著者
山口 淳一 大場 有功 金田 美恵 内田 紀代美 石川 洋 鈴木 公典 八木 毅典 佐々木 結花 山岸 文雄
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.629-634, 2007-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
8

〔目的〕定期外健康診断にクォンティフェロン ® TB-2G検査(以下QFT検査)を応用する際の留意点を明らかにすることを目的とする。〔対象と方法〕30代男性の肺結核患者(bII2,ガフキー9号,咳症状1.5カ月)を端緒として実施した会社の定期外健康診断の経過と結果を分析する。〔結果〕40歳未満の43名に対して,2カ月後の定期外健康診断において,ツベルクリン反応検査,QFT検査・胸部エックス線検査を行い,6カ月後の定期外健康診断において,胸部エックス線検査を実施した。また,9カ月後に2回目のQFT検査および胸部CT検査を実施した。2カ月後のツベルクリン反応検査は二峰性の分布を示し,QFT検査では10名が陽性,2名が疑陽性であった。QFT検査陽性・疑陽性の12名を化学予防としていたところ,6カ月後の胸部エックス線検査で,QFT陰性者から2名の肺結核患者が確認され,さらに9カ月後の胸部CT検査により5名の発病者が確認された。2回目のQFT検査では,発病者7名のうち3名が陽性または疑陽性であった。〔考察と結論〕QFT検査の結核患者における感度は80~90%とされており,偽陰性の可能性は無視できない。今回の経験を踏まえ,集団定期外健康診断において,QFT陽性・疑陽性者の割合が高かったり,ツベルクリン反応が明らかな二峰性の分布を示すなど,感染者が多数含まれている可能性が濃厚な集団では,以下に留意することが必要と考えられる。(1) 化学予防の対象者は,QFT検査結果のみでなく,ツベルクリン反応検査,接触状況などを総合的に判断して決定すべきである。(2)QFT検査陰性だった者についても,胸部X線検査の経過観察を行うべきである。
著者
石崎 廣 五十嵐 弘道 荒井 頼子 蒲地 政文 石川 洋一 齊藤 誠一
出版者
Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University
雑誌
Memoirs of the Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University (ISSN:24353361)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-31, 2021-12

When a histogram-based method for front detection was applied to the sea surface temperature (SST) and chlorophyll-a (CHL) data by ‘Himawari’ and ‘Shikisai’ (GCOM-C) satellite, the obtained frontal patterns were scale-selective, corresponding to the window scales (W). On this basis, the optimum initial smoothing condition as the data preprocessing was searched for, that maximizes the frontal edge point detection rate to the given W. As the smoothing filter, the median filter (MF) and the Gaussian filter (GF) were used solely or co-used. As the result, it was found that the frontal edge point detection rate was maximized when the original data were smoothed until the scale of about a half of W, that is, when the disturbances with the scales less than about a half of W were removed, for the low-latitude SST data of ‘Himawari’ with the co-use of MF and GF. Namely, the optimum smoothing scale (D) that maximizes the frontal edge point detection rate is roughly proportional to W. The mean values (Rm) of the ratio of D to W (R=D/W), averaged over the practical range of W for various data and regions, fall in a range 0.3 < Rm < 0.5.
著者
高薮 出 花崎 直太 塩竈 秀夫 石川 洋一 江守 正多 嶋田 知英 杉崎 宏哉 高橋 潔 仲江川 敏之 中北 英一 西森 基貴 橋爪 真弘 初鹿 宏壮 松井 哲哉 山野 博哉 横木 裕宗 渡部 雅浩
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.377-385, 2021-11-05 (Released:2021-11-20)
参考文献数
11
被引用文献数
2

過去20余年にわたり,気候変動とその社会への影響に関する膨大な予測情報や知見が創出されてきた.しかし,これらの予測情報や知見が国・地方公共団体や事業者などに広く利活用されるようになるまでにはまだ様々な課題が残っている.そこで,気候予測と影響評価に関する研究に長く携わってきた著者らが現在見られる各種の障害や,解決の糸口について議論した.その結果,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティーにはそれぞれ業務の前提と他コミュニティーへの期待があり,それらの間にずれが生じていることが浮かび上がった.解決のためには,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティー間の協働が重要である.具体的には,予測情報や知見が創出される前の段階での相互の情報交換やすり合わせによるギャップの解消や,その実現のための制度や設備の整備が必要であることが示された.
著者
清水 邦義 吉村 友里 中川 敏法 松本 清 鷲岡 ゆき 羽賀 栄理子 本傳 晃義 中島 大輔 西條 裕美 藤田 弘毅 渡邉 雄一郎 岡本 元一 井上 伸史 安成 信次 永野 純 山田 祐樹 岡本 剛 大貫 宏一郎 石川 洋哉 藤本 登留
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.126-130, 2017-05-25 (Released:2017-06-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

木材を用いた家の価値が見直されている中で,木材から放散される揮発性成分の機能性が注目されている。季節ごとの温度や湿度の変化の大きい我が国においては,木材から放出される揮発性成分も大きく変化していると考えられる。本研究では,スギ(Cryptomeria japonica)の無垢材を内装に用いた建物(A棟)と,表面に塗装を施された内装材またはビニールクロスで覆われた内装材を用いた建物(B棟)の室内において,年間を通して揮発性成分を定期的に捕集し,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)分析による比較を行った。その結果,木材の揮発性成分の大半を占めるセスキテルペン類の量は,どちらの棟においても冬季より夏季で高く,年間を通してB棟よりもA棟の方が常に高いことが明らかになった。
著者
石川 洋子 井上 清子 会沢 信彦
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.39, pp.51-62, 2005

本研究では,保護者対応の基礎的なスキルとなるカウンセリングに対するニーズについて,子育て支援に関わる保育者達への調査と保育雑誌の保護者対応記事の分析を行い検討した.その結果,保育者達が,特に保護者対応に問題を感じ,対応に苦慮していることがわかった.また,保育者達のカウンセリングに対するニーズは高く,年齢や勤務年数,役職に関わりなくこれが求められていることもわかった.カウンセリングの研修会への参加については,研修会の情報や機会がなかったり,時間や参加費の問題等が指摘されていた.研修会に参加した者が,参加していない者よりも有意に外部の専門家や機関に相談することができていた.\n研修の機会を増やし,その情報を数多く提供することは,子育て支援にあたる保育者達の保護者対応をスムーズにし,また問題や困難を感じた時の相談や対応のネットワークを構築することにもなる.保育者間の関係構築のためにもカウンセリングが求められており,保育者支援にもつながると思われた.
著者
石川 洋明
出版者
名古屋市立大学
雑誌
名古屋市立大学大学院人間文化研究科人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.5, pp.37-49, 2006-06

男性の「男らしさ」について、調査データ(N=218、非無作為抽出、回答者は男女双方)の二次分析により検討した。多変量解析の結果、「男らしさ」は、行動様式で6つ、意識でも6つ、配偶者とのコミュニケーションで3つの成分が抽出された。成分得点の回答者属性による差から、50代既婚男性が性暴力問題に最も懐疑的で家庭外達成志向が強く、20代男性が最も感情表現や子のケアに積極的であることがわかった。また、男性の回答から、「男らしくない」と言われるのは、配偶者への期待が低く、仕事を断れる人、「男らしくありたい」と思う人は、近所づきあいがよく、仕事を断ることができず、男は経済力・忍耐が必要で家事には向かないと思っている人であることがわかった。総じて、ワークライフバランスのうちではワークに特化することが男らしさである、と考えられていることが確認された。ただし、40代と既婚者に、それにとどまらない傾向も見られた。
著者
森川 重敏 石川 順子 釜付 弘志 新里 康尚 渡辺 朝香 石川 洋 千原 啓 永田 哲朗 米谷 国男
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1495-1502, 1990

当科で行っている塩酸 Bupivacaine を用いた持続硬膜外麻酔 (以下硬麻) による無痛分娩の安全性の確立を目的として, 硬麻下に生まれた新生児の神経行動および長期予後として, 乳児の精神発達について比較検討した. 合併症のない満期産頭位経腔分娩例中, 無作為に抽出した硬麻群72例 (吸引分娩 (以下VE) 33例, 非吸引分娩 (以下NSD) 39例), 同様に対照群として非硬麻群28例 (VE 13例, NSD 15例) について, 1) 局麻薬 Bupivacaine 濃度と Neurological and Adaptive Capacity Score (NACS) (Amiel-Tison et al.) を用いた新生児の神経行動との相関, 2) 新生児における NACS と総哺乳量および新生児体重減少との関連, 3) 長期予後として, 津守・稲毛による乳幼児精神発達質問紙を用いた乳児の精神発達について比較検討し, 以下の結果を得た. 1) 局麻薬 Bupivacaine の母体静脈血, 臍帯静脈血, 臍帯動脈血中濃度は, すべて Bupivacaine 総投与量と相関していた. そして, 新生児の神経行動 (NACS) は, Bupivacaine 総投与量が多いほど, 不良であることが判明した. 2) 硬麻下に生まれた新生児の1時間以内の NACS は, 分娩様式の別なく不良であり, この抑制傾向は, 生後3日目まで残っていた. 3) Bupivacaine 総投与量と分娩所要時間は相関していた (r=0.85). また, 分娩所要時間が200分以上の群は200分未満の群に比較して, 新生児の1時間以内の NACS は, 硬麻の有無, 分娩様式にかかわらず, 抑制傾向がみられた. 4) 新生児の総哺乳量は, 硬麻群において, 生後2日目まで抑制傾向がみられたが, 生理的体重減少では差はみられなかった. 5) 長期予後としての乳児の精神発達は, 生後11ヵ月, 3ヵ月, 6ヵ月時, 硬麻群, 非硬麻群間に有意差を認めず, 児の精神発達は良好であった. 以上, 硬麻は安全性の高い, ほぼ理想的な無痛分娩法といわれているが, 新生児の神経行動から短期予後について検討すると, まだ改善すべき点があると思われる. しかしながら, 児の長期予後としての精神発達は問題ないと考えられる.