著者
鈴木 理子 白頭 宏美 杉原 由美
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-20, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
18

大学で行われている自律型日本語学習クラスを初めて担当した教師Aにインタビュー調査を行い,教師にどのような気づきがあったのか,その気づきはどのようなことを契機にして起こったのかについて分析した。自律型クラスでは,学生が自身の日本語の強み,弱みを認識した上で,将来のことも考え,自分にとって必要な日本語学習を主体的に計画,実行し,評価する。教師は,これらの過程に関わりながら学生を支援する立場にあり,教える項目が決まっている授業とは,教師がすべきことが大きく異なる。分析の結果,教師Aの気づきには,「学生に対する認識」「自律型クラスに対する認識」「学生にとっての自律型クラスの意義」「自律型クラス内で教師が学生に対してすべきこと」「教師に必要な知識」「同僚とのやりとりの重要性」の6つがあった。また,これらの気づきの契機は「学生との相互作用」「同僚とのやりとり」であった。
著者
鈴木 高宏
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.319-324, 2011-03-01 (Released:2011-05-28)
参考文献数
4

長崎県はEV・PHVタウンの一つとして,特に離島におけるEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の実用化普及モデル構築を目指して「長崎EV&ITSプロジェクト」を進めている.本プロジェクトではまず五島列島を対象地域に,世界遺産候補の教会群をはじめとした観光資源を活用し,環境にやさしく島を巡る「未来型ドライブ観光」の実現を目指している.その第一段階として,ITS車載器を搭載したEV100台とPHV2台,急速充電器8箇所15基を導入している.導入したEV・PHVは主に観光用のレンタカーとして運用され,全国でも例を見ない高い頻度で利用されており,それにより多くの課題とその対応方法が明らかになってきている.本発表ではそのような実運用の状況について第一報を行う.
著者
鈴木 圭輔 宮本 雅之 平田 幸一 宮本 智之
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-7, 2015 (Released:2016-12-06)
参考文献数
20

【要旨】レム睡眠行動異常症(RBD)はレム睡眠中の異常行動を特徴とする睡眠時随伴症で、悪夢を誘因とした激しい行動により、自分自身またはベッドパートナーに外傷をきたす。本症は通常、覚醒を促すと夢と行動の内容を想起できることが特徴である。特発性RBDは50歳以降の男性に多く、有病率は一般人口の約0.5%と報告されている。病態機序としてはREM睡眠を調節する脳幹神経核(青斑核、脚橋被蓋核、背外側被蓋核、下外側背側核、巨大細胞性網様核など)およびその関連部位、扁桃体、線条体、辺縁系、新皮質などの障害が推定されている。RBDの診断は睡眠ポリグラフ検査(PSG)にて筋緊張抑制の障害の検出が必須であるが、PSG前のスクリーニングにRBDスクリーニング問診票が有用である。RBDの治療はクロナゼパムの就寝前投与が有効である。RBDの追跡研究ではパーキンソン病(PD)、多系統萎縮症あるいはレビー小体型認知症(DLB)などのシヌクレイノパチーに移行する症例が多くみられる。さらにRBDは嗅覚障害、色覚識別能障害、高次脳機能障害、MIBG心筋シンチグラフィーの集積低下、経頭蓋超音波にて中脳の黒質高輝度所見などのレビー小体関連疾患(PD、DLB)と共通する所見がみられる。このように、特発性RBDは神経変性疾患とくにレビー小体関連疾患の前駆病態である可能性が高く、神経変性疾患に移行する前の治療介入の可能性に関して注目されている。本稿ではPD、RBDでみられる認知機能障害についても概説する。
著者
石山 育朗 鈴木 政登 松原 茂 滝口 俊男 工藤 照三 鈴木 義久 佐藤 吉永
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.42-52, 1998-06-25 (Released:2010-07-21)
参考文献数
27
被引用文献数
2

本研究は, ガム咀嚼時の自律神経機能を調べるため, 心拍数 (HR), R-R間隔の変動係数 (CVRR), 指尖容積脈波 (PTG) の波高 (WH) と変動係数 (CVwH), 血漿カテコールアミン (pAd, pNorad) 濃度等を指標に用い, ガム咀嚼時の各指標の変化を観察した.被験者は健康な男性11名 (年齢24.5±4.1歳) であった. 実験は被験者を閉眼仰臥位にして行い, 硬さの異なる3種のガム (I, soft; II, semi-hard; II, super-hard) を用い, 毎秒1回のリズムでガムIから順にそれぞれ6分間咀嚼させ, 間に6分間の休息をとった. HR, PTGの記録は, 安静時, 各ガムの咀嚼開始時, 咀嚼終了2分前, 咀嚼終了直後および4分後と, ガムIII咀嚼終了10分後に記録した. 採血は留置翼状針を介し安静時, 各ガムの咀嚼直後とガムIII咀嚼終了10分後に行った. その結果, HRはガム咀嚼時に-過性に増加し, CVRRは硬いガム咀嚼時に安静値より低下, 咀嚼直後休息時に上昇した. WHはガム咀嚼時に低下し, 咀嚼後休息時も数分間低値が持続, CVWHはガム咀嚼開始時に安静値より上昇した. ガム咀嚼直後のpAd, pNorad濃度は上昇し, pNorad濃度はガム咀嚼実験終了10分後も高値を示した.以上の結果から, ガム咀嚼時には交感神経活動の亢進, 末梢血管の収縮が起こり, 全身運動時とは異なる調節機序が推察された. ガム咀嚼終了後の休息時と回復期には副交感神経活動が亢進するが, 末梢血管系等への交感神経活動も弱い亢進状態が持続することが示唆された.
著者
岩川 眞由美 野田 秀平 鈴木 利弘 大川 治夫 金子 道夫 堀 哲夫 池袋 賢一 雨海 照祥 中村 博史 平井 みさ子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日小外会誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.765-769, 1997
参考文献数
25

幼小児の帯下は,非特異性外陰膣炎が原因であることが多いが膣内異物も忘れてはならない疾患である. 今回,異物による帯下を主訴としながらも,多数の医療機関にて診断がつかず1年半の病悩期間を有した5歳児を経験した. 異物は全麻下にペアン,布鉗子の湾曲を利用しつつ容易に摘出できた. 摘出された異物は,ビー玉3個,人形の靴1足,プラスチックのビーズ7個,菓子包装紙1枚であった. 摘出後は経過良好で帯下も消失した.
著者
藤林 哲男 安田 善一 石本 雅幸 鈴木 久人 福田 悟 内木 宏延
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.171-176, 2001-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2 3

スズメバチ刺傷後に多臓器不全をきたした症例を経験した。治療経過と剖検所見を報告した。症例は74歳,男性で,スズメバチに襲われ,約50ヵ所刺され,近医に入院した。受傷12時間後より乏尿となり,翌日(受傷24時間後)に当院ICUに収容となった。収容時,意識清明。血圧190/130mmHg,脈拍113min-1。血液生化学検査では,腎機能障害(BUN:38mg・dl-1,Cr:2.5mg・dl-1),肝機能障害(GOT:10,120IU・l-1,GPT:2,550IU・l-1)および横紋筋融解(CPK:86,290IU・l-1)を認めた。急性腎不全に対し持続血液濾過を,ハチ毒除去の目的と肝障害に対して血漿交換を計5回施行した。総ビリルビン値は漸増し,第6ICU病日頃より意識レベルが低下(Japan Coma ScaleでIII-100,Glasgow Coma Scaleで6点)し,播種性血管内凝固進行のため大量下血をきたし第16ICU病日に死亡した。病理所見では,骨格筋,心筋および脳の散在性融解壊死,肝臓および腎の変性壊死が確認された。ハチ毒には細胞破壊に関与する高分子蛋白質が多数が含まれていることから,救命にはより早期の血漿交換が必要と考えられた。
著者
鈴木 遼
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.474-480, 2017-05-15

Siv3Dは,音や画像,さまざまなデバイスを使ったアプリケーションを,短く簡単なC++コードで開発できるフレームワークである.本稿では,20〜50行のSiv3Dプログラムで作れる,音と画像で遊ぶ5つのインタラクティブなアプリケーションを,実際のコードを交えて解説し,音声処理や画像処理プログラミングの面白さを紹介する.
著者
鈴木 猛康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_152-I_160, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震では,牡鹿半島で水平方向に5.3mの地殻変動が観測されたのをはじめ,地殻変動は東北地方にとどまらず,関東,中部,そして近畿地方まで及んだ.この地震の後,山梨県の西湖では,湖面上のボートがゆっくりと1m程度の振幅で上下に振動し,湖岸では津波のような波が押し寄せ,魚や貝が岸に打ち上げられた.本論文では,西湖の近くで観測された地震動に含まれる1分程度の長周期地震動成分を分析し,その卓越周期と西湖の閉鎖水域の断面形状に基づいて定義されるセイシュの1次固有周期を比較している.さらに,西湖の模型を製作し,模型の閉鎖水域を長周期地震動の卓越方向に加振することにより,模型の矩形の閉鎖水域の長辺方向に大きな水面変動が発生することを確認している.その結果,本論文では,2011年東北地方太平洋沖地震の際に西湖で見られた津波のような現象を,サイスミック・セイシュによって説明するものである.
著者
鈴木 邦夫 森本 励 高山 純一 片岸 将広 松矢 裕一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_197-I_204, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
10

金沢市では,平成23年2月に,学識者,国土交通省金沢河川国道事務所,石川県,金沢市,石川県警察本部及び所轄警察署から構成される「金沢自転車ネットワーク協議会」が設立され,平成24年3月に「金沢自転車通行空間整備ガイドライン(案)」を策定した.安全で快適な自転車通行空間整備にあたっては,自転車が走行すべき「車道の左側端」を明示する必要がある.しかし,自転車通行空間の幅員と自動車走行速度(規制速度)の関係については,十分に明らかにされていないのが実態である.そこで本稿では,金沢市内で実施した自転車走行調査の結果をもとに,自転車通行空間の幅員と自動車走行速度(規制速度)との関係について分析・考察することを目的とする.
著者
山口 雄仁 鈴木 昌和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.65, pp.23-27, 2012-05-18

デジタル教科書の本格導入が近い将来予定されている中で,理数系デジタルコンテンツのアクセシビリティは積み残された大きな問題である。ここでは,近年アクセシブルな電子書籍の形式として世界的に広く普及しつつあるDAISY(Digital Accessible Information System)を取り上げ,テキストDAISY形式による日本語理数系教科書製作の問題点を議論する。テキストDAISYの日本語音声合成による読み上げでは,専門用語の読み間違い,息継ぎや抑揚のおかしな箇所などがしばしば見られる。さらに日本語固有ではない問題として,数式の読み間違いも発生する。しかし現行のDAISYにはそれらを適切に修正・制御する方法がないため,DAISY形式のデジタル教科書を製作する上で問題が大きい。さらに障害者自身がDAISYコンテンツを製作できないという問題もある。我々はDAISY形式の改良を提案するとともに,全盲者用の数学文書エディタを元に新たにテキストDAISY編集・閲覧ソフトウェアを開発した。これを用いれば,晴眼者・障害者両方が,非技術的内容から理数系文書までの,読み間違いのないDAISY書籍を製作できる。
著者
藤原 陽三 絵内 正道 鈴木 憲三 羽山 広文
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.628, pp.767-774, 2008-06-30 (Released:2009-09-30)
参考文献数
9
被引用文献数
4 2

In order to search trends in further energy saving in highly insulated and airtight houses in Hokkaido, Japan, an actual-condition investigation on a central-heating system fitted in five such houses, each with different methods of construction, was performed. The results were obtained as follows.:1)The equivalent leakage area value of a steel frame construction was 3.2cm2/m2 that was less than a two-by-four construction(0.33cm2/m2) and a conventional wood construction(1.1-1.7cm2/m2) .It is important to be improved air-tightness of steel frame construction houses by various construction methods. 2) Heat loss coefficient estimated from these experimental results was 0.94 -1.59W/(m2•K). To reduce energy consumption for heating,it will become more important to improve thermal-insulation properties and air tightness.3) The heating-system efficiency obtained from these experimental results was in the range of 72 to 93%. Although the ratio of actual boiler capacity to demanded heat-source capacity extrapolated from actual measurements ranges from two to three times,the effect on system efficiency was less than 10%.However it is necessary to include this 10% in the task of planning a heating system.
著者
鈴木 和春
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.128-130, 2005 (Released:2013-02-19)