著者
山崎 大
出版者
京都大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

膵臓への異所性脂肪の蓄積である脂肪膵は、膵β細胞機能障害によって糖尿病、炎症性アディポカインによって膵臓癌を惹起すると推察されている。しかし先行研究では一致した見解が得られていない。脂肪膵が糖尿病や膵臓癌の危険因子であるかを明らかにすることを目的とする。健診施設のCT検診受診者において、CT画像を用いて測定した膵脂肪量のデータと、10年間の一般健診データを突合し、脂肪膵と糖尿病発症の関連を縦断的に解析する。また健診施設の関連病院で、10年間に診療した膵臓癌患者の膵脂肪量をCT画像から測定する。CT検診受診者と膵臓癌患者の膵脂肪量を比較し、脂肪膵と膵臓癌の関連を検討する。
著者
Kazuya Tamura Yuya Ueda Takashi Saito Ryo Goto Naoki Yamada Kiyomasa Nakatsuka Kazuaki Uchida Kana Horibe Kenta Saeki Haruhi Encho Masato Tezuka Mao Mukaijo Rei Ono
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine (ISSN:21868131)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.133-139, 2023-09-25 (Released:2023-09-13)
参考文献数
34

Outdoor play during childhood is vital for physical, cognitive, and social development. Outdoor play is influenced by friends, though the relationship between outdoor play and the number of close friends is not clear. This study aimed to investigate the association between peer group size and outdoor play among children aged 9–12 years. This study was cross-sectional in design. We recruited fourth- to sixth-grade children from two public elementary schools. Outdoor play contents and duration on weekdays were collected via a questionnaire, and the total duration of outdoor play on five weekdays was calculated. We asked the children to nominate up to 10 of their closest friends. We calculated the peer group size as the total number of reciprocal closest friends for each child. A multivariate linear regression analysis was conducted to investigate the association between peer group size and outdoor play duration, adjusted for gender, grade, school, body mass index, sports club participation, and screen time. This study included 291 children (137 girls, mean age: 10.6 ± 1.0 years). The peer group size was associated with outdoor play duration after adjusting for confounding factors (β: 0.18, 95% CI: 0.07-0.30). This study revealed that children aged 9–12 years, with larger peer group size showed a significantly longer duration of outdoor play.
著者
阿南 豊正 高柳 博次 池ケ谷 賢次郎 中川 致之
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.56, pp.65-68, 1982-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

緑茶貯蔵中の脂質含量:の変化を明らかにするため,貯蔵条件の異なる4種類の試料,すなわち荒茶を-70℃で18ヵ月貯蔵したもの(試料A,対照区),25℃で3ヵ月貯蔵後-70℃で15ヵ月貯蔵したもの(試料B),25℃で6ヵ月貯蔵後一70℃で12ヵ月貯蔵したもの(試料C),25℃で18ヵ月貯蔵したもの(試料D)の脂質を定量し,次のような結果を得た。1. 各試料について官能検査を行った結果,試料Aは新茶とあまり差がなかった。一方,試料Cおよび試料Dは変質程度が大きく飲用不適と判定された。2. 試料Bは試料A(対照区)に比べて全脂質含量で約10%減少し,試料Cは約20,0fib少した。一方,試料Dは試料Cよりほんのわずか減少する程度であった。3. 各脂質画分別にみた場合,25℃での貯蔵期間の増加につれて減少傾向が比較的はっきりしているものは糖脂質であり,中性脂質とリン脂質は減少傾向が小さかマた。又,個々の脂質別では,減少傾向が比較的大きかったものはMGDG,DGDG,SQDG,PCであった。終わりに,本実験を行うにあたり,御指導を頂いた当試験場古谷弘三前場長,坂本裕製茶部長ならびに官能検査をお願いした製茶第3研究室の方々に深く感謝致します。
著者
内田 大輔 芦澤 美智子 軽部 大
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.59-72, 2022-08-25 (Released:2023-08-26)
参考文献数
29

Business creation through the founding of new firms can drive significant economic growth, just as business creation by established firms can. Hence, fostering startups is indispensable for economic development. In Japan, since the beginning of the 2010s, much attention has been paid to startups, and their business environment has changed dramatically. One of the most distinctive changes is the emergence of accelerators, which originated in the United States in the 2000s and support startups in multiple ways. In response to the growth of the practical interest in accelerators, academic research on this subject has been accumulating in recent years. However, prior research fails to find consistent results regarding how accelerators aid the growth of startups and how they influence startup performance. This inconsistency implies that different characteristics of accelerators may have different influences on startups; in fact, recent research suggests that accelerators are heterogeneous rather than homogeneous in various dimensions. In this article, we focus on accelerator experience as one such characteristic and examine its role in the growth of startups. Specifically, through an empirical analysis using data from 38 accelerators in Japan, we hypothesized and found that the effect of accelerator experience on the amount of funding raised by startups participating in the accelerator program in the year after the end of the demo day is positive only for early-stage startups that had not yet raised sufficient funds before participating in the program. This result implies that accelerator programs are not necessarily effective across all stages of startups because the programs may be specialized for specific stages. To the best of our knowledge, this article is the first study that systematically analyzes accelerator programs in Japan; it contributes to the literature by clarifying the role of accelerator experience in the development of startups.

1 0 0 0 OA 肥後象眼の話

著者
堀 一夫
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会会報 (ISSN:00214426)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.347-350, 1981-05-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
4
著者
宮村 信行
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.1250-1257, 1962-11-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
35
著者
柴尾 学 田中 寛
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-3, 1997-05-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
7

Overwintering sites and stages of the fig bud mite, Eriophyes ficus COTTE, were investigated in an open fig field in 1993 and 1994. E. ficus adults overwintered in dormant fig buds from January to March. The number of overwintering adults were greater in big dormant buds than in small dormant buds and greater in dormant buds on top part of shoot than base part of shoot. E. ficus can overwinter also in dormant buds of cuttage shoot.
著者
蔡 詩岳 佐藤 吏 田中 孝昭
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

関節内に手術操作を施すと術後に何らかの癒着が生じてくることは避けられない。この関節内癒着は、関節可動域を減少し疼痛の原因となるが、現時点では術後の理学療法により、関節内癒着を少しずつ剥離してゆくしかない。近年、ヒアルロン酸溶液が腱縫合などの腱手術後の癒着を防止する効果を有することが報告されてきているが、溶液状のヒアルロン酸では組織に滞留している時間が極めて短く、安定した癒着防止効果を得ることは困難である。そこで、本研究では、ヒアルロン酸に架橋結合を導入してゼリー状のゲルを作製、関節内における癒着防止効果を検討し、その作用機序を細胞レベルで検索した。家兎の膝関節を切開し、大腿骨顆部に5×10mmの軟骨下骨にいたる骨軟骨欠損部を作製する。術後は膝関節を3週間固定して、関節内癒着モデルを作製し、手術操作後に、膝関節内にヒアルロン酸ゲルを塗布し、術後3週での癒着防止効果を組織学的に検索した。その結果、架橋HAゲルを手術時に関節内に投与すると、術後、関節滑膜と連続する肉芽組織の発生が有意に防止され、関節内の癒着は明らかに抑制されることが判明した。架橋HAゲルでチェンバースライドの全面あるいはZ状に一部分をコーティングした後、ヒト皮膚由来の線維芽細胞を各チェンバースライドに播種し7日間培養後に細胞の接着状態や増殖に伴う細胞の移動を経時的に観察した。全面をコーティングした場合、細胞はHAゲル上には全く接着しなかったが、辺縁部のHAゲルでコーティングされなかった部分には接着し、伸展して紡錘形を呈していた。また、HAゲルでZ伏に部分的にコーティングしたものでは、HAゲルの部分には細胞は接着しなかったが、培養を継続するとHAゲルのない部分のみがHAゲルに接触することが観察された。ゼリー状に作製した架橋ヒアルロン酸ゲルは、細胞の基質への接着を阻害し、手術後に発生する癒着を防止するのに有用と考える。したがって、腱の手術後のみならず関節手術後にも生じる関節内の癒着の防止材としても臨床応用が可能であると思われる。
著者
西田 淳志 山崎 修道 川上 憲人 長谷川 眞理子
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-06-30

西田らは、主体価値測定アプリを開発し、思春期大規模コホート研究に導入した。その結果、思春期のロールモデルの獲得・更新と自己制御性の発達が、自律性の成熟の基盤となり、さらにその自律性が基盤となって主体価値が形成されていくことを解明した。山崎らは、全英出生コホートデータを用い、思春期の主体価値と自己制御の発達の相互作用が高齢期のウェルビーイングを予測することを解明した。川上らは、国内外のコホートデータを用いた一連の研究から、思春期主体価値の2要因モデルを提唱した。
著者
阿部 志保 森 貴久
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.50-60, 2016-04-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
26

コナラシギゾウムシCurculio dentipesやクヌギシギゾウムシCurculio robustusなどのシギゾウムシ類はブナ科堅果の内部に産卵し,幼虫は産み付けられた堅果のみを資源として利用し成長する.成虫の体サイズは幼虫期の成長量によって決まるので,メスは産卵の際に資源を評価していることが期待される.また,1個の堅果を複数のシギゾウムシ類幼虫が利用したり,他種の幼虫も利用することがある.このとき堅果内の資源は限られているため,堅果内に複数個体が存在した場合,競争が生じることになる.したがって,雌は産卵の際に産卵個数や他種の昆虫の存在などに応じて堅果を選択し,競争を低減させている可能性がある.本研究ではクヌギ堅果を用い,シギゾウムシ類の雌が産卵する時に選択する堅果の大きさと脱出幼虫の数と大きさの関係について,同種他個体や他種個体の存在との関連について明らかにし,シギゾウムシ類雌の堅果選択と産卵戦略について考察した.2012年11月と2013年11月に野外でクヌギ堅果を無作為に収集した.堅果は直径と長さを計測した後,個別に仕切られたケースの中に入れ,研究室にて保管した.堅果から脱出してきたシギゾウムシ類幼虫は,個体数と重量を記録した.また,2013年に収集した堅果については脱出してきた他種の昆虫の記録も行った.結果は,シギゾウムシ類が産卵した堅果はしなかった堅果に比べて大きく,球体に近い形状をしていた.また,大きな堅果にはより多く産卵をしており,堅果の大きさと幼虫の重量には弱い相関があった.シギゾウムシ類幼虫が複数個体脱出した場合,幼虫の平均重量は1個体のみの場合と比べて小さいが,脱出個体が多くなっても1個体あたりの平均重量は減少しなかった.また,4個体以上が脱出してきたときの幼虫重量の変動係数は2–3個体のときよりも大きくなった.他の昆虫の存在はシギゾウムシ類の幼虫の数や重量に影響しなかった.これらの結果は,シギゾウムシ類の雌は産卵の際に堅果の大きさを評価することで,利用個体数が他種昆虫を含めて複数いても,幼虫1個体あたりの重量が大きく減少したりばらついたりすることがないように産卵できていることを示している.ただしこの調整は,1個の堅果の利用個体が4匹以上になると不十分になり,利用する昆虫の間に重量のばらつきが大きくなる.以上から,シギゾウムシ類の雌の産卵戦略として,堅果の大きさを評価して産卵することで幼虫間の資源競争を低減して幼虫の大きさと個体数をコントロールし,適応度の増加を図っている可能性が示唆された.
著者
小林 慧人 久本 洋子 福島 慶太郎 鈴木 重雄 河合 洋人 小林 剛
出版者
The Japanese Forest Society
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
pp.461, 2023-05-30 (Released:2023-05-30)

タケ類(イネ科タケ亜科)の生活史において有性繁殖は極めて稀なイベントであり、開花周期や開花習性や更新様式に関する知見は未だ限られる。一方、2010年代から現在にかけて、およそ120年周期とみなされるマダケ属ハチクの大規模開花が生じており、その実態解明の好機を迎えている。予測困難なタケ類の有性繁殖の機会を広域に把握するためには、研究者のみならず多くの市民の協力を得た記録や情報共有が有効な手段の一つになると考えられる。ハチクだけでなくさまざまなタケ種にかかわる有用な情報を蓄積するため、発表者らは Google MapやGoogle Formなどを活用し、市民参加による情報の収集・共有システムを試行した。研究者による現地観察、メディアの報道、SNSや各種アプリに挙げられた記載などに基づいて開花にかかわる情報を2019年から収集した。その結果、現段階で西日本を主とする日本各地から1400件に及ぶ情報を得た。情報の約9割はハチク類の開花であり、タケ類の有性繁殖の理解の基礎をなす情報も含まれた。本発表では、成果の報告にとどまらず、市民の協力によって得られる情報の学術的な活用のあり方や、今後の展望についても議論する。
著者
大矢 勝
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.19-26, 2007-01-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

界面活性剤の水環境への影響は, 水生生物への急性毒性, 生態系への無影響濃度, 生分解性などの項目が取り上げられてきた。従来は個別の項目で各種界面活性剤の優劣が論じられてきたが, 近年は実際の環境中の許容濃度と予測実態濃度とを比較してリスクを評価するようになったが, 最近のレポートによると家庭用洗剤類に用いられる代表的な各種界面活性剤は, 欧州や日本の河川環境に悪影響を及ぼしているとは考えられない。今後は, 硬度などの水質が毒性に及ぼす影響, 界面活性剤が実際の自然環境下で懸濁物質に吸着する特性, 界面活性剤の無影響濃度を急性毒性値から間接的に計算する手法などを考慮したリスク評価法の改善が求められる。界面活性剤のリスク評価は化学物質のリスク評価手法の先進的研究としての意味がある。
著者
王 培玉 金子 誉
出版者
山梨医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

最近数十年、食生活の欧米化によって、糖質の摂取量が減らしつづけている。このことが日本における糖尿病増加の原因の一つと考えられる。申請者の実験によると、健康な若者でも、糖質の少ない食事によって耐糖能が悪化し、糖尿病と判定されかねないケースが約30%あった。このような低糖質による耐糖能の悪化が将来糖尿病に進展するのか否かを検証することは糖尿病の予防という実際的観点からも興味深い。ヒトでこれを確認することは不可能である(20-40年かかる)から、ラットをもちいて検証したいと考えている。実験方法は、9週令の雄性Wistarラット40尾を1週間馴化した後、ランダムに2群に分けた。実験群は低糖質/高脂肪食(糖質10%、蛋白質25%、脂肪65%)で、対照群は普通食(糖質60%、蛋白質25%、脂肪15%)で飼育した。2ヶ月ごとに腹腔内糖負荷試験(IPGTT)を行った。血漿インスリン濃度も測定した。飼育開始14ヶ月後、実験群の空腹時血糖値が対照群に比べて有意に高くなった。負荷後2時間値は、飼育2ヶ月後から実験群の方が対照群より高く、その後両群間に差が次第に大きくなり、実験終了時には実験群が256±44mg/dl、対照群が196±25mg/dlであった。血糖曲線下面積(AUC)においても、実験群の方が対照群より高かった(292±48vs183±34mg/dl・hr)。空腹時血漿インスリン濃度は、12ヶ月までは実験群の方が対照群(C-F)より高かったが、負荷後30分の血漿インスリン濃度は、実験群が対照群に比べて有意に低かった。体重は、飼育開始3ヶ月後から実験群の方が大きくなったが、14ヶ月後から急激に減少した。また、Woleverらのラット糖尿病型の判定基準(負荷後の最大血糖値>300mg/dlまたは負荷後2時間値>200mg/dl)によって分類すると、実験終了時には対照群ラット17尾中4尾が糖尿病型であったが、実験群では18尾中16尾が糖尿病型で、著しい差が認められた。結論を言うと、低糖質/高脂肪食でラットを長期間飼育すると、耐糖能が悪化し、インスリン分泌が低下して糖尿病型となる。
著者
中野 博生 轟木 義一 多田野 寛人
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
日本シミュレーション学会論文誌 (ISSN:18835031)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.56-63, 2023 (Released:2023-09-13)
参考文献数
10

MPIに基づいて並列化したジョブでプロセス数が多いものを富岳で実行したときの挙動を調べた.特に,ジョブのメモリ消費量の変化に注目する.MPIプロセス数が大きい場合,MPIの初期化の実行で少なくないメモリ消費が発生,増加していく.並列化度がさらに大きくなると,ジョブは最終的にメモリ枯渇に至る.その結果我々は,富岳で全系実行を行う場合でも実現できるMPI並列数は最大で約350万であることを明らかにした.MPIの並列度数は使用する計算ノード数に応じて設定する必要があるが,富岳の大規模ジョブとして実行する場合,ユーザーのコードに明示的に記述して利用できるメモリがかなり制限されることに注意が必要であることも明らかにした.
著者
Massimo BATTAGLIA Marco FREY Emilio PASSETTI
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
Industrial Health (ISSN:00198366)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.354-366, 2014 (Released:2014-09-11)
参考文献数
36
被引用文献数
22 28

Accidents at work are still a heavy burden in social and economic terms, and action to improve health and safety standards at work offers great potential gains not only to employers, but also to individuals and society as a whole. However, companies often are not interested to measure the costs of accidents even if cost information may facilitate preventive occupational health and safety management initiatives. The field study, carried out in a large Italian company, illustrates technical and organisational aspects associated with the implementation of an accident costs analysis tool. The results indicate that the implementation (and the use) of the tool requires a considerable commitment by the company, that accident costs analysis should serve to reinforce the importance of health and safety prevention and that the economic dimension of accidents is substantial. The study also suggests practical ways to facilitate the implementation and the moral acceptance of the accounting technology.
著者
須賀 恭一
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
真空工業 (ISSN:18837174)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.109-114, 1956-04-05 (Released:2009-09-29)
参考文献数
12

わが国における果汁 (主として柑橘) の生産と消費がここ数年の間に著しい発展を示したことは衆知の通りであるが、その発展が予想外に急激なため生産技術は追随に手一杯といつた感じであつた。その上昨年の柑橘の豊作にともなう製品過剰に重ねて柑橘類の隔年結果に基因する原料高により本年は赤字生産ともいわれる程で、果汁工業もやや頭打ちの状態と考える人もある。然し果汁特に柑橘はわれわれの嗜好にマツチしており、わが国の柑橘果汁の色調は外国のそれよりも優れているから、現在広く市販されているいわゆるオレンジジユースがさらに製造技術の発達により天然果汁を基調としてそれに加うるに新鮮さ、香味などの点でより改善されれば嗜好飲料として益々普及することは明かで、その他栄養飲料としての本格的な天然果汁製品が一層研究し生産されれば柑橘果汁工業の発展は必ずや期して俟つべきものがあると信ずる。このような意味から、果汁の濃縮に当り真空 (といつても低真空であるが) に関係の深い操作面について敢えて概説を試みることにした。果汁といつてもわが国の現状から実際には殆ど柑橘に限られるのは止むを得ない。果実をそのまま食用にすることは時期的に限定され易く運搬・貯蔵にも不便なので、果汁の濃縮が行われる。濃縮といえば唯果汁を濃縮器に送り込めばよいと簡単に考える人が多いが、柑橘は果実の構造が複雑である上に、その果汁は酸化や醗酵を受け易く、フレーバーは容易に破壊され、パルプを残しておくとゼラチン状になり易く、といつてパルプを完全に除去すると芳香が害されるなど種々取扱いに厄介な点がある。従つて濃縮方法の如何を問わず何れの場合も色々な前処理を施すことが必要で、優秀な濃縮機の全価値を発揮するか否かはこの前処理が適当かどうかにあるといつてもよい。
著者
物部 真奈美 野村 幸子 江間 かおり
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.131, pp.9-14, 2021-06-30 (Released:2023-07-01)
参考文献数
13

カフェイン+EGCG/テアニン+アルギニンのモル比が2未満の高級抹茶を継続摂取するとストレッサーによる侵襲を受けにくいことが既に報告されている。一方,カフェイン+EGCG/テアニン+アルギニンのモル比が2以上の抹茶ではストレッサーによる侵襲を受けてしまうことが本研究でも明らかになった。しかし本研究では,上記モル比が2以上の抹茶ラテを飲用していた場合,不安状態における交感神経系を介したストレス防御反応の低下を抑える可能性があることが示された。
著者
平山 順朗 小山内 幸 植松 和家 鈴木 唯司 舟生 富寿 兼子 直
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.301-308, 1985-06-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
5

入院中の透析患者100例に対し精神科医による面接を行い, 患者のおかれた背景の相違による精神症状の出現状態の差を検討した. 透析期間では, 3ヵ月から1年が精神的には最も安定しており, その他の期間では半数以上の例で抑うつが認められ, 3ヵ月未満では焦燥, 怒りなどが, 1年以後には明るさやおおらかさの喪失が多く認められた. 年齢との関連では26-40歳の年齢層で抑うつ, 焦燥, 悲観, 怒り, あきらめ, 死の不安, 攻撃などが高頻度で認められた. 家族の問題で最も精神症状が強く出現するのは離婚例で抑うつ, 明るさやおおらかさの喪失, 悲観, 焦燥, 怒りや攻撃などが半数以上の例で認められた. 子供の状況との関連では, 子供が18歳未満の例でやはり精神症状が高頻度でみられた. 職業との関連ではサラリーマンが抑うつ, 焦燥, 怒りが, 無職例であきらめ, 悲観, 明るさやおおらかさの喪失の出現頻度が高かった. また, 合併症を有する場合には自殺念慮を含めてさまざまな精神症状が高頻度で認められた.矢田部-Gilford性格検査による性格類型では, B型で抑うつ, 悲観, 怒り, 攻撃, E型であきらめ, 自殺念慮, C型であきらめ, 死の不安が多く出現し, D型で最も安定した性格であった.面接後の対応は, 主として抗うつ剤, 精神安定剤 (minor tranquilizer) などの薬剤投与で行ったが, 患者に対して病状の再説明を必要としたり, 継続的な面接を行った症例も存した. 継続的な面接により精神症状の出現率はあきらかに減少していた.