著者
田中 克明
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

全身麻酔下にラットの側坐核にマイクロダイアライシス用ガイドカニューレを留置し、反対側の側坐核に貼り合わせ脳波電極を留置して覚醒させた。意識下動物において経時的に同部位の脳内局所麻酔薬濃度を定量し、なおかつ局在的な脳波を記録するモデルを確立した。ヒトにおいては、局所麻酔薬を硬膜外カテーテルより持続投与し、静脈内投与された麻薬性鎮痛薬が脳波(Bispectral Index : BIS)に与える影響を検討した。局所麻酔薬投与1時間後には安定した脳波が得られ、局所麻酔薬と麻薬の効果部位濃度が定常状態に達したことを反映する知見が得られた。
著者
宮島 和臣
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.640-649, 1996-08-01
被引用文献数
21

オールセラミックによる歯冠修復法の1つであるIPSEMPRESS(8)は陶材焼付鋳造冠と比較すると,メタルフレームを使用しないため,より自然歯に近似した光透過性を有する.しかしオールセラミックスの条件や支台歯の色調によっては最終的に装着した際,希望とする色調が得られない場合が多い.この問題点を解決するため,今回,前歯に多く使用されるレイヤリング法における一定の厚みでのデンテイン,エナメルの層の厚さの違いによる色調の影響,さらに支台歯への色調遮断効果について比較検討を行ったので報告する.
著者
宇野 敦彦 森脇 計博 加藤 崇 長井 美樹 坂田 義治
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.9-16, 2001-01-20
被引用文献数
9 20

良性発作性頭位めまい症 (BPPV) の病態についての考え方は最近, 急速に整理されてきた. 従来からの回旋の強い眼振の誘発されるタイプは後半規管が主たる病巣と考えられ (P-BPPV), 側臥位で水平成分の強い眼振の誘発されるタイプは水平半規管が主たる病巣と考えられている (H-BPPV). このような考えに従って, 1999年度の1年間に当科で経験したBPPV症例についての現状を報告した.<BR>めまいを主訴とした新患患者619例のうち, 誘発される眼振所見からBPPVと診断されたものが23%, 眼振所見はなかったが問診から疑い診断したものを含めると43%を占めた. 疾患別に最も頻度が高く, めまい患者にしめるBPPVの割合はこれまでの報告と比べても非常に高い. 診断の問題と当院の特性が考えられる. H-BPPVもまれでなく, 眼振所見からBPPVと診断された143例の内, P-BPPVが65%, H-BPPVが31%であった. 検討期間中にP-BPPVとH-BPPVの両方を見た例も4%あった. H-BPPVの中では方向交代性向地性眼振の見られた例が73%, 方向交代性背地性眼振が27%であった. P-BPPVとH-BPPVの差を見ると, H-BPPVの方が早く寛解する率が高く, 頭部外傷後に起きる例ではP-BPPVの方が多い. 性差や年齢分布には大差なく, それぞれが移行する例や, 同じ患者に日をおいて異なったタイプが再発する例があり, 病因の本質的な差はないように思われる. 本検討では誘発される眼振を重視して, 診断と経過について検討した. 回転性めまいの後に続く動揺感については今後の課題である.
著者
有賀 哲也 奥山 弘
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

固体表面上に形成された低次元金属においては、電子と電子の間の相互作用、電子と格子の間相互作用、あるいはラシュバ型スピン軌道相互作用によって、さまざまな興味深い低次元物性が発現する。本研究では、将来の半導体スピントロニクスの基盤となる半導体表面上低次元金属において、さまざまなタイプのラシュバ型スピン偏極状態を発見した。また、ケイ素表面上の低次元インジウム単原子層における金属-絶縁体相転移が擬一次相転移であることを明らかにした。
著者
竹内 孔一 松本 裕治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.168, pp.13-19, 1995-07-20
被引用文献数
5

日本語の形態素解析は自然言語処理を行なう上で最も基本的でかつ重要な処理である。我々の研究室で開発している形態素解析システムJUMANは、品詞の連接と単語に対してコストによる制約を与えることで曖昧性の絞り込みを行なっている。コスト値はJUMANの品質に大きな影響を与えるにも関わらず、人手で付与されるため最適化する機構は存在しなかった。そこで、本研究では、英語のタグづけなどで効果を発揮しているHMM(Hidden Markov Model)を用いて、コーパスによる学習を行なうことでJUMANのコスト値、すなわちパラメータの最適化を行なう。HMM学習の結果、現在のJUMANの解析精度を改善する結果が得られた。
著者
北内 啓 宇津呂 武仁 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.21, pp.41-48, 1998-03-12
被引用文献数
2

本研究では、日本語形態素解析の確率モデル学習におけるパラメータ推定の精度を上げるための有効な品詞分類を自動的に学習した。解析誤りをもとに詳細化する品詞分類を素性として取り出し、品詞分類を段階的に細かくしていく。学習によって得られた品詞分類を用いてbi-gramのマルコフモデルに基づくパラメータ推定を行うことにより、形態素解析の精度を向上させた。実験により、人手で調整して決めた品詞分類に比べ、より少ないパラメータ数でより高い精度を得ることができた。また、品詞分類によってパラメータ数や精度がどのように変化するかといった、品詞分類全体の性質をとらよることができた。This paper proposes a method of an learning optimal set of part-of-speech tags which gives the highest performance in morphological analysis. In our method, considering patterns of errors in the morphological analysis, first, candidates of more specific part-of-speech tags to be included in the model of morphological analyzer are generated. Then, the most effective candidate which gives the greatest decrease in errors is employed. In the experimental evaluation of the proposed method, we achieve a morphological analyzer of higher performance compared with a model with a hand-tuned set of part-of-speech tags, and with much smaller number of parameters.
著者
堀江 久
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.6, no.10, pp."1188-1189"-1196, 1954-06
著者
内村 裕 名取 賢二
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

自律的に移動する複数の移動ロボットによって無線通信を中継することで、無線ネットワーク網を構築し、探索ロボットの活動範囲を拡張すると共に、探索ロボットの移動に追従して動的に配置を最適化するための制御系の開発を目的に研究を行った。このなかで、中継を行う各ロボットの最適な配置位置に制御するため、電波強度とロボットの位置関係を考慮した手法を考案した。また、中継時に発生する遅延を含むシステムの性能を向上するため、性能劣化の要因となる保守性を軽減した制御法を考案した。本研究において製作した複数の移動ロボットを使用し、電波が阻害される屋内環境において検証実験を行い提案手法の有効性を確認した。
著者
梶原 義実 KAJIWARA Yoshimitsu
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.69-86, 2010-03-31 (Released:2010-05-21)

Gyoki (行基) is a famous and virtuous Buddhist priest in Nara period. He is known getting many supporters from the people and the local influential person by having performed much social work such as the construction of a bridge and the harbor facilities, the building of the hotels for travelers, and the digging of the pond and the ditch, while occasionally receiving persecution of the legal government. Furthermore, he had a legend that“Forty-nine Temples built by Gyoki”. But almost of these temples have not been discovered archeologically yet despite many archeologists and historians tried it. In this paper, we insists to approach how Gyoki and his believers group recognized ancient temples by comparing aspects of building or reconstructing of ancient temple with the presumed position of "forty-nine temples built by Gyoki" and other Gyoki-related temples in Izumi district, hometown of him.
著者
南雲 泰輔
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、まずは昨年度取り組んだ研究成果を口頭報告および論文として発表することから始めた。第一に、第8回日本ビザンツ学会において口頭で報告を行なった21世紀以降の「古代末期考古学」の動向分析を学界動向として論文化し、『古代史年報』8号(2010年)に発表した。第二に、ローマ帝国西部の武官スティリコに関する研究成果の一部を、第60回日本西洋史学会大会(2010年5月30日、別府大学)において口頭で報告し、この口頭報告を基にした論文を『古代文化』62巻3号(2010年)に発表した。この論文は、後期ローマ帝国において「蛮族」という属性が持った意味について、近年主流となっている考え方とは異なる視角から解明を試みたものであり、詩人クラウディアヌスのラテン詩等の分析に基づき、皇帝家と「蛮族」出身の武官スティリコとの間で形成された姻戚関係に着目して考察を行なった,続いて本年度は、ローマ帝国西部における当時の代表的元老院貴族クイントウス・アウレリウス・シュンマクスの著作を中心とした考察を新たに進めた。予定通り、2010年9月に英国・ロンドン大学古典学研究所および大英図書館において集中的な文献調査・資料収集を行ない、国内では入手・閲覧の困難な多数の関連資史料を参照・収集することができ、これによって現在までの研究状況とその問題点とを概ね把握しえたことは大きな成果であった。また、この文献調査・資料収集の結果、本年度の当初の研究計画は部分的に修正する必要が生じ、とりわけ分析の中心となる同時代史料については、シュンマクスの残した『書簡集』のみならず『陳述書』をも視野に含めることとして、それぞれの史料の読解を進め、これを検討した。
著者
塚本 増久 中島 康雄 荘 和憲
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.381-390, 1988
被引用文献数
1

人畜の日本住血吸虫症を媒介するミャイリガイOncomelania nosophora(日本), およびその近縁種0.fornosana(台湾), O.quadrasi(フィリピン)の分類については, 互に独立種またはO.hupensis(中国大陸)の亜種とみなされている. しかしこれらの3種類は形態的にもO.hupensisとはかなり異なっているので, 16種類の酵素について電気泳動像を比較した. そのうち, エステラーゼ(Est), リンゴ酸脱水素酵素(MDH), グルコース燐酸イソメラーゼ(GPI)は極めて高い酵素活性を示した. 一方, 乳酸脱水素酵素(LDH), リンゴ酸酵素(ME), キサンチン脱水素酵素(XDH), ヘキソキナーゼ(HK), アルカリ性フォスファターゼ(AIP), アスパラギン酸アミノ転移酵素(GOT)などの活性は極めて低く, 長時間インキユベートしなければ発色バンドとして検出することは困難であった. また, バンドの泳動速度はロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)が最も速く, アルコール脱水素酵素(ADH), フォスフォグルコムターゼ(PGM), 酸性フォスファターゼ(AcP), イソクエン酸脱水素酵素(IDH), GOT, HK, グルコース6燐酸脱水素酵素(G6PD), LDH, アルデヒド酸化酵素(Aldox), GPI, XDH, MDH, MEの順に遅く泳動された. なお, LDH, ME, AcP, AIP, LAP, GPIなどは1本のバンドを示したが, ADH, MDH, IDH, Aldox, HK, PGM, G6PDなどでは2・3本のバンドが, Estでは10本以上のバンドが検出された. これらのバンドの泳動像は酵素と貝の種類によってやや異なるものもあったが, 全体としては極めてよく似ており, 生化学的にも互に類縁関係が密接であることをうかがわせた.
著者
原口 智和
出版者
佐賀大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

作物生産において水と養分は不可欠な要素であるが,水資源は逼迫し,かつ肥料による水環境の汚染が問題となっている.このような現状に鑑み,灌漑水と肥料の有効利用に資するため,必要最小限の灌漑水と肥料による作物栽培技術を確立すること目的として本研究を行った.作物が必要とする水および養分の量を,1個体あるいは数個体程度の小さなグループ毎に判断し,それらに必要な分のみを与えれば,圃場全体における灌漑水量および施肥量を最小限に抑えることが可能と考える.ここでは,作物生長を妨げない程度(必要最小限)の水分や養分が土壌中に存在しているかどうかを,作物の近赤外線画像から判定することを試みた.実験では,ビニールハウス内において,ワグネルポットにプロッコリおよびキュウリを栽培し,6種のバンドパスフィルター(550,650,680,750,780,800nm)を取り付けたデジタルカメラで葉および個体を撮影してその画像を解析した.土壌水分および養分の異なる条件で栽培した作物体について全体を撮影し,輝度(各波長光線の反射率)の分布と土壌水分・養分欠損との関係を調べた.その結果,葉が全方向に広がっているブロッコリについては,葉による蒸散量(抵抗)の違いは微小であり,また,「近赤外領域(780,800nm)の画像において,土壌水分の欠損によって輝度(対象領域内平均値)が増加する」ことが,個体全体を対象とした解析によって示された.一方,キュウリについては,葉の枚数が少ないため,葉の位置によって蒸散量(抵抗)や光の反射率の差が大きく,個葉を対象とした撮影・解析がふさわしいことが明らかとなった.
著者
村上 圭一 篠田 英史 丸田 里江 後藤 逸男
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.53-58, 2004-02-05
被引用文献数
4

東京都三鷹市内において転炉スラグを利用した根こぶ病対策試験を実施した.酸性改良区にはさらに殺菌剤無散布区,PCNB区,フルジアナム粉剤区,フルスルファミド粉剤区を設けた.これらに,ブロッコリー苗を定植し,3ヵ月後に収穫した.定植時の土壌pH(H_2O)は5.9であったが,転炉スラグの施用により7.5程度に,収穫時には7.9となった.転炉スラグ施用区では,顕著な発病抑制効果が認められ,とくにフルスルファミド粉剤との併用が効果的であった.また,ブロッコリー外葉部の無機成分分析と花蕾部の栄養分析を行った結果,改良区におけるブロッコリー葉部のボウ素含有量は無改良区の約2倍に達した.転炉スラグを多量施用しても,ブロッコリーの生育や品質に悪影響を及ぼすことはなかった.すなわち,ブロッコリー根こぶ病対策のための土壌酸性改良資材としての転炉スラグの有効性と実用性が確認された.
著者
久保 智之 馮 蘊澤 早田 輝洋
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究代表者の久保智之は、満洲語口語(中国新疆ウイグル自治区のシベ語と、同黒龍江省で話されている満洲語口語)について、特に音韻論的、形態論的な側面において、満洲語文語との異同を研究した(シベ語も満洲語口語と言ってよいが、ここでは黒龍江省の満洲語口語と区別するため、便宜的に黒龍江省の満洲語だけを「満洲語口語」と呼ぶ)。シベ語、満洲語口語とも、語幹と接辞の間の母音調和が消失している。シベ語はそれが、語幹と接辞の間の子音の調和にとってかわられている。シベ語は、/k/と/q/、/g/と/G/、/x/と/X/の対立をもっている(おそらく満洲語文語とおなじ)が、満洲語口語は、それらの対立を失なっているようである。満洲語口語は/r/と/l/の対立も失なっている。総じて、シベ語に比べて満洲語口語のほうが、満洲語文語との隔たりが大きいように思われる。研究分担者の早田輝洋は、『満文金瓶梅』の電子化テキストを使用し、満洲語文語の研究を進めた。満洲語文語の母音について考察を進め、5母音とするのが妥当であるという結論を得た。また、『満文金瓶梅訳注第十一回-第十五回』を公刊した。満文のローマ字転写及び訳注から成る。さらに、標準的でない語形を多く含む『大清全書』の電子化テキストを作成し、索引と共に公刊した。満洲語の音韻論的研究に裨益するところ大であろう。同じく研究分担者の馮蘊澤(平成11年度〜12年度に参加)は、早田の作成になる『金瓶梅』崇禎本のデータベースを用いて、文法形態素「得」に関わる統語現象の分析を進めた。現代語との比較対照も行なった。
著者
橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

当研究は、開放性海域および閉鎖性海域に面する沿岸構造物(施設)を対象とした波浪および高潮による被害規模の予測法の開発と各沿岸の耐台風力の評価を行うシステムを確立し、防災事業・業務上における海岸管理、沿岸構造物(施設)の設計、および沿岸住民の安全確保を行うことを目的としている。現在まで、4つの予測法の開発を行った。すなわち、1.台風の中心付近の最大風速を用いた最大風速による予測法、2.台風の中心付近の最大風速と強風域の大きさを組み合わせたマグニチュードを用いた、台風のマグニチュードによる予測法、3.波高の影響だけでなく周期の影響を考慮できる換算波エネルギーを定義し、この換算波エネルギーを用いた換算波エネルギーによる予測法、さらに4.高潮の影響を考慮した被害予測法の開発においては、台風の中心気圧の影響は重要なパラメータであるので、台風の中心気圧を用いた中心気圧による予測法を開発した。つぎに、開発した4つの予測法を用いて、甚大な被害をもたらした1998年の台風9918号によって発生した被害を対象として、予測法の適用性の検討を行った。この結果、台風が来襲する以前に来襲したときの各沿岸で発生する被害規模を、これらの4つ予測法によってある程度の精度で予測できることを明らかにした。これらの予測法の開発により、台風のコース毎の各沿岸の危険度、台風の沿岸への影響度、沿岸構造物の耐台風力を示すことができた。この結果、台風が来襲してくるときの各沿岸の被害規模の予測も可能になり、沿岸住民の早期避難と生命・財産に対する安全対策にも役立てることができる。