著者
高橋 栄一 小池 汎平 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.867-876, 1991-07-15
被引用文献数
2

本研究は 大規模な知識処理の高速実行を目的として研究を進めている並列処理マシン PIE64の相互結合網の開発関すもので.一般に並列計算機において 相互結合網は計算機アーキテクチャの良否決定する重要なファクタの一つであり 相互結合網の性能や特徴は システム全体の処理能力と処理方式に重要な影響を与える.PIE64におけるプログラムの実行は 細粒度のプロセスを動的に生成し かつ割り付けろことにより行われ この実行過程で発生するプロセッサ間通信を効率的に支援するような特性を有する相互結合網を構成する必要がある.本稿では まず PIE64の相互結合網としてどのような構成のネットワークが最適かを考察し (1)回線交換 (2)ノンバッファリング (3)多段網 (4)動的負荷分散支援 (5)二重構成(同一構成の独立した二つのネットワークを用意)などの特徴を有するネットワークが PIE64 の相互結合網として妥当であることを述べる.次に 相互結合網ハードウェアの実装方法を検討し 実際の実装過程について説明する.最後に 作製した相互結合網ハードウェアの予備評価として 経路設定や転送遅延など基本的な機能や信号伝送路の品質などの電気的特 性の測定結果を検討し PIE64の相互結合網として十分な性能を持つことを示す.
著者
山本 達之 高橋 哲也 山本 直之 神田 啓史 伊村 智 工藤 栄 田邊 優貴子
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

南極上空に南半球の春先に発生するオゾンホールの影響で,地上への紫外線照射量が増加したための生態系への影響を,動物の眼の組織に注目して, FT-IRやラマン散乱スペクトルなどの分光学的手法によって調べた。その結果,牛眼の角膜のコラーゲン分子が,紫外線によって断片化していることが明らかになった。また,牛眼の水晶体のクリスタリンが,紫外線照射によって黄変し,トリプトファン残基だけが特異的に破壊されていることが明らかになった。
著者
長谷川 義朗 高橋 洋子 日比野 靖 長沢 悠子 尾松 純 山賀 谷一郎 中嶌 裕
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.375-381, 2007-11-25
被引用文献数
4

試作セメントの透明度の違いによる上部材料への色調の影響を調べた.実験には5種類の酸化チタンの配合量を変えたセメントを用いて,上部材料にセラマージュを2種類と支台歯材料にダイカラーチェッカーを2種類使用した.測定はそれぞれの材料を重ね合わせ分光測色器にて行った.なお酸化チタンが無配合のものをコントロールとした.その後,得られた結果から色差を算出した.結果は,支台歯材料と上部材料がともに明るい,または暗いときセメントの透明性を変化させても色差に変化はほとんど見られなかった.しかしながら,支台歯材料が暗く上部材料が明るいとき,セメントの透明性が低下すると上部材料の色調に影響を与えた.上部材料の色調はセメント層の透明度だけでなく,支台歯材料の色調にも影響されることが推察された.
著者
花見 正幸 松本 浩良 野村 靖夫 高橋 令冶
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.699-702, 1996-07-25

イソプロテレノール(ISP), ヒドララジン(HYD), カフェイン(CAF), シクロホスファミド(CYC)とアドリアマイシン(ADR)をLD_<50>または1/10 LD_<50>でラットに一回静脈内投与し, 1 hrと4 hr後の心筋病変の病理組織学的評価を行った. ISP群でLD_<50>投与1 hr及び4 hr後と1/10 LD_<50>投与4 hr後に, HYD, CAFとCYC群でLD_<50>投与4 hr後に, 心筋線維の均質で強い好酸性化, 過収縮帯形成と断裂からなる病変を認めた. 病変は, ISP, HYDとCAF群で左心室壁内側1/3と左心室乳頭筋, CYC群では左右心室心筋全域に分布していた. ADR群では心筋病変は誘発されなかった.
著者
高橋 周
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.27-46, 2006-05-25

The purpose of this paper is to clarify the causes of increase in Japan's import of fertilizers from 1904 to 1913, mainly considering its relationship to the global market. This paper focuses on three types of fertilizers: bean oil cake, fish oil cake, and ammonium sulfate. While bean oil cake was the most popular nitrogenous fertilizer that farmers bought during this period, fish oil cake had been used during the 19th century, and ammonium sulfate became popular after World War I. The import of the three fertilizers suddenly began increasing during (or after) the Russo-Japanese War (1904-1905), a trend that continued until 1907. From 1908, when the Japanese economy was in depression, there was competition among the three fertilizers, and the use of bean oil cake and ammonium sulfate increased, while that of fish oil cake decreased. The prices, which were determined by the global trade, influenced this competition. Japanese agriculture acquired a stable supply of various fertilizers by purchasing widely from throughout world. Bean oil cake shared half of the fertilizer import during this period, which was the result of the rational choices taken with the global market in mind.
著者
白岩 孝行 西尾 文彦 亀田 貴雄 高橋 昭好 戸山 陽子 MURAVYEV Yaroslav D. OVSYANNIKOV Alexander A.
出版者
日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.25-40, 1999-01-15
被引用文献数
1 5

カムチャツカ半島ウシュコフスキー氷冠において雪氷コア掘削ならびに現場解析を実施した.標高3,901m,氷厚240mを有するK2地点に総計2.4トンの物資をヘリコプター輸送し,1998年6月20日から30日にかけて雪氷コアを掘削した.総掘削回数307回,総掘削時間103時間で全長211.7mの雪氷コアを採取した.掘削終了後,20m毎に掘削孔壁の温度を測定した.深度10mは-15.7℃,底部211.7mは-4.2℃であり,表面からほぼ直線的に漸増する温度垂直分布が得られた.掘削と並行して,層序観察,バルク密度測定,ECM(固体電気伝導度)測定,デジタルビデオによるコアの撮影を行った.現場解析ができた表面から深度141mまでのコアによれば,55m付近の氷化深度以浅では,コアは融解・再凍結氷と融解を経験していないフィルンからなり,氷化深度以深では融解・再凍結氷と圧密氷との互層から構成されていた.深度141mまでのコア中には目視できる火山灰だけでも183層が確認され,そのうち2層が火山灰の特徴から噴出年代が特定された.ECMとビデオ撮影したコアのモザイク画像とを比較した結果,ECMシグナルは火山灰層で低下,融解・再凍結氷層で上昇する傾向が見られた.一方,高所における掘削オペレーションであったため,人員の健康面での各種データを採取し,高所順応の個人差を考察した.
著者
森山 敦文 高橋 正生 内田 真人 鶴 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.59-62, 2007-03-01
被引用文献数
4

インターネットがあらゆる空間・時間に拡大していく中で現れてきた劣通信環境(従来のインターネットと性質・前提が異なり,極めて不安定な通信性能を持つ)と必要な技術を概説する.次に,2つの簡単な仮想応用事例を紹介し,また,技術事例として,中継ノードでのメッセージバッファ溢れを低減し,限られた通信資源の利用効率を向上させるためのノード間フロー制御を示す.
著者
福永 伸哉 高橋 照彦 寺前 直人 清家 章 都出比 呂志 伊藤 聖浩 禹 在柄 朴 天秀 ロラン ネスプルス
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、おもに1990年代以降の新たな考古資料の分析と効果的なフィールドワークを結合させることによって、古墳時代政治史を考古学的に考察した。その結果、弥生終末期から古墳後期まで、中央性を持つ政治権力が畿内地域に一貫して存在したが、その内部では主導権の数度の移動が認められ、これが「政権交替」と呼ぶべき政治変動であったという理解に到達した。そして、この政治変動の背景には、大和盆地と河内平野に基盤を置く2つの地域集団の対抗関係が存在したのではないかという仮説を提示した。
著者
納富 信留 栗原 裕次 佐野 好則 荻原 理 大芝 芳弘 田中 伸司 高橋 雅人 土橋 茂樹 田坂 さつき 近藤 智彦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

古代ギリシアにおける「正義」概念を明らかにし、現代社会の諸問題に応える目的で、プラトン『国家』(ポリテイア)を共同で検討した。その研究成果は、将来まとめて欧文研究書として海外で出版することを目標に、国際学会や研究会で報告され、欧文論文として海外の雑誌・論文集に発表されている。2010年夏に慶應義塾大学で開催された国際プラトン学会大会(プラトン『国家』がテーマ)では、メンバーが運営と研究の中核として、内外の専門家と共同で研究を推進した。
著者
高橋 良二 RODRIGUEZ BENITEZ E.
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

乾燥、高温等の環境ストレスによって大豆の種子に裂皮(種皮の亀裂)が発生し、外観品質が悪化して商品価値が低下する。特に、納豆、煮豆等、種子の形で流通する商品においては裂皮の発生は致命的であるため実需者から高度抵抗性品種の育成が強く求められているが、年次によって裂皮が多発する。本研究では、難裂皮性品種と易裂皮性品種の交雑後代を供試し、裂皮抵抗性のQTL解析を行うことにより選抜マーカーを開発する。難裂皮性品種「エンレイ」と易裂皮性品種「ナスシロメ」とのF_6系統(100個体、各30個体)を圃場で栽培し、個体ごとに開花日を調査した。開花始40日後に上位半数の莢を摘除し、裂皮の発生を促した。成熟期に種子の裂皮指数(裂皮無:0〜甚:4)を1粒ごとに評価し、個体および系統の難裂皮性を調査した。さらに、成熟期、莢数、子実重等の生育特性を評価した。MAPMAKER/EXP. ver. 3.0を用いて連鎖地図を作成し、QTL Cartographer ver. 2.0を用いて、composite interval mappingによって開花まで日数、成熟まで日数、裂皮指数、莢数、子実重、100粒重のQTL解析を行った。その結果、成熟まで日数を支配するQTLが1個見いだされた。主茎長を支配するQTLが2個見いだされた。種子数、子実重、100粒重を支配するQTLが、それぞれ1個、1個、3個見いだされた。難裂皮性を支配するQTLが2個見いだされた(D1 b連鎖群のACI2とM連鎖群のACI1)。ACI1とACI2は、昨年度にF_3系統でも検出され、年次・世代間で再現性が認められた。ACI1とACI2は、早晩性や粒大を支配するQTLとは異なった位置に見いだされ、それらのQTL近傍のマーカーを用いることにより、早晩性や粒大とは無関係に難裂皮性を選抜できることが明らかになった。
著者
林 行夫 柴山 守 土佐 桂子 長谷川 清 高橋 美和 笹川 秀夫 小林 知 増原 善之 小島 敬裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タイ、ラオス、カンボジア、西南中国(西双版納・徳宏)での全9調査区画において771寺院の施設構成と位置情報、5500の出家者の移動データを収集し、全データを統合しタイでの移動経年データを地域情報学的手法(Hu2マップシステム、ラティスとオートマトン)で時空間解析し他区画への適応を試みた。文献から寺院と出家者の移動をデータベース化したミャンマーをふくめ地域間比較を可能とする『マッピング・データ集成I』(+1DVD)を作成した。
著者
高橋 卓也
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.19-28, 2005-11-01
被引用文献数
2

2000年の地方分権一括法の施行と時期を同じくして,地方森林税(または森林環境税,水源税)の導入が各都道府県で検討されている。地方森林税導入の動きは2つの点から興味深い。1)どのような要因によって地方森林税は各都道府県で現実化しているのだろうか。2)各都道府県別に意思決定がなされる結果,多様な林政の展開の端緒となる可能性があるのではないか。現状では政策決定の全過程(政策過程)を全都道府県について観察することは実質的に不可能であるため,本報告では政策決定の初期段階である地方森林税の政策課題設定(アジェンダ・セッティング)について分析し,以上2つの問いに答える第一歩とする。具体的には,地方森林税が各都道府県で政策課題となった時期と各都道府県の政治経済的な変数の関係をイベントヒストリー分析(生存時間分析)により統計的に検討する。分析のための作業仮説としてKingdonの提唱した「政策の窓」論を使用した。分析の結果,渇水の危険度,私有林の保育水準,都道府県林業費の支出水準,財政力の変化を示す変数と地方森林税検討開始時期との間に統計的に有意な関係が見出された。
著者
金子 昌生 岡和田 健敏 高井 通勝 佐藤 一雄 田中 博 高橋 元一郎 宮崎 洋二郎 深谷 哲昭 小山 照夫 内藤 真明
出版者
浜松医科大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究は、デジタル画像の圧縮・蓄積・転送など、画像の持つ情報管理の一面があり、アナログ情報をデジタル化して保管する方法を模索する研究も含まれている。4年間の研究期間中に、この分野の電子工学的発展はめざましく、研究のカバ-すべき範囲が広いため、X線撮影時からデジタル化される Computed Radiography(CR)は紹介するだけに留めた。従来から取り組んできたフィルムのアナログ的な保管方法であるマイクロ化システムを、いかにして効率よくデジタル化して活用するかについて新知見を得た。すなわち、テレビ・カメラのレンズ系をズ-ミングによりマイクロ・フィルム情報を直接拡大して電気信号に変換し、A/Dコンバ-タ-によりデジタル化する方法を開発した。CCD方式とレ-ザ-・スキャン方式のデジタル化も基礎的臨床的に比較検討した。デジタル画像の読影、報告書作製に関する適合性を評価するため、読影結果のレポ-ト作製の方法を比較検討するとともに、音声入力の方法の有用性を実際にテストした。Radiology Information System(RIS)の一環として放射線オ-ダリングやリファリングを実現させる反面で、その見返りとしてのレポ-ティングはやはりデジタル情報としてコミュニケ-ションされるべきであろう。しかし、有用なレポ-ト作製には臨床医から充分な臨床情報を得ることが必須条件である。このためのRISの臨床情報伝達ソフトウェア開発を行っているところである。画像管理・保管と読影業務すべてを包含するTotal Information System(TIS)をより高度化するために、実現可能性の高いMini-PACSやCase Information System(CIS)を実現させ、理想的なImage Management and Communication Systems(IMACS)を完成させるべきバック・グラウンドを研究した。
著者
高橋 努 野木 靖之 浅井 朋彦 高橋 俊樹 松澤 芳樹
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

磁場反転配位(FRC)プラズマを閉じ込め磁場に沿って移動する(移送)際,その経路内に存在する中性粒子や弱電離プラズマの効果を実験的に明らかにした.背景にある粒子は,移送速度に相当する速度で入射する一種のビーム入射の効果(FRCへの粒子やエネルギーの補給の効果)を持つと考えられる.背景粒子種や移送速度の制御により粒子閉じ込め時間,磁束減衰時間の伸長や回転不安定性の発生時間の遅延などFRCプラズマの閉じ込め特性の改善が可能になる.
著者
森山 俊介 高橋 明義 天野 勝文 内田 勝久
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、成長ホルモン遺伝子が無脊椎動物に起源する仮説およびサケ成長ホルモンがエゾアワビ稚貝の成長を促進する発見に基づいて、軟骨魚類と無顎類の成長促進に関与するホルモン受容体を同定した。また、アワビの脳神経節にサケの成長ホルモン抗体に対する免疫反応陽性細胞群を検出し、その組織から成長促進因子および遺伝子を単離するとともに成長促進因子受容体を探索した