著者
菅沼 崇 古城 和敬 松崎 学 上野 徳美 山本 義史 田中 宏二
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.32-41, 1996
被引用文献数
1

本研究は友人によるサポート供与と評価懸念が生理的, 認知的, および行動的なストレス反応に及ぼす効果を実験的に検討することを目的とした。2 (友人サポートの有無) ×2 (評価懸念の有無) の要因計画で, 被験者は大学生79名。彼らはそれぞれ親しい友人と実験に参加した。サポート供与条件では, 友人は被験者がアナグラム課題を遂行している間, 自発的にそして被験者の要請に応じてサポートを供与した。他方, サポートなしの条件では, 友人はサポートを一切供与しなかった。評価懸念ありの条件では, 友人は被験者が課題を遂行する状況を観察することができた。従属変数としてのストレス反応は, 平均血圧 (MBP), 認知的干渉, および課題正答数で測定された。<BR>その結果, 評価懸念あり条件ではサポート供与の有無の条件間に差はなかったが, 評価懸念なし条件ではサポート供与あり条件の方がなし条件よりMBPが有意に低いことが認められた。したがって, 評価懸念をもたらさない友人のサポート供与はストレスを緩和する効果をもつことが指摘された。

1 0 0 0 OA 神をつくる

著者
田中 正隆
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.65, pp.1-18, 2004-12-22 (Released:2010-04-30)
参考文献数
34

南部ベナンには多様な神々を物質にして祀る信仰 (ヴォドゥン) が広がっている。ヴォドゥンとは神格化された祖霊であるが, 人々はそれを物質に置き換える。こうした神である物質を, 人々は日常品などの単なるものエヌenuと区別してヌワヌnuwanu (手を加えたもの) と説明する。こうしたもの一神は, 歴史を通じて人々が他地域から購入することで移動や混合がすすんできた。それは現在にいたるまで続いており, そうした神の流通には伝統医が深く関わっている。伝統医 (ボコノ) にとってこれは信仰活動でありつつ, 経済活動の一つでもある。本稿は伝統医の活動のうち, 薬, 呪物, 霊でもある「もの」の売買にかかわる面に着目し, 彼らの経済原理を明らかにする。近年の人類学におけるモダニティ論では, しばしば従来商品となることはなかった (個別化された) ものまでが売買される状況をさして, オカルトや過剰な自由主義経済化として解釈する。しかしアジャ社会における物質化された神は個人の要求に応えるという意味で個別的でありながら雑多な商品によって構成され, 貨幣と交換される。これらは個別性―商品性を対極におく, 物質文化論や交換論の枠組みでは理解できない。そこで本稿では伝統医の経済事情と作成儀礼, 彼らの語りを分析するなかで, 人々がむしろ作成過程と取引の持続性, 反復性を重視していることに注目した。このような取引にたずさわることはボコノにとって重要な信仰実践である。神々をめぐる取引はきわめて貨幣―商品経済的でありながら, 利潤の最大化が唯一の目的ではなく, 社会関係の構築を重視することを, 本稿は明らかにする。
著者
山本 真也 田中 正之
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第22回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2006 (Released:2007-02-14)

社会的な場面では、働き手と利益の受け手が必ずしも同一個体であるとは限らない。このような場面でヒトは互恵的に協力しあうことができるが、ヒト以外の動物種でこのような行動を実証的に調べた研究は少ない。本研究では、実験的に操作した社会的場面におけるチンパンジー2個体の利己行動・利他行動を調べた。群れで生活する飼育下のチンパンジー、母子3組とおとなのペア2組を対象とした。隣接する2つのブースに自動販売機を1台ずつ設置した。この自動販売機にコインを投入すると隣のブースにリンゴ片が出た。ブースに1組のチンパンジーを入れ、2つのブースにコインを1枚ずつ実験者が交互に供給した。間仕切りが開いていてブース間を行き来できる条件(母子のみ)と閉まっていて各ブースに1個体ずつ入っている条件でおこなった。間仕切りを開けた条件では、母子は利他的なコイン投入行動を交互に継続させず、最終的にコイン投入も報酬も子どもが独占した。その過程で、相手のいる側のブースでコインを投入し、素早く移動して報酬を獲得する行動や、相手にコインを渡して投入させ、自分が報酬を得るといった利己的な行動がみられた。間仕切りを閉じた条件でも、母子では利他的なコイン投入行動は交互に継続しなかった。子どもが先にコインを投入しなくなった。一方おとなのペアは、1個体統制場面に比べて投入までの潜時が伸びたり投入拒否がみられたりしたが、利他的なコイン投入行動を交互に継続させた。働き手と利益の受け手が異なる場面で、互恵的な協力関係が母子間では成立せず、おとな2個体間では成立した。自分が働いて相手が利益を得るという一時的に不公平な状況への寛容さが個体間関係や発達段階で異なることが示唆された。おとな2個体での結果は、チンパンジーもヒト同様、自分の行為が相手の利益になることを理解したうえで互恵的に協力しあう可能性を示している。
著者
田中 義文
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1-3, pp.60-70, 2013 (Released:2015-03-27)
著者
吉田 司 渡邉 大輝 中潟 崇 山田 陽介 黒谷 佳代 澤田 奈緒美 田中 健司 岡林 恵 島田 秀和 瀧本 秀美 西 信雄 宮地 元彦 阿部 圭一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-111, (Released:2021-05-14)
参考文献数
34

目的 本研究は,大阪府北部の摂津市および南部の阪南市における40歳以上の中高齢者のフレイル該当割合と2市で共通してフレイルと関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法 2018年度に摂津市,2019年度に阪南市において無記名式郵送調査を行った。対象者は,小学校区ごとの40歳以上の性・年齢階級別の人口構成に応じて各小学校区から1,000人ずつ無作為に抽出した(摂津市10小学校区,阪南市8小学校区)。分析対象者は摂津市が5,134人,阪南市が3,939人であった。フレイル評価は,基本チェックリスト(KCL)および簡易フレイル指標(SFI)を用いた。フレイルを目的変数とし,年齢,性,BMI,家族構成,主観的健康感,経済状況,主観的体力,睡眠,喫煙,飲酒,食事回数,用語「フレイル」認知度を説明変数として多変量ロジスティック回帰分析を適用した。すべての分析は,摂津市と阪南市に分けて行った。結果 対象者の平均年齢と標準偏差は,摂津市が62.7±12.5歳および阪南市が63.4±12.2歳であった。KCLによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が18.7%と17.9%,50歳代が18.2%と14.6%,60歳代が17.0%と15.7%,70歳代が25.4%と20.8%,80歳以上が39.7%と36.1%であった。SFIによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が16.2%と13.5%,50歳代が15.0%と11.9%,60歳代が12.5%と10.0%,70歳代が14.6%と12.3%,80歳以上が24.7%と22.3%であった。摂津市および阪南市で共通し,かつKCLとSFIで共通してフレイルと関連した要因は,高年齢,主観的健康感の低さ,経済状況の不良,主観的体力の低さ,睡眠が不十分,およびフレイル認知度の低さであった。結論 大阪府の2市における調査により,40歳代や50歳代であっても一定数のフレイル該当者がいることが明らかになり,より早期の働く世代からのフレイル予防の取り組みが必要であることが示唆された。また,フレイルと関連する6つの要因が抽出されたが,因果関係や公衆衛生的意義について縦断研究や介入研究による検討が求められる。
著者
中江 啓晴 小菅 孝明 熊谷 由紀絵 田中 章景
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.131-136, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

パーキンソン病患者の便秘に対する麻子仁丸の有効性を検討した。対象は便秘のあるパーキンソン病患者23例。 麻子仁丸を投与し1ヵ月後に効果の有無を確認した。効果判定は排便の頻度で行い,排便の頻度が増加したものを有効,変化がなかったものを無効,低下したものを悪化とした。以前から下剤を内服していたものについては麻子仁丸に切り替え,同様に判定した。有効率は全体では78.3%,悪化例はなかった。副作用を認めたものは13.0%でいずれも下痢であった。以前に下剤を内服していなかった15例では有効率86.7%,以前から下剤を内服していた8例では有効率62.5%であった。麻子仁丸は下剤を内服していなかった患者に対して高い有効率を示し,また以前から下剤を内服しているが効果が不十分な患者に対して便秘を悪化させることなく切り替えることが可能であった。 麻子仁丸はパーキンソン病の便秘に対して適切な処方の一つと考えられた。
著者
鳥山 成一 田中 敦 西川 雅高 島林 誠 松井 あきえ 米田 京平 山﨑 敬久 溝口 俊明 木戸 瑞佳 中村 篤博 中谷 訓幸
出版者
特定非営利活動法人 エコテクノロジー研究会
雑誌
エコテクノロジー研究 (ISSN:18819982)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.271-276, 2008
被引用文献数
2

For the emission gas concentration measurement of sublimable gas phase boron compounds, the optimal collector material applied to the inside stack sampler (the type-1 stack sampler developed in our previous article) was examined. The collection efficiency of alkali impregnated filter paper of calcium carbonate and magnesium hydroxide was investigated by the use of artificial stack. It was revealed that calcium carbonate filter paper have a high collection efficiency and fully applicable to the type-1 stack sampler equally to potassium carbonate filter paper examined in our previous study. However, magnesium hydroxide filter paper is not suitable for the collection agent.
著者
田村 将太 田中 貴宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.172-180, 2019 (Released:2019-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
3

コンパクトシティ実現に向けた多くの計画では,サービス施設やコミュニティを維持するために人口密度が目標値として設定されているが,設定した人口密度が日常生活サービス施設を維持するための目標値として適切であるかについての検討は十分にはなされていない.本研究では,コンパクトシティ実現に向けた計画策定における拠点地域の人口密度設定の一助となる情報の提供を目的に,人口分布データと各施設の立地分布データを用いて,人口密度と各施設の立地との関連分析を行った.その結果,全29施設のうち25施設において人口密度と立地確率の間に比較的高い関連性が見られ,その立地傾向は人口密度の観点より,「10~20人/ha」,「20~60人/ha」,「60人/ha以上」の3つの人口密度区分に分類することができた.
著者
堤 敦子 田中 宏樹 小野 雄治 梅田(戸上) 久美 梅田 幸嗣 磯田 憲一 波部 幸司 西川 政勝 水谷 仁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.486-492, 2016

乾燥肌成人女性ボランティアを対象に,新規低刺激性全身洗浄料(nachu 高保湿ボディソープ:ダスキン)と従来品(うるおいボディソープ:ダスキン)を用い,各群15名の二重盲検による4週間の二群並行試験を行った。前腕皮膚の角層水分量,経表皮水分蒸散量に加え,使用感のアンケートと皮膚科専門医による問診・視診で評価した。結果:角層水分量にて両手共に改善傾向が認められ,統計学的には全被験者では左前腕,支給タオル使用者のみでは右前腕で有意な改善が確認され,角層水分量変化量の群間比較も改善をみた。なお,試験期間中に両洗浄剤に起因する有害事象は確認されなかった。以上より,新規洗浄剤が従来品に比し高い保湿性を持つことが考えられた。(皮膚の科学,15: 486-492, 2016)
著者
松本 美佐子 田中 笑子 篠原 亮次 渡辺 多恵子 冨崎 悦子 望月 由妃子 杉澤 悠圭 酒井 初恵 安梅 勅江
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.3-13, 2014

目的 本研究は保育園で気がつく3歳時の気になる行動の推移、および2年後の社会能力を予測する行動の抽出を目的とした。方法 対象は全国32か所の認可保育園に在籍する幼児である。すでに障害の診断がついている児を除外した2007年、2008年の3歳児(485人、509人)を2年間追跡し主要な項目に欠損のない276人、243人をパネル化した519人を分析対象とした。調査内容は「気になる行動チェックリスト」と「就学前児用社会的スキル尺度」の記入を担当保育士に依頼した。対象者の内訳は男児274名(52.8%)、女児245名(47.2%)、きょうだいは無200名(38.8%)、有315名(61.2%)不明4名であった。5歳時の社会性を目的変数、3歳時の気になる行動を説明変数、性別ときょうだいの有無を調整変数としてロジスティック回帰分析を実施した。結果 5歳の社会能力の低さは3歳時の気になる行動で「音に対する反応の異常」が見られる場合Odds比38.86(95%信頼区間4.21-358.85)(以下同様)、「光に対する反応の異常」が見られる場合14.21(2.69-75.10)、「不自然な関係性」がみられる場合14.10(3.99-49.78)、「無関心」がみられる場合4.06(1.64-10.03)、「こだわり」がみられる場合5.53(2.33-13.12)、「激しいかんしゃく」がみられる場合2.44(1.10-5.40)、「多動」がみられる場合3.46(1.75-6.86)、「けんかが多い」がみられる場合2.47(1.02-5.98)「反抗がひどい」がみられる場合6.00(2.13-16.95)、「言葉に関する問題」がみられる場合6.34(2.97-13.53)、「ルール逸脱行動」がみられる場合9.10(3.73-22.22)、「年齢相応の生活習慣の遅れ」がみられる場合4.93(2.11-11.51)と有意に高くなる傾向が示された。結論 3歳時に音や光に関する反応の異常、不自然な関係性、無関心、こだわり、激しいかんしゃく、多動、けんかが多い、反抗がひどい、言葉に関する問題、ルールの逸脱行動、年齢相応の生活習慣の遅れなどの行動がみられた際は、後の社会能力の獲得に困難を示す可能性があり、幼児期早期から社会能力を育むための支援が求められる。
著者
田中 久稔
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会年会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.120, 2002

株価や為替レートなどの資産価値の変化分率が、正規分布に比べてより厚い裾野(Fat Tail)を持つことは古くから指摘されている。(Manderbrot 1963, Fema 1965)。この性質を説明するために、いままでにもいくつかのモデルが提案されてきた。それらはいずれもエージェントの行動あるいは市場の構造に特殊な仮定を追加することにより、モデルを大数の法則や中心極限定理から解放するという方針を採っているように見受けられる。<br>この論文では、非線形や局所的相互作用を持ち込まないシンプルなモデルであっても、Fat Tail 分布の再現が可能であることを示す。このモデルの本質的な仮定は、以下の二つである。:〈投資決定の独立性)多数の投資家が存在し、それぞれが他の投資家や前期の自分の決定から独立に投資決定を行う、(ワルラス型価格調整〉資産価値は、その資産に対する超過需要に比例して変化する。すなわち、t期における価格変化を&Delta;S<sub>t</sub>,超過需要ED<sub>t</sub>をとれば、Pを調整パラメーターとして&Delta;S<sub>t</sub>=<sub>P</sub>ED<sub>t</sub>となることを仮定する。したがって、この仮定から導かれるモデルは中心極限定理の支配下にあり、そのダイナミックはガウス仮定によって記述されることになる。しかしそれにもかかわらず、比較的ゆるい条件のもとで、このモデルを用いて変化率の Fat Tail分布を再現することが可能である。まず、導かれたモデルを Fokker-Plank 方程式と呼ばれる線形編微分方程式に変換することにより、価格の調整速度パラメーターがある水準を越えると価格過程の定常分布が単峰形へと変化することが証明される。次に、具体例の計算機シミュレーションにより、双峰形定常分布を持つ価格過程が、定常分布の一方の峰から他方へと頻繁に飛び移ることを観察する。ある定常状態からもう一方の定常状態へと遷移する過程において、資産価値の大きな変化率が生じ得るのである。
著者
田中 愛子 後藤 政幸 岩本 晋 李 恵英 杉 洋子 金山 正子 奥田 昌之 國次 一郎 芳原 達也 Aiko TANAKA Masayuki GOTOH Susumu IWAMOTO Keiei LI Yoko SUGI Masako Kanayama Masayuki Okuda Ichiro KUNITSUGU Tatsuya HOBARA 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 和洋女子大学短期大学部 元山口県立大学看護学部 岡山大学大学院法医生命倫理学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 山口大学医学部環境情報系・公衆衛生学講座 Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Health and Nutrition Wayo Women's University Formerly of School of Nursing Yamaguchi Prefectural University Department of Legal and Bioethics Graduate School of the University of Okayama Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine Department of Public Health. and. Human Environment and Preventive Medicine Yamaguchi University School of Medicine
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.697-704, 2001-08-31
参考文献数
21
被引用文献数
1

In order to explore how to provide death education according to age groups, we examined the differences in the awareness of death between the adolescent and the middle age groups. A questionnaire survey was conducted using the Death Concern Scale. The subjects were students (n=627) aged between 19 and 29 (i.e. the adolescent group), company workers (n=149) and visiting nurses (n=94) aged between 30 and 64 (i.e. the middle age group). First, the question items were analyzed by content analysis and confirmed by factor analysis. Two factors were extracted from the Death Concern Scale:"thinking about death " and "anxiety and fear of death". Secondly, the data from both age groups were analyzed and compared by using the Mean Structure Model. The factor "thinking about death" had a greater value for the adolescent group than for the middle age group. There was no significant difference between the two groups in terms of the factor "anxiety and fear of death". These results imply that death education carries more importance for the adolescent group than for the middle age group.
著者
徳田 一貫 新小田 幸一 羽田 清貴 合津 卓朗 田中 泰山 吉田 研吾 木藤 伸宏 菅川 祥枝 本山 達男 川嶌 眞人 阿南 雅也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.437-442, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

〔目的〕変形性膝関節症のlateral thrustと膝関節の回旋の関係を明らかにすることである.〔対象〕対照群8人,膝OA群13人であった.〔方法〕ハイスピードカメラを用いて歩行立脚時の関節角度を解析し,3軸角速度計を用いて大腿と下腿の回旋角速度を解析した.〔結果〕対照群に比し,軽度膝OA群は荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が有意に小さく,重度膝OA群は立脚期の両肩峰傾斜,下腿傾斜,膝関節内反角度が有意に大きかった.膝OA群の膝関節内反角度は,荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が関連要因であった.〔結語〕膝OAの初期は荷重応答期から立脚中期の大腿部に対する下腿部の適合性が低下し,膝OAの重症化に伴いlateral thrustへと繋がることが示唆された.
著者
田中 直樹 小辻 俊通 大倉 実紗 小西 敏生
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.299, 2007

〈はじめに〉当院は病床数460床の地域中核病院であり、平成17年に臨床工学部門であるCE部が設立された。現在、臨床工学技士8名でME機器管理業務、血液浄化業務、循環器業務などを行っている。医療技術の進歩に伴い各種ME機器が導入され、業務拡大を求められるなか、効率的に業務を行うため、臨床工学技士業務支援システム(以下CE Office)を作成したので報告する。〈方法〉CE Officeは、データベースソフト「File Maker Pro」で作成し、サーバーとして「FileMaker Server 7」を設置した。クライアントは各部門に設置し、院内LAN上で接続し、どこからでも情報が閲覧、書き込みができる環境にした。また、各クライアントごとにアカウントとパスワードを設定し、セキュリティーを強化した。機能としては、掲示板として、メッセージ(申し送り)、勤務表、待機表の作成。ME機器管理では、バーコードを使った貸し出し返却システムや、機器管理台帳、メンテナンス計画。血液浄化では、透析記録用紙やサマリーの発行、検討会の資料作成。循環器では、心臓カテーテル検査、PCI、QCA、IVUSデータ管理や、物品管理などがある。又、メッセージを必ず見るように、掲示板を初期画面とし、そこから各部門のデータベースにアクセスできるようにした。〈結果〉院内LANを使用することにより、どこからでもアクセスでき、効率的に業務が行うことができた。掲示板を使用することで伝達が確実かつスムーズに行うことができた。ME機器管理では、貸し出し返却システムにバーコードを使用することで、容易に作業が行うことができ、誤記入がなくなり、データの信頼性が向上した。血液浄化では、患者データを透析記録用紙に反映することにより、転記ミスや記載漏れを少なくすることができた。循環器では、患者個別でデータをリアルタイム入力することができた。また、過去のデータ検索が容易になり、医師に迅速な情報提供がおこなえた。〈まとめ〉データベースを自作することにより、低コストでシステムを構築することができ、施設に即した情報だけを管理することができるので、効率的に業務を行うことができた。また、必要に応じてシステムを変更することができ、今後の業務改善につながると考えられる。
著者
田中 ひかる
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.340-359, 1996-08

論文タイプ||論説
著者
設樂 一碩 田中 宏季 足立 浩祥 金山 大祐 阪上 由香子 工藤 喬 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4F3OS25b05, 2020 (Released:2020-06-19)

認知行動療法(CBT)は,非適応的な思考や行動を修正し,抱えている問題の解決に取り組むトレーニングである.我々は音声対話エージェント(ECA)との音声対話による低コストかつ高い効力を有したCBTの自動化を目指しており,これにはセッションごとの詳細な影響分析が重要であると考える.本研究では初期段階として,CBTの技法の一つである認知再構成法に基づく7つの質問による基本対話システムを作成した.テキスト対話で提示した場合と,ECAを用いて提示した場合の2種類の対話形式を用意し,初期の抑うつ尺度,セッション前後の否定的感情の変化(トレーニングの効果),CBTの達成度,ラポール尺度を28名の大学生と大学院生から測定した.結果として,研究協力者の否定的感情において,事前事後での有意な変化を確認した(25名で改善).また,対話中の表情の特徴量抽出も行った.分析の結果,否定的感情の強度,抑うつ尺度の評点に対し,特定の表情の特徴との有意な相関関係が見られた.