著者
藤嶋 桃子 岩田 吉生
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-72, 2019-03

これまで聴覚障害者に属する「難聴者」という立場は,「聞こえにくい状況がありながらも健聴者の文化に所属する存在」,「健聴者やろう者というそれぞれの文化に属さない不安定な存在」などとして考えられてきたが,近年は,聴覚障害者が形成するアイデンティティの新しい概念として「難聴者」の存在が示唆されている。しかし,これまでの先行研究においてその詳細は十分に解明されていない。本研究では,聴覚障害者のアイデンティティ形成の研究に加えて,難聴者と同様に,二つの文化の所属に葛藤することが予想される国際児のアイデンティティ形成の研究をレビューすることで難聴者のアイデンティティ形成を検討するうえでの視座を得ることを目的として検討を行った。その結果,国際児にとって最も自然で安定的な「国際児としてのアイデンティティ」のように,健聴社会とろう社会の二言語二文化を習得し,両者の橋渡し的立場で生きる「難聴者としてのアイデンティティ」の存在が考えられた。
著者
今岡 泰憲 廣瀬 桃子 山口 みさき 武村 裕之 塩津 裕康
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.239-246, 2021-04-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
14

呼吸器疾患のクライエントに対して,酸素デバイスの取り扱いや,トイレ使用時の呼吸困難を軽減させるセルフマネジメントスキルを習得するために,Cognitive Orientation to daily Occupational Performance(以下,CO-OP)を使用した(5日,40分/日).結果,Canadian Occupational Performance Measure,Performance Quality Rating Scaleは向上した.今回の報告でCO-OPは,呼吸器疾患のクライエントのセルフマネジメントスキルの習得に有用である可能性が示唆された.
著者
伊藤 宗元 大黒 久子 篠田 孝司 佐藤 桃子 渡部 健次
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.764-770, 1969 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

We observed alteration of the behavior of coagulation factors during menstrual cycle by examination of nine kinds of test every week upon 12 healthy single females. At the same time we examined 5 healthy males in same way as a cotrast.The items of test are platelet count, bleeding time, coagulation time, capillary fragility (negative pressure), clot retraction, prothrombin time, recalcification time, partial thromboplastin time and serum fibrinogen.We obtained the following results;After period, there are definite increase of platelet count, prolongation of bleeding time, slight prolongation of recalcification time and prothrombin time. During period, coagulation time is shortened slightly and clot retraction became stable as 40∼50%. There is temporal decrease of capillary resistence after period, partial thromboplastin time much prolonged in one to two weeks after period. Serum fibrinogen increased slightly after period.The alteration of the behavior of coagulation factors during menstmal cycle are supposed to be affected by the age, marriage, delivery, amount of bleeding at period and length of menstrual cycle, because of which we should interpret results in consideration of the alteration during menstrual cycle in laboratory study.
著者
横井 桃子 川端 亮
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-95, 2013

従来の国際比較研究では、「教会出席」や「神との関係」といったキリスト教中心につくられた変数が宗教性を測るものとして用いられてきた。グローバル化する現代において、日本の宗教性を欧米のこれらの変数で正しく測ることは喫緊の課題となっている。本稿では、統計数理研究所の国民性調査の中の「宗教的な心は大切か」という質問文を日本人の宗教性を測るものとし、様々な社会意識や行動との関連を検討した。その結果、欧米の先行研究で検証されていたボランティア行動や利他的行動、投票行動、伝統的意識や社会的責任感に「宗教的な心」が影響を及ぼすことが分かった。日本における「宗教的な心」を用いて測定された宗教性が、欧米で用いられてきた従来の変数で測られるそれと操作的に同じはたらきをする可能性が示唆された。今後、「宗教的な心」が欧米の調査データでも検証されることで、さらにこの項目の有効性が明らかになるだろう。
著者
伊達 桃子
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Nara Gakuen University (ISSN:2188918X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.175-185, 2018-10

19世紀後半から20世紀初頭に書かれた英米少女小説の中で、少女と人形が関わるものを取り上げ、当時の社会が少女に期待する役割がそこに表れていることを明らかにする。さらに、実際の少女と人形の関係がその役割を逸脱していたことを示す。人形ファンタジーが、直接的また間接的に少女の役割を示す機能を果たしていることを論証し、時代によるその役割の変化を辿る。
著者
山下 一也 井山 ゆり 松本 亥智江 井上 千晶 松岡 文子 磯村 由美 飯塚 桃子 梶谷 みゆき 吾郷 美奈恵 齋藤 茂子 湯澤 雄一郎 片倉 賢紀 橋本 道男 加藤 節司 Kazuya YAMASITA Yuri IYAMA Ayako MATSUOKA Yumi ISOMURA Momoko IIZUKA Miyuki KAJITANI Minae AGO Sigeko SAITO Yoichiro FUKUZAWA Masanori KATAKURA Michio HASHIMOTO Setsuji KATO
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.25-30, 2007-12-10

高齢者の趣味の有無が認知機能と関連しているとの報告が多くなされている。今回、地域在住一般高齢者272名(平均年齢72.3歳)を対象に趣味の有無と認知機能の関連を検討した。趣味を有する群(186名)と無趣味群(86名)では、主観的幸福感、抑うつ程度、 日常生活動作には有意差は見られなかったが、認知機能においては、趣味を有する群では無趣味群に比して有意に高値であった。また、趣味を有する群では、無趣味群に比して、物事に好奇心があり、社交的な性格であった。認知症予防において、趣味を持つことを積極的に勧めることは重要と思われる。
著者
天岩 靜子 増田 桃子 Shizuko Amaiwa Masuda Momoko
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 : 共大研究 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.211-225, 2013-03-31

絶対音感保有者は、ある音高を他の音高を参照することなく、音楽的音高名で即座に同定することができる。音を音階名(言語)として認識できるのである。そこで、3 種類の音(ドラム、ピアノ、階名の発声音)を聴きながら視覚的に現れる数字を記憶する課題を与え、脳前頭のどの部位が活性化するかを、fNIRS(functional Near-Infrared Spectroscopy:機能的近赤外分光分析法)を用いて測定した。前頭部位を、(1)中央の前頭葉+ 前頭前野背外側部、(2)右下前頭、(3)左下前頭に分けて検討した結果、絶対音感保有者は、非保有者に比べてピアノ音に対して敏感であり、数字の記憶課題解決の際には、ピアノ音がある場合に前頭の中央部と言語野のある左下前頭で活性化が著しく、干渉効果が認められた。絶対音感保有者は前頭の左部分で数字の記憶をする一方、ピアノ音についても同じ脳部位で処理していることが確認された。Absolute pitch possessors have the ability to realize the musical pitch name immediately without comparison to other sounds. We investigated their ability to perform visual numbermemorizing-tasks while simultaneously listening three kinds of stimuli-drum, piano, and a human voice announcing the musical pitch names. Using fNIRS (functional Near-Infrared Spectroscopy), we analyzed blood flow changes on the prefrontal area of the brain. Absolute pitch possessors responded to piano sound more sensitively, and their left and middle parts of the prefrontal area were highly activated while performing number-memorizing-tasks compared with non-absolute pitch possessors. It was confirmed that absolute pitch possessors processed sounds and numbers in almost the same area of prefrontal brain.
著者
河東 宗平 雨宮 尚弘 梶山 桃子 川嶋 裕子 塩川 さとこ 有馬 貴之 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.189-194, 2013-03

本報告は近年外国人観光客が増加する箱根の強羅地区を事例として,外国人観光客への取り組み状況の現状を把捉することを目的としたものである。調査は案内板調査,アンケート調査,動線調査,聞き取り調査の4つを行った。強羅における案内板は,そのほとんどが日本人観光客を意識したものであり,英語併記等の案内板は全くみられなかった。強羅における外国人観光客の増加自体は近年の現象であり,その割合も日本人観光客の割合には遠く及ばない。そのため,現状では外国人観光客への取り組みは,箱根の他地域と比べも大きく進展している状況ではなかった。しかしながら,強羅での就業者は外国人観光客を拒んでいる訳ではなく,むしろ迎え入れる意識を高く持っていた。2,3 年前から外国人を意識した接客を始めた施設が多い強羅ではあるが,今後,新たな取り組みがみられる可能性が高いと判断された。
著者
河野 桃子
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-9, 2012-03-10

Es gibt ab und zu eine Tendenz, nur die Praxis der Waldorfpädagogik zu beachten und die Diskussion über den Gedanken von R.Steiner, der eine Grundlage für die Praxis ist, zu tabuisieren. Es leitet sich von der dualistischen Komposition seines späteren mystischen Gedanken her. In dieser Abhandlung wird versucht, eine positive Bedeutung zu zeigen, auch seinen Gedanken in Betracht zu ziehen, um die Praxis besser auszulegen. Dabei thematisieren wir insbesondere einen "Effekt", den sein Gedanke über "Reinkarnation"(damit auch über "Persönlichkeit" und "Individualität") ermöglicht. Am Ende ergänzen wir diesen "Effekt" mit der Intention zur monistischen Erkenntnis, die Steiner ganze Zeit erhalten hat.
著者
中村 桃子 佐藤 響子 マリイ クレア 熊谷 滋子
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

第一に、スパムメール、親密な関係を扱った小説、日常会話を分析し、「女ことば」や「男ことば」が、異性愛規範に沿ったセクシュアル・アイデンティティ構築に利用されていることを明らかにした。第二に、マスコミの多様なセクシュアル・アイデンティティ遂行とことばの実践を考察し、その歴史的な変動を明らかにした。第三に『ことばとセクシュアリティ』(邦訳)を出版した。第四に、多くの国際学会でこれらの研究成果を発表した。
著者
岡崎 桃子 中垣 拳 筧 康明
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1-6, 2014-09-12

一般的な編み物では毛糸の色を変える際,新しい別の色の毛糸を結び足す必要があるが,これは手間がかかり,その切り替えの箇所が作品の形に影響を与えてしまうなどの問題がある.本研究ではメタモインキの65℃以上で色が消える特徴を利用する.メタモインキを染み込ませた毛糸を,先端が発熱する編み棒を用いることで,任意の箇所で変色を制御可能な編み物を可能にする.さらに,本稿では,感情や周囲の環境の変化などを編み物の色に反映させるなど新たな編み物手法を提案する.
著者
堀越 桃子 高本 偉碩
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2型糖尿病の主要な原因遺伝子の1つとして同定されているTCF7L2遺伝子のin vivoにおける糖代謝との関連に注目した検討をTcf7l2の機能を膵β細胞で低下させたモデル動物とヒトにおいて解析した。TCF7L2の機能低下型マウスでは野生型に比べて,糖負荷試験におけるインスリン分泌の低下と高血糖を示された。またヒトにおいては糖尿病リスクアリルをホモに持つヒトで、90分血糖値が有意に上昇、120分インスリン値が有意に低下しており、膵β細胞におけるTCF7L2の機能低下はインスリン分泌低下による耐糖能異常を惹起したことが示された。
著者
市川 桃子
出版者
駒澤大学
雑誌
論集 (ISSN:03899837)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.A1-A18, 1982-09