著者
藤澤 茂樹 奥隅 豊栄 安元 信廣 柴田 昌三 田中 伸一 小澤 徹三
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.351-356, 2009-11-30
被引用文献数
1

近年,表土をのり面緑化に利用する工法が行なわれており,その利用方法の一つとして,表土マット移植工法を考案して,高速道路建設工事において施工した。採取した表土マットは,ミヤコザサの地下茎や萌芽性の木本植物の根系などを含み,緑化資材として有効と考えられる。その効果が明らかになり始めた既施工地では,表土マットに含まれる木本植物からの萌芽を確認しただけでなく,ミヤコザサの活着ならびに地下茎の伸長も確認することができた。さらに,条件のよいのり面では木本種が侵入して階層構造を形成しつつあることから,表土マット移植工法が切土造成地における植生復元を早期に行える工法であることが確認できた。
著者
高橋 正彦 JONES Darryl Bruce
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、研究代表者らが初めて開発した「分子座標系の電子運動量分光」の検出感度の改善を図り、様々な直線分子の分子軌道の形を運動量空間において三次元観測し、量子化学理論が予測する波動関数形との比較を行うことである。これにより、運動量空間という従来とは反転した視点からの電子状態研究、いわば''運動量空間化学''を展開する。上記の目的に向けて、前年度までに整備した新規イオン検出器システムの開発の成果を踏まえ、本研究計画最終年度の今年度は、窒素分子の分子座標系電子運動量分光を行った。水素分子を対象とした従前のものと比較して、Signal/Background比の大幅な改善を達成した。また、得られた実験結果は、位置空間で分子軸方向により広がったσ型分子軌道が分子軸と垂直な方向に伸びた形で観測されるなどフーリエ変換の性質を反映した運動量空間特有の波動関数形を示すことが分かった。こうした研究成果は、波動関数の形そのものの視覚化を具現化したものと関連研究分野で極めて高い関心を集め、2010年夏に開催されたInternational Workshop on Frontiers of Electron Momentum Spectroscopy (IWFEMS2010)から招待講演として採択された。現在、当該分野で最高水準の雑誌であるPhysical Review Letter誌に投稿すべく、論文を執筆中である。以上のように、本研究は所期の目的を達成することができた。
著者
深山 幸穂 日野 祐志 伊藤 里美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.89, pp.41-46, 2008-09-15

マイクロフォンで受信した音楽信号より音符を表示する採譜システムにおいて,まず,直交ウェーブレット変換によるブレークポイント検出を用いて音符の長さを把握し,次に,各ブレークポイント間にガボールウェーブレット変換を用い,楽器の種類による倍音構成を観測課程として扱った適応状態推定により和音を推定する構成を特徴とするアルゴリズムを提案した.An algorithm for music transcription system that listens to sounds and displays notes of the corresponding tones has been proposed. The algorithm features a two-stage processing that observes note length at first, and then, pitch names. The former stage effectively detects break points caused by starting of next note or frequency hop at pitch name changing with dyadic wavelet transforms. The latter stage analyzes component of each pitch name on the interval of the adjoining break points with Gabor wavelet. The algorithm is applied adaptive state estimation technique to cope with tones including considerable harmonics.
著者
安原 ゆかり 本間 健司
出版者
日経ホーム出版社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.306, pp.52-61, 2008-05

きちんと分散投資したはずなのに、保有している投資信託が軒並み値下がりしている! 相場の先行きが見えない中で、モノによっては損切りも必要? ホントに強い投信はどれ? ぐいぐい調べてみた。
著者
小野原 教子
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2004-09-24

新制・課程博士
著者
鈴木 重貞
出版者
関西大学独逸文学会
雑誌
独逸文学 (ISSN:0286682X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.72-88, 1967-03
著者
小牧 健夫
出版者
丸善
雑誌
学鐙
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, 1958-10
著者
ソーラ サイモン
出版者
北海道情報大学
雑誌
北海道情報大学紀要 (ISSN:09156658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.15-32, 2003-09

Although the word enjo kosai (compensated dating) first began appearing in the mass media from the early 1980's, the phenomenon gained prominence in Japanese society through media attention in the mid to late 1990's. Ostensibly, given that young girls appear to have received remuneration for offering sexual favours, it seems reasonable to simply dismiss the movement as a form of child prostitution. However, there are a number of reasons and evidential studies that tend to imply that enjo kosai should in fact not be labelled as prostitution. This paper examines those reasons and investigates the phenomenon from a sociological point of view.
著者
檀原 宏文 岡田 信彦 羽田 健
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

Salmonellaの上皮細胞侵入性は、本菌が感染を成立させるための重要なビルレンス形質の一つである。本研究では、トランスロケーターとしてのSipCの疎水性アミノ酸領域の機能発現に対する重要性を明らかにするとともに、変異型SipCを利用したワクチン開発の可能性について検討し、以下の結果を得た。1)S.Typhimurium sipC変異株に野生型SipCを発現するプラスミドまたはSipC疎水性アミノ酸領域を欠失した変異SipCを発現するプラスミドを形質転換すると、野生型SipCではビルレンス形質を回復したが、変異SipCではビルレンス形質を回復することができなかった。2)疎水性アミノ酸領域での溶血活性に関与する機能的なアミノ酸を、PCRを用いたランダム変異導入法によって分離同定し、得られた点変異型SipC-S165Pを用いて、ビルレンス形質への影響を明らかにしたところ、Sipc-Sl65Pは、sipC変異株のビルレンス形質を回復できなかった。3)精製したSipC-Sl65P-FLAGを、HeLa細胞の培養液中に加え、共焦点顕微鏡で観察したところ、SipC-S165P-FLAGの細胞膜への挿入まみられなかった。次に、pFLAG-sipCおよびpFALG-sipC-S165Pを発現するSalmonella野生株を、Hela細胞に感染させ、宿主細胞内に挿入されたsipCの局在を調べた結果、sipc-FLAGは、細胞膜画分に局在するのに対して、sipC-s165P-FLAGの膜画分への局在はみられなかった。4)ストレプトマイシン処理マウス(C57BL/6,♀,8週齢)を用いて、各変異のSipC機能への影響をin vivoで検討した結果、野生型SipCを相補したsipC変異株のみ、野生株と同様に盲腸粘膜での炎症反応が惹起された。以上のことから、SipCの疎水性アミノ酸領域はSipCの機能発現に重要であり、また、165番目のセリンは、SipCが宿主細胞膜へ挿入するために必要なアミノ酸であることを明らかにした。現在、ストレプトマイシン処理マウスを用いた感染モデルを用いて、Sipc-S165Pがワクチン成分として感染防御機能を持つかどうか検討中である。
著者
ディーター トゥールース
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

有害化学物質による環境汚染は、人間の健康に大きな影響を及ぼしうる。微生物を用いて有害物質を無害なものに変換する技術はバイオレメディエーションとして知られており、こうした環境汚染に立ち向かう方法として有用である。より効率的なバイオレメディエーション法の開発に役立てるため、環境中で対象物質の分解を行う微生物を特定する新規な手法の開発を行った。開発された手法は高い感度と特異性を持つことが示され、さまざまな環境における分解者を特定することが可能であることがわかった。
著者
赤木 泰文 小笠原 悟司 竹本 真紹 藤田 英明 佐藤 之彦 市川 修 深尾 正 数乗 有
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

現在,高エネルギー加速器研究機構が中心になって計画を進めている大型ハドロン計画(JHL : Japan Hadron Facility)の50GeV陽子加速器には55MWの高性能・大容量の電磁石電源が必要となる。この電磁石電源は,電磁石電流が0〜5kA,有効電力が+55MW〜-55MW,周期約4秒で激しく変動する。しかも陽子加速器はひとたび実験に入ると,昼夜を問わず2,3週間の連続運転が行われる。このような連続した激しい電力変動は,周囲の配電系統だけでなく上位の電力系統に種々の障害を引き起こす恐れがあるため,電力変動の抑制を目的とした電力補償装置の設置が必要不可欠となる。本研究では,加速器電磁石電源の電力変動を抑制する交流励磁フライホイール発電機システムの開発を目的としている。具体的には理論解析とコンピュータシミュレーションをベースに,7.5kW実験システムを設計・製作し,交流励磁フライホイール発電機システムの有効性を実証しようとするものである。本研究の成果は,以下のように要約することができる。1.立型フライホイール発電機を設計した。次に,交流励磁用PWMコンバータ・インバータを設計・製作し,7.5kW実験システムの基礎特性を評価した。2.交流励磁フライホイール発電システムの新しい制御法として,交流電動機ベクトル制御と非干渉制御を融合した制御法を開発し,その有効性を実験によって確認した。3.交流励磁フライホイール発電機の直流偏磁現象を実験的に検討し,直流偏磁を抑制する新しい制御法を開発した。さらに,その有効性を実験によって確認した。
著者
設楽 宗孝 水挽 貴至 松本 有央
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

視覚認識視覚認識において確率共鳴現象がどのような条件で起こるかどうかを調べるために、サルに逐次型遅延見本合わせ課題をトレーニングするための実験制御装置を作成した。ここで、ノンマッチ刺激およびマッチ刺激、背景にはランダムドットノイズを加える。ノイズ量と視覚認識の反応の早さとの関係を調べるために、サルのこの課題のトレーニングを行っているところであるが、ヒトで予備的検証を行ったところ、5%ノイズ程度のところで反応時間が最も短くなり、ヒトでも同様のプロセスがあることが考えられた。
著者
岡野 雅雄
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-63, 2011-02

本稿では、現今のゲーム研究(game studies)を参照しつつ、インターネット広告で用いられるゲームについて、考えてゆきたい。 ゲーム研究は、まだ歴史が浅いものの、特に欧米を中心に急速に形成されつつある。その理論的な背景はさまざまであるが、記号論的な視点が重要な役割を果たしている。たとえばMyers(2010)は、「ビデオ・ゲームは、科学としての記号論の観点からは、記号とシンボルのコード化された操作を通して意味を生成し変換する記号的機構(semiotic mechanism)である」と述べている。 Saussure(1916)の流れをくむ記号論についてみると、Guiraud(1971)は、記号としてのゲームの特徴として、コード化されており規則があること、ゲームの中では我々はある役割を演ずることを挙げている。さらに、その記号の分類体系においては、ゲームを「社会的記号」の一つに位置づけ、ゲームを以下の3つに下位分類している。 1)知的で科学的:なぞなぞ・クロスワード・パズルなど 2)実際的で社会的:ままごと・チェスなど社会的状況の模倣 3)感情的で美的:サッカー・レスリングなどのスペクタクル そして、ゲームの機能として、ままごと遊びで役割・職業を学ぶ場合にみられるような「学習」、試合でいちばんふさわしい者を選ぶ場合にみられるような「選別」、欲求不満を解消させる「娯楽」を挙げている。 Guiraudの体系はゲームの基本的な特質は押さえていると考えられるが、ビデオ・ゲーム以前のものであり、多様な形で発達した現在のゲームを把握するためには補わなくてはならない点が多い。ことに、言語中心に理論が組み立てられている点が、多くの感覚様相(モダリティ)を巻き込んで行われるゲームには適合しにくい。 その欠点を補うものとして、記号論の中でも「社会記号論」からのアプローチ(Kress & van Leeuwen, 1995;Kress & van Leeuwen, 2001)が好適な理論的な基礎を提供してくれている。Kressらは、Saussureの流れをくむ言語中心の記号論を批判し、記号過程は視覚・聴覚ほかの感覚が統合された「マルチモーダル」なものであり、言語はその一部として働くものと考えている。これは、デジタル・ゲームが、ディスプレーに表示される視覚的記号、言語的メッセージ、音響効果・音楽、コントローラーを操作する筋肉の動きなど、多くの感覚様相を巻き込んだものであることを考えるときに特に妥当性が高いモデルとなっている。 また、社会記号論が相互作用性(interactivity)を重視する点も、デジタル・ゲームを考える際には好適なものとなっている。オンラインで提供される広告ゲームも、デジタル・ゲームのひとつとして、相互作用性を抜きにして考えることはできない。このような観点からみると、コード化・コード解読からなる過程であるゲームが、webのもつ動的特性を利用してさらに高度な相互作用性を手にして、新しい遊戯的な形式をとったものの一つが広告ゲームである。以下では広告ゲームについて考えたい。
著者
藤井 恵介 川本 重雄 平山 育男 溝口 正人 後藤 治 上野 勝久 大野 敏 藤川 昌樹 光井 渉 大橋 竜太 加藤 耕一 角田 真弓
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

日本建築史の分野において、従来の建築様式史を批判的に検討し、それがもはや現在においては必ずしも有効ではないことを確認した。そして、新たな研究領域が拡大しつつあることを確認して、日本・東アジアの木造建築を対象とする、新しい建築様式史を提案する必要があることを認識した。この5年間で、新しい建築様式史を構築するための基礎的検討を行ったが、具体的な作業は、建築史の全分野、建築史以外の報告者を得て開いたシンポジウムにおける討論を通じて実施した。その記録集10冊を印刷して広く配布した。
著者
稲葉 通将 鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.1, pp.59-67, 2011-01-01

近年,人間と対話を行うコンピュータ(対話エージェント)に関する研究が活発化している.しかし,その多くはチケット予約や道案内など特定のタスク達成を目的としたタスク指向型対話エージェントに関するものであり,人間と雑談を行い,話を盛り上げるための非タスク指向型対話エージェントの研究は少ない.話を盛り上げ,相手を楽しませる対話エージェントの設計のためには,人間同士の対話の分析が必要不可欠である.そこで本論文では,人間同士のテキスト対話中における,話者の盛り上がり度の高い発話をCRF (Conditional Random Fields)を用いて自動判定する手法を提案する.本手法では,大規模コーパスから獲得した共起情報を用いて,発話と発話の間の意味的なつながりの強さを抽出し,これを素性の一つとして用いた.実験の結果,提案手法は人手による評価に準ずる性能を示すことを確認した.
著者
人見 勝人 中島 勝
出版者
龍谷大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

“生産(モノ造り)"は、人間生活の基盤、国富の形成、そして世界平和のために欠かせない社会的基本活動と考察し、現今のモノ造り状況が、製品飽和、設備過剰、工業空洞化、工場現場忌諱、資源枯渇、環境破壊などの難点・ジレンマを抱えていることを指摘した。それを克服し、これからのモノ造りの秀麗性を高揚する概念・21世紀へ向けた普遍的生産原理として、“[社会的]マニュファクチャリング・エクセレンス([Social]Manufacturing Excellence)"(生産美学)を定義し、提唱した。マニュファクチャリング・エクセレンスを具象的に遂行する基本的方策として、自動化生産(FA/CIM)、人間尊重生産、高付加価値生産、環境調和(グリーン)生産を論じた。現在の資本主義体制下の企業の過当競争でひきおこされている過剰生産、使い捨て浪費(アメリカ的文化)、そしてまだ使用可能な物品の大量廃棄による天然資源の枯渇、自然環境の汚染、ひいては地球破滅と人類滅亡を防ぐためには、仏教・道教で教える「知足」(吾唯足ルヲ知ル)の精神・原理に基づく、各企業の“社会的適正生産(Socially Appropriate Manufacturing)"の考え方を提起する。つまり、これまでの“大量(過剰)生産・大量消(浪)費・大量廃棄"型から“知足生産・知足消費・極少廃棄"型への企業・個々人、そして国家・世界の変容をうながす。この「社会的適正生産」のあるべき姿としては、最底限の性能を持つ独創性に富む完璧な製品の開発、最長寿命を保証した部品・製品の使用、資源と部品の再利用・リサイクルの考慮と極少廃棄、最底限利益の企画を論議した。