著者
元 志宏 野辺 香奈子 金井 弘次 池田 直史
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.163-166, 2017 (Released:2017-03-07)
参考文献数
9

ルビプロストン投与により大腸メラノーシスが改善した維持透析患者の1例を経験した. 症例は79歳, 男性. 便秘のためセンノサイド24mgを連日内服していた. センノサイド内服後も排便コントロール不良であり, 器質的疾患除外目的に大腸内視鏡検査が施行された. 大腸内視鏡では大腸癌などの狭窄病変はなかったが, 全結腸に大腸メラノーシスを認めた. センノサイド内服を中止し, ルビプロストン内服を開始したところ, 排便コントロールは改善し, 大腸メラノーシスも改善した. 透析患者は便秘の有病率が高く, センノサイドなどのアントラキノン系薬剤を使用する頻度が高い. アントラキノン系薬剤の長期連用により耐性が出現し, 大腸メラノーシス発症のリスクとなる. 大腸メラノーシスを呈する透析患者にルビプロストンを投与することで, 便秘や大腸メラノーシスが改善する可能性がある.
著者
小西 行郎 秦 利之 日下 隆 諸隈 誠一 松石 豊次郎 船曳 康子 三池 輝久 小西 郁生 村井 俊哉 最上 晴太 山下 裕史朗 小西 行彦 金西 賢治 花岡 有為子 田島 世貴 松田 佳尚 高野 裕治 中井 昭夫 豊浦 麻記子
出版者
同志社大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

発達障害とりわけ自閉症スペクトラム障害(以下ASDと略す)について、運動、睡眠、心拍、内分泌機能、体温などの生体機能リズムの異常を胎児期から学童期まで測定し、ASDにはこうした生体機能リズムの異常が症状発生の前、胎児期からでも見られることを発見した。それによって社会性の障害というASDの概念を打ち破り、生体機能リズムの異常としてのASDという新しい概念を得ることができた。この研究を通して、いくつかのバイオマーカを選択することが可能になり、科学的で包括的な診断方法を構築すると共に、障害発症前に予防する先制医療へ向けて展望が開けてきた。
著者
竹田 仰 金子 照之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1935-1940, 1996-12-20
参考文献数
18
被引用文献数
42 10

視覚情報によって生じる運動感覚は, 視覚誘導自己運動感覚(Vection)と呼ばれている.Vectionが人の生体生理に及ぼす影響について測定することは, 人工現実感における臨場感の効果を把握する上で重要である.我々は, Vectionに関する知見を深めるために, 非常に広い視野角を有する, ハーフドーム型スクリーンを用いて, 映像の揺れに対する被験者の直立姿勢時の重心動揺の測定を行った.本論文では, 水平面・垂直面を強調した2種類のCG映像, ロール・ピッチ・ヨーの3種類の揺れ方向, 0.1〜0.4Hzの4種類の揺れ周波数, 15〜45゜の3種類の揺れ角度に対する重心動揺の影響を調べた.その結果, 垂直面を強調した映像をロール方向に大きく揺らすなど, 重心動揺に及ぼす影響が大きいことが明らかになった.また, 映像の揺れ周波数が低いときは, 映像と重心動揺の位相は一致しているが, 揺れ周波数が高くなるにつれて, 位相のずれが大きくなり, 0.3Hzを越えたところで90゜の位相遅延を生じることが示された.
著者
仲地 豊 金沢 徹文 康 純 岡崎 康司
出版者
埼玉医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題は性同一性障害(GID)当事者ゲノムの全遺伝子のうち、エクソン領域を対象とした全エクソーム解析による研究計画であった。しかし海外の研究グループから性同一性障害と関連が示唆されるエクソン領域以外の多型が報告された。当初予定していた全エクソーム解析ではエクソン領域近傍100bp程度の範囲までしか変異・多型を検出することができないため、手法を当初の計画から変更し全ゲノム解析に移行して再解析をする必要があった。予備解析でイントロン領域や遺伝子間領域にみられる反復配列多型の検出も全ゲノム解析で十分可能であったため、手法を変更して10例のGID当事者サンプルについて全ゲノム解析をおこなった。

2 0 0 0 OA 歯と栄養

著者
柳金 太郎
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.3-7, 1952-02-27 (Released:2010-10-27)
著者
佐々木 達夫 VOGT Burkard 金子 浩昌 二宮 修治 BURKAHRD Vogt ブハード ホクト ジェイ ラクスマン ブィード ホクト 蔀 勇造
出版者
金沢大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

アラブ首長国連邦ラッセルカイマ首長国にある、中世港湾都市ジュルファル遺跡を発掘調査し、住居跡とモスク跡を発見し、出土した陶磁器片の整理を現地で行った。調査の目的は、中世のインド洋貿易で運ばれた陶磁器を使って、当時の貿易状態の一面を探り、それを使用した人々の生活と歴史を復元することであった。イスラーム世界と東アジアは、9世紀以来、海上交通路を活発に利用した貿易により交流したことが知られる。これは陸上の道から大量輸送の可能な海の道への転換であり、こうした事実は文献からだけでなく各地から出土する大量の陶磁器片などによって推定できる。しかし、その産地、数量、組み合わせ、歴史的な変遷、さらに使用した人々などについての詳細な実態は不明瞭な部分がまだ多い。そこで、ペルシア湾岸に位置する交易都市ジュルファル遺跡を発掘することにより、その実態、すなわち、どのような建物に住む人が、生活用具になにを用い、そしてなにを食べ、他の世界のどこから物を運んだかを知る資料を得る。とくに、東西世界の貿易と技術的な影響関係を、出土する陶磁器を主に用いて探ることが現在の課題である。すなわち、本研究は他地域との交流という視点を中心にすえた現地調査研究である。一つの住居単位(中庭と建物を含む最小単位の敷地)が推定できる範囲を目的に発掘を行った。ジュルファル遺跡では7層に分類できた14世紀から16世紀にかけての都市遺跡の一部を発掘し、層位的な建物プランの変化をとらえることができた。層位的に出土する陶磁器の組み合わせやその他の生活品から、ここに住んだ人々の従事した貿易と生活の状態、その変遷を推定することができた。出土品は現地およびラッセルハイマ国立博物館でできるだけ分類整理し、器形復元や統計的な処理を行った。その過程で選別され登録された出土品の一部を日本に運び、詳細な実測図作成、写真撮影を行っているところである。さらに陶磁器の釉と素地の科学的分析を日本で実施中である。一部の分析結果はすでに論文として公表している。出土した陶磁器は、イラク、イラン、アラビア半島各地、東南アジア、中国などから運ばれたものであることが判明し、当時の貿易の様相を知る手掛かりを得ることができた。東・東南アジアの製品では中国の染付、青磁、赤絵、黒褐色釉陶器、ベトナムの染付、青磁、タイの青磁、鉄絵陶器、黒褐釉陶器などが目立つ。イランやイラクの青緑釉陶器、白釉陶器、さまざまな文様の描かれた施釉陶器も出土している。土器はアラビア半島産が多く、次いでイランの土器が続いている。現在、重量を計測して層位的に統計処理を実施中であるが、産地不明の製品もまだあり、基礎的研究の継続がさらに必要である。もっとも多いのは現地産土器、次いでイラン産土器、さらにイラン産の施釉陶器である。遠隔地から運ばれた陶磁器は海上貿易を復元するうえで大きな意味をもっており、さらに研究を続ける予定である。ジュルファル遺跡の周辺に所在する遺跡の調査も実施した。ジュルファル遺跡の北10kmに位置するハレイラ島は、初期のジュルファル遺跡と推定できる遺跡である。ハレイラからジュルファルに都市が移動し、ジュルファルという都市名もハレイラから現在の地に移動したと推定でき、二つの地域を併せて広義のジュルファル遺跡と呼ぶべきであることが推定できた。島の南端で初期イスラームの住居跡を発見した。ジュルファル遺跡の歴史的位置づけを行ううえで重要な発見であり、本格的な調査がさらに必要である。ペルシャ湾地域における日本人によるイスラーム時代の遺跡調査は、我々の調査が唯一であり、本研究の果たす学問的な役割は大きい。
著者
金杉 高雄
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.23-34, 2019 (Released:2019-06-04)
参考文献数
7

「何のために英語を学ぶのか?」という問いかけに対して,「グローバル時代だから,英語ができるようになっておかないといけないのではないか」等の漠然とした返答をよく耳にする。グローバル化の時代,文部科学省は将来のグローバル人材育成のための基礎を築く戦略の一つとして,2020年より小学校3・4年から外国語活動を,5・6年からは外国語科としての授業を義務づけている。すなわち,小学校5・6年からは教科としての「英語」が必修となり,教科書が選定され,英語の成績が成績表に記載される。英語の成績に関しては,明確な目的意識を持っているかどうか,が成功する者と失敗する者とを分ける鍵になる。例えば,自分の人生の目標を達成するためには英語ができるようになることが絶対に必要だ,という環境に置かれれば,英語の習得は成功するであろう。自分の人生の目標を見つけるため等と称して,とりあえず,語学留学してみようという漠然とした動機では失敗に終わる。また,英語さえできればそれで良い,というわけでもない。異なる文化,生活習慣,価値観を持つ人々との多文化共生の中でお互いを認め合いながら,共に生活することができる異文化間能力が我々に求められている。
著者
江口 圭 宮尾 眞輝 山田 祐史 金野 好恵 金子 岩和 峰島 三千男 田岡 正宏 佐藤 隆 萩原 雄一 道脇 宏行 英 理香 細谷 陽子 田尾 知浩 土田 健司 水口 潤 谷川 智彦 宮本 照彦 森石 みさき 川西 秀樹 中川 章郎 岩隈 加奈子 吉田 友和 今井 陽子 小畑 日出登 松嶋 哲哉
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.695-703, 2009-09-28 (Released:2009-11-17)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1 1

全自動透析装置(GC-110N,JMS社製)の補液モードを利用した,逆濾過透析液による間歇補液血液透析(intermittent infusion HD, I-HD)を考案し,その臨床効果を多施設共同研究にて評価したので報告する.対象は維持透析患者20例で,通常の血液透析(normal HD, N-HD)とI-HDを同曜日に一回ずつ施行し,クロスオーバー試験にて評価した.検討項目は除去率,クリアスペース,クリアランスとし,尿素,クレアチニン,尿酸,無機リン,β2-microglobulin(β2-MG),α1-microglobulin(α1-MG),アルブミンの7種の溶質について検討した.また,透析中の循環血液量をヘマトクリットモニタにて,患者末梢血流量をレーザー血流計にて連続モニタリングし,間歇補液の有無との関係を調べた.結果として,すべての患者について間歇補液に同期した循環血液量および組織血流量の増加が観察された.治療時間平均の循環血液量減少率は,除水量がほぼ同等であるにもかかわらず,I-HDの方がN-HDにくらべ有意に低値であった.また,除去率に差違は認められなかったが,クリアスペースの平均値は全ての溶質でI-HDがN-HDにくらべ高値を示し,無機リン,α1-MGでは有意に高値であった.この結果は末梢循環が良好に保たれることにより,物質移動の推進力となる毛細血管の有効表面積やプラスマリフィリングが保持されたことにより,組織間液中に分布する溶質を効率よく移動・除去させたことによるものと考えられた.一方,α1-MGのクリアランスは,1hr値にくらべ4hr値でN-HD:73%低下したのに対し,I-HD:30%の低下にとどまった.これは間歇的な逆濾過補液により,膜への蛋白のファウリングが軽減されたため,溶質透過性が保持されたものと推察した.全自動透析装置の補液モードを利用した間歇補液血液透析は,安全かつ確実に施行可能であり,透析中の末梢循環動態の是正,患者からの溶質除去特性の改善に有用な治療であることが明らかとなった.
著者
金澤 優太 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.11, pp.1-7, 2017-03-03

動画投稿サイトに見られる「弾いてみた動画」を楽器演奏の練習に活用している事例は多い.しかし,ほとんどの動画投稿サイトでの検索結果は,平均再生時間や「いいね」の数などに基づいて順位づけられており,演奏技術レベルに基づく順位付けになっていないため,自分に適したレベルの弾いてみた動画を探すことが容易ではない.そこで本研究では,動画投稿サイトに投稿された「弾いてみた動画」の技術レベルを集合的に順位付けし,各楽器演奏練習者がそれぞれのレベルに応じた動画を探しやすくする手法を提案する.これにより,楽器練習の継続意欲を維持することができるようにすることを目指す.本稿では,提案手法の基本的動作を確かめるために,シミュレーション実験を実施し,その動作を確認した.また試用実験では,ユーザが自分にあったお手本動画を得るまでの工程を,提案システムによる順位付けを用いた場合と,動画サイトによる標準的順位付けとで比較した.その結果,提案システムの有用性が示唆された. : Many people practice musical instruments using "Me Playing" movies on such as YouTube. However, in most of the web sites, the movies are sorted based on view count and number of "nice"; not sorted by the skill levels. Therefore, it is not easy to find movies whose skill level is suitable for a user. This paper proposes a method for collectively ranking "Me Playing" movies for people who are studying how to play musical instruments to find suitable movies for their skill levels. In order to investigate the effectiveness of the proposed method, we conducted simulation experiments. In addition, we conducted user studies in which subjects are required to find suitable movies by using the ranking results obtained by our proposed system and by a typical movie site. By comparing the results, it is suggested that our proposed method is useful.
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 斎藤 悟 阿部 修 香川 博之 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スキーの材料開発やワックスの使い方、スキー技術の理解に科学的裏付けを与える目的で、基礎科学的見地からスキー滑走原理を研究した。そのために、短いモデルスキーを用いて、静摩擦係数、低速度の動摩擦係数について、雪粒子の大きさ、雪表面の硬さなどの雪の条件をコントロールして温度依存性、速度依存性を厳密に測定した。その結果、実際のアルペンスキーよりは遅い滑走速度に関してではあるが、摩擦現象が、雪表面の擬似液体層を考慮した凝着力の温度依存性およびそれとは逆の温度依存性を示す雪のせん断応力により矛盾無く説明できる事が分かった。また、低速度でも実際のスキーやスケートで測定されている様な低い摩擦係数が実現するので、摩擦熱による融け水の生成などのような、良く滑るメカニズムを考える必要は無いことが明らかとなった。

2 0 0 0 OA 金沢市統計書

著者
金沢市 編
出版者
金沢市
巻号頁・発行日
vol.昭和10年, 1938

2 0 0 0 OA 金沢市要覧

著者
金沢市 編
出版者
金沢市
巻号頁・発行日
1918
著者
金子 杏弓 高橋 史
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-28, 2018-06-01

本研究では,援助要請行動を悩みの相談行動と定義し,相談行動に対する被援助志向性,心理的負債感,抑うつの影響性を検討した。大学生297名を対象に質問紙調査を行った結果,相談行動に影響するのは悩みの経験および被援助志向性であることが示された。悩みの経験が多いほど,また,被援助志向性が高いほど相談行動を多く行っていた。心理的負債感および抑うつは相談行動に影響を及ぼさないことが示された。今後は,相談行動以外の援助要請行動や,援助要請をする相手による違いについても検討する必要がある。
著者
長沼 誠 金井 隆典
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

生薬青黛の主成分の1つであるイソインジゴはAryl Hydrocarbon受容体(AhR)のリガンドと考えられ、様々な免疫学的薬理作用が報告されている。AhRはILC3を介して炎症性T細胞の抑制効果を発揮し、作用機序に腸内細菌叢の関与も確認されていることから、イソインジゴの腸炎抑制作用も大いに期待しうる。すでに我々は、2016-2017年に多施設共同研究を行い、活動性潰瘍性大腸炎に対し用量の異なる青黛およびプラセボを8週間投与を行い、1日0.5g以上の青黛投与により、プラセボに比して有意に有効率、粘膜治癒率が高いことを報告してきた。しかしそのメカニズムについては明らかではない。さらに青黛投与による大腸癌抑制効果についても不明である。本研究では腸炎動物モデルを用いて青黛の腸炎抑制メカニズムと大腸癌抑制効果について検討を行っている。平成29年度は生黛成分のうち、含有率の高いindol, I3C に着目し、各々を経口投与し、急性腸炎モデルにて比較検討を行った。Indigo、I3C投与においては既報と異なり、DSS腸炎は抑制されなかった。青黛内の主成分の一つであるBetulin投与においてもDSS腸炎は抑制されない。一方でindol投与においては軽度の改善効果を認めた。無菌マウスにおける生体投与においてはDSS腸炎の抑制効果がキャンセルされるため、青黛投与で増加する菌叢にも着目した。青黛投与では特定の菌叢の増加を認め、青黛投与マウスにおける菌を抗生剤投与マウスに生着しDSS腸炎を検討したところ腸炎抑制効果を示した。また大腸癌抑制効果に関する検討では大腸癌が発生する前の早期の段階で青黛を投与しても大腸癌の腫瘍サイズの減少は認められなかったことより、青黛による予防投与は大腸癌予防の効果はないと考えられた。