著者
松本 曜
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

今年は,研究の最後の年度として,研究成果のまとめと発表に重点を置いた.大きな研究課題の一つとして掲げたのは「二つの単語が反義語と感じられるのはどういうときか」という問いであった.これに関しては,「方向性の対立と肯定・否定の対立という二つの認知的な対立のいずれかが感じられるときである」という答えを得た.この立場から反義語の再分類を行い,従来の分類(相補性や関係性に基づくもの)よりも有意義な分類ができることが示された.また,もう一つの課題である「反義語らしさを決めている要因は何か」という問いに関しては,「方向性と肯定・否定性が語の意味に顕著な形で含まれているかどうかによる」,という答えを得た.この点に関しては,日本語と英語における実験を行うことによって検証することができた.具体的には,語の意味の中に反対方向の方向性がはっきりと含まれていると感じられる単語ペアほど,また,肯定的か否定的かがはっきりしている単語ペアほど,意味が反対であると判断される度合いが高いことが示された.これらの成果は,学会発表論文と雑誌論文,さらには未発表の論文にまとめた.また,関連する問題を多く含む類義性に関する論文も雑誌に出版した.研究の過程で作った反義性に関する文献リストなどの資料はwebpageに公開している.
著者
中川 哲治 工藤 拓 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.9, pp.77-82, 2001-01-25
被引用文献数
2

品詞タグ付けにおいて,辞書に存在する語と比較して未知語に対する解析精度は低く,品詞タグ付けの全体の性能を左右する要因となる。本稿では,英語における未知語の品詞をSupport Vector Machineを用いて推定する手法を提案する。単語の部分文字列やコンテキストを素性として,高い精度で品詞を推定することができた。さらに同じ枠組みで,SVMを用いて品詞のタグ付けを行ったところ,100 000トークンの訓練データによる学習の結果,95.9%という従来手法以上の精度が得られた。In part-of-speech tagging, the accuracy for unknown words is lower than for known words. In consideration of high accuracy rate of up-to-date statistical POS taggers, unknown words account for non-negligible cause of errors. This paper describes POS estimation for unknown words using Support Vector Machines. We achieved high accuracy of POS tag estimation using substrings and surrounding contexts as feature. Furthermore, we apply this method to a practical POS tagger, and achieved the accuracy of 95.9%, higher than conventional approaches.
著者
馬強 松本 知弥子 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.515-522, 2002-07-18
被引用文献数
6

インターネットやデジタル放送の急激な進歩と普及によって,多くのユーザが多種多様な情報を受信・発信できるようになり,情報資源の量は日々増加し続けている.ユーザが大量の情報の中から,適切な情報を検索することは困難な作業である場合がある.特に,特定のユーザのみが興味を持つ,地域密着情報のようなローカル的な情報を獲得したり,排除するには,従来の情報検索やフィルタリング手法のみでは不十分である場合がある.本論文では,Webページがどの程度地域に密着しているかを計る尺度としてローカル度を定義し,その抽出手法と応用システムについて述べる.また,ローカル度の定義を評価するための予備実験の結果を示す.The vast amount of information is available on the WWW(World Wide Web). Usually, users use the information filtering technologies or search engines to acquire their favorite information. However, it's still not easy to acquire or exclude local information with the conventional search engines and information filtering technologies. In this paper, we propose a new notion localness to discover local information from the WWW. We also propose some useful applications based on localness and show some results of our preliminary evaluation.
著者
笹田 耕一 松本 行弘 前田 敦司 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.57-73, 2006-02-15
被引用文献数
5

本稿ではオブジェクト指向スクリプト言語Ruby を高速に実行するための処理系であるYARV: Yet Another RubyVM の実装と,これを評価した結果について述べる.Ruby はその利用のしやすさから世界的に広く利用されている.しかし,現在のRuby 処理系の実装は単純な構文木をたどるインタプリタであるため,その実行速度は遅い.これを解決するためにいくつかの命令実行型仮想マシンが提案・開発されているが,Ruby のサブセットしか実行できない,実行速度が十分ではないなどの問題があった.この問題を解決するため,筆者はRuby プログラムを高速に実行するための処理系であるYARV を開発している.YARV はスタックマシンとして実装し,効率良く実行させるための各種最適化手法を適用する.実装を効率的に行うため,比較的簡単なVM 生成系を作成した.本稿ではRuby の,処理系実装者から見た特徴を述べ,これを実装するための各種工夫,自動生成による実装方法について述べる.また,これらの高速化のための工夫がそれぞれどの程度性能向上に寄与したかについて評価する.In this paper, we describe the implementation and evaluation results of YARV, next generation Ruby implementation. The Ruby language is used worldwide because of its ease of use. However, current interpreter is slow due to its evaluation method. To solve this problem, several virtual machine designs were proposed, but none of them exhibited adequate performance/functionality combination. Our implementation, called YARV (Yet Another Ruby VM), is based on a stack machine architecture. YARV incorporates a number of optimization techniques for high speed execution of ruby programs. In this paper, we describe the characteristics of Ruby from implementor's point of view, and present concrete solutions for these issues as well as implementation of optimization techniques. We also show how each of these optimizations contributed to the speed-up.
著者
松本 敏治 橋本 洋輔 野内 友規
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.81-91, 2024-02-25 (Released:2024-02-25)
参考文献数
40

近年,ASDの方言不使用という印象が全国で見られるとする報告がなされており,解釈の一つとしてメディアからの言語習得を指摘する意見があるが,否定的見解も存在する。この解釈が妥当であるなら,自然言語とメディア言語に乖離がある国や地域では類似の現象が生じる可能性があり,アイスランド・北アフリカからはこの解釈を支持するような報告がある。本論文では,4名のアイスランドのASD青年・成人に関して,本人および母親に行った聞き取りの結果を報告する。4名とも初期はアイスランド語を話していたものの現在は英語が主要言語となっている。本人・親ともに,興味をもった英語メディア・コンテンツの繰り返し視聴によって英語習得が行われたと認識していた。これらの聞き取りとアイスランドにおけるアイスランド語と英語の使用状況の情報に基づいて,ASDのメディアからの言語習得の可能性とその成立条件を検討した。
著者
松本 光司 吉川 裕之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2456-2464, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

ヒトパピローマウイルス(HPV;human papillomavirus)は現在90以上の型が分離されているが,HPVの型によって感染部位と生じる疾患が異なる.子宮頸癌の90%以上からHPV DNAが検出され,我が国ではHPV16,18,31,33,35,52,58型の7タイプがとくにハイリスクである.海外ではワクチンがすでに市販されており,ワクチンによる感染予防が現実のものとなってきた.
著者
青山 友子 苑 暁藝 松本 麻衣 岡田 恵美子 岡田 知佳 瀧本 秀美
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.23-020, (Released:2023-09-05)
参考文献数
31

目的 集団における肥満ややせをモニタリングするために,疫学調査ではしばしば自己申告による身体計測値が用いられる。自己申告された身長と体重からBMI (body mass index)を求めると,集団における肥満(BMI≧25 kg/m2)の割合を過小評価することが知られている一方,やせ(BMI<18.5 kg/m2)の割合がどのように評価されるのかはよく理解されていない。そこで本研究では,肥満とやせの問題が共存する日本人において,自己申告による身体計測値の正確さに関するスコーピングレビューを行うことを目的とした。方法 PubMedとCiNii Researchを用いて,2022年までに英語または日本語で出版された文献を検索し,日本国内で行われた身長・体重・BMIの自己申告値と実測値を比較した研究を採用した。各研究より,研究デザインおよびmean reported errors(平均申告誤差=申告値の平均-実測値の平均)を抽出して表に整理した。また,BMIカテゴリによる違いも考慮した。結果 全国的なコホート研究(n=4),地域住民(n=4),職場(n=3),教育機関(n=6)において実施された計17編の文献(英語11編)が本レビューに含まれた。対象者の年齢(10~91歳)およびサンプルサイズ(100人未満~3万人以上)には多様性がみられた。観測された平均申告誤差の程度は研究によって異なったものの,大半の研究で身長は過大申告,体重は過小申告,BMIは過小評価された。BMIカテゴリ別の平均申告誤差を報告した3つの研究では,身長の申告誤差の方向性はすべての体格区分で変わらないものの,体重およびBMIはやせの区分のみで過大申告(評価)された。成人を対象とした4つの研究は,自己申告身長・体重に基づいたBMIを用いると,肥満の14.2~37.6%,やせの11.1~32.3%が普通体重(18.5≦BMI<25 kg/m2)に誤分類され,普通体重の0.8~5.4%および1.2~4.1%が,それぞれやせおよび肥満に誤分類されることを示した。結論 自己申告による身長と体重に基づくBMIを用いると,日本人では集団における肥満とやせ両方の有病率を過小評価する可能性がある。自己申告による身体計測値を疫学調査に用いる際は,こうしたバイアスの存在を考慮する必要がある。
著者
本間 美里 松本 健義
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.457-470, 2014-03-20 (Released:2017-06-12)

本研究において,他者やものを介しながら行われる鑑賞学習の中で起きる対話が,個々人の経験・語り・知覚を相互に触発していく学習活動のプロセスを記述考察し,鑑賞の学習過程における対話的活動での学習者間の相互行為のもつ意味を明らかにした。言語的な対話を主な媒介として行われる一斉型の鑑賞活動とは異なり,4,5人一組で作品への気付きを記入したり,相手を変えたりしながら語る鑑賞の活動過程を,作品を媒介にして行う子どもの発話や行為が相互の経験・語り・知覚を触発する実践的関係に着目し,分析記述した。本実践における学習過程の触発性は,他者と作品を媒介にして個々人が相互に連鎖させる経験・語り・知覚が,自他の境界を超えて作品世界と知覚経験世界の差異を現象させ,活動の広がりと深まりを生成することが明らかとなった。
著者
山田 貴之 松本 隆行
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.663-673, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では,初等教員養成課程学生を対象とした質問紙調査の結果に基づいて,「理科に対する興味」が「媒介要因」を経由し,「主体的・対話的で深い学び」に影響を及ぼすという因果モデルを仮定し,その妥当性について検討することを目的とした。その結果,「理科に対する興味」(「因子4:思考活性型」,「因子5:驚き発見型」)が,「媒介要因」(「因子7:批判的思考」,「因子8:学習行動」)を経由し,「主体的・対話的で深い学び」(「因子13:深い学び」,「因子14:対話的な学び」,「因子15:主体的な学び」)に直接的,間接的な影響を及ぼしていることが明らかとなった。これは,理科授業において,教師が驚きと発見のある事象や,思考を活性化させる事象の提示を工夫することで,学習者の興味が喚起されるとともに,「批判的思考」と「学習行動」が向上し,結果的に「主体的・対話的で深い学び」の実現につながることを示唆するものである。本研究により得られた知見は,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業の工夫や指導法などを充実させていく必要があるという学習指導要領の方向性と一致し,理科授業において,「主体的・対話的で深い学び」を成立させるためには,「理科に対する興味」を喚起するとともに,「批判的思考」と「学習行動」の向上を促す指導の可能性を裏付ける根拠と示唆を得ることができた。

2 0 0 0 OA 紅葉の季節学

著者
松本 太
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.141-148, 2013 (Released:2013-01-25)
参考文献数
33
被引用文献数
1

紅(黄)葉は秋の関心事であると同時に,その変化は温暖化など気候変化のバロメーターである.本稿ではイチョウ,イロハカエデの紅(黄)葉のメカニズムや気象的要因,および近年の気候変化と紅葉との関係を概説した. まず紅葉の化学的なメカニズムを述べ,イロハカエデの紅葉(クロロフィル減少)に低温の積算が関係していることを示した.そして紅(黄)葉日と地球温暖化や都市の昇温との関係を述べた.イチョウの黄葉日は同一地域内での地点差や個体差が大きく,発芽の遅速など生理的要因の関与が示唆された.一方イロハカエデの紅葉日は地点差や個体差が小さく,気候の影響を反映すると推察された.よって紅(黄)葉日を評価する際には,樹種によるメカニズムや,気候への反応の違いを考慮に入れる必要がある.
著者
西田 かほる 井上 智勝 岩城 卓二 梅田 千尋 志村 洋 中川 すがね 幡鎌 一弘 東谷 智 山崎 善弘 引野 亨輔 松本 和明
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

夷信仰の拠点である西宮神社(現兵庫県西宮市)が所蔵する江戸時代の日記や神社文書、宮司家文書を翻刻することにより、西宮神社の活動と神社に付属する宗教者の実態を明らかにすることができた。同時に、全国の夷社人関係の史料を調査することにより、その地域分布と差異を明確にすることができた。このほか、西宮神社が所蔵する近代の日誌のデジタル撮影を行うことによって、今後の研究の体制を整えた。
著者
村上 哲明 綿野 泰行 角川 洋子 山本 薫 堀 清鷹 森 恵里菜 松本 めぐみ
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

無配生殖(無性生殖の一型)を行うシダ植物の種は近縁な有性生殖種と容易に交雑すること、それらの間の雑種個体からは高頻度で減数した子孫が生じることを我々は明らかにしていた。 そこで本研究では、3倍体無配生殖種のオニヤブソテツ(オシダ科)と、それに非常に近縁な2倍体有性生殖型のヒメオニヤブソテツあるいはムニンオニヤブソテツの間に生じた4倍体雑種個体に生じた胞子を寒天培地上で培養し、F2世代の子孫における無配生殖型と有性生殖型の分離比を調べた。その結果、両生殖型がほぼ1:1で生じ、無配生殖型がただ一つの遺伝的領域(無配生殖遺伝子)によって支配されていることが強く示唆された。
著者
松本 えみ子
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.63-72, 2002-03-22 (Released:2010-05-31)
参考文献数
74

本総説では, バイオレメディエーション, ファイトレメディエーション, およびリゾレメディエーションの研究における最近の知見について報告した。特に, その高い毒性のために関心の高い難分解性有機塩素化合物と重金属汚染を対象とした研究の現状を紹介した。バイオレメディエーションの研究は, 環境微生物の分解能の解析・改変に加え, 汚染現場への適用のために必要な微生物のモニタリング手法や管理手法の報告が多くなってきている。ファイトレメディエーションとリゾレメディエーションは開発途上にある技術だが, バイオレメディエーションよりも維持・管理が容易であることから, 今後非常に注目される技術である。また, 植物や根圏微生物に難分解性物質分解酵素を導入した組換え体の創出の報告も相次いでおり, 今後の展開が大いに期待される。
著者
神保 洋之 阿部 琢巳 花川 一郎 国井 紀彦 西野 猛 桑沢 二郎 岩田 隆信 松本 清
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.312-316, 1993-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
7

過去3年間に当科で経験したいわゆるyoung adults (15歳~45歳) の, 高血圧性出血を含めた脳内出血20例のうち, 出血原因不明であった5例に対し検討を加えた.年齢は, 15歳から29歳 (平均21.4歳) でいずれも若年者であり, 出血部位は皮質下出血3例, 尾状核頭部1例, 被殻1例であった.治療は開頭血腫除去術を施行したもの2例で, その他は保存的に経過をみた.予後はいずれも良好であった.推察し得る出血原因については各症例ごとに異なっており確定診断を得ることは困難であったが, 様々な観点から出血原因を検討することが必要であると考えられた.
著者
松本 美希 河邉 憲太郎 近藤 静香 妹尾 香苗 越智 麻里奈 岡 靖哲 堀内 史枝
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.618-627, 2016-08-01 (Released:2017-05-17)
参考文献数
35

本研究は,自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorders: ASD)児の認知特性,特に視覚性注意機能の特徴をCog Health認知機能検査を用いて明らかにすることを目的とした。愛媛大学医学部附属病院精神科に外来受診中の7~15歳のASD児37例と,7~15歳の健常対象児131例を対象とした。ASD群にはCog Health認知機能評価の1カ月以内にWechsler Intelligence Scale for Children(WISC)を用いて知的水準を評価し,両群に対しCog Health認知機能検査を用いて注意機能およびワーキングメモリーの評価を行った。知的能力とCog Health各課題の正答率の関連については,遅延再生課題の正答率のみ知能指数と有意な関連があった。遅延再生を除いた各課題の誤回答数,見込み反応数,時間切れ反応数,正答率,反応速度の結果を比較したところ,注意分散課題において対照群に比べ,ASD群の見込み反応数が有意に低く,反応速度が有意に遅く,正答率が有意に高く,注意分散課題でのASD児の優位性が明らかとなった。ASD児の中枢統合性の障害や,視覚探索能力の高さ,字義通り性などの認知機能を反映している可能性が示された。