著者
村角 洋子 Yoko MURAZUMI 日本女子大学付属高校 Junior High School attached to Tsukuba University and Senior High School attached to Japan Womens Unrversrty
出版者
大学英語教育学会
雑誌
大学英語教育学会紀要 = JACET bulletin (ISSN:02858673)
巻号頁・発行日
no.12, pp.47-62, 1981-11-15

The motion verbs "come" and "go" have been given explanations in both deictic and empathetic trameworks of research. However, when we look at the uses of these two verbs in greater detail, we find that these explanations are not complete. In this paper I have tried to find the most appropriate and available explanation that can account for every kind of use. First of all, we examine the deictic analysis of these verbs done by Fillmore arld deai with several problems in this analysis. Secondly, we compare the concepts of empathy and deixis. By deixis, we found that languages are produced by a very speaker-centered or egocentric point of view. By empathy, we found that language permits partial access to other people's inner states through linguistic communication and that information available through language compensates for the impossibility of directly experiencing the other person's point of view.
著者
澤登 龍彦
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.83-90, 1991-10-25
被引用文献数
2

吸収式ヒートポンプに関する最近の研究は,個々の機器に対する性能向上を目的とする実験的研究のほかに,吸収サイクルについて多くの方式が検討されている.しかしながら,各サイクルの性能を検討する際に不可欠な理論的成績係数・昇温値については明確なものがみられない.吸収式システムにおいては溶液の特性,特にその溶液濃度による沸点上昇の影響を考慮しなければならない.本研究は,溶液特性がデューリング則に適合する場合には各温度間に簡単な関係が成立することを利用し,種々のサイクルについて理論的性能を求めて検討したものである.
著者
小山 英恵
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

ミューズ教育は、20世紀前半ドイツの学校音楽教育の指導的理念である。これまで、このミューズ教育の思想を実践に移したブリッツ・イェーデ(Fritz Jode, 1887-1970)の音楽教育論およびイェーデに対する批判的な見解に焦点を当てて研究してきた。今年度は、イェーデが自身の新たな音楽教育論を実践するために構想した音楽学校構想、および教師教育論について研究を進めた。まず、イェーデの構想により1923年に創設されたシャルロッテンブルク青少年音楽学校のカリキュラムについての研究を進めた。青少年音楽学校の理念は、すべての人々に「共同」の精神や「生彩に富む」の内面の「生」の表れとしての能動的な音楽活動を可能にさせることを目指すことにあった。この理念を実現するためにイェーデは、未来の音楽家や音楽教師の育成を担う音楽大学附属の青少年音楽学校を構想し、あらゆる社会的階層の子どもたちを生徒として呼び集めた。この学校のカリキュラムは、音楽授業と授業外の活動の2つからなっていた。次に、イェーデの青少年音楽運動における教師教育について、1925年に実施された民衆音楽学校のための教師教育講座および1926年以降に実施されたベルリンの国民学校教師のための学校音楽講座に関する2つの史料を取り上げて検討した。この教師教育の目的は、「音楽への能動的な参加」によって「生」や「愛における共同体」を人々の内面にもたらすという青少年音楽運動の理念を音楽教育において実現する教師の育成にあった。その教育内容の特徴は、音楽の専門的能力や教育者としての能力だけでなく、音楽のもつ人間形成の力を基盤とする青少年音楽運動の教育観や音楽観を育成しようとする点にあった。授業方法の特徴は、参加者が共同で考えを練り上げ新たな価値を生み出していくという「作業共同体」の方法論にあった。この方法論は、自らの価値判断において教育における課題解決を行う自律的な教師を育成しようとするものであった。
著者
今山 延洋 山下 晃功 橋本 孝之 糸山 景大 長谷川 雅康 永田 萬享 畑 俊明 竹野 英敏 尾崎 士郎 澤本 章 大橋 和正 余湖 静也 山口 晴久 土屋 英男 宮川 秀俊 安東 茂樹 安孫子 啓 田口 浩継 山本 勇 紅林 秀治 長澤 郁夫 吉田 誠
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

教師を目指す人に対して、技術科教員指導能力認定試験を創設し、3回実施した。日本で初めての試みである。試験は年1回実施され、教員養成で必要な修得基準に基づいて出題し、教員として身につけておくべきレベルの筆記・実技・模擬授業の能力を一次・二次試験によって判定した。3回の試験の実施の経験をもとに、今後の恒常的な実施の見通しを得るとともに、修得基準を見直した。
著者
稲谷 ふみ枝 津田 彰
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
no.5, pp.81-90, 2006

本研究の目的は,高齢者デイケアにおける,老年期うつ病(回復期)の不眠や不安,抑うつ感情を主訴とする高齢女性に対するライフレビューを中心とする個人心理療法および施設で暮らすクライエントの環境調整の適用について,事例から検討するものである。利用者に対する心理アセスメント及び心理面接の経過を生涯発達的視点から分析し,高齢者施設における利用者のQOLを高める包括的アプローチの在り方を考察した。方法として(1)傾聴とライフレビュー,(2)薬物療法の自己管理に向けた支援を中心に,クライエントの不眠と不安状態の改善を目的とした弛緩法を取り入れ,(3)日常のなかでクライエントの心理的適応と活動性を向上させるための環境調整を行った。その結果,ライフレビューによる心理的変化として,高齢者の心理的安寧につながる家族(娘)との心の絆の再確認が示される一方,クライエントのうつ状態の背景となる心理的要因として「信仰と罪悪感」「居場所(心の安住)の模索と見捨てられ感」が示され,それらがクライエントの関係性を改善するためのポイントとなった。高齢者ケアの現場では,高齢者のこころの問題への接近のなかで統合的に関わることや,そのために他職種との連携をとること,さらにクライエントの心理的適応を促すための環境調整を図るなどの包括的心理的援助の重要性が示された。
著者
熊坂 隆行 升 秀夫 片岡 三佳 棟久 恭子 森田 優子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.20-28, 2010-05-30 (Released:2010-06-24)
参考文献数
9

精神科病院の入院患者を対象として,看護支援における動物を用いたアプローチの有用性を検討した。動物とのふれあいの効果を検討したところ,このアプローチを必要としている患者の傾向と,アプローチによる患者の気分の変化が明らかとなった。患者の入院生活支援を24時間している看護師において,環境整備は重要な看護援助のひとつであり,動物が好きな患者において「動物がいる入院環境を整えること」は,情緒の安定,意欲の向上,環境の適応などに繋がる可能性が考えられた。
著者
保原 伸弘
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

経済社会の状況を反映した大衆消費文化の代表として、日本の平成期に流行ったヒット曲に注目し①旋律の方向ないし旋律輪郭、②旋律(音高)の範囲あるいは音域の広さ、③音域の相対的な位置とその年の経済状況との間に関係があることを示す。(1)①旋律の方向ないし旋律輪郭とはDIとの間に正の相関がある。(2)②旋律(音高)の範囲あるいは音域の広さと③音域の相対的な位置の変化は前の期の景況と負の相関がある。
著者
鎌田 真弓 加藤 めぐみ 内海 愛子 田村 恵子 飯笹 佐代子
出版者
名古屋商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本課題では、1)オーストラリアにおける太平洋戦争の記憶の特徴と日豪の非対称性を明示し、2)そうした記憶から抜け落ちている、豪北部・東部蘭領インドネシア・パプアニューギニアでの現地住民や女性の戦争体験を掘り起こすことによって、3)国家や軍隊の「戦争の記憶」に回収されない戦争体験を提示し、地域史として共有可能な「戦争の記憶」の再構築を試みた。
著者
後藤 和子 横田 誠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.120-121, 1991-02-25

我々は、楽曲が移調によって様々な音の高さで演奏されても、同じ曲であると認識する。逆に、同じ曲であっても、それぞれの声の高さで表現することができる。楽曲を"正規化"すれば、楽曲を移調によらない情報として扱うことができる。また、今回提案する方法によれば、正規化された情報から、具体的な音の高さを持った情報を作り出すことができる(このような操作を"脱正規化"と呼ぶことにする)。音程に関する正規化(第2節参照)と脱正規化は、人間の脳における音楽などの情報の処理の1つのモデルである。また、正規化されたパターンは、音楽などの情報が脳においてどのように表現されているかのモデルである。耳をボトム、脳において高次の処理を行なう部分をトップと見ると、正規化はボトムアップ処理であり、脱正規化はトップダウン処理と見ることができる。また、正規化された情報は、トップにおいて情報がどのように表現されているかを示している。今回は、長期記億器(正規化されたパターンを想起のためのキーとして、次の音に関する音程禰報を想起するもの)の存在を前提とし、この長期記億からのトップダウン処理モデルについて、基礎的考察を行なう。
著者
隅野 行成
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

LHC実験で粒子の性質を精密測定するためのweight function法を提唱した。特徴は、(1)粒子の崩壊先に含まれるレプトンのエネルギー分布だけを用い、hadronizationモデルやジェットに関する不定性などの影響が少ない、(2)理想的には粒子の速度分布に依存しないため、パートン分布関数やinitial-state radiationの不定性の影響が小さい。まずヒッグス粒子の質量決定への応用可能性を示した。現在、トップクォークの質量決定法を開発している。また、高次輻射補正計算のためのアルゴリズムを開発した。これを用いて重いクォーコニウムのスペクトルに対する3次補正計算を完成させた。
著者
米村 惣太郎 井原 寛人
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.45-50, 2008-08-31
被引用文献数
2

調整池の水辺に植生基盤を造成し,タコノアシを導入した。管理作業として,初期3年間は競合種と考えられた草本の選択的除草,5年目から8年目まで春先に全面的刈取りと除去を行ったが,9年目以降は管理作業を実施しなかった。その結果,タコノアシは3年目以降減少し,9年目にはほとんどの区画で生育がみられなくなった。これに対し,新たに実験区を植栽基盤に追加し,春先のリターの除去と初夏に他の植物種の刈取りを行った結果,タコノアシの増加がみられた。タコノアシを継続的に生育させるためには,出芽をしやすくし,成長期に被圧を受けなくすることが重要と考えられた。植栽基盤にはタコノアシの種子が残存しており,土壌を耕転してタコノアシを生育させることができた。またタコノアシの種子は水中でも発芽可能だが成長はできなかった。
著者
永田文二郎 編
出版者
金寿堂
巻号頁・発行日
1886
著者
内田 三香子 村上 亜由美 松浦 寿喜 市川 富夫
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.35-41, 1996
被引用文献数
2

本研究は,生体内酵素においての水解活性が極めて低いとされるトレハロースに注目し,ラットのカルシウム吸収に及ぼす影響を検討した.1)in vitroでのラット小腸アセトン粉末による糖の消化分解性を検討した.37℃3時間反応ではトレハロースはシュクロース同様,殆どが消化分解された.ラクトースでは15%しか消化されなかった.2)5週齢SD系雄ラットを1群6匹の3群に分け,15%シュクロース飼料,15%ラクトース飼料,15%トレハロース飼料でそれぞれ23日間飼育後解剖した.飼育期間中に2回の出納実験を行い,カルシウム吸収に及ぼす影響を検討した.解剖時には臓器および大腿骨を摘出し,盲腸については盲腸内pHおよび盲腸内揮発性脂肪酸量を定量し,大腿骨についてはカルシウム含有量を測定した.(1)カルシウム吸収率ならびに体内保留率はラクトース群で有意に高くなり,トレハロースによる影響は見られなかった.(2)ラクトース群はシュクロース群,トレハロース群よりも2倍以上もの盲腸重量を産出した.また,ラクトース群は盲腸内pHを有意に低下させ,揮発性脂肪酸量は有意に高値を示した.トレハロースはシュクロース同様,差は見られなかった.以上から,トレハロースは小腸内で殆どが消化分解された可能性があり,カルシウム吸収には影響を及ぼさなかったと考えられる.
著者
福島 哲郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経メカニカル (ISSN:03863638)
巻号頁・発行日
no.527, pp.78-80, 1998-08

福島氏はかつて,日立製作所の自動化の"顔"だった。栃木工場生産技術部長時代に,プロジェクトリーダーとして立ち上げた冷蔵庫用ロータリコンプレッサの完全自動化生産ラインは,1984年度の日立製作所の「社長技術賞・特賞」に表彰された。
著者
黒田 啓子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.67-74, 1989

古来,中国並びに本邦では,十字花科植物なずなは薬用植物として食されまたは利用されてきたが,その成分や薬理効果についての研究は,今世紀の初め,若干行われたにすぎない。我々の研究から,その抽出物が子宮収縮作用,抗胃潰瘍,抗炎症作用等いくつかの有用な薬理作用を持つことがわかった。次いで抽出物がマウスにおけるエーリッヒ固型癌の成長を抑制することも見出され,抗癌作用や抗胃潰瘍作用の有効成分としてフマール酸を単離,同定した。有効な抗癌性物質マイトマイシンCは副作用も強いがフマール酸と併用投与することにより,副作用のみが選択的に軽減される。フマール酸は,又,化学物質による発癌,例えば,ニトロフランによる胃癌や肺癌の誘発,アゾ色素やチオアセタミドによる肝癌の誘発を抑制する。これらフマール酸の活性は組織DNA合成を促進してこれら毒物による組織損傷を修復することを助けることに基づくものと考えられる。
著者
家田 章子 福島 智子
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
no.7, pp.163-174, 2011

高校における外国につながる生徒たちへの学習支援は、小中学校に比べて十分な対策がされているとは言いがたい。このような状況を改善するため、首都圏のある公立高等学校における学習支援の一つとしてeラーニングの積極的な活用を試みた。具体的なコンテンツはMoodle の小テストの機能を使ったもので、日本語支援としては、これまで行ってきた漢字に加え自動詞・他動詞を、教科支援は現代史の用語を扱った。日本語支援については、自学自習型の教材ではなく、一度授業等で学んだものを練習を通して確認するという位置づけである。対面授業を補う教材として導入したもので、いわゆるブレンディッドラーニングと言われる(宮地2009)学習スタイルである。事前にeラーニングのレディネス調査、学習の効果を確認するための調査として自他動詞の理解度と現代史の用語知識の確認を行い、教材を試用した。授業時間外での学習機会の提供や各自のレベルにあった学習が可能になるなど、 ブレンディッドラーニングによる支援の可能性を実感できた一方で、コンテンツの充実、高校教員との連携など多くの課題が残された。