著者
後藤 雅宏 東島 弘樹 北岡 桃子
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.226-232, 2021 (Released:2021-08-24)

In recent years, pollinosis immunotherapy has been attracting much attention, however, the administration methods of vaccine drugs have been limited to the subcutaneous injection or the sublingual administration. In this study, we developed a transdermal vaccine administration strategy for the simple and non–invasive pollinosis immunotherapy. For the transdermal antigen delivery, the presence of stratum corneum, the hydrophobic outermost layer of the skin, is an obstacle. Another problem with current pollinosis immunotherapy is side effects of using the whole allergen molecules. To overcome these issues, we applied a solid–in–oil (S/O) nanodispersion, which is composed of hydrophilic antigen molecules coated with hydrophobic surfactants, and enables transdermal penetration of the antigen molecules into the skin. In addition, we introduced a T cell epitope peptide derived from the cedar pollen allergen (PepA : SMKVTVAFNQFGP), which had shown lower risks of the side effects. We succeeded in preparing an S/O nanodispersion containing PepA. The oil–based S/O system enhanced the skin penetration of the PepA. Antigen specific IgE levels in the murine models were significantly reduced by the S/O administration. Activations of the type–1 helper T and regulatory T cells were also confirmed, which indicates the effectiveness of the pollinosis immunotherapy using the S/O vaccine system.
著者
後藤 顕一 今井 泉 寺田 光宏
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.225-228, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
4

2022(令和4)年度から始まる新学習指導要領では,高校化学における熱化学に関する扱いが,これまでとは大きく変化する。熱化学は,化学領域にとどまらず,多くの学問領域での基盤となる概念であり,高校化学での位置づけは重要である。そこで,我が国の高校での熱化学を「変化―エネルギー」と概念と捉え,これにおける概念理解と獲得を目指したカリキュラム編成について考察する。考察に当たっては,日本学術会議に提出された「化学分野の参照基準」と新学習指導要領,ドイツのカリキュラム編成の考え方等を基に考察する。特に資質・能力の育成,国際標準,系統性の視点から,エンタルピー変化の扱い方,エントロピー変化についての動向の把握と具体的な方略について検討する。
著者
清野 公師 寺井 忠正 後藤 邦夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.2, pp.149-152, 1991-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9

GrayanotoxinIII (3,5,6,10,14,16-hexahydroxygrayanotoxane ,G-III) は 3,6,14 位に第二級ヒドロキシル基,また, 5,10,16 位に第三級ヒドロキシル基の合計6つのヒドロキシル基をもつ四環性ジテルペノイドである。本報においては,0~100℃ の間に5段階の反応温度を設定し G-III を無水酢酸-ピリジンによりアセチル化反応を行うとともに,その反応経過を詳細に検討した。その結果,ヒドロキシル基のアセチル化に対する反応性は,6位が最も高く,以下,3位,14位,16位の順であった。この中で,6位のヒドロキシル基の反応性は極めて高く,0℃ではこれのみが選択的にアセチル化された。一方,3-OHと14-OHのアセチル化速度の比は,100℃においては 5 : 2 であったが,低温になるにつれその比が減少し,20℃では約 1:1 となった。さらに,第三級ヒドロキシル基については77℃以上で反応した結果,16位のみがアセチル化された。以上の結果から,この反応は逐次競争反応にしたがい進行することが判明した。
著者
村上 圭一 後藤 逸男
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1290-1294, 2007 (Released:2011-01-20)

農業生産者が土壌の性質に合わせた土壌改良や施肥を行うための手段として、土壌診断が奨励されている。しかし、生産現場では必ずしも土壌診断が土づくりに貢献しているとは言い難い。筆者らは全国各地の野菜生産地において土壌診断調査を行い、かつては生産性が低かった日本の土が現在どのように変化しているか、あるいは農業生産者が土づくりに対してどのような意識を持ち、どのような土づくりを実践しているかなどについて調べてきた。ここでは、土壌のリン酸過剰がアブラナ科野菜根こぶ病の発病を助長するメカニズムを紹介する。
著者
矢野 正雄 後藤 哲宏 北村 陽平 西尾 乾司 三浦 康誠 松井 聡
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.636-639, 2020 (Released:2020-10-31)
参考文献数
7

肝障害は薬物治療に際して普遍的に認められる副作用の一つである.従来,脂肪肝は良性可逆性肝疾患の病態とみなされ,有害な疾病としての認識に乏しかった.非アルコール性脂肪肝変性(NAFLD)もその一つであり,今回われわれはタモキシフェン(TAM)におけるNAFLDの発現頻度をレトロスペクティブに検討した.結果29.1%と高率にNAFLDが発現していた.そのうちの68%は可逆性であったが,TAMによるNAFLD発症頻度は高く,改善しない症例もあり,医療者はそのことに関して注意しなければならない.
著者
後藤 月江 三木 章江 川端 紗也花 高橋 啓子 坂井 真奈美 松下 純子 長尾 久美子 近藤 美樹 金丸 芳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】伝統的な郷土料理は、生活に喜びを与え、家族や地域社会の絆を深めてきた。しかし近年、輸入食品の増加、食の外部化、核家族化により、郷土の料理を家庭で作る機会が減り、伝統的な地域の食文化が親から子へ伝承されにくい傾向にある。本研究では聞き取り調査により徳島県の日常または伝統的な行事で作られていた「おやつ」について報告する。<br />【方法】徳島県を県中央部、県西部、県南山間部、県南沿岸部、吉野川北岸の5地区に分け、聞き取り調査を実施した。今回は徳島県の家庭料理における各地域の「おやつ」について検討を行った。<br />【結果】全地域で食べられているのは「おへぎ・あられ」と「ういろ」、「干し芋」、「柏餅」であった。「おへぎ・あられ」は餅を搗いたときにおへぎ・あられ用に色粉やヨモギ、キビ粉などと砂糖を入れて作り、よく乾燥させて保存し食べられている。「ういろ」は米粉と餡を合わせて練り蒸して作る。4月3日の桃の節句(旧暦)の遊山箱には欠かせないおやつであった。「干し芋」は茹でて干したものと生の輪切りを干したものがあり、そのまま食べたり、小豆と一緒に煮た「いとこ煮」にして食べる。サルトリイバラの葉で挟んだ「柏餅」は、米粉の生地で餡を包んだ白い柏餅と餡を生地に練り込んだ柏餅がある。また、吉野川北岸や県中央部では小麦粉の生地で餡を包み、サルトリイバラの葉の上に乗せて蒸した団子が柏餅として食べられていて、その餡にはそら豆を用いていることが特徴的であった。また県南山間部では、「はんごろし」と呼ばれるおはぎ(蒸したもち米の粒が半分潰れるくらい搗くことに由来する)が親しまれており、餡はササゲのこし餡である。
著者
周藤 俊樹 万年 英之 辻 荘一 後藤 信男
出版者
日本動物遺伝育種学会
雑誌
動物血液型蛋白多型研究情報
巻号頁・発行日
vol.1992, no.20, pp.27-31, 1992
被引用文献数
1

著者らは, 実験動物であるウサギ, マストミス, ハムスターから核DNAを精製し, M13ファージDNAの反復配列をプローブとしてDNAフィンガープリントを得た。その結果, 各個体で多数のバンドが検出され, そのバンディングパターンは各個体に特有であった。ウサギの同一個体の肝臓と血液からのDNAを用いて本法を行ったところ, 両者の間に相違は認められなかった。これらの結果より, M13ファージ反復配列を用いる本法のウサギ, ハムスター, マストミス等遺伝的モニタリング法が確立していない実験動物への適用に有効な方法であると考えられる。また, ウサギの日本白色種とニュージーランドホワイト種の交配による親子2組の親子鑑別を行ったところ, F1のバンドは両親のバンドのどちらかに由来していた。
著者
齋藤 渉 上村 敏郎 大崎 さやの 隠岐 さや香 久保 昭博 後藤 正英 菅 利恵 武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本共同研究の目的は、18世紀におけるフィクション使用の形態と機能を研究することであった。その成果は、a)理論的研究と、b)歴史的研究に分けることができる。a)理論的研究については、特に、1)フィクション理論における意図概念の検討(特に仮説的意図主義をめぐる研究)、2)対話ジャンルの概念に関する考察、3)フィクション概念と物語概念の接続の3点を挙げたい。b)歴史的研究の第一の成果は、18世紀における対話ジャンルの影響史的研究である。第二の成果として、『ベルリン月報』掲載のグロシンガー書簡に関する調査が挙げられる。
著者
後藤 丹十郎 高谷 憲之 吉岡 直子 吉田 裕一 景山 詳弘 小西 国義
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.760-766, 2001-11-15
参考文献数
19
被引用文献数
5 5

根域制限によって生じるキクの生育抑制が, 養水分ストレスの軽減によってどの程度まで解消できるかを明らかにするため, 連続給液式の水耕法と1日の給液頻度を異にした点滴灌水式の培地耕を用いて根域制限と養水分ストレスに対する品種'ピンキー'の反応を調査した.連続給液水耕では, 茎長, 節数は定植25日後においても根域容量(10&acd;1000ml)による差が生じなかったが, 葉面積, 地上部・地下部乾物重は根域容量が小さいほど抑制された.最も抑制程度が大きかった葉面積には定植10日後から影響が認められ, 定植25日後には根域容量10mlで根域容量1000mlの約70%となった.S/R比は根域容量の減少に伴って大きくなったが, その差は比較的小さかった.点滴給液した培地耕において, 根域容量30mlで給液頻度が少ない場合には, 定植14日後から茎長に差が認められたが, 8回では28日後においてもほとんど差が認められなかった.根域容量が小さいほど定植35日後の地上部の生育は劣ったが, 根域容量30および100mlでは給液頻度が8回以上の場合, 1および3回と比較して抑制程度はかなり小さくなった.地下部乾物重は給液頻度に関わらず根域容量が大きくなるほど重くなった.S/R比は給液頻度1回および3回では根域容量による影響がみられずほぼ一定であったが, 8回および13回では根域容量が小さくなるほど大きくなった.以上のように, 養水分を十分に与えることによってキクの生育抑制を軽減することができたことから, 根域制限による植物体の生育抑制の最大の要因は, 養水分ストレス, 特に水ストレスであると推察された.100ml以下の根域容量で栽培されるキクのセル苗や鉢育苗においては, 養水分供給頻度を高めることによって, 養水分ストレスが回避され, 生長が促進されると考えられる.
著者
帖佐 悦男 田島 直也 松元 征徳 黒木 浩史 後藤 啓輔
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.100-104, 2001 (Released:2008-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
5 3

職業性腰痛の疫学を各職種に従事している2,778名を対象にアンケート調査を行い,特に職種と腰痛の関係について検討した.アンケートの結果から腰痛歴の既往を約半数に認め,職場での発症が最も多かった.現在の腰痛に関しては,運輸職,看護職で腰痛との因果関係があると回答した者が多かった.発症状況では,徐々に発症したものは看護職や事務職に多く,急に発症したものは保安職や運輸職に多かった.腰痛発症の要因として,特に中腰作業,運転作業や重量物の取り扱いや介護作業が考えられた.腰痛発症と従事年数との関係では,看護職は初年度から腰痛の発生が高く,また業務との因果関係がありとの回答が多かった.この結果から,特に作業姿勢や作業関係などに関する指導や腰痛の予防に対する啓発を行う必要がある.
著者
後藤 安子
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.39, pp.117-120,215, 1987-04-20 (Released:2009-01-15)
参考文献数
5

In Takasago city, Hyogo Prefecture in 1969, the entire coast line was reclaimed, making it impossible for the residents to enter the coastal zone. In 1973, a large quantity of mercury was detected from the factory effluent, marking the beginning of the advocacy of the right of access to the coastal zone. This claim is based on the concept that a broad category of persons have the right to freely enter and utilize the coastal zone. It can be said that this right is a justifiable one from several points of view: the conservation of the enviroment, the traditional custom of the utilisation of the seaside, and customary leisure activities. But the present state of the law is such that the court would not accept a claim of such a right made in a lawsuit demanding an injunction against coast line reclamation. In order to have the right of access to the coastal zone legally established, it is necessary to learn from the examples of foreign countries and prove that this right is an ancient right, based on investigations of the customs of coastal zone utilisation.
著者
坂元 哲平 小林 佑輔 中川 慶一郎 生田目 崇 後藤 正幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.346-356, 2021-01-15

近年,消費者の嗜好の多様化にともない,テレビ業界においても視聴者の嗜好に寄り添った魅力的な番組戦略や広告戦略を編成する必要性が増している.このような問題意識と,デジタル化によるデータの蓄積を背景にテレビ視聴データの分析事例が報告されている.一方で,従来研究では視聴履歴を用いて視聴者と番組の関係性を表現することを目的としたモデル化事例についての議論は盛んではない.そこで本研究では,両者の関係性をトピックモデルに基づくクラスタリングによってモデル化するデータ分析手法を提案する.一般に視聴者の嗜好は時間的に変化することが考えられるため,時系列を考慮したトレンドの分析を可能とするような分析法が必要である.ここで,ドラマ番組のように3カ月を1クールとして放送される番組がいっせいに変わるというテレビ特有の事象に対して,単純なクラスタリング法ではクラスタの継続性が保たれないという問題があるため,その問題に対応するトレンド分析法を提案する.さらに,得られた結果を用いた分析を直感的に行うために,サンキーダイアグラムを用いた可視化を施す.また,多様な視聴者の視聴傾向を1つのクラスタへ一意に所属させる場合と,複数クラスタへの所属を許容する場合の2つの分析法を提案し,比較を行う.最後に,提案分析法を実際のテレビ視聴データに適用し,提案法の有効性を示すとともに,結果の分析を行い視聴者のテレビ視聴行動を明らかにする.
著者
後藤 武俊
出版者
日本教育行政学会
雑誌
日本教育行政学会年報 (ISSN:09198393)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.41-57, 2019 (Released:2020-10-02)
参考文献数
19

This paper examines the issues concerning public support for private organizations providing opportunities for truant students, considers the limitations of previous studies, and suggests an alternative viewpoint. In this study, we focus on the characteristics of the concept of “public,” which means “common” and at the same time connotes “diversity” from the meaning of “openness.” We also focus on another aspect of “public,” which is used to justify giving or receiving public funds and support.In the first chapter, we analyzed the current conditions of truant students and private organizations giving educational services based on some national surveys in Japan. We estimated that the actual number of truant students was larger than indicated in national surveys. We also noted that those private organizations accepted many high school students and young people over 19 years old.In the second chapter, we analyzed previous studies about issues related to public support for private educational services and found two significant points. The first point was that they had tried to change the image of public education through focusing on the aspect of “diversity” in the meanings of “public,” and tried to justify public funds and support for many types of private educational services. They had also required a quality assurance system and funding system in order to nurture private organizations, not to suffocate them. The second was that they had confronted the challenges of standardization required in the process of quality assurance as publicly-funded activities. In many examples, quality assurance required many documents to be written and rules stipulated by governments to be obeyed. Then they brought about transformation of original ideas and activities in private organizations. This standardization also caused a division among private organizations in terms of whether they could receive public support or not. Considering these points, we found the limit of public support for private organizations based on the logic of “public” education, which inevitably requires having the minimum aspects of “common” education. If we recognized various types of education as public, we could not do it in case of activities that are not aiming for education directly.In the final chapter, in order to overcome the limit of “public” education, we focused on the viewpoint of “the right to exist” of students and young people who have many difficulties. They have received various kinds of support about the right to exist from private organizations, and this support sometimes includes educational activities. Focusing on this viewpoint, we could effectively encourage those organizations giving comprehensive support for students and young people who have difficulties, because we could derive public support from the two sides: one is the logic of public education and another is the logic of the right to exist. Justified by this logic, various types of organizations and activities could be recognized as public. But in order to make these organizations work as a safety net for all students and young people, we also needed to build one-stop services, which estimate the conditions of students and young people and refer them to the organization best suited to their needs and difficulties.
著者
後藤 拓也
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.137-157, 2021 (Released:2021-07-14)
参考文献数
38
被引用文献数
3

本稿は,インド北部における大手養鶏企業の進出にともない,ブロイラー養鶏がどのように受容されたのかを検討した。インド北部はもともと養鶏業に不向きな諸条件を有する地域であり,南部に比べてアグリビジネスの進出が遅れてきた。しかし2000年代以降,インド北部に大手養鶏企業が進出し,改良品種や契約取引を普及させたことで,ブロイラー養鶏の産地化が進んだ。ハリヤーナー州における調査の結果,総じて社会階層が高く土地所有規模の大きな農家層にブロイラー養鶏が受容されたことが判明した。これは,ブロイラー養鶏に多額の鶏舎建設費と一定の鶏舎用地が必要なことによる。これらの農家がブロイラー養鶏の経営を維持できたのは,①改良品種の導入,②直接取引・契約取引へのシフト,③飼養労働者の雇用によって,インド北部の養鶏業に不向きな諸条件を克服できたためと考えられる。このうち,農家による改良品種の導入に寄与したのが,大手養鶏企業に系列化された個人経営の孵卵業者であり,この点は企業が産地化に主導的な役割を果たすインド南部と状況が異なる。しかし一方で,大手養鶏企業は若年農家層を中心に契約取引を進めるなど,インド南部と同様の産地化もみられる。すなわちハリヤーナー州では,大手養鶏企業がインド北部の養鶏経営に適応した系列化と,南部で進めてきた契約取引を組み合わせることで産地化を進め,それがブロイラー養鶏の受容に寄与したといえる。
著者
後藤 多可志 宇野 彰 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子 庄司 信行
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.322-331, 2007-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

英語圏では発達性読み書き障害の障害構造の一仮説に, 視覚情報処理における大細胞システムの障害仮説が提唱されている.本研究では, 日本語話者の発達性読み書き障害児の大細胞システムの機能をFrequency Doubling TechnologyとVision Contrast Test Systemを用いて検討した.対象は日本語話者の発達性読み書き障害児5名である.読み書きに関する学習到達度検査, 認知機能検査, 大細胞システムの機能測定および眼球運動の観察を実施した.その結果, 全例視力の問題はなかったが, 動的刺激と静的刺激のコントラスト閾値は健常群に比して低下し, 3例には眼球運動の異常が見られた.以上より, 日本語話者の発達性読み書き障害児にも海外での報告と同様に大細胞システムの障害が認められるのではないかと思われた.大細胞システムの障害は視覚情報処理過程や文字の読み書きに影響を及ぼす可能性が考えられた.
著者
Иванов Ю. А. 後藤 隆雄 田中 正義
出版者
神戸常盤大学 :
雑誌
神戸常盤大学紀要 (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.5, pp.23-37, 2012

チェルノブイリの立ち入り禁止区域及び退避勧告区域(無条件再定住区域)で、90Sr と137Csの土壌から植物への長期に亘る移動が測定された。本論文では移動の主たる要因を解析した。放射性降下物質(フォールアウト:fall-out)の様々な痕跡に対する土壌中の移動形態、放射性核種の水系での形成過程、放射性核種の垂直方向移動のプロファイル、土壌から植物への放射性核種の移動等について計算した。更に、移動過程のメカニズムを定量的に計算した。