著者
門脇 一真 木村 泰知 加藤 誠 近藤 隆史 乙武 北斗
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.100-105, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

我々は,有価証券報告書(有報)に含まれるさまざまなタイプの表の理解を目的に,表構造解析を行うタスクを計画している.有報にはタクソノミがテキストブロックとして定義された箇所があり,特に非財務情報を表現する表には様々なタイプが含まれる.既存研究を参考に有報の表の各セルをヘッダ,属性,データといったクラスに分類した結果,既存研究で分類された関係表,エンティティ表,行列表などのいずれのパターンにも分類されない複雑な構造の表が見られ,さらにそれらの構造がいくつかのパターンに分類できた.本稿ではまず,各セルの分類方法と,その結果発見された表構造のパターンについて報告する.これらのうちセルが正しく分類できた表については,NTCIR-17 UFOタスクの表データ抽出(TDE)サブタスクでアノテーションデータを公開し,評価型ワークショップとして取り組めるようにする予定である.本稿ではこのタスクのデータ形式,評価方法についても取り上げる.
著者
近藤 隆子 白畑 知彦 須田 孝司 小川 睦美 横田 秀樹
出版者
The Japan Society of English Language Education
雑誌
全国英語教育学会紀要 (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.81-96, 2020-03-31 (Released:2021-04-01)
参考文献数
15

The present study investigates whether adult Japanese learners of English (JLEs) are able to use intransitive and transitive verbs in appropriate structures after a series of instructional sessions, and whether the effect of instruction can be observed with verbs which are not part of instruction. Second language learners have been reported to make errors concerning the structure of verbs. For instance, they tend to overpassivize some intransitive verbs (Hirakawa 1995, Zobl 1989) or use transitive verbs in the intransitive structure (Kondo 2014). In this study, we examine whether explicit instruction can be effective for JLEs to avoid the errors aforementioned, not only with verbs which are explained in instruction but also with those which are not. The results show that in general, the participants improved on their uses of intransitive and transitive verbs after receiving instruction, and interestingly the improvement was observed with both instructed and non-instructed verbs.
著者
秋山 秋梅 細木 彩夏 松井 亜子 橋口 一成 野村 崇治 近藤 隆
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第51回大会
巻号頁・発行日
pp.65, 2008 (Released:2008-10-15)

電離放射線の生体分子に対する作用は、主に、周辺の水分子の放射線分解によって生成する活性酸素(O2-、H2O2、•OH)を介した反応によって起こる。この場合、それらの活性酸素がDNA、タンパク質、脂質などと反応し、それらを非特異的に酸化する。したがって、放射線照射によって生じる活性酸素を迅速かつ効率よく消去できれば、放射線による細胞の障害は軽減できると考えられる。本研究の目的は、活性酸素を消去する酵素、superoxide dismutase(SOD)および細胞の酸化還元状態を維持する酵素、thioredoxinやglutaredoxinの細胞内での高発現によって細胞の放射線感受性を軽減(防護)すること、およびその機構を明らかにすることである。まず、ヒトのSOD遺伝子をcloningして、HeLa S3細胞にtransfectionし、安定した高発現細胞株を作成した。これらの細胞を用いて、放射線に対する細胞の感受性と応答について検討した。細胞質に存在するSOD1(Cu/Zn-SOD)の高発現細胞株は HeLa S3 と同程度の感受性を示したが、mitochondriaに局在するSOD2(Mn-SOD)の高発現株は HeLa S3 細胞より放射線抵抗性を示した。SOD1、SOD2 の高発現によって放射線照射24 時間後の細胞内の酸化ストレスレベルは HeLa S3 より抑制された。SOD2による放射線防護の機構は、生成した活性酸素の効率的な消去による細胞内の酸化防御と細胞応答の制御によるものの二つが考えられる。事実、SOD2高発現株では、放射線apoptosisの抑制や特定の遺伝子発現の誘導など興味深い現象が観察された。さらに、SOD2の高発現によって、核DNAにも損傷の減少が起こり、放射線に対する細胞の応答の複雑で巧妙なネットワークが存在することが分かった。
著者
上田 景子 金子 周平 水海 吉太郎 田中 研実 近藤 隆一郎
出版者
福岡県農林業総合試験場
巻号頁・発行日
no.1, pp.49-54, 2015 (Released:2020-02-03)

果樹園から排出されるカキノキ(Diospyros kaki)剪定枝の新たな処理方法を開発するため,剪定枝チップを培地の基材としたヒラタケ(Pleurotus ostreatus)の無殺菌栽培を検討した。無殺菌の剪定枝チップにヒラタケ種菌を混合して温湿度無管理で培養を行った後,プランターに埋設する手法とした。本手法では,チップだけでも子実体は発生し,2.5kgの菌床あたり積算収穫量が355g,収穫回数は3.0回だった。栄養材として米ヌカを添加することで,それぞれ1035gおよび6.0回に増大した。種菌量の違い(培地全体重量の10%,20%および40%)で積算収穫量に有意な差はなかった。子実体が形成生育する場所,すなわち発生場所としては,クヌギ林内で積算収穫量および収穫回数がそれぞれ679g/菌床および5.4回と建物の軒下よりも多かった。プランター内の剪定枝は収穫開始から約1年後には原型をとどめない程度まで形状が崩壊していた。以上のことから,チップ化したカキノキ剪定枝を培地としたヒラタケ無殺菌栽培は,柿農家が特別な施設なしに剪定枝を処理できる方法として期待されるとともに,収穫した子実体も収入源にできる有効な技術と考えられた。
著者
古澤 之裕 藤原 美定 趙 慶利 田渕 圭章 高橋 昭久 大西 武雄 近藤 隆
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2010 (Released:2010-12-01)

目的:超音波は現代医療において診断のみでなく,がん治療にも用いられている.一定強度以上の超音波を細胞に照射することで,キャビテーションによる細胞死を引き起こすことが観察されてきた. 細胞死誘発の作用機所の一つとしてDNA損傷が考えられており,これまでチミン塩基損傷やDNAの一本鎖切断の生成が認められ,超音波照射後に発生するフリーラジカル,残存する過酸化水素の関与が報告されている.放射線や抗がん剤は,DNAを標的として細胞死を引き起こすことが知られており,損傷の種類,損傷誘発・修復機構等多数の報告がなされているが,超音波に関する知見は非常に限定的で依然不明な点が多い.本研究では,超音波により誘発されるDNA損傷と修復について検討を行った. 方法:ヒトリンパ腫細胞株に、周波数1 MHz、PRF 100 Hz、DF 10%の条件で超音波照射した。陽性対照としてX線照射した細胞を用いた.DNA損傷を中性コメット法,gammaH2AX特異的抗体を用いて検討した.また修復タンパクの核局在を免疫染色法にて検討した.ヒドロキシラジカルの産生をスピン捕捉法にて、細胞内活性酸素をフローサイトメトリーにて検討した。DNA損傷応答経路の阻害剤としてKu55933、Nu7026を適宜用いた. 結果:超音波が放射線と同様、照射強度・時間依存的にgammaH2AXを誘導し,コメットアッセイにおいてもDNA損傷が検出された。修復タンパクの核局在が同時に観察され,照射後時間経過による損傷の修復が確認された.キャビテーションを抑制すると超音波によるgammaH2AXは観察されず、細胞死も有意に抑制された。一方で細胞内外のROSの産生を抑制しても,gammaH2AXの有意な抑制は観察されなかった。超音波によるgammaH2AXはKu55933単独処理のみならず,Nu7026の単独処理によっても抑制された. 結論:超音波がキャビテーション作用によりDNA二本鎖切断を引き起こすことが明らかとなった.また,超音波によってもDNA損傷の修復シグナルの活性化が起こり,DNA-PKが重要な役割を担っていることが予想される.
著者
鹿児島 誠一 前里 光彦 加賀 保行 近藤 隆祐
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.969-974, 1999-12-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
17

さまざまな物性が演じられる舞台は, 原子や分子の配列が作る物質構造である. これを変化させる新たな手段として, 1軸性ひずみの方法を開発した. 装置の基本構造を示し, これによって作られる物質のひずみが1軸性であることを検証する. 実際の研究への適用例として, 2種類の2次元性有機導体の電子状態に与える1軸性ひずみの効果を紹介する. 有機導体に限らず多くの物質において, 1軸性ひずみは, 静水圧や従来の1軸性加圧では実現できない新たな物質構造をもたらす. この実験手法によって, 新規な物性の発見が期待できる.
著者
中井 正二 勝沼 俊雄 近藤 隆二 金本 秀之 赤沢 晃 小田島 安平 小幡 俊彦 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.468-472, 1989-04-20 (Released:2011-12-02)
参考文献数
14

気管支喘息発作に対して, 手軽な酸素供給装置(O2パツク®)を使用し, その効果をみた. 中等症の気管支喘息児8名に行い, ピークフロー値は有意な上昇を示し, 呼吸困難, 喘鳴など, 臨床症状も改善の傾向を認めた. 副作用は特に認めず, 総合臨床効果は, 著効3名, 有効3名, 不変2名であつた.また, 気管支拡張剤吸入療法で酸素を併用したときの効果を検討した. 1秒量(FEV1), V50, 努力肺活量(FVC)において, 予測値に対する%表示にて表わした変化を, 酸素を併用した群としない群とで検討した. 全体に, 酸素併用の方がよく改善される傾向にあり, 吸入前と吸入後の%FEV1値の差による改善度では, 酸素吸入併用の方が有意に改善していた. 酸素投与による副作用はみられなかつた.今後, 家庭内での気管支喘息発作時の酸素療法は, より広く行われてよい方法と考えられた.
著者
大田 雄二 岩下 正信 津浦 宏 近藤 隆春 大須賀 朋尚
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.23, pp.7-12, 1993-03-26 (Released:2017-10-06)

This system has the function Which entries LOGO Presented from sponser, maneges them as digital imaged data after linking with sponsor name, and has the object Which unifies data processing and control transmitting.
著者
市川 新 楠田 哲也 松井 三郎 盛岡 通 近藤 隆二郎 カーン ジャミール アーマド カウザー
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
no.23, pp.332-338, 1995

Moenjo-daro, one of the old civilizations in the world, was equipped with the perfect drainage system, wells and a great bath, which were excavated during 1920-30's, by British archaeologists, Sir John Marshall, Earnest MacKay and others. Those archaeologists supposed that these facilities associated with water had served almost same purpose as those in modern times do. However, there are many things which these hypotheses couldnot explain the real conditions. In this paper we would like to highlight the exact purpose of these water-related facilities, on the basis of hydraulic viewpoints.
著者
近藤 隆二郎 守谷 光平
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.66, pp.45, 2003

「歩行空間の変化性」に着目し、「歩行感覚」から歩行空間の分析をおこなった。サウンドスケープにおける先行研究を参考に、「サウンド」「フレーズ」「ハーモニー」「メロディー」の視点を適用し分析した。「歩行空間」の「ハーモニー」として、【回遊】【癒し】【直線平坦】【お参り】【直線平坦(テクスチャー)】【アクロバティック】【心臓破り】【特殊】の8タイプを抽出した。また、「コース」に占める割合の高い「ハーモニー」は【回遊】【癒し】であった。「ハーモニー」の変遷として、6つの「メロディー」タイプを抽出した。「歩行感覚」から得られた「ハーモニー」の特徴は、実際の印象と対応していた。
著者
綿貫 茂喜 太田 博樹 星 良和 近藤 隆一郎 キム ヨンキュ 西村 貴孝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

人類の寒冷適応や病気との関係が示唆されているミトコンドリアDNA多型(ハプログループ)を遺伝的背景の一つとし、ヒトの生理的多型を構成する遺伝要因を明らかにすることを目的とした。研究は主に寒冷曝露時及び低圧低酸素時のヒトの生理反応を検討した。10℃及び16℃の寒冷曝露実験では、ハプログループDが耐寒性に優れた。また4000m相当の低圧低酸素環境に曝露した時、Dグループは他のグループより血中酸素飽和度が高かった。以上よりミトコンドリアDNA多型はヒトの生理反応に影響し、生理的多型の一部を説明する可能性を示した。
著者
樋口 幸永 近藤 隆二郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.859-868, 2009

The purpose of this study is to clarify the feature of the movement of recording the household account as promoted by the Zenkoku Tomo-no-kai, a readers'club of Fujin-no-tomo magazine. This study also aims to reexamine the role of the movement by tracing the transition of the readers'lifestyle as well as what they sought in life. We examined (1) the contents of the magazine as well as the feature of the house-keeping book, (2) how the house-keeping book was promoted as well as what resulted in favor of improved household budget, and (3) readers'comments included some special feature articles on the house-keeping book. The examination found that the initial plan was to assist the club members in forming their household budget by offering the mean value and quantity of their housekeeping items. It was also found that the movement was meant to help its members draw up an ideal budget in the hope that a sound household would eventually contribute to forming a sound society. Then, the movement gradually shifted its stand and tried to assist its members to consider that their households were part of the entire social system. In other words, keeping household account helped its members deepen their understanding of social affairs. This understanding has led up to less dependence on outsourcing of various nature, which would help alleviate environmental disruption. In conclusion, it is safe to state that the act or habit of keeping household account as promoted by the Zenkoku Tomo-nokai of the magazine Fujin-no-tomo has helped the club members incorporate the social concept in themselves.
著者
大高 恵莉 大高 洋平 森田 光生 横山 明正 近藤 隆春 里宇 明元
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.673-681, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 8

目的:動的バランス機能の評価法であるMini-Balance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)の日本語版を作成し,その妥当性を検証した.方法:Guilleminらのガイドラインに準じ日本語版Mini-BESTestを作成した.バランス障害群20 名(平均年齢65.4±18.7 歳)及び健常群7 名(平均年齢69±5.9 歳)に日本語版Mini-BESTest,Berg Balance Scale(BBS),国際版転倒関連自己効力感尺度(FES-I),Activities-specific Balance Confidence Scale(ABC Scale)を実施し,Spearmanの順位相関係数を求めた.結果:日本語版Mini-BESTestの平均施行時間は20.0 分で,BBS(r=0.82,p<0.01),FES-I(r=-0.72,p<0.01),ABC Scale(r=0.80,p<0.01)と有意な相関を認めた.分布の非対称性を示す指標である歪度(skewness)はそれぞれBBS -1.3,日本語版Mini-BESTest -0.47であった.結論:日本語版Mini-BESTestは既存のバランス評価法との併存的妥当性を示し,かつBBSのような天井効果を認めない点で優れていると考えられた.
著者
近藤 隆 河辺 義孝
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.823-833, 1987-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
8

Eighty-one cases of head and neck cancer patients who died within the last five years were analyzed. The sites of primary tumors were as follows: 15 cases in the nasal and paranasal cavity, 13 cases in the tongue, 9 cases in the larynx, 7 cases in the thyroid, and 7 cases epipharynx, and 6 cases in the hypopharyngeal-cervical esophagus. 81.8% of the patients had stage III or IV cancer at the initial diagnosis and suffered from double cancers during the course of the disease. These patients had repeated hospitalizations and were treated surgicaly by tracheostomy, gastrostomy or ligation of carotid artery. In recent years, there has been increased interest in defining what constitutes good quality care for the terminal by ill cancer patient. Our analysis documents the complex problems these patients and their physicians face. These problems challenge the medical facilities caring for such patients to develop programs that provide the highest possible levels of care for head and neck cancer patients. Head and neck surgeon must consider the protocol of informing cancer patients. Cymprehensive care must be given after informing the patients of their condition.
著者
近藤 隆二郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.161-164, 1995-03-31
参考文献数
15
被引用文献数
2

江戸のまちにおける写し霊場 (33ヶ所) を取り上げ, 札所番号・景観類似・巡拝域などについて考察した結果, 本尊が観音である寺社のネットワークであること, 本西国との類似性を意識した演出法の存在, 江戸全域を巡るものと地域的に限られたものに分かれること, 都市像の形成を促す役割を持っていたことなどを示した。江戸西国三十三所 (上野王子駒込辺) の『案内記』を分節化し, 御詠歌が本西国連想の媒介であったこと, 景観的視点が重視されていたことを示すとともに, 現地景観体験と本西国の景観を連想する体験とが重なって成立しており, 江戸における写し霊場の鑑賞構造が, 虚実が交錯する中で部分的全体性を体得するものであったことを示唆した。
著者
団 朋希 近藤 隆二郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.411-418, 2004

本研究では、ちんどん屋の街頭宣伝において、ちんどん屋と街の人々とのコミュニケーションに着目し調査を行った。調査ではちんどん屋を追跡調査し、街廻りの様子をビデオに記録した。ビデオを元に街廻りでの出来事を地図に描き、分析を行った。分析結果からちんどん屋と街の人々とのコミュニケーションを「ついてくる型」、「応答型」、「目を配る型」、「引き寄せ型」、「声かけ型」の5類型にまとめることができた。場所によって見られる類型やその出現数に違いがあり、ちんどん屋は場所の様子を読み取り、街頭宣伝を行っていることがわかった。
著者
森 智夫 川添 裕幸 堤 祐司 近藤 隆一郎
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.107-113, 2014

スギ植林地内に放置された風倒木あるいは間伐材を,林内で腐朽処理が可能な木材腐朽菌を単離し,その腐朽菌による周辺環境への影響を推定することを目的として検討を行った.スギ植林地などから高いスギ木粉腐朽能を有する木材腐朽菌としてキチリメンタケと,一般に広く分布する木材腐朽菌であるカワラタケの二種を選抜した.これらを半年以上放置されたスギ間伐材に接種することにより,間伐材を短期間で腐朽できることが確認できた.さらに,今回供試した菌株は隣接するシイタケほだ木への感染力を,分子生物学的手法により評価したところ,今回の試験においてはほだ木への感染は確認できなかった.よって,植林地などで間伐放置材などの生分解処理に用いるのに,生態系撹乱の懸念が低いものと期待される.
著者
近藤 隆之 神保 高之 奥村 秀一 大西 勝典
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.282-288, 1999-07-10
参考文献数
12
被引用文献数
3

拡散型ポロメータにより観葉植物の気孔コンダクタンスを測定し, 観葉植物のホルムアルデヒド吸収能力を比較するとともに, その室内汚染改善効果について検討を行った。南向きの窓辺に置いた10種類の観葉植物の日中の気孔コンダクタンスは, 0.01(パキラ)〜0.10mol m^<-2s>s^<-1>(シンゴニュウム)の範囲にあり, シンゴニュウム, スパティフィラム, ベンジャミンが気孔コンダクタンスが大きく, ホルムアルデヒド吸収能力の大きい観葉植物といえる。シンゴニュウム, スパティフィラム, ベンジャミンの気孔コンダクタンスの個体差はいずれも比較的小さかった。この3種類の観葉植物の9時から17時までの気孔コンダクタンスの変動パターンは光合成有効放射量の変動パターンと類似していた。質量収支モデルによる試算から, 喫煙者のいる会議室内にスパティフィラムを1鉢(総葉面積0.9m^2)置くことにより, 室内ホルムアルデヒド濃度は平均5%低くなると予測され, 観葉植物が室内汚染の改善に寄与することが確認できた。
著者
小山 太 清水 邦義 松原 恵理 吉田 絵美 近藤 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.370-376, 2011-11-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

スギ製材工程で大量に発生する樹皮の有効利用を図るため,スギ樹皮のアンモニア吸着能に着目した鶏ふん堆肥化過程の臭気低減効果について検討した。粉砕処理したスギ樹皮を620ppmに調製したバッグ内のアンモニアガスと5分間接触させたところ99.5%のアンモニアが除去された。鶏ふん堆積物の表面をスギオガクズまたはスギ樹皮で被覆し,堆肥化過程で発生するアンモニアの吸着を試みたところ,スギオガクズは1g当たり11mgのアンモニアを吸着したのに対し,スギ樹皮では33mgに達した。堆肥化後,スギ樹皮中の窒素の形態を調査したところ,水溶性窒素が22%,イオン交換性窒素が23%,有機態窒素47%であり,高い陽イオン交換能に伴うイオン結合だけでなく,共有結合による除去も示唆された。スギ樹皮は,アンモニアガス発生源の表面を被覆するだけで発生量を抑制でき,安価で簡便な臭気対策資材としての活用が期待される。