著者
金子 弘昌 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.28-31, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
16

本発表では回帰分析におけるモデルの精度およびモデルの適用範囲を議論の対象とする。一般的にはモデルのオーバーフィッティングを避けるようにしてモデルは構築される。しかしモデルがオーバーフィットした場合、もちろんそのモデルの適用範囲は狭くなるが、適用範囲内であれば精度良く予測可能なモデルといえる。今回は水溶解度データを使用してモデルの適用範囲を考慮に入れたモデルの性能の比較を行った。非線形の回帰モデルを構築する手法であるsupport vector regressionのハイパーパラメータを変化させてモデルを構築し、それぞれ予測性能を評価するとともにモデルの適用範囲を設定した。モデルの適用範囲はデータ密度に基づくものである。解析の結果、モデルのオーバーフィッティング自体が問題ではなく、オーバーフィットしたモデルでも適切にモデルの適用範囲を設定することでその範囲内であれば精度良く予測可能であることを示した。
著者
金井 陸行 木下 浩一
出版者
(財)田附興風会
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

我々は臨床における創傷治癒機転と治癒不全病態を分子生物学的の解析することにより、日常の臨床現場で遭遇する消化管再建後の治癒不全、即ち縫合不全の発生を減じることを目的として研究を行ってきた。創傷治癒遅延、縫合不全発生の主たる原因である低酸素環境下での腸管上皮細胞の動態に着目し、種々の腸管上皮由来細胞株の低酸素条件下での培養条件を確立、低酸素条件下では消化管粘膜の修復機転の第一相であるrestitution(創傷面に隣接する上皮細胞の遊走)は著しく遅延していたが、当初注目していた消化管上皮細胞に比較的特異的に発現されている線維芽細胞増殖因子受容体タイプ3(FGFR3 III-b)の遺伝子発現に大きな差は認められず、この受容体のrestitutionへの貢献は少ないと考えられた。そこでFGFR3に関しては消化器癌との関連で研究を継続し、以下の研究成果を得た。膜貫通型FGFR3の発現上昇消化器系癌患者より、癌組織及びその周辺の正常組織を収集し、癌の悪性化過程におけるFGFR3-IIIb、FGFR3-IIIcの発現を解析した。その結果、FGFR3-IIIcが食道癌、大腸癌で上昇することを明らかにした。FGFR3c誘導発現細胞のFGF2に対する応答能の獲得in vitroの病態モデルとして扁平上皮癌細胞株DJM1を用いて、FGFR3-IIIcの発現上皮細胞はFGF2と協調することで癌悪性化を獲得できるか検討した。FGFR3-IIIcを発現誘導ベクターに組み換えてDJM1細胞に遺伝子導入し、FGFR3-IIIcの発現を誘導した結果、FGFR3-IIIcの発現を誘導しない細胞はFGF2刺激での足場非依存性増殖は促進されなかったが、FGFR3-IIIcの発現を誘導すると、FGF2刺激により足場非依存性増殖が著しく促進した。また、FGFR3-IIIc誘導発現過剰細胞はFGF2刺激によって高い遊走能を獲得した。以上の結果よりFGFR3-IIIc過剰発現細胞はFGF2と協調して癌悪性化を獲得することが明らかになった。可溶性FGFR3の発現上昇本研究の過程で、消化器系上皮細胞に可溶型FGFR3が発現していることを明らかにした。可溶型FGFR3は、FGFR3遺伝子から膜貫通部位を欠損したmRNAが選択的スプライシングにより生じて発現するが、この受容体が正常のヒト食道粘膜組織において発現されていることを確認した。胃および大腸においては正常組織における可溶型FGFR3の発現率は非常に低いが、癌部においてその発現が高まることを見いだした。以上の結果から、大腸と胃では可溶型FGFR3の発現と癌悪性化には何らかの関連性があることが示唆された。
著者
金屋 陽介 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2011論文集 (情報処理学会シンポジウムシリーズ) (ISSN:13440640)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.203-206, 2011-03

近年,ユーザの興味を理解し,ユーザが求めるであろう情報をあらかじめ選択し提供するシステムが多く研究されている.しかし,元々持っている興味を深めていく支援だけでは,興味が凝り固まってしまい視野が狭まることが危惧される.本研究ではバランス理論に基づき,関係性のある知人のウェブ履歴を利用して新たな興味発見のきっかけとなりうる情報を提示するブラウザ「閲子」を構築した.ユーザスタディの結果,「誰が」見たウェブサイトかという情報が,ユーザの閲覧行動に影響することが明らかになった.: In these days, various information recommendation systems that proactively provide pieces of information along with a user's interests have been developed. However, it is afraid that his/her interests would be fixed within a narrow scope only by deepening the interests that he/she originally had. We developed a novel web browser named "ETSUKO" to which we applied the balance theory. ETSUKO provides each user his/her acquaintances' histories of web browsing as a help for finding new areas of interests. From the user studies, we found that who he/she is that viewed a web page affects the users' behaviors of web browsing.
著者
金子 秀夫 村上 毅 池内 準
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.982-987, 1968 (Released:2008-04-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

The process of carburization is the oldest and has been most extensively employed in industry as a method of case hardening of steels. The progress in the carburization technique, however, has not been extremely rapid. Therefore a new method with higher rate of penetration and better quality of case is extensively craved for. To find a solution of this problem, electrodischarge carburization has been conducted by the present authors to combine electrodischarge heating and the carburizing action in a special electrolyte. This is a method of case hardening of steels in a electrolyte that contains the chemicals required to produce a case comparable with one resulting from liquid carburization. This provides a convenient method of carburization, with low distortion and with considerable high rate of penetration and uniformity of control of the case.The best carburizing conditions obtained in the present study are as follows:electrolyte: ethleneglycol saturated with sodiumchlorideapplied voltage: 150 V DCcarburizing time: 1∼5 mincase depth: 0.2∼0.3 mmhardness of the case: >Hv 850
著者
金城 寿雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.179-183, 1982-03-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1
著者
金森 未侑 冨澤 登志子 板垣 史郎
出版者
一般社団法人 日本老年薬学会
雑誌
日本老年薬学会雑誌 (ISSN:24334065)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.9-18, 2019-03-31 (Released:2019-10-07)
参考文献数
8

Purpose: This study aimed to clarify the ratio of inpatients who consume health foods and supplements, determine their awareness of interactions between medicines and health foods or supplements, and confirm that information on the consumption of health foods and supplements by inpatients is collected by medical personnel.Methods: A total of 110 inpatients taking antihypertensive medications completed a questionnaire survey about their medical history, currently prescribed medications, and current diagnoses. Data on the inpatients’ consumption of health foods and supplements were also collected from medical and nursing records by medical staff. The risk of actual drug interactions with health foods or supplements was analyzed using the Natural Medicines Comprehensive Database.Results: Overall, 30% of patients had consumed some health foods or supplements before they were hospitalized. A total of 62 patients were found to have an interaction risk even though most of them were not aware of potential drug interactions with supplements. Few patients knew what medications they were taking. In addition, medical staff and even doctors hardly ever asked patients about their consumption of health foods and supplements.Conclusions: Patients using health food and supplements is 30%. Most patients don’t know interaction risk between health food, supplements, and drugs. Interaction risk between health food, supplements, and drugs is 62 cases. And, in hospital wards, doctors and nurses rarely gather information what health food and supplements patients use.
著者
金井 雅之
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.153-167, 2003-09-30 (Released:2009-01-20)
参考文献数
42
被引用文献数
2

社会的ジレンマをはじめとする協力の成立可能性問題を進化ゲーム理論的に分析する際、ランダム・マッチングを仮定するとうまくいかない。ランダム・マッチングでない相互作用、すなわち選択的相互作用を扱う代表的モデルとして、格子モデルと多水準淘汰モデルが挙げられる。本稿ではこのうち多水準淘汰モデルについて、理論上の基礎づけを確認し、代表的な2つの数理モデルについてその意義と課題を検討する。理論上の基礎づけに関しては、淘汰の単位をめぐる論争が焦点となる。ここではヴィークルという概念を導入することにより、自己複製子淘汰と矛盾することなく多水準淘汰が考えうることを示す。そして多水準淘汰の先行モデルは、絶滅型モデルと離合集散型モデルに大別できるが、それらは分析する対象によって使い分けることが適切であることを示す。
著者
金 瑛
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-14, 2012-05-26

本稿の目的は、アルヴァックスの集合的記憶概念を再考することにある。そこでまず行なったのが、アルヴァックスによる記憶(memoire)と想い出(souvenir)の区別、集合的記憶と歴史の区別を検討することで、集合的記憶を定義し直すことである。集合的記憶は、時間的な連続性の流れとして定義され、言語活動・時間・空間という「枠組み」によって構成される。本稿では、従来あまり注目されてこなかった「環境(milieu)」という概念に着目することで、時間の「枠組み」を支える空間性について論じた。そしてそこでは、ノラの「記憶の場」という概念やモースの贈与論を参照軸に、「環境」と「場」の関係、「場」の変化による忘却の問題を論じた。また「環境」という観点から、個人的記憶と集合的記憶の関係、集合的記憶における忘却と想起についても論じた。本稿の論点は、「環境」が集合的記憶に対してもつ意義を説くことである。
著者
湯浅 愛里 田中 美子 宇野 真由奈 金森 千香 竹内 実
出版者
京都産業大学先端科学技術研究所
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-12, 2017-07

外国産ハチミツによる免疫機能への影響は報告されているが、日本国産ハチミツの免疫と抗炎症作用についての詳細な解明はされていない。そこで、日本国産ハチミツとして京都産業大学産ハチミツ(京産ハチミツ)を用い、免疫細胞である肺胞マクロファージ(AM)とLipopolysaccharide(LPS)で誘導した肺炎症に対する影響について検討した。AMにLPS添加群(最終濃度10μg/ml)とLPSに京産ハチミツ添加(ハチミツ最終濃度1、10mg/ml)したHL(Honey + LPS)群を設け共培養し、炎症性サイトカインであるIL-1βとCXCL2のmRNA発現をRT-PCR法により調べた。AMのIL-1β mRNA発現比率は、LPS添加群と比較して、HL添加群のハチミツ濃度10mg/mlで有意な(p < 0.01)減少が認められた。一方、CXCL2 mRNA発現比率は、LPS添加群と比較して、HL添加群のハチミツ濃度10mg/mlで有意な(p < 0.001)減少が認められ、ハチミツに炎症性サイトカインの発現を抑制することが認められた。これらのin vitro系の結果から、LPS投与による肺炎症への影響を検討した。マウスにLPS 50 μg/ 匹を投与したLPS 群、ハチミツ10mg/ 匹を投与し24時間後にLPSを投与したHoney + LPS(HL)群について、それぞれのBAL 総細胞数を比較した。BAL総細胞数は、LPS群で有意な(p < 0.001)増加が認められたが、HL群で有意な(p < 0.05)減少が認められた。好中球の細胞比率はLPS群で有意な(p < 0.001)増加が認められたが、HL群で減少傾向が認められた。これらの結果から、京産ハチミツはAMのIL-1β、CXCL2の産生を抑制し、LPSによる好中球の肺への浸潤を抑制し、抗炎症作用を示すことが示唆された。
著者
伊東 秀幸 大西 守 田中 英樹 桑原 寛 伊藤 真人 大塚 俊弘 野口 正行 金田一 正史 斎藤 秀一 山本 賢 呉 恩恵
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-31, 2016-03

精神障害者支援に関して,市町村は精神障害者に対して身近な地域できめ細かく支援していく役割があり,保健所はその市町村に対して専門性や広域性が必要な事項について支援していく役割がある。また,精神保健福祉センターは,保健所,市町村に対する技術援助の役割を担っている。以上のように各機関は,それぞれ異なる役割を期待されているが,精神保健福祉法の改正や障害者自立支援法の施行などもあり,精神保健福祉行政を取り巻く環境は大きく変化している。そのため,保健所,市町村そして精神保健福祉センターによる精神障害者に対する支援の現状を把握し,それぞれの機関の果たすべき役割について見直していくことが重要である。そこで本研究では,厚生労働省平成26 年度障害者総合福祉推進事業「保健所及び市町村における精神障害者支援に関する全国調査」の結果から,保健所及び人口30 万人未満の市町村のデータを抽出し,精神障害者支援に関する,保健所と市町村の役割とその現状について考察を試みた。調査の結果から,指定都市型保健所,中核市型保健所や10 万人未満,30 万人未満の市町村においては,精神障害者支援に関する様々な取り組みがされているのに対し,都道府県型保健所ではこれまでの事業を中心に実施されている現状が分かった。これは,都道府県型保健所と市町村との間で精神障害者支援に関する役割分担が進んでいることからくることと推測される。30 万人未満の市町村では,精神障害者支援に関して,これまでの都道府県中心から市町村主体と変わっているが,その実施にあたり様々な困難を抱えており,これからも都道府県(保健所)等のバックアップが必要と考えている。そのための具体的な対策としては,保健所や精神保健福祉センターによるバックアップ体制を強化するとしている。一方,保健所は,今後重要となる精神保健福祉業務の体制については,管内市町村との連携強化を考えているという現状が把握できた。精神保健福祉センターに対する調査では,精神保健福祉センターの業務のうち保健所への技術援助は積極的に取り組む必要があるとしている。以上のことから,今後,保健所から管轄市町村に対して,これまで以上に技術援助や連携を進めていくことが必要であり,精神保健福祉センターからの技術支援は,保健所はもとより直接的に市町村にも積極的に進めることが課題であると思われる。また,「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」は,平成18 年に発出以来10 年が経過していることから,現状にあった改訂の必要性があると思われる。
著者
金子 真美 平野 滋 楯谷 一郎 倉智 雅子 城本 修 榊原 健一 伊藤 壽一
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-208, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

一般人の音声障害に関する音声治療については多くの報告があり,高いエビデンスレベルのものもある.しかし歌唱者の音声障害に対する音声治療については国内外で報告は少なく,現時点で確立された手技もない.今回われわれは歌唱者の音声障害に対し音声治療を行い,症状に一定の改善を認めた.対象は声帯結節,声帯瘢痕,声帯萎縮,過緊張性発声障害のいずれかと診断され,音声治療を施行した歌唱者9例(男性5例,女性4例,平均年齢53.3歳)である.口腔前部の共鳴を意識した音声治療を施行し,効果をGRBAS,ストロボスコピー,空気力学的検査,音響分析,自覚的評価,フォルマント周波数解析で評価した.治療後,音声の改善は個人差があるものの全例で認められ,MPTやVHI-10,GRBASで有意差が認められた.また,歌唱フォルマントもより強調されるようになった.歌唱者の音声障害に対する音声治療は一定の効果が期待できると考えられた.
著者
金 珉智 小原 愛子 權 偕珍 下條 満代
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.7, pp.40-49, 2019

本稿では、既存の研究等を用いて特別支援教育における制度・政策の変遷について国際的比較を行い、日本の特別支援教育における課題を見出すことを目的とする。学校教育法の一部改正により、2007年からこれまでの特殊教育が変わり、特別支援教育が本格的に実施された。特別支援教育は、日本を含め、世界各国で障害者の権利に関する条約を基に実施されている。日本では、インクルーシブ教育を行うための人的・物的な環境整備等が十分に行われず、理念が先走ったインクルーシブ教育導入への危険性があり、特別支援教育の先進国であるイギリスとイタリアの例を参考にしながらインクルーシブ教育の現状を丁寧に分析していく必要がある。一方、障害児に対する特別支援教育の制度及び政策は、国によって体制が異なるとはいえ、インクルーシブ教育を目指す目標は同一であり、学びの場である学校は特別支援教育の制度において中心的機能をしていることが示された。
著者
村上 正人 松野 俊夫 金 外淑 小池 一喜 井上 幹紀親 三浦 勝浩 花岡 啓子 江花 昭一 橋本 修
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.893-902, 2009
参考文献数
24
被引用文献数
5

近年わが国でも注目されてきた線維筋痛症候群(fibromyalgia syndrome;FMS)は,長期間持続する全身の結合織における疼痛と多彩な愁訴を呈する慢性疼痛のモデルともいえる病態であるが,心身症としての側面を濃厚に有している疾患でもある.発症の背景には何らかの遺伝的,生理学的要因に加え,女性の内分泌的な内的環境の変化やライフサイクル上の多彩な心理社会的ストレス要因も大きく関係する.患者の90%以上に発症の時期に一致して手術・事故・外傷・出産・肉体的過労・過剰な運動などのエピソードがあり,天候,環境変化や不安・抑うつ・怒り・強迫・過緊張・焦燥などの心理的ストレスと連動して病態が変動する,強迫,完全性,執着などの性格特性がみられる,など強い心身相関が認められる.患者の尿中セロトニン,ノルアドレナリンの代謝産物である5HIAAやMHPG,骨格筋の解糖系に関与するアシルカルニチンはうつ病患者と同等に低値であり,FMSの痛みや倦怠感,多彩な身体症状,精神症状の背景にモノアミンやカルニチン代謝が関与していることが示唆される.FMSの治療には通常の対症療法が奏効しないため,的確な薬物療法が重要でSSRIやSNRIなどの抗うつ薬,抗けいれん薬,漢方薬などが併用される.さらにストレス緩和のための生活指導や心身医学的な視点からのカウンセリング,認知行動療法など全人的治療が必須である.この考え方はFMSのみならず他の慢性疼痛にも共通しており,薬物や理学的治療法などの「医療モデル」に加え「成長モデル」からアプローチする重要性は変わらないものである.
著者
金 栽滸 金 池潤 永島 佑樹 加藤 孝明
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.58, pp.1319-1324, 2018-10

<p>An earthquake occurred in Pohang City, on Nov. 15, 2017. The Pohang earthquake was the first major disaster in South Korea, resulting in a devastating earthquake. Therefore, the situation of disaster response systems and evacuation was analyzed mainly by the three perspectives on disaster response systems, organizations and operations.<br>Analyzing the response system for dealing with earthquakes and the establishment of evacuation shelters in Korea reveals that: ①in terms of institutional characteristics, this earthquake resulted in the recognition of the need for systematic earthquake disaster prevention policies and initiated the creation of institutional frameworks. ②in terms of disaster response characteristics, the administration prioritized and responded to the needs of the refugees in this earthquake. ③in terms of local community response characteristics, a system of self-help, assistance and public assistance, which utilizes the resources of local communities and supports the autonomy of the community was observed.</p>
著者
金 池潤 金 栽滸 永島 佑樹 加藤 孝明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.251-256, 2018

<p>2017 年11 月15 日発生した浦項地震(M5.4)は,韓国内で初めて地震避難所を運営した地震である.本研究では,韓国の防災対策の今後の方向性を示すために,浦項地震での避難所運営の実態に重点を置いて調査を実施した.</p><p>調査の結果,避難所として教会などの民間施設に最大約40% の避難者を受容しており,建築士会等の民間市民団体が緊急安全点検を実施し,企業からの物資支援が行われるなど,浦項地震では官民協力による対応が多く見られた.2016 年の慶州地震と比較して政府の災害対応は改善されたが,地震避難所運営マニュアルが存在しない点などの課題も抱えている.</p>
著者
守内 匡 高田 加寿代 浅野 聡美 田中 治 金本 郁男
出版者
日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.43-47, 2003-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1

A family history of diabetes and genetic predisposition are established as risk factors for diabetes mellitus, lifestyle factors also play an important role in the etiology of diabetes. Alcohol consumption may be related to risk for type 2 diabetes mellitus (type 2 DM) through effects on insulin secretion and sensitivity. Several large-scale epidemiological studies have suggested an inverse association between moderate alcohol consumption and reduced risk for type 2 DM. We assessed whether or not moderate alcohol consumption is associated with DM.Among 2, 338 men, 150 cases of incident DM were newly identified by means of an oral 75 g glucose tolerance test. The newly diagnosed DM percentages of drinking 0 g/day, 1-9.9 g/day, 10-29.9 g/day, 30-49.9 g/day and ≥50 g/day were 8 .3, 6.3, 5 .1, 5.2, 7.2, respectively. The newly diagnosed DM percentage of drinking 1-9.9 g/day had a significantly lower risk than 0 g/day. The frequency of alcohol consumption was significantly inversely associated with diabetes ; a frequency of greater than 6 times per week showed a significantly lower risk than 0 times per week. HbA1c of drinking 10-29.9 g/day, 30-49.9 g/day, and 5≥0g/day were significantly lower than that of 0 g/day.These data suggest that light moderate and frequent alcohol consumption have a decreased subsequent risk of diabetes mellitus.