著者
坂本 義光 多田 幸恵 福森 信隆 田山 邦昭 安藤 弘 高橋 博 久保 喜一 長澤 明道 矢野 範男 湯澤 勝廣 小縣 昭夫 上村 尚
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.41-50, 2007-06-25 (Released:2008-04-28)
参考文献数
13
被引用文献数
14 13

除草剤グリホサート耐性の性質を有する遺伝子組換え大豆(GM大豆)の安全性を確かめる目的で,ラットを用い,GM大豆および非遺伝子組換え大豆(Non-GM大豆)を30%の割合で添加した飼料による52週間摂取試験を行った.また大豆に特異的な作用を観察する目的で,一般飼料(CE-2)を大豆と同様の期間摂取させた.GM大豆群の投与期間中の体重,摂餌量はNon-GM群と比べて差はなかった.投与開始後26週目と終了時のGM大豆群の血液学的および血清生化学検査,臓器重量測定および組織学的検査結果は,いずれもNon-GM大豆群と比べて有意な差は認められなかった.GM大豆の性状はNon-GM大豆と同等であり,飼料に30%まで添加し,52週間摂取させても障害作用はないものと考えられた.
著者
内藤 明美 森田 達也 田村 恵子 大屋 清文 松田 能宣 田上 恵太 柏木 秀行 大谷 弘行
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.115-122, 2021 (Released:2021-04-05)
参考文献数
30
被引用文献数
1

【背景】スピリチュアルペインの統一された定義はない.国内の緩和ケア医と精神科医のスピリチュアルペインに関する認識を調査した.【対象・方法】緩和ケアに携わる緩和ケア医・精神科医を対象とした質問紙調査を行った.【結果】緩和ケア医387名(回収率,53%),精神科医374名(45%)から回答を得た.76/69%(緩和ケア医/精神科医)がスピリチュアルペインと抑うつは異なると答えた.66/71%は定義が不十分,59/60%が抑うつなど治療可能な苦痛が見逃されると答えた.40/47%が定義を明確にするべきとしたが,定義のあり方には意見が分かれた.緩和ケア医と精神科医の認識に大きな差はなかった.【結論】緩和ケア医,精神科医ともスピリチュアルペインの定義が不十分と認識するが,望ましい定義のあり方は一致しない.今後日本におけるスピリチュアルペインのコンセンサスを得ることの意義について検討する必要がある.
著者
竹内 洋一郎 野田 直剛 小森 茂 入交 裕 北川 俊治
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.26, no.282, pp.210-214, 1977-03-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
6
被引用文献数
8 7

The ultrasonic wave reflection method has been used to determine the elastic constants, Young's modulus, shear modulus, and Poisson's ratio of various steels and aluminium alloys in the temperature range from room temperature to 800°C. It was found that the both elastic moduli tend to decrease with the rise of temperature. Poisson's ratio, however, shows no significant difference among the materials with temperature and there is a slight increase with rise of temperature. The data were successfully represented by the empirical formulae in the form of exponential function of temperature. They are very convenient expressions for the analyses of thermal stress problems.
著者
山森 光陽 徳岡 大 萩原 康仁 大内 善広 中本 敬子 磯田 貴道
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.297-316, 2021-09-30 (Released:2021-11-16)
参考文献数
48
被引用文献数
4

クラスサイズ及び目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度による,小学校第4, 5学年の2年間にわたる社会科の学力の変化の違いを検討した。第4, 5, 6学年開始前後の標準学力検査の結果を児童個別に結合したパネルデータに,第4, 5学年時のクラスサイズ,目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度を連結したパネルデータのうち,第4, 5学年間で学年学級数の変動が起こらなかった50校,1,672名の児童を分析対象とした。第4学年,第5学年の各1年間,第4, 5学年の2年間の,過去と後続の学力の違いに対するクラスサイズ,目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度,及びこれらの交互作用の影響を,児童,クラス,学校の3レベルを仮定したマルチレベルモデルによる分析を行った。その結果,第4, 5学年の2年間で見ると,在籍したクラスのサイズが小さく,かつ目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度が高い学級担任による指導を受け続けた場合,過去の学力が相対的に低い児童については,これ以外の場合の児童と比べて後続の学力が高いことが示唆された。
著者
森本 岩太郎
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.477-486, 1987 (Released:2008-02-26)
参考文献数
6
被引用文献数
10 11

打ち首(斬首)の所見が認められる古人首例は比較的少なく,偶然に発見されたとしても,頭蓋の刀創などから斬首を間接的に想定した場合が大部分を占めると思われる.著者が最近経験した鎌倉市今小路西遺跡出土の南北朝期(14世紀後半)に属する斬首された2個体分の中世頭蓋の場合は,切られた上位頸椎が一緒に残っていたので打ち首の技法がよく分かる.当時の屋敷の門付近に,A•B2個体分の頭蓋と上位頸椎だけが一緒に埋められていた.首実験後に首だけが遺族に返されず,そこに仮埋葬されたものであるらしい.2体とも男性で,年齢は A が壮年期前半,B が壮年期後半と推定される.頭蓋は無傷で,それぞれの頸椎が日本刀のような鋭利な刃物により切断されている.頭蓋と第1~3頸椎からなる男性 A の場合,切断面は第3頸椎体の前下部を右後下方から左前上方へ走って椎体の途中で止まり,その先の椎体部分は刀の衝撃によって破壊され失われている.切断面の走向からみて,第4頸椎(残存せず)を右後下方から切断した刃先が第3頸椎体に達して止まったと思われる.頭蓋と第1~4頸椎からなる男性 B の場合,主切断面は第4頸椎の中央を右からほぼ水平に走っている.切断面より上方にある右横突起と右上関節突起の上半部だけが残存し,それ以外の第4頸椎の大部分は失われている.A の場合と同様に,刃先が第4頸椎の椎体の途中で止まって,その先の部分が破壊されたものと推定される.別に第3頸椎の左下関節突起先端部から右椎弓根基部上面へ向けて椎体を左下方から右上方へ斜めに走る副切断面があり,この副切断面によって改めて首が切り離されている.失われた第3頸椎の椎弓板もこのとき壊されたと思われる.切断面の走向からみて,両個体とも,垂直に立てた頸部を横切りにされたというよりは,むしろ正座のような低い姿勢をとって前方に差し伸べた頸部を,左側やや後方に立った右利きの執刀者により切り下ろす形で右背後から鋭く切断され,絶命したと推定される.この際,首は一気に切り落とされていない.これは俗に「打ち首はクビの前皮一枚を残すのが定法」と言われるところに近似の所見であり,この技法の確立が中世までさかのぼり得るものであることが分かる.2体とも最初に第4頸椎部を正確に切断され,頭蓋には刀創の見られないところから,同一の練達者によって斬首されたと推測されるが,切られたほうも死を覚悟した武士であったかも知れない.英国のSutton Walls 出土の鉄器時代人骨における斬首例のように,首を刀で一気に切り離すのが昔のヨーロッパ流のやり方とすれば,中世における日本の打ち首では頸部を後方から半切して処刑する点にその特徴があると思われる.
著者
石塚 洋一 近藤 悠希 山川 枝里子 薬師神 壮 前田 記代子 辻口 憲司 丸山 徹 森内 宏志 入倉 充 入江 徹美
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.274-280, 2008 (Released:2009-09-04)
参考文献数
8

As ambiguous package descriptions occasionally cause medication errors,measures against this should be taken to help ensure that medicines are used properly.An example is Speel plaster® M,a salicylic acid adhesive plaster,which is used for the treatment of dermal diseases with keratosis.It is supposed to be attached to the diseased skin in a size the same as that of the affected area or smaller than it,in order to prevent the normal skin surrounding the affected area from being irritated and/or being detached.However,we found that some patients covered an area larger than the affected area with the plaster.This may be due to misunderstanding of a Japanese expression in the package description.The expression is “Kanbu-dai”which means the same size as the affected area but some patients take“dai”to mean large making them think that the size should be larger.In a questionnaire given to 180 pharmacy school students,65.6% answered that the proper use of the plaster was to apply it in a size larger than the affected area,since they had misunderstood the meaning of the expression“Kanbu-dai”.This misunderstanding seemed to be connected with the fact that they had not used the plaster before.We therefore devised a user-friendly package with an explanation to patients using illustrations to help ensure that the plaster is used properly.
著者
田中 陽一 大住 倫弘 佐藤 剛介 森岡 周
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.117-122, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
21

地域在住の慢性疼痛症例に対し,疼痛強度の日内変動と日々の心理状態・身体活動量の調査を行った.症例は事故により右腕神経叢を損傷し,受傷以降右上肢に自発痛を有していた.14日間の調査の結果,疼痛の日内変動と身体活動量との関連では,低強度活動(家事や歩行などの立位を含む運動)が多いと疼痛強度が低下し,低強度活動が少ないと疼痛強度が増加する傾向が確認された.今回の低強度活動は,症例が日々の生活において重要度が高いと判断した「散歩」や「デイサービスの利用」などであることから,本人が重要と感じ,かつ低強度の運動時間を維持できる活動を行うことが,疼痛強度の低下に寄与したのではないかと考えられる.
著者
大森 淳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.58-89, 2021 (Released:2021-04-20)

サイパン島陥落、フィリピン戦、特攻作戦、硫黄島玉砕、沖縄地上戦……。国民の間に厭戦気分が増大しかねない事態の中で、ラジオは敵愾心の振起、戦意の維持という使命を担っていた。日本放送協会はその使命にどう対応したのだろうか。 本稿では、電気通信を学ぶ高等学校生だった高橋映一が手作りの装置で録音した音源を手がかりに、太平洋戦争後期から末期にかけてのラジオ放送に焦点を当てる。 そして、太平洋戦争の敗北が決したとき、ラジオはその原因と責任の所在をどう国民に伝えようとしたのか、新資料から考察する。
著者
森山 淳
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.77, no.778, pp.2389-2399, 2011 (Released:2011-06-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

To clarify the overturning possibility of trains exposed to strong cross wind, several experiments were done to study the affect of the wind velocity and wind direction on the axle load changing. In this paper, the results of the experiment in the Japan Sea Coast Main Line, where the seasonal wind swept bitterly in winter, are described. Various kinds of trains, such as limited express, fright, commuter and local, were operated on the sites. To eliminate the turbulence of the wind on the sites, the 3 wind sensors were installed parallel with the track at regular intervals. As the results of the experiments, the author found that the ratio of wheel unloading caused by the wind could be more accurately expressed by the “Detailed equation” than the Kunieda's equation which was conventionally used to decide the regulation standard to prevent the train overturning by the strong cross wind in Japanese railways. Mesurement data also show that consideration of relative wind velocity and relative wind direction is important for running vehicle.
著者
太田 剛 森本 容介 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.197-208, 2016-12-24 (Released:2017-03-23)
参考文献数
26

本稿では,初等中等教育において全国レベルでプログラミング教育が実施されている英国,オーストラリア,米国のカリキュラムを調査し,その内容を総括的に述べる.各国とも情報教育として,プログラミング教育を包含するコンピュテーショナルシンキングの考え方を中核にして,抽象化,問題の分析,アルゴリズム,データ活用,評価,協働作業等の能力の育成を目指した学習内容を定義している.各国のプログラミング教育は類似した内容で,小学校低学年ではロボットやパズルを使用して手順の指示を行い,小学校高学年ではビジュアル言語を使用して分岐や反復を含むプログラムを制作し,中学校高校ではテキスト言語を使用して複数のデータ型やモジュールを含むプログラムを開発する.また,従来のICTの基本的操作,情報倫理,情報の安全教育などを小学校低学年から実施するなど総合的な情報教育の面もある.
著者
曹 蓮 杉森 伸吉 高 史明
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.18051, (Released:2020-09-15)
参考文献数
41
被引用文献数
1

In this research, we investigated cultural differences between Chinese and Japanese participants concerning perceptions of emotions by facial expressions (about specific feelings and to what extent those feelings can be experienced). We used gradual morphing images that express countenances from neutral facial expressions to anger or joy as stimuli. By doing this, participants identified emotion types and evaluated emotional strength. As a result, Japanese participants evaluated the emotional strength for moderate to distinct expressions of anger to a greater extent than Chinese participants. From this, we suggest that compared with the Chinese, the Japanese have a tendency to infer stronger internal anger (i.e, “augment”) than what is actually expressed.