著者
堅田 千種 今井 みはる 野崎 一徳 川本 昌幸 前田 芳信 島 優子 大星 直樹 玉川 裕夫
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.231-238, 2006-03-03

管楽器奏者に口唇外傷予防を目的としたミュージックスプリントを装着すると,音色も変化することが知られており,我々の臨床でもしばしば経験しているが,音色変化を定量的に解析,評価した研究は少ない.そこで,プロのトランペット奏者の協力を得て,スプリント装着時と非装着時の音色を,音響解析による物理的比較,自然音の一対比較法による聴覚比較,そしてデジタルフィルタリング法を用いた合成音比較の3方法で比較した.<br/> 物理的比較では,long-tone録音後に高速フーリエ変換を行い,スプリント装着時に高周波倍音成分の音圧が高くなっていることが示せた.聴覚比較では,音楽経験にかかわらずスプリント装着時の音をより好む被検者が多いことを明らかにできた.そして,低周波数部分を共通にし倍音成分のみを入れ替えた合成波形比較では,基音に対して13次から20次の倍音が,音色の好みに影響を与えていることを示せた.
著者
作田 泰隆 川本 祐大 渡辺 将史 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.3, pp.686-694, 2013-03-01

本論文では,Total Variation(TV)正則化を用いた高画質・高速な超解像拡大手法を提案する.TV正則化を応用した超解像手法はリンギングを発生させず,エッジの鮮鋭化を効果的に実現する手法であり,事例学習法を組み合わせることで細かい模様(テクスチャ)の再構成も実現する有望な手法である.しかし,TV正則化を応用した拡大手法は反復非線形演算により計算時間が増大し,画質を維持した大幅な高速化が困難とされており,動画像などへの応用が難しいという問題がある.そこで本論文では,TV正則化を応用した拡大手法に効果的なエッジ鮮鋭化フィルタであるShock Filterを用いた新方式を提案し,従来の各手法と比較して大幅な計算時間の削減,または画質の改善に成功した結果を報告する.
著者
川本 哲也 遠藤 利彦
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.379-394, 2016

<p>本研究の目的は,東京大学教育学部附属中等教育学校で収集されたアーカイブデータを縦断的研究の観点から二次分析し,青年期の健康関連体力の発達とその年次推移を検討することであった。健康関連体力の指標として,スポーツテストの持久走と握力の結果を用いた。分析対象者は,持久走については附属学校に1968年から2001年までに入学し,持久走のタイム計測を1回以上受けているもの3,763名(男子1,893名,女子1,870名),握力については附属学校に1968年から1987年までに入学し,握力の計測を1回以上受けているもの2,137名(男子1,065名,女子1,072名)であった。潜在成長曲線モデルを用いた共分散構造分析の結果,男子では持久走,握力ともに青年期を通じてパフォーマンスが向上していくことが示された。一方,女子では持久走のタイムは青年期を通じて大きく変化せず,握力は青年期の前半に少し大きくなった後に横ばいになることが示された。また,持久走のタイムや握力の発達軌跡が出生年度によってどのように変化してきているのかを併せて検討したところ,持久走のタイムは男女ともに出生年度が遅いほどタイムも遅くなってきていることが示された。また握力については,男子は出生年度が遅いほどパフォーマンスが向上してきているが,女子では若干の低下が見られることが示唆された。</p>
著者
川本 隆史
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.33-50_L4, 2009 (Released:2010-11-09)
参考文献数
32

Confronting a host of difficult issues of widening disparities which emerge within domestic and international affairs, I attempt in this paper to flesh out the conception of a just and caring society by considering appropriate conditions for the taxation system thereof.For this purpose I conjointly apply two methodologies: reflective equilibrium (Rawls) and ‘dis-aggregation’ (attributed to Sen by Yoichi Mine). Firstly I examine three joint ideas bridging a gap between difference and equality in Rawlsian social justice; (1) fraternity, (2) reciprocity, and (3) democracy. Then I dig into Rawls' and Kant's theories of taxation in some detail and propose a way of reinterpreting the Rawlsian concerns with justice in terms of Sen's notion of capabilities. (In this regard Makoto Yuasa's Japanese translation of ‘capability’ as ‘tame’ is highly suggestive.) The classical ideal of fraternity proves in need of careful elaboration.
著者
川本 竜彦
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.473-501, 2015-06-25 (Released:2015-07-10)
参考文献数
165
被引用文献数
2 2

Subduction-zone magmatism is triggered by the addition of H2O-rich slab-derived flux: aqueous fluids, hydrous partial melts or supercritical fluids from the subducting slab through reactions. Whether the slab-derived flux is an aqueous fluid, a partial melt, or a supercritical fluid remains an open question. In general, with increasing pressure, aqueous fluids dissolve more silicate components and silicate melts dissolve more H2O. Under low-pressure conditions, those aqueous fluids and hydrous silicate melts remain isolated phases due to the miscibility gap. As pressure increases, the miscibility gap disappears and the two liquid phases becomes one phase. This vanishing point is regarded as critical end point or second critical end point. X-ray radiography experiments locate the pressure of the second critical end point at 2.5 GPa (83 km depth) and 700°C for sediment-H2O, and at 2.8 GPa (92 km depth) and 750°C for high-Mg andesite (HMA)-H2O. These depths correspond to the depth range of a subducted oceanic plate beneath volcanic arcs. Sediment-derived supercritical fluids, which are fed to the mantle wedge from the subducting slab, may react with the mantle peridotite to form HMA supercritical fluids due to peritectic reaction between silica-rich fluids and olivine-rich mantle peridotite. Such HMA supercritical fluids may separate into aqueous fluids and HMA melts at 92 km depth during ascent. HMA magmas can be erupted as they are, if the HMA melts segregate without reacting to the overriding peridotite. Partitioning behaviors between aqueous fluids and melts are determined with and without (Na, K) Cl using synchrotron X-ray fluorescence. The data indicate that highly saline fluids effectively transfer large-ion lithophile elements. If the slab-derived supercritical fluids contain Cl and subsequently separate into aqueous fluids and melts in the mantle wedge, then such aqueous fluids inherit much more Cl and also more or less amounts of large ion lithophile elements than the coexisting melts. In contrast, Cl-free aqueous fluids can not effectively transfer Pb and alkali earth elements to the magma source. Enrichment of some large-ion lithophile elements in arc basalts relative to mid-oceanic ridge basalts has been attributed to mantle source fertilization by such aqueous fluids from a dehydrating oceanic plate. Such aqueous fluids are likely to contain Cl, although the amount remains to be quantified. If such silica-rich magmas survive as andesitic melts under a limited reaction with mantle minerals, they may erupt as HMA magmas having slab-derived signatures.
著者
小林 良夫 能美 隆 下池 洋一 上野 浩志 前川 麻弥 鈴木 克裕 川本 範之 山地 松夫 佐藤 隆
出版者
日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.205-215, 2003 (Released:2007-10-16)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

The purpose of this study is to estimate the amounts of kerosene poured at the scene of arson. Several analytical methods have been carried out to detect kerosene in fire debris. There is no study to compare the methods quantitatively. First we discussed comparison about several analytical methods, and got the conclusion that the most sensitive method was found to be the analysis using gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS) after extracting by ether. The detection limit of this methed was 0.05 µg/g.The kerosene concentration of tatami had an effect on the condition of combustion. We estimated the diffusion speed of kerosene sprinkled on tatami. We conducted experiments to check the condition of tatami burning, due to the amount of kerosene. Furthermore, we showed the evidence to get fire debris from the inside not the surface to get information about the kerosene amount.
著者
武田 英明 南 佳孝 加藤 文彦 大向 一輝 新井 紀子 神保 宇嗣 伊藤 元己 小林 悟志 川本 祥子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本発表では筆者らが現在進めている生物種に関連するデータをLinked OpenData化する試みについて紹介する。生物種の情報は生物多様性問題や環境問題において重要であるが、様々な分野に関わるため、相互にうまくリンクする仕組みが必要である。このためにはLinked OpenDataの方法が有効と考えて現在基盤システムを構築している。この構築にあっての課題や現状について説明を行う。
著者
平原 智恵美 槙田 香子 遠藤 竜也 日浦 未幸 平井 克典 尾上 隆司 谷山 清己 川本 俊治
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.640-647, 2014-09-25 (Released:2014-11-10)
参考文献数
8

今回,病院内の全心電計を管理できる心電図管理システムの導入による利用者の利用度並びに登録精度に及ぼす影響を明らかにする.平成23年9月に呉医療センター・中国がんセンターでは電子カルテ更新,全業務のペーパーレス運用に伴い,無線LANを用いて院内全心電計を一元管理できるシステムを導入した.従来のオーダエントリーシステムによる生理検査室での心電図実施に加え,救急外来や病棟などで実施する部門心電図は,心電計で患者IDを登録するか,心電図サーバで患者IDを修正登録し実施した.さらに医用波形標準化規約Medical waveform Format Encoding Rules(MFER)を利用して過去11年間の他社製心電図ファイリングから新システムへの波形移行を行うことにより,新システム上で同一患者の過去心電図を閲覧可能とした.心電図管理システム導入により,部門実施心電図件数は増加し,対全心電図件数比率も増加し,3割以上に達した.患者IDが登録されていない心電図比率は6ヶ月後には減少した.また,職員健康診断の心電図も紙運用であったが,全職員のカルテ番号を作成し,一元管理とした.結語:MFERを活用した過去心電図ファイリング波形の移行ならびに統合心電図管理システムの導入で,心電図管理および利便性が著しく改善し,患者誤認防止にも有効であった.
著者
川本 智史
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
no.64, pp.2-34, 2015-03
著者
川本 直
出版者
新潮社
雑誌
新潮
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.189-198, 2015-12
著者
川本 芳
出版者
京都大学ヒマラヤ研究会・総合地球環境学研究所「高所プロジェクト」
雑誌
ヒマラヤ学誌 : Himalayan Study Monographs (ISSN:09148620)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.103-114, 2009-05-01

現代人はアフリカを起源地として進化的に短時間で拡大し多様な環境に適応しているため, 類人猿にくらべ遺伝的多様性が少ない霊長類である. 遺伝子におけるヒトの地域差は身体特徴や文化の違いとは対照的に少なく, 多様な環境への適応は, 自分たちを環境に合わせる遺伝子適応より環境を自分たちに都合良く改変する言語発達による非遺伝的伝達(文化)に支えられたところが大きいと考えられる. しかし, 一方でゲノムの一部では新規環境へ適応する際に, 短期間で選択がかかり遺伝子改変が進んだことも考えられる. 高地の低酸素環境やデンプン質食物の消化能力に関わる地域差は, ゲノム中では比率的に少ないものの, こうした遺伝的改変を伴う適応の例だと考えられる. 高地における現代人祖先の重要な生活環境改変のひとつに, 高地の野生動物の家畜化とその利用がある. アンデスとヒマラヤの高地では, おのおのにユニークな家畜が生じ, 高地民に必須の動物資源として生活を支えている. アンデスではラクダ科のグアナコやビクーニャからリャマやアルパカが家畜化され, 搾乳を伴わない利用がみられる. 野生種や家畜種の間に生殖隔離がなく, 高地で同所的に分布し自然および人為的に交雑する能力がある. 家畜化起源については, 単系説と多系説があり, 遺伝学や考古学の研究から現在検証が進んでいる. ネパール・ヒマラヤではチベット由来のヤクを在来牛と交雑利用している. ソル・クンブーでの遺伝学調査により, 伝統的に厳密な家畜繁殖管理がつづいていると推測された. ブータン・ヒマラヤではヤク利用のほかに, インドのアルナーチャルプラデシュから導入したミタンと在来牛の交雑利用がある. その繁殖システムには戻し交雑においてネパール・ヒマラヤに共通する家畜認識があり, それが原因でミタンと在来牛間に遺伝子流動が生じている可能性が考えられる. その実態につき遺伝学的および人類学的調査を進める計画でいる.
著者
藤井 恵介 川本 重雄 平山 育男 溝口 正人 後藤 治 大野 敏 藤川 昌樹 光井 渉 大橋 竜太 清水 重敦 藤原 重雄 加藤 耕一 角田 真弓 野村 俊一 上野 勝久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日本の建築と都市にかかわって、<天災・人災→被害→修理・再建・再生>というプロセスについて、日本の7世紀から20世紀まで、実例を調査、収集する。そして特にその際に起きた技術革新と建築様式の変化を明らかにすることが目的である。主要な成果は以下の通り。①安元3年(1177)に起きた京都大火と治承4年(1180)の南都焼討は、大仏様を誘発する契機となり、和様を中心様式から引きずり下ろした。②明治24年の濃尾地震(1891)は、その後の近代建築の耐震性上昇などの大きな誘因となった。しかし、被害が過剰に報告されるなど、情報が操作された点も多い。
著者
坂口 俊二 川本 正純 藤川 治
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.58-63, 1998-06-30
被引用文献数
7

「冷え症」の定義の明確化に向け,富山医科薬科大学の寺渾が試作した「冷え症」調査用問診票(19項目)を参考に,我々が更に5項目を付加した問診票を作成し,一般人153名(男64名,女89名)を対象に調査を行った。さらに,冷えの程度を測定する目的でVisual Analogue Scale(以下,VAS)を併用した。冷えを自覚している人(「冷え症群」)は,男性で全体の26.6%に対し,女性は全体の55.1%で有意に多かった。寺澤は既に19項目の出現頻度を解析し,付帯条項付きの「冷え症」診断基準を掲げている。今回は,24項目について同様に項目出現頻度を「冷え症群」と「健常群」との間で解析を行い,我々の「冷え症」診断基準を設定した。寺澤と我々の「冷え症」診断基準の感度比較では,問診票の結果との合致率は寺澤の基準では男性35.3%,女性74.5%に対し,我々の基準では男性64.7%,女性83%で,我々の基準が男性の「冷え症」を捉える頻度が有意に高かった。「冷え症群」のVASによる比較では,問診票と寺澤ならびに我々の診断基準により選出された「冷え症群」間および男女間で有意差は認められなかった。以上のことから,項目が付加された我々の「冷え症」診断基準は,問診票の結果をより反映し,特に男性の「冷え症」を捉える頻度が高まった。さらに,VASの結果は問診票の精度を裏付けることにつながった。
著者
呉 双 川本 淳平 菊池 浩明 佐久間 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.139, pp.67-74, 2013-07-11

統計的分析を行う際に個人情報を保護することは,機械学習やデータマイニングにおいて多くの注目を集めている.この研究において我々は,異なる人間がそれぞれデータを持っている時に,実際にデータを合わせることなく予測を行うためのプライバシー保護ロジスティック回帰の提案を行う.ロジスティックシグモイド関数は非線形関数であるため,暗号上で扱えないという問題がある.そのため,我々の提案ではロジスティックシグモイド関数の近似として多項式フィッティングを用いている.