著者
沖田 実 中野 裕之 田原 弘幸 井口 茂 宮原 勝彦 吉田 佳弘 片岡 拓巳 田口 厚
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-15, 1993-03-31

異常歩行をきたす症例は,下肢,体幹の可動域制限,筋力の低下,疼痛,痙性などが原因である.その中で,距腿関節や足根中足関節など,足部の可動域制限によるものを多く経験してきた.そこで,足部の可動域制限が歩行に及ぼす影響を床反力,動作解析より検討し,理学療法のあり方について考察を加えた.その結果,heel strike後に荷重に対する調節が行われ,推進力は低下した.歩容においては,膝関節の角度変化に3種類の代償方法が考えられた.したがって,可動域制限を最小にとどめるとともに他の関節周囲筋の筋力強化,早朝からのアーチ機能の維持・向上,靴に対する配慮,工夫が必要と思われた.Abnormal gait is the result of limited range of motion in the lower limbs and trunk, muscle weakness, pain, and spasticity. We often experienced patients who presented with abnormal gait because of limited range of motion in the foot. Thus we investigated the effect of limited range of motion in the foot on gait using force plate and motion analysis, and we considered the status of physical therapy for limited range of motion in the foot. 1) The weight bearing was controled after heel strike 2) The acceleration force decreased. 3) The knee angle variation could be categorized into three patterns. We considered it important, therefore, to minimize limitations on range of movement, to strengthen knee, hip and trunk muscles, to maintain arch function from the early stage, and to consider and improvize the structure of shoes.
著者
大田 静香 前田 ひろみ 伊藤 ゆい 上田 晃三 吉村 彰人 土倉 潤一郎 岩永 淳 矢野 博美 犬塚 央 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.23-27, 2014 (Released:2014-07-22)
参考文献数
17

症例は68歳女性,当科受診の1年前に環状肉芽腫症を発症し,トラニラストで改善傾向にあった。しかし肝障害が出現し継続困難となり,皮疹が悪化したため漢方治療を試みることとなった。のぼせ,舌,皮疹の性状から熱候が示唆され,黄連解毒湯を開始し,改善傾向にあったが,入院3日目から治癒が横ばいになった。裏寒の存在を疑い,麻黄附子細辛湯の併用を開始したところ,開始5日目から急速に肉芽の縮小を認めた。臨床的に改善を認めたことより,陽証と陰証の併存があったと考える。
著者
江本 慎 蒲池 浩文 田原 宗徳 神山 俊哉 松下 通明 西田 睦 藤堂 省
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.1589-1595, 2010 (Released:2010-12-25)
参考文献数
18

背景:胆嚢の隆起性病変はしばしば診断に難渋する.今回われわれは胆嚢腺筋症(adenomyomatosis:ADM)に合併した胆嚢隆起性病変の質的診断に造影超音波検査が有効であった症例を経験したので報告する.症例:58歳,男性.2009年2月,職場の健診で腹部超音波にて胆嚢腫瘍を指摘され当科紹介となった.血液検査ではCEAが8.3ng/mlと上昇していた.体外式ultrasonography(US)では乳頭状隆起性病変を指摘でき,肝床部浸潤を疑う所見であったが,CT,MRIでは隆起性病変の良悪性の鑑別は困難であった.Positron emission CT(PET-CT)では隆起性病変に異常集積を認めなかった.腹部造影超音波検査では乳頭状隆起性病変に強くdiffuseな造影効果を認め,ADMに合併した胆嚢癌と考えられた.悪性を否定できず,同年3月に開腹拡大胆嚢切除術を施行した.肉眼所見では分節型ADMと乳頭状の胆嚢癌を認めた.病理診断ではtub1>pap. s(-),ss,pHinf0,pBilf0,pPV0,pA0,pN0,pBM0,pHM0,pEM0,int,INFβ,pn0,ly1,v0,pT2,pN0,fStageIIであった.結語:胆嚢の隆起性病変の診断に造影超音波検査は有用な検査となりうる.治療に際し検査所見から総合的に判断することが重要と考えられる.
著者
太田原 剛 杉山 高弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.101-102, 1992-09-28

Xウィンドゥ上で動作するアプリケーションプログラムのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)開発を効率的に行うツールとして鼎(かなえ)インタフェースビルダ「ゆず」がある。この「ゆず」の特長の一つにツールボックス機能がある。ツールボックス機能とは、ボタン、あるいはメニューなどの対話部品が選択された時に起動される処理(コールバック)を設定するためのものである。本稿では、以下の特長を持つツールボックス機能について報告する。・コールバックはマウス操作だけで設定可能・設定したコールバックをその場で確認可能・設定したコールバックのC言語ソースが自動生成可能
著者
田原 大輔 杉本 亮 富永 修 谷口 真人
出版者
福井県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

小浜湾への地下水湧出量を222Rn・塩分の収支モデルから推定したところ、地下水は、全淡水流入量の4~44%を占めており、河川流量の低下する夏季にその割合が高くなる傾向にあった。また、地下水から供給される溶存無機態の窒素、リン、ケイ素は、全陸水由来の栄養塩輸送量の平均で39%、58%、37%を占めていた。特に小浜湾の一次生産はリン制限下にあるため、地下水によるリン供給は小浜湾の生物生産において重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
橋本 義仁 萬 伸一 永沢 秀一 沼田 秀昭 小池 雅志 田原 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.333, pp.1-6, 1996-10-30
参考文献数
5

2000ゲート規模のジョセフソン論理回路にトランスフォーマーを用いて両極性の高周波電源を供給する実験を行った. 試作したトランスフォーマーは約10MHzから10倍程度の電流増幅率を持つ. 共振周波数は650MHzであり, このトランスフォーマーでクロック周波数1.3GHz程度までの高周波電源を供給できる. このトランスフォーマーを用いて2000ゲート規模の負荷回路に電源を供給し, 動作実験を行った. この負荷回路には現在当グループで開発中の超伝導インターコネクションシステムの要素回路であるSOF回路が組み込まれており, SOF回路の正常動作をクロック周波数1.024GHzまで確認した. この結果から, 2000ゲート規模の回路を1GHz以上のクロックで動作させる見通しを得ることができた. 今回, 高周波電源ノイズをチップレイアウトの改善により大幅に低減できることも同時に示し, 非常に低ノイズな出力波形を得ることに成功した.
著者
服部 渉 田原 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

Tbpsオーダーの高スループットATMスイッチの場合、クロック周波数は10GHz程度となることが予想され、もはやCMOS LSIでは実現が困難となる。しかし、化合物半導体デバイスや、Siバイポーラデバイス等の半導体高速デバイスを採用したとしても、ATMスイッチが基本的にセル衝突回避のだめにバッファを多用したシステムであるため、高スループット化に要求される回路規模と高速性を両立させることは難しい。そこで、我々は低損失で高速クロックに対応可能なバッファとして高温超伝導遅延線を使用し、制御ロジック部に高速半導体デバイスを採用したATMスイッチの検討を開始した。今回は、想定するATMスイッチの要求する仕様を超伝導遅延線の性能が満足できるかどうか、実際にYBCOコプレーナ共振器を作製し、共振特性を測定することにより検討した。
著者
松田 素二 鳥越 皓之 和崎 春日 古川 彰 中村 律子 藤倉 達郎 伊地知 紀子 川田 牧人 田原 範子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現代人類学は、これまでの中立性と客観性を強調する立場から、対象への関与を承認する立場へと移行している。だが異文化のフィールドへの「関与」を正当化する論理は何なのだろうか。本研究は、生活人類学的視点を樹立してこの問いに答えようとする。そのために本研究は、日本・東アジア、東南アジア、南アジア、アフリカの 4 つの地域的クラスターと、自然・環境、社会・関係、文化・創造という三つの系を設定し、それぞれを専門とする研究者を配して「生活世界安定化のための便宜」を最優先とする視点による共同調査を実施した。
著者
山崎 明男 益田 貞彦 大瀬 良雄 田原 論 中原 和樹 山下 吉重 薬丸 一洋
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.283-288, 1999-06-20
被引用文献数
5

原発性肺癌手術例で40歳未満の若年者症例22例を経験したので臨床的検討を加えた.男性14例,女性8例で,平均年齢34.2歳,最少年齢は23歳であった.発見動機として無症状例が12例(55%),有症状例は10例(45%)であった.無症状例は全例,検診発見例であった.組織型は腺癌が12例(55%),小細胞癌4例(18%),カノレチノイド3例(14%),扁平上皮癌2例(9%),大細胞癌1例(4%)で,40歳以上の肺癌手術症例と比較すると,小細胞癌とカルチノイドの比率は有意に高かった.病理病期は,I期9例,II期4例,IIIA期7例,IIIB期1例,IV期1例であり,IIIA期までの症例が90%を占めていた.また検診発見例は,全例IIIA期までの症例であった.生存率では,非小細胞肺癌,小細胞肺癌共に,40歳以上の肺癌手術症例と比較して有意差はなかった.
著者
本田 智則 田原 聖隆 竹内 憲司 稲葉 敦 西野 成昭
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、分散型電源及び既存電源を協調させつつ、長期安定的に稼働可能な電力システムの構築を目指し研究を実施してきた。再生可能エネルギー発電設備についてのLCA(Life Cycle Assessment)を実施し環境負荷の定量化を行った。また、インセンティブ制度設計にあたっては特に省エネが遅れている家庭部門に着目しHEMSデータを活用しライフスタイル別のエネルギー消費実態を特定すると同時に実験経済学の手法によって電力需用者の省エネインセンティブについての知見を得ることができた。仮想電力取引市場設計にあたっては各市場毎のライフスタイル変容が重要な課題であると言う今後の課題を得た。
著者
中山 昭彦 井上 喜洋 田原 陽三 小林 正三 横山 雅仁
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.636-644, 1998-07-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
6

It is said that lines could be still made with silk as used to be done in Japan as a countermeasure against pollution by nylon fishing lines. However, it is not clear whether or not silk fishing lines would be decomposed biologically in marine environments. To answer this question, seawater was collected at six stations at the entrance of Tokyo Bay and sterile raw silk threads (27-denier) were added to these seawaters. The final concentrations of raw silk threads in the seawaters were 0.5%. The six seawaters with raw silk threads [silk-decomposing seawater media (SDS media)] were incubated for 2 months at 20°C. The tensile strengths of the raw silk threads in the three SDS media were clearly decreased at least after 2-month incubation. The degree of decomposition of the raw silk threads, which were observed visually, correlated approximately with the ammonia contents of the SDS media. When the incubated raw silk threads were examined microscopically, it was shown that the raw silk threads were split into more and finer filaments after 1-and 2-month incubation. These results suggest the possibility of decomposition of raw silk threads in marine environments.
著者
長谷川 信美 西脇 亜也 平田 昌彦 井戸田 幸子 飛佐 学 山本 直之 多炭 雅博 木村 李花子 宋 仁徳 李 国梅 SCHNYDER HANS 福田 明 楊 家華 郭 志宏 李 暁琴 張 涵 李 海珠 孫 軍 宋 維茹 ガマ デチン NAQASH J&K Rashid Y KUMAR Ravi AUERSWALD Karl SCHÄUFELE Rudi WENZEL Richard 梶谷 祐介 小田原 峻吾 平川 澄美 松嶺 仁宏 佐野 仁香 長谷川 岳子 坂本 信介 樫村 敦 石井 康之 森田 哲夫
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

中国とインドにおいて、放牧方式の違いが高山草原生態系へ及ぼす影響について調査を行った。東チベット高原では、暖季放牧地が寒季放牧地よりも植物種数が多く、種数密度と地上部現存量は低かった。土壌成分は、2012年と2004年間に差はなかった。牧畜経営では、ヤクが財産から収入源への位置づけに移行する動きが見られた。また、クチグロナキウサギの生息密度と植生との関係について調査した。インドの遊牧民調査では、伝統的な放牧地利用方法により植生が保全されていることが示された。衛星画像解析では、植生は日射、気温、積雪日数等に左右され、経年的な劣化も示された。ヤク尾毛の同位体元素組成は地域と放牧方式等で異なった。
著者
杉本 直樹 多田 敦子 末松 孝子 有福 和紀 齋藤 剛 井原 俊英 吉田 雄一 久保田 領志 田原 麻衣子 清水 久美子 伊藤 澄夫 山崎 壮 河村 葉子 西村 哲治
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2010
被引用文献数
8 21

天然着色剤として広く用いられているコチニール色素の主成分であるカルミン酸の絶対定量に定量NMR(qNMR)を応用した.各社より試薬カルミン酸が販売されているが,その純度が正確に値付けられていないため,この市販試薬を定量用標準品の代用品としてHPLCにより定量した場合,信頼性の高い分析値は得られない.そこで,我々は国際単位系(SI)にトレーサブルな絶対定量法の1つとして,NMRスペクトル上に観察されるシグナル強度がその核のモル量に正比例することを原理としたqNMRを開発している.qNMRによるカルミン酸の絶対定量を以下のように行った.認証標準物質フタル酸水素カリウムを用い,qNMR標準液中の基準物質2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルフォン酸-<i>d</i><sub>6</sub>ナトリウム塩(DSS-<i>d</i><sub>6</sub>)の濃度校正し,カルミン酸のフェニルプロトンとDSS-<i>d</i><sub>6</sub>のメチル基に由来する9つのプロトンとのシグナル強度比より,コチニール色素製品および試薬製品中のカルミン酸の含量(純度)をカルミン酸カリウム塩3水和物として絶対定量した.その結果,コチニール色素製品および市販試薬中に4.6~30.5%および25.3~92.9%含有されていることを明らかとした.qNMRによる絶対定量は,1測定当たりの所要時間が約10分と極めて迅速であり,測定対象の化合物と同一の定量用標準品を必要としないだけでなく,SIにトレーサブルな分析値を導く点が優れている.また,qNMRは,あらゆる有機化合物の絶対定量にも応用可能であり,分析値の信頼性向上のための重要な1つのツールとしてなりうるものと思われる.
著者
日高 睦夫 橋本 義仁 蔡 兆申 田原 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05

我々は高温超伝導体のエレクトロニクス応用としてサンプラー回路を提案している。高温超伝導SNS接合はオーバーダンプ接合であるため、我々の提案しているサンプラーはノンラッチング夕イプである。ノンラッチングサンプラーはラッチングタイプに比べて時間分解能が高いことが期待されている。しかし、従来のジョセフン接合を用いたサンプラー回路はほとんどがラッチングタイプであり、ノンラッチンダサンプラー回路の動作確認は未だなされていない。そこで、Nb系の集積回路技術を用いて我々の設計したノンラッチサンプラーの試作、測定を行い回路が正常動作することを確認した。
著者
菊池 純一 安原 主馬 田原 圭志朗
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、申請者らが独自に開発した高強度の人工細胞膜「セラソーム」の構造的特徴を活かして、その表面を金属で被覆した新規の有機-無機-金属複合ナノ材料を開発し、その特異的機能の創出を目指した。その結果、ベシクル構造やディスク構造を有する脂質二分子膜を様々な金属超薄膜で被覆した人工細胞膜の作製が可能になり、これらの人工細胞膜に賦与した分子認識能にもとづく特徴的なマニピュレーション機能が発現した。
著者
志田原 美保
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、PET脳神経受容体機能の臨床診断において、形態異常部位、形態異常はないが機能異常がみられる部位などを今まで以上に的確に診断するために、MRIによる解剖情報を積極的に導入し様々な脳機能を高精度に画像化することを目指し、MRI画像の形態情報を用いてPET画像特性を向上させるためシステム構築した。また、その有用性を、脳を模擬した数値シミュレーションによって実証した。
著者
田原 聡子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アレルギー性喘息に対する治療法を確立するにはその病態の理解が重要となる。我々は、抑制性免疫受容体、Allergin-1遺伝子欠損マウスを用いて、House Dust Mite (HDM)抽出物による喘息モデルを検討し、Allergin-1が、気道抵抗、肺胞浸潤好酸球数および血清IgE抗体価を抑制することを見出した。さらに、これらの喘息症状のうち、気道抵抗は肥満細胞上のAllergin-1が担っており、一方、肺胞浸潤好酸球数と血清IgE抗体価は樹状細胞上のAllergin-1が制御することを明らかにし、Allergin-1が喘息治療における標的分子となることを示した。