,効果的かつ効率的な外来哺乳類対策に関する7つの論点整理を行った.これらの要望書や日本哺乳類学会2012年度大会の自由集会における議論及び本報告によって,われわれの意見を表明し,今後の動向を注視するとともに,今後の外来種対策事業や研究のより一層の充実を期待したい.
著者
大森 史隆 笠井 新一郎 天辰 雅子 中山 翼 飯干 紀代子 山田 弘幸 オオモリ フミタカ カサイ シンイチロウ アマタツ マサコ ナカヤマ ツバサ イイボシ キヨコ ヤマダ ヒロユキ Fumitaka OHMORI Shinichiro KASAI Masako AMATATSU Tsubasa NAKAYAMA Kiyoko IIBOSHI Hiroyuki YAMADA
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 = Journal of Kyushu University of Health and Welfare
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-126, 2010-03

This study examined 300 children aged 24-35 months to clarify expressive vocabulary development using the vocabulary checklist questionnaire. Children were classified into 4 periods: first period, 24-26 months; second period, 27-29 months; third period, 30-32 months; and fourth period, 33-35 months. We analyzed median and quartiles of expressive vocabulary and performed one-way analysis of variance to determine which periods differed significantly from other periods. As a result, median total expressive vocabulary was 238.0 in the first period, 423.0 in the second period, 508.0 in the third period, and 661.0 in the fourth period. A clear correlation was seen between total expressive vocabulary, noun vocabulary, verb vocabulary, adjective vocabulary and child age. No significant difference in total expressive vocabulary was evident between second and third periods. These results indicate an incubation period in which the expressive vocabulary is invariable. A significant difference was apparent between the second and third periods in the verb vocabulary, suggesting a qualitative change in the expressive vocabulary. However, the term of increasing verb vocabulary was shorter than that for the noun vocabulary, which previous studies have reported in children aged 18-30 months.
著者
山田 成子 渡辺 泰夫 平野 優子 内藤 儁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.401-406, 1973-03-20 (Released:2008-12-16)
参考文献数
14

嗅覚の生理に関しては不明の処が少なくない,嗅覚は非常に鋭敏な感覚であるが,万余の匂いが,どのようにして末梢のreceptorに受容されるのか,末梢のreceptorの受容機構はどの様になつているか,また末梢で受容された刺激は,中枢へどの様に伝達されるか,など未だ未解決の問題が多い.嗅覚の検査に用いられるべき嗅素として,最も適当な匂いは何であるかという基本的な問題も解決されていない.このような現状において文部省科学研究班,"嗅覚測定の基準設定"が結成された.私どもはこの班の一員として次の10種の嗅素の各種濃度(10-1より10倍稀釈で10-14迄)で日本人の平均閾値の測定を行なつている.使用ている嗅素は,バラ臭,糞臭,腐敗臭,樟脳臭,酸臭,麝香,フェノール臭,焦臭,果実臭,にんにく臭,である.撰択的無嗅覚症(selective anosmia or specific anosmia Amoore)という病名はAmooreにより使用され,ある種の匂いにのみ特異的に閾値の高い場合に用いられる.現在まで238名の測定対象に8名の撰択的無嗅覚症例を認めた.このような8症例の中,2例は嗅覚障害を自覚していない.男女性別に差はなく 男女共各4名である.撰択的無嗅覚症がみとめられた嗅素はフェノール臭,麝香臭,パラ臭,糞臭である.撰択的無嗅覚症の機構は不明であるが,恐らく嗅覚受容機構における部分的障害と考えられる,Amooreによれば,青酸,メルカプタン,イソ酪酸に嗅盲が認められるが,嗅盲は遺伝的因子が強いと考えられる,一方,撰択的無嗅覚症は後天的な受容機構の受傷性の差によつてもおこることが考えられる.撰択的無嗅覚症に認められる嗅素は嗅覚機能検査に必要な基本的嗅素の1つであると思われる.
著者
鳥居 朋子 岡田 有司 高橋 哲也 林 透 村上 正行 山田 剛史 串本 剛 大山 牧子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、4年間の研究期間において下記の5点を一体的に進める。(1)教育プログラムの評価と改善の好循環システムの先進事例を検討するため、米国・英国等の大学への訪問調査を行い、優れた循環システムの要件を抽出、(2)日本の大学の全国的な量的調査により、教育プログラムの評価と改善に関わる実態分析や主要な問題を特定、(3)学習成果測定や教育プログラムの評価を推進している日本の大学への訪問調査、(4)日本の大学において教育プログラムの評価と改善の好循環システムを形成する際に考慮すべき点やシステム構築上の要件等の抽出・整理、(5)好循環システムを組織的に構築するための具体的な手法をティップスの形式にまとめ公表。
著者
有賀 久哲 山田 章吾 高井 良尋 根本 建二 小川 芳弘 角藤 芳久 メヒア マルコ 西平 哲郎
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.347-355, 1996

目的: 食道癌に対する術後照射の有用性を検討する目的で, 術後照射例の治療成績を非照射例と比較してretrospectiveに解析した.対象と方法: 1981年から1990年までに当施設にて治療した根治切除食道癌278例を対象とした.術後照射併用183例 (RT (+) 群), 非併用95例 (RT (-) 群) であり, IV期症例, 術死症例は予め解析から除外した・術後照射は, 両鎖骨上窩と全縦隔を含めたT字形照射野を原則とし, 総線量30-60Gy (平均41.9Gy) であった.90例にpeplomycinまたはcisplatin, vindesine (CDDP併用療法) を用いた同時化学療法が併用された.RT (-) 群に対しても, 42例に強力化学療法が併用された.鎧塁: 各治療群の5年, 10年生存率は, RT (+) 群が47.2%, 30.4%, RT (-) 群が43.0%, 23.7%であったが, 統計学的肴意差はなかった.化学療法併用例に限ると5年生存率はRT (+) 群47.7%, RT (-) 群23.7%(P=0.684) であった.有意予後因子は, N因子 (p<0.0001), T因子 (p=0.0013), 年齢 (p=0.0091), CDDP併用療法 (p=0.0123) であった.再発様式では, T字形照射域の再発率がRT (+) 群18.6%, RT (-) 群37.6%であり, 前者が有意に低かった (p=0.0068).結語: 根治切除食道癌に対する術後照射は, 照射野内再発を有意に減少するが, 生存率の改善は得られなかった.化学療法の同時併用により, 生存率を改善する可能性が示唆された.
著者
山田 敏郎 可児 弘毅 生田 耕治
出版者
The Japan Society of Mechanical Engineers
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.47, no.415, pp.450-460, 1981

衝撃超高圧力研究用に超高速飛しょう体発射装置(二段式軽ガス銃)が試作され, その性能の数値解析が試みられた. 試作装置により16.4gの飛しょう体が3.57km/sまで加速・発射された. 発射実験結果と性能解析の予想値との良い一致により, 解析法の妥当性が確かめられた. 性能解析により, 試作装置は9.5gの飛しょう体が5km/sまで加速できることおよび発射速度支配因子のうち, 特に装薬量と飛しょう体質量の影響が大であることなどが明らかにされた.
著者
千々松 武司 山田 亜希子 宮木 寛子 吉永 智子 村田 夏紀 秦 政博 阿部 和明 小田 裕昭 望月 聡
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.63-68, 2008-02-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
3 8

タイワンシジミは肝臓に良いとされ台湾で食されているが,その科学的根拠は乏しい.そこで本研究では,ラットにおいてD-ガラクトサミン誘発肝障害およびエタノール急性投与誘発脂肪肝に対するタイワンシジミ抽出物の効果を検討した.D-ガラクトサミン誘発肝障害に対し,タイワンシジミ抽出物は血清AST値およびALT値の上昇を有意に抑制した.また,エタノール急性投与誘発脂肪肝に対し,タイワンシジミ抽出物は肝臓脂質の上昇を抑制する傾向を示した.また肝臓のコレステロールは有意に低下した.更に,エタノールを急性経口投与したラットの血中エタノールの消失速度を有意に速めた.これらの結果から,タイワンシジミ抽出物は肝炎および脂肪肝に対し予防効果を示し,アルコール代謝を促進する可能性が示唆された.
著者
山田 和慶 篠島 直樹 浜崎 禎
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.280-286, 2017 (Released:2017-04-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1

内科的治療では十分効果の得られないパーキンソン病・不随意運動症 (運動異常症) でも, 脳深部刺激療法 (DBS) により改善する場合が少なくない. 手術支援システムや刺激装置の機能の進歩と連動して, DBSの治療実績とエビデンスの蓄積がなされてきた. Convention empiricalに適応除外されがちな運動異常症を取り上げ, DBSの適応疾患が拡大しつつある現状を俯瞰する. 【パーキンソン病】一般的にレボドパに反応しない運動症状に対してDBSは無効である. しかし, 薬剤投与量が制限されている場合, 一見レボドパ反応性が欠如していても, levodopa-challenge testにより, 予想以上の運動機能改善が得られることがあり, DBSのよい適応になる. 【ジストニア】典型的ではない振戦様運動, 感覚トリックや動作特異性といった表現型, 発作的な症状増悪, 高率の精神疾患併存など, ジストニアは心因性運動異常症 (PMD) と判断されかねない要素に富んでいる. いったんPMDと診断されると, DBSに辿り着くのは困難である. 【その他】Lance-Adams症候群, 代謝性神経変性疾患に伴う不随意運動症, バリズム, Holmes振戦, 発作性ジスキネジアなど比較的まれな病態に対するDBSの有効性も報告されている. DBSの適応疾患は拡大しつつある. 運動異常症の症候を理解し, DBS介入のchanceを逃さないようしたい.
著者
山田 昇司
雑誌
朝日大学経営論集 = Asahi Business Review (ISSN:09133712)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.9-30, 2018-03-31

本稿は第31回JACET(大学英語教育学会)中部支部大会(2015/6/20南山大学・名古屋キャンパス)で行なった実践報告「「豊かなコミュニケーション力」として活用できる基礎力とは何か―英語の幹「リズム」「語順」を学ぶ授業を!」が元になっている。今回、『朝日大学経営論集第32巻』に掲載するにあたって若干の字句の修正と加筆をおこない、さらに末尾にその後の実践をふまえた「追記」を補筆したが、それにともなってタイトルを表記のものに改めた。さて本稿では、会話力を身につけるには「会話」を重視して教えるという言説に対して、「読み」「書き」の土台をしっかりと築くことこそが肝要であるという見地に立った授業実践の一例を示した。まず、題材に太宰治「走れメロス」の英訳を採用した経緯を述べ、次にそれをどのように「音読」と「英作文」の教材に作り変えたか、さらにはどのように授業を構成し評価の仕組みを考えていったのかについて論じた。筆者が教える学習者には英語に対して苦手意識を持っている者が多いが、そのような学生であっても彼らの知的レベルにふさわしい内容の教材を選び、英語の幹である「リズム」や「語順」に絞り込んで教えていくと、学生は次第に学習意欲を回復していく。その様子を学生の授業レポートのいくつかを示して紹介した。最後に「丸暗記ゼロ」の英語教育がいかに学習者の人間的成長に役立っているかについても私見を述べた。
著者
千代 章一郎 山田 恭平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.595-600, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
20

本稿では、被爆都市における景観研究の一環として、平和記念式典に着目し、その歴史的な景観への眼差しの演出の変遷を明らかにすることによって、記憶を持続するための空間デザイン手法に関する知見を得ることを目的する。 式典において、丹下健三(1913~2005)の構想した南北軸線による眺望景観が演出されてきた。しかし、報道写真から、その軸線は平和記念公園内で切断されていくことがわかる。その一方で、献花を行う参列者からの景観の演出は変化しておらず、丹下健三の構想した軸線と一致している。