著者
武田 祐輔
出版者
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、脳波や脳磁図から運動意図に関連する脳活動を抽出し、ブレイン-コンピュータ・インタフェース(BCI)の精度向上に役立てることを目的とした。運動意図に関連する脳活動を抽出するために、運動想像中の脳波から、様々な未知のタイミングで現れる波形(非同期波形)を推定し、その性質を明らかにした。そして、非同期波形の機能的役割を推測するための方法を確立した。さらに、レスト中の脳活動データから繰り返し現れる時空間パターンを推定する手法を提案した。
著者
杉本 貴志
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

現在急速に事業の統合・広域化を進める消費者生活協同組合がいかなる課題を抱えているか、日本とイギリスの生協について現地調査と理論的考察を進めることにより、「非営利・協同」の事業体として独自の存在意義を訴えることに成功することができたならば、こうした統合化は流通業界におけるユニークで強力な事業体に生活協同組合を発展させ得るものであることを確認することができた。しかしそれは同時に、組合員の「参画型民主主義」という生協本来の価値を揺るがしかねないものでもあって、その解決のためには「ステークホルダー民主主義」のモデルを模索し、確立することが、今何よりももとめられていることを論じ、考察した。
著者
曽田 五月也 宮津 裕次 脇田 健裕 松永 裕樹 宋 成彬
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

軽量低層建築物を対象として、地盤上のべた基礎上面に超高分子量ポリエチレンシートを敷き、その上に上部構造用基礎を設置する事で、大地震時には基礎の滑りにより免震に準じた効果を発揮する一方で、小地震時や強風時には、上部構造内に設置するオイルダンパによる制振効果を活用する構造システムを考案した。実験的・解析的な検討を通じて、過酷な地震動の作用に対しても上部構造の変形・加速度を地震直後から建築物の継続使用を可能とする範囲に収めることが可能なことを実証した。
著者
アラキマトゥカフ 直子
出版者
福岡女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、福岡市小学校英語活動の発展を目指し、演劇表現活動を取り入れた児童英語カリキュラム開発・実施の提案である。本研究は、第一に「演劇の一環であるEducational Drama教授法を取り入れた小学校英語活動の推進」を行った。この課程では、「ドラマの手法/Educational Drama(演劇表現活動)」を使った英語活動カリキュラムを導入した。このカリキュラムの「開発」「実行」「振り返り」の作業を文部科学省「小学校における英語活動等に関する国際理解活動推進拠点校」である福岡市横手小学校の教員と共に行った。本研究代表者は、6年生2クラスの英語活動に長期にわたって参加し、教員と児童に直接現場で指導した。その結果、言語学習中心であった英語活動が活性化され、英語を「覚える」活動ではなく、英語でコミュニケーションをとる「楽しさ」を実感できる活動へ変わった。また、英語に苦手意識があった児童や、学習意欲が低かった児童も、生徒主体の「ドラマの手法」特に「なりきる」ことを通して、「自己再発見」「他者再発見」ができ、積極的に授業に参加する姿が見られた。本研究者が現場で直接指導することで、先生方が日頃抱える英語活動に対する不安が解消され、担任中心で行う英語のコミュニケーション活動への取り組み方を直に伝えることができた。第二に「小学校英語活動分野においての教員教育・研修」を福岡市立小学校教員が主催する「英語活動サークル」や「英語活動研究委員会」の定例会にて行った。そこでは「ドラマの手法」を用いたオーストラリアでの外国語教育の事例や、横手小学校の実践経過報告を発表した。19年6月30日に行われた横手小学校英語活動公開授業にて、「ドラマの手法」を取り入れたカリキュラムを起用した6年生の授業を400人近くの教育関係者が見学し、児童の活き活きとした積極的な姿からこのカリキュラムの成果を実感した。さらに「ドラマの手法」を広く理解してもらう為に、Japan Drama/Theatre and Education Association(JADEA)の学会を設立し、20年2月14日15日の両日にJADEAシンポジウムを開催した。オーストラリアや台湾から著名な教育者を招き講演とワークショップを行い、本研究者も横手小学校の教員と共に本研究結果発表を行った。シンポジウムには、教育関係者をはじめ大学生や一般市民、多数の方々が参加された。
著者
大島 慶一郎 江淵 直人 青木 茂 深町 康 豊田 威信 松村 義正 北出 裕二郎 舘山 一孝 二橋 創平 小野 数也 榎本 浩之 木村 詞明 田村 岳史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

海洋中深層循環及びその変動を決めうる海氷生産量を、衛星データ等から見積もるアルゴリズムを開発し、そのグローバルマッピングを初めて行った。沿岸ポリニヤでの高海氷生産過程を長期係留観測から明らかにし、アルゴリズムの検証も行った。南極第2の高海氷生産域であることが示されたケープダンレー沖が未知の南極底層水生成域であることもつきとめた。南極海とオホーツク海では、海氷生産量の変動が底層水や中層水の変質とリンクしていることを明らかにし、中深層循環弱化の可能性を指摘した。
著者
松原 和純
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ヘビにおける性染色体の分化過程を解明することを目的として、3 種のヘビ(インドニシキヘビ、シマヘビ、ハブ)において性染色体の構造比較を行った結果、インドニシキヘビのZW 染色体は分化の初期状態を保持してきたことや、シマヘビとハブの共通祖先においてW 染色体の矮小化が進んでいたことが示唆された。また、ヘビにおいて性分化関連遺伝子群の染色体上の位置を同定した結果、哺乳類において卵巣形成に関わるとされるβカテニン遺伝子が性染色体に位置することが明らかとなった。さらに、いくつかの性決定関連遺伝子の胎児期の性腺における発現パターンの雌雄差を調べた結果、産卵後10 日以前に性分化が開始することが明らかとなった。
著者
池田 菜穂 GURUNG Janita GYALSON Sonam
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ネパール・ヒマラヤ高地と,インド・ヒマラヤ西部のラダーク地方において,地域住民の災害リスク認識と災害対応に関する研究を行った。ネパールでは,高山帯全体を対象として,地域社会の社会環境及び住民の生業活動に関する現状と近年の変化を調査したほか,国の防災実務に関する文献調査を行った。インドでは, 2010年8月にラダーク地方で発生した豪雨災害について,災害被害が地域住民の生活に及ぼした影響と地域住民の災害対応に関する現地調査を行った。今後は,これらの成果を元に,災害に関するヒマラヤ高地住民の知識と対応力の向上に貢献する活動を実施したい。
著者
田辺 哲朗 朝倉 大和 上田 良夫 山西 敏彦 田中 知 山本 一良 深田 智 西川 政史 大宅 薫 寺井 隆幸 波多野 雄二
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班では、各計画研究班の研究成果を総括すると共に、以下の会合に出席または企画開催し、成果の公表、取りまとめ、総合化をはかると同時に、成果についての評価も行うことにより、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に、必要な研究課題あるいは取得すべきデータ等を各研究班に提示し、研究のフィードバックを行った。また最終年度として、成果のとりまとめを行い最終報告書を作成した。今年度の具体的な実績として1.平成24年5月20-25日 独国アーヘンにて開催された第15回「制御核融合炉におけるプラズマ壁相互作用」国際会議において招待講演を行うと共に、国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導、また領域から多数発表2.平成24年5月29-31日 独国Tergeseeにて開催された第10回核融合炉材料中の水素同位体挙度国際ワークショップにて国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導すると共に、領域の成果を発表3.平成24年8月10・11日 ウインク愛知にて、第8回公開シンポジウム科研特定領域「核融合トリチウム」最終成果報告会を開催4.最終報告書を作成し関係者に配布すると共に、ホームページに掲載http://tritium.nifs.acjp/results/pdf/report_of_25.pdf5.平成24年9月19日広島大学にて開催された、日本原子力学会、核融合部会セッションにて「核融合炉実現のためのトリチウム研究報告と新展開に向けた提案」のシンポジウムを企画を行い研究班の実験実績のとりまとめ、その成果発表、知識の共有化、情報の公開をはかるとともに、総括班としてA01,A02,B01,B02,C01,C02各班の研究活動を掌握し、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に成果の評価を行った。そしてこれらの情報はすべて本領域のホームページhttp://tritium.nifs.ac.jp/に掲載、常時updateしながら、本領域で得られている情報の発信に努めた。
著者
池田 順子 河本 直樹
出版者
京都文教短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成13年度は、以下の通り進行した。(1)中学生を対象者とした10年間のデータファイルを用いて「食生活、生活状況と健康の10年間の推移」について検討した。10年間での対象者数は6477人であり、データファイルに入力した項目は食生活、生活状況、健康状況に関する約130項目であるが、それらから現状を把握・評価するための各種指標を算出したので、解析項目としては約200項目となる。(2)10年間の推移として見いだせた概要は以下の通りである。◇身長には増減は見られなかったが、体重は3年男女で増加傾向が見られ、その結果として、肥満度にも3年男女では増加傾向が見られた。◇血清総コレステロールは2年女子(増加)と3年男子(低下)以外では増減は見られなかったが、HDLコレステロールは全学年で増加傾向が、動脈硬化指数は全学年で低下傾向が見られた。◇睡眠時間は2年女、3年男女で短縮傾向が見られた。◇生活状況では、テレビを3時間以上見る割合が増加傾向であり、1年男女では家での勉強時間の少ない割合が増加傾向であった。◇食生活の取り方では、殆どの学年で共通して認められたのは果実類の摂取頻度の低下傾向と乳類の摂取頻度の増加傾向であった。食べ方では、男子の弁当持参の割合が全学年で増加傾向を示したのみであった。(3)「健康に生活や食生活がどの様に関与しているか」について検討した結果及び、「健康の推移に生活や食生活がどの様に関与しているか」ついて検討した結果と今回得られた結果を総合して検討し、中学生のための指導指針を考案しリーフレット(A2大用紙4つ折りでカラー印刷)に仕上げた。
著者
勝川 路子
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

レモングラスは調味料や香料として世界的に広く利用されているハーブであり、鎮痛や消炎作用を目的として用いられるが、その分子メカニズムは明らかになっていない。本研究において、我々はプロスタグランジン産生に重要な酵素であるCOX-2や生活習慣病の分子標的であるPPARを指標としてレモングラス精油の評価を行い、レモングラス油主成分のシトラールがCOX-2を抑制し、PPARを活性化することを同定した。
著者
石黒 仁揮
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大規模アナログ・ディジタル混載回路に搭載されるアナログ回路の周波数応答および時間応答をモニターする回路を開発した。高速に正負双方に昇圧されたクロックを生成するブートストラップ回路を考案し、サンプリング回路の動作周波数およびダイナミックレンジを拡張出来ることを実験で確認した。位相特性測定用の面積効率の良い位相補間回路を考案して、回路設計および測定を行った。開発したモニター回路は0.1mm角以下のサイズで、LSIのチップ内に多数搭載してアナログ回路の特性モニターおよびそのキャリブレーションに利用することができる。
著者
梅崎 太造
出版者
中部大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度は、既に開発していた「声の誘導、大きさ、長さ、高さ」「5母音」「オンラインヘルプマニュアル」等の基本的発話訓練ソフトウェアに加え、以下に示すソフトウェアを開発した。ゲーム性を重視し、より操作が簡単にできるよう努めている。児童に訓練していることをなるべく意識させないで、楽しみながら遊べるように配慮してある。UFOキャッチャー・・・声の連続断続訓練に用いる。一定の大きさで声を出し続けるとクレーンが動く。1度目の発声で右方向に動き、2度目の発声で下方向に動く。ロケット・・・無声音の訓練に用いる。ゲームがスタートするとカラスが左から現れる。正確に発声できたら弾が発射される。もぐらたたき・・・母音訓練に用いる。モグラが穴の外に出ている間に、穴に付けられた母音名を発声する。正しく発声できたらモグラをトンカチで叩いたことになる。音声迷路・・・日常生活で良く使う単語の訓練に用いる。ランダムに作成される縦横Nマス(N=2〜30の間で指定)の迷路を音声で操作しながら出口を探索する。これらの発話訓練ソフトウエアは5つの聾学校において実際に評価していただいている。平成10年度は、子音の中でも特に区別が困難な有声破裂音/b,d,g/に対して、後続母音非依存及び依存型認識モデルの比較検討を行った。認識方法としては、DPマッチング、TDNN、HMMの3手法を用いた。後続母音に依存しない実験では、TDNNによる認識結果が最も高く74.3%であった。一方、後続母音を考慮した実験ではDPマッチングで最高88.3[%]が得られたほか、全体的に認識率が向上した。3手法を統合した場合、後続母音に依存しない認識モデルに比べ、後続母音依存型モデルによる認識率が平均10%向上しており、後続母音を考慮した認識法が有効であることを示した。
著者
内海 龍太郎
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

細菌は環境変化を迅速に感知する多様な膜センサーを介して、環境適応に必要な遺伝子の発現を制御し、多様な環境変化に迅速に適応するシステム(TCS, two component signal transduction)を有している。細菌細胞は、1細胞に何十というTCS回路を持っていることが知られている。さらに、各TCS回路は互いに連結して、さらに複雑な遺伝子発現制御ネットワークを形成している。本研究では、世界で初めて、大腸菌K-12のTCS EvgS/EvgAとPhoQ/PhoPに着目して、それらの2種のTCS間をつなぐ、コネクターの働きを明らかにし、環境変化に迅速に適応できる細菌の情報伝達ネットワークの分子機構を明らかにした。
著者
神山 敏雄 佐久間 修 恒光 徹 垣口 克彦 浅田 和茂 斉藤 豊治
出版者
岡山大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、経済犯罪の総論的課題については、従来の日本の経済犯罪研究の歩みと研究方法を分析・検討することによって経済犯罪研究の全体像を明らかにし、そして日本における経済犯罪現象の諸相を概観することによって今後の研究課題を模索した。各論においては、以下の諸分野の経済犯罪を取り上げて研究した。先物取引の分野においては、当該取引をめぐる犯罪の現状を分析した上で、判例、捜査実務、学説の役割を検討し、今後の当該犯罪についての経済刑法の課題を指摘した。企業秘密の分野においては、企業秘密の概念やその侵害に対して刑法とその他の法律はそれぞれどのような役割を果たすべきかを検討した上で、刑法の限界を明らかにした。証券取引の分野においては、特に、インサイダー取引の現状分析とその犯罪化立法の問題点を取り上げて検討した。出資法の分野においては、従来の犯罪形態を分析した上で、これらの犯罪対策手段として行政処分と刑罰はどのような役割を果たすべきかを検討した。連鎖取引の分野においては、無限連鎖講と連鎖販売取引をめぐる犯罪を取り上げ、その実態と対策を検討した。クレジット・カード濫用の分野においては、その実態、当罰性、刑法の役割について検討した。コンピュータ濫用の分野においては、コンピュータ犯罪の動向とコンピュータ・ウイルスの問題について詳細な資料を駆使して検討を加えた。外国における経済犯罪の実態と理論については掘り下げて研究する予定であったが、当初の計画通りには進展しなかった。これまで外国の経済犯罪に関する文献について5篇を取り上げ、紹介・論評することができたが、引き続き今後の研究に委ねることにする。
著者
加井 久雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は,原則主義に基づくIFRSの影響が日本企業の単体財務諸表に影響を与える影響を連単分離によって遮断しようとしても上手くいかない条件を数理モデル分析によって明らかにした。具体的には,原則主義であるがために経営者が利益操作を行ないやすいならば,相対的に利益操作されにくい単体財務諸表を投資家は利用することや,子会社を使った親会社の利益管理が容易であるほど,株主と経営者の利害対立の緩和に連結財務諸表の方が有用であることなどを厳密に示した。これらの成果を学会などで報告すると共に,学術誌にも公表した。
著者
武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

18世紀初頭、英国小説は、匿名を用いて実録の体裁を取ることで、娯楽的なロマンスから現実的な文学様式を新たに作り出すことに成功した。しかし、事実によって虚構性を抑圧することは、小説の可能性を狭めることにもつながった。そこで18世紀中ごろから、この新様式の特徴を損なうことなく、いかに巧みなプロットを構築するかという試みがなされ、これと同時に作者の名前が表面化する。本研究は、18世紀英国小説におけるリアリズムと物語性との相互作用を、匿名性の問題と関連づけて考察したものである。
著者
灘岡 和夫 鹿熊 信一郎 中谷 誠治 茅根 創 宮澤 泰正 波利井 佐紀 秋道 智彌
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1)新たな人工衛星リモートセンシング画像解析法に基づいて統合沿岸環境モニタリングシステムを一般化・汎用化するとともに,フィリピン,フィジー,サモア,沖縄における沿岸環境モニタリングを行った.そして,画像データのそろっている沖縄・石西礁湖及びその周辺陸域を対象とした過去約20年間の衛星画像(LANDSAT-TM)の解析を通して,石西礁湖内のサンゴ礁生態環境(特に海底被覆状態)の変遷と,それに対応した周辺陸域における土地利用や植生被覆状態の変遷を明らかにした.さらに,この陸域情報に基づいて,各流域からの赤土流入負荷の変遷を定量的に評価し,その結果を上記の沿岸生態環境の変遷に関する解析結果を照らし合わせることにより,周辺流域圏の土地利用形態等のあり方から見た沿岸-陸域統合型の資源管理策について検討した.2)流域からの環境負荷の定量的評価に基づいた陸域-沿岸統合型資源管理フレームの展開のために,フィジー,サモア,フィリピンにおいて,赤土流入量負荷や沿岸水質の長期モニタリング体制を構築し,従来にない長期連続データを得た.3)観光開発による生活雑排水流入などによって水質悪化と沿岸生態系劣化が著しいフィリピン・ミンドロ島北端に位置するプエルトガレラ沿岸域を対象として,同水域における物理・水質・生物環境調査や地元コミュニティーについての社会的調査を地元自治体,NGO,フィリピン大学等との共同で実施し,関連する数値シミュレーション等も併せて行うことにより,同水域における物理・水質・生物環境の特徴や水質劣化構造の実態を明らかにするとともに,「人間-沿岸生態」共存系の観点から,有効かつ持続的な環境保全策の立案にむけての検討を行った.4)サンゴ食害生物であるオニヒトデを対象として,有効な遺伝子マーカーを開発することによって集団遺伝学的な解析を行うとともに,広域的な海水流動・幼生輸送計算モデルによって幼生の広域輸送パターンを解析することによって,広域的な沿岸生態系の相互依存ネットワークの内容を調べた.この成果は重点的海洋保護区の設定に関して合理的・科学的な根拠を与えるための基礎情報となる.
著者
谷口 栄一 山田 忠史 安東 直紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、都市物流システムについて、所要時間変動を考慮した動的経路選択モデルを開発し、それを時間指定付配車配送計画に組み込み、コスト信頼性を評価できるモデルを構築した。また危険物輸送について総走行時間および交通事故に巻き込まれたときの周辺住民への損害リスクを考慮した多目的の指定時間付配車配送計画モデルを開発した。これらのモデルを用いて安全安心、快適な都市を支える信頼性の高い都市物流システムを構築することが可能となる。
著者
戸所 隆
出版者
立命館大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.研究地域は中規模中心都市の前橋・高崎地域(参考として名古屋市).2.ここ数年間のオフィス・スペース拡大は著しい. その理由は次の5点に集約できる. (1)機関投資家がオフィスビルを資金運用手段として利用. (2)地価高騰が地主や不動産業者に固定資産税対策などから遊休土地へのオフィスビル建設を促す. (3)ソフト化時代に対応した新業態オフィス機能の発生. (4)OA危機設置スペースの増大とソフト化時代に対応した設備をもつオフィススペース受容の増加. (5)新オフィスビル入居による企業イメージの向上.3.都心部では既存建物の新陳代謝・立体化でオフィススペース拡大が進み, 郊外でも前橋・高崎両都市の中間地区の関越自動車道前橋I・C付近での郊外型オフィスビル建設が多い.4.関越道・上越新幹線の開通は, 一面で東京へのおフィスかつどうの集中をうながしたが, 他面で関東と信越との分岐点・結節点に位置することから新規立地をうながし, 結果としてオフィス機能の新陳代謝が進んでいる.5.郊外立地オフィスは, 域外からの新規立地と都心部からの移転立地がある. オフィスの郊外化の要因は, 次の3点に集約できる. (1)系列企業のビルオーナーからの入居要請. (2)都心部の駐車場不測. 自家用車普及率が全国一でバス等公共輸送機関の弱体化した地域では, この問題が都市構造を変化させている. (3)東京や近県との結節性から関越道I・C付近への立地移動.6.潜在的にはオフィスの都心部への立地指向は強い. しかし上記要因から郊外立地が進展している. 特に前橋・高崎地域では, 群馬銀行の郊外移転など中核企業の郊外立地が, かかる動向に拍車をかけている. このため郊外の発達に比べ, 都心の業務街形成が, 他の同規模都市に比べて弱い.7.オフィス機能の都心と郊外の差はほとんどみられないが, 郊外の場合は単独でも立地しうる相対的に大きな企業が多い.8.一般性と特殊性の明確化が今後の課題.
著者
太田 諭之
出版者
静岡大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

DTM(DeskTop Music)は,MIDI(Musical Instrument Digital Interface)によってコンピュータに音程(音高),音の長さ,音の大きさをユーザが指定して入力することにより音が発音され,曲を演奏する仕組みである。このDTMで楽曲を演奏させヴァイオリンの演奏者と合奏する事によりヴァイオリンの演奏者は定まった音程とリズムを習得することがより容易になるのではないかと考え,DTMを用いた演奏支援を提案した.ある楽曲をMIDIで演奏させた音と本物のヴァイオリンの音のFFT解析を行い,音の違いを調べた.実際の楽器G(ソ;開放弦)を弾いた波形は,スペクトログラム上の解析によりMIDI音源のヴァイオリン音に比べて倍音がより多く出ていて,音色が豊かである事が分かった.ヴァイオリンの個人レッスンを受けて1年の筆者(2010年04月現在)は,過去に一度も演奏していない楽曲をDTMで演奏させ,一通り聴いてパソコンの演奏と合わせた時とDTMを全く用いない練習において楽曲の演奏の習熟度に違いが見られるか実験を行った.録音機と再生機(ヘッドフォン)は,音楽業界でモニタとして使用される事が多い機器を使用し,音質に考慮した.それにより,実際の楽器とMIDIで発せられた楽器音を,厳密に比較し練習の際に注意すべき点と活用できる点を調べた.MIDIを用いた時と用いないときのヴァイオリン奏者の演奏を,短い曲で一フレーズを弾き,音程をFFTで分析する.又,テンポをMIDIの演奏とずれていないか,FFT解析を利用してチェックした.実験結果は,MIDIの伴奏及び主旋律の演奏支援に並行して,練習の回数を重ねていくと音程とテンポの改善が見られた.模範演奏を1回演奏前に聴くとテンポの間違いが少なくなった.音程の高低を録音で聴き直すと改めてよく分かり次回の練習の課題とした.更に,演奏時にピアノの伴奏が有ると,音をイメージしやすくて楽器を弾きやすく音程とテンポの乱れが,伴奏なしの練習よりも改善された.一方で,シーケンスソフト(パソコンで楽譜を表示させるソフト)を用いるときは,通常の楽譜に記載されている強弱記号や発想記号などが表示されないので練習する際,注意が必要である.今回の実験に対する,プロヴァイオリニストニストのご意見を頂戴した.「初心者の演奏者には使用できる方法ではないか」とのことです.今後,筆者はこのDTMを用いた演奏家支援でアマチュア・オーケストラでの楽曲演奏に応用できるか引き続き,検証を行っていく予定である.