著者
奥村 優子 池田 彩夏 小林 哲生 松田 昌史 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.201-211, 2016

<p>評判は,人間社会における利他行動の促進や社会秩序の維持に重要な役割を果たしている。評判を戦略的に獲得するために成人は"評判操作",つまり,他者に見られていることに敏感となり,他者の自分に対する印象や査定を操作する行動をとることが示されている。一方で,就学前の子どもにおいて,幼児が場面に応じてどのように評判操作をするのかは不明な点が多い。そこで本研究では,幼児の評判操作に関して2つの検証を行った。1点目は,5歳児が他者に観察されている場合に良い評判を得るように,また悪い評判を付与されないように評判操作をするかどうかであった。2点目は,5歳児が目のイラストのような他者を想起させる些細な刺激によって評判操作をするかどうかであった。研究1では,幼児が自分のシールを第三者に提供することで良い評判を得ようとするかを検討した結果,観察者,目の刺激,観察者なしの3条件で分配行動に有意な違いはみられなかった。研究2では,幼児が第三者のシールを取る行動を控えることにより悪い評判を持たれないようにするかを検討した結果,観察者条件では観察者なし条件に比べて奪取行動が減少した。一方,目の刺激条件と観察者なし条件とでは,行動に違いはみられなかった。これらの結果から,5歳児は悪い評判を持たれることに対して敏感であり,実在の他者から見られている際に戦略的に評判操作を行うことが示された。</p>
著者
中村 康一 板倉 潮人 髙木 聡 小林 和陽 齋藤 浩子 月岡 悦子 山口 貴子 野口 周作 加藤 和久 臼杵 二郎
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.345-348, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
18

栄養失調とサルコペニアを伴う高齢者に対し,運動療法と栄養療法によるマネジメントの必要性が言われている.66歳男性,肺腺癌のため右肺全摘出後,外来通院していた.混合性換気障害と呼吸器症状が進行し,体重減少および身体活動性の低下を認めるようになったが入院を拒否.サルコペニアが疑われ外来で栄養士と看護師が介入し,栄養状態は改善した.しかし自覚症状は改善せず,理学療法士が介入を開始した.4ヶ月間の介入によりAMC(19.9→20.9 cm),MIP(31→68 cmH2O),握力(20→22 kg),CAT(12→9点)と筋力およびCATの改善を認めた.今回,入院が困難なCOPD症例に対し,外来で多職種が介入することで全身状態を改善させ,入院を回避することができた.栄養失調を伴うサルコペニアが疑われるCOPDに対する,外来における栄養および運動療法の有用性が示された一例と考えられる.
著者
喜田 宏 伊藤 壽啓 梅村 孝司 藤田 正一 前出 吉光 中里 幸和 高田 礼人 岡崎 克則 板倉 智敏
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

ウイルスの病原性発現機構を宿主側の要因を詳細に解析することによって究明することを目的とした。そのため、ウイルス感染によって誘発される宿主細胞由来病原性因子の検出を試みた。インフルエンザウイルス感染発育鶏胚の奨尿膜を超音波破砕し、その可溶性画分をニワトリの静脈内に注射した。ニワトリは汎発性血管内凝固により数分以内に斃死した。この致死活性はヘパリンを静脈内に前投与することによって抑制されたことから、本因子は血液凝固に関与する物質と推定された。陰イオン交換体を用いた高速液体クロマトグラフィーおよび塩析法によって病原性細胞因子を濃縮精製する系を確立し、粗精製致死因子をマウスに免疫して、モノクローナル抗体11クローンを作出した。ニワトリの鼻腔内にインフルエンザウイルス強毒株と弱毒株を実験感染させ、経過を追及した。強毒株はウイルス血症を起こしたが、弱毒株はウイルス血症を起こさなかった。すなわち、強毒株を接種したニワトリでは全身臓器の血管内皮細胞でウイルス増殖が起こり、血管炎を招来した。強毒株の標的が血管内皮細胞であることが明らかになった。損傷した血管内皮細胞から血液凝固因子ならびにサイトカインが放出された結果、汎発性血管内血液凝固を起こし、ニワトリを死に至らしめるものと結論した。この成績はインフルエンザウイルス感染鶏胚奨尿膜から抽出した細胞因子がニワトリに血管内凝固を起す事実と一致する。汎発性血管内血液凝固症候群は様々なウイルス感染症で認められる。したがって、この細胞因子はインフルエンザのみならず他のウイルス感染症においても病原性発現に重要な役割を果たすものと考えられる。ウイルス感染症の治療法を確立するため、本致死因子をコードする遺伝子を同定する必要がある。
著者
佐藤 奨 坂野 秀樹 板倉 文忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.97, pp.41-46, 2011-06-16

本研究は,楽曲推薦の特徴量に利用出来るような音響特徴量,特にラウドロック系の楽曲を特徴付ける音響特徴量の提案をする.ラウドロック系の楽曲は,歪んだ音を出すエレキギター及びベース,激しく叩くドラムの音が特徴的であり,上記の楽曲と,それ以外の楽曲とを混在させた曲順で聴くことはほとんどない.よって,両者を分類できる特徴量は,有用な特徴量となることが期待できる.本稿では,提案した音響特徴量を用いて,ラウドロック系,J-pop,ニューエイジ系の自動ジャンル分類実験により客観評価を行った.最も良い条件の場合,ラウドロック系の楽曲とそれ以外の楽曲とを区別する2ジャンルの識別率が97%,3ジャンルの識別率が87%となった.さらに,この音響特徴量が楽曲の印象とどのような対応があるのか,印象尺度を用いた主観評価実験を行った.その結果,音響特徴量と「激しい」「騒々しい」「優しい」といった印象との間に,強い相関があることが確認され,提案する音響特徴量が,主観的尺度と対応することが明らかになった.
著者
板倉 昭二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究課題では、乳幼児が、他者にも自分と同様に「心」があることを理解し、そうした他者の心の概念の発達過程を分析することを目的とした。そして、それに関連する複数の実験的分析をおこなった。以下、おもな成果を概略する。まず、1)ロボットを対象とした誤信念課題の実験から、幼児は、ヒトに対するのと同様にロボットにも誤信念を帰属させたが、「考える」といったような心的動詞は帰属させないことがわかった。そこに、ヒトとロボットに対する評価の違いが明確になった。2)「他者の心」を表象するためには、シンボルの二重表象性を理解する必要がある。そのことを検討するため、スケールモデル課題を用いて、2歳児と3歳児を対象に、その発達を調べた。その結果、シンボルの二重表象の理解は、2歳半から3歳にかけて劇的に発達することが明らかになった。3)テレビに映った映像と実際の映像はどのように関連づけられるのだろうか。ヒトと同じ霊長類のテナガザルを対象として、選択課題の手がかりを映像の中で呈示する条件と、実際に呈示する条件で正答率を調べたが、どちらの条件でも差は見られなかった。同様のことをヒト幼児で検討するため、データを収集している。4)乳児を対象として、コンピューター画面に呈示されるアニメーションオブジェクトに心的状態を帰属させるか否かの検討を通して、基礎的な「心」の想定条件を調べた。その結果、ある物体の行為を邪魔しているように見える物体よりも、その行為を達成するために援助しているように見える物体のほうを好んで見ることがわかった。
著者
北川 隆吉 北島 滋 岩城 完之 帯刀 治 板倉 達文 柴田 弘捷
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、グロバリゼーション、イノベーション、インフォメーション・システム、コミュニティ・ストラクチャーの4方面から、我が国の社会変動を調査検討し、事態の展開の根本に存在する社会的ダイナミズムをあきらかにすることを目的とした。調査は、以下の二つの対象地域-東京圏と東海圏-を設定し進められた。〈東京圏〉(1) 東京都臨海副都心と周辺区(2) 千葉県・茨城県南「開発」地区(3) 埼玉県(県央)人口急増地域(4) 八王子を中心とする広域開発地域(5) 神奈川県央・新型工業都市の形成地域〈東海圏〉(1) 名古屋市と中部新国際空港地区(2) 豊橋市を中心とする「開発地区」(3) 岐阜県中濃人口急増地区(4) 浜松市を中心とする広域開発地域(5) 大垣市の新型工業都市への転換以上10地域を選んで、それぞれのうち二つを((1)-(1),(2)-(2)といった形)一対の対象地域として選定し、第1年度は東京圏、第2年度は東海圏を、そして最終年次の今年度は両者の追跡、補充調査をおこなった。その結果、本研究による知見は以下のとおりである。(1) 当初意図していた〈東京圏〉と〈東海圏〉の比較は、不可能との結論に達し、あらためて〈東京一極集中〉のもつ意味の重要さがあきらかにされた。(2) 比較が不可能なことは人口量、都市規模の違いだけでなく、産業・工業構造の根本的差異への着目を必要とさせ、いずれの地域にあって変動の直中にあり、本研究では、まさに変動過程の実態があきらかにされている。(3) こうしたことから、21世紀-おそらく2010年まで-に新しい変動が生まれつつあり、その中で都市・都市間連関、地域社会そのものの存立が問われようとしている。この点で、東京圏との対比でいえば、「東海」の分解・分極化の方向を見せ始めている。(4) なお、本研究では、上述の変動と、地域内における諸集団や個々人へのインパクト、また政治、行政、経済の諸機構・内部構造・リーダーシップ、イデオロギーといったものの変動との結びつきについては必ずしも十分でない。この点は今後の研究課題としたい。
著者
水戸 和幸 相賀 健 板倉 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.211, pp.25-28, 2010-09-21

触知案内図におけるピクトグラムの有効性について検討を行った.被験者は,晴眼者11名でアイマスクをして実験を行った.点図ディスプレイに7種類のピクトグラムを提示し回答を得るととともに,触察にて学習を行わせた.次に,同種でサイズの異なるピクトグラムを触察してもらい,正答率,確信度,認知時間,わかりやすさを評価した.学習前に関して,事前知識のあるピクトグラムの正答率は高く,学習時間は短かった.学習後に関して,サイズに関係無く正答率はほぼ100%であった.わかりさすさや認知時間は,サイズおよび複雑さにより変化し,図形の特徴の見つけやすさが関係していると推測された.
著者
清水 公男 板倉 亨 古宮 照雄
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:02857901)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.61-80, 2010-02

カリーの本論文は『マクベス』の魔女とは何かを端緒として、エリザベス朝において激烈な論争となっていた神、悪魔、亡霊、魔女などの意味を、キリスト教神学ならびに新プラトン主義を核にして辿ったものである。魔女は民間信仰にとどまらず、古代異教の神の変容であり、新プラトン主義の流出宇宙論に由来するダイモーンに連なる。神学的背景から見た悪の形而上的な世界の意味が、多くの文献に依拠して、詳細に解明されている。
著者
石山 洋 佐藤 達策 片桐 一男 板倉 聖宣 中山 茂 吉田 忠 酒井 シヅ 菅原 国香 中村 邦光
出版者
東海大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

南蛮文化導入期から顧みると,直接日本へ渡来した文物や学術よりも訪中したイエズス会士の著書を輸入して学んだ西洋科学技術の影響のほうが日本の文明に与えたものは大きかった。中国語訳された書物は、日本の最高に知的レベルの高い人びとが学びやすかったからである。江戸時代の前期はその消化に費やされた。とくにマテオ・リッチの業績が大きな影響を与えている。第2期として,蘭学興隆期がくる。ここでは,オランダ語の原書を日本人が直接読み,訳した。その訳語には,中国語訳の先例を探し,できるだけ,それを採用する努力がなされた。新訳語を造ることには消極的であった。しかし導入された知識は科学革命以後のもので,イエスズ会士がもたらしたルネサンス時代の訳語だけでは対應できず,止むを得ず新訳語の造語もおこなわれた。その過程を追ってみると,始めは音訳で入れ,次ぎに義訳へ訳し直す傾向が見られる。また直訳を志向しつつ,既存の義訳の蓄積も活用する傾向も指摘されている。別に留意されるべきことは,アヘン戦争後,中国へ進出した英米のミッションの新教宣教師による中国文の西洋知識普及書の存在である。これを利用した清朝知識の著作も含め,わが国へ紹介され,19世紀の西欧科学技術導入に影響を与えた。明治に入って,外来学術用語は多方面に滲透し,乱立した。情報流通の必要上,とくに教育上,訳語の標準化が求められてきた。政府直接ではないが,学協会を通じて,権威側で進められた。1880年代から開始された数学部門の例もあるが,訳語の統一が活発化するのは20世紀以後である。そこには先例となる中国語訳への依存は見られず、むしろ中国人の日本留学者などの手で,日本語訳が中国語訳の中に定着したりしている。各種の事例で例証することができた。
著者
佐藤 康宏 板倉 聖哲 三浦 篤 河野 元昭 大久保 純一 山下 裕二 馬渕 美帆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

人間が都市をどのようにイメージしてきたかを解明するために、日本・中国・ヨーロッパの典型的な都市図を取り上げ、作品を調査し、考察した。研究発表の総目録は、研究成果報告書に載る。以下、報告書所載の論文についてのみ述べる。佐藤康宏「都の事件--『年中行事絵巻』・『伴大納言絵巻』・『病草紙』」は、3件の絵巻が、後白河法皇とその近臣ら高位の貴族が抱いていた恐れや不安を当時の京都の描写に投影し、イメージの中でそれらを治癒するような姿に形作っていることを明らかにした。同「『一遍聖絵』、洛中洛外図の周辺」は、「一遍聖絵」の群像構成が、平安時代の絵巻の手法を踏襲しつつ本筋と無関係な人物を多数描くことで臨場感を生み出していることを指摘し、その特徴が宋代の説話画に由来することを示唆する。また、室町時代の都市図を概観しながらいくつかの再考すべき問題を論じる。同「虚実の街--与謝蕪村筆『夜色楼台図』と小林清親画『海運橋』」は、京都を描く蕪村晩年の水墨画について雅俗の構造を分析するとともに、明治の東京を描く清親の版画に対して通説と異なる解釈を示す。ほかの3篇の論文、馬渕美帆「歴博乙本<洛中洛外図>の筆者・制作年代再考」、板倉聖哲「『清明上河図』史の一断章--明・清時代を中心に」、三浦篤「近代絵画における都市と鉄道」も、各主題に関して新見解を打ち出している。
著者
小川 裕充 板倉 聖哲 桝屋 友子 田中 秀隆 朴 亨國 大田 省一 羽田 正 秋山 光文 浅井 和春 後小路 雅弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

設備備品につては、「西洋人アジア旅行記」5,663点(マイクロフィッシュ16,453枚)、「西洋人アジア伝道旅行記」231点(マイクロフィッシュ1,585枚)を一括購入し、ヨーロッパの世俗・宗教両面から伝統アジアを捉える旅行記を基本研究資料として公開している。絵画班:小川は、平成17年度、シンガポール亜州文明博物館新収の中国絵画コレクション50数点の悉皆調査を行った。また、板倉・田中・五十嵐とともに、オーストラリア所在中国・日本絵画調査を実施し、オーストラリア絵画のディジタル・ファイルを購入した。18年度は・板倉とともに、東アジア・東南アジア所在中国絵画調査を実施した。調査対象は台湾:石允文コレクションなど3個所、シンガポール:呉起駒コレクションなど2個所、香港:香港中文大学文物館・香港藝術館、計7個所であり、撮影作品数無慮7百点に上る。彫刻班:浅井・朴は、東京国立博物館収集東南アジア仏教彫刻スライド資料2万点のディジタル画像化、及びプリントアウトをすべて完了し、資料整理の基礎となる基本カード作成もほぼ半数の1万点に及ぶ。また、東博資料のデータの不備を解消し、画像資料をさらに充実させるべく実施した、インドネシア調査(17年度)では、調査撮影対象は、ボロブドゥル遺跡など約70個所、作品4千点に上り、データを再点検し、ディジタル画像資料3万点を追加した。タイ・マレーシア・カンボジア調査(18年度)では、調査撮影対象は、バンコク国立博物館など、約10個所、ディジタル画像資料1万6千点、作品数約2千5百点を追加した。絵画班・彫刻班の調査作品は、個人研究とは別に、班として目録を収載する。なお、絵画班:西・後小路・桝屋・井手、建築班:羽田・大田は、別途、調査研究を進めたため、基盤Aの研究成果としては、研究成果報告書に論文1点を全文掲載し、他は本概要にリストアップするにとどめる。
著者
板倉 智敏 中村 菊保 中塚 順子 五藤 精知
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.561-566, 1979-10-25 (Released:2008-02-13)
参考文献数
10
被引用文献数
8 12

犬ジステンパー(CD)生ワクチンを接種された3頭のレッサーパンダが, 定型的なCD症状と病変を示した. 特微病変は, 上皮細胞, 細網内皮細胞における酸好性細胞質ならびに核内封入体形成と, リンパ組織からの著明なリンパ球減数であった. 電顕下で, 細胞質封入体はnucleocapsidから構成されていた. 以上の所見は, 本動物がCDに対し高い感受性を持つこと, CD予防に際し生ワクチン使用は極めて危険であることを示唆する.
著者
大河内 信夫 板倉 嘉哉 堤 一郎 白井 靖幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集 2007.13 (ISSN:24242691)
巻号頁・発行日
pp.171-172, 2007-03-15 (Released:2017-06-19)

The authors studied Fujiwara's water-wheels for irrigation which were built at Kazusa region in Chiba prefecture. They surveyed literature on bucket chain conveyor system for water in the Edo period. There were 3 materials concerned with Fujiwara's water-wheel. The authors restored Fujiwara's water-wheel bucket which was drawn on the Report of Archaeological Investigation carried out the Fujiwara-Type scoop wheel, No. 1 and 2 in Yoro, Ichihara city, Chiba prefecture. They compared data of Fujiwara's water-wheel bucket restored with data of literature for Fujiwara's water-wheel. Fujiwara's water-wheel power was calculated from data of the bucket restored.
著者
坂野 秀樹 武田 一哉 鹿野 清宏 板倉 文忠
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J81-A, no.2, pp.261-268, 1998-02

スペクトル包絡と音源の独立操作により, ある話者の音声を別の話者へと連続的に変化させる音声モーフィングを提案する.本手法では次の手順で音声モーフィングを実現する.1)時間領域におけるDPマッチングにより単位波形の対応をとる.2)単位波形をスペクトル包絡と音源に分離する.3)周波数領域のDPマッチングにより周波数軸を非線形に伸縮し, スペクトル包絡間の対応付けを行う.4)スペクトル包絡および音源の補間を行う.5)位相情報を付与し, 単位波形を得る.6)PSOLA法により合成する.この手法を用いることによって自然音声の時間的変化に比較的近い補間が可能となり, 音声の調音結合部分をモーフィングにより生成する実験を行った結果, ケプストラム距離において従来法に比べ1.9dBひずみを減少させることができた.また, 対比較試験では男性から女性へのモーフィングにおいて89%, 女性から男性へのモーフィングでは93%の割合で本手法の方が品質が良いと判断されており, 本手法の有効性が示された.
著者
板倉 七海 酒匂 一世 原田 利宣 橋本 唯子
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-165, no.19, pp.1-6, 2016-11-02

本研究では絶滅したニホンオオカミをはじめとした 8 種の動物の頭蓋骨と剥製や写真上の頭部形状に現れる曲線の比較 ・ 分析を行った.次に,その結果に基づいて和歌山大学が所蔵するニホンオオカミの頭蓋骨から正確な頭部形状を推定した.さらに CG で頭部形状を 3D モデル化し,再現するとともにニホンオオカミの全身形状も CG 上で創成して,“歩く”,“走る” といったモーション付けを行い,展示のための検討を行っている.