著者
荒木 祐一 島田 伸敬 白井 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.569, pp.87-94, 2002-01-11
被引用文献数
24

本論文では複雑背景下において大きさや位置, 方向が未知な顔を検出し, その顔の方向を推定する手法を提案する.まず, 目や口といった顔要素の候補を抽出し, 各顔要素らしさを計算する.次に, 顔としての幾何学的位置関係を満たしている顔要素の候補の組合せを顔として検出する.しかし, さまざま顔の大きさや方向を考慮する必要があるのでその組合せの数は膨大になる.そこで, その組合せの数を減らすために, 一般化ハフ変換により顔の候補領域の位置と大きさを限定する.その後, 確率の更新方法と効率的な顔検出を行なうために顔要素の候補間の影響の計算を修正した弛緩法を顔の各候補領域に適用する.顔を検出した後, 顔の輪郭に対する両目の位置によりその顔の方向を推定する.
著者
荒木 シゲル
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.14, pp.37-42, 2008-02-18

講演者がCGキャラクターアニメーション製作のスキルアップのために10年来実施してきた、パントマイム(フィジカルシアター)ワークショップについて紹介する。参加者は実際に体を動かして演技を習得することで、生き生きとしたキャラクターを生み出すスキルを習得する。The seminar introduces the Physical Theatre workshop which the speaker has been giving to Game/CG creators in last 10 years. On the workshop, participants are requested to use their body to learn acting and mime technique, for the purpose of improving the skills for creating attractive characters.
著者
荒木 琢也 柘植 喜治 佐藤 公信 清水 忠男
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.45, pp.314-315, 1998-10-30

The purpose of this study is to planning at water park where to touch water more simply , more delightful for making the opportunity with the people think about water once more. The water park is developed on the route in the city place to access simpler. The invenstigation at some water parks shows that the people are interested in moving water. The people don't try to touch the water which doesn't have a movement even if it is clean. Then we planned the water park that considered the movement of water.
著者
荒木 淳子 高橋 薫 佐藤 朝美
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47105, (Released:2024-04-05)
参考文献数
25

本研究の目的は,高等学校で探究学習を行った経験と大学での学び,キャリア探索との関連を明らかにすることである.全国の4年制大学1,2年生を対象にWebアンケート調査を実施し,高等学校での探究型授業経験と,大学でのキャリア探索,授業プロセス・パフォーマンス,ライフキャリア・レジリエンスとの関連を調べた.255名の回答を分析した結果,高校時代にSGH/SSHともに経験した回答者は環境探索の得点が有意に高く,SGH/SSHともに経験した回答者とその他の探究型授業をした回答者は探究型授業経験のない回答者よりも自己探索の得点が有意に高かった.一方,主体的な学習態度である授業プロセス・パフォーマンス,ライフキャリア・レジリエンスに有意な差は見られなかった.
著者
翁長 麻美子 井山 淳 上田 敏之 荒木 敏弘 キュリエ ピエール デュモン アレキサンダー ルー チェンフェイ 井上 雅夫
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.699-704, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
10

3次元要素によるスポット打点のモデル化は,破断現象を高い精度で再現することが可能だが,その計算コストのため車両開発への適用は困難であった.本報は,高精度スポットモデルの車両開発への適用を目的に,要素数合理化と自動生成手法の開発を行い,車両衝突CAEの破断現象再現性について述べるものである.
著者
倉田 賢生 井上 昇 近藤 聡子 斧沢 京子 谷 直樹 南 順也 大石 涼 長野 祐久 荒木 弘 桑野 博行 福岡市民病院COVID-19ワクチンワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.65-73, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

本研究は,トジナメラン被接種者に出現した副反応の経日的な調査,および副反応の出現率に影響する共変量の探索を目的とした.2021年3月から4月において,福岡市民病院にて本ワクチンが接種された職員を対象に,注射部位および全身の副反応(13項目)を接種当日(day 1),day 2,day 3,day 4,およびday 5以降ごとに調査した.副反応の出現率は,ほとんどがday2において最高値を認めた.1回目接種後(および2回目接種後)のday2での出現率は,注射部位の疼痛が86.0%(86.9%),倦怠感が33.2%(76.9%),頭痛が14.3%(56.9%),筋肉痛が37.0%(57.2%),発熱が5.2%(51.1%),および関節痛が9.3%(43.9%)であった.2回目接種後は1回目と比較して副反応が遷延する頻度,および中等度以上の副反応(疼痛,腫脹,皮疹を除く)が出現した被接種者の割合がそれぞれ有意に高かった.各副反応の出現率に性差,年齢差,および接種回数による差のいずれかが存在することが認められた.特に全身倦怠感および頭痛の出現率は,女性,55歳以下の年齢および2回目接種のすべてにおいて有意に増加した.女性および2回目接種は,影響する副反応の出現率の上昇のみをもたらす共変量であった.本ワクチンの副反応の出現率は,2回目接種翌日における女性および55歳以下の被接種者において高いことが示された.本研究結果は,本ワクチン被接種者の副反応の予測,および接種日の設定の際に有用であると考えられる.
著者
藤岡 真生 切原 賢治 越山 太輔 多田 真理子 臼井 香 荒木 剛 笠井 清登
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.662-669, 2020-12-01 (Released:2020-12-14)
参考文献数
49

事象関連電位の一成分であるミスマッチ陰性電位 (MMN, mismatch negativity) の振幅が慢性期の統合失調症で減衰することはよく知られている。その神経基盤はまだ十分に明らかではないが, 統合失調症の早期段階でもMMN振幅が減衰することや, 認知機能および機能的アウトカムとの関係や予後予測における特性が刺激提示条件によって異なることなどがわかってきている。MMNはヒト以外の動物でも測定できるトランスレータブルなバイオマーカーであるため, 統合失調症早期段階におけるMMN研究は, 病態生理の解明と早期支援に寄与すると期待される。そこで本稿では, 精神病発症ハイリスク (UHR, ultra-high risk for psychosis) や初回エピソード精神病/統合失調症といった統合失調症早期段階のMMN研究について, MMNの進行性変化, 認知機能や機能的アウトカムとの関連, 病態生理, UHRの予後予測という視点から, さらには刺激条件の違いに着目して概説した。
著者
荒木 貴代 佐藤 敏 川上 哲史 岡本 果南 小幡 弓真 近藤 剛規 高島 幹展 真田 祥太朗 村上 弘城 出口 智宙 高瀬 恒信
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.380-385, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
20

肋骨骨折端によって遅発性に気胸を繰り返した胸部外傷の1手術例を経験したので報告する. 症例は38歳男性. 転落事故による右第7-11肋骨骨折で安静入院した. 肝損傷, 右副腎損傷は保存的に軽快したが, 第9病日, 遅発性に右気胸を生じ胸腔ドレナージを要した. 気胸は改善し外来通院していたが, 第75病日, 第97病日と右気胸を繰り返した. 右第9肋骨骨折端による肺損傷・気胸と判断し, 第111病日に胸腔鏡補助下肋骨骨折端摘除術を行った. 下位・浮肋骨骨折では, 肋骨骨折端が(1)鋭利な形状, (2)胸腔内臓器と接する, (3)胸壁接線に対する鋭角が25度以上である場合は, 予防的摘除を含めた積極的治療を考慮してもよい.
著者
市川 隆一 氏原 秀樹 田尻 拓也 荒木 健太郎 藤田 実季子 太田 雄策
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

顕著な積乱雲発達時や線状降水帯下での豪雨リスク等、気象ジオハザード(Geohazard)軽減を目指して、地球の中性大気中の水蒸気の3次元構造を精度良くかつリアルタイムに把握・監視する技術の確立を目指す。具体的には、約1kmメッシュの多点稠密GNSS(全地球測位衛星システム)観測網と新開発の機動観測型超広帯域マイクロ波放射計等から得られた水蒸気情報に基づいて水蒸気トモグラフィー解析を行い、これを踏まえて高時空分解能で水蒸気の動態予測手法を向上させ、気象ジオハザード軽減に資する、豪雨発生の2時間ないし3時間前からの積乱雲の発生・発達を予測可能な手法の構築を目指す。
著者
市川 朝子 荒木 千佳子 中島 利誠 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.894-900, 1992-10-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ゼラチン濃度2~5%,アスコルビン酸およびりんご酸2%水溶液中へ分子量の異なる4種類のキトサン(A:分子量20~30万, B: 4~6万, C: 1~3万, D:約2000)を0.25~1%濃度で添加し,調製したゲルについて,強度や保水性の物性変化を検討した.(1) ゲルの破断応力-破断歪に対して,ゼラチン濃度と共にキトサンの種類の影響が明らかにされ,分子量の小さいキトサンDの添加の場合に,両者の物性パラメーター値が共に増大し,ゼラチンーキトサン間の相互作用により,強靭なゲルを形成することを示唆した.(2) ゼラチン2%でアスコルビン酸溶液を用いて調製したゲルのクリープ測定による粘弾性の解析で,添加量の増大に伴い,キトサンAでは弾性率の上昇傾向を,一方,キトサンB, CおよびDでは粘性率の低下傾向を示した.(3) ゲルの離漿率に関しては,キトサンの種類として分子量の大きいものほど低減の効果がみられ,ゼラチン濃度5%でキトサンA 1%をアスコルビン酸溶液に加えた場合には,離漿率は約1%まで抑えられた.
著者
梶川 翔平 荒木 聖人 渡辺 雅人 崩岡 久敏 土屋 昭則 久保木 孝
出版者
一般社団法人 日本塑性加工学会
雑誌
塑性と加工 (ISSN:00381586)
巻号頁・発行日
vol.64, no.750, pp.123-128, 2023 (Released:2023-07-25)
参考文献数
15

The small diameter bending of thin-walled copper tubes which are used for heat exchanger is desired to reduce the size and weight of products. In this study, a series of experiments were conducted to investigate appropriate tool shapes, such as that of a mandrel, for preventing wrinkling, cracking and flattening in rotary draw bending. A C1220 tube with a diameter of 7 mm and a thickness of 0.21 mm was used in the experiments. The bending radius was twice the tube diameter. Plug and ball mandrels were used. The effects of the mandrel position, the mandrel shape, and the clearance between the tube and the mandrel were investigated. As a result, moving the mandrel position forward prevented wrinkling and flattening, but moving the mandrel position excessively caused cracking. The mandrel position at which the wrinkle and crack occurred varied depending on the mandrel shape and clearance. By optimizing the tool shape, wrinkling and cracking were prevented, and flatness was reduced to less than 15% for the plug mandrel and 5% for the ball mandrel.
著者
水野 毅 荒木 獻次
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.1145-1151, 1996-08-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10
被引用文献数
9 10

A new type of mass-measurement system under weightless conditions is proposed which uses a dynamic vibration absorber as a measuring device. In this system, an object to be measured is fixed to a rotating table (rotor) at a distance from the rotational axis. Since it makes the rotor unbalanced, a centrifugal force whose amplitude is proportional to the mass is generated during rotation. It works as a harmonic excitation and forces a structure supporting the table to vibrate. However, a dynamic vibration absorber attached to the structure is tuned or controlled to reduce the vibration to zero. When the structure does not move at all, the absorber mass vibrates in such a way that the product of the mass and the displacement amplitude is equal to the amount of unbalance, that is, the product of the mass to be measured and its distance from the rotational axis. Therefore, the mass of the object is determined by measuring the displacement amplitude of the absorber mass. In this study, the principles and features of the proposed mass-measurement system are investigated. Experiments are carried out with a developed apparatus having an active dynamic vibration absorber. This apparatus can perform measurement at various rotational speeds because the absorber's natural frequency can be easily tuned by a feedback parameter. Experimental results demonstrate the feasibility of the proposed mass-measurement system.
著者
荒木 匠平 小村 亜唯子 平井 裕久
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.15-26, 2022-04-15 (Released:2022-05-15)
参考文献数
21

国内旅行情報サイトを分析対象として,ホテルの口コミに対してテキストマイニングを行い,口コミ内容とランキングとの関係を明らかにすることを目的とする.そのために,口コミの文章データに対してLDA(Latent Dirichlet Allocation)モデルに基づく潜在意味解析を行い,口コミ内容に関する変数(トピック指数)を作成した.そして,トピック指数を説明変数,ランキングを目的変数とする重回帰分析を行った.結果として,口コミデータから3つの内容(風呂・温泉,清潔さ,ウイルス感染対策,スタッフ対応,家族との食事)が抽出され,それを基に5つのトピック指数を作成した.そして,ランキングに対して,「ウイルス感染対策」「スタッフ対応」「家族との食事」のトピック指数が統計的に有意な正の影響があることを明らかにした.
著者
新堀 有佳 安川 生太 荒木 聡子 鈴木 梢 水野 智仁 高橋 紘子 古殿 孝高 稲川 利光 渋谷 祐子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.599-606, 2014 (Released:2014-10-28)
参考文献数
17
被引用文献数
4

透析患者が高齢化し透析期間が長期化する中で, 透析患者の日常生活動作の維持は重要な課題である. 今回われわれは, 維持透析患者に対しセルフエクササイズ形式のresistance exerciseによる透析中の運動療法を考案し, その効果を検討した. 透析中の血行動態が安定している当院外来透析患者を対象に運動療法を施行し, そのうち運動療法開始後6か月経過した9例を対象に解析を行った. 右大胸筋筋力・右大腿四頭筋筋力ともに有意差をもって増強を認め, また運動機能評価では速歩でのTimed “Up and Go” test (TUG), 普通歩行速度・最大歩行速度・30秒立ち座り・5回立ち座りで有意差をもって改善を認めた. 筋力増強や運動機能評価の改善を認め, 当院で施行した運動プログラムは有用であると考えられた.
著者
名和 弘幸 山内 香代子 栁瀬 博 岡本 卓真 松野 智子 荒木 麻美 堀部 森崇 藤井 美樹 外山 敬久 藤原 琢也 後藤 滋巳 福田 理
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.426-431, 2016 (Released:2017-06-30)
参考文献数
14

上顎第二乳臼歯の晩期残存と上顎第二小臼歯の異所萌出,上顎前突を呈する11歳9カ月の自閉スペクトラム症男児の治療について報告する.患者の発達指数は,遠城寺式・乳幼児分析発達検査においてDQ:59で,歯科治療に対する協力性は比較的良好であった.患児は5歳11カ月から医療福祉センターの歯科にて,歯科治療への適応向上のために定期的な口腔衛生管理を受けていた.最初の治療計画として,口腔衛生管理のため上顎第二小臼歯を正しい位置へ移動することとした.初期治療が問題なく完了し,患者が矯正歯科治療を希望した場合,上顎前突の治療のために矯正歯科を紹介する予定とした.スプリントを作製し,患者が口腔内に装置を装着できるかどうか確認するため,自宅で装着するように指示した.3カ月後,スプリントの着用時間が長くなったので,固定式矯正装置を作製し口腔内に装着した.7カ月後,上顎第二小臼歯は歯列に移動して,口腔衛生管理が行いやすくなったので,装置を取り外した.咬合誘導は良好な結果であり,患者と両親は上顎前突の改善も希望したので,矯正歯科へ依頼をした.矯正歯科受診時の患者の暦年齢および精神年齢は13歳0カ月と7歳8カ月であった.この症例報告より歯科治療への適応向上ができた自閉スペクトラム症児は,矯正歯科治療を始められる可能性が示唆された.
著者
荒木 一視
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.44-65, 2016 (Released:2018-01-31)
参考文献数
30
被引用文献数
1 12

戦間期の日本とその植民地の食料供給がどのようにして支えられたのかという問題意識から,朝鮮に仕向けられた大量の満洲粟に着目し,当時の東アジアの食料貿易の一端を明らかにした。具体的には朝鮮・満洲間の主要貿易港である新義州税関の資料を用い,食料貿易の地理的パターンを描き出した。その結果,魚類や果実類,米,大豆と比べて粟が特徴的なパターンを有していることが明らかになった。すなわち,前者が主要な産地から主要な消費地である大都市に向けて仕出されるのに対し,後者は朝鮮各地に少量が仕向けられ,農村の需要に対応したものと考えられる。仕出地,仕向地の地域的な検討からは,日本の影響の強い満洲南部からの仕出,従来から粟の卓越する朝鮮北部向けの仕向という性格が認められた。特に朝鮮北部の仕向の多い地域は,当該期間に米の生産を伸ばした地域でもあり,春窮農家の相対的に少ない地域でもあった。以上から,戦間期に目指された植民地を含めた帝国の領域内での食料自給体制は,決して完全なものではなかったといえる。米に限れば自給体制は整えられたが,それを支える米以外の穀物自給は決して域内で完結していなかったのである。それは米以外の多くの穀物を海外に依存する今日の日本の穀物供給体制を考える上でも,重要な示唆に富む。
著者
荒木 康弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.842-846, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
10

我が国において承認された新型コロナウイルスワクチン、「コミナティ筋注」(製造販売業者はファイザー)、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」(武田薬品工業)及び「バキスゼブリア筋注」(アストラゼネカ)の使用方法、有効性・安全性について整理し、各剤の理解増進に資する。
著者
高松 雅彦 荒木 健治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2010-NL-195, no.9, pp.1-7, 2010-01-21

本研究では,ユーザにとってオンラインゲームの対話文内において未知語となる語の情報抽出を行う.オンラインゲーム上の対話文には,未知語,インターネット用語,スラングなどが多く含まれるため,新たにゲームを始めるユーザにとって発話内容の意図が理解しにくく,コミュニケーションが阻害される原因となる.そこで本稿では,ユーザが指定する任意の語について関連語とその語意をチャットログ内とWebから抽出し,ユーザに提示することでユーザ間のコミュニケーション支援を可能とするシステムを提案する.実験の結果,ユーザの発話内容の理解度の大幅な向上が見られ,支援システムとしての有効性を明らかにした.
著者
山川 裕也 荒木 健治
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.1(2004-NL-165), pp.45-51, 2005-01-12

近年,ペットが人間にとって重要な役割を担うようになってきており,ペットに関連する様々な技術が研究されている.動物の言語についての研究も行われており,飼い主が考える動物の意思を人間の言語で表現することによって,動物とのより良い信頼関係が築けると考えられる.そこで,我々はこれまでペットとして飼育される動物を対象とした対話処理手法を提案している.本手法では,人間の発話と動物の反応を一組の入力として,出力となる飼い主が考える動物の意思を言語で表現する.入力と出力の組から応答規則を獲得する方法として帰納的学習を用いる.本稿では,評価実験を行った結果から提案した手法の有効性と,これまで1 人であった被験者を増やし,複数の被験者による性能の評価について述べる.
著者
中村 充 水上 優子 青木 法明 梅本 貴之 日渡 美世 池田 達哉 荒木 悦子 船生 岳人 加藤 満 城田 雅毅
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.126-135, 2014 (Released:2014-04-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

米の澱粉組成タイプとその製粉特性および吸水特性との関係を解明するために,澱粉組成が異なる 「日本晴」 の準同質遺伝子系統を含む水稲27品種・系統の澱粉組成と製粉特性の米粉粒径,澱粉損傷度,米粉および精米の吸水性を調査し,さらに胚乳細胞組織の形態との関係を検討した.その結果,澱粉組成はDNAマーカー分析も併用して,アミロペクチン超長鎖比率による3タイプ(K,H,Y)と短鎖比率による2タイプ(S,L)の組合せから,KS,KL,HS,HL,YS,YL の6グループに大別された.米粉粒径中央値はアミロペクチン超長鎖比率の低いKタイプが,同比率の高いYタイプより有意に大きく,同比率が米粉粒径に関連していた.澱粉損傷度はYL<(HL,YS)<(KS,HS)のタイプ間で有意差が認められ,アミロペクチン短鎖比率が低くアミロペクチン超長鎖比率が高いと,澱粉損傷度が低くなることが明らかとなった.米粉の飽和吸水率は澱粉損傷度と正の相関があるだけではなく,アミロース含有率と負の相関のあることが精米の吸水性から確認された.澱粉組成の異なる「日本晴」の準同質遺伝子系統(KL,HS,HLタイプ)の玄米白色度を調査し,胚乳細胞組織の形態を走査型電子顕微鏡で観察したところ,KLおよびHLタイプの玄米白色度が高く,アミロプラストや澱粉粒の形態がタイプ間で異なっていた.このため,澱粉組成タイプによって澱粉の蓄積様式が異なり,それが製粉特性に影響している可能性が示唆された.