著者
金 勲 阪東 美智子 小林 健一 下ノ薗 慧 鍵 直樹 柳 宇 菊田 弘輝 林 基哉
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.88, no.806, pp.300-306, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

From the early stages of the COVID-19 outbreak, there have been many reports on cluster infections in clubs and bars. Meanwhile, there is no report on the indoor air environment in those places and it will limit measures for infection control. This study aims to understand the indoor air and ventilation environment and to propose practical and appropriate improvement measures for related industries. In addition to measuring CO2 concentration in clubs and bars in Tokyo, we have surveyed the voluntary measures taken against COVID-19, outlines of building and ventilation/air conditioning equipment, ventilation regime, and so on.
著者
金 勲 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 長谷川 兼一 林 基哉 大澤 元毅 志摩 輝治
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2018 (Released:2019-10-30)

普及が急速に進んでいる家庭用超音波式加湿器による室内空気の微生物汚染が懸念されることから、微生物汚染の経時変化を実験を通じて調べた。 加湿空気と加湿水中ET濃度は3日目までは緩やかな上昇を示すが、4〜5日目から指数関数的に急増し、急速な汚染が進行することが観察された。加湿器の洗浄や加湿水交換を毎日行っても細菌濃度が上昇することがあり、これはET及び浮遊細菌の測定結果から確認できた。
著者
林 基治
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.107-113, 2003 (Released:2005-03-24)
参考文献数
25

The anterior cingulate cortex (Brodman’s areas 24 and 25) has been shown to participate in various functions: emotion, pain, visceromotor, skeletomotor control, and attention. Moreover, the area is involved in vocalization, singing and word processing, suggesting that it is of particular importance for higher brain functions such as communication and language. Anatomical studies have indicated that an unusual type of neurons (spindle neuron) is present in the layer Vb of the anterior cingulate cortex. The spindle neurons are characterized by large vertical fusiform morphology and are a type of projection neuron. They have a large apical dendrite extending toward the pial surface and a single large basal dendrite extending toward the white matter. The neurons have been demonstrated only in humans and the great apes; bonobos, common chimpanzees, gorillas and orangutans. The neurons are absent in the gibbon, as well as in New and Old World monkeys. The density of the spindle neurons in layer V and the volume of the cell body vary as a function of relative brain size (encephalization) across humans and great apes. We recently observed the existence of the spindle neurons in a chimpanzee fetus (embryonic day 224), which was stillborn. About 5% of neuronal cells in layer Vb were spindle neurons. No spindle neurons were observed in layer V of the prefrontal cortex. These findings suggest that the existence of the spindle neurons in the anterior cingulate cortex is intrinsically characterized during the embryonic stage of the chimpanzee. The relationship between this unique neuron and the physiological functions of the anterior cingulate cortex such as communication and language remains to be clarified.
著者
清水 慶子 伊藤 麻里子 託見 健 渡辺 元 林 基治 田谷 一善
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第23回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.104, 2007 (Released:2009-05-30)

一般に、動物の分布域が赤道から遠ざかるほど、季節繁殖性がより明確に現れてくることが知られている。このことは霊長類においてもよく当てはまる。マカカ属のサルのうち、赤道域に生息するカニクイザルやブタオザルは周年繁殖動物であり、特定の繁殖期がなく、年間を通して月経が観察され、繁殖する。それより北の中国からインドに生息するアカゲザルは、季節繁殖の傾向が強い。さらに高緯度の日本に生息するニホンザルでは、明瞭な繁殖期の季節性がみられ、短日発情型の繁殖をおこなう。このニホンザルの季節繁殖性は屋内飼育条件でも明確に維持されるが、アカゲザルを屋内で飼育すると、周年繁殖傾向が強くなるとの報告もある。しかし、季節性繁殖リズムの発現機構については未だ不明な点が多い。また、オスにおける繁殖の季節性についての報告は少ない。私たちは、マカカ属サルのうち、実験動物として広く用いられているニホンザル、アカゲザル、カニクイザルの3種のオスを用い、夏と冬に血液を採取、血中生殖関連ホルモン動態を調べ、比較を行った。その結果、ニホンザルとアカゲザルでは、Follicle stimulating hormone (FSH) 、Luteinizing hormone (LH)および Testosterone (T) では繁殖期に高く、非繁殖期に低い季節差が見られた。一方、カニクイザルではこれらのホルモン値は、繁殖期に高く、非繁殖期に低い傾向が見られたものの有意な差は認められなかった。また、脂肪細胞から分泌されるレプチンは、3種ともに、繁殖期に高く、非繁殖期に低い傾向が見られたものの有意な差は認められなかった。体重変動も3種ともに、有意な季節性変化は観察されなかった。これら生殖関連ホルモン動態から、オスニホンザル、アカゲザルでは、メスと同様に繁殖期に季節性が見られること、カニクイザルでは繁殖期に明瞭な季節性が見られないことが示唆された。
著者
小林 基
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.376-394, 2018-09-01 (Released:2022-09-28)
参考文献数
52

農産物産地の形成と産地間競争に関する既往の研究では,イノベーションが競争を駆動するものとして認識されていたが,その具体的なプロセスと地域的差異については必ずしも詳しく論じられていない.本稿は農業において技術の研究開発から普及を経て導入に至る過程をつなげて把握すべく,イチゴの品種の育成・普及を素材として検討した.この結果,まず,規模の大きな産地は小さな産地より速く品種が普及する傾向にあること,大きな産地ほど多くの品種が育成・登録されていることが伺えた.また,大きな産地では県内の試験場で育成された特定の品種の最終的な普及率が高かった.これらの産地では農協を通じた系統出荷率が高く,農協は,新品種への転換の方針決定と情報提供により,普及の速さと最終的な普及率を高めていた.産地におけるイノベーションは,研究の規模と蓄積,生産者の組織化の態様という各産地の事情を反映した過程であるといえる.
著者
金 勲 林 基哉 開原 典子 大澤 元毅 阪東 美智子
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.77-87, 2015 (Released:2015-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4

日本は超高齢社会として世界で最も高齢化が進んでおり,これに伴う高齢者施設の需要が急増している。高齢者は免疫力や感受性,環境調整力が低下するため,適切な室内環境や衛生環境を提供できる体制整備が必要であるが,環境衛生の維持管理・指導の法的根拠がなく,その管理は建築物管理に専門知識・経験を有さない施設管理者・運営者に委ねられている可能性がある。本研究では,高齢者施設の実態と課題を把握し,環境改善及び対策に資することを目的とし,首都圏の高齢者施設を対象に現場設問及び冬期実測調査を行った。温度・湿度・二酸化炭素濃度の実態と湿度環境の改善に関する検討を行った結果,温度及びCO2濃度に関しては概ね良好に管理されていたが,湿度については施設側の努力にもかかわらず,全施設において冬期最低基準とされる相対湿度40%を満たせない環境にあることが明らかとなった。また,施設によって換気量にはかなりの差があることがうかがわれた。今回調査対象とした施設のなかで建築基準法改正後の施設では換気・空調による外気導入量が多いことに起因することにより,絶対湿度が低かった。測定結果から得られた絶対湿度差及びCO2濃度差の相関と人体からの水分及びCO2発生量による理論的な相関を比べることで,換気量及び加湿の実態を推察できる可能性が示された。
著者
高橋 英章 本田 光 居林 基 斉藤 佳代子 秋野 憲一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.695-705, 2021-10-15 (Released:2021-10-06)
参考文献数
30

目的 札幌市における地域検診および個人・職域を含めたがん検診受診の実態を独自調査によって明らかにすること,がん検診受診率が低い集団を特定し,がん検診受診率を向上させるための施策の基礎資料とすることを目的とした。方法 札幌市在住の40~69歳の男性3,000人および20~69歳の女性4,000人を対象にした自記式質問票による調査を実施した(有効回収率:32.4%)。調査内容は,国民生活基礎調査の健康票のうちがん検診受診に関するものを引用したほか,基本属性,がん関連属性とした。χ2検定またはロジスティック回帰分析を用い,がん検診受診率と基本属性,がん関連属性との関連を解析した。結果 本研究の胃がん検診受診率は男性67.4%,女性48.7%,大腸がん検診受診率は男性59.2%,女性47.7%,肺がん検診受診率は男性66.1%,女性53.4%,子宮がん検診受診率は52.7%,乳がん検診受診率は56.1%だった。 男女ともにすべてのがん種において,就労していない者または国民健康保険に加入している者の受診率が有意に低かった。属性とがん検診受診に関して,就労なしに対する就労ありのオッズ比は,男性3.00~3.09 (肺がん3.00 95%信頼区間:2.09-4.32,大腸がん3.03 95%信頼区間:2.09-4.38,胃がん3.09 95%信頼区間:2.09-4.57),女性1.41~2.46だった。医療保険が国民健康保険の人に比べ,それ以外の保険の人の受診オッズ比は,男性3.47~4.26,女性1.47~2.52だった。また,男女ともに札幌市がん検診の認知度とがん検診受診に女性の胃がん検診を除いて有意な関連がみられ,認知度ありのオッズ比は,男性1.41~1.74,女性1.24~1.48だった。結論 がん検診受診率が50%を下回ったがん種は,女性の胃がんと大腸がんのみであり,とくに男性は胃・大腸・肺すべてのがん検診受診率が50%を超えていた。男女ともに就労していない者,国民健康保険に加入している者,札幌市がん検診(地域検診)を認知していない者のがん検診受診率が低い傾向にあり,国民生活基礎調査のみでは示されなかった札幌市における低受診者集団の特徴が明らかとなった。
著者
大澤 元毅 池田 耕一 林 基哉 桑沢 保夫 真鍋 純 中林 由行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.68, no.566, pp.65-71, 2003-04-30 (Released:2016-12-28)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

The purpose of this research is to know the present status of the indoor air chemical pollution by VOCs in Japanese houses in 2000. The concentrations of formaldehyde, toluene, xylene and ethylbenzene were measured in five thousand houses, and the following results were obtained. 1) In 27.3% of surveyed houses, the indoor concentrations of formaldehyde exceeded the guideline established by the Ministry of health, labor and welfare of Japanese Government. And those of toluene, xylene and ethylbenzene were 12.3, 0.013 and 0% respectively. 2) The formaldehyde concentrations correlated well to the indoor temperatures. 3) The averages of the formaldehyde concentrations in houses according to the age of year after construction were analyzed, and the concentration in houses built after 1997 was lower than that in 1996, which showed the highest value.
著者
小林 基
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.397-419, 2016 (Released:2018-01-31)
参考文献数
50

1970年代に,研究者らによって保全の必要性が主張され注目された「伝統作物」は,国内各地で農産物ブランドの形成を通じた農業振興に活用されうるものとしてあらためて注目を集め,研究が進んでいる。本稿は,兵庫県篠山市の丹波黒のブランド化を題材とし,伝統作物のブランド化過程を解明する。1970年代末以降,丹波黒は転作作物として生産が拡大され,全国的・周年的な需要が掘り起こされていった。1990年代になると西日本を中心に各地で新興産地が生じ,篠山では利益保護のためのブランド認証が必要となった。さらに,生産者と流通業者の関係をみると,他産地に先駆けて商品を出荷したい流通業者と収穫に時間と手間をかけざるをえない農家との間に葛藤が生じ,その調整がなされていた。このように,生産・供給システムの広域化による需要獲得と利益保護の両立,高品質性と早出しの両立といった諸方策により,丹波黒の全国ブランド化が展開したことが分かった。
著者
赤松 大成 森 太郎 林 基哉 羽山 広文
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.88, no.803, pp.43-49, 2023-01-01 (Released:2023-01-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

COVID-19 caused a global pandemic. The possibility of aerosol transmission has been pointed out as a possible route of infection, and there are reports that conventional infection control measures are insufficient to counteract aerosol transmission. Therefore, this report presents the results of an actual survey at a high school, including measurement of CO2 concentration and a questionnaire survey, and the results of an experiment to evaluate the attenuation of particle concentration by an air cleaner based on this survey.
著者
林 基哉 小林 健一 金 勲 開原 典子
出版者
National Institute of Public Health
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.63-72, 2020-02-01 (Released:2020-03-12)
参考文献数
6

建築物衛生法(LEHB)の制定から50年を経て,建物の衛生が再び注目されている. 1970年代には,LEHBによってシックビルディングシンドロームを予防できると考えられていたが,LEHBの基準に対する空気環境の不適合率は,この20年間増加している.最近の研究では,オフィスでのシックビルディング症候群の発生率は低くないことが示された.この不適合率の要因の 1 つは,1990年代以降の建物の省エネルギー対策のためであり,この傾向は,2017年に建物のエネルギー効率化が義務付けられたため,今後も続くと考えられている.建物衛生を考慮しつつ環境負荷を軽減するには,建築衛生の実態把握と課題の抽出が必要である.本稿では,LEHBと,日本の建物における環境衛生管理,室内空気環境,保健所による監視指導,建物衛生向上のための課題に関する最近の研究の結果を紹介する.
著者
林 基哉 金 勲 開原 典子 小林 健一 鍵 直樹 柳 宇 東 賢一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.84, no.765, pp.1011-1018, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

The state of the increase in the nonconformity rates of air environment in specific buildings was investigated using local government survey reports. The factors in the increase of carbon dioxide concentration were analyzed in consideration of the increase of ambient concentration, the characteristics of indoor concentrations and the characteristics of the government reports. The results were as follows. 1 The nonconformity rates of humidity, temperature and carbon dioxide concentration have increased with the number of specific buildings since 1999. And reports made by the owners of specific buildings are substituted for inspections by government officials in most prefectures. 2 One of the factors in the increase of nonconformity rates of temperature, humidity and carbon dioxide concentration is the increase of reports using measurement data by building maintenance suppliers. The nonconformity rates of humidity and carbon dioxide concentration were higher in northern prefectures. 3 The frequency of indoor carbon dioxide concentration in specific buildings in Tokyo was similar to that in Osaka. The frequency distribution of the differences between indoor concentration and outdoor concentration in Tokyo follows Weibull frequency distribution. 4 The ambient concentration of carbon dioxide has increased especially in urban areas. The increase of ambient concentration is thought to increase the indoor concentrations in specific buildings. 5 The nonconformity rates of carbon dioxide concentration depend on not only ambient concentration but also the rates of ventilation reduction and survey methods by governments. The nonconformity rates were calculated using an equation composed on the basis of Weibull frequency. The coefficients of these factors were calculated using the equation and the survey data on all Japan. 6 The increase of ambient concentration made the nonconformity rate of indoor concentration 3.1% higher and ventilation reduction made it 7.2% higher and the change of survey method made it 11.6% higher in these nineteen years. These results showed that the increase of nonconformity rates depends on several factors. Therefore it is necessary to design integrated countermeasures in order to decrease these nonconformity rates.
著者
金 勲 小林 健一 開原 典子 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 長谷川 兼一 中野 淳太 李 時桓 林 基哉
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和2年度大会(オンライン)学術講演論文集 第8巻 性能検証・実態調査 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.293-296, 2020 (Released:2021-10-28)

特定建築物及び中小規模建築24件を対象に、2019年度の冷暖房期に行った温度・湿度・CO2の2週間の連続測定からCO2濃度に関する結果を報告する。平均値としては1000ppmを超える建物は2割程度であったが、1回でも1000ppmを超える割合はほぼ7割あった。また、昨年度とは異なり期間中ずっと1000ppmを下回らない、3000ppmを超える高濃度を示すなど、著しく悪い環境にある物件はなかった。