著者
酒井 敏夫 増田 充 荒井 聡博 大野 恒男 田辺 正夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-116, 1951-08-01

吾々は, 徹夜時に見られる心身諸変化の消長を詳細に観察する目的を以つて, 蓮続反応時, 時間錯誤, 膝蓋腱反射閾値, 脈膊恢復曲線, 体温, 血圧, 及び尿竝びに唾液のpHを逐時的に測定した。共の結果,<BR>(1) 体温, 及び尿のpH, は, 漸次下降する傾向にある。唾液は, 尿のpHほど一定の傾向が得られなかつた。<BR>(2) 血圧は, 順時下降し, 特に最小血圧の変動は, 徹夜作業時に微妙な関係を有しているようであつた。<BR>(3) 運動負荷に対する, 脈膊数の増加は, 時間の經過につれて減少し, 又恢復時間も延長するようであつた。<BR>(4) 膝蓋健反射閾値の逐時的変化は, 從來発表されている成績と一致した。<BR>(5) 時間錯誤試験では, 午前12時を境にして正の錯誤, 負の錯誤が著明で, その移行は逐時的なものが説察された。<BR>(6) 迚続反応時より見たる徹夜時の大腦機能は午前12時頃までは本実験の如き精神負荷では漸次集中過程に入り, それ以向は, 興奮と抑制の強い混在が著明に現われて來るようであつた。翌日に於ける大腦機能では, 從來吾々が実験し得なかつた大腦皮質興奮の異常なものの存在を知つた。
著者
田辺 弘子 杉本 賢司
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.152-162, 2004
参考文献数
6
被引用文献数
2

厳島神社は、593年に海上に建設された特殊建物である。神社の配置計画は、世界的にも独自性の高い設計として認められ、世界遺産に登録された。島全体が、神の領域として守られており、墓地や畑などの建設が許されなかった。そして、長い年月を経過しても宝物類が完全な姿で伝承されている。本研究では、厳島神社の有する独自の建築様式の変遷と配置計画、色彩について調査を行ったものである。厳島神社は、多くの国宝や重要文化財を有し、砂州の上に建ちながらなぜ、これほど健全に維持されて現在に至ったのかを建築的に検証を行った。また、厳島神社はすべてが朱塗りで構成されており、朱色の鳥居と神橋(別名:勅使橋、太鼓橋)は神域を守るために入り口を防備する重要な役割を果たしている。海上に位置する鳥居の構造は、両部鳥居という耐震性の高いものであり、海上にあっても浮き上がらない設計が行われている。さらに、烏居の素材は水に強い楠が採用された。鳥居の接合部の補修は、法隆寺と同じ、継ぎ木という日本の独特の仕口の技術を駆使している。海上という最悪の建築条件のなかでどうしてここまで耐えることができたのか、素材と塗装技術、建築のディテールを検証した。本研究により、今後の維持管理の基礎資料の一部として供することを目的としたものである。
著者
田辺 浩介 常川 真央 高久 雅生 江草 由佳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.321-341, 2014-10-06 (Released:2014-12-31)
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究では,FRBRのWork・Expressionのエンティティを,図書館などによって作成,管理された既存の書誌・所蔵情報と連動して扱うことができ,かつ,別々のシステムで管理されたWork・Expressionエンティティをシステム間で相補的に利用できる疎結合構成の実装モデルを提案する.この提案手法は,Work・Expressionの記述のためのシステムを,Web 上で提供されている既存の目録システムと独立して運用することを可能にしている.本研究では既存の目録システムとしてCiNii Booksを用いたシステムを試作し,その実現可能性を示した.
著者
吉野 薫 高橋 英世 大沼 直躬 田辺 政裕 吉田 英生 岩井 潤
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.195-199, 1992-08-01

Hirschsprung病と先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS,オンディーヌの呪い)を合併したneurocristopathyの2症例を報告した。症例1は下行結腸までのlong segment aganglionosisを有する男児で,症例2は無神経節腸管がS状結腸までの古典的Hirschsprung病を有する女児である。両者とも生直後より低換気によるチアノーゼや高炭酸ガス血症を認め,その後の経過から先天性中枢性肺胞低換気症候群と診断された。Hirschsprung病の根治術を各々6歳,6カ月に施行し,術後経過は順調である。睡眠時を中心とする人工換気による呼吸管理が続けられ,現在症例1は8歳,症例2は9カ月になる。自験例を含む本邦報告18症例の先天中枢性肺胞低換気症候群症例を集計した。そのうちHirschsprung病を合併したものが8例,Hirschsprung病類縁疾患であるchronic idiopathic intestinal pseudoobstruction syndrome(CUPS)を合併したものが1例あった。
著者
田辺 国昭
出版者
東北大学法学会
雑誌
法学 (ISSN:03855082)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.p1066-1071, 1989-02
著者
高橋 総司 多村 幸之進 長江 逸郎 野牛 道晃 田辺 好英 湊 進太朗 青木 達哉 小柳 〓久
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.658-661, 2003
被引用文献数
4

低位鎖肛を合併したhuman tailの1例を経験した.妊娠経過に異常は指摘されなかった,在胎40週5日,自然分娩にて出生の女児で,出生体重3,060gであった.出生時より腕前底部に肛門痩を認める低位鎖肛および仙尾部腫瘤を認めた.腫瘤は臀部正中背側に存在し5×3×2cm大と1cm大の結節が雪だるま状を呈していた.腕前底部には肛門瘻を認めた.洗腸にて排便コントロールをはかり,生後4ヵ月時,仙尾部腫瘤切除術と仙骨会陰式肛門形成術を施行した.腫瘤は脂肪組織のみで構成されhuman tailと考えられた.本症例は,human tailを合併していたため低位鎖肛にたいし仙骨会陰式肛門形成術を施行し良好な結果を得た.human tailでは脊髄や肛門の合併奇形を伴う可能性が大きく術前の詳細な検討が必要と思われる.
著者
澤邉 一秀 岡本 祐樹 田辺 匠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.546, pp.3-7, 2005-01-06

近年、ネット家電と呼ばれるネットワーク機能を備えた家電製品への期待が高まっている。そのネット家電において、我々は今回開発したDVDレコーダの機能の一つであるネットワークを介してAVコンテンツを再生可能とするためのAVストリーミング技術を開発した。我々はDVD-VR動画コンテンツの最大通信レート10.08Mbpsを確保するため、TCP/IPのプロトコルスタックのチューニングを行った。また、通信プロトコルにHTTPを用いてクライアントでの特殊再生を実現するため、サーバからAVコンテンツの構成情報を含むIFOの取得を行い、HTTPのRangeヘッダを用いた要求を行うことでストリーミングを実現した。
著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.223-242, 2015-09-28 (Released:2015-11-20)
参考文献数
160

近年,国家間あるいは各国内の所得格差が幅広い関心を集めている.格差の原因に関する理論的研究はこれまでに数多く行われているが,現実の所得分布を再現する理論モデルは未だ得られていない.所得格差の原因を解明する目的で,所得分配に影響すると考えられる要因を説明変数として回帰分析(OLS)を行い,決定要因を探索した実証的研究が多数報告されている.しかし,これまでは少数の説明変数と線形のOLSのために高い精度のモデルが得られていなかった.本研究では,非線形回帰分析手法の一つであるサポートベクターマシン(SVM)を用いて161カ国のジニ係数(目的変数)と経済,政治,教育,健康,技術分野の57種の説明変数との相関を解析し,感度分析法を用いて57種の変数の中から所得格差の決定要因を探索する実証研究を試みた.その結果,25種の要因によって161カ国のジニ係数を決定係数(R2)0.795という高い精度で再現するモデルを構築した.また,25種の決定要因の中では政治的要因の寄与が最大であり,次いでGDP等の経済的要因と医療費等の健康要因がほぼ同程度の寄与であることが判明した.
著者
渡邊 隆弘 清田 陽司 田辺 浩介
出版者
京都大学図書館機構
巻号頁・発行日
2009-11-27

会期・会場: 2009年11月27日(金) 13:30-16:50 : 京都大学人間・環境学研究科棟地下大講義室 ; 主催: 京都大学図書館機構. 共催: 国立大学図書館協会近畿地区協会. 共催: 大学図書館近畿イニシアティブ.
著者
森富賢一郎 田辺誠
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.71-73, 2011-03-02

本研究では、携帯電話のGPS機能を用い、WEB上で利用者から最寄のバス停留所を検索し、案内するシステムを開発した。このシステムは、利用者が送信した住所や、携帯電話のGPS機能を用いて取得した位置情報と、データベースに登録されたバス停留所の緯度・経度の情報を基に、両者間の距離を計算し、利用者の近傍に位置するバス停留所の一覧と地図を表示するものである。このシステムではGoogleの提供するGoogle Static Maps APIを用い地図の表示を、Google Geocoding APIを用い住所から緯度・経度への変換を行う。このシステムの有用性を宇部市交通局のバスデータを用いて検証した。
著者
小杉 泰 足立 明 東長 靖 田辺 明生 藤倉 達郎 岡本 正明 仁子 寿晴 山根 聡 子島 進
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、環インド洋地域を構成する南アジア、東南アジア、西アジア/中東について、イスラーム、ヒンドゥー教、仏教が20世紀後半から宗教復興を遂げている状況を調査し、社会と宗教がともに現代的なテクノロジーによって変容している実態を解明した。特に先端医療の発展によって、宗教的な生命倫理が再構築されていることが明らかとなった。

3 0 0 0 IR 猿酒について

著者
田辺 幾之助 浜田 史郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.30, pp.p147-161, 1980-03

酒税法上, 果実酒または雑酒の範畴に入りながらも, 醸造酒としての市場性がないため製品化されず, とはいえ一般家庭では静かだが確実な需要のある自然発酵による含アルコール嗜好性飲料を猿酒とし, これの酒税法との関係を検討した.まず, 家庭で普通に行っているとされる自然発酵をともなうしょ糖による果汁の抽出を行わせ, 抽出経過を観察, 出来た猿酒を分析した.使用した果実は梅の実(白加賀, 豊後梅), すもも(サンタローザ, よねもも, からり), ぶどう(キャンベル・アーリー, デラウェア, 巨峰, マスカット・ベーリーA, ネオマスカット), りんご(国光), びわ(茂木), レモン, 桑いちご, もも(中早生, 大久保), ラビットアイ・ブルーベリー(ホームベル, ティフブルー, ウッダード), いちご, やまももの21種類におよんだ.このうち, 特に梅の実を使用する猿酒, すなわち梅酢とすもものシロップについて, 仕込方法とアルコール濃度との関係および嗜好性飲料としての価値を検討した.梅酢の場合, 梅の実としょ糖の配合比は1 : 1,2週間で果汁の抽出は完全で, 梅酢のアルコール量も酒税法上も問題にならない場合が多い.しかし, 官能検査の面からいうと, 4-5倍に希釈する清涼飲料としては白加賀で配合比2 : 1〜1.5の時が, 又そのままで飲む時は2 : 0.7で甘酸味のバランスが最良であった.すもものシロップの場合は配合比1 : 1で6日間の抽出の時, 単位果実重あたりの抽出色素量は最もよく, アルコール量も酒税法の1%を大きく越えることはなかった.一方, ぶどうを原料とした猿酒はワインと区別出来なくなるし, 又, 他の果実類はそれだけを単独で原料とした場合には嗜好性の点で劣ると判断出来るので, 今回はあまり期待出来ないとした.アルコール濃度, 特に1%のアルコール濃度を検知する能力の程度を調べた.それによると, 普通の, 特に検知経験のない人間が, 普通の状態で, 果汁中に含まれる1%のアルコール濃度を検知することは, かなり困難のようであった.猿酒の微生物を調べたが, こうぼ相中Saccharomyces cerevisiaeの比重がかなり高い場合が多いようであった.
著者
中道真一 田辺浩介 原田隆史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.105, pp.53-64, 2008-10-30

近年の Web 技術の進歩などを受けて,図書館システムについても新た態機能の追加などが検討されてきている。本研究は,オープンソース図書館システムをベースとして, Web 2.0 的な機能などいくつかの新しいサービスのうち,どのような機能を中心に実装するのが良いかについての検討を行ったものである。候補となる機能の候補を対象としてインタビュー調査とケプナー・トリゴー法の決定分析プロセスをもとにした手法で意見の集約を行った。また,その結果をうけて FRBR の採用,集合知の利用などの新しい仕組みを取り入れたプロトタイプシステムを作成して評価した。With the development of network and web technologies, new functions for library systems have been discussed. In this paper, we surveyed and examined functions to be implemented among new functions related to Web2. 0 open-source library system. Based on the systematic examination, evaluation of user studies, the results of the interview and the decision making process of Kepner-Tregoe Program, we have developed a prototype system which includes new features like FRBR and collective intelligence.
著者
井上 莉沙 都築 和代 竹内 悠香 秋山 雄一 尾方 壮行 田辺 新一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.93-96, 2018 (Released:2019-10-30)

寝室内環境が睡眠に及ぼす影響の調査のため、窓の開閉条件を設定した自宅寝室における睡眠実測調査を行った。睡眠の評価は脳波計を用い、睡眠前後のアンケート調査も行った。結果として、窓開け条件で睡眠の質が向上し、良い寝室内空気質が睡眠を改善する可能性が示された。さらに、音環境、温熱環境、空気質が睡眠に与える複合影響を調査するため、マルチレベル分析を行った。
著者
田辺 建二 山田 忠史 谷口 栄一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.431-439, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
27

商品のサプライチェーン全体で生じる現象を記述するモデルとして, サプライチェーンネットワーク均衡 (SCNE) モデルに注目し, 製造業者・卸売業者・小売業者・消費市場の4主体で構成されるSCNEモデルの定式化を示し, モデルの性能の妥当性を検討した. モデルを用いて, 仮想ネットワークに対して, 都市内配送効率化や流入規制などの物流施策の効果を比較分析した. また, 複数の流通段階の利用が可能なSCINEモデルを用いて, 複数の流通段階をもつサプライチェーンネットワークの特性について, 輸送費用やEコマースとの関係の観点から基礎的な評価検討を行った. その結果, 物流施策の影響は施策実施箇所のみならず, SCN全体に波及する可能性が示唆された.