著者
永田 知里 江崎 孝行
出版者
岐阜大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

エクオール産生能の規定因子を明らかにするため,尿中エクオール排出と食習慣を中心とした生活環境因子との関連性を評価した。対象は乳がんのケース・コントロール研究参加者の内コントロール424名である。生活習慣に関する質問票および食物摂取頻度調査票により回答を得た。午後2時に部分尿を採取し,尿中ダイゼイン,ゲニスタイン,エクオール,クレアチニンを測定した。エクオールの先駆物質であるダイゼインは大豆食品に含まれるが,soy challenge testを行っていない状態では,エクオール産生能を有しても大豆を摂取していない場合,尿中にエクオールが検出できない。そこでsoychallengeを行った状態に相当すると考えられる尿中ダイゼイン量(10nmol/mg CRE以上)の163名に限定した解析も行った。尿中エクオール検場者は20.0%であった。エクオール排出と体格,婚姻状態,閉経の有無,喫煙,飲酒,運動との関連性は認められなかった。食物摂取頻度調査票をもとに推定した各種栄養素,食品群のうち,乳製品摂取のみ全体および限定した対象で尿中エクオールとの有意な関連性が認められた。尿中エクオール排出者は乳製品摂取量が低かった。エクオール産生と腸内細菌に関する研究では便サンプルを用いて,マイクロアレイによる腸内細菌解析を行い,尿中エクオール産生との関連を調べた。腸内細菌解析は16名が終了した。尿中エクオールが検出された者はこのうち11(68.8%)である。96種類の細菌のうち,尿中エクオール排出と有意な関連性を示した菌はBifidobacterium adlescentis,Clostridium cocleatum,Clostridium perfringenS,Ruminococcus hansenii,Bacteroides fraglisでどれもエクオール排出者に多く検出された。
著者
天木 嘉清 小山 直四 池内 旬子
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

筋弛緩薬ブロックからの離脱には弛緩薬濃度、アセチルコリン濃度が関与する。このアセチルコリンの濃度を高める為に、神経にテタヌス刺激を与え神経の末端からのアセチルコリンの放出を促す方法がある。全身の神経に刺激を与えるのは不可能に近いが呼吸筋のみ限定するなら、respiratory driveという、生体には持って生まれた現象がある。高炭酸ガス血症群(炭酸ガス分圧45〜55mmHg)では100HZ前後のテタヌス刺激が中枢より横隔神経に伝達されているのが観察された。この研究はこの点に光を当ててみた。高炭酸ガス血症では換気を引き起こす為に、中枢からの横隔神経などを介して遠心性の発射活動がある。これは正にテタヌス刺激であり、アセチルコリンの放出が起こる。今までに、この現象と非脱分極性筋弛緩薬ブロック拮抗現象とを結び付けた研究は見あたらないが、理論的には生体が有するアセチルコリン放出促進現象であり、非脱分極性筋弛緩薬ブロックからの離脱に関して大きな役目を果たしている可能性が高い。我々の研究では左右の横隔膜から、別々にtwitch responcesを取ることに成功し、respiratory driveがブロック離脱に関与していることが実証された。従来ブロック離脱には抗コリンエステラーゼの作用に依存していたが、生体に有する中枢からのrespiratory driveもまたブロック離脱におおいに関与していること証明され、臨床的にもこの研究は有用の情報を与えてくれた研究である。
著者
伊藤 謙
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

国内外での石薬のマテリアルプロファイル構築や基原解明における継続的な調査を、3か年に渡り精力的に実施した。本研究では、医療用のみならず冶金やその他の用途に用いる石薬についての研究・調査も継続的に実施し、研究成果を論文や学術講演だけでなく、展覧会という形でもアウトリーチを実施し、社会に公表・発信した。研究成果は計3編の学術論文、計12回の国内外での学術講演として発表した。その一部は、産経新聞1面(2017年5月19日夕刊)をはじめとする多数の新聞社やテレビ局により、広く報道された。加えて、計2回の展覧会(2017年、2018年)、1冊の出版物(2019年)の形でも、研究成果を発信した。
著者
藤原 帰一 城山 英明 ヘン イークァン ORSI ROBERTO 和田 毅 錦田 愛子 華井 和代 HUSSAIN NAZIA 中溝 和弥 竹中 千春 清水 展 杉山 昌広
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、水資源を焦点に、グローバル・サウスの地域・国々の事例を取り上げ、気候変動による自然の衝撃が社会と政治にどのようなストレスをもたらすか、また、いかなる過程を経て社会の不安定化、資源獲得競争、国家の動揺、武力紛争、難民・移民などの現象を引き起こす原因となるのかを問い、気候変動政治のメカニズムを解明する。同時に、自然の脅威を前に国際社会、国家、草の根社会がいかなる緩和と適応を行うかを考察し、気候変動レジリアンスの仮説を提示する。さらに、気候変動安全保障を中核とする新しい安全保障論と、国連持続可能な開発目標(SDGs)とを連携させたグローバル・ガバナンス論を論じ、政策的検討を試みる。
著者
杉山 政則 野田 正文
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯周病の主な原因菌はPorpyromonas gingivalisであり、本菌は毒素ジンジパインをくることで歯周組織を破壊する。予備的実験の結果, Aepergillus oryzae S-03株を脱脂大豆を用いて個体培養すると, 「毒素ジンジパイン」に対する阻害物質を産生することを発見した。 この度の本研究を通じて, 脱脂大豆を用いてA. oryzae S-03を培養し得られた麹由来のジンジパイン阻害剤の分子量は, 3, 000~10,000であり, クロロホルムや酢酸エチルには溶解しないが, 水には可溶であった。また, 100℃, 10 minの熱処理でも全く阻害活性は失われなかった。
著者
杉浦 栞理
出版者
東北大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2022-04-01

Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov(FFLO)超伝導は、BCS超伝導の枠組みを超えた「エキゾチック超伝導」のひとつとして盛んに研究されている。近年の精力的な研究によってFFLO相転移磁場や相内部の構造がいくつかの超伝導体で明らかにされつつあり、特に有機超伝導体では先導的な研究が行われてきた。FFLO超伝導の発現には電子系のクリーンさが必要とされるがFFLO超伝導に対する乱れの効果を系統的に明らかにした実験例は未だ無い。本研究ではX照射によるFFLO超伝導体への乱れの導入という新たなアプローチと精密輸送・磁気特性測定から、定量的かつ系統的に乱れの効果を明らかにする。
著者
村井 直樹
出版者
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2022-04-01

超伝導相と共存・競合する電荷密度波(CDW)の存在は, 従来型・非従来型を問わず, 様々なタイプの超伝導体で観測されている. 本研究課題では, J-PARC,SPring-8の最先端の非弾性分光技術を駆使した超精密なフォノン分散測定を行い,CDW秩序の起源となる電子格子相互作用の定量的評価を行う. 特に,遷移金属カルコゲナイド, 銅酸化物高温超伝導体という性質の大きく異なる2系統のCDW-超伝導共存物質を対象としたフォノン分光測定を行い,CDW 転移の「普遍性」と物質に依存する「個別性」を抽出することで,物質間の違いを超えて,CDW不安定性の起源を統一的に理解する.
著者
千島 隆司 石川 孝 林崎 良英
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

耳垢タイプはABCC11遺伝子多型によって決まることが知られている。一方、海外では耳垢タイプによって乳癌罹患率が異なるとの報告を認めている。本研究では、日本人女性における遺伝子多型(耳垢タイプ)と乳癌罹患率の関係について検討した。その結果、遺伝子多型が湿性耳垢の女性は、健常女性に比べて乳癌罹患率が1.63倍と有意に上昇していた。耳垢タイプは簡単なアンケートだけで判定できるため、高リスク女性に個別化検診を行うことで、効率的に早期乳癌を発見できる可能性が示された。
著者
前川 要 天野 哲也 酒井 英男 千田 嘉博 斉藤 利男 玉井 哲雄 深澤 百合子 辻 誠一郎 MORRIS Martin
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、ロシア連邦サハリン州を中心として、北東日本海域における古代から中世の交流の実態を考古学的に明らかにすることを目的とした。そのために中世陶器の流通の問題、北東アジアにおける在地土器生産の問題、北海道の中世チャシや東北北部の防御性集落、ロシア沿海州の土城について考古学的な調査を進めた。また関連分野では、建築史学、植生史、言語学、文献史学、炭素同位体年代測定法の各研究者をそろえ、学際的な研究組織を構成した。そして年2回の研究会議を開催し、研究成果の発表と検討を行った。2001年度より3年間にわたって、サハリン白主土城の測量調査および発掘調査を行った。初年度は測量調査を中心に行い、2・3年目に本格的な発掘調査を行った。その結果、土塁と堀に関して、版築を行っていること、金後半から元にかけて使われた1尺=31.6cmの基準尺度が使用されていたことが判明した。これは、在地勢力によって構築されたとは考え難く、大陸からの土木・設計技術である可能性が高いことが明らかとなった。また土城内部から出土したパクロフカ陶器片から成立時期を9〜11世紀頃の年代が想定できるが、版築技術などからは、土城内部の利用時期と土塁・堀の構築時期には、時間差があると考えられた。調査研究の成果を公表するために、最終年度に2月26・27日に北海道大学学術交流会館において北東アジア国際シンポジウムを開催した。シンポジウムは、1・白主土城の諸問題、2・北東アジアの古代から中世の土器様相、3・北東アジアの流通の諸様相の三部構成で、北東アジアにおける古代から中世にかけての交流の実態について発表が行われた。考古学だけではなく、文献史学・建築史学・自然科学など関連諸分野の研究報告が行われ、また国外からも7名の研究者を招聘した。白主土城の歴史的な位置づけのほか、北東アジアにおける土器様相、交易の様相について検討された。
著者
安藤 規泰 村山 裕哉
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では,平衡感覚を喪失したスズメガに慣性センサを搭載し,得られた情報をもとに筋肉に電気刺激を行い飛行の安定性を回復させることを目指した。主要な成果として,1)スズメガに搭載可能な40 mgの慣性センサユニットを開発し,6軸の加速度・角速度情報を自由飛行下で高速に計測することに成功した,2)慣性センサ・コントローラ・電気刺激からなる飛行制御回路を試作し,ピッチ角速度に応じて腹部の屈曲を制御することに成功した,3)触角切除により平衡感覚を喪失しても,スズメガは安定なホバリング飛行が可能であることを示した,4)平衡感覚の情報が頭部の運動を介して視野の安定に寄与していることを示した,が挙げられる。
著者
佐藤 俊樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度は特に、(1)本研究プロジェクトの学術的成果をふまえて、社会学の従来の方法論と統計的因果推論などの最新の分析手法との連続性と非連続性を明確にして、因果推論の方法を社会学のなかに適切に位置づける、(2)それらをふまえて「量対質」の対立をこえた安定的な因果分析の枠組みを構築する、の二つを主な課題にして研究を進めた。特に研究成果を狭い範囲の専門家だけでなく、隣接諸分野の研究者や大学院生や学生なども読者層となる媒体に成果の一部や、それらをふまえたより実践的な考察を掲載することができ、より一般的な形での成果の発信・還元を進めることができた。佐藤俊樹「コトバの知と数量の知 百年のウロボロス」(『現代思想』20年9月号)では、マックス・ウェーバーの比較宗教社会学をとりあげて、それが適合的因果の方法論に厳密にしたがっており、それゆえ彼の社会学的研究全体もこの方法論を軸に体系的に整理できることを述べた。佐藤俊樹「知識と社会の過去と美来」(『図書』860,862,864号)では、新型コロナ感染症のパンデミックへの対応を主な事例にして、現代の社会と社会科学がどのような状況にあるのかを素描した。今回のパンデミックは大規模感染症がもつ確率的な事象という面に対して、社会が反省的な対応を迫られた最初の事例である。偽陽性と偽陰性が第二種の過誤と第一種の過誤の問題であるように、「知る」ということは科学的には確率的な推論であるが、社会の側ではそれを受け入れられない。そのずれは社会科学の内部にもその成立以来、ずっとありつづけおり、ウェーバーの方法論はそのずれへの反省的対処の最初の試みの一つにあたることを示した。
著者
佐藤 正知
出版者
広島商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

瀬戸内海島嶼部や海域では特殊な電波伝搬が生じるために地上デジタル放送の視聴が難しい地域があり、これらの難視聴地域を解消するために瀬戸内海沿岸及び芸予諸島には多くの中継局が設置されているが解決には至っていない。また、近年では地上デジタルテレビ放送の高度化方式である4K・8K放送の地上波放送の技術開発が進められており、その要素技術の中に複数の中継局が協調して送信することで通信容量を向上させる方式が採用されている。本研究では、この中継局協調送信を通信品質の改善の用途に用いることで地上波テレビ放送を視聴可能な地域が拡大できることを示す。
著者
酒井 良忠
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

RA滑膜細胞ではミトコンドリア生合成が低下しており、その改善はRA滑膜細胞のアポトーシスを亢進させ、細胞増殖能およびMMP3/RANKL分泌を低下させた。CIAマウスへのAICARの投与は、手足の厚さ、関節炎スコアを有意に低下させ、滑膜炎症細胞浸潤、滑膜増殖、軟骨変性及び破骨細胞増勢を抑制し、骨破壊の抑制とともに、関節破壊抑制の効果をin vivoでも証明した。RA滑膜でのミトコンドリア低下は、炎症時のミトコンドリアのアポトーシスを低下させ、滑膜細胞の増殖を亢進させ、関節破壊の引き金となっている可能性があり、ミトコンドリアをターゲットにした治療の可能性が示唆された。
著者
扇谷 昌宏
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究では、申請者の開発した末梢血誘導型ミクログリア様細胞技術を用いて、慢性疲労症候群におけるミクログリアの関与と客観的評価法の開発を目的に研究を実施した。慢性疲労症候群と類似した症状を示す線維筋痛症患者群において、ATP刺激後ではTNF-αの遺伝子発現が有意に増大していた。さらに興味深いことに、不安・抑うつの重症度(HAD)とTNF-α遺伝子の発現量との間に正の相関関係を認めた。これらの知見は、患者群における精神症状(抑うつ・不安)及びQOLがミクログリア由来のTNF-αによってコントロールされている可能性を示唆している。
著者
平泉 隆房
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

西日本に鎮座する日吉神社・白山神社を網羅的に検出し、それら全てを国土地理院の地勢図・地形図上に確認した。すでに、東日本での作業から把握できたように、延喜式内社を名乗っていながら、中世や近世には白山さんとか日吉さんといわれ、白山信仰や日吉信仰の神社だったところをいくつも検出できた。また、山陰・南海・西海道のいづれにおいても、古代山岳信仰の拠点であった場所に、いつの間にか白山信仰や日吉信仰が入り込んでいる事例を探り当て、山岳信仰、延暦寺、日吉信仰が密接に連関していることも改めて立証できた。
著者
仲田 泰祐 藤井 大輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2022-04-01

「感染症対策と経済活動の両立を考えるためのモデル研究・コロナ禍における政策の事後検証・コロナ危機の中長期的な社会・経済影響」の3本柱で研究を行う。コロナ危機のようなPandemicは公衆衛生の危機であると同時に社会的・経済危機である。「感染症対策と社会・経済活動をどのように両立させていくか」という問いに答えためのフレームワークが、コロナ危機前には存在しなかった。上記した3つの柱を軸に研究を行うことで、次のPandemicが来る前にこの問いに対して少しでも多くの知見を提供したい。
著者
仲田 泰祐 藤井 大輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2022-04-27

「感染症対策と経済活動の両立を考えるためのモデル研究・コロナ禍における政策の事後検証・コロナ危機の中長期的な社会・経済影響」の3本柱で研究を行う。コロナ危機のようなPandemicは公衆衛生の危機であると同時に社会的・経済危機である。「感染症対策と社会・経済活動をどのように両立させていくか」という問いに答えためのフレームワークが、コロナ危機前には存在しなかった。上記した3つの柱を軸に研究を行うことで、次のPandemicが来る前にこの問いに対して少しでも多くの知見を提供したい。
著者
平川 新 寺山 恭輔 畠山 禎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、幕末開国以前の日露関係を研究するために、主としてロシア側史料の収集を行った。日本における日露関係史の研究は、言語の壁もあって日本側の記録でおこなわれることが多かったからである。まだ日本の学界に紹介されていないロシア側史料を収集し、それを翻訳刊行して日露関係史の研究条件を改善しようというのがプロジェクトのねらいであった。2004年に出版した『ロシア史料にみる18〜19世紀の日露関係』第1集に引き続き、本研究期間に次の2冊の続編を刊行した。*『ロシア史料にみる18〜19世紀の日露関係』第2集(2007年3月刊行)1760年代から1790年代までの49点を収録した。内容は、ロシアが千島列島を南下して日本に接近してくる過程の史料が中心。帝国ロシアや毛皮商人によるアリュート人やアイヌ支配の進展なども具体的に把握可能であり、日本人漂流民大黒屋光太夫を根室に送還した遣日使節ラクスマン関係の史料も収録した。*『ロシア史料にみる18〜19世紀の日露関係』第3集(2008年3月刊行)1701年1762年までの史料54点を収録した。ロシアがカムチャツカ半島を征服し、北太平洋地域へと雄飛していく時期である。これまでに発見された日本人漂流民のもっとも古い記録をはじめ、コサック隊がカムチャツカを足場に千島列島を南下してくる過程の報告書、ロシアの版図を一挙に拡大させたべーリング探検隊の準備過程からの記録、その分隊として組織されたシパンベルグの日本探検隊の記録など、日本の北方世界で展開した特徴的な動きを知ることができる。
著者
畠 俊郎 川崎 了 菊池 喜昭 森川 嘉之 水谷 崇亮 金田 一広
出版者
富山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

沿岸域における社会基盤施設を対象とし,微生物機能の活用により強度増進・遮水性向上および自己修復効果を得る新しい維持管理・機能更新技術について検討を行った。国内外でのビーチロックを対象とした現地調査と,人工ビーチロック形成試験から以下の結果が得られた。1)ビーチロックのセメント物質としてカルシウム,マグネシウム,シリカおよび鉄が期待できる。2)海域由来のSporosarcina aquimarinaを用いることで,砂地盤の強度増進効果と液状化被害抑制が期待できる.