著者
柴崎 郁子 碓氷 章彦 森田 茂樹 横山 斉
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-11, 2020-01-15 (Released:2020-02-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3

[目的]政府が働き方改革を推し進めるなか,医師も例外ではない.今回外科系のなかでも特に労働条件が過酷と言われる心臓血管外科領域での労働環境や処遇の現状について調査した.[方法]2018年12月に日本心臓血管外科学会は,心臓血管外科医の働き方改革,処遇改善に向けた基礎データーを得るため,心臓血管外科学会の会員メンバー3,701名にインターネットよるアンケート調査を実施した.[結果]634名の心臓血管外科医から回答を得た(回答率:17%,男性589名,女性38名).回答者は40~50歳代の中堅外科医が中心であった.主な勤務先での労働時間が平均週60時間以上と回答したのが473名(75.5%),週80時間以上の労働と回答したのが176名(28.2%)だった.また,勤務時間外・深夜・休日の呼び出しに対しての手当支給がないと回答したのは249名(40.4%)で,勤務時間外・深夜・休日の手術に対しての手当支給がないと回答したのは345名(56.6%)だった.[結語]心臓血管外科領域では,約75%以上が過剰労働をしており,労働に相応しい収入が得られていないことがわかった.働き方改革が進むなか,心臓血管外科医の労働環境改善は喫緊の課題である.学会を中心に国民の理解を得ながら処遇改善の取組みを進めることが求められている.
著者
森田 亜希子 森 恵美 石井 邦子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.425-432, 2010-07-01
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究の目的は,初めて親となる男性における,産後の父親役割行動を考える契機となった体験を明らかにすることである。妊娠34週以降の妊婦をもつ夫21名を対象に,半構成的面接法によって研究データを収集した。データを質的・帰納的に分析した結果,産後の父親役割行動を考える契機となった体験は,父親役割モデルとの出会いや想起により,自分なりの理想的な父親像について考える,妊娠・出産する妻への愛情を再確認して,夫/父親として協力する気持ちが芽生える,周囲から育児に関する情報を受けて,仕事と家庭内役割のバランスについて考えるなど,10の体験が明らかになった。導かれた産後の父親役割行動を考える契機となった体験の3つの特徴と,この体験をもつための前提条件から,父親としての自己像形成に必要な素材の内容を把握し提供すること,妊娠・出産をする妻に対して関心を高めるよう促すこと,仕事と家庭内役割の役割調整の必要性に気づくよう促すこと,が示唆された。
著者
嶋田 さおり 岸田 太郎 坂田 香代子 森田 君香 平岡 祥子 改野 芙美 松本 愛 中村 紀子 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.110, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】家庭で一般的に行われている揚げ物料理の吸油率については、すでに調べられ文献等で公表されている。しかし、大量調理機器によって測定された吸油率のデータは見られない。学校給食の場合、厨房設備や作業工程などの事情から、一般的な揚げ物料理とは、食材やその切り方が異なることもある。そこで本研究では、学校給食で提供頻度の高い揚げ物料理について、吸油率を明らかにし、児童生徒に提供している給食の栄養価を正確に把握することを目的とした。【方法】愛媛県松山市において、平成22~24年度の学校給食献立3年分をもとに、提供頻度の高い揚げ物料理を、素材別、揚げ形態別、揚げ衣別に整理した。次に、提供頻度の高い揚げ物料理について、2か所の共同調理場で、ガス回転釜とフライヤーの2種の調理機器を使用して実際に調理し、調理前後の水分率、吸油率を測定した。各試料は、20人分で調整し、揚げる前と揚げた後の試料の全量をそれぞれホモゲナイズし、その中から1gを取り出してクロロホルム・メタノール法で2分抽出して測定した。【結果】提供頻度の高い揚げ物料理に使用されている素材は、魚が最も多く次に肉、甲殻類が続いていた。揚げ方の調理形態別では天ぷらと唐揚げが多く、揚げ衣別ではでん粉を主としたものが44%、小麦粉等が39%、衣なしが17%であった。これらの結果から素材は使用頻度の高い鯛を使用しその唐揚げと天ぷらについて吸油率を測定した。170℃で3分揚げた鯛の唐揚げは、ガス回転釜の吸油率が8.6%、フライヤーの吸油率が4.6%であった。これはガス回転釜投入時の平均油温がフライヤーよりわずかに高く、そのため取り出し時の油温と試料中心温度も高くなったことから、ガス回転釜の方の水分蒸発が多くその分吸油したことが原因と考えられた。鯛の天ぷらについては差がなく両機器とも約5%であった。
著者
波夛 伴和 瀧井 正人 高倉 修 森田 千尋 河合 啓介 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.857-863, 2015-07-01 (Released:2017-08-01)

生活習慣や治療行動(食事や運動など)は糖尿病患者の病状を左右する重要な要素である.患者を適切な治療行動に導くために,従来,糖尿病治療者は教育・指導に注力してきた.近年では,患者の問題解決能力を尊重して,その能力の発揮を援助する考え方(糖尿病エンパワーメントなど)が紹介され,効果も報告されている.しかし,中には自身の能力を発揮するのが難しい患者も存在する.そのような患者を効果的に援助するためには,より深く患者を理解することが必要である.本稿では,糖尿病患者を理解するためのかかわりについて,筆者の学びの過程を示しながら考察した.患者の大きな変化につながるような言葉や,技法が明確な心理療法に注目が集まりやすいが,その前段階の土台作りの重要性についても強調したい.
著者
森田 亜矢子 蒲生 諒太
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-36, 2019-03-31

本稿は、情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)を活用したアクティブ・ラーニング授業の実践報告である。技術発展とグローバル化に伴い複雑に変化する今日の社会では、心理社会的リソースを活用しながら自律的に行動し問題解決を行うことができる人材の育成が求められている。他方で、大学のユニバーサル化が進み、学生の学力や学習習慣が多様化したことにより、一律の教育を施すことは困難になりつつある。様々な教育的ニーズを持つ入学者を、どのようにして専門的な学びへ導くかということは、初年次教育の課題である。本稿では、こうした背景をふまえて行った学習支援の取り組みと情報通信技術の活用について報告する。対象は、4年制大学の文系学部に所属する初年次生である。取り組みの内容は、次の5点である。1つめは、対話的で主体的な学習を促すための学生主導型の授業デザインの開発である。2つめは、オンデマンドな学習を質と量の両面から支援するための情報通信技術の活用である。3つめは、省察にもとづく自律的な学習の素材としてルーブリックを提示し、学習成果の可視化を試みたことである。4つめは、グループ学習とピア・レビューによる協調学習を組み入れて、社会的リソースを活用した連鎖型の学習を促したことである、5つめは、授業に対して学生がコミットしやすいよう、役割分担や教室内の配置に工夫をしたことである。結果、個別学習と協同学習を組み合わせた少人数ゼミナール形式の演習を実施し、情報通信技術を活用して授業内外の学習支援を行った。本稿では、取り組みの詳細を述べ、個々の取り組みについて考察を行う。
著者
中川 智皓 森田 悠介 新谷 篤彦 伊藤 智博
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.82, no.838, pp.16-00052, 2016 (Released:2016-06-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In recent years, personal mobility vehicles (PMVs) have attracted huge attentions and widely developed. Compact PMVs can move through narrow spaces and they are expected to be used in pedestrian spaces. In this study, we aim to develop a four-wheel stand-up-type personal mobility vehicle for people who cannot walk far distantly because of the pain of foot or waist although they are able to walk for a short distance. The coupled model of human and vehicle is constructed by using multibody dynamics. In the model, the vehicle is expressed by one rigid body. The wheels, body, and handle are considered as a rigid body together. A human is expressed by 8 rigid bodies (foot, lower leg, femoral, body, head, upper arm, lower arm, and hand). The vehicle of the coupled model is accelerated in the numerical simulations. The behaviors of the center of gravity of a human with and without handle constraint are analyzed. As the result of the parametric study, it is found that the center of gravity movement is smaller when the value of the maximum acceleration and the acceleration time are small. It is also found that as the angle of the upper arm becomes large, the movement of the center of gravity is decreased.
著者
大高 恵莉 大高 洋平 森田 光生 横山 明正 近藤 隆春 里宇 明元
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.673-681, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 8

目的:動的バランス機能の評価法であるMini-Balance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)の日本語版を作成し,その妥当性を検証した.方法:Guilleminらのガイドラインに準じ日本語版Mini-BESTestを作成した.バランス障害群20 名(平均年齢65.4±18.7 歳)及び健常群7 名(平均年齢69±5.9 歳)に日本語版Mini-BESTest,Berg Balance Scale(BBS),国際版転倒関連自己効力感尺度(FES-I),Activities-specific Balance Confidence Scale(ABC Scale)を実施し,Spearmanの順位相関係数を求めた.結果:日本語版Mini-BESTestの平均施行時間は20.0 分で,BBS(r=0.82,p<0.01),FES-I(r=-0.72,p<0.01),ABC Scale(r=0.80,p<0.01)と有意な相関を認めた.分布の非対称性を示す指標である歪度(skewness)はそれぞれBBS -1.3,日本語版Mini-BESTest -0.47であった.結論:日本語版Mini-BESTestは既存のバランス評価法との併存的妥当性を示し,かつBBSのような天井効果を認めない点で優れていると考えられた.
著者
森田 潔
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.130-132, 1963-06-25 (Released:2008-05-16)
参考文献数
31

朝鮮に栽培されている作物名としての莞草(ワングル)に含まれる種は,C.IwasakiiM、と,C.glomeratusL.との2種にして,大多数の品種がC.IwasakiiM.に属し,極少数の品種がC.glomeratusに属することが明らかになった。
著者
森田 潔
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.299-303, 1968-10-31 (Released:2008-05-16)
参考文献数
14

Yield tests were made for fresh and air-dried stems, leaves and heads in 385 varieties of "Wangul" which contalns two specres Cyperus Iwasakii M. and C. glomeratus L. collected from all the parts in Korea. Then the examination was carried out to know how much the air-dried fiber and pith could be produced from the green stems of several varieties. As the result, the yielding differences between the two species and among the varieties in them were shown clearly.
著者
森田 美琴 木村 昭夫 畑岸 悦子 宮島 衛 佐野 哲孝 宮内 雅人 冨岡 譲二
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.103-106, 2004-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
8

A 68-year-old man was carried by an ambulance presenting with partial traumatic amputation of both legs as a result of a railway accident. The hypovolemic shocked patient arrived at the hospital, with potential right tension pneumothorax. Immediate decompression by tube thoracotomy was performed, however the shock state did not improve. Repeated focused assessment with sonography for trauma (FAST) and careful physical examination of the patient revealed no abdominal injuries. Pelvic fracture was not identified with the pelvic X-ray. The partially amputated legs were removed in the emergency department. In spite of these procedures, the hypovolemic shock persisted. However, a wound in the region of the right humerus, which was not bleeding during the initial examination, developed hemorrhage upon later investigation. The circulatory status of the patient stabilized after the wound was packed with gauze packing for hemostasis. Polytetrafluoroethylene (PTFE) graft inter-position of the injured artery and fasciotomy of the right forearm were subsequently performed. The postoperative course was uneventful, and rehabilitation was begun on the 15th post-operative day. Thus, even in a patient with blunt trauma, arterial injuries of the extremities should never be underestimated during the initial assessment.
著者
森田 徹
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.797-802, 2016-09-05 (Released:2016-09-05)
参考文献数
3
著者
森田 椋也 後藤 春彦 山崎 義人 野田 満
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1059-1064, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

都市のみならず集落においても疎遠になりがちな地域住民間の関係構築・維持に神社などの既存の共有財を活かすことが考えられる。かつて政策として行われた神社整理で地域によっては神社の数は著しく減少した。しかしそうして失われた神社が後に祀り直された(再祀が行われた)事例が確認されている。本稿では和歌山市を対象として以下2点を明らかにした。(1)神社跡地の大半は神事とは無縁な場所となっていること。(2)再祀は氏子の共同出資によるものと有志のみの出資で行われるものがある。前者は集落の神社として祀り直すことに終始し、運営内容は慣例的な管理・祭礼であり、持続的運営に問題を抱える傾向がみられた。後者は有志のみの出資の場合、再祀実施時期は終戦から近年にわたる。管理・祭礼に加えて、地域住民間の交流を促す場の提供など、地域に貢献する活動を行っている神社が確認された。 本研究では、再祀の経緯とその後の運営の実態を明らかにするのみに留まったが、氏子組織の規模・特色やその社会的関係等と、再祀が行われるに至った要因や再祀後の運営状況との関連性を明らかにすることを今後の課題としたい。
著者
田代 峻一 髙嶋 美和 岩田 幸子 森田 正治 髙嶋 幸男
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.125-129, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
13

〔目的〕周産期脳障害において早期MRIから脳障害特性評価と予後予測の可能性を調査する.〔対象と方法〕療育施設利用者のNICU退院時頭部MRIより在胎週数別に異常部位の視覚的評価と部位別の径計測,また白質異常部位と臨床所見と対比した.〔結果〕すべての群で大脳白質に異常所見が多く,白質部位別では在胎22~26週群では全体,27~32週群では中間部と脳室周囲,33~36週群では中間部,37~40週群では皮質下に異常が多くみられた.白質の皮質下異常では自閉スペクトラム症が有意に多く四肢麻痺と重度知的障害が多い傾向にあった.脳室周囲異常では軽度知的障害が有意に多く痙性両麻痺が多い傾向にあった.〔結語〕大脳白質異常は在胎週数別で特徴があり,予防的リハビリを実施することは重要である.