著者
鈴木 琢也 井口 圭一 木下 琢也 石川 明洋
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.3Pin101, 2018

<p>建築物の安全性を支える構造に関する技術の理解には,高度な専門的技術・知識を必要とする。そのため,一般の人々から理解されにくいものとなっている。しかし,技術者が構造解析の結果や意味をよりわかりやすく伝えることができれば,一般の人々はより正しく「安全」を理解し,今以上に「安心」を得ることができると考えられる。「いかにわかりやすく伝えるか」は,建築技術者にとって重要な課題といえる。 本報では,新たにタッチで出来る構造最適化アプリケーションの対戦版を提案し,そこで利用する対戦コンピューターの戦略ロジックを決定するために実施した,各種最適化手法の適用性検討結果を報告する。</p>
著者
鈴木 宏子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
no.67, pp.428-423, 2019-03-01

[要約] 本レポートは、平成30年度(2018)4月に筆者が行なった、高大連携授業(千葉東高等学校基礎教養講座)の実践報告である。講義の内容は「和歌を楽しもう」というタイトルを掲げて、まず古典和歌を特徴づけているレトリックについて包括的な講義をしたのち、受講者自身に序詞を用いた和歌(短歌ではない)を創作してもらうものであった。目標としたのは、(1)受講者に古典に親しんでもらうこと、(2)受講者自身の日本語を耕すレッスンの場を設けること、の二つである。受講者が創作した和歌を紹介しつつ、授業の全体を記録・分析し、後日の授業実践への手がかりとしたい。
著者
鶴田 昌三 伴 清治 岩田 純士 川瀬 真由 鈴木 崇由 安藤 正彦
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

鏡面研磨した歯科修復用ジルコニアは撥水性であるが、(1) 歯磨によって水のぬれ性が向上すること、(2) 673K以上に加熱すると同じく優れたぬれ性を得ることを見出した。加熱試料上は細胞増殖能に優れ、インプラントの前処理として可能であった。XPS分析によると、表面に吸着したカーボン量が歯磨や加熱により減少していた。すなわち、歯磨には加熱と同様にジルコニア表面に吸着したカーボンを除去する働きがあり、このため親水性を獲得することを明らかにした。
著者
鈴木 亮平 深津 哲 大津 史子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.270-279, 2018-06-10 (Released:2019-06-10)
参考文献数
8
被引用文献数
2

The most frequently reported medical incidents were drug-related and made by nurses.Excessive dosing can cause adverse reactions and possibly lead to patient deaths. On the other hand, underdosing can delay treatment and prolong hospitalization. We investigated drugs associated with and factors leading to excessive dosing or underdosing incidents to clarify when pharmacists should intervene to reduce medication-related incidents. We analyzed incident reports collected by the Japan Council for Quality Health Care between January 2009 and June 2015. In total, we found 3,024 cases of excessive dosing and 2,119 cases of underdosing. In the excessive dosing group, dosing errors and the administration of an excessive dose without an order to do so comprised 785 cases and 482 cases, respectively. In the underdosing group, there were 902 cases of dosing errors and 366 cases where the dose was discontinued too early.We used logistic-regression analysis to compare cases of causative drugs and incident factors with dosing errors and other medical incidents. Our analysis revealed that there was a significant association between steroids, narcotic analgesics, antibacterial drugs and both excessive dosing and underdosing incidents. Also, there was a significant association between nurses not confirming the correct dose and misdosing incidents.It is easy for dosing errors to occur with the aforementioned drugs because the correct dosage varies with the patient's age, renal function, overall condition, and test results. These findings suggest that pharmacists in hospital wards need to check the correct dosage before administering the medication to prevent dosing errors.
著者
中村 凌子 鈴木 浩子 渡部 勇 高木 友博
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年, オンラインギャンブルデータを用いた行動分析の分野が発展している. しかし, 時系列の行動変化に関する研究は十分になされていない. そこで本研究では, 問題ギャンブリング (ギャンブルにより生活に問題が発生している状態) に至るプレイヤーの早期発見を目的として, オンラインギャンブル行動データにおいてShapeletによる距離測定を用いた時系列変化を定量化する分類器を提案する. 特に, 短期間での局所的な行動特性を表すLocal-Shapeletと長期間での大局的な行動特性を表すGlobal-Shapeletの予測能力を調査した. 予測実験は, 時系列特徴量の方が非時系列特徴量より有効であることを示す. また, 局所的な時系列特徴量と大局的な時系列特徴量の両方を特徴量として用いた方が精度が高いことも示す.
著者
高橋 和明 鈴木 通弘 斎藤 徹
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
Experimental Animals
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.307-311, 1979

アカゲザルの眼底撮影法について, 興和製携帯用眼底カメラRC-II型を使用して検討した。<BR>1.眼底のmonochrome撮影をフジネオパンF (ASA32) , フジネオパンSS (ASA100) を用いて行った結果, 撮影に適当なストロボ光量調節目盛りはそれぞれ50Wで6, 3であった。<BR>2.眼底のcolor撮影をフジカラー (ASA100: Negative, Positive) , サクラカラー (ASA100: Negative) を用いて行った結果撮影に適当なストロボ光量調節目盛りはそれぞれ50Wで2, 3, 3であった。<BR>3.螢光眼底撮影のために10%sodium fluoresceinを0.3ml/kg静脈内投与し, ストロボ光量調節目盛りを100Wで6とし撮影した。Kodak Tri-X (ASA400: Negative) を使用してKodak Wrattenフィルター47 (励起用) ×K.W.15 (ろ過用) の組合せでmonochrome撮影した結果, 良好な撮影像が得られた。Kodak Ektachrome High Speed (ASA160: Positive) を使用し, K.W.32 (励) ×K.W.56 (ろ) , K.W.47A (励) ×K.W.12・15 (ろ) , K.W.47 (励) ×K.W.12・15 (ろ) , フジフィルタ-BPB45 (励) ×BPB55 (ろ) の各組合せでcolor撮影し, 2倍増感現像を行った結果, 良好な撮影像が得られた。
著者
パーカー ジョセフ ドン 身内 賢太朗 水本 哲矢 西村 広展 奥 隆之 澤野 達哉 篠原 武尚 鈴木 淳市 高田 淳史 谷森 達 上野 一樹 原田 正英 池野 正弘 田中 真伸 内田 智久 服部 香里 岩城 智 株木 重人 岸本 祐二 窪 秀利 黒澤 俊介 松岡 佳大
出版者
日本中性子科学会
雑誌
波紋 (ISSN:1349046X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.218-222, 2013

<p>We have developed a prototype time-resolved neutron imaging detector employing a micro-pattern gaseous detector known as the micro-pixel chamber (μPIC) coupled with a field-programmable-gate-array-based data acquisition system. Our detector system combines 100μm-level spatial and sub-μs time resolutions with a low gamma sensitivity of less than 10<sup>-12</sup> and high data rates, making it well suited for applications in neutron radiography at high-intensity, pulsed neutron sources. In the present paper, we introduce the detector system and present several test measurements performed at NOBORU (BL10), J-PARC to demonstrate the capabilities of our prototype. We also discuss future improvements to the spatial resolution and rate performance.</p>
著者
長縄 慎二 山崎 雅弘 鈴木 耕次郎 岩野 信吾 中島 務
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

メニエール病はめまい発作、難聴、耳閉感を症候の主体とする良性疾患であるが、現実には、非常に多くの患者の社会的生活を奪う反面、決定的な診断法と治療法が未だにない難病である。2007年、ようやく我々が世界ではじめてメニエール病患者における内リンパ水腫を鼓室内Gd-DTPA注入後のMRIで画像化することに成功した。我々は世界に先駆けて、MRIによるメニエール病の内リンパ水腫検出法と評価法の開発を進め客観的診断法の確立をしてきた。めまいを伴うメニエール病患者では必ず球形嚢に水腫があることがわかった。また片頭痛や迷路奇形などの他疾患がある場合の内リンパ水腫への影響と評価方法の開発と検討を行った。
著者
斉藤 孝明 鈴木 賢次郎
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-4, 2000

切断面実形視テストの誤答原因を立体視化等により奥行き感を調節する方法を用いて探る試みが行われている。本調査では先に報告した実写映像版MCTと同様の視差を持つ線画版立体視MCTを開発し、その結果を実写映像版や透視図版の結果と比較した。主な結果を以下に示す。平均得点は透視図版と変わらず、実写版よりも低い。問題毎の正解率は、透視図版に比べて一部の問題で増加しているが、一部の問題では減少しており、相殺されて平均得点に差が現れなかったものと思われる。実写版の平均得点が線画版よりも高いのは実写版に固有の「面の陰影」によるものと考えられる。線画版・実写版いずれの場合でも全解答時間および問題毎解答時間に差は認められなかった。
著者
中島 彩 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中嶋 大喜 中村 葵 白岩 加代子 安彦 鉄平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.133-137, 2016

<p>本研究は健常成人女性14名を対象に,ヒールの高さの違いが歩行パラメータと下肢筋活動に及ぼす影響について検討した。ヒールなしおよびヒール高3cm と7cm 靴を着用した歩行中の歩行パラメータと下肢筋活動を計測した結果,歩行速度および歩幅とストライド長はヒールなし歩行に比べて,ヒール高7cm 歩行で有意に低下した。ヒールなし歩行とヒール高3cm 歩行のそれらの歩行パラメータには,有意差は認められなかった。両脚支持時間は,ヒールなし歩行に比べてヒール高3cm と7cm 歩行で有意に短縮したが,遊脚時間は後者が有意に増大した。下肢筋活動においては,測定した4筋すべてにおいて有意差が認められなかった。以上のことから,ヒール高3cm 以上で歩行中の立脚時間や遊脚時間に影響を与えるが,ヒール高3cm までであれば,歩行速度および歩幅やストライド長には影響が少ないことが示唆された。</p>
著者
米田 浩久 實光 遼 松本 明彦 岩崎 裕斗 金子 飛鳥 守道 祐人 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101928, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】課題指向型の運動学習条件としてpart method(分習法)とwhole method(全習法)がある(Sheaら,1993)。このうち分習法は獲得する動作を構成する運動要素に区分して別々に練習する方法であり、全習法は獲得する動作をひとまとめに練習する方法である。全習法は分習法と比較して学習効果が高く、運動学習の達成度は早い。これに対して分習法は学習した運動の転移が可能なことから難易度の高い運動に有用であるが、獲得から転移の過程を経るため全習法よりも時間を要する。一方、理学療法では早期の動作再獲得を図るため障害された動作の中核を構成する運動を選択的かつ集中的にトレーニングする分習法を採用することが多く、1 回あたりの治療成績は全習法よりもむしろ分習法の方が良好であり、早期に改善する印象がある。そこで今回、分習法による早期学習効果の検討を目的にバルーン上座位保持(バルーン座位)による下手投げの投球課題を用いて全習法と分習法による運動学習効果を比較検討した。【方法】対象者は健常大学生24 名(男子19 名、女子5 名、平均年齢20.4 ± 0.4 歳)とした。検定課題は以下とした。両足部を離床した状態でバルーン(直径64cm)上座位を保持させ、2m前方にある目標の中心に当てるように指示し、お手玉を非利き手で下手投げに投球させた。バルーン上座位は投球前後に各5 秒間の保持を要求し、学習課題前後に各1 回ずつ実施した。目標から完全にお手玉が外れた場合と検定課題中にバルーン座位が保持できなかった場合は無得点とした。目標は大きさの異なる3 つの同心円(直径20cm、40cm、60cm)を描き、中心からの16 本の放射線で分割した64 分画のダーツ状の的とした。検定課題では最内側の円周から40 点、30 点、20 点、10 点と順次点数付けし、その得点をもって結果とした。学習課題は3 種類の方法を設定し、それぞれA〜C群として無作為に対象者を均等配置した。全群の1 セットあたりの練習回数は5 回、セット間の休憩時間は1 分とした。A群では検定課題と同様の方法でバルーン上座位保持による投球をおこなわせた。実施回数は主観的疲労を感じない回数として12 セット実施した。B群は、まず椅座位での投球を6 セット実施した後、バルーン上座位を6 セット実施した。C群では椅座位での投球とバルーン座位を交互に6 セットずつ実施した。学習課題ではお手玉が当たった分画の中央の座標を1 試行ずつ記録し、中心からの距離と方向とした。得られた結果から、検定課題では学習前後での得点の比較をおこない、学習課題では各群の成功例を基に投球結果座標による中心からの平均距離を標準偏差で除した変動係数とセット間の平均距離の比の自然対数を基にした変動率による比較をおこなった。統計学的手法は、検定課題では学習前後の結果比較に対応のあるt検定を用い、A〜C群の比較として検定・学習課題ともにKruskal-Wallis検定とBonferroni多重比較法を実施した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮】対象者には本研究の趣旨と方法を説明のうえ同意を書面で得た。本研究は関西医療大学倫理審査委員会の承認(番号07-12)を得ている。【結果】学習課題前後の検定課題の平均得点(学習前/学習後)は、A群11.3 ± 16.4/26.3 ± 15.1 点、B群6.3 ± 9.2/33.8 ± 7.4点、C群10.0 ± 15.1 点/18.8 ± 16.4 点であり、B群で有意な学習効果を認めた(p<0.01)。学習課題中の投球結果の変動係数はA群19.67 ± 1.06、B群8.42 ± 0.49、C群13.50 ± 1.24 で、A群に対してB群で有意な減少を認めた(p<0.05)。また、学習中の投球結果の変動率は群間で有意差は認められなかったものの、他群に対してB群で安定する傾向を認めた。【考察】Winstein(1991)は、分習法はスキルや運動の構成成分を順序付ける過程の学習であるとしており、運動全体の文脈的な継続性を考慮して動作を学習させる必要があるとしている。本研究ではB群によって検定・学習課題とも他群に比べて良好な結果を得た。B群では分習法により投球とバルーン上座位を各々別に集中して学習したが、運動学習中の変動係数の減少と変動率の安定化を認めたことから、バルーン上座位での投球の重要な要素である動的姿勢を集中的に獲得できたことが全習法に対して効果が得られた成因であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から運動学習課題の設定によっては、全習法よりも学習効果が得られる事が示唆された。特に運動時の姿勢の改善を目的とする学習課題を分習法に組み込むことによって学習効果が向上する可能性があり、理学療法への分習法の応用に有用であると考えられる。
著者
荒木 健次 村山 敏夫 鈴木 誠
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.892, pp.117-130, 2005-01-31
被引用文献数
4

プリント配線基板の電源電圧や接地電圧の変動対策に追われる機器設計者が急増する中,電源系のシミュレーション技術が脚光を浴びている。デジタル・カメラやPDAなど数多くの機器の開発現場でこうしたシミュレーション技術の導入を始めているソニーが,静岡大学,静岡県立大学と共同で開発した3次元電磁界解析シミュレータ「BLESS」の詳細を明らかにする。
著者
蓬莱 明子 鷹野 美紀 鈴木 裕美
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.332, pp.24-38, 2003-09

飲食店経営者の仕事は、美味しい料理を出してお客に喜んでもらうことだけではない。「ヒト」や「カネ」をきちんと管理し、トラブルが起きてもその都度、きちんと対処できるようでなければ、一寸先は闇のこの時代に店を永続させることはできない。「その時」になって立ち往生しないために、起こり得る経営トラブルやその解決方法を、常に頭に入れておこう。
著者
清水 幸丸 鈴木 利明 松崎 健 森 健次朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.64, no.625, pp.2844-2851, 1998

Sport science progresses step by step in the world. The paper describes, the first, the relationships between fluid drag for a model of woman swimmer and the flow around it. The flow around the model swimmer is very complicated, and includes, for example, wave, some kinds of vortices, hydraulic jumping and so on. The complicated flows are visualized by the surface tufts method and so on. Second, the possibility of the reduction of fluid drag for a woman athlete swimming suit is challenged. The boundary layer control is applied to reduce the fluid drag. The separation occurs around the breast of a woman swimmer. The separation can be suppressed by the boundary layer control. Many beads are distributed on the breast area of a woman swimming suit. As the result, it is found that the fluid drag for the model swimmer can be reduced in a range of 1.5%&sim;2% by the suit with the boundary layer control, which is carried out by many beads.
著者
山口 大輔 上野 貴大 荒井 駿 佐野 井雪 山本 陽平 佐々木 和人 鈴木 英二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1511, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】徒手筋力計(以下:HHD)は筋力の定量的な評価を可能とし,簡便性,コスト面においても有用と考えられている。HHDを用いた下肢筋力測定法の信頼性・再現性については数多く検討されてきているが,未だに統一された見解に至っていない。現段階ではHHDを用いた測定法はDanielsらの徒手筋力検査法(以下:MMT)に準じて行うことが望ましいとされている。しかし,実症例に対してMMTの方法は測定肢位がとれない等の理由から正確な筋力評価が行えていない場合も少なくない。我々はHHDを用いた測定法で測定肢位に苦慮する股関節伸展,外転,膝関節屈曲において実症例に対する測定し易い別法を考案し,MMTの方法による測定値との間に正の相関があることを報告した(股関節伸展:r=0.57,股関節外転:r=0.68,膝関節屈曲:r=0.58)。そこで,今回は本法における検者内及び検者間の信頼性について検討したので報告する。【方法】測定機器にはHHD(モービィMT-100,酒井医療社製)を用い,測定単位は重量キログラム(kgf)とした。検者内の検討では1名の検者(臨床経験3年目の男性理学療法士)が30名の健常成人(男性24名,女性6名,平均年齢23.5±3.7歳)を対象に同日内での3回反復測定による信頼性を検討した。また,検者間の検討では3名の検者(臨床経験1年目の男性2名,女性1名の理学療法士)が健常成人5名(男性3名,女性2名,平均年齢24.4±2.6歳)の左右10肢を対象に測定し,3回の最大値を代表値として検討した。被験者の疲労が反映されないよう3日間に分けて測定し,測定順が同一にならないよう配慮した。また,検者には研究の目的,意義は教示せず,的確に実施できるよう測定方法と注意点のみ説明した。HHDを用いた別法は実症例で測定し易い肢位を考慮し,股関節伸展は足底と床面が離れた端座位を測定肢位とし,大腿遠位部後面と座面との間でHHDを圧迫する方法とした。股関節外転は背臥位で両側下腿遠位部にベルトを装着し,検者が対側下肢を固定した上で,被験肢の股関節外転を行わせるベルト固定法とした。膝関節屈曲は足底と床面が離れた端座位にて下腿遠位部にベルトを装着し,検者の抵抗に対し膝関節を屈曲する徒手抵抗法とした。検者内及び検者間での測定方法は統一とし,各測定時間は最大努力での約5秒間,各測定間には約30秒の休息時間を設け,計3回ずつ測定した。統計学的分析には級内相関係数(Intraclass correlation coefficients:以下ICC)を用い,検者内信頼性係数はICC(1,3),検者間信頼性係数はICC(2,3)を用いて算出した。また,統計処理にはIBM SPSS Statistics 21を用い,有意水準は1%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は所属機関の倫理委員会で承認を受け,全対象者に十分な研究内容を説明し,同意を得た上で実施した。【結果】検者内信頼性は股関節伸展ICC(1,3)=0.97,股関節外転ICC(1,3)=0.98,膝関節屈曲ICC(1,3)=0.98であった。検者間信頼性は股関節伸展ICC(2,3)=0.81,股関節外転ICC(2,3)=0.88,膝関節屈曲ICC(2,3)=0.81であった。【考察】ICCの評価基準として桑原ら(1993)は0.8~は良好,0.9~は優秀とし,Landisら(1977)は0.81以上をalmost perfectと述べている。本研究の結果では検者内及び検者間信頼性共に全項目で高い信頼性が得られた。股関節伸展のMMTに準じた測定方法は腹臥位をとることが必要条件となる。しかし,実症例では腹臥位がとれない対象も少なくない。平野ら(2004)は背臥位で股関節伸展の測定方法における信頼性を報告しているが,検者が2名必要であり,測定の簡便性に対しては不利となる為,今回は測定肢位を座位とした。測定結果には体重や重力の要因が加味されるため,被験者間での比較は困難であるが,臨床において個々の対象者における経時的な筋力評価には有用な方法と考える。股関節外転は測定肢位を背臥位,測定方法をベルト固定法にし,測定バイアスを最小限に留めたことで,比較的高い信頼性が得られたと考える。膝関節屈曲は臨床でより簡便性を重視した徒手抵抗法にて測定した。Reeseら(2001)はHHDを使用した測定方法の制約として,検者が十分な抵抗力を与えることができない事を挙げ,検者の抵抗力が測定結果に影響を及ぼす可能性があると報告している。しかし,本研究の結果では検者内及び検者間において高い信頼性を認め,徒手抵抗による膝関節屈曲測定法の有用性が示唆された。本研究の限界は,対象が健常成人である為,実症例で同様の結果が示せるか現段階では不明であるが,本研究結果での高い信頼性は本法の有用性を支持するものとなった。【理学療法学研究としての意義】実症例を想定した本法の検者内及び検者間信頼性の検討において有用な結果を示せたことは,今後の理学療法分野における筋力測定法の一助になると考えられる。
著者
豊島 由樹子 鶴田 恵子 長峰 伸治 熊澤 武志 鈴木 知代 酒井 昌子 樫原 理恵 野崎 玲子 黒野 智子 宮谷 恵 小平 朋江 藤浪 千種 清水 隆裕 藤本 栄子
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin School of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-10, 2019-03-31

本稿は、本学看護学部の2019 年度教育課程改定における活動内容の概要を記した。2012 年に教育課程変更を行って5年が経過したことや、教育職員免許法の改正により養護教諭課程の再課程認定に伴い、2019 年度に向けて看護学部教育課程の改定を行うことになった。2017 年度からカリキュラム検討委員会を中心に教育課程の検討を行い、2年間に渡って教育課程改定に向けて活動した内容をまとめた。2019 年度新教育課程としては、地域包括ケアシステムの推進に基づく社会の変遷にあわせた教育課程へと発展させるための学修内容の追加、本学の強みである充実した実習環境をもとに行われている臨地看護学実習を通して「生命の尊厳と隣人愛」に基づく教育理念を継続的に意識づけられるような教育課程を策定することができた。指定規則改正に伴う次の教育課程の改定に向けて、今回のプロセスが参考となることを期待する。
著者
尾形 隆 今井 大 市毛 明彦 山川 光徳 山田 和彦 大類 広 柘植 通 新野 恵司 鈴木 明彦 角田 卓哉 湯田 文朗
出版者
日本リンパ網内系学会
雑誌
日本網内系学会会誌 (ISSN:03869725)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.319-331, 1995

The expression of adhesion molecules on human tonsillar follicular dendritic cells (FDCs) <i>in vivo</i> on cryostat sections and <i>in vitro</i> on isolated FDCs on cytospin preparations was studied. Isolation of FDCs was performed using a magnetic cell sorter (MACS). Immunochemically, FDCs were positive for Mac-1 (CD11b), sialyl-Le<sup>x</sup> (CD15s), CD22, integrin &beta;1 (CD29), CD40, VLA-&alpha;3 (CD49c), VLA-&alpha;5 (CD49e), VLA-&alpha;6 (CD49f), ICAM-3 (CD50), ICAM-1 (CD54), B7 (CD80), and VCAM-1 (CD106). These adhesion molecules, except ICAM-3 (CD50) which was weakly positive only in the light zone (LZ), were positive with a lacy pattern in all zones of secondary lymphoid follicle, especially strong in the LZ. ICAM-3 (CD50) was positive on more than half of isolated FDCs, but other molecules were positive on almost all isolated FDCs. Concerning the ligands on B cells for these adhesion molecules, the Mac-1 (CD11b)-ICAM-1 (CD54), the ICAM-3 (CD50)-LFA-1 (CD11a/18), and the VCAM-1 (CD106)-VLA-4 (CD29/49d) interactions in the LZ, the sialy-Le<sup>x</sup> (CD15s)-L-selectin (CD62L) and the VCAM-1 (CD106)-VLA-4 (CD29/49d) interactions in the mantle zone, and the ICAM-1 (CD54)-LFA-1 (CD11a/18) interaction in the entire lymphoid follicle may participate in FDC-B cell adhesion. Furthermore, above mentioned immunohistochemical evidence that FDCs were positive for fibronectin-receptor (CD29/CD49e) and laminin-receptor (CD29/CD49f), was confirmed with a frozen-section binding assay, using isolated FDCs and cryostat sections of tonsils. The numbers of FDCs binding to germinal centers (GCs) were reduced remarkably by pretreatment with monoclonal antibodies for CD29 (32.8&plusmn;4.1% of the control), CD49e (29.7&plusmn;2.5%), and CD49f (18.8&plusmn;0.8%). These data clearly indicated that FDCs bind to the reticulin or laminin fiber in GCs via either receptor.