著者
窪田 諭 石井 慶之介 丸山 明 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.II_9-II_15, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
11

我が国に約53万橋ある橋長2~15m未満の小規模橋梁の点検においては,その位置と名称の特定に課題がある.そこで,本研究では,現地で橋名を示すものがない小規模橋梁を対象に,点検効率の向上と点検ミスや点検漏れをなくす点検結果の信頼性向上とを目的に,タブレット端末に橋梁名とその概要を表示するシステムを開発した.システムでは,橋梁名の特定にRFIDとQRコードを採用し,橋梁名,橋梁コード,橋長,総幅員,緯度と経度を表示する機能を有する.システムの有用性を評価するために,新潟県新潟空港周辺の小規模橋梁5橋を対象に実証実験を行った.その結果,本システムが現場での橋梁名の特定に利用可能であることが示唆された.実験では,RFIDの読み取り距離は約23~27cmであり,その貼り付けは橋梁の側面が適していた.
著者
窪田 香織 桂林 秀太郎 岩崎 克典
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

抑肝散には神経栄養因子様作用があり、神経保護や神経突起(軸索)伸展・神経新生作用を持つ可能性が示唆されていたが、変性神経に対する保護・機能改善効果の詳細は未だ不明であった。そこで当研究では、ニューロン・アストロサイト共培養系オータプス培養標本を用いてAβ処置による神経変性モデル、Sema3A処置による軸索特異的変性モデルなどの新規神経変性モデルを構築した。次にこの神経変性モデルを用いて神経変性や軸索伸展に対する抑肝散の効果を確認した。抑肝散には軸索変性に対して改善作用があることが示唆された。さらにこの効果には神経栄養因子BDNF, NGFのほか軸索伸張阻害因子Sema3Aの関与も示唆された。
著者
徳永 明子 四元 珠紀 四元 孝道 山内 愛 梅本 昭英 日吉 俊紀 窪田 正大
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.138, 2005 (Released:2006-08-01)

【はじめに】左半側視空間無視(以下左USN)を伴う慢性期脳梗塞患者1例に習字を導入した結果,BITの改善及びADLの向上がみられたのでそれらの結果に若干の文献的考察を加え,報告する。【症例】77歳男性。右利き。現病歴:2003.9.19に脳梗塞(右内頸動脈閉塞)罹患。既往歴:1928年腰椎骨折,1985年転落により頭部打撲・左下腿骨折。【入院時評価】2003.12.15(発症3ヵ月後)左上下肢運動麻痺(II,I,II),表在・深部感覚は中等から重度鈍麻。高次脳機能:左USN(BIT通常検査48/146点,重度),注意障害,失語,構音障害,聴覚・視覚的理解力の低下 ADL:B.I 10/100点(食事以外要介助)【習字実施直前時評価】2004.8.19(発症11ヵ月後)高次脳機能:BIT通常検査48/146→69/146点ADL:B.I 10/100→25/100点(更衣,移乗,整容が改善)【習字を利用したUSNに対する訓練方法】病前より書字に興味があったことから,今回USNへの訓練方法として習字を導入した。課題は症例自ら選定し,準備・書字後のフィート゛ハ゛ックは担当OTと共に行った。実施期間は発症後11カ月より30分/1回,3回/Wで4カ月間実施した。【改善点】2004.12.20(発症15カ月後)高次脳機能:BIT通常検査69/146→113/146点ADL:B.I25/100→35/100点(車椅子駆動自立,移乗軽介助) 【考察】入院時から習字実施までの11ヵ月でBIT通常検査が48/146→69/146点と21点改善した。さらにその後,USN訓練として習字を集中的に4カ月間実施した結果, 69/146→113/146点と41点改善がみられた。ADLも25/100→35/100点となり,なかでも車椅子駆動時の左障害物への接触消失,靴・装具の着脱手順把握・テーフ゜着脱忘れの改善がみられた。また,習字の効果の維持もできていた。Mesulam(1981)は,USNは方向性注意の障害とした上で,帯状回!)下部頭頂葉!)前頭葉!)網様賦活系が形成するネットワーク回路の障害により,USNが生じるとしている。帯状回は,反対側空間への情動の方向付け,下部頭頂葉は,反対側空間の知覚入力の統合・知覚表象図式の形成,前頭葉は,反対側空間での運動の開始・抑制に関する出力の統合・運動的探索を行っている。そして網様賦活系は,上記3つの領域を賦活して覚醒的基盤を与えているとしている。これらのメカニス゛ムと習字の特性を比較すると,習字への関心や手本照合による左右探索等は帯状回,作業範囲の拡大や字の大きさ等は下部頭頂葉,習字の開始・終了のコントロールは前頭葉が担っていると推測される。習字がこれらのネットワーク回路に相互的にハ゛ランスよく機能した為,USNが改善したと思われる。
著者
窪田 武浩 新宮 康栄
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.184-187, 2021-05-15 (Released:2021-06-02)
参考文献数
8

症例は77歳,女性.冠動脈バイパス術を9年前に受けた.その後,外来フォロー中に大動脈弁狭窄症が出現,進行したため経胸壁心エコーで経過観察していた.経過観察中に僧帽弁後尖弁輪部の高度の石灰化と同部に付着し左室流出路にたなびく可動性のある疣贅様腫瘤が認められたため,腫瘤の摘出と大動脈弁置換術を行った.腫瘤は僧帽弁後尖弁輪部に基部を持つ3 mm×23 mmの棍棒様で容易に折れてしまうものであった.通常の組織染色に加え血管内皮細胞のマーカーであるCD31とvon Willebrand factorの免疫染色を施行したところ,両者ともが陽性であった.病理学的には薄い内皮に覆われた細胞成分を含まない石灰化物質と診断した.摘出した腫瘤は石灰化弁輪の剥離により生じたものであることが示唆された.石灰化弁輪に伴うとされるcalcified amorphous tumor(CAT) とは異なる稀な病態であったため,文献的考察を加えて報告する.
著者
古市 幸生 窪田 靖司 杉浦 洋一 梅川 逸人 高橋 孝雄 河野 省一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.165-172, 1989-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

エクストルーダーによる大豆タンパク質の組織化に最低必要とされている140℃よりもかなり高い温度 (175, 216, 239℃) で全粒大豆を二軸エクストルーダーで処理し, 以下の結果を得た。1) 処理温度が高くなるに従って褐変現象は顕著となったが, 塩酸加水分解後定量のアミノ酸の組成には差は認められなかった。さらに, FDNB法によって求めた有効性リジン含量についても変化は認められなかった。2) レクチン, ウレアーゼおよびトリプシン・インヒビターはほぼ完全に失活した。3) トリプシン・インヒビターの失活により, トリプシンによる人工消化試験での消化性は顕著に高くなった。また, 動物実験によって求めた栄養価 (PER, BV, NPU) についても顕著な向上が認められた。
著者
榎戸 芙佐子 窪田 孝 中川 東夫 渡邉 健一郎 亀廣 摩弥 大原 聖子 地引 逸亀 野田 実希
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.897-905, 2006
参考文献数
27

神経衰弱,慢性疲労症候群(CFS),うつ病の三者が疑われる3例の診断と治療・経過を紹介し,問題点を指摘し,今後の研究に対する提案を行った.症例1は疲労を主訴にインターネットの情報からCFSを疑って受診してきたがCFS疑診例であり,症状からICD-10の神経衰弱と診断し治療したが軽快に止まった.症例2もCFSを自己診断していたが,客観的所見に乏しく身体表現性障害と考えて治療していたとこう,妄想が明らかになり妄想性障害に診断を変更した.症例3は抑うつエピソード以前から身体徴候があり,リンパ節腫脹,関節痛,咽頭炎の症状からCFSと診断し,治療の結果ほぼ完治した.CFSと神経衰弱は社会的背景・症状が似ており,両者は文化的変異形と考えられる.れが国における神経衰弱の乱用ともいえる現状を考えると,CFSを積極的に診断し治療していくことが患者・家族の福利につながり,疲労の脳機能の解明にも貢献すると考えた.
著者
松井 大輔 窪田 亜矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.680, pp.2407-2414, 2012-10-30 (Released:2013-04-25)
参考文献数
31
被引用文献数
4 9

The traditional townscape of Kagurazaka-KAGAI is appraised by citizens and tourists, whereas the structure of this townscape is not yet clarified. This paper clarified following three points.1. Prewar Kagurazaka-KAGAI provided more mysterious townscape for visitors than present condition because there are more complex network of alleys and taller buildings.2. The townscape, which has been rebuilt after the war, underwent big change. But some elements of prewar building design are inherited in KAGAI's buildings. Moreover, many ordinary buildings modeled after KAGAI's buildings in Kagurazaka-KAGAI.3. We need more consideration how to control a design of buildings out of Kagurazaka-KAGAI.
著者
木幡 義彰 宮原 健夫 清水 直樹 渡辺 浩一 内山 和郎 井川 守仁 篠原 靖 白鳥 泰正 窪田 良彦 竹下 俊隆 宮岡 正明 斉藤 利彦 古畑 総一郎 木下 剛 福武 勝秀
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.211-214, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例1は51歳男性。腹痛を主訴に入院した。腹部X線検査にて横行結腸と思われる部位に針様陰影を認め,停滞したため大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子を用いて横行結腸より縫い針を摘出した。症例2は61歳女性。義歯誤飲にて受診した。腹部X線検査にて上行結腸に異物を認め,大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子およびポリペクトミー用スネアを用いて義歯を摘出した。症例3は59歳男性。自慰行為にて肛門から挿入したバイブレーターが抜去困難となり受診した。大腸内視鏡検査を施行し,スネアを用いて摘出した。3例とも摘出による合併症の出現はなかった。異物は時に消化管穿孔や出血などをひき起こし,外科的処置が必要となる場合がある。内視鏡的異物摘出は上部消化管においては普及しているが,下部消化管ではまれである。大腸異物の内視鏡的摘出は安全かつ有用な手技であると考えられた。
著者
田川 晴菜 窪田 和巳 山口 さおり 深堀 浩樹
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.48-56, 2013 (Released:2018-12-28)
参考文献数
9

本研究は,看護政策に携わる看護職の現在の職業・立場につくまでの経験を明らかにし,彼らの意見から看護職の看護政策に関する興味・関心を高める方略についての示唆を得ることを目的とした.看護政策へ携わる看護職6名を対象に半構造的インタビューを実施し,質的に分析した.分析の結果,看護政策に携わる看護職の現在の職業・立場につくまでの経験として「看護政策に関心を持ったきっかけとなった経験」,「看護政策への理解を深めた体験」,「周囲の人々から対象者への反応」の3カテゴリーが,看護政策に関する興味・関心を高める方略についての意見や考えとして「看護政策への関心を高める上での障害」,「看護政策への関心を高めるために考えられる取り組み」の2カテゴリーが得られた.将来看護政策に携わりたいと考える看護職にとって,看護政策に直接携わる人との関わりが重要であるとともに,基礎教育の段階で医療・看護政策に関する内容を学び,看護以外の分野の知識や海外の医療制度・看護実践について知ることが有益であることが示唆された.また,今後より多くの看護職が看護政策に関心を持つようになるための体制を考える上で,多忙な臨床現場でも効率的に看護政策に関する情報が得られる環境整備や看護職の情報リテラシーを高める取り組み,若年層に対するアプローチが重要であることが示唆された.
著者
岩本 博幸 窪田 さと子
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.251-255, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
5
被引用文献数
2

This study was aimed at examining the potential of processed meat produced from cultured meat, and estimating effects of consumer awareness of animal welfare and environmental issues to the WTP for cultured meat. The main findings are as follows. First, the average WTP for hamburgers made from tissue -cultured meat is JPY 363. Second, the WTP of respondents who know about, or value, animal welfare is shown to increase. The WTP of respondents who resist the killing of animals, and who recognize that the consumption of livestock products has a negative impact on the environment, is higher.
著者
木俣 健 窪田 辰政 神藤 隆志 三橋 大輔
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
巻号頁・発行日
vol.71, 2021

<p>本研究の目的はテニスにおける世界の男子トッププロ選手(以下:上位群)と学生選手(以下:下位群)を対象に、サービスゲーム中のブレイクポイントをセーブした時の1stサーブの確率、ポイントの終わり方、ラリー数を比較しトッププロ選手の戦術選択を明らかにすることで、サービスゲームのキープ率向上に関する戦術指導の有益な情報を得ることであった。</p><p> 対象として、上位群をATPランキングが15位以内の選手20名が出場した男子プロテニス協会主催の大会14試合(2018年~2020年)の中から100ポイント、下位群を関東学生テニス連盟が主催する3つの主要な個人戦において本戦出場経験のない選手21名が行った学生の公式戦、対外試合や部内戦(2019年~2020年)の中から127ポイントを抽出した。さらにサーブの確率、ポイントの終わり方(Unforced Error、以下UE:自らに原因のあるエラー、Forced Error、以下FE:相手の良いショットに原因のあるエラー、Winner、以下W:ノータッチエース)、ラリー数の3項目に関して分析を行った。統計処理として、それぞれの結果についてχ<sup>2</sup>検定を行い、有意差の見られたデータは残差分析を行った。有意水準は5%未満とした。</p><p> 結果として、1stサーブの確率は上位群が有意に低かった(p<0.05)ことに加え、1stサーブが入った場合のポイントの終わり方については、上位群のFEの割合が有意に高かった(p<0.05)。これらより上位群は1stサービスにおいて、多少確率を下げてでも主導権を握り、相手からFEを引き出していることが考えられる。さらに上位群は、ポイントが終了するまでのラリー数が短い場合(5球以下)においてもFEの割合が高いことから(p<0.05)、上位群は1stサービスの確率が下がるリスクを冒してでもサーブを始めとする攻撃的な戦術選択を行っていると推察される。</p>
著者
増本 英男 賀来 満夫 荒木 潤 浅井 貞宏 高田 俊夫 窪田 芙佐雄 松尾 武 池田 高良
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.1087-1091, 1989-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

症例は66歳, 男性. 胸部X線上, 縦隔腫瘤影の増大を指摘され, 来院. 手術にて右心縁に接する15cm大の胸腺嚢腫が摘出された. 嚢胞液の性状は灰白色混濁した, 蛋白0.5g/dlの漏出液であった. 本例において最も興味深いのは血清CEAが2.1ng/mlに対し, 嚢胞液中のCEAが223.2ng/mlと異常高値を示したことであった. 免疫組織化学による検討では, 嚢胞内腔を被う上皮細胞及びハッサール小体の一部にCEA陽性細胞が認められた. 今後の症例の集積が必要であるが, 少なくとも嚢胞液中のCEAが高値でも悪性を示唆する所見はみられないことより, このCEAはCEA関連抗原の可能性もあるように思われた.
著者
泉舘 辰太郎 二川 佳央 石原 豊彦 筧 正兄 窪田 宣夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

電波の人体に対する作用は熱作用が支配的であるとされおり、これを基に防護指針が決められている。これに対して、非熱作用については未知な部分が多く残されている。本研究では主としてマイクロ波パルスの影響について細胞レベルで調査するための準備及び基礎実験としてV,UHF帯における培養細胞の培養液の複素誘電率を測定し、また細胞へ適切に電波が照射されるための装置の開発を行った。
著者
宇野 文二 窪田 種一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.2, pp.101-109, 1991-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
56
被引用文献数
1

著者らは近年,電子スペクトルに対する置換基効果を置換基定数で記述する新しい方法を研究してきた。電子スペクトルで測定される一重項あるいは三重項遷移エネルギー(1.3Euv)は, Swain らの FR 置換基定数あるいは湯川らの置換基定数 (σi ,σπ+,σπ-)を用いて, 1.3EUV=aF+bR+C, 1,3EUV=ασi+βσπ++γσπ-+Cと記述された。そして,これらは共役系の n-π* 吸収帯を初め,共役系および脂肪族系の n-π* 吸収帯,分子内電荷移動吸収帯,分子化合物の分子間電荷移動吸収帯およびそれら錯体形成による成分化合物自身の吸収帯などに対する置換基効果に適用できる一般式であることを明らかにした。さらに,ベンゼン置換体の吸収帯を用いて,これらの式の適用限界を議論した。第一吸収帯に対しては合理的に適用できるが,第二吸収帯には適用できなかった。第二吸収帯に対する分子内電荷移動配置の寄与は置換基の種類にいちじるしく依存し,この吸収帯の性格がすべての置換基で同じでないためである。これらの一連の研究について,一般式の誘導の過程から種々の吸収帯に対する適用結果および分子軌道論によるその理論的背景を総合的に述べた。
著者
窪田 規
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
HYBRIDS (ISSN:09142568)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.8-13, 1992-03-01 (Released:2010-03-18)
参考文献数
5
著者
香山 浩二 伊熊 健一郎 窪田 耕三 鎌田 敏雄 礒島 晋三
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.p1906-1912, 1979-11

血中抗精子抗体の検出法として多数の方法が考案され臨床的にも応用されているが, 従来の方法は大部分が定性又は半定量の域を出るものではなかった. 我々が最初に報告した不妊症婦人血中に特異的に検出される補体依存性精子不動化抗体の検出法すなわち精子不動化試験法は抗体を保有しない対照血清中の精子運動率(C%)を被検血清中の精子運動率(T%)で除した値, すなわちC/Tを精子不動化値(SIV値)とし, これが2以上を示すものを陽性としたが, 大きい値を示す程精子不動化作用が強いと判定する半定量的測定法であり, 精子不動化作用の強い血清においては, SIV値の差は不正確になり, 又無限大(∞)も出現して抗体価の正確な測定ができなかった. そこで精子不動化試験の定量化を試みたが, 方法としては被検血清を倍数希釈し, 各希釈段階における精子不動化率 (C-T/C×100) を従来の精子不動化試験法によつて算定しこの精子不動化率を血清希釈倍数を横軸とした半対数表に図示し, ちょうど50%精子不動化率を示す血清希釈倍数値 (SI_<50>値) を求める方法である. 本法によると従来の精子不動化試験による不正確なSIV高値及至は∞を示す血清においてもSI_<50>値を求めることによつて定量が可能であり, 又標準精子不動化抗体含有血清を設定してこれを定量的測定には必ず標準血清として加え, そのSI_<50>値を求めることにより, 各測定毎の反応系の違いによる測定値変動を補正することが出来る. この定量的精子不動化試験を用いて血中精子不動化抗体保有不妊婦人の血中抗体価を長期間に亘り, 経過観察してみると従来考えられていたように血中精子不動化抗体の値はけつして一定ではなく, かなり強い波状曲線を示して動揺している新事実が観察された.
著者
稲垣 栄洋 長谷川 佳菜 窪田 早希子 西川 浩二 成瀬 和子
出版者
日本有機農業学会
雑誌
有機農業研究 (ISSN:18845665)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.32-37, 2019-07-31 (Released:2019-12-27)
参考文献数
11

伝統的な刈敷き栽培は,ススキやヨシなどのイネ科植物を用いるのが一般的である.しかしながら,徳島県剣山系の伝統農法では一般的な刈敷き栽培にはススキを用いるのに対して,ナス科作物の栽培にはタデ科多年生雑草であるイタドリが経験的に用いられている.この要因は明確ではない.そこで本研究では,イタドリの表層施用がナスの生育や収量,品質に及ぼす影響を検討した.試験は2016年度と2017年度に行い,径30cmのポットにナスを1本植え栽培して,イタドリ施用,ススキ施用,無施用の3水準で行った.その結果,潅水を制限した場合,イタドリを施用した区とススキを施用した区では,無施用に比べて土壌水分が高くなった.また,イタドリ施用区とススキ施用区では昼夜の温度差が小さくなる効果が認められた.ナスの生育や収量には,イタドリやススキの施用の効果は認められなかった.一方,イタドリを施用した区では,ナスの皮がやわらかくなり,果実糖度が高まる効果が認められた.
著者
奥澤 理恵子 窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.872-879, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2

原発被災地域である福島県南相馬市小高区の中心部であるまちなかを対象に、被災地の再生という観点から被災後も価値をもつ交流の場としての側面に着目し、被災から8年の小高区まちなかにおける新たな交流空間の設置経緯、特徴、利用状況を調査した。立地や外部空間、所有や管理、利用の状況といった特徴から、交流空間の効果として避難指示下の町でも人が集まる空間を作り交流を創出したこと、その後も地域に人を呼び込む仕掛けとなったことなどが考えられる。原発被災地域のまちなかにおける交流空間の意義には、人の活動の可視化、避難指示下であってもまちを訪れる人としての人間関係の構築、様々な人が地域に関わりを持つ契機をつくることが挙げられる。