著者
冨士田 益久 木原 秀文 藤本 嘉治 吉田 裕 三吉 一子 米虫 和子
出版者
Japanese Society of Gerodontology
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.250-257, 1996

大阪市では在宅寝たきり高齢者の歯科保健対策について調査研究を行うため, 訪問診査を実施している.1993年 (平成5年) 1月から3月まで大阪市内4区 (東部-城東区, 西部-大正区, 南部-東住吉区, 北部-東淀川区) に居住する65歳以上の在宅寝たきり高齢者の歯科保健の実態とニーズを調査し, その概要を把握した.それに基づき, 大阪市東淀川区歯科医師会では1994年 (平成6年) 6月1日より大阪市からポータブル歯科診療器具の貸与を受け, 実際の訪問歯科診療を行っている.今回, 大阪市4区の訪問診査の結果を報告すると共に, 現在実施している大阪市東淀川区の在宅寝たきり高齢者訪問歯科診療について報告する.<BR>訪問診査の調査対象者は, 大阪市環境保健協会訪問指導員による訪問指導を受けている者のうち厚生省寝たきり度判定基準B, Cランクに属し, 65歳以上で, 上記4区に居住し, 訪問診査を希望する者で, 総計52名に実施した.そのうち歯科診療を希望する者が26名 (50.0%) あり, 診査に当たった歯科医師は, 29名 (55.8%) に歯科診療の必要性を認めた.また, 1994年6月1日から1995年3月31日までの間に大阪市東淀川区で実施した訪問歯科診療の件数は, 8名で, 延べ訪問回数は55回であった.<BR>これらの結果から, 在宅寝たきり高齢者の口腔内の状態の改善と向上を図り, 歯科保健指導ならびに訪問歯科診療の推進が必要であり, それらを整備し, 充実することは, 在宅寝たきり高齢者の口腔保健と福祉の向上に有意義であることが示唆された.
著者
土井 幸輝 開発 勇喜 豊田 航 西村 崇宏 藤本 浩志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00470-16-00470, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Tactile characters aid in providing information to visually impaired persons. The Japanese Standards Association enacted basic design methods for embossed tactile patterns in March 2011. However, data on the appropriate size of tactile alphabets are not necessarily enough available. The purpose of this study was to evaluate the influence of the size of a tactile alphabet on identification and to investigate the perceptible size for people without rich tactile experiences. The participants of this study were 15 young people and 15 old people who were unfamiliar with tactile characters intended for visually impaired people. They were asked to discriminate tactile alphabets of six different sizes by using their forefingers without the aid of eyesight. The results showed that the younger and older participants were able to discriminate the presented stimuli faster and more accurately as the stimulus size was increased. Concretely, when the size was 28 mm, each participants regardless of young or older groups could identify the tactile character accurately and quickly. In addition, a trend was seen in that the older group needed larger tactile alphabet sizes than the younger group. We determined the relationship between the tactile alphabet size and discrimination ability of younger and older people without rich tactile experiences.
著者
藤本 学
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1110-1112, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10

皮膚筋炎では,これまで知られていた抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体,抗Mi-2抗体に加えて,近年,抗melanoma differentiation antigen 5抗体,抗transcriptional intermediary factor 1抗体,抗nuclear matrix protein 2抗体などが報告され,その臨床的特徴が明らかになってきた.皮膚筋炎の約80%にいずれかの特異抗体が陽性になることから,本症の診断に有用なツールとなる.さらに,これらの抗体は,合併症や予後の予測や治療方針の決定,疾患活動性の判定にも有用であると考えられる.
著者
永井 昌寛 山本 勝 横山 淳一 藤本 明伸 中島 俊朗
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.239-250, 2002 (Released:2017-08-14)
参考文献数
14

歯科分野においてIT(情報)化の推進を効率よく効果的に進めていくためには,歯科医師のIT化に関する意識を把握し,その状況に応じたIT化を計画的に進めていく必要がある. そこで,本論文では,愛知県の歯科医師に対しIT化に関する意識実態調査を実施し,とくに,情報機器の利用状況,歯科診療所のIT化に関する意識状況,および,歯科医師会事務局のIT化を分析テーマとして今後のIT化に向けて考察を行うとともに,調査結果からシステム工学的な立場でIT化推進に向けての課題を述べている. この調査結果から,①歯科診療所のIT化の必要性の認識は,歯科医師が高齢になるほど低くなる,②歯科診療所のIT化の目的あるいは期待される効果として,サービス内容の充実を重視している,および,③歯科医師会事務局のIT化の必要性の認識は,役員の方が非役員に比べて高い,等がわかった.
著者
坂口 歳斗 土井 幸輝 藤本 浩志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.17-00059-17-00059, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Hardness identification is one of the most important tactile senses in humans. People use their hands in various ways to identify the hardness of an object. For example, acupuncturists identify stiffness in a muscle by pressing down with their forefinger held flat over the affected area. However, experimental evidence for the role of the pressing method in the identification of an object's hardness even when the same finger is used has not been shown yet. In this fundamental study, we investigated the differential threshold of hardness for different finger postures of pressing (pressing down with one's forefinger held “flat” or “vertically”) to determine the relationship between the different finger postures of pressing and hardness identification. We used seven elastic test pieces, each with a different Young's modulus, as the presented stimuli. We conducted an experiment using the constant method to calculate the differential threshold of hardness as a measure of hardness identification. The results showed that the differential threshold of hardness was higher when pressing down with a forefinger held “flat” than when pressing down “vertically” with the same force. This finding will be useful in evaluating the tactile identification of hardness in acupuncturists.
著者
藤本 直浩 原田 修治 日田 官 高橋 康一 松本 哲郎
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

androgen receptor(AR)の転写活性を調節する共役因子、および抗アンドロゲン作用を示すとされる2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)の受容体であるAryl hydrocarbon receptor(AhR)の発現について前立腺癌培養細胞、前立腺組織における発現を調べた。【方法】前立腺癌培養細胞(DU145,PC3,LNCaP,LN-TR2)、針生検または手術(TUR-P)によって得られた前立腺組織(肥大症9例、癌21例)についてRT-PCRを行い、ARA55、ARA54、ARA70、SRC1、TIF2、RAC3、FHL2、AhRの発現を調べた。【結果】ARA54、ARA70、SRC1、RAC3は調べたすべての細胞株で発現していたが、ARA55、TIF2はLNCaP、DU145で発現を認めないか、わずかな発現しか認めず、FHL2はLNCaP、LN-TR2には発現していなかった。前立腺組織に於いてはTIF2,RAC3以外の共役因子は発現しており、ARA55、SRC1はホルモン療法に反応が悪い症例で発現が高かった。AhRはLNCaP、LN-TR2には発現していなかったがDU145、LNCaP、前立腺組織においては発現を認め、その発現量には各検体間で明らかな差はなかった。【結論】共役因子の発現パターンに相違があることから、共役因子の相違が前立腺細胞のアンドロゲンに対する反応性の違いに寄与している可能性が考えられる。また、前立腺におけるAhRの役割に関しては、良性(肥大症)、癌およびその悪性度において明らかな差は見られず、明らかではなかった。
著者
西本 勝夫 中村 昌司 今井 智弘 田中 繁宏 藤本 繁夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.181-187, 1999 (Released:2007-03-29)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

この研究の目的は,老人保健施設に入所中の虚弱な高齢女性20例(非訓練群10例・82.6±4.7歳,訓練群10例・81.3±4.8歳)を対象に,この内,訓練群に対して2ヵ月間の「椅子からの立ち上がり動作」の訓練を行い,その効果を検討することである。非訓練群には有意な変化はなかったが,訓練群では,訓練動作の最大持続時間(314±190→710±326秒),大腿四頭筋の平均トルク値(0.46±0.27→0.78±0.37Nm/Kg)と筋電図積分値(100→146±32%),膝関節伸展のMotorTime(159±30→121±29msec)および6分間歩行距離(159±48→238±59m)が有意に改善した。訓練による変化量であるΔ平均トルク値とΔ筋電図積分値,Δ最大持続時間ならびにΔMotor Timeとの問にそれぞれ有意な相関を示した。また,6分間歩行距離と最大持続時間ならびに平均トルク値との問にも有意な相関を示した。今回の訓練によって,主に大腿四頭筋の神経・筋系の興奮性の改善が筋力や筋持久力を増大し,さらに,筋力の増大が筋の反応性を改善し,これらが歩行能力を増大させたと考えられる。
著者
藤本 鎮也 佐藤 慎一郎 浅岡 祐之 西原 賢 星 文彦
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会
巻号頁・発行日
vol.31, 2012

【目的】<BR>本研究の目的は下部体幹に装着した非拘束慣性センサのデータに基づいて坐位からの歩行動作の相分けを行い,理学療法士の動画観察による相分けと比較し,その妥当性を検証することである。<BR>【方法】<BR>対象は健常若年男性5名(年齢19.5&plusmn;0.5歳)であった。また,評価者として臨床経験年数の異なる理学療法士3名の協力を得た。課題として、肘掛のない椅子の背もたれに軽くもたれた坐位からの歩行動作(Sit-to-walk)を最大速度にて行うよう指示した。慣性センサは,3軸加速度計と3軸角速度計、そして通信用のBluetoothを備えた小型無線ハイブリッドセンサ(WAA-010,ワイヤレステクノロジー社) を使用し,第3腰椎高位の下部体幹に装着し,サンプリング周波数50Hzにて慣性データをパソコン(以下PC)に取り込んだ。同時にPCにUSB接続したWebカメラ(UCAM-DLY300TA,エレコム社)にて側方より動作を録画した。慣性センサデータと動画の同期と取り込みにはSyncRecord Ver.1.0(ATR-Promotions社)を使用した。取り込んだ下部体幹の慣性センサデータの前後方向加速度とPitch方向の角速度変化から運動開始,離殿そして歩き始めの瞬間を特定し出現までの所要時間を算出した。理学療法士の観察による分析は,録画データをPC上で再生し,速度を自由に変えながら3人の理学療法士が運動開始,離殿そして歩き始めを判断し,画面上のタイムコードを読み取り所要時間を計測した。データ解析は,まず理学療法士による分析結果の再テスト法による検者内信頼性および検者間信頼性を検証し,続いて下部体幹センサに基づく結果と理学療法士の分析結果の相関分析を行った。データ処理と解析にはExcel 2010及びSPSS for Win ver.18を使用した。本研究は協力者に研究内容の説明を行い,書面にて同意を得た後、転倒防止や個人情報保護等に配慮しながら行った。<BR>【結果】<BR>理学療法士の分析結果の信頼性は検者内検者間共に高い信頼性を示した(ICC:&rho;=0.99-1.00,p<0.01)。下部体幹装着慣性センサにより特定された全ての結果と理学療法士の分析に基づく結果の間で高い相関が認められた(運動開始r=0.99,離殿r=0.99,歩行開始r=0.99,いずれもp<0.01)。<BR>【考察およびまとめ】<BR>理学療法士の分析結果は,動画の再生速度を変化させながらタイムコードを利用した時間計測を行ったことで信頼性が高まったと思われる。理学療法士の分析結果と下部体幹装着慣性センサの結果が高い相関を示したことは,下部体幹装着慣性センサによる相分けの臨床適用の可能性を示唆するものであると考える。
著者
桂 良寛 吉川 貴仁 上田 真也 臼井 達矢 外林 大輔 坂本 弘 高戸 浩志 砂山 友美 中雄 勇人 藤本 繁夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.505-512, 2010-10-01
参考文献数
43

The purpose of this study was to examine the effects of aquatic exercise training on the trunk muscles function and activities of daily living in abdominal obese women. Nineteen abdominal obese (abdominal circumference: 90 cm or more) and fifteen age-matched non-obese women were recruited as participants in this study. The aquatic exercise training (60 min/day, three days/week for 8 weeks) based on abdominal twists for activating the trunk muscle function. Physical parameters, biochemical characteristics, arteriosclerotic parameters and activities of daily living scores were assessed before and after the training period. In both groups showed abdominal circumference, percent of body fat, blood pressure and lower extremity muscle strength increased significantly after aquatic exercising training. In particular, endurance capacity of abdominal and back muscles increased significantly and activities of daily living scores were significantly improved in the obese group. Moreover, the improvement in the strength of lower extremities and improvement in the activities of daily living scores, such as climbing and descending stairs, in the obese group tended to be higher than non-obese women. Additionally, in abdominal obese group, the amount of the reduction of abdominal circumference was significantly associated with that of the increase in the strength of lower extremities. Taken together, these findings suggest the possibilities that the present aquatic exercise training based on trunk muscle exercise improving the function of trunk and lower extremity muscles with reduction in the abdominal obesity, contributing to improve activities of daily living in abdominal obese women.
著者
高寺 政行 大谷 毅 森川 英明 乾 滋 南澤 孝太 佐藤 哲也 鋤柄 佐千子 大塚 美智子 金 キョンオク 宮武 恵子 松村 嘉之 鈴木 明 韓 載香 柳田 佳子 古川 貴雄 石川 智治 西松 豊典 矢野 海児 松本 陽一 徃住 彰文 濱田 州博 上條 正義 金井 博幸 坂口 明男 森川 陽 池田 和子 鈴木 美和子 北折 貴子 鄭 永娥 藤本 隆宏 正田 康博 山村 貴敬 高橋 正人 中嶋 正之 太田 健一 堀場 洋輔
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

我が国ファッション事業の国際化に寄与する研究を目指し,国際ファッション市場に対応する繊維工学的課題の解決,国際ファッション市場に通用するTPS/テキスタイル提案システムの構築を行った.国際市場に実績ある事業者を対象とし,現場の調査,衣服製作実験,商品の評価を行い我が国との比較を行った.欧州・中国と日本における衣服・テキスタイル設計,評価および事業の違いを明らかにし,事業と技術の課題を明らかにした.デザイナーのテキスタイル選択要件を調査し,テキスタイルの分類法,感性評価値を組み込みTPSを構築した.日欧で評価実験を行い有効性を確認した.また,衣服・テキスタイル設計評価支援の技術的知見を得た.
著者
合川 正幸 藤本 正行 加藤 幾芳
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.E123-E128, 1999-08-20

球状星団中で、他の星とは異なる組成を持つ星が観測されている。その中で、^<24>Mgが減少し、Alが増加しているが、MgとAlの和が一定の星がある。しかし、現在までのデータによる反応率や星のモデルを用いて行なわれた計算では、観測値を説明できず、何らかの補正が必要であることがわかっている。そこで、反応率、あるいは星の構造の修正によって、この問題が解決できるかどうかについて議論をおこなった。
著者
藤本 浩平 市原 孝志 伊東 祐道
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.30, pp.55-67, 2005-03

造林用針葉樹および有用広葉樹を対象としてバイオテクノロジーを用いた保存と増殖技術について検討を行った。スギでは、低温(10℃)で培養することで1継代期間をのばす事ができた。ヒノキの培養法を検討したところ、難易度にクローン間差がみられた。ミツマタの長期培養を検討したところ、継代培養による長期保存が可能であった。長期の継代培養された培養物であっても、発根率には著しい低下はみられなかった。ケヤキの初代培養法を検討したところ、シュート発生率にクローン間差がみられた。ミズメの組織培養法を検討したところ、増殖が可能で発根および順化も比較的容易であったが、成長にクローン間差がみられた。また、継代培養による長期保存が可能であった。組織培養が容易な樹種と困難な樹種があり、クローン間で培養の難易度に差がみられるが、ミツマ夕、ミズメでは継代培養による長期保存や、培養物からの幼植物体の再生が可能であった。