著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 青山 道夫 広瀬 勝巳
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

A series of accidents at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (1F NPP) following the earthquake and tsunami of 11 March 2011 resulted in the release of radioactive materials to the ocean by two major pathways, direct release from the accident site and atmospheric deposition. Additional release pathways by river input and runoff from 1F NPP site with precipitation and were also effective for coastal zone in the specific periods before starting direct release on March 26 2011. The activities attributable to the direct release were observed adjacent to the 1F NPP site. The sea side impermeable wall was closed at 26 October 2015. We estimated the direct release rate of 137Cs, 90Sr and 3H for more than four-and-a-half years after the accident by the Regional Ocean Model System (ROMS).Direct release rate of 137Cs were estimated by comparing simulated results and measured activities adjacent to the 1F NPP site (adjacent to 5,6 discharge and south discharge). Direct release rate of 137Cs was estimated to be 2.2 x 1014 Bq/day and decreased exponentially with time to be 3.9 x109 Bq/day by 26 October 2015. Estimated direct release rate have exponentially decreased with constant rate since 4 November 2011. Apparent half-life of direct release rate was estimated to be 346 days. The estimated total amounts of directly released 137Cs was 3.6±0.7 PBq from 26 March 2011 to 26 October 2015. Simulated 137Cs activities attributable to direct release were in good agreement with observed activities, a result that implies the estimated direct release rate was reasonable. Simulated 137Cs activity affected off coast in the Fukushima prefecture.90Sr/137Cs activity ratio of stagnant water was 0.05 in the basement of the 1F NPP reactor 2 turbine building on 27 March 2011. Direct release rate of 90Sr was estimated to be 1.1 x 1013 Bq/day from 26 March to 6 April 2011 using the activity ratio in stagnant water because the stagnant water released to the ocean in this period (Tsumune et al., 2012). And the temporal change of direct release rate was estimated by the measured 90Sr activity adjacent to 1F NPP. Directly release rate decreased exponentially to 3.9 x 1010 Bq/day by 30 April 2011. The direct release rate was constant and decreased exponentially from 27 June to 16 December 2013. And the direct release rate was 2.9 x 109 Bq/day by 26 October 2015. The estimated total amounts of directly released 90Sr was 208 ± 42 TBq.3H/137Cs activity ratio of stagnant water was 8.7 x 10-3 in the basement of the 1F NPP reactor 2 turbine building on 27 March 2011. Directly release rate of 3H was estimated to be 1.9 x 1012 Bq/day from 26 March to 6 April 2011 and decreased exponentially by 16 April 2011. The rate was decreased exponentially with constant rate by 26 October 2015. The direct release rate was estimated to be 7.7 x 109 Bq/day at 26 October 2015. The estimated total amounts of directly released 3H was 131 ± 26 TBq.
著者
青山 郁子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-4, 2017

<p> 本研究は,高校生のインターネット上でのコンタクトリスク行動に関連する防御・リスク要因を特定することを目的とした. 高校生200名を対象に, ネット上でのコンタクトリスク行動, 通信機器でのフィルタリング・ペアレンタルコントロールの有無,ネット使用における保護者による統制実践, 保護者によるモニタリング, 接続自由, 保護者との信頼関係, 学校での所属感, バーチャルな人間関係への親近感を測定し,関連を検討した. 結果は,コンタクトリスク行動とフィルタリングの有無で実質的な差は見られなかった. コンタクトリスク行動の予測に関しては,学校での所属感, バーチャルな人間関係への親近感, 接続自由が有意な説明変数であった. </p>
著者
青山 夕夏
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告. 第I部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.17-32, 2006

In this article I discuss some modern Japanese works for flute composed mainly from the 1920s to the 1930s including Koscak Yamada's pieces. These works were created under the influence of interrelationship between many artists of various fields. For example, when a female Japanese poet Sumako Fukao was staying in Paris, she was given flute lessons by a virtuoso Marcel Moyse who got interested in Japanese music through meetings with her. Their cross-cultural exchange further influenced some Japanese composers who started on creating new pieces for flute. This article focuses on such complicated human relationships that encouraged the creation of several pieces of Japanese modem flute music. This article is a greatly enlarged and revised edition of a program note of the concert entitled the Beginning of Flute Music by Modern Japanese Composers, where I performed these pieces at Kanazawa Phonograph Museum as a part of the concert series Music Live Circuit '06 in Kanazawa.
著者
安藤 耕平 前原 孝光 齋藤 志子 青山 徹 足立 広幸 益田 宗孝
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.367-372, 2011-05-15
被引用文献数
2

原発性自然気胸の再発が予測できるかについて検討するために,初発時に保存的治療を行った218症例を,その後再発した群(74症例)としなかった群(144症例)とに分け,再発に関わる因子について分析した.患者背景は平均年齢24.5歳,男/女199/19症例,対側の気胸の既往あり/なし21/197症例,喫煙歴あり/なし/不明93/75/50症例であった.単変量解析では,25歳未満(再発率42%),女性(63%),対側気胸の既往あり(57%),喫煙歴なし(55%)の症例で有意に再発率が高かった.多変量解析では,喫煙歴がないことのみが独立した再発の予測因子であった(p=0.006,odds比2.410).以上から,非喫煙者の原発性自然気胸は再発率が高いので,初発時でも患者の意向を考慮した上で手術を検討しても良いと考える.また,非喫煙者と喫煙者とでは自然気胸の発生のメカニズムが異なると推測される.
著者
神部 順子 長嶋 雲兵 山内 あい子 青山 智夫
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.91-102, 2007
被引用文献数
1 1

OECDによるドナウ川の水質データの経年変化に関し,欠測データを含むデータの解析が可能な多階層型ニューラルネットワークシミュレーション(CQSAR)法を用いて,欧州の河川再自然化政策等による河川の水質浄化の有効性およびダム建設の影響を検討した.<BR>ドイツ圏で施行されている河川再自然化や水質浄化政策はT-P値の改善にはあまり効果がなかったが,DO,BOD値を改善していた.特に,ドナウ川のハンガリー流域でのBOD値に浄化傾向がみられた.ドナウ川のBOD値から自然浄化作用が河川浄化策の施行により回復してきていると判断できた. <BR>スロヴァキアとハンガリー間のドナウ川に設けられたダム(ガブチコボ・ナジュマロシュ・ダム)の影響は,DO値は悪化される傾向にあり,逆にBOD値は改善される傾向にあった.また,ダム建設によりダム下流のドナウ川のハンガリー流域でのDO値やBOD値が,ダム上流域の水質と関係しなくなったことが明らかになった.
著者
宮腰 靖之 永田 光博 安藤 大成 藤原 真 青山 智哉
出版者
北海道立水産試験場
雑誌
北海道水産試験場研究報告 = Scientific reports of Hokkaido Fisheries Research Institutes (ISSN:21853290)
巻号頁・発行日
no.83, pp.41-44, 2013-03

2003~2005年の5~6月,北海道オホーツク海側東部の網走沿岸で刺網,釣り,表層曳網により魚類を採捕し,サケOncorhynchus ketaあるいはカラフトマスO.gorbuscha幼稚魚の捕食の有無を調べた。サクラマスO.masou,ソウハチHippoglossoides pinetorum,クロソイSebastes schlegelii,コマイEleginus gracilisの4種がサケあるいはカラフトマスの幼稚魚を捕食していた。Nagasawa(1998)は日本沿岸におけるサケ幼稚魚の魚類捕食者を9種記載しているが,ソウハチ,クロソイ,コマイの3種は含まれておらず,これら3種については本報告がサケあるいはカラフトマスの魚類捕食者として新たな記載となる。
著者
森田 孝夫 藤本 眞一 城島 哲子 吉川 正英 石指 宏通 赤井 靖宏 青山 美智代 白嶋 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.268, pp.17-22, 2009-10-30

チーム基盤型学習(TBL)は個人学習、グループ学習、全体セッションの三つの過程からなるインタラクティブな授業方法である。「LENONシステム」((株)寺田電機製作所)はレスポンスアナライザーの一種で、クラスメンバーの意見を「face to face」で瞬時に把握できるため双方向対話型授業に有用であり、TBLにおいては全体セッションを効果的に運営するために用いられていた。今回、TBLの「グループ学習」で用いる「PCスクラッチカード」を新たに開発し「LENON」に追加したため、「LENON」はTBLのすべてのプロセスを支援できるツールとなった。「LENON」によるTBLの支援の概要について報告する。
著者
喜多 悦子 江藤 節代 本田 多美枝 上村 朋子 青山 温子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

「人間の安全保障」は、個々の人間は暴力/紛争と、適切な保健サービスの利用・就学・就業・移動など、身近な欠乏から護られるべきとする概念だが、世界人権宣言など、古くから理念の集約とする意見もある。しかし、本理念が新たに必要になったのは、近年、多発する地域武力紛争(Complex Humanitarian Emergency、CHE)や国際武力介入、併発するテロ、巨大自然災害・新たな感染症、格差や貧困など、現在の地球上の人間の安全を脅かすものは、これまでの「国家安全保障」の範疇にはなく、改めて個々人の安全が問われているからといえる。一方、世界で最大多数を占める保健医療者として、人々の安全における看護者の役割は明確でない。本研究では、わが国の看護教育をふくめ、類似の概念があったかどうかを検討し、近隣諸国における看護およびその教育での扱いを調査してきた。これまで、わが国および近隣諸国の保健医療面、特に看護者に「人間の安全保障」の概念があるかどうかを調査したが、明確な認識があるとの確証は得られなかった。アジア随一のドーナーでもあるわが国には、160を超える看護大学と数百看護専門学校があり、看護職養成施設数は充足している感があり、また、その多くで国際保健/看護を扱っているが、国内的にも国際的にも、「人間の安全保障」の概念が取り入れられているとは云い難い。近隣諸国の看護職は、なお、その社会的地位の確立がなされていない上、教育においても、技術的に終始していることが多く、理念、ことに「人間の安全保障」の概念すら明確に理解されていない。国際看護師協会(International Council of Nurses,ICN)の謳う看護者の役割とも矛盾しない保健面における「人間の安全保障」の実践に看護職者の関与が期待されることを、研究報告書としてまとめた。
著者
青山 英幸
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.46-83, 2016

<p>この点描は、2014年11月『アーカイブズ学研究』編集部からの問いあわせがきっかけで、数回の打ち合わせののち、1980年代以降のヨーロッパ文化圏のアーカイブズ・コミュニティにおける国際協力の動向を、アジアのもっとも北東にいるわれわれの同業者たちに紹介することとした。それは、ふたつの分離したプロフェッション・コミュニティ――ひとつはアーキビストでローマ文明にルーツがあり、もうひとつはアーキビストからの分派、レコードマネジャーで、1950年代半ばに合衆国で発生し新大陸に普及――、これらの統合について議論がなされてきたこと。そして、電子環境下の1990年代から2000年代にかけて、DNAとして埋め込まれたライフ・ヒストリーのメタデータによってコントロールされる情報/オブジェクト――ドキュメント――レコード――アーカイブズの連環実体に関するアーカイブズ・レコード・マネジメント:ARMについての国際標準が、ICAやISOによって公表され、理論と方法論および実務フレームワークにおけるアーカイブズ科学とアーカイブズ学教育が確立してきたことである。このような動向がこの時点でなぜ、どのようにして起こったのか、という疑問が生じるとすれば、どんな答えをわれわれは用意することができるのであろうか。たとえば、カナダのアーキビストTerry Cookによる1990年代半ばの論文――現代アーカイブズの古典<i>Dutch Manual</i>の再評価――は、答えを明確にあるいは暗に示唆するであろうか。おそらく、これらのプロフェッションの統合についてのひとつの道筋を語るであろう。オランダ・アーキビストP. J. Horsman、F. C. J. Ketelaar、T. H. P. M. Thomassenたちによる「<i>ダッチ・マニュアル</i>入門」によると、アーカイブズの科学と方法論の諸原則は、オランダにおけるアーカイブズ・コミュニティの固有な歴史背景にもとづいて発生し、定式化したことを明示しており、また同時に、それら諸原則は、共通した歴史背景――ポスト・ナポレオンのヨーロッパにおける学問という知性の揺りかご全体がもたらした、と指摘している。それで、この点描では、イタリアとカナダのアーキビストLuciana Durantiの1980年代末から1990年代後半にいたる一連の諸論文と、ほかのアーキビストや歴史家の論文などによって(ただし英語論文を主とする)、ヨーロッパ文化圏におけるアーカイブズとその科学の歩みを読むことにしよう。これは、先の答えを与えるだけでなく、アーカイブズ世界のより一層豊かな理解をもたらすであろう。しかし、筆者はチャートもコンパスもない素人。この航海が無事であるのを祈りつつ、筆を下ろそう。</p>
著者
中村 好一 伊東 剛 千原 泉 定金 敦子 小谷 和彦 青山 泰子 上原 里程
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.807-815, 2010-09-15
被引用文献数
2

<b>目的</b> 警察のデータを用いて栃木県の自殺の実態を明らかにし,自殺対策を進める上での要点を示すと共に,警察データの利点と問題点を検討する。<br/><b>方法</b> 栃木県警察本部から提供を受けた2007年,2008年 2 年間の自殺データ(小票)を集計解析した。<br/><b>結果</b> 栃木県における観察した 2 年間の自殺は1,166件(男865件,女301件)であった。人口あたりの自殺件数は全国と比較して高い傾向にあった。男では50歳代が最も多かったのに対して,女では30歳代から70歳代までほぼ同じ人数であった。20歳代,30歳代で人口あたりの件数が全国よりも高い傾向が観察された。平日の早朝や午前10時台に多い傾向が観察された。自殺場所は自宅が最も多く,手段は縊死が最も多かった(いずれも全体の約 6 割)。自殺の原因・動機(1 件の自殺について 3 つまで選択)では健康問題が最も多く(61.3%),次いで経済・生活問題(22.7%),家庭問題(17.3%)であった。健康問題では身体疾患と精神疾患がほぼ半数ずつを占めていた。経済・生活問題は20~60歳代の男で圧倒的に多く,中でも多重債務が多かった。約 3 分の 1 の者が遺書などを残していた。15.9%は自殺未遂の経験があった。以上のような結果をもとに検討した結果,栃木県の自殺対策を推進する上で,(1)学校保健や職域保健のさらなる充実,とくに20歳代および30歳代男への対応,(2)自殺のリスクが高い者に対して,家族への指導などにより常に他者の目が届くようにしておくことの重要性,(3)自殺未遂経験者へのハイリスク者としての対応,(4)相談窓口(とくに多重債務)の充実と住民への周知,(5)身体疾患をもつ患者の心のケアの充実,(6)精神疾患をもつ患者の治療を含めた管理の充実,の 6 点が重要であることを示した。さらに,警察データにおける原因・動機は,現場を捜査した警察官が判断しているために,心理学的剖検と比較すると情報の偏りが大きく妥当性は落ちるが,全数を把握しているために選択の偏りはなく,この点は心理学的剖検に勝るものであることを議論した。<br/><b>結論</b> 警察のデータを用いて栃木県の自殺の実態を明らかにし,栃木県での自殺対策を進める上での要点を提示した。利点と問題点を理解した上で利用すれば,警察のデータも自殺予防対策に有用な情報を提供することを示した。
著者
上野 満雄 中桐 伸五 谷口 隆 有沢 豊武 三野 善央 小寺 良成 金澤 右 雄山 浩一 小河 孝則 太田 武夫 青山 英康
出版者
Japan Society for Occupational Health
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.483-491, 1984

日本国有鉄道の新幹線は,早朝から深夜まで過密ダイヤのもとで,高速度を出して走行している.したがって,新幹線車両の清掃労働者は主に,深夜労働に従事することを余儀なくされ,頻回な夜間勤務を行っている.本研究は,新幹線車両清掃労働者の健康に及ぼす夜間勤務の影響を検討したものであり,特に,連続夜勤の回数と健康障害の関係について評価を行った.本研究は二つの調査研究から成っている.<br>最初の研究では,勤務実態と健康実態を明らかにするため, 1か月間の夜動の頻度,連続夜勤の回数,自覚症状を調査した.調査は,大阪駅で働く246人の男性清掃労働者に対して,日本産業衛生学会交代勤務委員会作成の質問用紙を配布する方法を用いて, 1981年に実施した.調査結果は,勤務形態別に3グループに分けて比較検討を行った.<br>グループAは,夜勤専従者であり,勤務編成は,週に5回の連続夜勤を基本とする102人のグループである.グループBは,一昼夜交代で週3回勤務をする124人のグループである.グループCは,週6回勤務の日勤者20人である.これら勤務の形態別比較の結果,グループAにおける胃腸障害,全身疲労感の訴え率が最も高く現われていた.<br>最初の研究結果にもとづいて, 2番目の研究では,連続夜勤の回数と健康障害の関係について検討を行うため,ケース・コントロールスタディを行った.研究対象は,最初の研究で対象とした夜勤労働者の中から60人を5歳階層ごとに無作為抽出し, 3グループに分け各グループ20人ずつとし,方法は,産業衛生学会疲労研究会作成の疲労自覚症状を勤務の前後で1労働週にわたって自記させた. 3グループは,グループA20人,グループB20人,グループD20人である.グループAとBは,最初の研究の同じ勤務形態であるが,グループDは,グループAのコントロールとして,夜勤3日目を非番日に変えた勤務に従事させた.調査の結果,グループAとBでは最後の勤務後に疲労自覚症状の訴え数が第1日目の勤務前と比べて有意に増加していたが,コントロールのグループDでは訴え数の有意な増加は認められなかった.<br>これら二つの研究結果から,夜間勤務の形態と労働者の健康状態の間に密接な関連があり, 5連続夜勤の3日目を非番日にすることは,労働負担を軽減するうえで効果的であることが明らかとなった.したがって, 5回以上の連続夜勤に就労する新幹線清掃労働者の職業的健康障害を防止するためには,連続夜勤回数の頻度や労働時間に関する勤務条件の改善がなされるべきであると考えられた.