著者
和田 光生 池田 英男 松下 健司 神原 晃 平井 宏昭 阿部 一博
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.51-58, 2006 (Released:2006-02-21)
参考文献数
32
被引用文献数
7 22

トマトを 2 月から 8 月まで毎月10日に播種し,NFT ベッドで一段栽培した.一番花開花10日後より遮光率 0%(対照区),30%(弱遮光),55%(中遮光)および83%(強遮光)の寒冷紗で被覆することによって遮光処理を開始し,果実の収量と品質を調査した.7 月から 9 月までは給液する培養液を25℃に冷却した.7 月から 9 月までは給液する培養液を25℃に冷却した. 遮光率が増加するにつれて,1 果重が減少して全果実収量は低下した.全果実収量は播種月ごとに果実発達期の平均日積算日射量によって直線で回帰された.回帰分析の結果から,果実発達期の平均気温が19℃から27℃に高まった場合,平均日積算日射量 1 MJ・m−2 の減少に伴う収量低下量は,84から100 g/株に増加することが示された.対照区の可販果収量は 2 月播種で最も高く,4 月から 7 月播種では裂果の発生によって有意に低下した.裂果の発生は遮光によって有意に抑制された.平均気温が25℃を超えた場合には,日平均積算日射量を 5~6 MJ・m−2 程度まで低下させる遮光によって,可販果収量は増加する効果が認められた.夏季高温時に収穫される果実は滴定酸含量が高かった.遮光によって,果実の糖度は低下し,滴定酸含量は増加する傾向が認められた.
著者
山口 晃弘 蜂須賀 喜多男 堀 明洋 廣瀬 省吾 深田 伸二 宮地 正彦 碓氷 章彦 渡辺 英世 石橋 宏之 加藤 純爾 神田 裕 松下 昌裕
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.455-463, 1985-04-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1 36

過去14年間に手術を行った消化管原発の悪性腫瘍は2,721例で,その内訳は胃癌1,904例,小腸悪性腫瘍34例,大腸癌783例で,このうち穿孔をきたした症例の頻度は胃癌18例(0.95%),小腸悪性腫瘍3例(8.8%),大腸癌36例(4.5%)であった. 胃癌穿孔例はすべて進行癌であり,組織学的には中分化型管状腺癌が多く, ps(+),脈管侵襲も高度な症例が多数を占めた.切除率は100%であったが治癒切除は4例(22.2%)にすぎなかった.手術直接死亡率は22.2%,累積5年生存率0%, 4年生存率6.7%であった. 小腸穿孔は3例にみられ組織学的にはすべて悪性リンパ腫であった. 3例のうち1例は手術死亡し,他の2例も8カ月以内に全身の悪性リンパ腫に進展し死亡した.小腸悪性リンパ腫の穿孔は予後が極めて不良と考えられた. 大腸癌には遊離穿孔と被覆穿孔がみられ,遊離穿孔は左側結腸癌,直腸癌に多く,被覆穿孔は右側結腸癌に多い傾向があった.癌の口側穿孔例が7例(19.4%)にみられ,すべて遊離穿孔であり,主病巣はS字状結腸より肛門側にみられた.大腸癌穿孔例は組織学的には高分化ないし中分化腺癌が大半を占め,深達度ssの症例が半数であった.治癒切除は穿孔例の50%に可能であったが,手術直接死亡率は16.7%ですべて細菌性ショックによるものであった.治癒切除例の累積5年生存率は59.6%であり,胃癌穿孔,小腸悪性リンパ腫穿孔例とくらべはるかに良好な成績が得られた.大腸癌穿孔例では全身状態を考慮し,より積極的に根治手術を行うことが望ましいと考えられた.
著者
金 哲鎬 藤井 衛 品川 恭一 伊集院 博 高田 徹 松下 克也 小川 正宏
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.195-205, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2 3

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により,戸建住宅における地盤の液状化に対する対策工法の必要性が社会的に高まりつつある。本論文では,これからの液状化対策のために,液状化の被害を受けた戸建住宅の宅地地盤に焦点を絞り,86地点のスウェーデン式サウンディング試験や三成分コーン(CPT)試験結果をもとに既存の液状化評価手法の検証を行った。また,160件の液状化被害を受けた事例をもとに,地盤補強を実施した戸建住宅の傾斜の状況や傾斜角と補修方法との関連性を整理した。以上の結果をもとに,液状化が生ずるような地盤における適切な地盤補強工法についてその設計の考え方を示した。
著者
内藤 芳篤 加藤 克知 六反田 篤 中谷 昭二 分部 哲秋 松下 孝幸
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

1.研究方法および資料九州から出土した縄文人骨について、マルチンの方法により人類学的計測および観察を行い、時代差とともに、同じ時代でも遺跡の立地条件による差異について比較検討した。資料は、長崎大学に保管されている人骨の他に、九州大学,久留米大学,鹿児島大学および京都大学所蔵の人骨で、縄文時代早期21体,前期56体,後期71体,晩期3体,合計151体である。2.人骨の形質(1)脳頭蓋では、洞穴出土の早期人は長頭(頭長幅示数74.74),前期人は中頭(77.29),後期人は短頭(82.24)であるが、貝塚出土の人骨は、いずれも中頭(76.82)に属し、全般に長頭に傾いていた。(2)顔面頭蓋では、洞穴出土の前期人(上顔示数59.13),後期人(59.83)ともに低顔性が強く、貝塚出土の前期人(64.00),後期人(63.38)はやや高顔であった。すなわち顔面については、時代差よりも山間部の洞穴人と海岸部の貝塚人との差が認められた。(3)四肢骨については、早期・前期人は後期・晩期人に比して、細くて,周径や長厚示数が小さく、また洞穴人は貝塚人に比して時代差と同じように細く、きゃしゃであった。しかし長径については、必ずしも周径にみられたような傾向は認め得なかった。(4)推定身長をピアソンの方法式で算出すると、洞穴人は、早期(男性167.22cm),前期(162.82cm),後期(157.95cm),貝塚人は前期(162.48cm),後期(161.17cm)で、縄文人としてはやや高身長であった。3.今後の研究方針九州縄文人骨の収集につとめ、時代差,洞穴人と貝塚人との差の他に、地域差の有無について検討したい。
著者
松下 聡史 古川 徹生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.483, pp.257-262, 2012-03-07

本研究の目的は,代表的な位相保存写像アルゴリズムである自己組織化マップ(Self-Organizing Map : SOM)および生成位相写像(Generative Topographic Mapping : GTM)を統一的に理解することである.位相保存写像をベイズ的に計算する場合,通常は変分近似を用いて写像と潜在変数の事後分布が独立であると仮定し,EM法などで交互推定する.本研究では変分近似を見直し,写像と潜在変数の依存性を考慮することでより良い近似解法を導出した.そしてこの近似解法に基づくアルゴリズムを記述するために,われわれは競合因子Kと呼ばれるパラメータを導入した.Kを用いると,新たに導出したアルゴリズムはK^<-1> = 0.5の場合に該当し,さらにGTMはK^<-1> = 1, SOM はK^<-1> → 0の場合に相当することがわかった.すなわち位相保存写像のアルゴリズム群は単一のパラメータKの違いとして表現され,しかも好ましいKの値がSOMとGTMのちょうど中間に位置することが示された.
著者
菅井 勝雄 松下 幸司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-34, 2000-06-20
被引用文献数
2
著者
近藤 金助 林 常孟 松下 〓
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.354-361, 1927

以上論述した事柄を要約すれば次のやうである<br> 1. 私等はRice-glutelin No. 1.及びNo. 2.に就て其の最適雪出點に及ぼすNaCH<sub>3</sub>COO, NaCl, KCl及びLiClの影響に就きて研究した<br> 2. 其の結果によれば是等の鹽類の存在はRice-glutelinの最適雪出點を等しく酸性の側に變移せしめるそして其の程度は鹽類の濃度によつて一定しない醋酸曹達に就ても同樣であるこのことはMichaelis氏の所論とは一致しないのみならず最適雪出は完全雪出を意味しない<br> 3. 私等はこの事實を此等鹽類より由来する正負兩イオンの蛋白質イオン化力の優劣の差によつて説明し得た但しこの力は鹽類の種類と濃度及び蛋白質の種類によつて特殊なものである<br> 4. 從つて難溶性蛋白質の見かけ上の等電點は試用する鹽類の種類及び濃度によつて不同でてると私等は思ふ
著者
雨谷 敬史 大浦 健 杉山 智彦 房家 正博 松下 秀鶴
出版者
Society of Indoor Environment, Japan
雑誌
室内環境学会誌 (ISSN:21864314)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-43, 2000
被引用文献数
4

1999年8月に, 富士市の一般家庭の室内外のアルデヒド濃度調査を行った。サンプリングはSep-Pak XPoSureを用いたアクティブサンプリングにより行った。得られたサンプルはジクロロメタンによる抽出, アセトニトリルへの溶媒転換, HPLCを用いた分離分析法によりアルデヒド・ケトンの多成分同時分析をおこなった。本法は, 環境大気や室内空気中のホルムアルデヒド, アセトアルデヒドなど11種類のアルデヒド・ケトンを検出・定量するのに有効であることを認めた。ホルムアルデヒドをはじめとする調査対象アルデヒド・ケトンは, すべて, 屋外より室内の濃度の方が高かった。ホルムアルデヒドは新築住宅内で濃度が高く, ホルムアルデヒドなど9種のアルデヒド濃度は, じゅうたんやフローリングの部屋に比べて畳敷きの部屋で濃度が低かった。厚生省による室内環境中のホルムアルデヒド濃度指針値100μg/m<SUP>3</SUP>(30分間)を超えた家庭は2家庭(全体の10%)であった。また, 室内の10種のアルデヒド濃度間には有意な相関が見られた。
著者
三宅 貞祥 松下 愛子
出版者
福岡女子大学
雑誌
生活科學 (ISSN:05593042)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.97-104, 1954-04-30

1)福岡市においては8〜9月交尾せしめるときは,まもなくcement si andの発育がおこり,およそ1ヵ月後にぱ最盛期に達し,その後1ヵ月以内に産卵する。2) cement eland の発育程度を肉眼的に観察するには,尾脚にあらわれる斑紋に注目してその発育の程度を知ることができる。その発育期間をA, B, C期の3期に区別して実験結果を確かめる目標とした。3)尾脚にみられる斑紋は交尾後数日にして出現するため,野外から採集した雌の交尾の有無を識別して,諸種の実験に供する便宜がある。4)本実験の結果では交尾後sinus glandがcement glandの発育を抑制する働きについては明らかな効果が認められなかつた。5)交尾後眼柄を切除する時期によつてsinus glandの脱皮作用及び産卵を抑制する働きに時期的なずれのあることが認められた。即ち交尾後cement glandの分泌開始期(A期及びB期)までに限柄を切除するときは脱皮作用が促進され,その分泌の最盛期(C期)後に眼柄を切除するときは産卵が予定よりも旱期におこることが認められた。
著者
石川 浩一郎 松下 千裕
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.78, no.683, pp.101-109, 2013-01-30 (Released:2013-05-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

The study deals with EP roof type lattice shells with ceiling panels supported by truss arch frames on the both sides. The estimation method based on the elasto-plastic dynamic buckling analyses considering a geometric nonlinearity is proposed to calculate practically the base-shear strength coefficient and the applied seismic lateral and vertical load distributions on the lattice shell and the truss arch frame. As far as the collapsed mechanism is concerned, the member buckling occurs in the both structural elements. The proposed method is practically useful to determine the collapse mechanism and calculate the ultimate lateral strength on the earthquake-proof design for the damage and safety limit earthquakes.
著者
笹月 健彦 松下 祥 菊池 郁夫 木村 彰方 榊 佳之
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

HLAと連鎖した免疫抑制遺伝子(Is遺伝子)の発現とその医学生物学的意義を明らかにするために、Is遺伝子により支配される免疫低応答性の細胞レベル,分子レベル,および遺伝子レベルでの解析を進め、以下のような成果をおさめた。まず溶連菌細胞壁抗原(SCW),あるいは日本住血吸虫抗原(Sj)に対する免疫応答機構の細胞レベルでの解析を行なった。T4ヘルパーT細胞と抗原提示細胞の間の相互作用はHLA-DRにより遺伝的に拘束されているのに対し、T8サプレッサーT細胞による免疫抑制現象は、抗DQ単クローン抗体により阻止された。これにより、HLA-DR分子が免疫応答遺伝子の遺伝子産物として機能しているのに対し、HLA-DQ分子は免疫抑制に重要な分子であり、Is遺伝子の直接の遺伝子産物であることが示唆された。さらにSCWに対する低応答ハプロタイプであるDw2と,Sjに対する低応答ハプロタイプであるDw12のDQw1β鎖のアミノ酸配列の異同を検討し、【β_1】ドメインの高司変領域の違いにより、免疫抑制遺伝子の機能的相違がもたらされていることを示した。また、HLAと連鎖したスギ花粉抗原特異的Is遺伝子が抗原特異的サプレッサーT細胞を介して、IgE免疫低応答性を支配し、スギ花粉症に対する低抗性をもたらしていることを明らかにした。また、らい腫型らしい(LL)の感受性を支配する遺伝子がHLAと連鎖していることを示し、さらに、LL型らい患者より、らい菌抗原特異的サプレッサーT細胞の存在を証明した。LL型らい患者のらい菌抗原に対する非応答性がサプレッサーT細胞によりもたらされていることが示唆された。このように、ヒトにおける外来抗原に対する免疫応答の遺伝子支配が詳細に解明され、抗原特異的免疫調節機構におけるHLA-クラス【II】分子の役割りが明らかにされた。これらの研究成果は原因不明の難治性疾患の病因解明に資するものであり、さらに疾患の予防および治療への道を拓くものと期待される。
著者
松下正爾著
出版者
石居健次
巻号頁・発行日
1962
著者
松下 年子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.4_63-4_66, 2013

消化器外科病棟で手術を受ける65歳以上の患者84名を対象に,看護師が日本語版NEECHAM混乱・錯乱状態スケールを用いて,術後1~7日目までの患者の混乱・錯乱状態を評価した.その後看護師31名を対象に,NEECHAMの使用をルーチンワークとする可能性等について質問紙調査を実施したところ,「スケールを使用してせん妄の観察力や判断力がアップした」という者は全体の22.6%,「スケール使用による業務負担が大きい」という者は76.7%,病棟でのスケール使用のルーティン化については,「今の忙しい病棟では望まないが,もう少し余裕のある状況であれば望む」が35.5%,「望まない」が38.7%,「なんともいえない」が22.6%であった.今後の課題として,事前研修や業務量などの環境調整,NEECHAM評価をいかに患者ケアに生かすかという観点からのスーパービジョンや,事例検討会の開催等の必要性が示唆された.