著者
石橋 明 西山 芳夫 遠藤 幹男 河路 渡 加藤 正 布田 由之 望月 一男 太田 信夫
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.113-117, 1977 (Released:2017-02-13)

掌蹠膿疱症132例中14例に, 胸骨部の有痛性の整形外科的症状(胸骨体部柄部間関節症5例, 胸鎖関節炎4例, Tietze症候群4例)を見出した。整形外科的症状を伴う掌蹠膿疱症の症例は, 概して掌蹠以外の指趾, 手足背, 四肢, 体幹にも撒布診を認め, AndrewsのGeneralized pustular bacteridに一致する皮膚症状を示した。またしばしば慢性扁桃炎などの巣感染の急性増悪後に増悪し, 扁剔や抗生物質投与に反応した。従って皮膚症状のみならず, 整形外科的症状も巣感染(アレルギー)と関連性を有することが推察された。
著者
遠藤 明仁 加登 麻子 柳澤 成江 田中 寿一 市川 真里 柴崎 鮎美 川井 泰 増田 哲也
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.44-50, 2021-04-25 (Released:2021-04-22)
参考文献数
20

わが国は乳・乳製品のうち生乳のみを動物検疫の対象としていたが,2017年11月から新たに乳・乳製品の輸入検疫を開始した.口蹄疫発生地域から輸入する場合,ウイルス不活化のため72℃ 15秒の加熱処理等が求められ,輸入検査では一部の現物で加熱履歴を確認する.乳の加熱履歴確認は,IDF63等に準拠したアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定法が有効だが,手順が煩雑で時間を要す.そこで,ALPの反応により生成された蛍光物質量を簡易迅速に測定する手法を基に測定を試みた.種々の条件で加熱したウシ,ヒツジ,ヤギの乳と各種乳製品を供試し,各動物種乳において72℃ 15秒とほぼ同等の加熱でALPが失活することを確認した.今回確立した方法は,IDF63等より簡易で,少量かつ短時間での測定が可能であった.また,材料を懸濁することで各乳製品の加熱履歴確認も可能であった.
著者
安井 眞奈美 中本 剛二 遠藤 誠之 倉田 誠 松岡 悦子 澤野 美智子 伏見 裕子 木村 正
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の概要は、現代の妊娠・出産・産後を危機的状況にあると捉え、医療、女性の身体、子供の命といったさまざまな切り口から、妊娠・出産・産後の現状を総合的に解明することである。現状を変えていくための処方箋を提示する、緊急を要した実践・応用人類学の研究と位置づけられる。現代の妊娠・出産・産後の現状をインタビューも含めた文化人類学の参与観察によって解明し、エスノグラフィーを作成する点に特徴がある。
著者
遠藤 忠
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.712-724, 1990

1990年1月1日を期して,ジョセフソン効果に基づいた電圧標準に加えて,量子ホール効果に基づいた抵抗標準が,世界中で統一して用いられている.これにより,量子現象の持つ普遍性と恒常性という優れた特長に支えられて,世界的に全く統一のとれた電磁気量の実用標準体系が実現した.この結果は,両標準の技術的側面の研究もさることながら,むしろ,地道な努力を重ねて永年行われてきた種々の基礎物理定数の測定のこれまでの総決算により生まれたものといえる.本稿では,基礎物理定数との関わりを中心に,両標準の実現に至った背景について解説する.
著者
遠藤周作著
出版者
光文社
巻号頁・発行日
1987
著者
遠藤 克浩 湯原 大輔 泰岡 顕治
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.39-44, 2019-01-31 (Released:2020-01-31)
参考文献数
11

分子動力学シミュレーションは分子のふるまいを調べるための汎用的で強力な手法であるが,目的によっては巨大な系で長時間のシミュレーションを実行する必要があり,その計算コストは途方もないほど大きくなる場合がある.この計算コストの問題を解決するために,並列コンピュータを用いて計算を並列化することで計算に要する実時間を減らすことが実現されている.本稿では,並列に計算される短時間のシミュレーション結果から,機械学習によって長時間シミュレーションの結果を予測し,長時間シミュレーションを高速化する「MD-GAN」について紹介する.
著者
遠藤 秀紀 村田 浩一 鯉江 洋 中山 裕之
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

高齢動物の骨格を標本化、マクロ形態学的変化を検討し、三次元画像情報の構築に成功した。アジアゾウ、カバ、シロサイ、キリンなどにおいて、脊椎や四肢、頭蓋におけるマクロ形態学的異常を検出し、骨老化の基礎理論を構築した。アジアゾウでは、高齢での顎と臼歯の問題点を画像情報を用いて議論した。中型獣では顎や顔面の機能異常を観察、鳥類と爬虫類でも加齢と形態変化について、生理学的背景とともに把握することができた。成果は、高齢動物の直接的な研究にとどまらず、飼育動物に関する基礎生物学的また病理学的データ収集の機会を大幅に拡大することに成功した。また、動物園水族館に向けた動物福祉的提言を発展させることができた。
著者
遠藤 哲也
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.561-567, 2014

<p> レーガン政権の下でようやく始まった日米原子力協定交渉は難航した。米側は,日本の原子力活動に包括事前同意方式を認めることには同意したものの,具体的な個々の点については厳しく,また行政府部内でもさまざまな異論が出てきた。何とか正式に署名にこぎつけたものの,その後の議会審議は波乱の連続であった。</p><p> プルトニウム空輸に対するアラスカ州からの反対,核不拡散強硬派からの反対などで審議は予断を許さなかった。この波瀾を何とか乗り切ったのは,レーガン大統領の決断,レーガン・中曽根の信頼関係によるところが大きかった。この協定が発効したのは,1988年7月であり,正式交渉が始まってから6年もの年月が経っていた。</p>
著者
吉崎 邦夫 佐原 亮 瀬川 大輔 浜田 純一郎 遠藤 敏裕 藤原 孝之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0685, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】肩関節疾患治療において肩関節内旋運動(以下内旋運動)制限が問題となる。なかでも日常生活活動では結帯動作に支障を来すことが多い。上肢運動は複合的運動であり,肩甲上腕関節,肩甲骨,鎖骨,胸郭,体幹の運動が関与している。これらの運動を考慮した上腕骨頭(以下骨頭)の内旋運動と肩甲骨運動について三次元動作解析装置(3D-MA)を用いて検討した。本研究の目的は,骨頭が内旋する肩関節の第1肢位(1st)内旋,第2肢位(2nd)内旋,第3肢位(3rd)内旋,結帯動作における骨頭の内旋角度と肩甲骨運動を調査すること,また肩関節内旋制限を有する症例の理学療法確立の一助とすることである。【方法】対象は肩関節痛の既往がなく,野球などの球技スポーツ歴のない,書面で同意を得られた健常者9名(男性9名,平均年齢21歳,19~23歳)であり,利き手側を計測した。8台の赤外線カメラを用いた三次元動作解析装置(MAC 3DSystem,Motion Analysis corp.)にて,基本的立位姿勢から開始し肩関節1st・2nd・3rd内旋,結帯運動を計測した。直径10mmの赤外線マーカーを,体幹(C7,L5,胸骨柄,胸骨剣状突起および両側の腸骨稜と上前腸骨棘),肩関節周囲(いずれも利き手側の骨頭前方および後方,肩峰角,肩甲棘内縁),肘関節(上腕骨内側・外側上顆),手関節(内・外側)合計16ヵ所の皮膚ランドマークに,できるだけスキンアーティファクトが少なくなるよう調整し貼付した。データ統合解析プログラム(KineAnalyzer,キッセイコムテック)を用い,各運動面上で上記のマーカーから導出した運動軸の変化を抽出し,体幹運動(屈曲・伸展,側屈,回旋)を差し引いた1st・2nd・3rd内旋運動の骨頭内旋角度と肩甲骨運動角度(内・外旋,上方・下方回旋,上方・下方傾斜)を算出した。結帯動作の骨頭内旋角度は,骨頭中心から骨頭前方および後方を結ぶ線と直交しかつ上腕軸と直交する線を作成し,この線と上腕骨内・外側上顆を結ぶ線の成す角度を基に算出した。肩甲骨運動は,肩峰角,肩甲棘内縁,骨頭後方が作る三角形の面に直行する軸を各運動面に投射し,各基本軸と成す角度を基に算出した。体幹運動は,屈曲・伸展および側屈はC7とL5を結ぶ直線と各運動面における基本軸とのなす角度から計測した。体幹回旋は,C7とL5を結ぶ直線の中点と胸骨剣状突起を結ぶ直線と水平面上の基本軸との成す角度を基に算出した。【結果】最大運動角度における1st内旋の骨頭内旋角度は68.6±17.3度,肩甲骨内旋角度は5.0±2.9度であった。2nd内旋の骨頭内旋角度は55.6±11.0度,肩甲骨前方傾斜角度は14.5±5.2度であった。3rd内旋の骨頭内旋角度は15.5±4.7度,肩甲骨上方回旋角度は7.1±6.3度であった。結帯動作における骨頭内旋角度は39.2±5.0度,肩甲骨前方傾斜角度は14.0±4.7度,肩甲骨内旋角度は5.0±5.6度,上腕骨伸展角度は36.3±9.2度,肘関節屈曲角度は100.0±11.2度であり,母指指先はTh7±2椎体レベルであった。【考察】各運動で骨頭内旋角度を比較すると,1st内旋が最も大きく,2nd内旋,結帯動作が続き,3rd内旋が最も小さかった。結帯動作に着目すると1st内旋と比較し上腕骨が屈曲位にあるか伸展位にあるかの違いで骨頭内旋角度の差が大きく(47.5±15.1度),結帯動作障害のある症例には,1st内旋の制限がなく,また結帯動作に伴う肩甲骨上方回旋および前方傾斜にも制限がないことが多い。以上から骨頭内旋制限が結帯動作の障害因子であると推察され,上腕骨伸展位で何らかの軟部組織が骨頭内旋制限に関与すると考えられる。われわれは第41回日本肩関節学会(2014年)において解剖学的・臨床的知見から骨頭内旋制限に烏口上腕靭帯肥厚・瘢痕形成が関与すると報告した。特に結帯動作の上腕骨伸展に伴い,烏口上腕靭帯が緊張し骨頭の内旋制限を生じることが確認された。今後は,骨頭内旋運動に伴う腱板筋の筋活動と,烏口上腕靭帯の肥厚・瘢痕形成に対する理学療法を考案してゆく予定である。【理学療法学研究としての意義】肩関節疾患において肩関節内旋運動制限が問題となることが多く,特に結帯動作の改善は困難である。内旋運動は多関節の複合的運動であり肢位により違いがあるものの,各内旋運動を区別して検討することは理学療法のターゲットを明確にし,治療効果を向上させるためにも重要である。
著者
曽根原 寿明 井澤 康哲 祁 華 神津 和磨 向山 浩行 広田 雅和 遠藤 高生 神田 寛行 森本 壮 不二門 尚
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.114-121, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
20

眼疲労を定量化するための方法として, 自然な両眼視下での測定を利用した報告はあまりされていない。そこで我々は, 18名の被験者に視負荷として市販の携帯型3Dゲーム機を30分間使用させ, 両眼波面センサーを用いて視負荷前後での調節および輻湊応答の変化を調べた。測定時の固視標の動きは, 奥行き方向に反復する定屈折駆動刺激(±0.25D/秒)およびステップ状刺激(2.0/0.2D)を与えた。定屈折の反復刺激において, 輻湊と開散の潜時が視負荷後に統計的に有意に長くなることがわかった(P<0.05)。ステップ状刺激では, 調節弛緩応答量の80%から10%に変化するのに要する時間が視負荷後に長くなった(P<0.05)。以上より, 両眼波面センサーによって測定された調節と輻湊の応答は, 眼の疲労の客観的評価に適用できることが示唆され, とくに年齢の影響を受けにくい輻湊は中高年者への適用に有望であると考えられる。
著者
遠藤 和人
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.39-48, 2019-02-28 (Released:2020-02-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

特定一般廃棄物や特定産業廃棄物 (事故由来放射性セシウムが 8,000 Bq/kg 以下) は,入念的措置が加えられて既に多くの最終処分場で埋立処分されている。また,福島県内の特定廃棄物 (8,000 Bq/kg を超える指定廃棄物と対策地域内廃棄物) は,減容化施設やセメント固型化処理施設や特定廃棄物埋立処分施設が整備され,処理・処分が進められている。本論では,これら放射性物質汚染廃棄物の埋立処分の現状,処分場内の放射性セシウム溶出挙動,埋立処分方法やセメント固型化方法の科学的根拠について紹介する。事故後に実施された政策対応研究の記録の一つとしてここに記した。
著者
遠藤 薫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, pp.945-959, 2003

アトピー性皮膚炎入院患者504名(男202名,女302名)に施行した矢田部―ギルフォード(YG)性格検査の結果を健常人164名(男45名,女119名)と比較すると,男性患者は健常人男より性格因子D(抑うつ的),I(劣等感),N(神経質)が高く,G(活動的)が有意に低くなっていた.女性患者は健常人女よりAg(攻撃的)とR(のんき)が低くなっていた.健常人女は健常人男よりD,C(回帰性傾向),Iが高く,情緒的に不安定であった.逆に男性患者は女性患者よりNが高く,S(社会的外向)が低く,女性患者は男性患者よりAgとRが低くなっていた.アトピー性皮膚炎の症状で比較すると,男では,入院時重症になるほど,DとCが高く,Sが低くなっていたが,女では性格因子に差がなかった.治療などを考慮した疾患重症度をみると,男では,D,Cの有意差が消失していた.顔面重症度を見ると,女性患者では中等症に比べて軽症及び重症患者で,GとSに低下が見られた.発疹型を6群(紅斑型,丘疹型,紅斑+丘疹型,貨幣状型,肥厚・苔癬化型,痒疹型)に分類すると,男において,紅斑型と肥厚・苔癬化型は,紅斑+丘疹型,貨幣状型に比べて,D,I,N,Co(非協調的)が高く,Ag,G,R,A(支配的),Sが低くなっていた.アトピー性皮膚炎を臨床経過から,現在の発疹が悪化してからの年数が5年未満の群と5年以上の群に分けると,5年以上の群は男性患者でCoが高くなっていた.入院直前1カ月のステロイド外用量から,5群(0g/月,5g/月未満,5~50g/月,50g/月以上,ステロイド内服・注射)に分類した.男性患者では,5g/月未満と5~50g/月の群は0g/月とステロイド内服・注射の群に比べてAgが高く,女性患者では50g/月以上の群でAgが高くなっていた.さらに,入院中のステロイド外用量から同様に分けると,男性患者ではステロイド内服した群において,性格因子D,Iが高く,G,R,A,Sが低下していた.女性患者では,ステロイドの外用が多くなると,AgとSが低くなっていた.検査値との関係を見ると,血清LDH値では,高値であるほど女性患者でRが低下していた.血清IgE値が高いほど,男性患者ではDが高く,女性患者ではRが低下していた.また,血清cortisol値が低いほど,男性患者では,O(主観的)が高く,女性患者では,DとIが高くなっていた.アトピー性皮膚炎の男は,健常人より情緒が不安定で人間嫌いで閉じこもる傾向があり,女は優柔不断で他人の意見に左右されやすく,特に顔面が悪化すると人間嫌いで閉じこもる傾向があると言える.また,皮膚症状が性格因子に影響する以上に,性格因子の問題点が臨床経過に重大な影響を及ぼしている可能性がある.
著者
長尾 慶子 佐藤 久美 粟津原 理恵 遠藤 伸之 原田 和樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】活性酸素による酸化ストレスから身体を守るには食品の抗酸化成分の摂取が有効だといわれている。しかし食品の抗酸化能は調理法で変化するため、食事全体の抗酸化能評価においては実測値に基づいた考察が必要である。我々は和食献立の抗酸化能を高める食事設計法を具体的に検討するために、壮年期女子の食事摂取基準を参考に調製した数種の料理や献立全体の抗酸化能をORAC法および化学発光法により実測評価した。 【方法】各料理の凍結乾燥試料を0.2g/20mL超純水で抽出して2種の抗酸化能測定に供した。化学発光法ではペルオキシラジカル捕捉活性をIC50値で求め、ORAC法ではペルオキシラジカルにより分解される蛍光物質の蛍光強度からORAC値を求め、料理単位での抗酸化能を比較した。その結果から抗酸化能の高い料理を組み合わせたモデル献立を作り、基準献立との比較を行った。 【結果】主菜の[鶏つくね]では電子レンジ加熱が、副菜の[金平ごぼう]では水浸漬なしのごぼうを用いた方法が、汁物の[野菜味噌汁]では鰹だしと赤みその味噌汁にナスを加える方法が、それぞれ抗酸化能を高める料理と決定した。それらに主食の玄米飯と副々菜にホウレンソウの白和えを組み合わせたモデル献立にすると化学発光法のIC50値(%)は平均1.11、およびORAC値(μmol trolox等量/100g乾燥重量)は平均2,475となり、基準献立における同測定値の平均1.46および平均2,115に比べて抗酸化能が高くなり、共にp < 0.05であった。以上より、日常の食事づくりにおいて抗酸化能の高い料理を組み合わせることで、酸化ストレスに対応する理想的な和食献立を提案できることが示唆された。
著者
平川 尚毅 中野 英之 鈴木 慎 遠藤 博
出版者
地域生活学研究会
雑誌
地域生活学研究 (ISSN:21869022)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.16-25, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
13

福島県伊達市霊山町でかつて操業していた伊達永井鉱山の鉱石を用いて、地域の小学校高学年の児童を対象に、灰重石を分離する授業実践を行った。この実践は、児童が鉱石を破砕・粉砕し、鉱物を取り出し、希塩酸や紫外線ランプなどを用いて鉱物を同定するものである。実践の結果、児童は楽しみながら活動を行い、鉱石から灰重石を取り出すことができた。
著者
遠藤 正樹 小川 智美 鈴木 正則 太田 恵 森島 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ge0071, 2012

【はじめに、目的】 理学療法養成課程の臨床実習は、理学療法士に必要な基礎的知識と基本的技能を実習指導者の指導・監督の下で実践し、専門職に必要な知識・技術・接遇を習得していく重要な教育の現場である。一方、近年の学生の特性として認められる学力・思考力の低下、ソーシャルスキルやコミュニケーションスキルの未熟さ、打たれ弱さなどは教育上無視できない状況にあり、総合評価で不可がつく学生も少なくない。経験豊富な教員であれば主観的にどのような学生が臨床実習でつまずくのか予測できるが、経験が浅い教員では予測することは難しく、実習前に効果的な対策を打つことができない。そこで、これまでの臨床実習における学生評価を利用して、どのような学生が実習でつまずいているのか予測できれば、早期に対策を打つことができ、学生も教員も臨床実習に備えることが可能になると考える。よって本研究の目的は、臨床実習評価の下位項目と総合評価の関係を明らかにし、学内教育での可能性を検討した。【方法】 対象は平成22年度、平成23年度の昼間部3年生、夜間部4年生とし、臨床実習評価を受けられた146名(男性100名、女性46名)を分析対象とした。臨床実習評価表は下位項目33及び総合評価、自由記載欄から成り、成績の段階付けは両者とも優・良・可・不可の4段階評価である。下位項目における評価内容は、1)専門職としての適性及び態度が10項目、2)理学療法の進め方1.理学療法を施行するための情報収集、検査測定が5項目、2.理学療法の治療計画の立案が4項目、3.理学療法の実施が4項目、4.担当症例に即した基礎知識が7項目、3)症例報告書の作成・提出・発表が3項目で構成されている。解析には成績の欠損が多かった3項目は除外し、30項目を使用した、統計解析は総合評価の合否を従属変数、下位項目を説明変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は倫理委員会設置しておらず、同等の権利を持つ教務委員会の承認を得て実施した。なお、個人を特定するようなデータは含まれていない。【結果】 総合成績合格者137名、不合格者9名であった。多重ロジスティック回帰の結果、有意な関連は認められなかった。【考察】 臨床実習体験者を対象とし、総合評価との関連を調査するために、下位項目を複数投入しロジスティック回帰分析を行った結果、下位項目と総合評価との関連は認められなかった。総合評価で不可がついた学生の下位項目を調べると、不可がついていないにも関わらず不合格がついているケースや、逆のケースもあり、評価の基準があいまいなことが確認できた。また、不合格者の自由記載欄を確認すると、責任感のなさや消極的、受動的、自分にあまいといった評価表にないキーワードが共通してみられる。その背景には学生自身の基礎学力の低さやコミュニケーションスキルの未熟さがあると考えられた。よって総合評価の決めてには学生の実習への取り組む姿勢が基準となっている可能性がある。今後は自由記載欄を詳細に調査し、質的分析や下位評価項目の改訂を含めて検討が必要と考えられた。【理学療法学研究としての意義】 入学当初から勉強への取り組み方やコミュニケーションスキル、生活態度等の質的評価を学内で確立し、臨床実習の具体的場面と結び付けて指導していく必要性がある。
著者
倉渕 隆 鳥海 吉弘 平野 剛 遠藤 智行 栗林 知広 小峯 裕己
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.117, pp.1-10, 2006-12-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
19

建築基準法の改正に伴い,居室には原則として機械換気設備の設置が義務付けられることとなったが,現状では地域性や建物性能に対応した換気システムの適切な選択方法が整備されていない状況にある。本研究では,住宅に設置される各種常時換気設備について,外界気象条件や建物気密性能による問題点と改善対策を解明することを目的とし,戸建住宅を対象とした年間に渡る換気シミュレーションによる検討を実施した。その結果,第1種換気設備-本体給排気では建物気密性能によらず良好な換気充足度の評価を得ることができるが,第1種換気設備-居室給排気および第2種換気設備-居室給気では2階居室の空気汚染が問題になること,第3種換気設備-水周り排気では2階の新鮮外気の給気量不足が問題になることなどを明らかにし,考えられる改善対策の効果について検討した。
著者
遠藤 駿 横川 慎二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J104-D, no.4, pp.318-327, 2021-04-01

IoT技術の進展により,環境に関する多次元の時系列データを収集し,利活用する機会が増えている.ところが,多次元データの構造を可視化して把握することは容易ではない.従来法では,分析結果の図や表の数が増えてしまうことや,元データとの対応を考えることが困難になるという課題がある.このような多次元データの構造を可視化して比較的容易に把握することができれば,その結果を利用して様々なアクチュエータの制御に活用することや,深層学習の効率的な学習への応用が期待される.本論文では,大学附属図書館の施設内に設置された大量のセンサーから取得される多次元データに対して位相的データ解析(Topological Data Analysis; TDA)を適用し,対象エリアと近隣エリアのデータの関連性を可視化し,CO2濃度の上昇に寄与する要因を抽出した.本研究で提案する,TDAを用いたデータ構造の可視化によって元データとの対応を簡潔に表現する方法は,多次元時系列データの視覚的利用や応用に有用な結果を与えることがわかった.
著者
遠藤 辰雄 谷口 恭
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

電気ゾンデとして降水粒子の電荷と雲内の大気電位傾度の二要素を交互に時分割で測定して送信するものを製作した。これをレーダにて予め到来時を予測した降雪雲に合わせて飛揚し、それを自動追尾するラジオゾンデ受信機の空中線制御の方位角に合わせてレーダの縦断面の走査をしながら追跡した。得られた観測結果の7例中6例について、降雪雲の下部半分や雲底近くは正の電位傾度であるのに対して、上半分や雲頂近くでは、逆に負の電位傾度であることが共通していた。このことは降雪雲の電気的性質の一つとして特筆すべきことである。例外のケースはレーダエコーから判断して、一連の攪乱の末期のものであったと判断された。電気ゾンデとレーダの同時観測については、最も条件の良い例から順に詳しく解析してみた。そのレーダのRHI図の縦断面図によるとエコーが尾流雲の形で風のシャーによって進行方向に対して約2/3の勾配で前傾しているのがわかった。これは海上から上陸すると、さらに前傾が進んでいくが、電気ゾンデは幸いに、その尾流の中をつらぬく様に飛航した。その中で雲の下部は正電場で、そこの降水粒子の電荷の負が卓越していた。また雲の上半分の電場は負で、そこの電荷は正で逆相関である。電場の符号の変り目には空間電荷密度が算出されるので、雲層全体の中層付近は正の空間電荷が存在していることになる。また雲頂近くには負の空間電荷が同様に計算される。冬の雷は通常の落雷と異って正の電荷が落ちることで注目されている。この研究によって得られた電気的構造によると、その正電荷は雲の中層の空間電荷か、またわ雲の上半分に存在する降水粒子の正電荷のいずれかであるが、それらに対する反対符号の電荷と単に重力分離しているだけでなく風のシヤーによって水平にひきはなされていて、これが大地に対し露出するために正極性落雷になると考えられる。