著者
荒井 朋子 川勝 康弘 中村 圭子 小松 睦美 千秋 博紀 和田 浩二 亀田 真吾 大野 宗佑 石橋 高 石丸 亮 中宮 賢樹 春日 敏測 大塚 勝仁 中村 智樹 中藤 亜衣子 中村 良介 伊藤 孝士 渡部 潤一 小林 正規
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.239-246, 2012
参考文献数
54

地球近傍小惑星(3200)Phaethonは,ふたご座流星群の母天体であるが,彗星活動は乏しく,彗星と小惑星の中間的特徴を持つ活動的小惑星(あるいは枯渇彗星)と考えられている.また,ふたご座流星群のスペクトル観測から報告されているナトリウムの枯渇及び不均質は,太陽加熱の影響よりも局所的部分溶融を経た母天体の組成不均質を反映している可能性が高い.部分溶融の痕跡を残す原始的分化隕石中に見られる薄片規模(mm-cmスケール)でのナトリウム不均質は,上記の可能性を支持する.従って, Phaethonでは局所的な加熱溶融・分別を経験した物質と,始原的な彗星物質が共存することが期待される. Phaethonは,太陽系固体天体形成の最初期プロセスを解明するための貴重な探査標的である.また,天文学,天体力学,小惑星・彗星科学,隕石学,実験岩石学などの惑星科学の多分野に横断的な本質的課題解明の鍵を握る理想的な天体である.本稿では,小惑星Phaethon及び関連小惑星の科学的意義と探査提案について述べる.
著者
若林 正丈
出版者
学習院大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究 (ISSN:13449850)
巻号頁・発行日
no.5, pp.121-139, 2003-03

It is a well-known fact that identity politics emerged in Taiwan following its political democratization. Competing notions and discourses concerning the identity of Taiwan's polity are vying for political support. This can be better understood in the context of post-war years, when the Taiwall state was reconstructed as a"settler state"(in Ronald Weitzer's term)by the Chinese Nationalist Party(the Kuomintang:KMT). KMT's retreat to Taiwan after its defeat in the Civil War against the Chinese Communists restructured Taiwan's multi-ethnic society by bringing in a new "ethnic"group, the Mainlanders. The Mainlanders or Waishengren (literally people of outer provinces), who fled with the KMT regime to Taiwan, also monopolized the core positions of the settler state. Although this is a widely recognized fact, academic studies concerning this situation and the role of Waishengren in post-war Taiwan remain limited. This study is a preliminary effort to contribute to the existing researches on Waishengren. It first shows that a deep ethnic division between Waishengren and Benshengren (literally people of this province)was formed as a result of Bensh engren's uprising against the KMT-led Taiwan provincial government, on February 28,1947, and the subsequent harsh suppression which claimed between 180,00 and 28,0001ives(the February 28 1ncident). Based on the demographic data of Waishengren, the study then provides a rough picture of the social outlook of Waishengren during the early years of their settlement in Taiwan.
著者
竹林 正樹 吉池 信男 竹林 紅
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.173-181, 2021

<p>目的:ナッジのEASTフレームワークに沿って構築した職域用体重測定促進介入のプロセス評価と報告</p><p>事業内容:働く世代の肥満予防策として,3つの体重測定促進介入を構築した.全群にEasy型ナッジを採用の上,クイズ群(Attractive型),宣言群(Social型),成功回顧群(Timely型)を設計した.青森県職員(応募要件:体重測定頻度が週1回未満)を対象に1時間の集合型研修会を開催し,実施者の実施意欲と負担感,参加者満足,人件費を含む実施コストについて,インタビューと質問紙調査によるプロセス評価を行った.</p><p>事業評価:研修会の実施には職員4人が携わり(解析対象者3人),参加者は83人(解析対象者78人)だった.実施者の研修前の実施意欲はクイズ群,宣言群,成功回顧群の順に高かった.実施コストは成功回顧群(263~291千円),クイズ群(207~235千円),宣言群(179~207千円)で,実施負担感もこの順だった.参加者満足はクイズ群(92.6%),成功回顧群(88.5%),宣言群(64.0%)(<i>P</i>=0.016)の順だった.</p><p>課題:クイズ群は実施者,参加者双方の評価が高く,最も普及可能性があると推測された.人件費を含む実施コストは,事前予想した額に比べ,実際に要した額は2倍以上であった.また,実施者のナッジ普及フェーズが習得期から実践期へ変化したことが観察された.</p>
著者
宗林 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.38-44, 1960-03-30
被引用文献数
7

25属34種のアブラムシについて口針が植物組織にそう入される状態を観察した。その結果の果要は次のとおりである。<br>1) 口針を表皮組織にそう入する際,ほとんどすべての種類では,表皮細胞間または細胞内を貫通するが,あるものは気孔からそう入し,同一種でも一定しない。しかし,カンショワタアブラムシ<i>Ceratovacuna lanigera</i> ZEHNTNER(ススキ)およびマツノハアブラムシ<i>Schizolachnus orientalis</i> TAKAHASHI(アカマツ)の2種は常に気孔からのみそう入する。<br>2) 口針が植物組織内に進入するときには一般に細胞間を通るが,細胞内を貫通することもしばしばあり,結晶体を含む細胞も容易に貫通する。厚膜組織では細胞内を貫通することはまれで,細胞間のみを通るか,あるいはこの組織を避けて柔組織を通る場合が多い。しかしマツノハアブラムシ<i>Schizolachnus orientalis</i> TAKAHASHIでは,常にアカマツ針葉組織細胞内のみを貫通する。<br>3) 口針しょうは細胞間を通過する部分よりも細胞内を貫通した部分に顕著で,また表皮と口ふんの先端との間,あるいは葉しょうと茎との間の空気中にも形成される。口針しょうは口針内の気密を保つためにも役だつものと思われる。<br>4) 口針の先端はほとんど常にし部細胞内,特にし管内にそう入される。皮層細胞内にそう入されたものは見られなかったが,まれに木部あるいは管束しょうにそう入されていた個体も見られた。また口針はそう入部から最も近いし部に達するとはかぎらず,皮層を遠回りし,あるいは髄線を経て髄にはいりし部に達するもの,あるいはし部または木部のみを通過することがある。また口針はし部で同一細胞からのみ吸汁するものではなく,たびたび新しい細胞に刺し変えるため口針こん跡の分枝したものが多数みられた。
著者
松林 正 市川 広美 稲垣 晴代 今枝 正行 水谷 文彦 安藤 光広 鈴木 賀巳 西村 豊
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.172-175, 1991

急性リンパ性白血病を合併した結節性硬化症の1例を報告した.症例は結節性硬化症の9歳の女児で, 発熱と全身倦怠のため近医受診, 血液検査・骨髄検査にて急性リンパ性白血病と診断され当科紹介入院となった.骨髄塗抹標本では芽球が96%を占めていた.芽球は細胞生化学的には, ペルオキシダーゼ染色陰性, PAS染色陽性で, 表面マーカー検索では, CD9, CD10, CDI9, CD20, HLA-DR陽性であった.化学療法を行い, 完全寛解を得た.神経線維腫症では白血病合併例は散見されているが, 同じ神経皮膚症候群である結節性硬化症での白血病合併は非常に稀である.
著者
林 正巳 實 清隆
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.97-101, 1979

Most of Japanese municipalities, which were incorporated first in 1899, have experienced annexation or consolidation. However, there are municipalities which have not been annexed by adjacent large municipalities. This symposium was intended to focus on the problems of such non-annexed small corporate units. In order to handle the problems, we must pay attention not only to their geographical location, but also totheir administrative, financial and historical background.<br> This symposium was carried on by two chairmen, four commentators, and ten speakers. Chariman: Osamu NISHIKAWA (Univ. of Tokyo) and Yoshio WATANABE (Tokyo Metropolitan Univ.), Commentators: Shoichi YOKOYAMA (Univ. of Ehime), Hideo TSUKADA (Univ. of Nara), Yasuo MASAI (Univ. of Tsukuba), and Naoki YOSHIZU (Univ. of Nagoya). We got the following ten reports.<br> 1. FUKUHARA, H.: Case Study of Waki-cho Bordering Hiroshima and Yamaguchi Prefecture.<br> 2. HIGAKI M.: Case Study of Yoshitomi-cho Adjacent to Nakotsu City, Ohita Prefecture.<br> 3. SAEKI, I.: Case Study of Fuchu-machi Adjacent to Hiroshima City, Hiroshima Prefecture.<br> 4. IDO, S.: Historical Approaches to Several Non-annexed <i>Muras</i> in Shiga Prefecture.<br> 5. SAKAGUCHI, K. MIZUYAMA, T. and KOTANI, M.: Case Study of Iwataki-cho, Kyoto Prefecture.<br> 6. YOKOTA, T.: Case Study of Kasugai-cho, Yamaguchi Prefecture.<br> 7. CHIBA, T.: Minami-kawahara-mura, Saitama Prefecture.<br> 8. OHISHI, T.: Demographical Approach to the Distribution of Non-annexed Municipalities.<br> 9. OGURI, H.: On the Changes in Communities with the Consolidation of Local Government.<br> 10. MIIDA, K.: Case Study of Some Non-annexed Small Corporate Units. Discussions were focused on the following points.<br> 1. Merits and demerits of the non-annexed municipalities<br> 2. Management and control of the budget of the municipalities<br> 3. Community sentiment and non-annexed municipalities<br> 4. Moderate scale of local government<br> 5. Connection with other local governments in terms of consolidation.
著者
相良 節夫 大林 正直 壇上 光昭 村田 純一 和田 清 熊丸 耕介 三木 康臣
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

本研究では、(1)多変数線形システム(2)未知パタン変動システム(3)分布定数システム(4)電力システムの4種のシステムを対象としている。以下、各対象システムごとに順に研究成果の概要をまとめる。(1)一般化最小2乗推定値を得るための計算効率のようアルゴリズムを提案し、またバイアス補償最小2乗法を入出力に観測雑音がある場合に拡張した。最小2乗法の数値的不安定性のシステム・雑音特性との関連を解析した。さらに、多変数システムの表現法として、ベクトル差分方程式の重複形表現の有効性を明らかにした。(2)未知パタン変動として現れるシステムの故障の有効な診断法として、簡易診断部と精密診断部からなる階層的診断法を提案し、故障検出感度の事前評価法を考案した。また、診断の困難な適応制御システムを対象に、ファジィ推論法に基づく診断手法を開発した。さらに、分散形システムに対して、さブシステムごとに推定結果を統合して適切な診断を行うコ-ディネ-タの設計法を提案した。(3)分布定数システムの有限次元近似手法であるガラ-キン法について、座標関数の選び方と近似精度との関係を解析した。また、偏徴分方程式のパラメ-タ同定手法として、数値積分フィルタ・最適ディジタルフィルタを用いた手法を提案した。一方、高温金属面と沸騰水との境界の関度や熱流続の特性を、直接測定することなく分布定数システムの境界条件推定問題として求める方法を開発した。(4)複雑なシステムのモデル化が必要となる電力負荷予測について考察し、モデルを自動選択する1日先負荷予測、気温モデルによる負荷時系列の定常化処理を行う1週間負荷予測の各手法を開発した。また、発電機制御の新しい方式を提案し、簡単な構成によって制御性能・ロバスト性とも大幅に向上できることを示した。
著者
松本 忠彦 白川 康太郎 横山 勝 福田 寛文 サルカ アナマリア ダニエラ 小藪 助直 山崎 寛章 数馬 安浩 松井 宏行 丸山 亙 永田 佳代子 田邊 史子 小林 正行 新堂 啓祐 森下 了 佐藤 裕徳 髙折 晃史
出版者
Springer Science and Business Media LLC
雑誌
Scientific Reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
no.9, 2019-06-05

がんに遺伝子変異を導入する酵素の分子スイッチを発見 --リン酸化によるDNAシトシン脱アミノ化酵素の活性制御機構--. 京都大学プレスリリース. 2019-06-07.
著者
鯉渕 幹生 田中 宗一郎 高尾 契太 晝間 崇史 植田 寛 林 正樹
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.4, pp.63-64, 2005

NHK技術研究所が開発したテレビ番組記述言語TVML用いて楽曲のイメージを表現した映像作品の試作に挑戦した。誰もが共感できる「愛」をテーマに主人公BOBが愛するMARYのために奮闘する姿を描いた。MARYに会いたいという、たった一つの目的に向かってひたすら進むBOB。あえて難解なストーリーを廃し、デフォルメされたCGを使う事によってストレートに作品のテーマを感じてもらおうと試みた。BOBはMARYに会いたいという一心でどんな試練でも乗り越えていく。その姿を見て自分の愛する人、家族や友人、恋人と共に励ましあい頑張っていく大切さ、また一人ではないという事の心強さに気づいて欲しいと思った。
著者
小森 克俊 奥口 文宣 金塚 東 小林 正 糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.165-172, 2013 (Released:2013-04-05)
参考文献数
22

2型糖尿病患者1184例にピオグリタゾン(以下PIO)を5年間投与したときの体重推移と増加に影響する因子をレトロスペクティブに検討した.HbA1cはPIO投与前8.0 %から5年後には7.1 %と平均0.9 %低下(p<0.001)し,体重は67.6±13.2(M±SD)kgから70.4±14.5 kgと平均2.8 kgの増加を認めた(p=0.001).体重はPIO投与後12ヶ月まで増加し以降はほぼ不変であった.PIO単独群と比べると,SU薬併用群,SU薬+BG薬併用群では体重増加は有意に大きく,個々の併用糖尿病薬の有無別にみるとSU薬併用では体重増加の助長,αGI薬併用では体重増加の抑制がみとめられた.重回帰分析では,女性,投与前のHbA1cと肥満度,SU薬,αGI薬併用の有無がPIO投与後の体重増加と有意に相関していた.一方,動脈硬化のリスクファクターであるHDL-Cは改善していた.
著者
望月 直美 小林 正夫 西大路 賢一 宮田 正年 宇野 耕治 桂 奏
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 = Journal of gastroenterological cancer screening (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.557-563, 2013-09-15
参考文献数
19

症例は61歳, 男性。人間ドックの上部消化管内視鏡検診で胸部中部食道に長径約2cmの隆起性病変を認めた。中心部には陥凹を認めたが, 辺縁部は既存の上皮に覆われており粘膜下腫瘍様形態であった。生検組織で免疫染色上クロモグラニンAとシナプトフィジンが陽性であり, 食道内分泌細胞癌と診断した。超音波内視鏡検査の結果, 食道外膜への浸潤を認めた。また多発肝転移を認め, StageIVbであった。化学療法としてCPT11/CDDPおよびVP-16/CDDPを行ったが, 9か月後に永眠された。食道内分泌細胞癌は進行が速く, 予後はきわめて不良である。稀な疾患であるが, 診断のためには臨床的特徴を把握しておくことが重要である。
著者
小林 正三
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2015-03

1) ヨシキリザメ肉のはんぺん加工適性を評価するため,原料のpH,インピーダンス比,K値および試料の水分を測定し,調製したはんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価との関係を調べた。2) 原料のpHは,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関が認められ,その相関係数はもっとも高く,はんぺん原料の品質指標としてもっとも適していた。3) ホモジナイズ液の濁り具合は,原料のpHと相関があり,pH測定に代わる官能的な品質指標として有効であった。4) 原料のインピーダンス比は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpHに次いで高かった。死後硬直前など鮮度が良すぎる原料を除けば,はんぺんの官能評価とも相関が認められた。5) 原料のK値は,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関がなかった。6) 試料の水分は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpH,インピーダンス比に次いで高かった。7) はんぺん加工に適したヨシキリザメは,死後硬直しアンモニア臭がしないもので,pHは5.5~6.7の範囲では高いものほど,インピーダンス比は低いものほど,水切り後の水分は高いものほどはんぺん加工適性が高いことが分かった。
著者
小林 正三
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2015 (Released:2015-09-10)

1) ヨシキリザメ肉のはんぺん加工適性を評価するため,原料のpH,インピーダンス比,K値および試料の水分を測定し,調製したはんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価との関係を調べた。2) 原料のpHは,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関が認められ,その相関係数はもっとも高く,はんぺん原料の品質指標としてもっとも適していた。3) ホモジナイズ液の濁り具合は,原料のpHと相関があり,pH測定に代わる官能的な品質指標として有効であった。4) 原料のインピーダンス比は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpHに次いで高かった。死後硬直前など鮮度が良すぎる原料を除けば,はんぺんの官能評価とも相関が認められた。5) 原料のK値は,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関がなかった。6) 試料の水分は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpH,インピーダンス比に次いで高かった。7) はんぺん加工に適したヨシキリザメは,死後硬直しアンモニア臭がしないもので,pHは5.5~6.7の範囲では高いものほど,インピーダンス比は低いものほど,水切り後の水分は高いものほどはんぺん加工適性が高いことが分かった。
著者
大林 正史 Masafumi OBAYASHI
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.120-134, 2020

The purpose of this study is to clarify the current status of learning support as a measure to prevent children's poverty in A prefecture in Chugoku and Shikoku region, and to consider the tasks. In this study, interviews and observations were conducted. As a result, the following four points were raised regarding the tasks of learning support as measures for poverty of children in A prefecture. The first task is that the A Prefecture Board of Education works together with the welfare department to think the community future cram school and "children's learning support project" as a child poverty countermeasure. The second task is to establish a universal system in mountainous areas, and a selective system based on academic ability in plain and urban areas. The third task is to clarify the division of roles to make the cooperation of actions related to learning support as a countermeasure for children's poverty work. The fourth issue is to reexamine the purpose of "Children's Learning Support Project" and "Regional Future School".
著者
広田 秀憲 小林 正義 関東 良公 上田 一之
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.125-130, 1987
被引用文献数
1

著者らの観察ではセンチピードグラスは新潟市の気象環境の下でも10数年は生きるものと考えられ, 耐寒性はバーミュダグラスとほぼ同じ程度に強く, 冬の極値が12°F (-11℃) 以上の気温で生育する。晩秋の霜枯れしたあと生育を停止する。年平均気温13℃の地域を北限としているため, 限界地帯では年によりかなり冬枯れするが, すべて枯死することはなく春になれば再び旺盛に生育を始める。<BR>ほふく茎は2次茎も3次茎も太く, 葉幅も3~4mmと芝草の中では広い方である。芝地としては管理しやすい草種である。病虫害にも強い。早春と秋にモグラの害を蒙ることがありモグレスなどの忌避剤をまく必要がある。<BR>本草種の用途としては, ゴルフ場のラフ, 公園の植込みの間, 運動場のフィールドや観覧席, あるいは道路, 堤塘などにおける平面や斜面の緑化などに普及性が高い。ほふく茎のもつ被覆力, 各節からの旺盛な発根力をもつと種々の方面に活用したいものである。<BR>なお, 本草種は飼料としての価値はあまり高くないとみられているが, 平準的な季節生産性を利用して兎, 羊など中小動物による放牧利用の可能性がまだ残されている。