著者
伊藤 葉子 木村 恵子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. I, 教育科学編 (ISSN:13427407)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.129-136, 1999-02-28
被引用文献数
1 1

本研究では,乳幼児を保育中の親を対象に,「『親になるための教育』として高校生にどんなことを学んでほしいと思うか」,また「特に男子高校生について何を学んでほしいか」についてアンケート調査をおこない,高校生にとっての「親になるための教育」についての議論を重ねていく上での一資料を提示することを目的とした。その結果,以上のことが明らかになった。(1)「『親になるための教育』として高校生にどんなことを学んでほしいと思うか」「特に男子高校生について何を学んでほしいか」の両設問共,父親の回収数が少なく,また,無回答率も高かった。この結果が,乳幼児の父親の高校の保育学習に対する関心の低さによるのかという点については,アンケート調査という評価用具などの検討により,明らかにしていく必要がある。(2)「男女のあり方と性」に関する記述が,両設問共最も多かった。この内容には,結婚する前から子どもをもった後のことまでの男女のあり方にかかわるものが含まれており,特に「命の尊さ」と「性教育・避妊・人工妊娠中絶」という言葉が多く書かれていた。また,母親の回答者数の1/3がこのカテゴリーに関する記述をしており,男女(夫婦)のあり方と性について学ぶことの重要性を感じていることが示された。男子高校生に対しても,母親からの「性教育・避妊・人工妊娠中絶」に関する学習の要望が高い傾向が見られた。(3)「親になる前に培っておくべき資質」「子どもを特つということの意味」に関する記述が多く,「育児に関する知識・技能」に関する記述が少なかったことから,高校生という発達段階を,いわゆる親となるための準備期間としての精神的な成熟を目指す時期と捉えていることが示唆された。同時に,文脈から,乳幼児の親が感じている現代の高校生(若者)の精神的な未熱さへの批判が読み取れた。(4)「子どもと接することに対する心得」「子どもの心身の発達に関する知識」に関する記述内容から,高校の保育学習に対する要望を記述する一方で,日頃,親たちが子育ての中で感じている悩みや不安を同時に表現していることが示された。「男女のあり方と性」に関する記述にも同様の傾向が見られ,特に,母親が父親に対して,子育てをめぐる夫婦のあり方に不満を特っている現状が表出されていた。(5)「子どもと社会」のカテゴリーに含まれる記述がそれ程多く見られなかったのは,本調査対象の母親の就業率の低さと関係していると考えられる。女性の社会進出が進む現在,男女共同参画社会の実現を目指すために,保育環境の整備や社会的支援に関する教育内容について,より検討が必要であると思われる。(6)「育児に関する知識・技能」に関する記述は少なく,「子どもの衣服」という記述は1人も見られなかった。乳幼児の親は,子どもの世話をする上での具体的な知識,例えば食事・衣服などについては,高校という発達段階ではそれ程必要性を感じていないことが示された。(7)具体的な学習方法を提示した記述もかなり多く見られ,保育学習を通して,子どもに触れ合うような機会を持つことへの要望が高いことが示された。また,社会福祉施設など,必ずしも「子ども」に限定せずに,さまざまな実習を通して視野を広げることも,親としての資質を培う一つの方法であることが提示された。
著者
木村修三
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2014-DD-96, no.4, pp.1-1, 2014-11-14

BPIA (ビジネスプラットフォーム革新協議会) の EPUB マニュアル研究会では,2012 年 12 月より業務マニュアルの EPUB 化を推進してきた.電子書籍のフォーマットである EPUB で業務マニュアルをデジタル化する.これによりスマートフォンやタブレットを利用した 「どこでもマニュアル」 「マイマニュアル」 を実現できる.これは,業務現場での業務品質の向上,効率化に大いに役立つと考えている.今回は技術的な検証が終了し現場での適用事例を報告する.また,普及への課題について触れたい.
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
佐藤 倫正 木村 敏夫 松田 修 向 伊知郎 村田 英治 小西 範幸 角ケ谷 典幸 田代 樹彦 齊野 純子 中野 貴之 中山 重穂 西海 学 平賀 正剛 浅野 敬志 西舘 司 眞鍋 和弘 石井 康彦
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

IASBが現在取り組んでいる新概念フレームワークを「会計の大転換」という仮説にもとづいて追究した。それは、現行のIFRSを要約したものではなく、将来を見据えたビジョン型のフレームワークである。その知見をもとにIASBの「討議資料」と「公開草案」の持分の定義の矛盾に関してコメントレターを送った。大転換する会計の有用性の実証的検証は一般に困難であるが、資金法形式の利益分解の有用性を確認した。また、会計と文化の観点から多様な国々の大転換の許容度を検討した。現在、世界的に進行している「格差」は慣習的会計に起因する可能性があり、新しい会計による新しい資本主義に向けて、日本の貢献が期待されている。
著者
櫻井 聖大 山田 周 北田 真己 橋本 聡 橋本 章子 木村 文彦 原田 正公 高橋 毅
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.635-638, 2014-11-01 (Released:2014-11-14)
参考文献数
9
被引用文献数
3

臭化ジスチグミン(ウブレチド®,鳥居薬品)は排尿困難に使用されるコリンエステラーゼ阻害薬である。重篤な副作用としてコリン作動性クリーゼを起こすことが報告され,その使用量は制限されるようになった。ただ,その後もコリン作動性クリーゼの報告は散見される。我々は,重症肺炎とそれに伴う麻痺性イレウスからショックに至った症例を経験した。当初は敗血症性ショックを疑ったが,臭化ジスチグミンを内服していたことと,コリンエステラーゼ活性の著明な低下を伴っていたことから,コリン作動性クリーゼによるショックが考えられた。臭化ジスチグミンはその大半が便中に排泄されることから,麻痺性イレウスのように消化管蠕動が低下している場合には血中濃度が上昇し,コリン作動性クリーゼを起こす可能性があり注意が必要と思われた。
著者
木村 文信
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究は, 柔軟物に触れた際に感じる触感である硬軟感を, 装置使用者に対して再現提示するシステムを構築することを主題とした. このようなシステムを実現するにあたり, 次に示す2点を研究対象とし, 従来研究で想定および対応できていない点に対応させることを目的とした. (1)硬軟感を提示する触感提示装置の開発. (2)硬軟感情報を取得する触覚センサの開発.(1)に関しては, 再現される柔軟物体が弾性物質で構成される均一柔軟物体(単調な硬軟感)に限定されていたという点が従来研究の課題であった. 本研究ではこの課題を克服すべく, より多様な硬軟感の再現に取り組んだ. 柔軟物体例として, 「厚みが有限な柔軟物体」「しこりを含む柔軟物体」を想定し, それぞれの提示手法を実現することで硬軟感提示の多様化を検討した. 前年度で開発した, 張力制御された柔軟シートで指先を包み込む機構によって上記柔軟物の提示を行った. 厚みが有限な柔軟物に指先を押し込んだ際に得られる触感を「底着き感」と命名し, その提示法を提案した. 底に着いたと感じられる点からシートの張力制御によって指先の圧分布を変え, 底着き感を再現した. 提案手法によって表現される柔軟物の厚みが可変であることを確認できた. しこりを含む柔軟物に関しては, 前年度から検討してきた提示手法をさらに発展させ, 対象物をなぞっている際に感じられる触感が生成できることを確認した.(2)に関しては, 前年度で開発した光弾性触覚センサの計測値に対する情報処理手法の検討を行った. 情報処理によって対象物の特徴を抽出する手法を提案した. また, 提示装置と統合して遠隔提示を実現するため, 抽出された情報を提示装置駆動に必要な情報へ変換する手法を考案し, 遠隔提示システムの試作を行った. 以上によって, 硬軟感提示の応用先の一つである遠隔触診システム等の開発に必要になると考えられる知見を得ることができた.
著者
柏木 正 杉本 健 上田 武志 山崎 啓市 東濱 清 木村 校優 山下 力蔵 伊東 章雄 溝上 宗二
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
関西造船協会論文集 (ISSN:13467727)
巻号頁・発行日
no.241, pp.67-82, 2004-03-25
被引用文献数
4

A prediction and analysis system for the performance of a ship in real seas is proposed and constructed, with EUT (Enhanced Unified Theory) adopted as the main calculation method. The proposed system can compute the frequency-domain response functions of the wave-induced ship motions, the distribution of the pressure and global wave loads, the relative wave height, and etc. In addition, the added resistance, wave-induced steady lateral force and yaw moment can be predicted, including effects of the bow wave diffraction, the forward speed and 3-D interactions in a rational manner. By using these results and a wave spectrum representing real irregular seas, the short-term prediction of linear responses, the averaged added resistance, and the resultant speed loss of a ship in irregular waves can be calculated with the present system. Good performance of the system is demonstrated with some comparisons to experimental results and some applications to the speed correction in the speed trial and the prediction of the speed loss in actual voyages.
著者
山岸 賢治 老田 茂 木村 俊之 岩下 恵子 新本 洋士
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.456-458, 2007-10-15 (Released:2007-11-30)
参考文献数
9

生キクラゲ水抽出液の50~70%硫安沈殿物は,マウス前駆脂肪細胞3T3-L1のトリグリセライド蓄積を阻害した.さらに陰イオン交換カラムクロマトグラフィーで部分精製した画分は,3T3-L1の分化を抑制した.この活性画分には,分子量10000以上のタンパク質が複数認められた.

1 0 0 0 コスモス

著者
カール・セーガン著 木村繁訳
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
1984
著者
木村 麻衣子
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.69, pp.19-46, 2013

原著論文【目的】日本を含む漢字文化圏の国々では, 1 つの著者名に対して多様な表記が存在する。欧米における著者名典拠データ共有の場面では, 漢字文化圏の表記の複雑さが理論的に反映されていないため, 漢字文化圏特有の事情をふまえた典拠情報の共有については, 漢字文化圏の中で詳細に検討すべきである。本研究の目的は, 中国人・団体著者名の中国, 日本, 韓国における表記を比較し, 相違点を発見して, 典拠データ共有のための課題を整理することである。【方法】まず, 中国, 日本, 韓国における典拠コントロールの状況を概観し, 中国人・団体著者名典拠データ作成を行っている機関を研究対象として選出した。次に, 機関によって多様性があると考えられる表記上の項目として, ①漢字形の文字種, ②ローマ字形の種類と扱い, ③姓名の分かちとカンマの有無, ④中国以外の地域における現地語(カナヨミ, ハングルヨミ)表記の有無と方法, を設定した。そして, 研究対象とした各典拠データベース作成機関で中国人・団体著者名典拠データを作成するために使用しているマニュアル, 実際のデータの一部, 事例報告等の資料を収集し, 収集した資料を用いて, 各典拠データの項目①から④の状況を比較し, 各典拠データの相違点から, 漢字文化圏における中国人・団体著者名典拠データ共有に際しての課題を整理した。【結果】①各機関が使用している漢字形の文字種にはばらつきがある, ②ローマ字形は全機関が漢語ピンインを採用しているが, 漢語ピンインの記述方法に相違点が見られる, ③漢字形の姓名の分かちは日本を除くほとんどの機関が行っていないが, 多くの機関がローマ字形にはカンマを使用している, ④日本ではカナヨミ形は必須, 韓国では漢字の韓国語読みハングル表記または漢語ピンインの韓国語読みハングル表記が記述されていることが明らかとなり, 漢語ピンインの記述方法や異体字の扱いなどに課題が見られた。
著者
木村 和子 谷本 剛 坪井 宏仁 吉田 直子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、カウンターフィットドラッグ(偽造薬)について、グローバル化の現状を発展途上国(カンボジア)側から検証した。その結果、先進国と発展途上国における偽造ターゲットは同じだが、実際の偽造薬の発生は、具体的製品、地域とも当該国の流通状況を反映していた。また、発展途上国では、品質不良医薬品の蔓延が非常に深刻であり、製造・流通環境の改善が喫緊であることが明示された。
著者
河村 能人 萩原 幸司 相澤 一也 木村 滋 古原 忠 東田 賢二 乾 晴行 奥田 浩司 中谷 彰宏 君塚 肇 中島 英治 大橋 鉄也
出版者
熊本大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

総括班の役割は、各計画研究と公募研究が緊密に連携して十分な研究成果が出せるように、本領域の組織的かつ効果的な運営と研究支援活動ならびに若手人材育成を図り、本領域の目的達成と次への展開に資することである。運営面での特徴は,①6つの部会と4つの事務局による効率的な運営、②量子線共同利用施設や共通試料提供等による研究支援、③若手人材育成への注力、④国際交流,異分野交流,産学官交流の推進である。総括班としての主な成果は、各種領域内会議による効果的な運営、研究支援による効率的な研究推進、領域内交流による連携推進、国内外シンポジウム等の開催による本領域のプレゼンス向上、若手研究者の活躍等である。
著者
新保 達也 東野 翼 大薮 多可志 木村 春彦 南戸 秀仁
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. E, センサ・マイクロマシン準部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A publication of Sensors and Micromachines Society (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.126, no.7, pp.370-375, 2006-07-01
被引用文献数
5 2 1

Plant can recognize the environmental factors, for example temperature, humidity, atmospheric pressure and light intensity. Humans can identify the capabilities by measuring the plant bioelectrical potential. It can also recognize the breezing wind. Plants can be regarded as an environmental sensor by using the potential. In this study, the bioelectrical potential characteristic to the wind grade was examined. As for the results, the correlation between the characteristic and the grade was derived. The correlation coefficient was very high. The integrated value for the potential was adopted to derive the relation. Plant can identify the wind intensity by adopting the value. It became obvious that plant has higher capabilities to sense the environmental factors not only temperature, humidity and light intensity but also wind intensity. The application field of plant will spread by using these results.
著者
田村 秀行 西浦 敬信 木村 朝子 柴田 史久 大島 登志一 柴田 史久
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

視聴覚併用複合現実空間の表現力を向上させる研究開発を推進し,聴覚的には新しい3D音像提示方式の提案・実装を,視覚的には実時間光学的整合技術の体系化を行った.特に「音像プラネタリウム」と名付けた前者は全く独自の新方式であり,当初の計画以上の有望な研究成果を生み出した.このため,本研究を1年短縮して終了し,2012年度から基盤研究(S)としてさらに発展させることになった.