著者
近藤 豊 石原 幸吉 横田 眞一 大坪 泰文 枝村 一弥
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2000, no.1, pp.227-228, 2000-07-31

Recently Otsubo and Edamura reported that dielectric fluids showed striking viscosity increase on the application of electric field when the electrode surface was planted with hair-like short fibers. By using the phenomenon, ER effect applications are expected without ER fluids. This study aims to develop a fluid control valve with the ER effect caused by fiber planted electrodes. In this paper, firstly, the fiber planted ER valve, which have fiber planted high voltage electrode and normal surface ground electrode, is proposed. The valve can control fluid power with applied voltage. Secondly, as an application of a fiber planted ER valve, a 4-port fiber planted ER valve is proposed and fabricated. And then, it is demonstrated that a 4-port fiber planted ER valve can control a piston-cylinder.
著者
森下 信
出版者
横浜国立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本研究では,外部磁場に応答する機能性繊維の開発および可変流量バルブへの適用について検討を行った.平成14年度には中空糸の内部に強磁性体粒子を封入して磁場に応答する機能性糸の試作を行った.さらに糸を2〜5mmの長さに揃えて切断し,これを化学繊維の布に植毛することを試みた.まず第1の結果として,外部から近づけた磁石に吸引される糸ができあがり,外部磁場に応答することが確認できた.繊維の太さは数ミクロン程度であり,化学繊維としては太い部類に属するが,機械的な応用を考えると極めて細い.製作上の問題は粒子の大きさのばらつきにあり,粒子径が大きいと中空糸が切断される危険性がある.これらは粒子径の大きなものを除去することで対応した.化学繊維の布に植毛する過程では,一般的には静電気を利用することで同じ長さに切断した糸を垂直にたてて接着剤で固定するが,糸の比重が大きく布に対して垂直に植毛するのが困難であった.これに関しては専門メーカーの協力により毛足が2〜5mmの機能性布を試作した.平成15年度にはこのビロード状の布を流路に対して垂直に貼り付け,油圧作動油の流量を調整できる範囲を実験的に確認した.その際にせん断流れを主とする場合と,圧力流れを主とする実験装置を開発し,その比較も行った.その結果,最大10%の範囲で流量を調整することが可能であることが明らかになった.この値は機械要素として用いるにはまだ小さく,今後さらに制御範囲を拡大するために,繊維の材質,繊維の太さ,長さを変化させてさらに研究を進める予定である.この機能性繊維の特徴は,従来開発されている分散系流体と比較して,分散粒子のちんでんは考慮する必要がないことにある.その意味で,開発の第1段階は終了したものと判断している.
著者
坂本 雅彦
出版者
奈良工業高等専門学校
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

不織布の新たな技術的応用を図ることを目的に,本年度は,主に円管内流れの新たな流動抵抗低減デバイスとしての不織布の効果について検討した.実験は,不織布を含む7種類の布地を,内径が25mm,全長が6mのアルミニウム円管路壁面に被覆し,水道水と空気とを作動流体に,圧損から管摩擦係数を求め,これら結果を,アルミニウム滑壁面を持つ円管の結果と比較した.また,円管路内の速度分布の測定も併せて実施し,両者の結果を比較した.その結果,本実験範囲では,あるタイプの不織布が流体の種類で異なる管摩擦係数の特性を示すこと,あるタイプの不織布は,アルミニウム滑壁面を持つ円管の管摩擦係数にほぼ等しい結果を示すものの,全ての不織布で明らかな減少効果が認めらなかったこと,不織布を被覆した円管路内速度分布は,アルミニウム滑壁面を持つ円管路の場合に比べ壁近傍で速度の勾配を小さくし,乱れ強さの増加を抑制している効果を持つ,事など明らかにした.今後,摩擦抵抗低減少効果をより定量的に評価・検証するため,矩形管路を対象に,繊維を剛体と仮定して,繊維形状,繊維配列や分布(密度),そして繊維が一定の運動を伴う場合の効果について検討していく予定である.
著者
角田 真二
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.20, pp.210-211, 2004-08-10
被引用文献数
4

高度情報社会において,コンピュータとネットワーク技術の発達は目覚ましい.コンピュータは,便利な文房具と考えられていたが,それ以上にコミュニケーションを取るための便利なツールになってきた.コンピュータの専門家ではない,コンピュータのユーザが増加している.本稿では,コンピュータの学習,特にその初期の学習の容易性について考察する.
著者
高橋 めい子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

癌の臨床症例において、PROX1の発現や変異の調査: 肝癌症例でPROX1の発現と癌の分化度や患者の生命予後との間に相関関係があり、PROX1の発現が低い程分化度が低く、また生命予後も悪い事が有意に示された。膵癌でも未分化のものであるほどPROX1の発現量が低いことが示された。癌細胞株でPROX1のゲノムDNAの変異は指摘されなかったが、同じ細胞株のRNAを回収し逆転写反応を行って得たcDNAで特定の4カ所でアデノシンからグアノシンへの同じパターンの変異が起きていることを証明した。細胞培養・臨床検体におけるRNA変異の検出システムの確立:SNP研究に利用されている多塩基プライマー伸長法を応用して、多数の細胞培養・臨床検体を対象としたRNA変異のスクリーニングシステムを確立した。このシステム確立により、多検体から目的のRNA変異を起こしているサンプルの抽出が効率的に行えるようになった。Clinical Research分野においても、RNA変異が及ぼす影響を患者の予後や腫瘍の進展形式等の観点から、網羅的・系統的に解析可能になり、大きな進歩をもたらすことが期待できる。PROX1の機能解析:まずsiRNAの実験系でPROX1の発現を抑えると細胞の増殖能は亢進し、逆にプラスミドを導入してPROX1を強制発現させると増殖能が低下することを証明した。次にTet-off/Tet-on Gene expression systemを用いて、野生型PROX1には増殖抑制作用があり、それがmutant PROX1では失われていることが示された。マウスを用いたin vivo実験でも同じ結果が得られ、野生型では腫瘍縮小効果が認められたがmutant PROX1では腫瘍のサイズはほとんど変化を認めなかった。PROX1は細胞増殖を抑制し、変異によってその機能が失われることが、vitroとvivo双方の実験で証明された。
著者
井上 和仁
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.99, 2000-03

カロテノイドは自然界に最も広く存在する色素で、生体内で重要な生理的役割を果たしている。今回、南極大陸のリュツォ・ホルム湾の露岩域にある淡水湖であるスカーレン大池の湖底に堆積している藍藻マットサンプルより、カロテノイド合成能を有する細菌を単離したので報告する。第38次南極観測隊により採集された藍藻マットを、滅菌したエッペンドルフチューブに少量とり、約1mlのMOM (Marine Organic Medium)液体培地を加え懸濁後、懸濁液約200μlをMOM寒天培地に広げ、好気下で10℃で光照射した。約1週間後、寒天培地上にオレンジ色のコロニーが生じた。さらにこのコロニーを新たなMOM寒天培地に広げ、単一コロニーになるまで、この操作をくり返し、純粋に分離された株(OI-6)を得た。OI-6をMOM液体培地で培養後、集菌し、染色体DNAを抽出した。この染色体DNAを鋳型として、多くの細菌の16SrRNAにおいて高度に保存されている領域を参考に作製したオリゴDNAをプライマーとしてPCRを行い、OI-6の16SrRNAを増幅した。増幅された16SrRNAの塩基配列をダイターミネーター法で決定した。この配列をBLAST検索したところOI-6の16SrRNAの配列は、グラム陽性高GC群のミクロコックス群に属するKocuria erythromyxaの16SrRNAと'99%一致した。OI-6のアセトン/メタノール(3 : 1)による抽出物ついて逆相HPLCによる解析を行ったところ、OI-6が数種類のカロテノイドを生産することが示唆された。極地方に生育する微生物は、いまだ良く研究されておらず、新規のカロテノイドの探索源として有望と思われるので、さらに、研究をすすめる予定である。
著者
乾 秀之 塩田 憲明 石毛 光雄 大川 安信 大川 秀郎
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.135-143, 1998-06-01
参考文献数
31

ラットP4501A1とラットP4501A1及び酵母還元酵素との融合酵素を発現したトランスジェニックバレイショをアグロバクテリウム感染法により作出することを試みた。ラットP4501A1cDNAとラットP4501A1及び酵母還元酵素との融合酵素cDNAをカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターとノバリン合成酵素ターミネーターとの間にそれぞれ挿入した発現プラスミドpGC12とpGFC2を用いた。これらをバレイショマイクロチューバーに感染し,P4501A1を導入した2系統(GC系統)と融合酵素を導入した11系統(GFC系統)をカナマイシン耐性などにより選抜した。サザンプロット分析により,1個体のGC系統と10個体のGFC系統において,そのゲノムDNAに1から5個のP450cDNAもしくは,融合酵素cDNAに対応するバンドの存在を確認した。ノザンプロット分析において,GC系統のNo.1160個体において1.6kbの長さに相当するP450mRNAの存在を確認したが,GFC系統のNo.1167個体では融合酵素mRNA量はわずかであることが判明し,その他では検出できなかった。ウエスタンプロット分析の結果,No.1160個体においてP450に相当する59kDaのタンパクの存在が確認されたが融合酵素発現系統では確認されなかった。7-エトキシクマリンO-脱エチル化活性とチトクロームC還元活性を測定した結果,形質転換体ではコントロールに比べ1.4から3.5,1.3から3.5倍それぞれ高い活性を示した。^14Cラベルした除草剤クロロトルロンを用いた代謝実験では,形質転換体はクロロトルロンをN-脱メチル化とp-メチル水酸化を通して除草活性の低い化合物に代謝していることが明かとなった。除草剤クロロトルロンとDCMUを散布したところ,形質転換体はコントロールに比べ強い耐性を示した。このように,ラットP4501A1cDNAの発現により,バレイショにフェニルウレア系除草剤の代謝能と,それらに対する耐性を与えることができた。
著者
PENMETCHA Kumar SUBASH C.B Gopinath
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

転写制御蛋白質HutPと標的RNA複合体のX線解析を行った。その結果、HutPは6量体を形成していること、HutPは6量体の両面で、RNAの2個所のUAG繰り返し配列と結合していた。生化学的実験においても、UAG繰り返し配列の重要性が明らかにされた。また、in vivo実験により、活性発現がHutPにより誘導された。以上より、HutPはUAG繰り返し配列と結合し、RNAをステム-ループから3角形様構造に変化させるすることによって、転写終結解除する機構を明らかにした。
著者
Nicolas MARTI Reynald AFFELDT
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.3_135-3_147, 2008-07-25 (Released:2008-09-07)

Separation logic is an extension of Hoare logic to verify imperative programs with pointers and mutable data-structures. Although there exist several implementations of verifiers for separation logic, none of them has actually been itself verified. In this paper, we present a verifier for a fragment of separation logic that is verified inside the Coq proof assistant. This verifier is implemented as a Coq tactic by reflection to verify separation logic triples. Thanks to the extraction facility to OCaml, we can also derive a certified, stand-alone and efficient verifier for separation logic.
著者
長田 博文 舟木 直久 種村 秀紀 白井 朋之 香取 真理 乙部 厳己 篠田 正人 矢野 裕子 矢野 孝次
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、2次元クーロンポテンシャルに対しても適用可能な,干渉ブラウン運動の構成に関する一般的構成定理とSDE表現定理を確立した.その結果をGinibre点過程, Dyson点過程, Bessel点過程というランダム行列に関する代表的な測度に対して適用し,無限次元確率力学系を記述する確率微分方程式を求めて,解いた. Ginibre点過程のPalm測度の特異性を研究し,通常のGibbs測度と異なる興味深い結果を得た.更に、2次元ヤング図形の時間発展モデルを構成し,そのスケール極限を求めた。
著者
内田 恵理子 山口 照英 永田 龍二 石井 明子
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ウイルスベクターの製造過程で混入する可能性のある増殖性ウイルスの検出は、遺伝子治療用ウイルスベクターの品質、安全性確保上重要な課題である。本研究ではウイルスベクターに混入する増殖性アデノウイルス(RCA)及び増殖性レトロウイルス(RCR)を、ウイルスの指向性細胞への感染性とリアルタイム定量PCRの迅速性、高感度性、定量性を組み合わせた感染性(R7-)PCR法により検出する方法を開発した。RCAは、HeLa細胞に感染させ、一定期間増幅後、細胞中のRCAのゲノムDNAをガラスビーズ法により簡便で効率よく抽出し、リアルタイム定量PCRで測定する感染性PCR法を確立した。感染性PCR法では、10^9 particlesのアデノウイルスベクターにスパイクした1pfuのRCAを感染3日目で検出可能であり、従来法の細胞変性効果(9日目で10,000pfuを検出)による検出と比較して、より短時間の培養で10,000倍も高感度にRCAを検出可能であることを明らかにした。RCRは、M.dunni細胞に感染させ、一定期間増幅後、上清中のRCRをポリエチレンイミン(PEI)結合磁気ビーズで濃縮し、ビーズ画分からRCRのゲノムRNAを抽出してリアルタイム定量RT-PCRで測定する感染性RT-PCR法を確立した。感染性RT-PCR法では、従来法のフォーカスアッセイと比較してより短時間の培養で10倍以上高感度にRCRを検出可能であった。また、上清中のRCRの替わりに細胞内に増幅したウイルスRNAをガラスビーズ法で抽出後に測定すると、より短時間の培養でウイルス検出が可能であった。さらに、RCRをPEI磁気ビーズと混合後に磁場の上で強制感染させる高効率ウイルス感染系を確立した。この感染系を利用して感染性RT-PCR法を行うと、さらに10倍以上高感度にRCRを検出できることを明らかにした。
著者
山口 幸洋 任張 幸子 小幡 博子 大河原 知水 江口 裕伸 黒津 敏嗣 鈴木 敬一郎
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.495-498, 2002-07-01
参考文献数
5
被引用文献数
1

The direct sequencing of PCR products, a bacterial colony (plasmid DNA), or a phage plaque (λDNA) is a very powerful technique in several molecular biological applications. Recently, we reported the successful application of this direct sequencing methodology, called recyclesequencing. Occasionally, however, our sequencing efforts failed due to the presence of agarose gel containing Luria-Bertani (LB) medium. Consequently, we pursued a semiquantitative investigation of the inhibitory effects of agarose and LB medium on the direct sequencing reaction. We found that LB medium concentrations greater than 26.7% inhibited the sequencing reaction. Furthermore, agarose concentrations greater than 0.20% in a reaction mixture also inhibited the sequencing reaction.
著者
戸田 年総 中村 愛 芝崎 太
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

二次元電気泳動と質量分析に基づくプロテオーム解析技術を用いて、髄液中の酸化修飾蛋白質の網羅的探索を行った。その結果、アルツハイマー病の患者の髄液中では、それ自体がアミロイド病の原因となる一方でβアミロイドとの結合性を有し、βアミロイドのオリゴマー形成を阻害することによりアルツハイマー病の発症に対して抑制的に働いている可能性が示唆されているトランスサイレチンが特に強く酸化を受けていることがわかった。
著者
野田 裕紀子 (村本 裕紀子)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

インフルエンザウイルスの最大の特徴は、ウイルスゲノムが8本のRNA分節にわかれていることである。しかし「8本にわかれたゲノムRNAをどのようなメカニズムでウイルス粒子内に取り込むのか?」というゲノムパッケージング機構の謎はほとんど明らかにされていなかった。これまで、インフルエンザウイルス粒子にゲノムRNAが取り込まれる際に、8種類の遺伝子分節間にパッケージングシグナルを介したなんらかの相互作用が存在することが示唆された。つまり、パッケージングシグナルが遺伝子分節間の相性の良し悪しに関与していると予想される。そこで本研究では、遺伝子分節間の相性の良し悪しを指標として、どの遺伝子分節同士が強く相互作用しているのかを明らかにすることを目的としている。ヒトインフルエンザウイルス由来もしくは鳥インフルエンザウイルス由来のパッケージングシグナルをRNA分節の両末端に持ち、その内側には実験室株の全翻訳領域を持った変異分節をそれぞれ作製し、変異分節1分節と実験室株遺伝子7分節からウイルスレスキューを試みたところ、NP遺伝子またはM遺伝子に変異を入れると、それがヒトウイルス由来の遺伝子であっても、鳥ウイルス由来の遺伝子であってもウイルスがレスキューできないことがわかった。NP遺伝子やM遺伝子はインフルエンザウイルス蛋白質のうち、もっとも発現量が多い蛋白質である。また、パッケージングシグナルはウイルス遺伝子のプロモーター領域・ターミネーター領域にまたがる領域である。したがって、パッケージングシグナルの変異(重複)により、蛋白質発現が影響された結果、ウイルスレスキューされないと考察できた。つまり、本研究において、パッケージングシグナルを重複させると、遺伝子によってはウイルス遺伝子として機能できないことが明らかになった。
著者
海道 正典 森 正之 三瀬 和之 奥野 哲郎 古澤 巌
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.95-98, 1997-04-25
参考文献数
11

形質転換植物におけるブロムモザイクウイルス(BMV)RNAの蓄積量を増加させるため, タバコ輪点ウイルスのサテライトRNA由来のリボザイム配列を利用し, 植物内で転写されたウイルスRNAの複製効率の増加を試みた. カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターとBMV RNAのcDNAとターミネーター配列を含むプラスミドのcDNA配列の3'末端にリボザイム配列を挿入したプラスミドを作製し, BMVの局部病斑宿主であるChenopodium amaranticolorに接種した結果, リボザイム配列を持たない対照プラスミドに比べすて, 約4倍の感染性を示した. 同様の遺伝子カセットをタバコに導入した結果, これら形質転換植物におけるBMV RNAの蓄積レベルは, リボザイム配列を持たない対照植物におけるBMV RNA蓄積の20倍であった.
著者
西沢 祐介 田中 寛人 吉田 勝俊 佐藤 啓仁
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2006, pp."108-1"-"108-5", 2006-08-06

非線形振動系とその複製に共通の不規則外乱を与えると,両者の応答が同期する現象が知られている.任意の初期値から同期状態へ到達するまでの収束時間は,パラメータ条件の選び方に大きく依存するが,未検討である.そこで本報では,このような収束時間のパラメータ依存性を,統計的等価線形化法によって定量評価してみる.具体例として,ランダム調和入力を受ける系(式(Al))と,狭帯域ランダム入力を受ける系(式(A2))を取り上げる.x+cx+kG(x_0+x;μ)=Q+P_<cos>(ωt)+sw(t) (A1) {x+cx+kG(X_0+x;μ)=Q+F(t) F+2ζω_nF+ω^2_nF=sw(t) (A2) G(x_0+x;μ)={x_0+x+μ (x_0+x&le;-μ) 0 (-μ<x_0+x<μ) x_0+x-μ (x_0+x&ge;μ)以下の数値例では,式(A1)に対してc=0.04, k=1,0, Q=0.3, P=0.2,μ=0.7, s=0.02とする.図A1は,式(A1)から求めた同期誤差の見本過程の一例を表わす.ω=1.07に対する図A1の(a)の結果では同期までの収束時間はT=195程度だが,ω=0.81に対する図A1の(b)では, T=18973程度を要する.このように,同期に至る収束時間にはパラメータ依存性がある.同期可能なパラメータを推定する常套手段として,式(A1)の系の最大リアプノフ指数を入力周波数ωの関数としてプロットしたのが図A2である.先ほどの条件ω=1.07,0.81に対する最大リアプノフ指数はそれぞれλ&ap;-0.102,-0.101となり,収束時間の変化は捉えられない.そこで,積率微分方程式を用いて式(A1)の分散応答を求めた結果を図A3の上段に示す.ω=0.77,0.92を跳躍点とする跳躍履歴現象が見られる.図A1の収束時間と比較すると,収束時間が短い条件ω=1.07は跳躍履歴現象の外部に位置し,収束時間が長い条件ω=0.81では内部に位置している.すなわち,積率微分方程式の跳躍履歴現象の有無によって,同期への収束時間を評価できる可能性が明らかになった.この仮説を確かめるため,図A3の下段に,サンプルiの初期値x_kに対する収束時間をT_i(x_k)とするときの平均収束時間〈T>= 1/(MN)Σ^M_<i=1>Σ^N_<k=1> T_i(x_k)を示す..M=100, N=5×5とした.収束時間が長い条件ω=0.81は,積率微分方程式の跳躍履歴現象の発生領域に含まれており,式(A1)の積率微分方程式の跳躍履歴現象は,同期の収束性が悪化するための十分条件を与えている.なお,式(A2)の場合には逆に必要条件を与える.
著者
原澤 亮
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.961-964, 1994-10-15
被引用文献数
3

豚の日本脳炎, 伝染性胃腸炎, パルボウイルス病, およびヒトの麻疹, 風疹, 流行性耳下腺炎に対する生ワクチンから検出された pestivirus RNA の5'非コード領域を比較検討し, 以下の成績を得た. (1)検出された pestivirus RNA は, 牛ウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)のものと思われた. (2)これら pestivirus は既知のBVDV株も含めて, 少なくとも3型(I, II, III)に分けられた. (3)塩基置換は二次構造へ寄与するように共変的(covariant)であった. (4)想定された二次構造は原核生物のρ非依存性ターミネーターに類似していた. (5)5'非コード領域内に短いORFが比較的よく保存されていた.