著者
森西 洋平
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.65, no.630, pp.505-512, 1999-02-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

Finite difference method in a collocated grid system has the merits of both regular and staggered grid systems, and has mainly been used for steady flow simulations. Recently, some unsteady flows have been simulated by using the collocated grid system. The author pointed out a violation of kinetic energy conservation in the collocated grid system, which is important to unsteady turbulent flow simulations. In this paper, a modified algorithm for improving the conservation property of the collcated grid system is proposed. Van Kan type pressure correction is introduced to minimize the defect. The modified algorithm with fourth order accuracy in space is also proposed. Conservation properties of the numerical algorithms in the collocated grid system are demonstrated on the example of two dimensional periodic inviscid flow simulations. Plane turbulent channel flow simulations are also performed to confirm the reliavility of the modified algorithm.
著者
森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.593-600, 2023-02-02 (Released:2023-02-11)
参考文献数
40

本稿では,教育工学におけるオンライン教育の研究動向を概観することを目的とした.まず,オンライン教育に関連する研究のキーワードとして,遠隔教育,e ラーニング,ブレンディッドラーニング,オンライン教育に焦点を絞り,海外並びに日本の研究動向についてまとめた.次に,日本の高等教育のオンライン化を10年ごとに分け,1990年代を黎明期,2000年代を発展期,2010年代を拡張期,2020年以降を革新期とし,オンライン教育に関する研究の変遷を考察した.
著者
三上 文三 安達 基泰 水谷 公彦 高橋 延行 姜 有那 平田 章 山根 愛子 坂 直樹 河村 広和 侯 雪妮 森 湖太郎
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.79-86, 2021-05-20 (Released:2022-03-09)
参考文献数
23

凍結結晶法によるX線結晶構造解析では凍結の影響や凍結保護剤の問題があり,結晶中での酵素の構造変化を正しく評価することは困難である.酵素と基質(基質アナログ)複合体のpH変化による構造変化を調べることは,酵素反応前後の構造変化を捉えることに繋がる.著者らはβ-アミラーゼの酵素反応機構を明らかにするために本酵素の基質アナログであるグルコース,マルトースと基質であるマルトペンタオースを用いて,野生型酵素と変異体酵素について非凍結結晶の結晶中でのpH変化による複合体構造の変化を追跡した.その結果,触媒残基の二つのGlu残基(酸触媒残基であるGlu186と塩基触媒残基であるGlu380)の解離が酵素と基質の構造変化に大きく関わり,本酵素反応を高効率化していることを明らかにした.
著者
福田 隆介 福澤 栄治 小鹿 紀英 森川 博司
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.11, no.21, pp.79-84, 2005-06-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
7

At the September 11, 2001, New York World Trade Center Towers did not collapse immediately after the aircraft impacts, despite the localized damage. Thus, the reserve capacity to the phenomenon besides assumption was called "redundancy", and after the WTC two towers' collapse, when taking the safety of a building into consideration, it had been recognized to be important property. In order that a building structure could not collapse and be secure safety to the load beyond anticipation on its structural design like the impulsive load by a collision, explosion, etc., it is important the building structure possesses structural redundancy. The purpose of this study is to evaluate the overall damage and the local damage and its structural redundancy against the aircraft impact equivalent to that in WTC for the Japanese typical 50 story high-rise steel building.
著者
照沼 利之 清水 森人 奥村 敏之 榮 武二 森 祐太郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

我々は近年、陽子線照射によって発生するMHz音響波を工業用の大口径超音波プローブで測定することに成功した。しかし、陽子線照射で発生する音響波は微弱であるためより小型の医療用超音波プローブを使用した測定は困難であることが予想される。本研究では新たに、アクティブ計測を導入した方法により、MHz音響波の医療用超音波プローブで計測することを試みる。この目的が達成できれば、将来は放射線検出技術と超音波診断装置技術との融合により、放射線治療時の体内臓器イメージングと放射線分布イメージングを同時に実現できる可能性が開かれる。このように将来の技術につながる研究として本研究は重要である。
著者
田島 正晃 森井 雄治 木下 忠彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.1532-1536, 2015 (Released:2015-12-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

Maydl's herniaはヘルニア嚢内に複数の腸管ループが嵌頓するヘルニアで,W型に脱出することにより,腹腔内腸管の腸間膜が強く絞扼され,血行障害が腹腔内腸管により高度に出現するのが特徴である.症例は58歳の男性,作業中に右鼠径部が膨隆したまま戻らなくなり,救急搬送された.右鼠径部に小児頭大の膨隆を認めた.鼠径ヘルニアの嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察を行うと,腹腔内に壊死腸管を認めたため,開腹手術に移行した.ヘルニア内に嵌頓していた回盲部および回腸には壊疽性変化は認めなかった.壊死腸管を切除し,ヘルニアは従来法で修復した.本症例のようなヘルニアの場合,前方アプローチで整復,ヘルニアの修復を行うだけでは,腹腔内の壊死腸管を見落としてしまう可能性がある.膨隆の大きな鼠径ヘルニアの嵌頓ではヘルニア内容の腸管のみならず,腹腔内の腸管が壊死に陥っている可能性を考慮すべきである.
著者
森津 千尋
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
pp.30-2-01, (Released:2022-07-28)
参考文献数
32

オリンピックは、1980年代からグローバルメディアのコンテンツまたは企業のマーケティング・ツールとしての側面を強化し、「商業主義」と批判を受けながらも大会を継続させるため、メディアやビジネス環境に適応しながら合理的に変化してきた。そのため2020年東京大会の国内スポンサーも、日本国内の事情に合わせて、各カテゴリーで複数企業がスポンサーとなる「東京方式」が導入され、新聞カテゴリーでは複数の新聞社がスポンサー契約をしていた。 本稿では、まず近年におけるオリンピックとメディア、スポンサーの関係の変化、さらに2020年東京大会で浮上した問題点を整理した。そして新聞社がオリンピックスポンサーになることの問題を考察するため、今回スポンサーとなった新聞とそうでない新聞の社説を対象にテキストマイニング分析を行い、その論点や言説の違いについて検討した。 その結果、スポンサー/非スポンサー新聞社説では、オリンピックについて扱う話題は同じだが、その論点と語られ方に違いがあることがわかった。非スポンサー新聞では「感染」や「復興」の問題がオリンピック開催と直接関連するものとして語られていたが、スポンサー新聞ではそれらの問題はオリンピックとは切り離され、大会外部の出来事として位置づけられていた。 またスポンサー新聞か否かに関わらず、大会スポンサーについての議論は各紙とも消極的であり、特に新聞のスポンサーシップについては、社説では言及されず、一般記事において外部からの問題指摘として数回掲載されるにとどまった。新聞社のスポンサーシップに関する報道は、世論(世間の空気)に追随するかたちであり、特にスポンサー新聞では、言論機関としての主体性がより曖昧であったといえる。

2 0 0 0 IR 大元の記憶

著者
森川 哲雄
出版者
九州大学大学院比較社会文化学府
雑誌
比較社会文化 (ISSN:13411659)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.65-81, 2008

In this paper, it is argued a problem how was memorized the name of the Dai Yuan ulus(The Great Yuan dynasty)and its activity by Mongolians of later ages. The Yuan dynasty was founded by Khubilai khan and so it was also called the Khubilai dynasty. However rule of Mongolia by descendants of Khubilai stopped once in the end of the 14th century. It is known that descendants of Arigbukha and Ogedei ruled over Mongolia for a while afterwards. Nevertheless the Mongolians of those days had the recognition that the Yuan dynasty still continued. Dayan khan who succeeded the khan throne at the end of the 15th century called himself the Great khah of the Ta Yuan(the Great Yuan)for the Ming government. But there is no description on the foundation of the Yuan dynasty by Khubilai in the Mongol chronicles edited in the 17th century.One of the editors of chronicle interprets a meaning of Dayan of Dayan khan as "whole" not "the Great Yuan". This means that memory of the Yuan dynasty faded among the Mongolian intellectuals of the 17th century. However editors of chronicle described in the 18th century write down clearly that the founder of the Yuan dynasty is Khubilai and Dayan means the Great Yuan dynasty. The reason of why they became to understand Chinese and edited chronicles using Chinese materials, especially the Histoly of the Yuan dynasty.
著者
平岩 弘 森田 学 渡邊 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.602-609, 1985-09-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

外来患者40名を対象として刷掃指導を行った。顎模型を用いた群 (コントロール群), 位相差顕微鏡によりプラークの観察を行った後, 顎模型を用いて指導した群 (位相差群), 術者が実際に患者の口腔内を清掃し, 指導する群 (術者群), 位相差顕微鏡によりプラークの観察を行った後, 術者が患者の口腔内を清掃し, 指導する群 (術者+位相差群) の4群に分け, 歯肉炎指数, プラーク指数を4週間にわたって追跡した。その結果, 位相差顕微鏡の効果は, 実験初期においては認められるものの, 持続性に欠けていた。術者+位相差群では, すべての診査項目において著しい改善が認められた。以上のことから, 従来よりの顎模型を用いた刷掃指導に比べ, 術者による刷掃と位相差顕微鏡の併用が刷掃指導を行う際のモチベーションに有効であることが示唆された。
著者
鈴木 由美 沼澤 広子 森越 美香
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 = Journal of the International University of Health and Welfare (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.50-67, 2021-10-01

目的:自然災害が女性に対する暴力にもたらす影響を明らかにし,課題および支援策を検討する.方法:2020 年 8 月,国外文献検索サイト PubMed を用いて過去 10 年,2000 年以降の閲覧可能な full text に限定し Intimate partner violence,Gender based violence,domestic violence に対してキーワード disaster,hurricane,earth-quake,landslide,flood damage,typhoon,cyclone,forest fire とそれぞれの AND 検索を行った.結果:27 文献を対象とした.自然災害後に女性に対する暴力は増加したが,その背景に災害前からの暴力の激化,複雑化があった.個人属性では女性の脆弱性がハイリスク要因であり,貧困や安全でない避難所の居住環境なども要因となったが,基盤にジェンダー不平等やコミュニティ規範があった.また調査の限界として想起バイアスRecall bias)や羞恥心などがあり,潜在化した被害者がいることが推察された.災害から時間が経過しても,PTSD などメンタルヘルスへの影響が懸念された.災害により利用できるリソースやアクセスに限界もあった.自然災害では女性の脆弱性が暴力の引き金になることが示唆された.結論:災害時は女性への暴力は悪化すると予測して支援策を考える必要がある.
著者
宮川 明子 森崎 直子
出版者
一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会
雑誌
福祉のまちづくり研究 (ISSN:13458973)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.25-34, 2022

<p>高齢者の外出時のトイレの状況について明らかにし、課題や利用しやすいトイレについて検討することを目的とし、403名を対象とし街頭調査を行った。対象者の約6割が外出時のトイレに不安を抱いており、高齢になるにつれ、トイレの使用頻度が増え、トイレの心配が増える傾向であることが示された。また、女性高齢者のトイレの利用しやすい条件として、「待ち時間が少ない(混んでいない)」、「清潔である」、「手すりがある」、「流し方がわかりやすい」、「荷物掛けや荷物置きがある」であることが明らかとなった。これらの高齢者のニーズに応じたトイレの整備や環境を整えることは、高齢者の外出に向けた環境づくりに重要な要素である。</p>
著者
藤原 淳 森本 賢治 藤原 俊介 西村 渉 田中 源重 南 敏明
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.14-0014, (Released:2014-09-30)
参考文献数
9

硬膜外ブロック後の合併症の頭痛には,硬膜穿刺後の髄圧性が一般的であるが,硬膜下腔やくも膜下腔に迷入した空気による気脳症由来も知られている.今回,生理食塩水を用いた抵抗消失法での腰部硬膜外ブロック後に気脳症を生じた症例を経験したので報告する.症例は70歳代,女性.腰部脊柱管狭窄症増悪のため,腰部硬膜外ブロックを施行した.ブロック施行後,突然激しい頭痛を訴えたため,頭部CT撮影を行った.橋から延髄にかけて空気像を認め,1週間の入院加療となった.頭蓋内へは少量でも空気が迷入すると集積する部位によっては頭痛が引き起こされる.空気を用いた抵抗消失法による硬膜外ブロック施行では気脳症発症を助長するとの報告があり,当院では生理食塩水を用いた方法を推奨している.しかし,生理食塩水を用いた手技においても気脳症を発症したことから,施行時,穿刺方法以外に,穿刺部位や硬膜外ブロックの適応についても十分な検討が必要である.
著者
森内 浩幸
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.633-638, 2016 (Released:2019-02-13)
参考文献数
11

感染症は小児の難聴の原因として古くから重要で、先天性感染では先天性風疹症候群や先天梅毒が有名であり、後天性感染では髄膜炎、脳炎、中耳炎をはじめ、麻疹や猩紅熱のようなありきたりの感染症も難聴を起こしていた。幸い、ワクチン(風疹、麻疹、日本脳炎、肺炎球菌、Hibなど)や抗生剤(ペニシリンなど)の開発と普及によって、先進国では多くの感染症が稀な疾患となり、その後遺症として難聴をきたす子ども達の数も少なくなった。しかし世界に目を向けると、まだ風疹ワクチンが普及していないため先天性風疹症候群の被害(その中でも最多の障害は難聴)を受けている子ども達が少なくないし、その他の感染症も制御されているとはとても言えない状況が続いている。そしてわが国においても今なお対策が不十分な感染症、そしてそのために生じる難聴の問題が残されている。先天性感染ではサイトメガロウイルス、後天性感染ではムンプスである。
著者
周 月霞 吉武 央気 東海林 太郎 森下 祐 小河 健一郎 堀江 隆生 関谷 雄大 中村 洋平 河野 誉仁 林田 寿文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.205-210, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
11

気候変動における想定最大規模洪水の発生及び環境の単調化を背景に,治水と環境を一体的検討できる3 次元河道設計ツールが益々重要となっている.本検討では,三重県雲出川の直轄区間を対象として,3次元河道設計ツール(iRIC-Nay2DH, EvaTRiP (Pro))を用いて治水・環境の一体的検討を試行し,その有効性の確認・留意点及び課題を抽出することを目的とした.ALB 測量データを用いて構築した水理解析モデル及び河川特徴を反映する環境評価閾値の設定は,治水,環境を一体で予測できることを確認した.また,大河川において3次元ツールを活用するにあたり,地形等の条件設定の留意点,現地調査結果の精度不足や3次元ツールに中長期視点で植生動態を考慮できない等の課題を整理した.
著者
松村 秀一 権藤 智之 佐藤 考一 森田 芳朗 江口 亨
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.78, no.693, pp.2307-2313, 2013-11-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

Major prefabricated houses manufacturers started their business around 1960s and became world class large housing companies. This study clarifies 9 major prefabricated houses manufacturers' developments at early stage by interviews with their in-house engineers and architectural designers as well as analysis of relating documents. Early prefabricated houses were developed by small number of engineers intensively. Various architecture and specialists including foreign architecture, famous architects and academics affected these developments in some aspects. Furthermore, each of early prefabricated houses had many unique characteristics in building systems. Some of them had changed in early stages, while the others still remain nowadays.
著者
高田 純 森 祐二 遠藤 暁 星 正治
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、ポータブルスペクトロメータを用いて体内放射能Cs-137および内部被曝線量を迅速にその場評価する方法を開発することを目的とする。このポータブルホールボディーカウンターの開発により、世界のいかなる地域の緊急時対応や、装置の無い地域でも人体放射能汚染の迅速な調査が可能になる。この試みはこれまでになされていない方法であり、土壌、食品そして人体放射能汚染の食物連鎖の調査をこのひとつの検出器で行える特徴がある。直径76.2mm長さ76.2mmのNaI(T1)シンチレーター検出器を製作し、小型マルチチャンネルアナライザー、ノート型コンピューターからなるポータブルホールボディーカウンターの開発に取り組んだ。この検出器を、放射線医学総合研究所のCs-137人体ファントムおよびI-131模擬甲状腺ファントムを利用して、校正した。国内機関におけるCs-137全身量測定の相互比較の結果、バイアスは10%以内と良好であった。ビキニ水爆により汚染したロンゲラップ島の再建工事に従事する労働者、チェルノブイリ原発事故で汚染したベラルーシ・ホイニキライオンの甲状腺ガンになった住民、ロシア・チェリャビンスクの原爆プルトニウム製造施設マヤーク周辺核汚染地に暮らす住民等の体内放射能測定を実施し、本測定システムの試験を行なった。これらにより汚染地のバックグラウンドスペクトルの差し引きなど重要な方法を確立できた。地表、食品などの環境核汚染密度も、本器で測定でき迅速にその場解析ができることを実証した。これらにより、汚染地に暮らす住民へ結果を効果的に知らせることも可能となり、当初の目的を達成できた。
著者
中神 啓徳 森下 竜一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.34-38, 2022-01-25 (Released:2022-03-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1

COVID-19に対するmRNAワクチンの迅速開発の成功により,新興感染症に対するワクチンの重要性が改めて認識されている.開発されている多くのSARS-CoV-2のワクチン標的抗原はウイルス表面のスパイク蛋白であり,免疫応答を惹起して,中和抗体の誘導と細胞性免疫の活性化を誘導する.COVID-19ワクチンは,遺伝子治療の技術を用いたウイルスベクターワクチン,mRNA・DNAワクチンが行われたことが大きな特徴であるが,その中でmRNAワクチンは最も迅速な開発に成功した.
著者
島崎 安徳 西森 健太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.7, pp.504-505, 2022-07-01

0.92/2.4/5GHz帯における様々なセル形態の実伝搬測定データに基づき,複数の伝搬環境に分類した.対数近似曲線にて距離に対する伝搬損失係数を求め,各結果における伝搬損失を考察した.
著者
森田 優己
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.135-158, 2007

本稿は,イタリア中・北部における産業遺産の保存と活用,およびそれらを展開軸とする都市再生に関する筆者の見聞録である。産業遺産の意義は文化遺産や自然遺産,および労働文化との複合的な文脈の中に位置づけられるが,その保存と活用の仕方は次のように3分類できる。1.産業遺産の保存とその博物館としての再利用による地域貢献。2.旧重工業地域における産業遺産の保存と都市再開発によるランドスケープの形成。3.産業遺産である「カンパニィタウン」の保存による地方都市の開発,産業観光化の試み。こうして呼び起こされた「産業の記憶 industrial memory」は,地域のアイデンティティを再生し新たな活力を生み出す契機となることを期待されている。その方向性は,成熟社会における新たな産業の創出,とりわけ文化的観光を射程に入れたものと思われる。