著者
今泉 麻美 佐藤 常男 白井 弥 雨森 隆 桑原 正人 小坂 俊文 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.396-399, 2000-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
著者
鬼澤 陽子 野村 充 森川 美也 千木良 厚 島 孟留 小松崎 敏
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.19-31, 2022-11-30 (Released:2023-02-28)
参考文献数
21

In this study, we aimed to examine physical competence in the lower grades of elementary school by applying three teaching strategies: ingenuity of teaching materials, relationship with rich friends, and the teacher’s approach to enhance physical competence. Physical competence was composed of three factors: “perceived physical competence,” “feelings of control,” and “peer and teacher acceptance.” In addition, we examined the relationship between physical competence and tactical decision-making ability. We hypothesized that improving tactical decision-making ability would enhance students’ “perceived physical competence” and “feelings of control.”Eighty-two first-grade students participated in this study. The students were divided into three groups and were required to play tag games. To evaluate the physical competence of students, we utilized the Okazawa, Kita and Suwa’s physical competence scale developed in 1996. We then divided the participants into upper and lower groups according to their “physical competence” or factor score. To analyze students’ decision-making ability, we made them play the same games for one hour before and after the unit. We video recorded the games and used the Game Performance Assessment Instrument (GPAI) for data analysis. We reported three main findings. First, when teaching strategies were applied to enhance physical competence, the upper group maintained a high value both before and after the unit, while the lower group improved after the unit. Second, decision-making ability regarding game performance improved in both the upper and lower groups. Third, improving decision making ability is necessary to enhance “physical competence” in the upper group. Finally, there was a negative relationship between “ball-keeping” (or waiting until the game situation changes) and “perceived physical competence” in the upper group, and between “ball-keeping” and “feelings of control” in both the upper and lower groups.Our study demonstrated that students’ physical competence improved when teaching strategies were applied to enhance physical competence. Additionally, we showed that improving students’ decision-making ability is critical to increasing their “physical competence” in the upper group.
著者
森 誠護 永田 聡典 名頭薗 亮太
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.60-67, 2022 (Released:2022-04-01)
参考文献数
21

本研究では,バタフライ及び平泳ぎで用いるopen turnに着目し,ターン動作とジャンプパフォーマンスとの関係性について明らかにすることで,競泳選手の効果的なトレーニング方法の基礎資料を得ることを目的とした.本研究は,バタフライ及び平泳ぎを専門とする大学男子競泳選手8名を対象とし,競泳ターン測定はopen turnにて実施した.被験者の泳区間はターン前後10mとし,全力泳にて泳動作及びターン動作を実施した.被験者のターン動作を評価するため,ターン動作時の回転時間,足部接地時間,蹴り出し速度をそれぞれ計測した.ジャンプパフォーマンス測定では,スクワットジャンプ,垂直跳び,立幅跳びを計測した.この結果,ターン測定とジャンプパフォーマンス測定の変数間での関係性において,ターン時の蹴り出し速度とスクワットジャンプにおけるピークパワー(r=0.857,p<0.01)及びピーク速度(r=0.805,p<0.05)との間に有意な相関関係が認められた.以上の結果から,スクワットジャンプのピークパワー及びピーク速度を高めるためのトレーニングはターン局面のパフォーマンス向上に寄与する可能性があることが明らかとなった.
著者
森本 泰夫 保利 一
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.161-163, 2003-09-20 (Released:2007-10-10)
参考文献数
12
著者
小玉 幸助 大竹 伸治 森谷 就慶 若林 真衣子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-8, 2018-03-31

2017年度に内閣府が公表した『平成29年版子供・若者白書』によると、不登校児童・生徒数は、小中学生で12万5,991人、高校生は₄万9,563人であった。小中学生の不登校は増加傾向にある。不登校児童・生徒の解消には、学校と関係機関との連携が必要不可欠な状況であり、この役割を担うのがスクールソーシャルワーカー(以下、schoolsocial worker:SSW)である。SSWは小中学校および高等学校で導入されており、効果検証も行われてきている。しかしながら、スクールソーシャルワーク活用事業に関しては経済分析が行われておらず、経済効果が明らかにされていない。本研究では不登校児童・生徒解消数を公表する北海道、山形県、東京都、長野県、鳥取県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県(以下、₁都₁道₇県)の不登校児童・生徒を対象にSSWにおける経済効果を算出することを目的に、所得を中心に経済学的視点からシミュレーション分析を試みた。
著者
大森 史隆 水本 豪 橋本 幸成
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.13-22, 2022 (Released:2022-01-28)
参考文献数
10

慢性期失語症例に対し,仮名1文字の書取訓練(40分/回,計35回,約4ヵ月半)において単音節語からなる漢字1文字をキーワード,漢字1文字を初頭に含む複合語等をヒントとして用いた.その結果,平仮名44文字中,書取可能な文字数が9文字から31文字に増加した.仮名1文字の書取には,キーワードの書字やヒント想起の可否がかかわっていた.仮名1文字の書取の成否に影響を及ぼす文字特性を検討した結果,キーワードとして用いた漢字の画数が有意であった.書取可能となった平仮名31文字を組み合わせて2文字単語20語の書取訓練(40分/回,計14回,約2ヵ月)を実施した結果,書取可能単語数は3語から17語に増加した.両訓練は,モーラ分解・抽出の必要がない単音節の漢字1文字単語をキーワードとして用いたため,音韻処理障害のある本例に有効であった.訓練に際しては,漢字の画数に留意し,文字数の少ない単語を用いる必要性が示された.
著者
森 修一 石井 則久
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.69-90, 2017 (Released:2017-08-18)
参考文献数
52
被引用文献数
1

日本のハンセン病政策は1907年の 「癩 (らい) 予防ニ関スル件」 の施行に始まるが、患者隔離は1909年の連合府県立 (国立) ハンセン病療養所 (以下、療養所) の開設からであった。本政策は1996年の 「らい予防法」 廃止まで継続され、約35,000人 (実数、推測値) が隔離を受けたが、その入退所動向の全容は未だ明らかではない。本研究では国立療養所の入退所動向を解析し、日本のハンセン病政策の実態を明らかとすることを目的とし、1909年から2010年まで102年間の入退所者数とその内訳を各国立療養所の年報や内部資料を収集し、内容を検討し、項目などを統一した上で、年次ごと、ハンセン病に関するそれぞれの法律の施行されている期間ごとにその内訳を集計した。その結果、102年間の総入所者数 (入所、再入所、転入を延べ数として集計した) 56,575人、総退所者数 (転所、軽快退所、自己退所、ハンセン病でない、その他を延べ数として集計し、死亡者数を加えた数) 54,047人 (死亡 : 25,200人、転所 : 4,350人、軽快退所 : 7,124人、自己退所 : 12,378人、ハンセン病でない : 310人、その他 : 4,685人) であった。法律ごとの内訳は、 「癩予防ニ関スル件」 (1907年―1931年) では総入所者数12,673人、総退所者数9,070人 (死亡 : 3,496人、転所 : 197人、軽快退所 : 79人、自己退所 : 4,824人、ハンセン病でない : 55人、その他 : 419人) 、 「癩予防法」 (1931年―1953年) では総入所者数31,232人、総退所者数23,354人 (死亡 : 11,559人、転所 : 488人、軽快退所 : 2,087人、自己退所 : 5,848人、ハンセン病でない : 247人、その他 : 3,125人)、 「らい予防法」 (1953年―1996年) では総入所者数12,098人、総退所者数18,159人 (死亡 : 7,654人、転所 : 3,450人、軽快退所 : 4,412人、自己退所 : 1,558人、ハンセン病でない : 8人、その他 : 1,077人)、 「らい予防法廃止に関する法律」 (1996年―2009年) では総入所者数572人、総退所者数3,464人 (死亡 : 2,491人、転所 : 215人、軽快退所 : 546人、自己退所 : 148人、ハンセン病でない : 0人、その他 : 64人) であった。今回の研究から日本の隔離政策下での入退所動向の全容がはじめて明らかとなった。
著者
歳森 敦 北原 夕里歌 植松 貞夫
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.33-45, 2000-03-30 (Released:2017-05-04)

市区立図書館中央館を対象とした標本調査により, ブックディテクションシステム(BDS)導入の動向と, 設置館・非設置館の蔵書紛失率を明らかにするとともに, それらの結果をもとにBDSの設置効果を試算した。BDSの設置状況として, 1割弱の館にBDSが設置されていること, 最近数年間の新築時BDS設置率は4割強であること, 一部のコーナーに限定する形で導入する部分設置館が2/3以上であることを明らかにした。年間蔵書紛失率の平均は1.33%となった。BDSを全館を対象に設置した場合には蔵書紛失率が有意に低く, 不正持ち出しの防止に一定の効果があると判断できる。最後に, BDSを設置した場合に必要な費用とBDSを設置しない場合に必要な費用の差としてBDSの設置効果を定義し, 一定の条件を与えて設置効果の試算をおこない, 設置効果を得られる館は一部であること, 部分設置の効果が限定的なことを示した。
著者
安森 亮雄
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.22, no.52, pp.1155-1158, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

This paper clarifies historical value of the former library stacks in Utsunomiya University: masonry building built of Ooya-stone in 1924 and reinforced concrete building with Ooya-stone wall built in 1957. Through literature research and measurement investigation, it is clarified that they have historical value as construction and design features of local Ooya-stone and as components of campus landscape in Taisho-era.
著者
菅森 義晃 池内 萌加 佐野 円香 景山 直樹 小玉 芳敬
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.45-60, 2023-01-15 (Released:2023-02-21)
参考文献数
53

鳥取県東部の白兎海岸の気多岬および淤岐ノ島に露出する鳥取層群の地質調査および安山岩のK-Ar年代を測定した.気多岬には鳥取層群八頭層河原火山岩部層に帰属する両輝石安山岩が露出し,その石基中の斜長石のK-Ar年代は18.3±0.6 Maであった.絶対年代を比較すると,先行研究で指摘された河原火山岩部層が北但層群の養父亜層群八鹿層に対比される考えは支持される.淤岐ノ島に露出する鳥取層群は岩美層に帰属するとみられ,礫岩層を主体とし,河川環境下での火山活動の激化による堆積とその後の火山活動の鎮静化による斜面変形の一連の環境変化を記録した堆積物,広義のギルバート型ファンデルタの一部に比較できる地層を有する.広義のギルバート型ファンデルタが示す古流向は現在の方位で南西方向であったため,東北東方向に陸地が存在したとする考えと調和的である.これらの知見は日本海形成初期における古地理の復元に有用なデータとなりうる.
著者
浅井 智久 高野 慶輔 杉森 絵里子 丹野 義彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.414-421, 2009 (Released:2012-03-20)
参考文献数
37
被引用文献数
11 11

A “sense of agency” involves a contemporaneous experience that the “self” causes the actions performed by the “self” (i.e., “I am the one who causes my actions”). This may comprise the main component of self-consciousness. The present research focuses on the development of a questionnaire to investigate the subjective aspects of a sense of agency. We selected items from the extant relevant measures and from previous empirical studies, and conducted four longitudinal surveys with additional scales. Statistical computations confirmed the validity and reliability of the Sense of Agency Scale (SOAS), consisting of seventeen items involving three factors. Furthermore, the results indicated that these three factors might be organized hierarchically, with each factor showing a unique relationship with emotional or social traits. This novel finding, emerging from the Sense of Agency Scale, would have been difficult to obtain via traditional empirical studies.
著者
小野寺 和也 森本 吉謙 入澤 裕樹 吉村 広樹
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_49-1_54, 2023-01-01 (Released:2023-01-23)
参考文献数
10

The purpose of this study was to compare the time from first base to second base between bent-leg sliding run and run-through run. The subjects were 11 uninjured college baseball players. Running time from first base to second base and 10 m passing time were measured. There were no significant differences in either the time to pass 10 m or the time to reach second base for each running method. The results of this study suggest that neither method of base running from first to second base produced faster results and therefore both methods can be accepted.
著者
森地 徹 大村 美保 小澤 温
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.117-124, 2019-03-31 (Released:2019-10-01)
参考文献数
10

学齢期の障害児の放課後等の活動を支援するための事業として、2012年4月より障害児通所支援の1つとして放課後等デイサービスが児童福祉法の中に位置付けられているが、現状として支援の質の向上の検討はおろか対象児の属性に応じて提供されている支援の特徴についても明らかにされていない。そこで、本研究では全国の放課後等デイサービスの事業所を対象に対象児の属性に応じて提供されている支援の特徴についてアンケート調査を通して明らかにすることとした。その結果、職員の専門性やサービスの質的側面までは明らかにすることはできなかったものの、利用児の障害種別、学年、所属学校形態ごとに提供されている支援に特徴があり、サービス内容に違いがあることが明らかになった。その上で、今後質の高い支援が行われているかということに関して、提供されているサービスの専門性や質について研究を通して明らかにしていくことが必要になると考えられる。