著者
藤井 聡 谷口 綾子 羽鳥 剛史
出版者
東京工業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は,土木計画における公共受容や合意形成の問題を考える上で,個人の心理的傾向性として「大衆性」に着目した.そして,オルテガの政治哲学理論を踏まえ,行政行為が一切変化しない状況でも,公衆が大衆化することで公共事業に対する合意形成が困難となるであろうという仮説を理論的に措定した.そして,大学生100名を対象としたアンケート調査を通じて,その仮説を実証的に検証した.その際,大衆社会論の代表的古典であるオルテガ著「大衆の反逆」(1930)を基にして構成された個人の大衆性尺度を用い,それら尺度が,政府・行政や公共事業に対する態度に及ぼす影響を分析した.その結果,本研究の仮説が支持され.大衆性が公共事業に対する合意形成を阻害する可能性が示された.以上の結果は,人々の大衆性が昨今の行政不信と公共事業を巡る合意形成問題をもたらし得る本質的な原因であり,そうした問題の解消にあたっては,人々の大衆性を低減することが本質的課題であることを示唆するものである.次に,以上の先行研究を受けて,個人の大衆性を低減するための方途を探ることを目的として,人々とのコミュニケーションを通じた態度変容施策の一つとして,「読書」の効果について実証的に検討した.そして,内村鑑三著「代表的日本人」(1908)に着目し,本書を通読することによって,人々の大衆性が低減するという仮定を措定し,実証実験を通じて本仮説を検証した.その結果,本研究の仮説が支持され,「代表的日本人」を通読することによって,人々の大衆性が低減し得る可能性が示された.
著者
宇賀 貴紀
出版者
順天堂大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

長期の学習によって、感覚情報により鋭敏に反応できるようになる学習過程を「知覚学習」と呼ぶ。知覚学習の脳内メカニズムに関する現在の定説は、「感覚情報を担うニューロンの感度が、学習の結果、より鋭敏になることで実現されている」というものである。しかし、サル第一次視覚野ニューロンの感度は学習によってほとんど変化せず、個体の学習能力を説明できないことが知られている。本研究では、知覚学習では感覚ニューロンの感度が上がるのではなく、「学習により、情報量の多い有用な感覚ニューロンから選択的に情報を読み出すことができるようになる」という新しい説を検証する。昨年度までに、サルがランダムドットステレオグラムの奥行きを答える奥行き弁別課題を学習する過程を行動レベルで追いながら大脳皮質MT野ニューロンの活動を記録した。その結果、ニューロンの弁別閾値は学習過程で変化しなかったのに対し、ニューロン活動からサルの答えを予測できる確率が訓練により上昇することがわかった。今年度はさらに、短期の学習、すなわち日内学習ではどのようなニューロン活動の変化が見られるのかを解析した。すると驚いたことに、日内学習ではニューロンの感度が上昇するのに対し、ニューロン活動からサルの答えを予測できる確率は上昇しないことがわかった。これらの結果は、短期の学習では感覚情報を担うニューロンの感度がより鋭敏になるのに対し、長期の学習では感度の高い感覚ニューロンから上手く情報を読み出すことができるようになることを示唆する。
著者
高橋 伸一郎
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

成長ホルモン(GH)は、インスリン様成長因子の産生を介した成長促進活性を有するが、同時にインスリン抵抗性をはじめとした種々の代謝制御活性を示し、GHの長期連用は糖尿病を誘発する可能性があるなど、臨床上問題となっている。しかし、GHによるインスリン抵抗性の発生機構は、全く明らかとなっていない。本年度、本研究では、3T3-L1脂肪細胞をGHで長時間処理後インスリン処理し、インスリンの細胞内シグナルを詳細に検討した。その結果、GH前処理により、インスリン受容体のチロシンキナーゼ活性や基質のひとつであるIRS-1のチロシンリン酸化は変化しないにも関わらず、もうひとつの受容体キナーゼ基質IRS-2のインスリン依存性チロシンリン酸化が抑制され、更に下流シグナル分子Aktのインスリン依存性活性化も抑制されることを見出した。そこで、恒常的に活性化しているAktを3T3-L1脂肪細胞に強制発現させたところ、GH前処理によるインスリン依存性糖取り込みの抑制が解除され、他の結果も併せると、GH前処理によりIRS-2を介したシグナルが抑制され、GLUT4は細胞膜に移行するのに関わらず、その糖輸送活性が阻害されていると結論された。そこで、GH前処理後のインスリン処理に応答してGLUT4に何らかの分子内修飾が起こっているか、二次元電気泳動を用いて検討したところ、GLUT4の分子内修飾は認められなかった。現在、GLUT4に結合し、GLUT4の糖輸送活性を修飾するような分子の同定を進めている。一方、ヒトGHを高発現するトランスジェニックラットより調製した脂肪細胞では、3T3-L1脂肪細胞と同様に、インスリン依存性糖取り込みの抑制が観察されたが、この糖取り込み抑制は、肝臓でのインスリンシグナルが強められ、インスリン依存性脂肪・グリコーゲン合成が増強されることで補償されることも明らかとなった。
著者
井上 誠 植田 弘師
出版者
長崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

全身性慢性疼痛疾患である線維筋痛症や視床痛に対する動物モデルを開発するため、本研究者が以前に見出した坐骨神経傷害性慢性疼痛の原因分子であるリゾホスファチジン酸(LPA)を、末梢知覚神経からの痛み情報の二次中継核である視床領域へ投与し、熱刺激誘発性並びに機械触覚刺激誘発性疼痛への影響を検討した。その結果、熱刺激誘発性疼痛閾値の著しい低下、すなわち痛覚過敏現象が用量依存的に観察された。さらに、機械触覚刺激応答閾値の低下、アロディニア現象も観察された。これらの現象は、投与後数日にわたって観察された。さらに、片側視床内への適用にも関わらず、両側性に過敏現象が観察され、全身性の慢性疼痛を示すことが判明した。新たに開発した電気刺激誘発性鳴啼反応試験法を用いると、線維筋痛症患者の診断基準に関連するトリガーポイントの数カ所への電気刺激により侵害性の鳴啼反応が観察されるが、この反応閾値はLPA投与後に低下した。従って、LPAの視床投与は視床痛の動物モデルになりうる可能性と線維筋痛症の動物モデルになりうる可能性が明らかになった。さらに、LPAの一つの作用点であるグリア細胞の活性化を評価し、その活性化抑制による疼痛閾値変調への関与を検討したとごろ、LPAの視床投与後、投与側でミクログリアの活性化を用量依存的に観察された。さらに、活性化グリア細胞除去剤の適用により、これらの過敏現象が著明に抑制された。従って、グリア細胞の活性化が全身性の慢性疼痛誘発の一端を担い、これを標的とした薬物の適用はその治療戦略の一つとなりうることが明らかとなった。
著者
坂本 成司
出版者
鳥取大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

【背景と目的】集中治療患者では安静による筋力低下が大きい。なかでも特に下肢の筋力や運動を維持することは下肢の血流を保つのにも重要で、下肢静脈血栓症の予防にもつながる。しかしながら、集中治療患者では鎮静剤により自発的に筋肉を動かすことができない。これに対してEMS(電気的筋肉刺激)を用いることにより、自発運動の低下した患者でも筋肉を動かし、下肢の血流を保つことができるか調べる。【方法】健常成人男性9名を対象に右大腿静脈血流速度を超音波ドップラー法で測定し、安静時の最大血流速度に対して(1)自発的に下腿筋肉を収縮させた時、(2)下肢静脈血栓予防のための間欠的空気圧迫装置使用時、(3)EMS(電気的筋肉刺激)を下腿筋肉に使用時、それぞれの最大血流速度増加を比較した。【結果】右大腿静脈の最大血流速度は安静時に比べ、(1)下腿の等尺収縮時は2.7倍、足の底屈時は2.9倍、(2)間欠的空気圧迫時は2.3倍の有意な増加があった。(3)EMS(電気的筋肉刺激)では1.3倍となったが、有意な増加とは言えなかった。【考察】下腿に対するEMS(電気的筋肉刺激)による右大腿静脈の最大血流速度増加は当初想定していたほどの効果は見られなかった。自発的な下腿筋肉の収縮や間欠的空気圧迫装置による血流増加は瞬間的に起こるのに対して、実験に用いたEMS(電気的筋肉刺激)は時間が長く持続的な刺激であるため、瞬間的な血流増加が起きなかったものと考えられる。被験者の感覚としても自発的な収縮とEMS(電気的筋肉刺激)による刺激では筋肉の収縮パターンが違うとのことであった。また、今回の刺激ではEMS(電気的筋肉刺激)による筋肉の動きが小さい割に、被検者の痛みや不快が大きかった。今後はEMS(電気的筋肉刺激)パターンを工夫することにより、自発的な筋肉収縮と近い刺激を調べる必要がある。
著者
堀 均 永沢 秀子 宇都 義浩
出版者
徳島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究は,ドラッグをデンドリマーの手法を用いて球の表面に一定方向で固定したナノアセンブリー分子を設計・合成し,そのドラッグが本来持つ生物活性がどのように変化するか,キラリティーを超えるドラッグを作り出すことができるか,の2点を明らかにすることを目的とする.この目的を達成するためのリード化合物としてブレフェルジンA,スワインソニン,免疫抑制剤FTY720を選択した.本年度(最終年度)は,前年度までに分子設計・合成した種々のナノアセンブリー分子の鶏胚漿尿膜(CAM)法による血管新生阻害活性について評価した.免疫抑制剤FTY720は,冬虫夏草から単離された免疫抑制作用を示すISP-1(myriocin)の化学修飾によって不斉炭素を除去した,つまりキラリティーをなくした合成化合物であり本研究の目標に適したリード化合物である.FTY720のアルキル側鎖をアセチレンに置換したTX-2148(モノイン),TX-2152(ジイン),TX-2256(トリイン)の血管新生阻害活性はそれぞれ42%,90%,60%(10μg/CAM)であり,TX-2152はFTY720(77%)と同等以上の阻害活性を示した.この結果より,FTY720のオクチル基に対するバイオアイソスターとして疎水性及び分子サイズの大きく異なるジイン(もしくはトリイン)構造が示された.その理由として,剛直なポリイン構造によって分子の自由度が制限されるとともに,標的分子との相互作用の際の方向性が規定されたためではないかと考えられる.以上より,一定方向で固定したナノアセンブリー分子の生物活性がプラスに変化する事例を見出すことに成功したといえる.
著者
甲斐 昌一 猪本 修
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

脳における情報処理過程、特に知覚や認知といった脳の高次機能にも確率共鳴同様のノイズ効果があると予想されるが、実験系の確立が困難であるために、高次機能におけるノイズの役割はほとんど分かっていない。それを明らかにするのが本研究の目的である。そのため本研究では、平成19年度に引き続き、知覚・認知における確率同期の存在を明確にするとともに、そのまとめを行った。平成19年度に確立された位相ロック値(PLV)の定義、ならびにパターン相似度の定義を使って、脳波を国際10-20法によるα波ならびにγ波に焦点を絞った全頭ならびに前頭-後頭間の引き込み特性として視覚化した。これによれば視覚刺激(顔刺激、図形刺激)がα波の位相同期を誘起し、特に顔刺激では前頭部の皮質間で相互に強く同期することが分かった。すなわち刺激提示後100-200msを中心に前頭部で最も同期し、またそれが刺激の性質に依存することが明らかになった。この同期はおおよそ100〜200msしか続かず、次第に各部位で脱同期が起こる。その様子を表すのがパターン相似度で、それは無刺激時との相似性を表す。この手法では、その時間変化で、最も相似度が小さくなるときに、認識が行われたことを確認した。全域で同期がそのパターン相似度とこれまで使用されてきた事象関連電位(ERP)と比較した結果、パターン相似度がα波領域で格段に優れた認識判定指標であった。さらにパターン相似度を前頭部と後頭部とに分けて局所表示すると、視覚に与えられた刺激が図形の場合と顔の場合では、その前頭部でのパターン相似度の時間変化に大きな相違が見られ、刺激の識別が可能であることが明らかとなった。この成果をもとに視覚刺激にノイズを重ねると、最大で20ミリ秒程度、認識速度が上昇することが分かった。つまり適切なノイズの存在が認識を早めると結論された。
著者
西川 光一
出版者
群馬大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

麻酔薬のなかには"逆行性健忘"と呼ばれる現象を起こすものがある。麻酔薬による記憶障害や健忘が、シナプスレベルでの可塑的変化とどう関連するのだろうか?今回私達は、ラット海馬スライス標本CA1領域で興奮性シナプスの長期増強現象(Long-term potentiation : LTP)を観察し、それに対するセボフルランの影響を調べることを研究目的とした。【方法】深麻酔下のSDラット(60-80g)から脳を取り出し、500microのスライス標本を作製した。海馬CA1領域でSchaffer-collateral-commissural (SCC) fibersに0.1Hz程度のテスト刺激を加え、記録が安定したところで条件刺激(100Hzの高頻度テタヌス刺激)を用いてLTPを誘導し記録した。セボフルランは酸素化したACSFとともに条件刺激の約30分前から投与した。臨床使用濃度と低濃度のセボフルランを用いてその影響を観察した。【結果】臨床使用濃度セボフルランはLTPの誘導、維持ともに抑制した。低濃度セボフルランは部分的にLTPの誘導を抑制した。そこで、GABA受容体拮抗薬であるBicuculline、 NMDA受容体拮抗薬であるMK-801存在下で同様の実験を行った。10μM Bicuculline存在下で低濃度セボフルランによるLTPの抑制は起きなかった。臨床使用濃度セボフルランではLTPは部分的に誘導されたが、維持は抑制されたままだった。1μM MK-801存在下で、LTPは誘導されセボフルランによる影響に違いは見られなかった。【結論】セボフルランはLTPを抑制する。低濃度の場合はGABA作動性ニューロン活性化が関与し、臨床使用濃度になると興奮性ニューロン抑制作用も加わってLTPを抑制したものと思われる。
著者
的場 優 川口 俊郎 魚住 祐介 若林 源一郎
出版者
九州産業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

1.大気中のラドン濃度と環境ガンマ線の相関を調べるために電離体積8lの磁気浮上電極電離箱及び同じ電離体積の電離箱を2台連結した差動型放射線自動計測システムを開発した。このシステムを用いて長期間の連続測定を行い、ラドン濃度とγ線線量率にはっきりとした相関を見出した。電離箱によって相関を確認したのは世界的に始めてである。2.環境γ線、ラドン濃度及び黄砂の間の相関に関しては、2月、3月が黄砂の飛来時期であり、現在このシステムを用いて計測中であり、この結果は学会あるいは関係雑誌に発表予定である。3.磁気浮上電極電離箱はコンデンサ電離箱の一種であり、放射線によって電離された気体のイオンを積分的に収集する。瞬間的な放射線量の変動を計測(パルス測定)するためには、電荷収集時間(計測時間間隔)を短く取らなければならないが、収集時間が短いと機械的ドリフトが相対的に大きくなり、計測感度が悪くなるという欠点がある。つまり磁気浮上電極電離箱は放射線量の微分的計測には不向きであった。この次点を克服するために、電離体積が14lの計測システムを開発した。このシステムは計測時間間隔が5分間の場合でも検出限界が0.01μSv/hレベルの計測が可能である。通常の10lクラスの電離箱でも検出限界は0.1μSv/hであり、積分的な電荷収集型の磁気浮上電極電離箱で瞬間的なγ線線量の変動を計測することが可能となった。4.地震と環境ガンマ線の相関に関しては、現在蓄積データにもとづいて福岡西方沖地震前後のγ線強度の解析を行っている。5.現在、佐賀県鳥栖市のシンクロトロン光施設で、シンクロトロン光放射における放射線の放出に関して、本システムで施設内の環境を計測することが施設関係者との間で合意されている。シンクロトロン光と放射線の相関研究は世界で始めての研究であり本システムの運用が期待できる。
著者
小林 誠 最上 紀美子 岸 博子 佐藤 正史
出版者
山口大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

脳血管攣縮は、くも膜下出血後の重篤な合併症であり、その原因として、Rhoキナーゼによる血管平滑筋のCa2+非依存性の異常収縮が注目されている。従って、この血管の異常収縮を引き起こすメカニメムとその原因因子を解明する事によって、脳血管攣縮の根本的な予防法や治療法を開発することが、国民衛生上の緊急かつ最重要課題である。本研究では、脳血管において、Ca2+非依存性の異常収縮を制御する細胞内シグナル伝達メカニズムを明らかにし、そのシグナル経路を特異的に阻害する因子を同定する事を目的とする。初年度は、脳血管異常収縮の原因分手として細胞膜スフィンゴ脂質の代謝産物であるスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を同定し、そのシグナル経路は、RhQキナーゼを介するものであるが、従来言われていたG蛋白質やPKCとは独立した新規のシグナル経路である事を見出した。本年度は、下記のような結果を得た。1)脳血管において、エイコサペンタエン酸(EPA)は、SPCによるCa2+非依存性収縮を著明に抑制したが、Ca2+依存性の正常収縮や細胞質Ca2+濃度レベルには全く影響しなかった。2)SPCは、Srcファミリーチロシンキナーゼを活性化させ、さらにRhoキナーゼを活性化させることによって、脳血管に異常収縮を引き起こしていた。3)SPCは、SrcファミリーチロシンキナーゼおよびRhoキナーゼを細胞質から細胞膜へ移動させた。4)EPAは、Srcファミリーチロシンキナーゼの細胞膜への移動を阻止した。これらの成果により、EPAは、Ca2+シグナル系および血管の正常なCa2+依存性収縮には影響を与える事無く、Srcファミリーチロシンキナーゼの機能を阻害する事によって、特異的に脳血管の異常収縮を阻害することがわかった。
著者
飯島 憲章
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

[目的]本研究では、マダイの鰓から構成的あるいは誘導的に合成・分泌される抗菌ペプチドを電荷・疎水性・分子量に基づく多次元クロマトと質量分析法を併用して網羅的に解析することを目的とした。[方法及び結果]未処理区及びLPS処理区(0.51mg LPS/100g魚体重)のマダイ未成魚(魚体重160g前後)よりそれぞれ鰓組織を採取し、液体窒素下で粉末状にした後、粗抽出液を調製した。次いで、Sep-PakC18カートリッジで脱塩した後、 SP-Sephadex C25により強酸性、弱塩基性、強塩基性の3分画を得た。この中で最も抗菌活性の高い強塩基性画分について、ゲル濾過HPLCにより分子量分画し、Fraction I〜IVを得た。そのうち、高い抗菌活性を示したFraction II、IIIついて2段階の逆相HPLCによりペプチド分画を行った。逆相HPLCの溶出画分から抗菌活性の高いピークを選択し、ESI-MSで分子量を推定した。なお、各精製段階における抗菌活性の測定には、B. sutilisを用いMBC(Mimimal Bactericidal Concentration)を求めた。ゲル濾過HPLC、逆相HPLCで得られた画分については、E. coliを用いたマイクロプレート法とB. sutilisを用いたコロニーカウント法を併用し、抗菌活性を測定した。未処理区及びLPS処理区の鰓粗抽出液から、SP-sephadex C-25、ゲル濾過HPLC、逆相HPLCにより抗菌ペプチドを精製した後、ESI-MSにより、平均分子量を解析した。その結果、未処理区のゲル濾過HPLC溶出画分Fraction. IIにおいて3種類(M. W.約3000〜7000)、またFraction.IIIに7種類の抗菌ベプチド(M. W.約1800〜4500)の存在を確認した。またLPS処理区のゲル濾過HPLC溶出画分Fraction.IIでは、未処理区で確認された抗菌ペプチドに加え、さらに2種類(M. W.約3000〜4000)が、またFraction.IIIからは5種類(M. W.約1800〜7000)の抗菌ペプチドの存在が確認された。これらは誘導型抗菌ペプチドである可能性が示唆される。現在、計14種類の抗菌ペプチドについてN末端配列を解析中である。
著者
田仲 持郎 入江 正郎 高橋 英和 中村 正明
出版者
岡山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

現在,医療用及び工業用レジン系材料にとって,その機械的及ぶ物理的物性を改善するために可塑剤は不可欠な存在であるが,近年,可塑剤及び構成モノマーの内分泌攪乱作用が指摘されるようになってきた.その主因はフタル酸エステルやビスフェノール-Aに代表されるような芳香環をその分子内に持つことと考えられ,芳香環を分子内に持たない可塑剤やモノマーを用いて,所期の物性を持つレジン材料の開発が望まれている.また,ビニル系レジン材料にとって,重合収縮は避けられない問題であり,その使用にあたって種々の弊害の主因となっている。重合収縮を小さくする工夫としては,スピロ環などの開環重合を可能とする重合性基の導入によるモノマー自身の重合収縮の減少や複合化による見かけ重合収縮の減少など,数多くの試みがある.我々は,MMA/PMMA系義歯床用レジンに代表されるポリマー粉部とモノマー液部を混和して膨潤溶解を待ち,餅状化した樹脂組成物を重合する手法を応用して,見かけ重合収縮率の少ない高性能歯科用レジンを開発している.その過程で,重合性基を持つビニルエステルを液部とし,各種重合体を粉部として混和した樹脂組成物を調製したところ,極めて短時間に膨潤溶解が進行し,餅状化することを見い出した.先ず最初に,ポリメタクリル酸エチル(PEMA)を粉部とし,ビニルエステルを液部として混和した軟性樹脂組成物の軟性裏装材としての可能性に関して,ビニルエステルの分子量とその分子構造の観点から詳細な検討を加えた.その結果,ビニルエステルはエチルアルコールを用いることなく,PEMAを膨潤溶解させることが出来,その軟性樹脂組成物のゴム弾性は従来の軟性裏装材と同様であることを明らかにした.次の段階として,その餅状化物中のビニルエステルを重合することにより,硬化物の中に従来の概念の可塑剤が存在しないこととなる.また,脂肪族系ビニルエステルを用いた時,その樹脂組成物の細胞毒性は従来の軟性裏装材よりも小さかった.
著者
岸 玲子 吉岡 英治 湯浅 資之 佐田 文宏 西條 泰明 神 和夫 小林 智
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

いわゆる化学物質過敏症を疑って札幌市内1医院を受診した患者全員(30人)に基本調査票の記入を依頼し、男性2名を含む26名から回答を得た。平均年齢は44.5歳、発症からの経過年数は2-5年が10人、発症時と比べて症状が悪化した11名、症状頻度が増加した13名だった。ドイツのBeilerらが開発した化学物質過敏症尺度(IEI尺度)を用いた結果、主訴は「においを強く感じる、頭痛、集中力の低下、疲労感、眠気」であり、原因物質は「ある種の香水、塗料または希釈液、タバコや葉巻、ガソリンのにおい、整髪料、マニキュア」だった。化学物質曝露による「健康状態、職場や学校での能力、余暇、家庭生活、身体的能力」への影響の有訴が高かった。この結果、先行研究同様に本研究対象者にとってもいわゆる化学物質過敏症は複数の身体症状が長く続く状態であるといえた。このうち同意が得られた18名(内男性1名)に芳香療法(アロマセラピー)の介入を、無作為化クロスオーバー比較試験として実施した。IEI尺度、および不安尺度については、介入期間前後と対照期間前後の得点差には統計学的有意差は見られなかったが(p>0.05)、各回のアロマセラピー前後では気分尺度の6つ全ての下位尺度に有意な改善が認められた(p<0.05)。化学物質過敏症は臨床的な疾病概念が定義されていない。しかし患者にとって身体症状は事実であり、症状コントロールが必要であるにもかかわらず、現在までに有効性が示された療法はない。本研究は化学物質過敏症へのアロマセラピーの効果を初めて検討した。対象者数が少なく、アロマセラピー介入による症状改善効果は本研究では明らかにならなかったものの短期には気分の改善が認められ、対象者の多くは機会があればこれからもアロマセラピーを受けたいと答えたことから、本研究の課題を改善することでさらなる研究の可能性が示唆された。
著者
岡ノ谷 一夫
出版者
千葉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

南米ペール産の齧歯類デグーは、昼行性で両親と子供、それに血縁のない「いそうろう」を交えた「拡張家族」を作って生活する。デグーは昼行性で、視覚聴覚あわせもった次元でコミュニケーションしていると考えられる。デグーは最低でも10種の発声信号を有し、尾でさまざまな形をつくり感情を表現すると言われている。私たちはこの動物がほ乳類における視聴覚統合を研究するためにふさわしいモデルではないかと考え、研究の可能性を探ることにした。まず、個々のデグーについて発声行動をオペラントとして餌を得る行動を条件づけしようとした。この条件付けはデグーにとっては難しいものであったようで、訓練完了まで2ヶ月を要した。しかしこの実験の最中で、私たちはきわめて興味深い現象を発見した。条件づけ訓練が続いている間に限って、デグーが自発的に入れ子構造を構成したのである。デグーは飼育施設内の砂浴び容器を基底となるカップとして用い、その中に餌入れを入れ、さらに餌入れの中に遊具である鞠を入れた。この行動は、2つがいのデグー双方が、また、それぞれの雌雄が独立に、また共同して行っていた。入れ子づくり行動を自発するのは、霊長類でもヒトのみである。チンパンジーではこの行動を訓練により引き出すことが出来るが、自発することはない。鳥類では、ヨウムにおいてこの行動が自発し、さらに自発した時期が2語文を発した時期に一致したとされている。デグーにおいても、発声の可塑性を引き出すような訓練と、階層構造を作ろうとした行動とが偶然同時期に観察されたことは興味深い。
著者
有本 卓 平井 慎一 小澤 隆太
出版者
立命館大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

冗長自由度系に関するベルンシュタイン問題に挑戦し、手先拘束が無い多関節到達運動に関しては、作業空間における仮想スプリング・ダンパー仮説(Virtual Spring-Damper Hypothesis)に基づく方法が有効に機能することを、理論的かつロボットの腕を用いた実験により、実証した。この仮説は、運動生理学の分野において唱えられた平衡点仮説、仮想軌道仮説、および逆ダイナミクス生成仮説と異なり、逆動力学の不良設定性を解消することなく、従って人為的な最適化のためのコスト関数を導入する必要のない全く自然な運動生成法を導く。また、冗長関節系による書字作業のように、重力下で手先拘束がある場合、仮想スプリング・ダンパー仮説が有効に機能し得るか、検証した。この場合、二つの重力補償法を考案し、良好なシミュレーション結果を得たが、決定的な方法と断定するまでには至っていない。また、理論的な検証についても、現時点では結論し得ていない。本年度は、冗長関節系について、理想運動が繰返し学習によって獲得できることを理論的、かつ、実験的に示すことに成功した。この結果は、幼児の到達運動に関する学習の様式と対比させ得る。幼児が初めて、目の前の物体を取ろうとして手を伸ばすとき、腕や手の関節の動きを見ずに、手先のみを見ていることが観察されている。冗長関節系の場合、手先空間の次元は関節空間の次元より低くなる。この低次元作業空間で与えた理想軌道と学習更新則に基づいて、繰返し学習が有効に機能し得ることを見出した。しかも、低次元の作業空間のみに理想軌道を与えたとき、高次元の冗長な関節運動と理想の制御入力信号が一意的に定まることを理論的に示すことに成功した。この結果は、冗長関節系にも繰返し学習の理論体系があり得ること、また、これらの力学的本質が運動能力の獲得に関する発達心理学や脳科学の知見と対比し得ることを示唆する。
著者
石田 謙司 桑島 修一郎
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、有機強誘電体多層膜を用いて新たな原理の論理演算素子を創成すべく、その基本概念の取得、動作原理の探求を行うことである。本年度は分極相互作用を利用した論理演算素子の実証実験に不可欠な強誘電体論理セルとなる強誘電体多層膜をフレキシブル基板上に形成して論理動作の詳細を解析し、有機強誘電体のスイッチング機能を応用した非トランジスタ型の有機論理法の動作原理を考察した。本動作を検証するため、フッ化ビニリデンVDFオリゴマー(n=12)を用いてデバイス試作を行った。電極材料にはA1を使用し、A1配線はVDFオリゴマー薄膜を介して、3つのラインが1か所でクロスオーバーするパターンとした。クロス領域は0.25mm^2、それぞれの膜厚はA1:60nm、VDF:220nmである。作製した積層体に、プリセット用のポーリング処理を施した後、論理入力として(input1,input2)=(1,0)、(0,1)、(1,1)、(0,0)をそれぞれ印加した。本実験の場合、入力論理値"1"は、+48Vであって、"0"は-48Vであり、その矩形波を入力とした。矩形波としての印加時間は250usecである。それぞれの入力に対して観測された出力電荷の時間変化を観測したところ、(1,0)、(0,1)での出力がほぼ一致することが判り、その値は、59nCであった。この値はポーリング処理時での各層での残留分極量に一致する。また(1,1)での出力がちょうどその2倍に相当する118nCであり、分極反転に伴うスイッチング動作が実際のデバイスでも想定通りに実行できていると言える。以上の結果より、例えば出力の閾値を50nCとすれば、ORゲート、100nCとすればANDゲートとして動作、実行できることが判明し、強誘電体多層膜を用いた論理ゲート動作を実証した。
著者
中路 重之 梅田 孝 坂本 十一 高橋 一平 辨野 義己
出版者
弘前大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では、各食物繊維摂取後の呼気中に排出される水素、メタン濃度から、大腸内の発酵の有無と程度を推測し、腸内細菌叢をいくつのパターンに区分することを目的とする。平成19年度は、ラフィノース、難消化性澱粉の検討を行ったが、20年度はペクチン、セルロース、ラクツロースその検討を行った。平成21年度の実験手順は以下の様であった。(1) 対象者を3グループ(ペクチン、セルロース、ラクツロース)にわけ、各グループに各食物繊維20グラムを摂取させる。(2) 食後呼気採集バックで終末期呼気を300cc採集。操作を39分毎に食後15時間迄実施。(3) 呼気ガス中の水素、メタン濃度をガスクロマトグラフィーにて測定。(4) 同時に全対象者の腸内細菌(光岡方式による13種類)を培養法で同定。(5) その結果、水素発酵の有無で以下の3パターンに分類された。1群 : ラクツロース・ペクチン発酵、セルロース非発酵群(4例)2群 : ラクツロース発酵、ペクチン・セルロース非発酵群(7例)3群 : ラクツロース・ペクチン・セルロース非発酵群(3例)腸内細菌叢に関して3群を比較すると、Clostridia(lecithinase negative)が1群で他の群より有意に高い陽性率を示した。そのためクロストリジウムが呼気水素の上昇(発酵の有無)に関係する可能性が示唆された。以上より、食物繊維摂取後の呼気水素を測定することで、腸内細菌の状態を推測する可能性が示唆された。
著者
祖山 均 巨 陽
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究は,半導体にひずみを付与すると電気的特性が変化することを活用し,半導体の一種である亜酸化銅太陽電池を取り上げ,ひずみの付与による太陽エネルギを電気エネルギへ変換する変換効率を向上させて亜酸化銅太陽電池を高性能化することを目的とする。本年度は初年度の研究を発展させ、ひずみを活用した亜酸化銅太陽電池の高性能化を図った。1.光起電力効果におけるひずみの影響の定量的評価 銅板を高温酸化させて亜酸化銅を銅板上に生成させた試験片を作製し,それを片持ちはりとして荷重-変位を測定し,亜酸化銅の縦弾性係数を求めた。また酸化条件を変化させた亜酸化銅のひずみを,2次元検出器を有するX線回折装置を使用して2D法により,求めた縦弾性係数を用いて亜酸化銅の残留ひずみを評価した。その結果,酸化条件により残留ひずみが異なることを明らかにした。また亜酸化銅太陽電池に曲げ応力や垂直応力を与えることにより,光起電力が向上することを明らかにし,求めた縦弾性係数により,亜酸化銅に負荷した応力をひずみに換算して評価した。2.光起電力効果におけるひずみの影響の電気的特性の評価 銅板から生成した亜酸化銅太陽電池について太陽電池シミュレータにより光起電力を計測しながら,ひずみを付与して,ひずみにより光起電力が向上することを明らかにした。また亜酸化銅太陽電池にひずみを付与しながら亜酸化銅太陽電池の抵抗などを計測した結果,ひずみによる光起電力向上には,亜酸化銅太陽電池のショットキー障壁が変化している可能性を明らかにした。3.ひずみを活用した亜酸化銅太陽電池の高性能化 亜酸化銅を酸化する際の酸化時間や酸素分圧により光起電力が異なることを明らかにし,最適酸化条件を得た。また亜酸化銅太陽電池に曲げ応力を負荷するよりも垂直応力を負荷したほうが亜酸化銅太陽電池を高性能化できることを明らかにした。
著者
栗原 伸公 橋本 弘子
出版者
神戸女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

Heterocyclic amines (HCA)の一つであるTrp-P-1(3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido[4,3-b]indole)は、食事由来の強力な変異原性物質であり、ラットに投与すると様々な臓器に腫瘍を生じることが報告されている。近年、山根らはin vitroにおいてHCAを食物繊維が吸着することを観察したが、私たちの知る限りin vivoにおける食物繊維によるHCA吸着の検討は報告されていない。本研究では、不溶性食物繊維の一つであるセルロースと、HCAの中でも強い変異原性を示すTrp-P-1を用いて、in vitroで起こる食物繊維のHCA吸着がin vivoでも起こる結果、HCAの腸管吸収が抑制され排泄促進につながる可能性について検討した。まず10週齢SD系雄ラットに、セルロース除去食、5%セルロース含有食(通常食)または10%セルロース含有食を3日間投与した。投与後、麻酔下において十二指腸起始部と回腸末端部をそれぞれ結紮して小腸ループを作成し、ループ内にTrp-P-1溶液を注入して一定時間(5〜20分間)保持した。保持後、門脈および腹部大動脈から採血して、小腸と肝臓を摘出し、血漿、小腸内溶液および肝組織中のTrp-P-1を抽出し、HPLCにより定量した。その結果、セルロース除去食投与ラットに比べて5%セルロース含有食投与ラットでは、血漿中、小腸内溶液中および肝組織に取り込まれたTrp-P-1濃度は有意に低かった。また、10%セルロース含有食投与ラットでは、これらTrp-P-1濃度はさらに低かった。以上より、セルロース含有食を摂取することでTrp-P-1は消化管内においてセルロースに吸着され、小腸から体内への吸収が抑制さ
著者
長沼 毅
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

通常の表層海水試料に加えて、深部地下水ならびにトカラ列島や口永良部島などの火山域、サハラ・ゴビ砂漠、北極・南極等の極限環境試料から孔径0.2ミクロン(μm)通過菌(すなわちナノバクテリア)の単離・培養を試みた。上記試料液あるいは懸濁液を三連にした孔径0.2ミクロンSterivexフィルターで濾過し、その濾液を貧栄養の1/100LB液体培地に接種した後、濁りの生じた培地をさらに1/100LB寒天培地に塗布し、形成した単コロニーからの釣菌および画線を繰り返して、0.2ミクロン通過菌、(極微小菌)の単離を行い、6株を取得することができた。このうち好気・室温条件で増殖が比較的速い深部地下水由来の3株の分子系統を16S rRNA遺伝子で調べたところ、それぞれ既知の属(Acidovorax、Micrococcusおよび phaeospirillum)に帰属することが分かった。この深部地下水由来の3株について、一酸化炭素と二酸化炭素の変換および亜硫酸と硫酸の変換という地球化学的な機能を有する酵素の遺伝子を得ることができた。また、一本鎖DNAの分解、突然変異源である酸化ヌクレオチドの分解酵素、トレハロース生合成の最終段階、グルタミン酸の生成(synthetaseではなく、糖代謝とアミノ酸代謝を結ぶsynthase)など、種々の代謝に関わる酵素の遺伝子も得ることができ、極微小生物の生理に関する基礎知見を拡充することができた。