著者
藤村 順也 石森 真吾 神岡 一郎 沖田 空 親里 嘉展 西山 敦史 米谷 昌彦
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
pp.cr.2016.0090, (Released:2016-12-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1

インフルエンザウイルス (flu)ワクチン接種,flu 感染は小児特発性ネフローゼ症候群 (NS)再発の誘因となるがその詳細を検討した報告はない。今回,flu ワクチン接種または感染を契機としてNS 再発に至った小児6 例を報告する。flu ワクチン接種によるNS 再発が3 例 (以下,ワクチン再発例),flu 感染によるNS 再発が3 例 (以下,感染再発例)で全例が男児であった。flu ワクチン,感染後に全く再発のないNS 例を対象とし,その背景を検討した。ワクチン再発例では,ワクチン接種3 回全てをNS 初発または最終再発から6 か月未満の時期に行っており対照群 (15 回中3 回)よりも多かった。感染再発例においても,flu 感染3 回全てがNS 初発または最終再発から6 か月未満の時期で対照群 (5 回中0 回)よりも多かった。flu ワクチン,感染に伴ったNS 再発には,背景に症例毎の病勢の影響が存在するかもしれない。本検討は症例数が少なく,今後大規模な多施設共同研究が望まれる。
著者
久保 肇 森 武俊 佐藤 知正
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.595-603, 2010-12-10 (Released:2011-06-07)
参考文献数
15

A microwave Doppler sensor can sense wide range of human motion, from minute displacement of body surface caused by respiration to large movement like walking, without contact. To apply the sensor to monitoring human daily activity for safety and health, it is necessary to estimate the current state from the raw signal of the sensor output. In this paper, we propose a method to detect the following three state, “move”:the target is changing his/her position or pose, “resp.”:the target sits still and is breathing, and“hold”:the target sits still and holds his/her breath. The observed sensor signal is classified by three binary classifiers prepared for each state. For input of the classifiers, three kinds of features, energy, frequency-domain entropy, and histogram are extracted from the raw signal. The result of the experiment showed that the proposed detector surpassed that of previous related works especially in respiration detection. We tested three classification methods, least squares, SVM and AdaBoost. There was no significant difference between the performances of classification methods. Cross validation was done by two different ways of data division. In one way of the data division, both training and test data contain data of all the subjects who participated in the experiment. In the other way, training data do not contain the data which belong to the subject of the test data. As the result of this test, the classifiers trained by other persons'data were not inferior to those trained by data which contain the target's own data. This means that the state detection does not depend on the individual target. The parameters can be configured at the factory.
著者
森 宣瑛 吉岡 靖雄 平井 敏郎 髙橋 秀樹 市橋 宏一 宇髙 麻子 植村 瑛一郎 西嶌 伸郎 山口 真奈美 半田 貴之 角田 慎一 東阪 和馬 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-9, 2014 (Released:2014-08-26)

近年、腸内細菌を有さないマウスの検討などにより、腸内細菌が宿主免疫細胞におよぼす影響が明らかになりつつあり、腸内細菌叢の有無が、免疫細胞の発達や各種免疫疾患の悪化・改善に寄与することが判明している。一方で、食事や抗生物質の服用などによる腸内細菌叢の変動が、免疫機能に与える影響は未だ不明な点が多い。従って、今後、環境要因による腸内細菌叢の変動を理解・制御できれば、各種疾患の予防や、健康増進に繋がるものと期待される。本観点から我々は、食餌成分や化学物質などが腸内細菌叢に与える影響を評価すると共に、腸内細菌叢の変動と宿主免疫機能の連関解析を図っている。本検討では、腸内細菌叢に最も大きな変動を誘導すると考えられる抗生物質の曝露が、宿主免疫系におよぼす影響を評価した。2週間連続で抗生物質を投与し、腸内細菌数の変動を解析したところ、コントロール群と比較して腸内細菌数が減少していた。次に、抗生物質を投与後、コレラトキシンとニワトリ卵白アルブミン(OVA)を経口免疫したところ、コントロール群と比較して、OVA特異的IgG・IgG1・IgEがほとんど誘導されないことが明らかとなった。また、抗生物質を投与した後、3週間後から免疫を開始した場合においても同様の傾向が認められた。次に、抗体産生抑制のメカニズムを解析するため、抗生物質を2週間投与後、宿主免疫系への影響を解析した。その結果、腸管の免疫組織であるパイエル板では、抗生物質投与によりCD4陽性T細胞の割合が減少しており、抗生物質投与終了3週間後にも、同様の傾向が認められた。即ち、抗生物質の一時的な投与は、長期間に渡って宿主免疫系に影響をおよぼし続けることが明らかとなった。今後、抗生物質をはじめとした様々な物質による、腸内細菌叢への作用機構、腸内細菌叢の変動による生体影響の関係を精査し、新たな毒性学・安全科学研究を推進したいと考えている。
著者
辻田 純三 武村 政徳 渋谷 智也 辻田 大 賀屋 光晴 山下 陽一郎 中尾 哲也 森沢 知之 狩野 祐司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0441, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】近年,筋膜リリースと呼ばれる徒手療法が再び注目されているが,これは筋膜を伸張したり捻じれを解きほぐしたりすることで筋と筋の間や他の組織との可動性や伸展性を改善することを目的に行われる手技であり,軟部組織に起因する多くの関節可動域制限に適応する治療手技と考えられている。しかしながら筋膜リリースを行っている時の筋膜・その他の構造物がどのような変化をしているかを直接示した先行研究はみられない。我々は経皮的な吸引により関節運動や筋収縮の無い状態でも筋群や深筋膜の滑走が起こることを利用し,徒手の筋膜リリースと同様に筋と筋の間や他の組織との可動性や伸展性を改善できることを経験している。この吸引を利用した治療アプローチ(吸引療法)による関節可動域の改善等については既に症例報告等をしている(Tsujita J, et al., 2015他)が,治療中に筋膜・その他の構造物がどのような変化をしているかを直接示したものはなく,また治療前後の深筋膜の滑走性や筋硬度の変化を評価したものはない。本研究の目的は,①大腿外側部の経皮的吸引(吸引療法)により皮下の外側広筋・筋膜の滑走が生じるかを示し,②吸引療法により外側広筋・筋膜の滑走が改善するかどうかを超音波画像を用いて検討することである。【方法】大腿四頭筋の疾患を患ったことのない健常成人7名(31±15.4歳)の両脚を対象とし,先行研究に準じて膝関節0度(伸展)から45度(屈曲)に他動的に関節運動を行った時の大腿外側面超音波画像を1分間の吸引療法前後で観察記録し比較した。吸引療法は,大腿外側部遠位2分の1を特殊なノズルを用いて吸引しながら,そのノズルを長軸方向に沿って約1Hzのリズムで往復させて行った。また7名の内4名(左右8脚)においては吸引療法中も大腿外側面超音波画像を記録した。超音波画像はImageJソフトウエアーを用いて外側広筋の外側部の筋膜および外側広筋と中間広筋との共同中間腱の移動距離を計測した。吸引療法中の筋膜の移動の有無を示すとともに前後の膝関節45度屈曲における移動距離を分散分析を用いて比較し,また先行研究における移動距離とも比較・検討した。【結果】膝関節屈曲45度における中間腱の移動距離(mm)は吸引療法前が吸引中の移動距離(mm)は26.8±7.57,吸引療法後32.2±7.39であり,吸引療法により有意に改善され先行研究の筋膜リリースと同等な効果が確認できた。また吸引療法中,筋膜で5.4±2.56,中間腱で6.0±2.33の移動が認められた。【結論】吸引療法中の筋膜の変化を示すことができ,また吸引療法による筋膜の滑走性も徒手の筋膜リリースと同等な改善が認められ,吸引を利用した治療アプローチ(吸引療法)は徒手療法の筋膜リリースと同様な効果が期待できるといえる。今回の吸引療法は1分間の処置であり先行研究の4分間より短時間で同等な効果を示したことになるが,より効果的であるかどうかはさらに検討したい。
著者
有山 愛 森 由佳 稲野 美穂 灘本 知憲
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.628-638, 2009-12-15 (Released:2010-01-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

ココア摂取がヒト体表温を上昇させる影響を検討した.被験者は健康な女子学生(18-24歳)とし,体表温と抹消部の血流量を測定指標とした.測定は22℃±0.5℃,湿度50%±5%の恒温恒湿環境下,4通りの異なった条件で行った.結果は次の通りである.(1) 実験1では,60℃に加温されたピュアココア飲料による影響を,栄養組成を揃えた飲料,水と比較した.ピュアココアは手首,足首,足指先に,体表温上昇傾向を示した.(2) 実験2では,37℃に維持したピュアココア飲料と栄養組成を揃えた飲料を比較した.その結果,ピュアココアは手首に体表温維持傾向を示した.(3) 実験3では,60℃脱脂ココア飲料と栄養組成を揃えた飲料を比較した.脱脂ココアは額における体表温上昇作用(p<0.05)と手指における体表温維持作用(p<0.05)を示した.また,同様の傾向は,腹と腰にも示された.(4) 実験4では,実験3と同じ飲料を用いて就寝前状況を想定した実験を行った.脱脂ココアは栄養組成を揃えた飲料と比較し,腰・足首・足指先で体表温上昇作用(p<0.05)を示した.以上の結果より,ココア摂取はヒト体表温上昇作用または維持作用があることが示された.また,その効果は脱脂ココアで特に顕著に観察された.
著者
森田 勲 山口 明彦 須田 力
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.631-639, 2002-11-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本研究はショベリング除雪に必要な,パワーおよび身体資質の関係を明らかにすることを目的に行なった.258名の男子大学生が被検者となったが,その内訳は,積雪地出身者(SG)が126名で,非積雪地出身者(NSG)が132名であった.それぞれ握力,背筋力,脚伸展パワーの測定を行なったほか,5 kgと10 kgの負荷によるショベリング投擲を行なった.両グループの身長,体重,筋力および脚伸展パワーの平均値に有意な差が認められなかったにもかかわらず,投擲距離においてはSG群がNSG群を上回り,5 kg負荷時(6.5±1.3 m vs 5.9±1.1m)と10 kg負荷時(4.2±0.77 m vs 3.9±0.79m)で有意な差が認められた.投擲距離とそれぞれの測定項目との間に有意な相関関係が認められたほか,SG群を除雪の実施状況に応じたグループに分けて比較をしたところ,常習的に行なっていたグループが,ほとんどしないグループおよびNSG群を上回る結果が得られた.これらのことから,ショベリング除雪能力を規定する因子として,体力と技術の関与が示唆された.
著者
堀口 敏宏 趙 顯書 白石 寛明 柴田 康行 森田 昌敏 清水 誠 陸 明 山崎 素直
出版者
日本海洋学会沿岸海洋研究部会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.7-13, 2000-02
被引用文献数
6

船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT))によって,ごく低濃度で特異的に誘導される腹足類のインポセックスのわが国における経年変化と現状の概略を種々の野外調査結果などに基づいて記述した.1990~1991年の汚染レベルに比べると近年の海水中の有機スズ濃度は低減したと見られるものの,イボニシの体内有機スズ濃度の低減率は海水中のそれよりも緩やかであり,またその低減率が海域により異なっていた.また環境中の有機スズ濃度の相対的な減少が観察されるものの,イボニシのインポセックス発症閾値をなお上回る水準であるため,インポセックス症状については全国的に見ても,また定点(神奈川県・油壺)観察による経年変化として見ても,十分な改善が認められなかった.この背景には,国際的には大型船舶を中心になお有機スズ含有塗料の使用が継続していることとともに,底泥からの再溶出の可能性及びイボニシの有機スズに対する感受性の高さなどが関連していると推察された.
著者
竹森 敬祐 三宅 優 中尾 康二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.68, pp.27-32, 2002-07-18
参考文献数
11
被引用文献数
1

コンテンツの変更を検知してアラームを通知するWebサーバリモート監視システムにおいて,正規の更新によって通知されるアラームの中に,注意すべき改竄アラームが埋もれてしまいかねないという問題が明らかになった.そこで本稿では,監視中のコンテンツに変更を検知した場合,そのコンテンツの特徴や変更前後の変化の様子を解析することで,改竄を的確に検出する改竄判定手法を提案する.提案手法は,改竄にみられる特徴のうち1つでも1つでも該当する項目があれば改竄とみなす手法であり,その判定結果は,正規の更新と改竄を区別して出力する.実際の改竄のデータを用いて提案手法の改竄判定率を評価した結果,小さな誤判定率で全ての改竄を検出できることを確認した.これにより,サイト管理者は改竄アラームに集中できるようになり,検出された改竄の特徴を知らされることで,コンテンツの改竄状況の把握と改竄時の対策を迅速に実施できるようになる.We have developed a remoto patrol system for web servers which detects the change of contents. However, it could not distinguish between regular updata and and unauthorized manipulation. The administrator of web servers may receive many alarms from this system if the contents are updated, frequently. In this paper, we propose detection algorithm of unauthorized manipulation by concentrating on the characteristics on HTML contents as well as the correlation between before and after changes. We could abstract six characteristics, which are so-called signatures to detect manipulations based on the several sample data. We also evaluate our algorithm using many sample data, and as the results our algorithm is quite feasible to detect any types of contents with little miss-detection of faults positive. In conclusion, administrators of web servers detect and manage the unauthorized detection efficiently among their routing works.
著者
堤 省吾 浦辺 幸夫 前田 慶明 藤井 絵里 森山 信彰 岩田 昌
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1329, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腸脛靭帯(ITB)は大腿筋膜張筋(TFL)と大殿筋の一部を起始とし,ガーディー結節に付着する筋膜様組織である。腸脛靭帯炎はランニングやサイクリングなどの同じ動作を反復するようなスポーツに多く,ITBと大腿骨外側上顆間に生じる摩擦の繰り返しが原因である。またITBの緊張の高さは,腸脛靭帯炎発症のリスクファクターであることが報告されている。ITBは主にTFLの収縮に伴い張力が変化するため,予防や治療にはTFLのストレッチングが行われる。しかしTFLのストレッチングによってITBの柔軟性がどの程度向上するかは不明である。本研究の目的は,柔軟性の評価のひとつである硬度を指標とし,TFLのストレッチングがITBに与える影響を定量化することとした。仮説は,ITBの硬度はストレッチング後に低下するとした。【方法】対象は下肢に整形外科的疾患の既往がない健常成人男性7名(年齢23.1±1.3歳,身長171.2±7.1 cm,体重62.6±9.5 kg)の利き脚とした。ストレッチング肢位は,検査側下肢が上方の側臥位で膝関節90°屈曲位とした。骨盤の代償運動を抑制するため,非検査側の股関節は屈曲位とした。検者が徒手的に検査側下肢を股関節伸展し,大腿遠位外側部に押し当てた徒手筋力計μTas F-1(ANIMA社)の値が50-70Nの間となるように内転方向へ伸張した。ストレッチング前後のITBの硬度測定には,筋(軟部組織)硬度計TDM-Z1(TRY-ALL社)を使用した。再現性の高さについては既に報告されている(ICC=0.89以上)。測定は硬度計の取り扱いに習熟した検者1名が行った。測定肢位は,検査側下肢が上方の側臥位で,股関節屈伸・内外転・回旋0°,膝関節屈曲90°とした。測定部位は,大腿骨外側上顆から大腿長の5%,25%,50%近位の3箇所とし,下肢を脱力させた状態で5回測定し,平均値を算出した。統計学的分析にはSPSS 20.0 for windowsを使用した。対応のあるt検定を用い,ストレッチング前後の各部位の硬度を比較した。危険率5%未満を有意とした。【結果】ITBの硬度(N)は,ストレッチング前,後それぞれ5%で1.39±0.1,1.25±0.14,25%で1.24±0.08,1.15±0.13,50%で1.08±0.13,1.01±0.13となり,ストレッチング後に各部位で有意な低下がみられた(p<0.05)。【結論】本研究では硬度計を使用し,ストレッチング前後におけるITBの硬度の定量化を試みた。結果,ITBの硬度は遠位になるほど高い傾向があったが,全ての部位でTFLのストレッチングにより有意に低下した。客観性に乏しく表現されることが多い硬度を定量化し,比較指標とすることは臨床的に意義がある。今後は,腸脛靭帯炎の発症部位である大腿骨外側上顆付近のITBにより効果のあるストレッチング法を模索し,硬度変化を検討していく。また硬度計の他に超音波測定装置を併用することで,組織の評価をより客観的に行い,腸脛靭帯炎の予防や治療に最適なストレッチング法構築の一助としたい。
著者
森山保 著
出版者
広文堂書店
巻号頁・発行日
vol.第5編 第5学年用, 1913
著者
近藤 まなみ 長谷川 拓 森 直樹 松本 啓之亮
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1N103, 2018 (Released:2018-07-30)

近年,AIの分野で人狼ゲームが注目を集めている.人狼ゲームはコミュニケーションゲームの一種であり,不完全情報ゲームに分類される.人狼ゲームには未知の情報があるため,このゲームを攻略する戦略の一つとして,未知の情報を予測に基づいて判断することが挙げられる.人狼ゲームにおいてプレイヤが知ることができる情報は限られており、その中には虚偽が存在する可能性がある.本論文では限られた情報を学習することで不確実な情報下での予測を試みるため,人狼ゲームの持つ時系列性を考慮し,LSTMを用いた.また,得られた予測モデルを用いてゲーム分析をした.
著者
森 哲彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-14, 2007-12
被引用文献数
1

神の存在証明についてヤスパースは「カント以来、誠実な思索にとっては、神の存在証明が不可能であることは確実である」(Jaspers:Glaube,32)とする。本論で見るようにカント自ら、この神の存在証明の不可能性を論証している。そこでは先行する哲学者たちの神の存在証明、つまり自然〔物理〕神学的証明、宇宙論的証明、および存在論的証明(デカルト的証明)は成立しえず、これらの神学、すなわち自然〔物理〕神学、宇宙論的神学、そして存在論的神学は、超越論的神学のゆえに批判される。しかしこのカントの主張は、理性の思弁的原理や認識論的立場からでなく、存在論的立場からの批判である。それゆえカントによれば「道徳諸法則が根底に置かれ」る「理性の神学」(A636,B664)は存在する。これがカントの道徳神学である。戦後ヤスパースは、先行する哲学者たちの「あらゆる神の存在証明を、カントが見事に論駁したあとを受けて、またヘーゲルが思想的には豊かだが安易で誤った仕方で再び神の存在証明を復活させたあとを受けて…今日では、神の存在証明を新たに哲学的に我がものにすることが、是非とも必要なことである」(Glaube,33)としている。しかも自らその必要性を急務としている。なぜなら神の存在証明を獲得しなければ「哲学者は、一般に何事も主張せず、何事も否定しえないところの懐疑的哲学の立場を取る。かまたは哲学者は、自分の立場を対象的に規定された知、すなわち科学的認識に限定して、我々は知りえない事柄については、沈黙を守るべき、という命題をもって哲学することをやめる」(Einfiihrung,40)と自戒する。本論で取り上げるカントの神問題については、問題史的、概念史的解釈を行う。しかし問題の概念史的解釈を行うには、それに先行して発展史的解釈が必要である。そのため本論ではカント前批判期と批判期(『純粋理性批判』)の発展史的解釈による小論(後掲引用・参考文献)を前提としているものである。
著者
藤本 昌央 信迫 悟志 藤田 浩之 山本 悟 森岡 周
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.493-498, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
37
被引用文献数
3 1

〔目的〕近年,運動イメージの想起課題がリハビリテーションの治療として応用されはじめている。対象者の歩行機能の回復は理学療法の代表的な目標となるが,歩行運動イメージ時において,高次運動関連領域を活性化されるかは一様の見解を得ていない。本研究の目的は,歩行運動イメージを想起させる方法として,レトリック言語を用いることで高次運動関連領域が効果的に活性化するかを脳機能イメージング手法によって明らかにした。〔対象〕健常成人12名(男性:2名,女性:10名,平均年齢±標準偏差:24.1±5.6歳)とした。〔方法〕条件A「歩いているイメージをしてください」,条件B「踵が柔らかい砂浜に沈み込むのを意識しながら歩いているイメージをしてください」とそれぞれ言語教示を与え,歩行運動イメージ中の脳血流量(酸素化ヘモグロビン値)の変化を捉えた。〔結果〕条件Bにおいて左背側運動前野,両補足運動野,左一次運動野において脳血流量の有意な増加が認められた。〔結語〕歩行運動イメージの想起にはレトリックを用いた言語教示によって,運動関連領域が活性化されたことが分かった。
著者
津志田 藤二郎 村井 敏信 大森 正司 岡本 順子
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.817-822, 1987
被引用文献数
33 45

(1) 茶葉を窒素ガスや炭酸ガスのなかに入れ,嫌気的条件に置いたところ, γ-アミノ酪酸とアラニンが増加しグルタミン酸とアスパラギン酸が減少した.一方,テアニンやカフェイン,タンニン含量は変動しなかった.<br> (2) γ-アミノ酪酸は血圧降下作用を示す成分であるといわれることから,窒素ガス処理を行った茶葉で緑茶を製造した.その結果,一番茶,二番茶,三番茶ともにγ-アミノ酪酸含量が150mg/100g以上になった.<br> (3) ウーロン茶,紅茶のγ-アミノ酪酸含量は,茶葉を萎凋する前に窒素ガス処理するより,萎凋後に窒素ガス処理するほうが高くなった.<br> (4) 窒素ガス処理した茶葉から製造した茶は独特な香りを持っていたので, GC-MSで香気成分を分析,同定したところ,窒素ガス処理しないで製造した茶に比べて,脂肪酸のメチルやエチルエステルが増加していた.しかし,これらの成分の臭いは窒素ガス処理した茶が持つ香りとは,異なっていた.
著者
森口多里編
出版者
洪洋社
巻号頁・発行日
1921