- 著者
-
井上 登太
鈴木 典子
- 出版者
- 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.1, pp.50-56, 2007-04-27 (Released:2017-04-20)
- 参考文献数
- 12
誤嚥を評価するスクリーニング法としては簡便であり,かつ低コスト・普遍性が高い等の条件を満たすものが望ましい.これらを満たす誤嚥評価項目として,むせ・咳,SpO2の低下,呼吸パターン変化,HRの変化,血圧変化,胸部呼吸音,頸部聴診法に注目し,これらの結果を同一症例のVF(嚥下造影検査)の結果と比較し評価した.その結果,呼吸音,頸部聴診法が,それぞれ93.2%,89.5%と高い感度を示した.しかしながら頸部聴診法に関しては,21.1%の症例におき偽陽性を示す結果となった.症例が元来もつ呼吸雑音,心雑音,頸動脈雑音が偽陽性出現を助長している可能性が示された.介護看護の場において簡便なこれらの聴診法を用いることにより,随時,臨床の場で嚥下状態が推測されうる.