著者
白石 光昭 森 典彦 杉山 和雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.95, pp.9-16, 1993-01-10

オフィスの評価は視覚的要因・環境工学的要因・使い勝手要因の3つが考えられる。これまで環境工学的・使い勝手要因からの評価は多く行われているが,実験・調査が多く手間と時間がかかる。これに対し,視覚的要因はオフィスの第一印象に大きく影響するにもかかわらず,評価方法や評価はまとめられていない。オフィスプランナーは長年の経験から,実験・調査を行わなくても,的確にオフィスの問題点を指摘できる。そこで,彼らの知識をまとめることで,1つの評価法を提案している。知識をまとめる方法としてFTAを応用する。また,視覚,つまり,見た目の評価にはあいまいさが含まれるのでファジイ集合をとりいれている。オフィスを見た目に悪くする要因を95項目抽出し,これらをFTAにそった分析を行うことで,構造的に,かつ,項目に対する主観的な評価を定量的に,把握することが可能になった。
著者
白井 諭 池原 悟 河岡 司 中村 行宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.12-21, 1995-01-15
被引用文献数
14

最近、言語間の発想法の違いを克服し、機械翻訳の品質を向上させるための方法として、多段翻訳方式や用例翻訳方式が提案され、その効果が期待されている。また、現在、翻訳困難な表現や構文は、人手による原文前編集の対象となっているが、これらの多くは、言語間の発想の違いを反映したものであることを考えれば、前編集も言語間の発想の違いを克服する方法の一つであり、その自動化による訳文晶質の向上が期待される。しかし、自然言語の表現には、同形式異内容の間題があり、副作用の生じないよう、前編集の内容をそのまま自動化することは困難であった。これに対して、本論文では、(1)単語の精密な文法的属性と意味的属性を使用すれば、原文に対する自動書き替え規則の適用条件が詳細に記述できると予想されること、(2)原文解析によって文溝成要素の文法的、意味的性質が明らかになった段階で書き替えを適用すれば、書き替えによる予想外の副作用を排除できると期待されること、の2点に着目して、原文自動書き替え型の翻訳方式を提案する。新聞記事を使用した翻訳実験によれぱ、自動書き替え規則の適用された箇所は102文中、44文、延べ52箇所であり、そのうち訳文品質が明らかに向上した文は33文であった。また、規則の適用された文の構文意味解析の多義の数が平均5.39/文から1.31/文まで減少した。これらの結果、本方式は翻訳品質向上ならびに多義減少の効果の大きいことが分かった。
著者
白石 晃一
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-18, 2005-03-31

英国(イングランド)の中等学校での公民教育の中核となる義務教育第3段階(第7〜9学年,11〜14歳)の公民科の授業に関して,単元「人権」の授業展開を,学習指導計画と指導方法に注目して検討した。具体的に二つの学習指導計画(テューダーの教師用資料集ならびにフィーンの教科書と教師用書)をとりあげ,教師用資料集・指導書と生徒用教科書の内容を精査し,そこで重視されている思考・判断と討議・討論の過程を解明した。そして,子どもの権利の確認,責任の自覚,人権擁護のための積極的な活動への誘い,障害者差別反対の絵はがきやポスターや直訴状の作成に,また生徒のアムネスティー・インターナショナル支部設立運動に,「思考・判断と討議・討論(ディベートとディスカッション)と発表(発言・表現)を重視しながら,そこから出発して,人権擁護の行動を促す」という方向性を見出した。
著者
下妻 晃二郎 能登 真一 齋藤 信也 五十嵐 中 白岩 健 福田 敬 坂巻 弘之 石田 博 後藤 玲子 児玉 聡 赤沢 学 池田 俊也 國澤 進 田倉 智之 冨田 奈穂子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

経済状況の低迷が続く多くの先進国においては、公的医療資源の適切な配分は、費用対効果などの合理的な社会的価値判断に基づいて行われている。日本では従来そのような仕組みがなかったが、2016年度から、高額な医療用製品を対象に政策への施行的導入が予定されている。本研究では費用対効果分析による効率性の向上にむけて技術的課題の解決を図り、同時に、効率性の追求だけでは疎かになりがちな公平性の確保を図るために考慮すべき、倫理社会的要素の明確化とそれを政策において考慮する仕組み作りを検討した。
著者
本間 香貴 岡井 仁志 黒瀬 義孝 須藤 健一 尾崎 耕二 白岩 立彦 田中 朋之
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.27-32, 2010
被引用文献数
1

農家圃場における潅水適期診断の一助として開発した水収支モデルを,実農家圃場に適用した.2圃場においてモデルの出力値である有効土壌水分量(<i>Aw</i>)を土壌体積含水率(<i>SMC</i>)に変換し最適化を行ったところ,実測<i>SMC</i>とR<sup>2</sup>=0.75および0.53で一致し,モデルは農家圃場における水分変動を評価しうると考えられた.モデルを実際に運用するに当たっては,各農家圃場に固有のパラメータである有効土壌水分保持能力(AWHC)を推定する必要がある.本研究では黒瀬(2007)による簡易土壌水分計を用いた推定方法について検討を行った.データ数が少ないものの,簡易土壌水分計における1日当たりの指示値の変化量(<i>&Delta;IR</i>)とモデルによる有効土壌水分比(<i>Aw</i>/AWHC)との間には直線関係がみられたため,その関係を解析に用いた.AWHCは3期間における水分計の指示値(<i>IR</i>)の変化量を用いることにより推定でき,圃場間で24〜73mmの範囲を示した.さらに推定したAWHCの値を用いることにより,<i>IR</i>の推移を予測することが出来た.今後,さらに観測数を増やし,信頼性を高めていくことが重要と考えられた.
著者
多々良 美春 Hamacher Andreas 白井 彦衛
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.33-42, 1998-03-31

浄土庭園は,浄土を象徴的に表現しているという概念に基づいて認識されている.しかし仏堂とその前方部に設けられた園池によって構成されるという条件以外に共通項はきわめて少ない.また浄土を表現するための具体的な手法についても明らかではない点が多い.本研究では,浄土庭園の初期の事例である法成寺(無量寿院)と平等院を対象に,庭園の空間構成の特徴に関してその把握を試みた.その際,庭園景観に影響する周辺景観を含めて考察を行った.その結果,法成寺では,周辺環境の影響に左右されない空間が,仏堂群に囲繞されることによって成立していたと考えられた.このような環境は,道長の個人的な信仰を支えるための予備的な空間として有効であることが推察された.また平等院では,小御所の成立によって阿弥陀堂と法会の鑑賞を主体とした,周辺景観から独立した空間の設営が実現した.従って宇治の環境,平等院の優れた庭園景観さらに阿弥陀堂との対面という求心的な空間構成は,阿弥陀に対する個人的な信仰形態を表現するものであると考えられ,法成寺と同質の性格を示していると推察する.
著者
白井 克彦 誉田 雅彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J59-A, no.8, pp.668-674, 1976-08-25

調音運動に関する研究は,音声伝送,音声合成,音声認識の基礎として,音響次元での処理を調音運動の特性に応じた適切なものとする意味から重要であり,その手段として調音機構に関する適当なモデルを設定することが有用である.本論文では,各調音器官の構造性を考慮した調音モデルの構成方法について述べた.このモデルの特徴は,側面X線写真データの統計的な分析によって得られる舌面の変形に関しての主要な変動要因を用いて舌を表現している点であり,従来のモデルと同程度のパラメータでより精密な調音状態の記述が可能となる.次に,このモデルを用いて調音パラメータと音響次元との対応関係を定量的に調べ,その応用として非線形重回帰分析の手法を用いた調音パラメータの推定方法を述べた.ホルマント周波数を用いて,合成音声と実音声について推定した結果は十分妥当なものであり,本方法の有効性を示している.
著者
白井 克彦 誉田 雅彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J61-A, no.5, pp.409-416, 1978-05-25

調音器官の構造に基づいて,声道形を表現する調音モデルを設定し,音声波からモデルマッチングの手法によって,調音状態を推定する方法について述べる.この方法では,音声スペクトルに関して,設定されたモデルの適合誤差を最小にすることを基本とした非線形最適化問題として,調音パラメータが推定される.その場合,解の唯一性や収束の安定性が問題となるが,調音パラメータの変動範囲および分析フレーム間の連続性の制約を評価関数に取入れること,声道特性の分離基準としてモデルの特性を考慮すること,適切な初期値の設定などによって,二,三回の反復計算により十分安定に解が求まることが,合成分析実験により明らかになった.更に,本方法を実音声に適用し,良好な結果が得られることを確認した.
著者
白石 靖 嶋脇 秀徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.21, pp.45-51, 1999-04-22

p-GaAsへの新しいオーミックであるPdInについて検討し、pc〜1×10^-8Ωcm^2という良好なコンタクト抵抗を、低いアニール温度(≦400C)で実現した。この値はp-GaAsに対する合金系オーミック電極の既報告の中で最も低く、従来のPt系オーミック電極の値Pc≧5x1O^-7Ωcm^2)と比べて一桁以上低い。Pd/In/Pd積層構造で問題となる表面の凹凸は、Pd-In共蒸着により改善され、良好な表面モフォロジーが得られた。また、PdIn/GaAs界面は平滑で、合金層のシンターも浅く、熱的安定性も良好であることから、PdInオーミックはGaAs系高周波HBTのべース電極として非常に有望であると言える。
著者
ラジェンドラン ムース 白石 雅紀
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:13448528)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-22, 2007-03

不法移民労働者の問題は主に国家間、国内間の不平等な富の分配によって引き起こされる地球規模の現象である。アジアにおいても不法移民労働者の問題は(特に先進国にとって)国の社会経済、政治、社会福祉に大きな影響を与える問題である。本論文では日本を中心として、アジアの不法移民労働者問題の課題、今後の展望を考察する。本論文は(1)単純労働者、セックスワーカーを中心とした、アジアにおける不法移民労働者の労働形態とその現状。(2)日本やNIEs諸国へと不法移民労働者が流入してくる要因。(3)不法移民労働者に対する政府の法律と政策。(4)不法移民労働者の劣悪な労働状況や、雇用主による搾取。(5)アジア諸国の政府の対応。(6)この問題に対する国際社会とNGOの取り組みを論じ、続いて日本における不法移民労働者の現状と課題を考察する。不法移民労働者の問題に対しては柔軟な対応が必要となる。政府は不法移民労働者を斡旋するシンジケート、並びに不法移民を雇う雇用主に対する監督を強める必要がある。また、移民の労働形態や人権に関する多国間同士の協定を結ぶことも、不法移民を緩和するための有効な政策である。不法移民を軽減するために、もっとも重要なことは政府の政治的意思である。しかし、現時点ではそれは不十分なものであり、その結果この問題を助長させてしまっている。アジア各国の政府は不法移民の問題を真正面から捉え、取り組む必要がある。
著者
大川 茂樹 ウィントホイザー クリストフ バンボ フレデリック 白井 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.93, no.427, pp.25-32, 1994-01-21

TDNNに基づくハイブリッド型単語音声認識システムにおいて,音韻の弁別特徴という新しい表現を導入する.この表現を利用することにより,一般的な音韻表記よりもコンパクトで学習の速いネットワークが構成できる.また,異なる性質を持ったネットワークを平等に評価するための尺度として,相互情報量を導入し,モジュラー型TDNNの構成の最適化を試みる.英語アルファベットデータベースを用いて,フレーム毎の弁別特徴認識実験と,DTWを組み合わせた単語認識実験を行った結果、相互情報量により最適化したネットワークを用いた場合にも最も良い性能が得られ,提案した手法の有効性が確認された.
著者
斉藤 瞳 白川 清美 橋浦 弘明 山下 公太郎 古宮 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.429, pp.43-48, 2008-01-14

芝浦工業大学情報工学科の3年生は,ソフトウェア開発の知識や技術を習得するために,幾つかのチームに分かれ,チーム単位で演習を行う.しかし,学生のソフトウェア開発能力にバラツキがあるので,与えられた課題を期日までに達成できないチームがあるという問題が生じていた.そこで橋浦ら[1]は,ソフトウェア開発に必要な各役割を遂行する学生の能力に影響を及ぼす人的要因が既知である場合に,それを利用してチーム編成の最適案を自動生成するシステムEtUDE/GOを開発した.しかし,チーム編成に影響を及ぼす人的要因については未知のままであった.そこで著者らは,共分散構造分析などを導入して,チーム編成に直接影響を及ぼす真の要因と,間接的に影響を及ぼす代用特性との間の関係式を求め,求められた関係式をEtUDE/GOに適用してチーム編成の最適案を自動生成した.そして,各学生が行った作業のログ情報を利用して求めた,各学生の貢献度評価などにより,チーム編成の最適化が演習授業にもたらした影響を分析した.分析の結果,実際の演習授業では,これらの学生達が期待どおりに活躍した.その結果すべてのチームが演習課題を無事に達成できたことを確認している.
著者
天白 成一 三木 睦明 岸田 大輔 中林 稔堯
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.486, pp.73-78, 2007-01-19
参考文献数
4

自閉症児向けに開発したコミュニケーション支援ツール「ピクチャーエイド」について研究開発の背景と使用例に関して報告する.
著者
天白 成一 平井 俊男 傍島 康雄 藤井 泰宏 三木 睦明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.219, pp.81-86, 2010-10-01
参考文献数
11

発声障がい以外に大きな障がいを持たない場合,音声出力型コミュニケーション・エイド(VOice Communication Aid,VOCA)と呼ばれる補助装置を用い,必要な音声を随時合成することで,健常者と変わらない日常生活を送ることが期待できる.VOCAでは,「画面サイズが適度に大きくて視認性が高い」「スライラス・ペンなど特殊な入力デバイスが不要であること」などが重要な要件となる.これらの要件を踏まえて,本報告では,筆者らが開発した,iPad上で稼動するVOCAである「ボイスエイド」について述べる.
著者
山田 千夏 朱宮 哲明 山口 剛 山田 慎吾 白石 真弓 柳田 勝康 中村 崇仁 梅田 巧 伊藤 美香利 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.106-111, 2013 (Released:2013-10-09)
参考文献数
6

当院では2010年に,がん化学療法中の入院患者の給食として8日間サイクルの化学療法食を導入し,現在までに258名に提供した。今回,2011年10月~2012年3月の6か月間に化学療法食を提供した23名 (肺癌8名,急性骨髄性白血病5名,悪性リンパ腫3名等) に食事のアンケート調査を行ない,その結果を基に幾つかの改善を行なった。 食べ易さに対する回答では,96%の患者が食べ易いと評価した。食事量については,朝食について29%の患者が少ないと回答し,昼食と夕食については83%の患者がちょうどいいと回答した。食べ難かった料理では,「冷たい茶碗蒸し」と回答した患者が7名と最も多く,その他の料理では魚料理が食べ難い傾向がみられた。 アンケート結果を基に,朝食量を増量すると共に,「冷たい茶碗蒸し」の献立を「温かい茶碗蒸し」に変更した。また,魚の臭いを抑えるために「煮付け」と「蒸魚」の献立を「蒲焼き」と「あんかけ」に変更した。今後も調査を継続し,より多くの患者に対応できる化学療法食を目指したい。