著者
松森 晶子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.30-40, 2012-04-30 (Released:2017-08-31)
被引用文献数
3

Based on the descriptive studies of some 3-patterned and 2-patterned accentual systems in Northern Ryukyuan (Amami-Okinawa region), this research report proposes a list of vocabulary classified according to groups of accentual or tonal patterns which are supposed to exist for nouns, verbs, and adjectives in Proto-Ryukyuan. The list contains the vocabulary belonging to A, B, and C categories for nouns, and A and B categories for verbs and adjectives. Labelling these categories as "Keiretsu (categories)" and the vocabulary list as "Keiretsu-betsu goi," the paper argues that the vocabulary list will be useful in future field research on synchronic as well as diachronic studies on accent and phonology of the Ryukyuan linguistic systems.
著者
森田 洋司
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究
巻号頁・発行日
vol.50, pp.392-395, 1992
著者
森 義雄 中野 善公 林 祐貴 高橋 重一 久松 完 住友 克彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.381-390, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

キクの電照栽培による開花調節では,暗期中断処理終了から開花までの期間の高温による開花遅延が夏季において問題となる.電照栽培に適した夏秋小ギクを用いて,人為的な高温処理による開花遅延の程度を調査したところ,大きな品種間差が見られた.人為的な高温処理下でも開花が遅延しにくい品種では,高温年における圃場での露地電照栽培でも,開花遅延が小さい傾向が見られた.夏秋小ギクの露地電照栽培では,高温開花性の高い品種を用いることによって,年次変動の少ない安定的な計画生産が可能となるといえる.また,高温による開花遅延反応の大きく異なる品種間で,花成を促進するフロリゲン(FTL3)遺伝子の発現レベルを比較したところ,高温開花遅延の大きい品種では,高温によってフロリゲン遺伝子の発現が強く抑制された.一方,高温開花遅延の小さい品種では,フロリゲン遺伝子の発現レベルは維持された.よって,キクタニギクおよび秋ギクと同様に,夏秋小ギクにおいても,高温によるフロリゲン遺伝子の発現抑制が開花遅延を引き起こすと考えられた.
著者
井上 紗奈 本田 秀仁 森 数馬 山本(前田) 万里 椎名 武夫 曲山 幸生 永井 成美 和田 有史
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.7-25, 2018-03-01 (Released:2018-09-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1

A new functional food-labeling system was implemented in 2015. Food products with new functional information are expected to increase along the increase of health awareness in Japan. However, it is difficult for ordinal consumers to understand each functional component of food. When descriptions on food include scientific information,people often misunderstand or excessively expect about a new function. This research investigated how understanding the information of foods was correlated with individual’s cognitive traits conducting a web-based survey using a fictional news report based on real research to two groups, ordinal consumers group and specific occupations group that supposed to have high recognition degree of new functional food-labeling system. We also used three cognitive indices, the cognitive reflection test, numeracy and graph literacy, to investigate the influence of cognitive traits on reading comprehension and interpretation. The results revealed that graph literacy was correlated with understanding and that the other two indices were correlated with psychological factors of interpretation though there was no group difference.
著者
森 一夫 出野 務
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.15, no.120, pp.196-199, 1977-01-31

周知のようにニュートンは『自然哲学の数学的諸原理』(以下,『プリンキIピア』と略記する)の冒頭に 定義I 物質量とは,物質の密度と大きさ(マーグニトウードー)(体積)とをかけて得られる,物質の測度である. と質量を定義している.一見循環論法とも思えるこの不自然な定義をめぐり,E.Machを初めとして今日までさまざまな解釈が行われ,議論されてきた.わが国でも『科学史研究』誌上で,渡辺正雄・板倉聖宣両氏の論争が行われたことは記憶に新しい.両者の論争によって新しい視点が提供されたのは注目すべきであるが,なおも問題点は解決されないまま残されているので,筆者はあえて別の視点からニュートンの質量の定義に関して新しい解釈を試みようとした.筆者の見解を述べる前に,その素材を提供したともいうべき両氏の論争を最初に紹介しよう.
著者
森 勇太
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.17-31, 2011-04

本稿では聞き手に利益のある行為を話し手がおこなうことを申し出るときの表現(以下,申し出表現)の考察を通して,「-てあげる」「-てさしあげる」などの恩恵を与えることを示す形式(以下,与益表現)の運用の歴史的変化について調査を行った。現代語で上位者に「-してあげましょうか」と,与益表現を用いて申し出を行うことは丁寧ではない。一方で,与益表現は「-てまいらす」などの表現をはじめとして,中世末期ごろにその形式が現れるが,中世末期から近世にかけては与益表現を用いて上位者に申し出を行う例が一定数あり,その待遇価値は高かったものと考えられる。この歴史的変化の要因としては,(1)恩恵の示し方の歴史的変化(聞き手に対する利益を表明することが抑制されるようになった),(2)利益を表さない謙譲語形式の有無の2点が考えられる。
著者
築舘 香澄 大森 正司
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.176, 2012 (Released:2013-09-18)

目的 γ-アミノ酪酸(GABA)は抑制性の神経伝達物質として脊椎動物の脳内に存在することが知られている.また,現在では様々な末梢組織にGABAが存在することも認められている.近年,GABAは血圧上昇抑制作用や抗ストレス作用,成長ホルモン分泌促進作用,腎機能障害抑制作用,中性脂肪増加抑制作用を有することが知られ,機能性食品素材として注目されているが,食餌性GABAの体内における挙動について検討した研究はほとんどない.そこで本研究では,ラットにGABAを経口投与し,各臓器におけるGABAの分布について検討した.方法 6週齢のWistar系雄性ラットを用いた.ラットに10%GABA溶液を1mL強制経口投与し,1,3,5時間後に二酸化炭素による安楽死の後開腹し,心臓採血を行った.その後,生理食塩水を灌流して脱血し,胃,肝臓,腎臓,脾臓,十二指腸,盲腸,大腸,睾丸,脳を摘出した.採取した血液および臓器についてTCA溶液で除タンパク後,L-8800形日立高速アミノ酸分析計を用いてGABA含量を測定した.結果 血液,肝臓,十二指腸および睾丸中のGABA含量は,投与後1時間で最大値を示し,時間とともに緩やかに減少した.胃では投与後1時間で最大値を示し,その後,急激な減少が認められた.腎臓では,投与後1時間から3時間で最高値を示し,その後減少した.脾臓では投与後3時間で最大値を示した.盲腸および大腸では,投与後,時間とともに増加した.GABA投与後,脳中GABA含量の大きな変化は認められなかった.
著者
西應 浩司 材野 博司 松原 斎樹 藏澄 美仁 森田 孝夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.547, pp.169-176, 2001-09-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
23
被引用文献数
5 5

An experiment was done in one area with grid shaped street pattern and in another area with irregularly twisted street pattern. There were two ways to memorize forms in the experiment: a real walk and CG animation presented walk through a fixed pathway. After learning the course, the subject walked the pathway by themselves. Originally the subjects were 25 males and 15 females. The results were analysed based on gender difference-14 male and 14 female subjects. Analysing errors in the abstract distance and abstract angle errors on the cognitive maps, it was recognized that the drawn street lengths are shorter than the actual distances for both genders. Concerning a real walk through the irregularly twisted street the females' errors in the abstract angles were smaller than the males' errors. However both gender's found the irregularly twisted street more legible than the grid shaped one.
著者
森 一郎
出版者
東京女子大学論集編集委員会
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-26, 2012-09

Die Atomlehre im alten Griechenland ist—nach zweitausendjähriger Inkubationszeit—in der Renaissance aufgelebt und hat zur Entstehung der neuzeitlichen Naturwissenschaften beigetragen. Die Experimente aber, mit denen die Kernphysik des 20. Jahrhunderts der angeblichen Unteilbarkeit des Atoms entgegentrat, haben etwas völlig Neues zum Vorschein gebracht. Nach Heidegger, der über das „Atomzeitalter" nachzudenken versucht, läßt die moderne Technik sich bereits auf die „Herausforderung der Grundbestandstücke" ein. Das „Ge-Stell", als das Heidegger das Wesen der Technik bezeichnet, versammelt so alles und alle auf der Erde und vermehrt sich immer weiter. „Auf welche Weise können wir die unvorstellbar großen Atomenergien bändigen und steuern und so die Menschheit gegen die totale Vernichtung sichern ?" —Heidegger stellte dieselbe „Grundfrage der heutigen Wissenschaft und Technik" in einem Vortrag schon im Jahre 1955. Das Aufkommen des zeitlich ganz neuartigen Seienden, z. B. des Plutoniums, fordert von uns erneut eine „metaphysische Ontik".古代ギリシアの原子論は、二千年の潜伏期を経て、ルネサンスに復活を遂げ、近代自然科学の成立に与った。だが、原子の分割不可能性に挑戦した二十世紀の核物理学の実験は、まったく新しい何かをもたらした。「原子力時代」について省察を試みたハイデガーによれば、現代技術は「元素の挑発」に乗り出しており、その本質である「総かり立て体制」は、万人と万物をそこに包摂して自己増殖していく。「巨大な原子エネルギーをいかにして制御し、操縦し、安全性を確保することができるのか」—この「現代の科学技術の根本の問い」を、ハイデガーはすでに1955年の講演で立てた。プルトニウムという地上における新しい存在者の出現は、何らかの「形而上学的存在者論」をわれわれに新たに要求している。
著者
森山 由紀子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.62-77, 2010-04-01

被支配待遇から丁寧語に変化した「ハベリ」の出現は900年前後とされ、『古今集』詞書の「ハベリ」もその例とされることが多い。本稿は、奥村(1957)の指摘を再検証し『古今集』諸本間の異同の分布と意味分類を対照することによって、『古今集』に当初からあった「ハベリ」は、すべて「人の存在」の意味の範囲内で用いられたものに限られることを明らかにした。このように、丁寧語として拡張した例を一例も持たない『古今集』詞書の「ハベリ」は、手紙引用部の1例を除き、11Cの和文に見られるような丁寧語ではなく、上代と同じ被支配待遇として、または、「仮想被支配段階」という丁寧語の前段階にあたる過渡的な例として考えるべきである。なお、手紙引用部の1例については、『伊勢』の他の1例とともに、900年当時、本来被支配待遇であった「ハベリ」が、すでに対人コミュニケーション場面に転用されていたことを明確に示す例として位置づけられる。
著者
森田 耕平
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.18-34, 2016 (Released:2017-01-24)
参考文献数
14

動詞中止形の継続相相当のアスペクト形式であるシテイテとシテオリについて、両形式の比較を通じて意味・機能を記述し、次のことを明らかにした。 ①シテイテとシテオリを比較すると、シテイテのみが用いられる場合がある。 ②継続相のシテイテとシテオリの共通の意味・機能は、定形動詞のアスペクトとの相関によって出来事間の同時的時間関係を表すことである。 ③シテイテのみが用いられる文の構文的特徴は、(a)定形動詞のアスペクトが完成相で、(b)二つの出来事の主体が同一であり、(c)シテイテが、定形動詞が表す偶発的な出来事が発生する状況を表す点である。 ④このときシテイテは、定形動詞と並列された述語というよりも、主語と述語が表す出来事に対して、任意的な文の成分である状況語的意味・機能を持つ。これは同じ動詞中止形で修飾語的に機能するシテとは異なったあり方を示す。
著者
杉山 昂平 森 玲奈 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2018

<p>成人による趣味の追求をインフォーマルな学習環境はいかに支えるのだろうか.趣味における興味に着目してきた先行研究に対し,本研究の目的は「興味の深まり」という新たな概念を提案し,「成人の趣味活動において学習環境との関わりによっていかにして興味が深まるのか」を明らかにすることである.趣味活動の事例としてアマチュア・オーケストラを対象とし,オーケストラ団員15名に対して回顧的インタビュー調査を行った.分析の結果,興味の深まりには(1)音楽的な無自覚からの脱出,(2)上達・達成へのとらわれからアンサンブルへ,(3)参加すること自体の価値を見いだす,という3類型が存在し,それぞれの興味の深まりは(a)活動形態の異なる共同体への移動,(b)活動理念の異なる共同体への移動,(c)目標を焦点化する役割付与,という学習環境との関係性において生起することが明らかになった.</p><p></p>
著者
森 茂郎
出版者
医学書院
雑誌
medicina (ISSN:00257699)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.2052-2053, 1988-09-30

■診断基準 1)免疫芽球性リンパ節症(IBL)ないし血管免疫芽球性リンパ節症(AILD)の確定は病理組織学的診断による.すなわち,T・B両系統のリンパ球および非リンパ系細胞である好酸球,好中球,類上皮細胞を含む組織球など多種類の細胞により構成された病変があり,かつ間質を構成する要素である血管や濾胞の樹状突起細胞などの顕著な関与があり,これによってきわめて特徴的組織像を呈するものをこう呼ぶ.他方,胚中心の消失ないし極端な萎縮は本病変のnegative側の重要な組織学的特徴である1). 2)臨床的には全身の系統的リンパ節腫大,発熱,皮疹,肝・脾腫,多クローン性高ガンマグロブリン血症などの症状をみることが多いが,これらの有無は本症の確定診断のための必要条件とはならない.
著者
佐野 友香莉 辻 宏子 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.181-186, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
12

本研究では,思考力などの21世紀を生き抜く力の育成に向けて開発した,ゲーム型学習教材「ラスワン」における,教材としての特徴を示した上で,大学生22名を対象とした調査より,⑴本教材と学習者が持っている思考力の関係性,⑵本教材をプレイする際に用いる推論方法,について検討した.その結果,⑴論理的思考力の高い学習者は,論理的思考力の低い学習者よりも,本教材の起こりうる場面における適切な推察について問く「場面提示テスト」において,場面に応じて適切な選択をする傾向があること、⑵学習者は,本教材をプレイする際,および,場面提示テストに回答する際,論理的思考力を用いており,その推論方法は演繹的推論に限らず,帰納的推論および類似的推論も用いていること,が示された.また,調査によって,計算を間違えた際に即時にフィードバックができるようなシステムを,ゲームデザインに組み込むべきであることが,明らかになった.
著者
森川 洋
出版者
地方自治総合研究所
雑誌
自治総研 (ISSN:09102744)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.68-83, 2013-11
著者
鮫島 和行 金野 武司 李 冠宏 奥田 次郎 森田 純哉 橋本 敬
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.5, pp.1-6, 2016-12-05

ヒトは,記号に意味を持たせ,その情報交換を通じて協力 ・ 協調行動を行うことで,社会を形成している.記号への意味づけや合意を,ヒトはどのように獲得または創発しているのだろうか.本研究では,2 者が協調行動を発現すると成功するゲーム課題において,ゲーム上での記号使用の学習過程を記述する確率モデルを提案する.実際の行動実験の結果から,モデルによる記号の意味の変遷を解析した.その結果,字義的意味の成立の次に言外的意味が成立するなど,認知過程が複数存在することがわかり,その変遷を可視化する事ができた.確率モデルによる認知過程の分離は,脳波などによる対応する脳内過程を検討するために重要である.