著者
荒木 望嗣 中津井 雅彦 広川 貴次 金井 千里 佐藤 美和 岡本 敦之 服部 一成 志水 隆一 奥野 恭史
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.12-13, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
2

創薬プロセスの初期段階において、医薬品候補化合物を効率的に探索して構造最適化するためのインシリコ創薬技術が求められている。本研究では、スパコン「京」を用いることで、世界最大規模の化合物-タンパク質相互作用空間における超高速かつ高精度な医薬品候補探索を実現するための「インシリコ創薬基盤」を構築し、創薬現場での実践的利用を目指している。現在までに我々は、CGBVS法(Chemical Genomics-based Virtual Screening method)を「京」に実装・チューニング することで、膨大な化合物空間と多数の創薬標的タンパク質候補との大規模相互作用の高速予測を可能にした。更にMP-CAFEE法(Massively Parallel Computation of Absolute binding Free Energy method)を「京」に実装することで、タ ンパク質と化合物との結合自由エネルギー(結合親和性)の高精度予測を可能にした。本発表では当該プロジェクトの取り組み状況と現在までの成果について紹介する。
著者
神庭 純子 藤生 君江 吉川 一枝 山口 明子 中野 照代 荒木田 美香子 仲村 秀子 山名 れい子
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.47-53, 2007

乳幼児健診の場を育児支援の機会としてとらえ,継続的なフォローアップを行うことが求められている。そこで,育児機能アセスメントッール(PAFFAT. ver. II)を用いた調査を行い3歳児健診における要経過観察群(92名)と非経過観察群(332名)を対象として育児機能の比較を行った。その結果,要経過観察群と非経過観察群において有意な差がみられた項目は4項目であった。家族の情緒機能における「家庭内の重要な決定をするのに家族がいてくれてよかったと思う」,家族の健康機能(遊び)における「子どもを友達と遊ばせている」,家族の教育的機能における「弱い人や動物を大事にするように話している」,育児満足感における「子どもを授かってよかったと思う」の各項目において,要経過観察群の方に否定的な回答が多くみられた。また,母親の経過観察が特に必要であると判断された群では,育児負担感因子4項目において育児機能の低下がみられ,育児負担感を強く感じているという結果であった。要経過観察群の育児機能の特徴をふまえて,健診後の継続的な育児支援をしていくことが重要である。
著者
磯崎 篤則 大橋 たみえ 石津 恵津子 廣瀬 晃子 岩田 幸子 可児 瑞夫 可児 徳子 小出 雅彦 小澤 亨司 飯野 新太郎 徳本 龍弘 米永 哲朗 福井 正人 徳竹 宏保 佐久間 尚文 山田 小枝子 荒木 美穂 平井 直美 南方 千恵美 中嶋 さつき
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.89-98, 2004-11-20

我々は瑞穂市において1970年から歯科保健活動を開始し,活動の一環として1989年より成人式記念歯科健康診査を実施している.今回はこの結果を総体的に通観し,フッ化物洗口法を中心とした歯科保健プログラム終了後のう蝕予防効果の持続性を検討した.フッ化物洗口法を中心とした歯科保健プログラム実施群(以下F群)と歯科疾患実態調査(以下実調)との比較では,20歳のDMFT indexがF群男性4.81,女性6.04に対して,'87実調値は11.06, 10.33を示し,明らかにF群で低く,歯科保健プログラム終了後のう蝕予防効果の持続性を認めた。F群と歯学部学生との比較では,う蝕経験のない者(caries-free), DMF者率,DMFT index, DMFS index,歯種別DMFT率および経済効果のいずれにおいても明らかなう蝕予防効果の持続性を認めた。以上より小学校においてフッ化物洗口法を中心とした歯科保健プログラムを実施することにより,終了8年後においても高いう蝕予防効果の持続性を認めた.また,低濃度(100〜500ppm)のフッ化物溶液を用いた洗口法(週5回法)を小学校において実施することは有効であると考えられる.
著者
小西 秀和 荒木 孝二 砂川 光宏 高瀬 浩造 加藤 熈
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.455-465, 2007-08-31
被引用文献数
11

近年,多くの医療機関において「院内感染」という病院内の安全管理に支障をきたす事態が多数発生しており,一般開業歯科診療所や病院歯科においても例外ではない.そこで本研究では,日常的な歯科臨床を実践するうえで,歯科医師会に属する歯科医師の院内感染予防対策意識の現状を明らかにすることを目的とした.山口県内の歯科医師(歯科医師会会員)744名に対して,感染予防対策に関するアンケート調査を実施したが,その設問内容は,対象とした歯科医師の年齢層,日常的な歯科臨床での感染予防対策などの12項目とした.回収したアンケートを集計し,Spearman ρ相関分析にて統計学的分析を行って,各設問回答間の相関程度など歯科医師の感染予防対策意識の現状を検索した結果,次のことが明らかとなった.1. 感染予防対策のアンケート回収率は24.2%であった.代表的な設問での最高の回答率の選択肢を列挙すると,ユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度は「全く知らない」(43%),帽子やプラスチックエプロンなどの着用は「ほとんど着用しない」(62%)など,本調査時点で多くの歯科医師が万全な感染予防対策を実践していない可能性が考えられた.2. しかし,手洗いの方法は「日常手洗いと衛生的手洗い」(61%),ウイルス性肝炎患者の歯科診療は「診療を行っている」(95%)など,感染予防対策の重要性を認識している歯科医師は比較的多いと思われた.3. 相関分析の結果,歯科医師の年齢が若いほど,帽子やブラスチックエプロンなどの着用には消極的であるが,グローブの着用交換,ウイルス性肝炎患者の歯科診療を積極的に行っている可能性が高いこと,またユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度が高いほど,グローブの着用交換,帽子やプラスチックエプロンなどの着用,エイズ・結核患者来院時の対応,診療時の飛沫粉塵対策を積極的に行っている可能性が高いことが,有意に示された.以上の結果から,改正感染症法の施行に伴い,今後歯科医師へ院内感染予防対策の啓蒙や研修の機会を増やし,国際歯科連盟(FDI)の声明や米国疾病管理予防センター(CDC)ガイドラインなどに示された具体的な感染予防対策の普及促進が実現すれば,各自の歯科診療室を衛生的で快適な診療環境に整備できると考えられる.
著者
荒木 孝治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.261-266, 2013-05-01

1996年, Tibshiraniは,線形回帰分析において最小2乗法にl_1罰則を課す回帰母数の推定法であるlassoを提案した.これは,変数選択と回帰母数の推定を同時に行うもので,これに触発され,以降,さまざまな手法が提案されてきた.本稿では,罰則付き回帰の近年の展開を,データ解析環境Rへの実装の関連で報告する.
著者
田中 守 末丸 克矢 荒木 博陽
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.318-323, 2007 (Released:2008-06-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4 2

Evidence-based medicine (EBM) is considered to be an important approach in making clinical decisions regarding the care of individual patients. We conducted a drug information training program applying EBM principles (EBM practice) as part of the hospital practical training curriculum for fourth-year undergraduates at Ehime University Medical School, and describe the EBM practice and its evaluation by students in the present report. In the EBM practice, students received two lectures and training on providing drug information using the EBM approach. We gave students a specific question, which required them to read clinical research articles (meta-analysis or randomized controlled study) in order to answer it.The training program consisted of 5 steps : STEP 1 Defining the specific question that needs to be answered ; STEP 2 Finding the best evidence to answer the question ; STEP 3 Critically evaluating the evidence to assess its validity and usefulness ; STEP 4 Applying the results of the critical evaluation in practice ; STEP 5 Presentation of drug information and discussion.After the training, we asked participating students to complete a questionnaire regarding their opinions of the training program and lectures. Almost all of the students felt satisfied with the EBM practice because it enabled them to enhance their understanding of the EBM process. Our findings suggested that the EBM practice was a useful training program for students.
著者
荒木 正見
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-11, 2005-03-01

この論文は、三浦綾子「夢幾夜」における「合唱の夢」(筆者による仮称)について、夢解釈の手法で解釈する試みである。この「合唱の夢」の構造を確認すると場面は二段階に進行する。一段階目は見知らぬ男から丁寧かつあつかましい手紙が来てやがて彼が登場するところまでである。第二段階目になると花火が上がって教会堂は万国旗で飾られている。すると合唱が天の一角から響く。はじめ「天に栄光、地に平和」といっていたのが、やがて「天に平和、地に平和」と変わり人々は和する。自分は「天国に行っても、平和を叫ばなければならないのか。」と落胆する。二つの段落は共時的に結びついている。特に音楽という、意識無意識の全体を象徴する場面では真の気持ちが語られる。そのように考えれば、見知らぬ男はイエス・キリストであり、さらに作者の他の作品などを参考にすれば、この夢はいつまでも平和が来ないと神に救いを求めるという潜在意識を意味しているといえる。
著者
近藤博人 松本 隆一 柴山 守 山田 奨治 荒木 義彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.6, pp.1-8, 2003-01-24
被引用文献数
8

古文書画像を対象にした翻刻支援システムの構築を行っている。本稿では、文字認識の対象となる標題画像の射影ヒストグラムから推定した探索範囲に対して、文字パターン辞書から取り出した文字パターンを探索範囲内の最大文字幅で正規化しテンプレートとしてマッチングを行う、切り出しを前提としない認識手法について述べる。本手法を用いた実験では、近世の借金等証文類を中心にした『伏見屋善兵衛文書』(約1 900点、大阪市立大学所蔵)から200標題(及び、辞書に存在しない文字、又はサンプル数の少ない文字が含まれる標題を除く151標題)を対象として認識実験を行い、翻刻結果とする候補文字の抽出を行った。結果は、認識後の候補文字の抽出における認識率は、59.5%(69.7%)の結果であった。そこで設定に失敗した探索範囲を分析し、文字パターン辞書に含まれる特異な形状をもつ文字種に対する正規化、および先頭文字における適切な探索範囲を再設定する改良によって、候補文字の抽出においては70.4%(83.1%)の結果が得られた。We have developed a transliteration assisting system which recognizes the character in the document written by calligraphic brush in the historical materials.This paper describes new recognizing scheme which tries to recognize the character without segmentation in the search area estimated from the projection histogram in a title image. A template image, which is a character pattern image extracted from the character pattern dictionary, before template-matching is normalized to be adjusted to a width of character pattern in the searching area after extracting from the dictionary. In an experiment for recognizing 200 titles(151 titles for eliminating them with few character patterns in the dictionary) in the Fushimiya Document, the recognizing rate was 59.5%(69.7%). Furthermore, in the experiment by improving the appropriate normalization for some characters with special shape, and the connection for joining divided searching areas at first character in title image, the result of the recognizing rate was 70.4%(83.1%).
著者
荒木 典子
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2008

制度:新 ; 報告番号:甲2705号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2008/11/19 ; 早大学位記番号:新4886
著者
荒木 令江
出版者
熊本大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

近年、虚血性ストレスによる脳神経系の組織障害が問題となっている。我々は、急性・慢性的な虚血や癲痛性発作等における局所的な脳組織障害の発生に、p53分子を介する脳神経特異的な細胞死へのシグナルが大きく関与していることを明らかにした。本研究では、虚血性ストレスによる脳神経組織障害発生のメカニズムを解明する一つの手段として、p53遺伝子ノックアウトマウスを用いて、虚血性神経細胞死の誘導と、脳神経組織・細胞内のp53の動態、及びp53有無に付随して発現や機能を調節されるシグナルネットワークに関わる分子群を検索/同定し、これらのタンパク質レベルでの構造と機能解析を行い、p53を介して誘導される脳神経細胞死に関連するシグナル分子の検索を行った。p53正常(+/+),ノックアウト(-/-)マウスの総頸動脈結紮による海馬・線条体神経細胞の再現性のある虚血性遅延障害モデルを開発し、各脳組織・細胞のプロテオーム及びトランスクリプトーム解析の方法論を確立した。プロテオミクス融合解析法は、2種類(2D-DIGE法・iTRAQ/cICAT法)のproteomic differential display法を同時進行で行うとともに、DNAチップによるmRNA発現差異解析を行った。現在までに、2D-DIGE法においては、約4000個の全蛋白質から213個の特異的な蛋白質(p53遺伝子の有無に関わる93個、虚血性アポトーシスに関わる53個、p53およびアポトーシス両者が特異的に関わる39個)が検出された。又、iTRAQ/cICAT法による解析においては297個の特異的な蛋白質がp53およびアポトーシスに関わる分子として同定された。さらに、DNAチップ法によって特異的に変動する分子群合計294個(上昇195,減少79)をプロテオミクスの結果と融合させ、これらの結果をシグナルネットワーク解析ソフトに供与して特異的p53依存性のアポトーシスシグナル経路を抽出したところ、caspase9を介したアポトーシス経路に加え、レドックス関連因子群、notch,wint,cadherin,IF等の関与するシグナル系がユニークな経路として検出された。本研究によってp53及び関連分子の神経細胞死に関わるシグナル伝達機構の一旦が明かになり、これらの分子シグナルの活性を調節する薬剤やターゲット分子が、脳神経系組織障害の予防や治療へ応用できる可能性が示唆された。
著者
本田 彰子 正野 逸子 炭谷 靖子 荒木 晴美 赤沼 智子 栗本 一美 菊池 和子 王 麗華 上野 まり 平山 香代子 土平 俊子 川上 理子 藤本 奈緒子 安岡 しずか
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、訪問看護師の継続学習と在宅看護学実習における連携融合教育-学習プログラムを開発し、訪問看護事業所と看護基礎教育機関とのユニフィケーションを推進することを目的に実施した。前半では、連携融合教育-学習プログラムに向けて、訪問看護事業所管理者、在宅看護学担当教員に対する学習支援の実態とニーズの質問紙調査、ヒアリング調査を実施した。後半は、連携融合教育-学習プログラムのモデルにつながる研究交流集会、ワークショップを企画実施した。
著者
荒木 慎一郎
出版者
長崎純心大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は教育基本法の教育目的観を、その立案者である田中耕太郎の人格概念に遡って明らかにすることを目的とした。本研究の結果として、先行研究に加えられた知見は次の三点である。第一は田中の教育目的観の出発点が、東京帝国大学法学部長として新入生歓迎講話で述べた人間・政治の究極目的としての「道徳的人格の完成」にあることを明らかにしたことである。第二に、田中の「道徳的人格の完成」に至るまでの思想の変遷を、とくに田中の青年期から出発して、跡づけたことである。田中の青年期の思想をこれまで一般に知られてこなかった二資料、大学時代に友人と翻訳出版した『生ひ立ちの記』、および無教会主義時代に内村鑑三のもとで行った講演「律法の成就」を用いて明らかにしたことはその成果の一端である。第三に、研究の最大の成果は、田中の人格概念がフランスのトマス主義哲学者、ジャック・マリタンの人格理論に大きく依拠していることを実証的かつ論理的に明らかにすることができた点にある。第二次大戦以前から戦後文部大臣を辞任するまで、田中は公に一度もマリタンの名前に言及したことがなく、これまで、教育基本法制定以前の田中とマリタンの関係を主張するには、戦後に書かれた田中の回想、状況証拠および両者の思想の内的関連に基づくよりほかなかった。本研究の結果、フランス・コルプスハイムにあるマリタンの研究センターに、1931年に田中からマリタンに宛てられた手紙が保存されていることが判明した。この手紙には田中がマリタンを知るに至った経緯、マリタンに対する評価、カトリシズムの思想家田中の抱負などが記されており、マリタンの人格理論が田中に与えた影響を実証的に明らかにする上で最大の根拠となった。