著者
横田 久司 舟島 正直 田原 茂樹 佐野 藤治 坂本 和彦
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.190-204, 2003-05-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

自動車排出ガスによる大気汚染は, 幹線道路周辺などにおいて未だに深刻である。本研究では, 自動車排出ガスによる大気汚染を低減するため, アイドリング時の排出特性および停車中にエンジンを停止 (アイドリング・ストップ) した場合の排出ガスの低減効果について調査を行った。ガソリン車7台およびディーゼル車13台について, シャシーダイナモメータを用いて, 東京都実走行パターンおよびアイドリング・モードによる排出ガス測定を行った。その結果は, 以下の通りである。1. 排出ガスの排出率 (mg/s) および燃料消費率 (mL/s) を算出し, 実走行パターンとアイドリング・モード間での比較を行った。その結果, ガソリン車では, アイドリング時の燃料消費率は実走行時の47%に相当した。ディーゼル車では, アイドリング時のNOxは実走行時の30%, 同じく燃料消費率は28%に相当した。アイドリング時の排出率等は, 実走行時に比較して無視できないレベルにあることが確認された。2. エンジンが再始動するときに排出ガスの量は僅かに増加するが, 数秒から数分以上のエンジン停止により, ディーゼル車ではNOxおよび燃料消費量が低減し, ガソリン車では燃料消費量が低減することが確認された。三元触媒装着のガソリン車ではアイドリング時のNOx濃度は非常に低く, エンジン停止の効果は認められなかった。3. これらの結果を東京都内で使用されている小型貨物車の運行状況に適用したところ, アイドリング・モードによる排出ガス寄与率は, NOx3.5%, CO23.1%に達することが見積もられた。これから, 未把握の排出源として駐車中のアイドリングの実態調査が必要であることが示唆された。
著者
小田原 良治 西 満正 小玉 徳信 野村 秀洋 愛甲 孝 金子 洋一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.844-852, 1979 (Released:2011-03-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

雑種成犬18頭および臨床例67例を対象として負荷試験によるセクレチン放出を検討した.その結果, 0.3M Glycinc, 各濃度Etylalcoholには直接的セクレチン放出作用はなく, 稀塩酸のみ有意のセクレチン放出作用を認めた.ヒトにおけるアルコールのセクレチン放出作用は, アルコール投与により惹起された胃酸分泌の亢進が原因と考えられる.臨床例の空腹時セクレチン値は, 胃全剔で低値を示す傾向にあり, セクレチン値と健常な胃の存在が密接な関係にあることがうかがわれた.塩酸負荷後のセクレチン放出は, 胃全剔例では, Roux-YよりDouble Tractが良好であり, 噴門側胃切除例ではN字吻合が良好であった.
著者
矢野 博美 田原 英一 田中 祐子 村上 純滋 前田 ひろみ 伊藤 ゆい 吉永 亮 上田 晃三 土倉 潤一郎 井上 博喜 犬塚 央 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.99-106, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
10

54歳女性。左大腿ヘルニアが,整復不可能となり,外科で1ヵ月後に左大腿ヘルニア根治術を受けたが,イレウスのため入退院を2度繰り返した。小腸壁の浮腫はあるが,諸検査で器質的な閉塞機転を認めなかった。しかし腹痛が持続するため,当科に転科した。腹痛のために食事が摂れず47kg から37.5kg まで減少したので中心静脈栄養管理を行った。陣痛のような激しい腹痛により額に冷汗を認め,倦怠感のため臥床がちであった。皮膚は枯燥し,脈候は浮,大,弱,濇であった。腹候は腹力弱で,下腹部優位の腹直筋緊張を認め,腹壁から腸の蠕動が観察された。附子粳米湯で治療を開始したが無効で,腸管の蠕動が腹壁から見えることから大建中湯,皮膚枯燥と腹直筋の緊張を認めることから当帰建中湯の証があると考え,中建中湯加当帰に転方したところ,転方5日目から腹痛は消失した。大腿ヘルニア術後の偽性腸閉塞症に漢方治療が有効で試験開腹を免れた。
著者
柴田 祐 田原 直樹 薄井 謙一 福田 忠昭
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.233-236, 1996-03-29

本論文では,急激な都市の近代化が進むインドネシアの都市居住のあるべき姿を明らかにするため,計画的住宅地内の戸建て住宅の庭に着目して,その空間利用の実態を把握するとともに,都市居住に占める位置について考察することを目的としている。スマトラ島メダンを事例として,タイプの違う3つの戸建て住宅地において観察およびヒアリング調査を行い,住宅と庭の関係,庭の使われ方の2つの点に着目して考察を行った。その結果,庭が住居の前後に分節化されていること,前庭と後庭では住宅との空間的関係に応じて異なった役割を持つこと,前庭は公的で見せる性格が強く,後庭は私的で実用的な性格を持つことがわかった。
著者
田原 優
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2013-02

制度:新 ; 報告番号:甲3938号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2013/3/15 ; 主論文の冊数:1 ; 早大学位記番号:新6310
著者
森口 祐一 工藤 祐揮 松八重 一代 福島 康裕 醍醐 市朗 中島 謙一 栗島 英明 菊池 康紀 中谷 隼 田原 聖隆 井原 智彦 兼松 祐一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では,国内産業および輸入原料を含む国産製品のサプライチェーンを対象として,それが産み出す社会価値と,地域レベルおよび地球レベルで発生する環境・資源ストレスの統合的ホットスポット分析の枠組みを確立することを目的とした。輸入資源の国際サプライチェーン分析,地域における再生可能エネルギー供給システム,産業廃棄物の地域間分析,サプライチェーンの地震リスクといった数多くの事例分析を実施し,それぞれ潜在的なストレス・リスク要因のホットスポットを特定した。さらに,分析方法のアルゴリズムおよび原単位のデータベースをソフトウェアに実装することで,ホットスポット分析の枠組みの汎用化を目指した。
著者
村松 慶一 田原 紫 齋藤 美穂 松居 辰則
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.163-172, 2015 (Released:2015-02-20)
参考文献数
31

Sharing and managing knowledge on human Kansei obtained in several study fields are of growing significance to providing product's values focused on customers. However, few sufficiently-advanced technologies that realize such knowledge sharing and management have been established. One typical approach is to clarify and systematize concepts as an ontology. In the current study, we developed an ontology to describe correspondence of affective meaning spaces analyzed by semantic differential method. First, we collect literatures reveal the affective meaning evaluated through the five senses and their inter-modality. Second, we described the concepts on the basis of an ontology of color emotions. Then, we demonstrated and evaluated the usefulness of the ontology in a design situation. As a result, we confirmed that the ontology will serve as a useful reference and be of assistance to designers.
著者
東原 英二 奴田原 紀久雄
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1545-1560, 1991-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
148

常染色体優性遺伝嚢胞腎 (ADPKD) は進行性の腎機能低下が主要な病態であるが, その予後は従来いわれているように「診断後10年で腎不全に到る」ものでもなく, 腎不全が不可避でもない. 本邦での透析導入時平均年齢は52~56歳であるが, 透析に移行しない者も含めると, おおよそ平均73歳で終末期腎不全に到る. 60歳代で透析を受ける割合は約40%であり, 本邦のADPKDの予後は欧米よりも若干良好である可能性がある.ADPKDの遺伝子は第16染色体の短腕上のα-globin 遺伝子の近くに存在することが確かめられている. この遺伝子 (PKD1) によるADPKDと, PKD1の関与が証明定れないADPDKでは, 腎機能の予後が異なることが報告定れている.高血圧は約60%に認められる. 嚢胞の圧迫によって腎動脈が狭細化し, レニン―アンギオテンシン―アルドステロン系が刺激定れることが高血圧発症の端緒であり, 片側性腎血管性高血圧と異なり両腎が侵されているので, 圧Na利尿がおこらず, Naが体内に貯留し高血圧となると考えられている.肝嚢胞の合併頻度は57%で高齢になるに従い増大し, 肝嚢胞の有る者ほど腎機能は悪い. 肝嚢胞と膵嚢胞 (7%) の合併は有意に相関する. 経皮的嚢胞穿刺を行っても腎機能は改善せず, 出血や感染などの合併症もあるので激しい疼痛や管理の困難な感染の治療を目的とする以外は実施すべきではないと考えられる. その他ADPKDには, 腎結石 (10~18%), 大腸憩室 (80%), 頭蓋内動脈瘤 (8%), 心臓弁膜の閉鎖不全 (20~30%) などの合併症がある.
著者
丸居 夕利佳 青木 美幸 田原 岳治 小川 鶯修 相馬 俊雄
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.D3P1505-D3P1505, 2009

【はじめに】近年,糖尿病(以下,DM)患者やその家族などを対象に,様々な取り組みが実施されている.当院では,毎月DM教室を行い,理学療法士(以下,PT)等が,講義やDMウォークラリー(以下,DM-WR)などを開催している.そこで今回,当院におけるDM-WRの活動内容の紹介と,参加者のセルフエフィカシー(以下SE)について調査・検討したので報告する.<BR><BR>【対象】対象は,平成20年5月及び9月に開催されたDM-WRに参加した28名(DM罹患者15名,DM非罹患者13名:男性5名,女性23名,平均年齢66.0±14.6歳)対象者には,調査に先立ち調査の内容を説明し同意を得た.<BR><BR>【方法】対象者は血圧および血糖値測定後,全長約3.5kmのコースをウォーキングした.途中,水分補給およびDMクイズを約15分実施した.約60分でゴールし,血圧測定後,アンケートの記入を行った.<BR><BR>【アンケート内容】アンケートは3因子で構成されており,疾患に対する対処行動の積極性(14項目),健康に対する統制感(9項目),運動に対する積極性(7項目)の合計30の質問項目になっている.回答は5件法で行い,得点が高いほど自己効力感が高いことを示す.アンケートはDM-WR終了後,その場で回答し,1ヶ月後に同様のアンケートを使用し郵送で追跡調査を行った.<BR><BR>【結果】アンケートの各因子の平均値は,疾患に対する対処行動の積極性・健康に対する統制感・運動に対する積極性の順に実施直後:4.2点,4.1点,4.3点,1ヵ月後:4.3点,4.0点,4.3点であった.各回の最高得点項目と最低得点項目の平均値はそれぞれ,実施直後で「DMの自己管理に運動が必要であることを知っている」4.8点,「適度な運動を計画通りに続けることができる」3.7点で,1ヵ月後で「医師や看護師を信頼できる」4.9点,「適度な運動を計画通りに続けることができる」と「規則正しい生活を送ることができる」3.6点であった.<BR><BR>【考察】この調査を実施する過程では,1ヶ月後のSEの点数が実施直後よりも低下すると考えていたが,著明な変化は見られなかった.DM-WRの参加者は元々DM治療に主体的に参加していると考えられるため,DM-WRがSEを向上させる程の刺激に成り得なかった可能性がある.運動継続性のSEに関しては,実施直後と1ヶ月後共に点数が低い傾向が見られた.今回のDM-WRのような企画型イベントに参加するだけでは,自ら運動を計画し,継続する啓発効果までは十分に得られないと推測される.このことから行動変容に対する介入が重要であると考えられた.今後はSEアンケートの妥当性の検討,DM-WR前後のSEの調査及び検討,行動変容に対する効果判定など更なる検討が必要だと考える.
著者
中尾 信雄 小野寺 良次 稲澤 昭 別納 征欧 長谷川 信美 山内 清 六車 三治男 堀井 洋一郎 藤代 剛 林 国興 森下 敏朗 林 綾子 田原 秀隆 高橋 勝南 竹之山 愼一 上島 良介 目 和典 堤 孝彦 駒谷 謙司 置本 宗康 河野 謙宗 北爪 惣 佐藤 玲史 高橋 信也
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-38, 2001-12
被引用文献数
2

本研究では、カンショ焼酎粕(濃縮液+脱水ケーキ)を主原料とし、大豆粕を副原料として製造した焼酎粕ペレット飼料の成長、飼料効率、肉質等に及ぼす影響を検討するため、期待体重60から115kgまでの交雑種(WL×D)による飼養試験を1回(実験1、加茂牧場、中部飼料株式会社)、期待体重60~115kgまで(実験2)、期待体重30から115kgまで(実験3)ならびに期待体重10から115kgまで(実験4<通しの試験>)のバークシャー種によるフィールド試験を計3回(永田種豚場)行った。試験飼料の焼酎粕含量率は、乾物当りで、加茂牧場(実験1)2.26%、永田種豚場(実験2)1.77%、永田種豚場(実験3)3.00%(期待体重30~60kg)、3.00%(期待体重60~115kg)、永田種豚場(実験4)2.90%(期待体重10~30kg)、2.42%(期待体重30~60kg)、2.26%(期待体重60~115kg)であった。対照飼料としては、市販飼料を用いた。得られた結果は以下の通りである。 (1)実験1の加茂牧場における期待体重60~115kg間の飼養試験では、試験区の平均1日増体量は対照区よりも約19%高かったが、平均1日飼料摂取量が対照区より約13%高くなったので、結果として飼料効率は試験区が対照区より約6%高い傾向を示すにとどまった。肉質等には試験区・対照区間に差は認められなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が有意に高かった。 (2)実験2の永田種豚場における期待体重60~115kgまでのフィールド試験では、試験区よりも対照区の方が、1日増体量で10%、飼料効率で15%ほど高くなった。これは、この試験に用いた配合飼料の焼酎粕含量が1.77%と他の試験に比べてきわめて低かったことが影響しているのかも知れない。なお、血液成分や健康状態には差は見られなかった。一方、行動面では、試験区において社会的序列の上下差が大きく、それによる耳かじりなどの異常行動が見られた。肉質等に大差はなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が高い傾向にあった。そして、肉の官能検査では、総合的好ましさは、試験区がよいと感ずる人が多かった。 (3)実験3の永田種豚場における期待体重30~115kg区間では、平均1日増体量は試験区が対照区よりも約10%高かったが、試験区の平均1日飼料摂取量が対照区よりも約7%高かったので、結果として飼料効率は試験区が対照区より約3%改善されたにとどまった。なお、血液成分や健康状態には差が認められなかった。 この試験の中の60~115kgの部分を抜き出してみると、この場合は、実験2の結果と違って、区内平均1日増体量は対照区よりも試験区が約10%高くなり、飼料効率も試験区で約5%改善された。なお、肉質等に大差はなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が有意に高い傾向にあった。そして、肉の官能検査では、総合的好ましさは、試験区がよいと感ずる人が多かった。 (4)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重10~30kg区間では、区内平均1日増体量は試験区が対照区よりも約21%も高かった。区内平均1日飼料摂取量は試験区・対照区間に差が認められなかったので、結果として飼料効率は試験区が対照区よりも約21%も改善された。 (5)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重30~60kg区間では、区内平均1日増体量は試験区が対照区よりも約6%低かった。区内平均1日飼料摂取量も試験区が対照区間より約6%低かったので、結果として飼料効率は試験区・対照区間に差は認められなかった。 (6)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重60~115kg区間では、区内平均1日増体量は試験区が対照区よりも約2%低かった。区内平均1日飼料摂取量も試験区が対照区に比べて約4%低かったので、結果として飼料効率は試験区・対照区間に差は認められなかった。 (7)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重10~115kg区間では、区内平均1日増体量は試験区・対照区間にほとんど差が認められなかった。区内平均1日飼料摂取量は試験区が対照区よりも約2%低く、結果として飼料効率は試験区が対照区よりも約3%改善された。通しの結果を総合してみると、離乳期子豚に対する焼酎粕ペレット飼料給与の効果が著しいと言える。肉質等に大差はなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が有意に高かった。そして、肉の官能検査では、総合的好ましさは、試験区がよいと感ずる人が多かった。 以上、肉用豚肥育期の成長に対する焼酎粕ペレット飼料給与試験の結果を総合すると、焼酎粕ペレット飼料の給与は、市販の対照飼料並みまたはそれ以上の成長促進効果があると考えられる。また、焼酎粕ペレット飼料給与豚の肉のビタミンE含有率は、対照飼料給与豚の肉よりもほぼ有意に高まり、肉の官能検査では、総合的な好ましさが認められた。
著者
長瀬 文昭 田中 靖郎 石田 学 高橋 忠幸 満田 和久 井上 一 宇野 伸一郎 HOLT S. 伊藤 真之 SERLEMITSOS P. 松岡 勝 北本 俊二 WHITE N.E. 林田 清 MADJSKI G. 田原 譲 CANIZARES C. 大橋 隆哉 MUSHOTZKY R. 紀伊 恒男 PETER R. 国枝 秀世 山内 茂雄 堂谷 忠靖 村上 敏夫 常深 博 牧島 一夫 小山 勝二 山下 広順 三原 建弘 小川原 嘉明 吉田 篤正 槙野 文命 HUGHES J. 宮田 恵美 鶴 剛 粟木 久光 石崎 欣尚 藤本 龍一 上田 佳宏 根来 均 田代 信 河合 誠之 RICKER G. HELFAND D. MCCAMMON D.
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

「あすか」は、日米共同で製作されたX線天文衛星であり、1993年2月に打ち上げられた。そして、その後の観測運用も両国の緊密な協力によって遂行されている。これまで衛星は順調に運用され、装置は正常に稼し、所期の性能を発揮しており、試験観測・公募観測とも順調に行われてきた。本研究の目的はこの衛星の観測・運営を日米協力の下で行い、中性子星やブラックホールを含むX線連星や、超新星残骸、活動的銀河核、銀河団等からのX線放射、宇宙X線背景放射等の研究を行うことであった。この目的に沿って研究を進め次の各項目に述べる成果を挙げた。(1) 専門科学者グループの会合を定期的に開催し、観測計画の評価・ターゲットの選択、衛星の運用、適切な検出器較正等の衛星観測運営上の基本方針について討議をおこなった。(2) X線望遠鏡および各測定装置の精密な較正を行うとともに、各検出器の諸特性・応答関数の時間変化を明らかにし、すべての観測に対し正確な解析を可能とした。(3) データ解析ソフトウエアーの改良・拡充、科学データの編集、管理を両国研究者が協力し且つ継続的におこなった。(4) 観測から得られたデータを共同で解析、討議を行って、その科学的成果をまとめた。さらにこれらの得られた成果を各種国際学会・研究集会において発表し、また学術専門誌に公表した。(5) 観測者の占有期間を過ぎたデータを統一的に編集・管理し、またその観測記録を整備して、これらの観測記録、アーカイブデータを広く公開し、世界中の研究者の使用の便に供した。特に、「あすか」によるX線観測では、その高感度、高帯域、高分光撮像特性により、宇宙論研究に重大な寄与をするX線背景放射の解明、遠方のクエーサーや原始銀河からのX線放射の発見、銀河団の進化および暗黒物質の解明、活動銀河核、ブラックホール天体、ジェット天体、強磁場中性子星等の特異天体の解明、激変星、高温白色わい星、超新星残骸等における高温プラズマ状態の研究等において重要な成果を得ることが出来た。これら「あすか」の成果は国際的にも高く評価されている。以上、本研究課題に対する科学研究費補助金により、国際協力の下での「あすか」衛星の観測・運営が円滑に行われ、また十分な科学的成果を挙げることが出来た。
著者
三木 哲郎 上島 弘嗣 梅村 敏 小原 克彦 田原 康玄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

多因子疾患の感受性遺伝子に関する長期縦断疫学研究を行った。これまでの断面的解析から同定された肥満、2型糖尿病、高尿酸血症の感受性遺伝子が、これら疾患の新規発症とも関連することを明示した。断面解析からは、ATP2B1が高血圧感受性遺伝子であることを突き止めた。ノックアウトマウスを用いた検討から、ATP2B1は細胞内カルシウム濃度および血管収縮性の亢進を介して血圧上昇を来していることが明らかとなった。
著者
松下 まりも 田原 秀晃
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

樹状細胞の分泌するサイトカインであり、申請者らがその抗腫瘍効果と機序について報告したinterlukin-23(IL-23)を中心に検討を進めた。IL-23-in vivo electroporation(IL-23-IVE:IL-23 plasmid vectorの全身投与)は、担癌マウスにおいて、有意な抑制効果が認められたものの完全治癒には至らないマウスもいる。そこで、本研究課題では、IL-23-IVEの抗腫瘍効果を増強させ、担癌マウスを完全治癒させる治療法の開発を目的とした。本研究課題では、近年明らかにされてきているがんに対する免疫応答を抑制する経路に着目し、IL-23-IVEの抗腫瘍効果を増強するために、がんに対する免疫応答を抑制する経路に対する活性化抗体あるいは阻害抗体を用いて(CTLA-4、PD-1、TIM-3)、IL-23-IVEのがんに対する免疫療法の抗腫瘍免疫応答が増強されるか否かについて検討した。手法としては、ワイルドタイプのマウスを用いて、皮下腫瘍モデル(腫瘍径:12~14mm(長径))を作製し、IL-23-IVE(コントロール群は、EGFP-IVE、plasmid vector: 100mg)を行い、CTLA-4、PD-1、TIM-3を、それぞれ単独もしくはコンビネーションで併用投与し、その抗腫瘍効果について検討した。本年度は、生存率の検討のみ行った。その結果、IL-23-IVEにPD-1を単独で併用した群、IL-23-IVEにPD-1とTIM-3をコンビネーションで投与した群で、累計生存率が上昇した。