著者
黒田 奈良美 鶯 春夫 平島 賢一 田野 聡 水田 隼 木村 七恵 森下 照大 松浦 康 吉村 昇世
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P3089, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】 痛みは主観的な知覚であり,注意や環境,心理状態等の因子に加え,痛みに対する耐性や経験,性格等もその要因として考えられ,痛み刺激に対する認識の個人差に影響していることが予想される.そこで今回,健常成人の痛み閾値を評価し,閾値に対する個人差と,性格因子との関連性ついて検討した.【対象及び方法】 対象は本研究を説明し,同意が得られた健常成人36名(性別:男性18名,女性18名,平均年齢:22.8±4.4歳)である.方法は,閉眼・椅子座位にて,痛覚針(重り1~6gまで)を用い,非利き手の内側上顆~橈骨茎状突起を結んだ線上の中点を刺激部位とし,痛覚針を垂直に2度押し当てた.刺激は1gから漸増的に与え,痛いと感じた時点で申告するよう指示し,痛いと感じた重さから1つ前の重さに戻り,再び同様に施行し,痛みを感じた重さが一致した時に最終的な痛み閾値と決定した.再び痛みを感じた重さが異なった場合には上記過程を繰り返し閾値を決定した.性格検査は新版STAIを用いて不安傾向の検査を行い,状態不安尺度と特性不安尺度の得点を求めた.統計処理にはt検定を用い有意水準は5%以下とした.【結果】 痛み閾値は個人差がみられ,最頻値は6g(9名),中央値は5gとなった.男女別に比較すると,男性では最頻値は6g以上(5名),中央値は5.5gとなった.女性では最頻値は6g(5名),中央値は5gとなった.閾値の決定に至るまでの回数は男女とも半数以上が3回以内で決定しているが,13回要した者も存在した.なお,最初に痛みを感じた重さと最終的に異なる重さが閾値となった者は16名であった.性格との関連性については,新版STAIの結果と痛み閾値の5g以下群(20名),6g以上群(16名)の2群に分け,状態不安,特性不安に有意差があるか検討したが,ともに有意差はみられなかった.また初回と最終で痛み閾値に変化のあった群(16名)と変化のみられなかった群(20名)を分け,同様に検討を行ったが,同じく有意差はみられなかった.【考察】 「感覚」が「知覚」へ変化する過程に性格的因子や現在感じている心理的不安が影響するか否かを検討したが,本実験の結果から関連はみられなかった.しかし本実験から,痛み閾値には個人差が大きいことや閾値を決定する際にも検査開始時と終了時で閾値が変化する者がいることから,痛みの知覚は複雑なものであり,注意や記憶・経験,学習等により判断(思考)の変化が生じていることが考えられた.痛みをVAS(Visual analogue scale)やNRS(Numeric rating scale)を用いて評価する際にも,痛みの増減を点数化するということは難解な作業であり,点数変化を即治療効果の判定に用いることに対しては注意が必要と思われた.今後は対象者を拡げるとともに,他の因子の影響も考慮して検討を加えたい.
著者
田中 さき Tung―Yuan Ho 長尾 誠也 松中 哲也 Rodrigo Mundo 井上 睦夫 谷内 由貴子 黒田 寛 熊本 雄一郎 滝川 哲太郎 守田 晶哉
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>化石燃料やバイオマスの不完全燃焼、および原油を起源とする多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、発癌性や変異原性をもつ有害有機物である。東アジア縁辺海と周辺海域において、PAHsの動態や生態リスクに関する研究が必要とされている。本研究は日本近海を中心とした北太平洋における広域的なPAHs水平分布を明らかにすると共に2017年以降のPAHs経年変動を解析した。各緯度帯における平均Σ14PAHs(粒子態+溶存態)は、基本的に中緯度域で高く、高緯度域で低くなる傾向を示した。沿岸海域では燃焼起源PAHsの寄与が高かったのに対し、外洋海域では原油起源PAHsの寄与が高かった。一方、2020年における日本海のΣ14PAHsは、2019年と比べ有意に低下した。塩分や海水シミュレーションの結果を基にすると、2020年における日本海のPAHs濃度減少は、黒潮系海水のPAHs濃度低下と、PAHs濃度の高い浅層海水の寄与の低下によって引き起こされた可能性が示唆された。</p>
著者
黒田 友貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.281-284, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
11

本研究では,STEM人材の養成の特徴的な教育事例から,ポリシー策定やプログラムにより目指すべき方向性に関する考察を行なうことを目的としている.事例のクイーンズランド工科大学の教学マネジメントの特徴は,University-wide STEM strategyが,6項目にまとめられており,初中等教育を含むSTEM教育全体に積極的に関与すること,社会にどのような貢献をSTEM分野で行なうのかを明記していることが挙げられる.また,STIMulateプログラムが提供されており,専門分野の文脈を踏まえた移行支援プログラムの展開がされており,大規模大学であっても在学生を活用したピアエデュケーションが多用されていることが明らかになった.今後の課題として,学生に対するインタビュー調査やアンケート調査などを実施し,教学マネジメントによるプログラム運用による教育効果を検討することが挙げられる.
著者
三島 江津子 岡戸 洋 加藤 さおり 櫛原 秀之 黒田 純子 榊原 隆志 首代 みどり 鈴木 厚志 松岡 加恵 宮坂 朋恵 渡辺 法男 横田 学 板倉 由縁 鈴木 照美 斉藤 寛子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.403-408, 2009 (Released:2010-08-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

When pharmacists provide drug guidance to in-patients,they are often asked about health foods such patients are regularly taking in expectation of anti-cancer effects.However,pharmacists cannot always answer these questions based on scientific evidence.To further evaluate the efficacy of health foods for this purpose,we did a survey of the literature concerning 5 frequently used health foods said to have anticancer effects using the PubMed and Ichushi search services,obtaining 1,300 papers from the former and 1,142 papers from the latter.However among them,we could not find any providing data from randomized controlled trials and thus there was no clear scientific evidence,though some of the papers noted an improvement in the quality of life of patients.In conclusion,when pharmacists provide guidance on health foods to patients and their families,it is important for them to collect detailed information and evaluate them on a scientific basis.
著者
Cheryl Tatano Beck 中木 高夫 黒田 裕子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.362-370, 2011-07-15

「エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice ; EBP)」を提供しようとする強い外圧により,私たちの学問に質的研究から得られた最高レベルのエビデンスをもたらすために,看護研究者たちは質的研究のメタ・シンセシス訳註1の方向に目を向けるようになった。メタ・シンセシスは,質的研究をエビデンス階層のふさわしいレベルに位置づけ,エビデンス階層のレベルを高めるのに役立つ。私たちには,「実践に移植することができるように,研究者,臨床家,そして一般の人々に利用可能な知識を生みだす」責務がある(Thorne, Jensen, Kearney, Noblet, & Sandelowski, 2004, p.1360)。システマティック・レビュー訳註2は,例えば,航空機が離陸する前に,耐空性能が十分であることを確認する飛行前検査に匹敵するものである(Pawson, 2006)。メタ・シンセシスのようなシステマティック・レビューは,臨床実践に利用される前に,あるいは保健政策を形づくるのに先だって,その結果の信頼性を確かなものとするために,厳格な一連のステップを踏む。 いまから40年前,Glaser & Strauss(1971)は,もし蓄積された知識の体系を構築するための方法が使用されなければ,研究者たちがばらばらに訪問するために,その個別の質的研究からの結果は「他から切り離されている全く関係のない知識の島(p.181)」としてとどまるに過ぎないと警告した。メタ・シンセシスはそのような1つのアプローチである。Sandelowski, Docherty, & Emden(1997)は,他者から孤立して作業する「分析的マスタベーション(分析だけに没頭してしまう視野狭窄)」に質的研究者たちが貢献しないように強調した。
著者
黒田 登志雄 Lacmann Rolf
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.51-64, 1979-12-25

The new interpretation on habits ofice growing from vapour is proposed. The primary habits of ice alternate three times (plates→ - 4℃→ columns → -10℃ → plates→from -20℃ to -35℃ → columns) with decreasing temperature. The theory is based on a viewpoint that the surface of ice just below 0℃ is covered with a quasi liquid layer, whose depth or coverage 〓 decreases with falling temperature, and therefore the growth mechanism of a surface changes also as followings : i) Vapour-Quasi Liquid-Solid-Mechanism (〓>1) , ii) Adhesive Growth on a surface strongly adsorbed by water molecules (0.01<〓<1) and iii) Two Dimensional Nucleation Growth on a singular surface (〓<0.01) . As the change in surface structure as well as growth mechanism depend on surface orientation, the complicated habits change is caused mainly by the combination of growth mechanism of each surface, i.e. {0001} and {101^^-0 }. The first and second transition temperature are expected to be independent on absolute supersaturation Δp as same as experiments. On the other hand the third one is the temperature where the two dimensional nucleation growth of {0001} surface reaches the one of { 101^^-0}, so that it falls with decreasing Δp. The observed marked columnar crystals can be explained only by {0001} account of spherical volume diffusion field near taking surfaces and cylindrical one near {1010} surfaces. For plate like crystals between - 10℃ and -20℃ to -35℃ the surface diffusion from {0001} to {101^^-0} and volume diffusion with cylindrical symmetry near {101^^-0} surfaces are very important.
著者
長谷部 高広 黒田 紘敏 寺本 央 正宗 淳 山田 崇恭
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.249-258, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

概要. 本論文では,山田により提案されている偏微分方程式の解,もしくは熱方程式の解を用いて,形状の法線ベクトルを与える場を構成できることを証明する.最初に,問題設定を示すと共に,偏微分方程式の有限要素法による数値解析例を示す.次に,各方程式の場合における定理とその証明を示す.
著者
黒田 敏数
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.34-42, 2021-09-30 (Released:2021-12-14)
参考文献数
19

Operant conditioning has not been well adapted to social behavior despite a growing interest among behavior analysts. This is due in part to technological limitations in measuring social behavior, especially in real time. This paper presents a summary of three of the present author’s attempts to adapt computer vision technologies to the study of social operant behavior of zebrafish (Danio rerio). Experiment 1 examined whether the location of a single zebrafish in a three-dimensional (3D) space could be tracked in real time. In Experiment 2, locations of two zebrafish were tracked simultaneously. A transparent partition was placed between the two fish to aid in their identification. A food reinforcer was delivered when the two fish approached one another across the partition. Experiment 3 examined whether it is possible to track multiple fish without such a partition. Results of these three experiments were promising, suggesting that computer vision can be useful in the study of social operant behavior.
著者
黒田 俊雄
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
1983

14401乙第03220号
著者
鈴木 養樹 黒田 克史 高野 勉 張 春花 鈴木 敏和 高田 真志
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.9-15, 2014

2011年3月の福島第一原子力発電所爆発事故による放射性物質放出からすでに2年経過したが,福島県内の多くの森林域では,まだ林業施業従事者の作業は制限されている。本研究では,簡易的な森林管理手段として市販のサーベイメータによる樹木内部放射能濃度の推定手法の開発を試みた。検出限界向上のため,遮蔽容器付きGM管サーベイメータを用いて個々の樹木表面汚染密度を測定した。測定後に,伐倒した樹木を樹皮,辺材,心材に分けて粉砕,乾燥した後,Ge半導体検出器によるγ線スペクトロメトリー法でそれぞれの放射能濃度を測定した。両測定値の関係を調べた結果,調査に用いた全ての樹種において,それぞれの部位の放射能濃度(<i>y</i>)と表面汚染密度(<i>x</i>)との関係を関数(<i>y</i>=A<i>x</i><sup>B</sup>)で表すことができた。従って,樹木の表面汚染密度による樹木内部の放射能濃度の簡易推定は可能であると考えられる。
著者
石田 真結子 岩川 奈生 足助 聡一郎 黒田 慶子 梶村 恒 升屋 勇人 亀山 統一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>近年、養菌性キクイムシ(Ambrosia beetle)とその共生菌あるいは随伴菌による樹木病害が世界各国で問題になっている。沖縄県では、デイゴの衰退枯死木から<i>Fusarium solani</i>種複合体に属する病原菌とともに、ナンヨウキクイムシ(<i>Euwallacea fornicatus</i>)を含む3種を検出したが(Takashina et al. 2020)、同県では<i>E. fornicatus</i>によるマンゴーへの加害が2000年以降に報告されている。2019年に石垣島のマンゴー圃場の枯れ枝で<i>Euwallacea</i>属のキクイムシ類と<i>Fusarium</i>属菌を検出したことから、本研究では、検出菌の分子系統解析および孔道付近の組織の解剖観察を通して、樹木とキクイムシ類および菌類との関係について検討を行った。孔道を含む木部組織および孔道内の<i>Euwallacea</i>属数種から菌分離を行い、それらのITSおよびEF-1α領域の塩基配列の解析から、デイゴの病原菌と近縁の菌類を確認した。さらにRPB1、RPB2領域の解析も加えて分類学的検討を進めている。</p>
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5-6, pp.551-568_1, 1972-12-30 (Released:2008-11-10)

Winter (Kuroda 1969) and autumn (1970) bird censuses of the Ryu Kyu Is. have already been reported. The present paper is the result of the survey planned by the Ornithological Society of Japan, principally for analysis of the status of Sapheopipo noguchii of Okinawa I. This will be reported elsewhere.The bird census was made on Okinawa I. 24-28 May in the northern mountain zone, on Ishigaki I. 31 May and 5 June and on Iriomote I. 1-4 June. The weather was fine except on 5 June.In total, 51 species, 30 land, 16 water or waterside, and 5 sea birds, were recorded. The land bird species were 24 on Okinawa, 15 on each of Ishigaki and Iriomote. These land birds are residents and show the reduced number of breeding species in these subtropical islands where palearctic species (such as thrushes, flycatchers, warblers and tits, etc.) decrease or disappear and tropical elements are represented only by few species. The number of individuals is also generally low, especially in the montane zone in spite of the excellent and extensive forests. This may be due to the distributional periphery for both palearctic and tropical species.The most generally abundant species was Hypsipetes amaurotis with the dominance of 21% in totalized avifauna, followed by Streptopelia orientalis of 18% of dominance. This species was particularly abundant on Iriomote where it gathered on a few small coastal islets (Hatopanare, Usagi (newly named islet), etc.) for breeding (and roosting). They nested on the ground under dense grass and all had laid two eggs, with the density of a true colony, and flew out to perch on rocks or dead shrubs by small flocks. The environmental safety and potential habit of oversea dispersion of the pigeons and doves may, among others, be attributed to this peculiar island concentration. Three birds were seen flying low over the sea surface from the main island to the offshore island of Hatomajima, km apart.The next was Zosterops palpebrosa of the general dominance of 8%, but more may have been missed in the census. Cettia diphone was even more abundant with the dominance of 22% than Hypsipetes on Okinawa, but was not recorded on the other two islands. Next were dominant Passer montanus (common on Ishigaki but absent from Iriomote), Corvus macrorhynchos and Parus major and the subtropical nature of the avifauna of Ryu Kyu Is. was well characterized by such species with medium dominance, as Terpsiphone atrocaudata, Pericrocotus roseus, Parus varius (not encountered on Ishigaki and Iriomote this time), Cisticola juncidis, Halcyon coromanda, Otus scops, Sphenurus sieboldii and Turnix suscitator, etc.Coastal and marsh birds were not plentiful, egrets and waders having already passed north, and only a few remained. On extensive saltflats small flocks of Tringa brevipes, Tringa nebularia and one Tringa totanus were recorded. An Ardea purpurea and Sterna hybrida were found on Iriomote at the same places where they were seen in 1970. Ixobrychus cinnamoneus was common on rice fields with Gallinula chloropus. Alcedo atthis is said to have decreased due to the recent use of insecticides, and only one was seen in a mangrobe of Iriomote.Sea birds recorded were five species, Sterna sumatrana was arriving north to Okinawa and was seen in pairs. Its breeding places on small coastal rocky islets, Hatopanare off the north coast and other two islets off the western coast of Iriomote were first confirmed, but they were not laying eggs yet. Some flocks of Sterna fuscata were seen north of Iriomote, probably with the seasonal migration of the bonito to this sea area where schools of small fish were seen chased to the surface and a flying fish was observed.
著者
森 禎三郎 藤村 匠 山田 洋平 狩野 元宏 佐藤 健二 浅沼 宏 星野 健 長谷川 奉延 黒田 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.841-849, 2019-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
38

総排泄腔遺残症・外反症や性分化異常症では,生命予後やQOLは改善されてきたが,生殖機能における長期的予後は十分に改善されているとは言えない.当院では小児外科,小児科,泌尿器科,産婦人科でチームを形成し,症例ごとに治療を行っている.今回,外陰部形成術を施行した5例を後方視的にまとめ,術式の選択と至適な手術時期について検討した.原疾患は総排泄腔遺残症が2例,総排泄腔外反症,先天性副腎皮質過形成症,原発性性腺機能低下症が1例ずつであった.外陰部形成には,結腸間置法,skin flap法,pull-through法,total urogenital mobilization,骨盤腹膜利用法をそれぞれ用いた.外陰部形成術を行う疾患は多岐にわたり,病態も多様なため,症例に応じたアプローチが必要である.疾患に応じて手術時期を設定し,乳児期より多科連携による治療戦略のロードマップを描くことが重要である.
著者
三ツ井 敏明 高橋 秀行 花城 勲 黒田 昌治 木下 哲
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では、高温登熟玄米のプロテオームと澱粉グライコーム解析を行い、玄米白濁化は澱粉合成と分解のバランス異常が原因であると結論づけた。また、玄米外観品質に及ぼす強光・高CO2および高温・高CO2の影響を調べたところ、開花から登熟期初期において感受性が高いことが明らかになった。ただし、高CO2条件のみでは顕著な玄米白濁化は起こらないが、高CO2は高温ストレスを助長することが分かった。イネの高温耐性に関して鍵となる酵素としてMn型スーパーオキシドジスムターゼ(MSD1)が同定され、MSD1遺伝子の強発現により高温登熟性が改善され、一方、その発現抑制によって高温感受性が高まることが確認された。
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.260-285_1, 1971-06-30 (Released:2008-11-10)
被引用文献数
1 1

During Oct. 6-23, 1970, bird survey was made by line transect-, car- and boat censuses in the Ryu Kyu Is. The party was sent by the Ministry of Wellfare of Japan and included botanical and coral reef surveys particularly of Iriomote I. Bird census was made 11 days on Iriomote I., 4 days on Ishigaki I. and 2 days on Okinawa I. and results are presented by 14 tables classified by habitat and categories such as resident land or winter water birds, etc. In all 81 species were recorded.Among resident land birds, the bulbul Hypsipetes amaurotis was most abundant (No. recorded 258 birds), followed by the white-eye Zosterops palpebrosa (105 bds), the turtle dove Streptopelia orientalis (98 bds), the great tit Parus major (87 bds), the jungle crow Corvus macrorhynchos (85 bds), the tree sparrow Passer montanus (44 bds., very scarce on Iriomote), the varied tit Parus varius (38 bds), the minivet Pericrocotus roseus (36 bds), the fantail warbler Cisticola juncidis (27 bds), the green pigeon Sphenurus sieboldi, the rock thrush Monticola solitaria (13 bds) and the wood pigeon Columba janthina (9 bds), ect. (25 species in all). Thus the bulbul occupied 30% (the next white-eye 12%) of resident land birds counted.The migration of northern land birds was still in early stage, only 9 species having been recorded, among which the swallow Hirundo rustica was most abundant (741 bds). Other marked species was the buzzard hawk Butastur indicus (199 bds) which was observed in scattered soaring flocks steadily migrating southward over Iriomote and Ishigaki Is. and a few tired birds were seen landed on the islands. The next was the red-cheeked myna Sturnus philippensis (145 bds) which is also a regular passage migrant along the Ryukyus and rare Chinese myna St. sinensis (16 bds) was found mixed in its flock. Muscicapa griseisticta (20 bds) and single dirds of Urosphena squameiceps, Eophona migratoria and Cuculus saturatus, etc. were recorded.Some early land winter visitors were just on their arrival, 7 species in all, of which the grey wagtail Motacilla cinerea (90 bds) outnumbered others, which were pipits Anthus (10 bds), the white wagtail M. alba (8 bds), the Philippine red-tailed shrike Lanius cristatus lucionensis (7 bds), single birds of yellow wagtail M. flava subsp., Siberian bluetail Erithacus cyanurus and the ksestrel Falco tinnunculus.Resident water, water-side and wading birds were following ten species: Charadrius alexandrinus (81 bds), Egretta sacra (62 bds., with 64.5% white phase), Gallinula chloropus (48 bds., mainly Ishigaki), Anas poecilorhyncha (39 bds), Ardea purpurea (12 bds., Iriomote), Alcedo atthis (7 bds), Ixobrychus cinnamomeus (6 bds), Pandion haliaetus (4 bds), Porzana fusca (2 bds) and Gorsakius goisagi (1 dbs., Okinawa).Winter and migrant waders were 20 species (4 species as winter visitor), with 5 species of herons. Pluvialis dominicus (131 bds), Tringa incana (71 bds), Numenius phaeopus (64 bds), Tringa hypoleuca (59 bds), Tringa glareola (43 bds), Tringa nebularia (30 bds), Tringa ocrophus (17 bds) were chief species and one Calidris bairdii was observed as a rare straggler. Five herons were Egretta alba, E. intermedia, Bubulcus ibis, Butorides striatus and Ardea cinerea.Sea birds were very scarce. A few Sterna bergii (19 in all) and one Calonectris leucomelas were seen between Ishigaki and Iriomote. A frigatebird is said to have occurted over Ishigaki and the presence of breeding colonies (said to breed in May) of Sterna sumatrana along west coast of Iriomote was reported to the author.