著者
詫間 沙由香 兵藤 健志 牧瀬 ゆかり 南 俊朗 井上 創造 金 銀子
出版者
九州大学附属図書館研究開発室
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.46-55, 2008

2009年2月下旬,ソウル市内外にある2つの大学図書館(ソウル大学校図書館および成均館大学校図書館)と2つの公共図書館(国立中央図書館・国立デジタル図書館および議政府市図書館)を訪問した.これらの図書館では,ICタグなどの最新技術を導入した設備やインフォメーション・コモンズなどの利用者へのサービス空間としての機能の整備状況を見学することができた.図書館をめぐる日本と韓国の環境には社会の仕組みや背景となる文化の相違などがあるものの,多くの類似点もある.韓国の先端的図書館の新しい動きは,これからの日本の図書館の進むべき方向を示唆しているのではなかろうか.
著者
荻原 理 金山 弥平 神崎 繁 近藤 智彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ヘレニズム時代のエピクロス派とストア派が勧める生の内実を、プラトン、アリストテレスや現代の哲学者との対比を通じて明らかにし、これらの生を現代人に対し、注目すべき生き方の例として提示した。両派に共通する、生の理性的設計の思想は、衝撃的事態に見舞われた場合の態勢の立て直しに有効であろう。死にさいして魂は消滅するというエピクロス派の説は、現代の科学的世界像と調和し、死生観としても独自の魅力をもつだろう。自己は宇宙の一部だとするストア派の思想は、"報復しない倫理"に道を開くだろう。
著者
岡本 玲子 谷垣 静子 小出 恵子 鳩野 洋子 岩本 里織 草野 恵美子 小寺 さやか 岡田 麻里 塩見 美抄 合田 加代子 井上 清美 尾ノ井 美由紀 松原 三智子 岡本 里香 小野 美穂 金藤 亜紀子 田中 祐子 星田 ゆかり 茅野 裕美 福川 京子 俵 志江 長野 扶佐美
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近年、健康課題の多様化・深刻化に伴い、保健師に求められる役割が拡大・高度化している。本研究の目的は、大学院博士前期課程の科目で実施する、保健師等のコンピテンシーを高めるための学習成果創出型プログラムを開発し効果を検証すること、及びそれを地域貢献に活かすよう普及することである。プログラムは、2回の試行と修正を経て開発された。プログラムのコンセプトは「私の学び、明日への貢献」であり、4か月間にグループ・セッションが5回、その間の個別面接4回で構成されている。期間中参加者は、現場の課題と、それを解決する自分の学習課題を明確にして、自分で決定した到達目標の達成に向けて取り組む。研究者は学習支援者として、参加者の学習成果が最大になるように支援した。プログラムを実施した結果、以下の結果に示す一定の効果が検証された。前後のアウトカム評価では、参加者の専門性発展力や公衆衛生の基本活動遂行能力、事業・社会資源の創出コンピテンシー、住民の力量を高める能力、活動の必要性と成果を見せる能力など多様な能力が有意に高まっていた。さらに、プログラム実施後の参加者の満足度と、費用に見合う効果を得られたと思う程度は高かった。また、参加者の学習プロセスにおいては、1)現状と課題への気づき、2)改善計画の実行、3)改善した成果の確認という3つの必須通過点が確認された。本プログラムは今後、大学院教育や大学と連携した自治体や企業、看護協会保健師職能による現任教育への適用可能性がある。
著者
金子 育世
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本人英語学習者のスピーキングにおける感情表現を観測し、米語母語話との比較を行うため、生成実験を実施した。日本人大学生10名(男性6名、女性4名)と米語母語話者(男女各1名)を被験者とし、2つの課題のもとに書かれた英文手紙をテープレターにするつもりで読んでもらい、録音した。感情表現の中でも愛情表現と哀悼表現に着目し、それらが第二言語と第一言語でどのように異なるかを観測するため、課題は「付き合って3年目の記念日に恋人に渡すラブレター」と「大学入学前にとてもお世話になった先生が亡くなったことについて、先生の家族に送るお悔やみの手紙」とした。日本人被験者は全て海外滞在経験のない大学生で、英語能力はTOEICにおいて平均が484点(280点〜650点)であり、米語母語話者は英語教材の録音を担当するプロのナレーターであった。音声資料において、音声分析ソフトを用いて音声波形、スペクトログラム、イントネーションカーブを作成し、米語母語話者が強調している語を分析語とした。日本人被験者の各分析語のピッチ高低差、持続時間、強度を測定し、米語母語話者のものと比較、分析を行った結果、日本人被験者は米語母語話者に比べて、ピッチの高低差が少なく、持続時間が短かいが、強度は高いことが観測された。このことから、日本人英語学習者はピッチの高低差と持続時間の不足部分を強度で補おうとしていることが示唆された。また、男性よりも女性において英語母語話者に近い音響特徴が観測され、女性の方が英語における感情表現の習得が進んでいることも示唆された。さらに日本人の音声資料に関して、単音、プロソディ、感情表現、全体的印象を4人の英語母語話者(男女各2名)にそれぞれ評価してもらった結果、ラブレターよりもお悔やみの手紙の方が高い評価を得た。このことから、日本人英語学習者は愛情表現よりも哀悼表現において習得が進んでいることが示唆された。
著者
飯田 剛史 玄 善允 山口 健一 金 希姃 宮本 要太郎 小川 伸彦 片岡 千代子 石川 久仁子 李 定垠 北村 広美 田島 忠篤 金 賢仙 渡辺 毅 池田 宣弘 藤井 幸之助 稲津 秀樹
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

研究成果報告書『民族まつりの創造と展開』(上巻・論考編 287頁:14名の寄稿者による13編の論文と7本のコラム、 下巻・資料編 350頁:9編の資料)を作成した。学会報告を行った(研究連携者 田島忠篤「戦後北海道における民族マツリの展開」、韓国日本近代学会)。民族まつり実施団体および研究者のインフォーマルネットワークを形成し、今後の民族まつりの実施および研究上の連携にそなえた。
著者
金 金 八重樫 朋祥 澤田 建 斉藤 隼人 後藤 由希 中嶋 侑佳 澤井 健 橋爪 力
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第103回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.101, 2010 (Released:2010-08-25)

【目的】本研究は,日長や温度変化が反芻家畜の成長ホルモン分泌(GH)に及ぼす影響を明らかにするために,ヤギを人工気象室内で飼養し,日長や温度を変化させた時のGH分泌の変化を調べた。 【方法】成熟雌シバヤギを室温20°Cに設定した人工気象室内で,8時間明,16時間暗(8L-16D), 12時間明,12時間暗(12L-12D)及び16時間明,8時間暗(16L-8D)の人工照明下で飼養した。また12L-12Dの一定照明下で室温を25°C又は5°Cに設定した人工気象室内でもヤギを飼養した。それぞれの条件下で飼養したヤギの頸静脈内にカテーテルを留置し,15分間隔で4時間採血して血中GH濃度の変化を調べた。また各期に成長ホルモン放出ホルモン(GHRH: 0.25 µg/kg b.w.)を頸静脈内投与してGHの放出反応も調べた。GHパルスの解析はEllisら方法に従った。 【結果】(1) 照明を変化させた時,GHのパルス頻度には有意な変化は見られなかった。パルスの振幅は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区では高くなる傾向が見られた。平均GH濃度は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区は有意に高かった(P<0.05)。(2)温度を変化させた時,パルス頻度と平均GH濃度には有意な変化は見られなかった。GHパルスの振幅は25°C区に比べ5°C区の方が高い傾向にあった。 (3) GHRH投与実験においては,16L-8D区は8L-16D区に比べGH放出反応が高まる傾向が見られた。温度変化による差は見られなかった。 本研究の結果は,ヤギのGH分泌は温度変化より,日長変化により修飾されることを示唆する。
著者
金崎 俊彦 楢崎 千尋 峯 洋二 松岡 三郎 村上 敬宜
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.723, pp.1717-1724, 2006-11-25
被引用文献数
11 17

The effect of hydrogen on fatigue crack growth behavior of four stainless steels has been investigated from the viewpoint of martensitic transformation. The crack growth rates in hydrogen-charged SUS304 and SUS316 were accelerated. The crack growth rate in hydrogen-charged SUS316L was slightly higher than uncharged SUS316L. However, the crack growth rate in SUS405 hardly changed in comparison with uncharged specimens. The matensitic transformation on fatigue fracture surface was detected by X-ray diffraction both in hydrogen-charged and uncharged specimens of SUS304, SUS316 and even in SUS316L. However, the fracture surface of SUS316L, in which the crack growth rate was increased slightly by hydrogen, showed less martensitic transformation than that of SUS304 or SUS316. It is presumed that martensitic transformation in the vicinty of fatigue crack tip contributed to the effect of hydrogen on crack growth rate. Fatigue tests of SUS304 and SUS316L, which were pre-strained at -70℃ to enhance a martensitic transformation, were carried out to study the influence of hydrogen and martensite on crack growth. Crack growth rate was remakably increased by hydroggen in not only pre-strained SUS304 but also in pre-strained SUS316L. The hydrogen content of pre-strained hydrogen-charged specimen was much higher than unstrained hydrogen-charged specimens due to the increase in martensite through which hydrogen diffuses much easier and faster than through austenite. The slip bands around crack tip in the hydrogen-charged specimens were less and more discrete than that in the uncharged specimens.
著者
西村 修 水落 元之 稲森 悠平 山田 一裕 坂巻 隆史 徐 開欽 大村 達夫 金 主鉉 須藤 隆一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では干潟のもつ自然浄化機能として、干潟の陸側後縁を形成するヨシ原による栄養塩類の取り込み,干潟における栄養塩循環・脱窒、さらに藻場による栄養塩類の取り込みに着目し、それらの機能の評価・解析、機能を発揮させるための生態工学的手法開発を行った。本研究で得られた主な成果を以下にまとめる。1)ヨシ湿地に関する研究・下水処理水を高度処理するヨシ湿地の高機能化として充填担体の空隙率が栄養塩の除去能力に及ぼす影響を解析し、窒素除去には根圏微生物の硝化・脱窒作用が重要であり、適切な空隙率と水面積負荷で硝化・脱窒の同時反応が起こること、リンの除去は担体への吸着によるものがほとんどであり、空隙率の低いほうが適していることが明らかになった。2)干潟に関する研究・東京都内湾の護岸に生息する付着動物の浄化機能を評価し、護岸距離192kmで1日19tのCODを浄化していること、この値は東京都から流入するCOD量の23%に相当することが明らかになった。・葛西人工海浜の環境修復状況と、東西両なぎさの生態系の違いの要因について解析し、構造的な問題から降雨時に河川水の流入・停滞が発生して底生動物に大きな影響を及ぼすこと、そのための底生動物の種類数は造成前のそれに回復しているが安定していないことが明らかになった。3)藻場に関する研究・大型褐藻類アカモク(Sargassum horneri)の栄養塩吸収機能を解析し、温度、照度、栄養塩濃度、生育ステージと栄養塩吸収速度の関係を定式化した。そして,松島湾の栄養塩循環に及ぼすアカモクの栄養塩吸収機能の影響を評価し、5月におけるアカモク藻場は流入負荷の約7割を吸収し、水質改善に大きく寄与していることがわかった。
著者
伊藤 龍 寺井 明子 林 聰 金子 憲司
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.188-196, 1994-03-28
被引用文献数
2 2

ブラッシング圧が歯ブラシ毛を介して,口腔内組織に伝達される応力分布を定量的に明らかにするために,非線形有限要素法を用いて2つのケースの歯ブラシ毛の挙動を動解析し,次の結果を得た。1.歯肉モデル上のブラッシング運動の解析毛先形態が新規な形状である高度テーパード毛とラウンド毛の2種類の歯ブラシについて,毛の強制変位量が1mmとなるように歯肉に押しつけ,水平方向に6mmの振幅の運動を加えた。この時,ラウンド毛歯ブラシでは,歯肉に発生する応力は300〜600g/cm^2であったのに対し,高度テーパード毛歯ブラシでは,130〜200g/cm^2となり,かなり小さかった。2.歯周ポケットモデルへの毛先侵入の解析毛先形態が高度テーパード毛とテーパード毛の2種類について,各々2本の歯ブラシ毛を歯周ポケットに侵入させた。この時,高度テーパード毛は容易に歯周ポケットに侵入するが,テーパード毛では容易に侵入せず,周辺歯肉に対し高度テーパード毛の6〜7倍の高い応力を発生させた。また,高度テーパード毛の滑らかな侵入は,角度を変えてもほぼ同じ結果であった。
著者
工藤 眞由美 金田 章宏 狩俣 繁久 木部 暢子 佐藤 里美 山東 功 林 明子 吉村 裕美 吉村 裕美 三ツ井 崇
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、国際的にも大いに多様化の進んでいる日本語のバリエーションの問題について、言語類型論(Language Typology)、言語接触論(Contact linguistics)の立場から包括的に考察を試みた。具体的には、格やとりたて構造に関する言語項目調査について、諸方言に適用できる「統一した調査票」の改善についての検討を行った。また、ボリビア共和国サンタクルス県オキナワ移住地を対象とする言語的日常実践を描くエスノグラフィー的研究や、ドイツをフィールドワークとする、言語接触論的観点からの在外駐在日本人の言語生活調査を実施した。
著者
金武 潤
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

連続データの特性を生かした死後経過時間推算アルゴリズムの開発を目的として、新たに直腸温2次元温度分布測定用センサーを投入した実験系の構築を目指した。(1)2次元温度分布センサーの作製複数の熱電対を内装した専用装置を設計・作製し、寒天モデルを使用してその妥当性を確認した。肛門部から2cm間隔で8点を同時に測定することにより、長軸方向の温度分布を詳細に捉えることが可能となった。(2)可搬型疑似生体モデルの開発腰部マネキンモデルを作製し、長軸方向温度分布データの採取に成功した。しかし、全装置重量が20kgを超え、可搬ではあるものの死体発見現場に容易に持ち込み可能な水準ではない。モデル構成成分・材質等のさらなる検討が必要であり、またセンサー部とデータ解析・蓄積部の無線・赤外線通信等による分離の必要性が認められた。(3)ヒト死体温データの採取実験計画通り、宮城県下の5署に新たに開発され高分解能型小型温度データロガを配備し、剖検予定の死体を対象に直腸温データの採取を行った。従来法に比べ高精度の解析が可能となり、変曲点抽出が可能となった。一部は鑑定に採用し嘱託者に還元した。(4)実験動物を対象とした直腸温データの採取当初、小型動物としてウサギ、大型動物としてシカを対象に計画していたが、上記(1)・(2)の開発計画の遅れから、シカを対象にした予備実験のみ実行した。高分解能型小型温度データロガを用いて、3点計測によりシカ直腸温を採取した。長軸方向の温度分布が観察され、本研究の目的にかなったデータ採取が可能であることが確認された。
著者
金浜 耕基 金山 喜則 西山 学
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

シュッコンカスミソウの開花は遠赤色LED光によって促進され、LED光による開花促進効果はFLOWERING LOCUS T の発現においても認められた。また、遠赤色単独よりも、遠赤色光に、単独では開花促進効果を示さない赤色光や青色光を混合すると、著しい開花促進効果のあることが示された。シュッコンカスミソウのほかに、トルコギキョウや四季成性イチゴにおいても同様の傾向が示された。LED混合光の開花促進効果は電球型のLED光源(試作品)においても認められた。
著者
竹尾 富貴子 渡辺 ヒサ子 笠原 勇二 金子 晃 浅本 紀子 吉田 裕亮
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、これまで研究していた線形作用素の理論が、非線形作用素にどこまで発展させることができるかを検討し、更に非線形特有の理論であるカオス・フラクタルの特徴を、作用素論、確率論、ポテンシャル論、微分方程式論など様々な角度から研究することを目的で始めた。その成果として、作用素論の立場からは、セルオーマトンの極限集合をある種の遷移規則について、定常的になるもの、周期的なもの、カオス的なものなどのクラス分けを行い、さらにセルオートマトンの極限集合の存在について作用素に対する不変集合の立場から研究した。その際、線形作用素の場合の規則的な性質が非線形にどのように保存され、また非線形になるとどのように変わるかを注目して極限集合の存在などの研究をした。また、weighted function space L^P_PやC_<0,P>上の半群作用素は、発展方程式の解と関係あるが、その半群のカオス性などはスペクトルの性質から特徴づけられている。本研究ではadmissible weight functionの性質からsupercyclic,hypercyclic又はchaoticになる必要かつ十分条件を求めた。これにより、解がカオス性を持つ発展方程式の性質も求めることができる。この半群は、線形な半群作用素でも、カオス的な振る舞いをすることが分かり、興味深いものである。さらに、確率論、ポテンシャル論、微分方程式論などの立場から線形性と非線形性に着目しながら、発表論文に示しているように種々の結果がでている。これまで得られた結果を更に発展させて、線形理論をどこまで非線形な場合に拡張して美しい理論が得られるか、また半群理論の力学系からカオス・フラクタルについてどのような結果が得られるか、非線形解析学の立場から更に研究していく予定である。
著者
金田 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.134, pp.79-84, 2007-07-05
被引用文献数
1

RSVPやNSLPにちかいプロトコルによって端末からつたえられるQoS要求をコア網で集約してスケーラブルなQoS保証を実現する方式を設計・試作した.要求はポリシールーティングとアウトソース型のプロトコルによってポリシーサーバにつたえられる.ポリシーサーバが要求をもとにトラフィック量を予測してコアノードのキュー(WFQ)の帯域分割を制御する.このコアノードの制御の効果をL3スイッチGS4000にMMPPモデルにもとづくバースト性トラフィックをとおして評価した.その結果,大量の会話ビデオ・トラフィックとストリーミング・トラフィックとがあるときに,WFQにおける前者のウェイトを後者よりたかめれば,しかるべき条件のもとでは両者ともに満足させられることがわかった.
著者
秋水 和計 石井 健司 金田 茂 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.386, pp.1-4, 2003-10-17
被引用文献数
1

移動体通信網ではユーザや通信デバイスの移動に伴って、トラヒックの発生場所が時間と共に変わり、網内におけるトラビックの交流状況が変動する。我々はこの点に着目し、この変動に対してパス構成やノード機能配置を動的に最適化するための制御技術「Dynamic Network Topology Control」を検討した。本発表では本技術のフレームワークの提案と移動体通信トラヒックの分析手法、及びパス変更制御により想定されるコスト低減効果の評価手法について報告する。
著者
本橋 豊 金子 善博 三好 美生 佐々木 久長
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

秋田県H町に在住する30歳以上の地域住民2287名を対象に、基本的属性、抑うつ度(自己評価うつ病尺度)、家族や地域の支援度、家族に関連する精神的ストレス、ストレス対処行動、心身の自覚的健康度、メンタルヘルスリテラシー(うつ病のモデル的症例を呈示し、病気の知識と対処方法を尋ねる)、医療への近接度、閉じこもり傾向、死にたいと思った経験の有無、自殺に関する態度、周囲の自殺者の有無、心の健康づくりに関する要望等からなる包括的な質問票を無記名・自記式にて実施した。うつ病について的確な知識を持っている人の割合は若い人ほど高く、60歳を境にその割合が低下することが示された。以上より、メンタルヘルスリテラシーが不足しているのは、中高年であり、中高年に対するメンタルヘルスに関する健康教育に必要性が明らかになった。住民のメンタルヘルスデータをもとに、秋田県H町のメンタルヘルスの状態を地理情報システムを用いて解析し、抑うつ尺度得点やその関連要因の地理的分布を示した。抑うつ尺度得点やストレス度には地理的格差が認められ、地域保健対策を立案する上での優先順因の決定に地理情報の提供が効果的であった。地域保健担当者はこのような地理情報をもとに効果的な健康教育を推進することが可能になると考えられた。また、平成18年度より自殺予防の地域介入を開始する予定の能代市の地域自殺リスクを地理情報システムを用いて事前評価した。地域の自殺予防対策の介入を行う際に、どの地区に重点的な対策を講じるべきかを地理情報システムを活用した事前リスク評価により科学的に考慮することができることが判明した。本研究により、地域のメンタルヘルスリテラシーを測定するための標準化された手法が得られ、さらに地理情報システムを利用した統合的な地域診断システムが確立した。本研究の成果は地域の健康政策への応用が期待される。