著者
中本 裕之 永田 真 森江 隆 岩田 穆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.401, pp.97-104, 1999-10-29

二次元画像認識システムの実現を目的として,画像の特徴抽出が可能なパターンマッチングプロセッサをパルス幅変調信号(PWM信号)を用いたAD融合回路アーキテクチャで実現することを提案する.このプロセッサは二次元画像のX,Y方向のパターンマッチング処理に加え,一次元投影演算,差分演算が実現できる.テストチップを0.8μmCMOS,電源電圧3.3Vで設計した.実験により動作周波数25MHzで,マッチング処理,投影演算,差分演算の動作を確認し,演算速度0.8GOPSの性能を得た.
著者
永田 真 米田 尚弘 野間崎 大輔 佐野 誠 岩田 穆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.97, no.25, pp.57-64, 1997-04-25
被引用文献数
4

アナログ・デジタル融合回路アーキテクチャに基づいた最小距離検索回路を0.8μmCMOS技術で設計・試作した.8次元・8ビットPWM信号ベクトルを4ビット・サブPWMパルス列で表現し、そのベクトル間距離演算をスイッチト電流積分法とCharge Packet Count技術により演算する.最小値検索はテジタル領域で実行する.テストチップは24KTr+12Capからなり、1GOPS/W,14MOPS/mm^2を実現した.
著者
杉浦 幸之助 山崎 剛
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,積雪の南限域に相当するモンゴル・ウランバートルの北東に位置するヘンテイ山脈Tuul川上流域に着目して,流域スケールで吹雪が積雪や大気に与える影響を解明するために多角的に研究を行ってきた.吹雪発生の地域特性,吹雪による積雪の削剥特性,近年のTuul川上流域における山岳積雪分布の実態と吹雪の動態及び積雪の有無による土壌の応答を明らかにし,吹雪による積雪の再配分過程の重要性を示した.
著者
坂元 一光
出版者
九州大学大学院人間環境学研究院教育学部門
雑誌
大学院教育学研究紀要 (ISSN:13451677)
巻号頁・発行日
no.12, pp.31-47, 2009

'Kansei' is a Japanese word covering a very broad range of meanings and connotations, such as delicacy in sensitivity, fine sensibility, sensitiveness, sensitivity etc. It plays a crucial role as we try to live a full life with good QOL. Though its importance has been pointed out, 'kansei' has thus far, never become a major subject of extensive academic research. Recently, however, many researchers have been kicked off in Japan by higher education institutions and governmental research projects, in order to scientifically clarify what 'kansei' really is. In addition, results of this research are intended to be put into use, to enhance the quality of life and further industrial development. Behind this increasing interest in 'kansei' lies the people's quest for new ways to perceive society, technology and civilization, as they live in the current post-modern society, which follows the end of the industrial society. In this study, the author provides a brief review of the concepts of 'kansei', and the senses as formulated by earlier 'kansei' researches conducted by Japan's academic and industrial worlds, as well as of their applications to some specific cases in people's lives. Furthermore, based on this review, the author provides preliminary reconsideration to the basic indices employed in earlier 'kansei' researches, which are collaborations between the industrial and academic worlds, between natural sciences and humanities, or interdisciplinary. Specifically, those basic indices include, among others: 1. structure, 2. value, 3. abilities, 4. physical aspects and 5. communality.
著者
松藤 敏彦 東條 安匡 島岡 隆行 吉田 英樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

埋立地の安定化状態の推定は,適正管理のために重要な課題である。本研究は,二つのアプローチによって埋立地内部の状況を推定した。有機物の指標として炭素収支推定の意義と可能性を示し,多数のガス抜き管における測定により浸出水とガスの動きを推定した。またガス抜き管埋設による周囲からの空気引き込みは,長期化が懸念される埋立地の安定化促進に向けた新たな方法を示唆する重要な発見である。
著者
柏柳 誠
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.88-89, 2005-04

新雪が白く積もった冬道のために、少し自宅を早めに出て旭川空港に到着したのは9時20分だった。東京行きの飛行機の出発は10時25分、本著の書評を書くために、読み始めることにした。予定では、一泊の東京出張の間に一読して書評を書き始めることができたらいいかと思っていたが、東京行きの飛行機の中でシートベルト着用のサインが消えた後にはすぐに本稿を書き始めていた。評者は、今の子供たちと比べて本好きである。おもしろい本ほど早く読み終える。そのような指標から考えると、本著は間違いなくおもしろい、評者の"感性"にあった本だったといえる。日本味と匂学会は、著者のようなセンサー開発に関わる工学者、生理, 生物系の基礎研究者、味覚, 嗅覚に関する臨床医から企業で食品の商品開発に携わる研究者まで、非常に幅広い会員から構成されている。味と匂いをどのように語るかは、筆者の専門がどこにあるかで切り口、視点が大きく変わるので様々である。
著者
野島 一彦
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.11-19, 2000-03-10

エンカウンター・グループという用語は,1970年代の米国では,(1)潜在能力啓発運動全体,(2)スモールーインテンシブ・グループ,(3)ベーシック・エンカウンター・グルーブ,という3つの意味で使用されている。しかし日本では1970年代から,(1)ベーシック・エンカウンター・グループ,(2)構成的エンカウンター・グループ(構成的グループ・エンカウンター),という意味で使用されている。本校では,日本におけるエンカウンター・グループの実践と研究の展開について述べる。日本へのベーシック・エンカウンター・グループの導入は,1969年に,Rogers,C.R.のもとで2年間学んだ畠瀬稔によって行われた。最初の実践は,1970年に京都で行われた。以後,畠瀬を中心とする人間関係研究会,村山正治を中心とする福岡人間関係研究会等がその実践と研究を今日に至るまで継続している。その対象は,一般人,中学生,高校生,予備校生,大学生,看護学生,保母,教師,養護教諭,家族,不登校の子の親,看護婦,電話相談員,企業人,カウンセラー等,多様である。野島ら(1991)は,精神分裂病者を対象として,ベーシック・エンカウンター・グループ的集団精神療法を実施している。研究発表は,1971年の畠瀬,野島による日本心理学会での最初の発表以来,着々と続けられている。研究の主な領域は,(1)プロセス研究,(2)効果研究,(3)ファシリテーター研究,(4)適用である。研究の展望は,村山ら(1979),小谷ら(1982),野島(1983),茂田ら(1983),村山ら(1987),中栄治(1989),坂中正義ら(1994),林もも子(1997),野島(1997)等で行われている。構成的エンカウンター・グループは,1970年代半ばから日本の各地でいろいろな人達によって,様々な形態で行われるようになった。構成的エンカウンター・グループは,主に教育の領域で実践が盛んに行われている。日本の学校で大きな問題になっているいじめ,不登校等の予防のために,また学級集団づくりや仲間づくりのために導入が行われている。鍋田(1991)は,思春期の対人恐怖症や登校拒否児への治療として構成的エンカウンター・グループを用いて効果をあげている。研究発表は,1978年の国分康孝と菅沼憲治による日本相談学会での発表以来,着々と続けられてきている。研究の主な領域は,(1)プロセス研究,(2)効果研究,(3)エクササイズ・プログラム研究,(3)適用である。研究展望は,野島(1992)によって行われている。米国でのエンカウンター・グループの実践は,1960年代から1970年代にかけて盛んに行われたが,その後は衰退し,研究発表も最近では見られなくなっている。しかし,日本ではこの30年間続いてきたし,現在でも盛んである。そして,今後もさらに盛んになっていくことが予測される。
著者
徳永 幹雄 山中 寛 山本 勝昭 高柳 茂美 橋本 公雄 秦泉寺 尚 岡村 豊太郎 佐々本 稔
出版者
九州大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

13名の共同研究者によって、運動・スポーツの短期的・長期的効果について総合的研究を行い、次のような結果を得た。1.感情に及ぼす効果1)婦人のテニス活動での感情は、激しい運動中に最も高まり、その時の感情は乳酸とはマイナス相関、ACTHやベータ・エンドルフィンではプラス相関がみられた。しかし、運動後はその相関は低くなった。2)快的自己ペース走による気分の高揚は運動後少なくとも30分継続した。3)バドミントンの体育授業での感情は授業内容によって異なった。2.心理的能力に及ぼす効果1)国体選手は経験年数や大会参加経験によって心理的競技能力が高められていることが明らかにされた。2)体育系クラブ経験者は、日常生活の心理的対処能力が優れていた。3.生きがい・健康度に及ぼす効果1)世界ベテランズ陸上競技大会の参加選手は、「生きがい」意識レベルが高く、幸福な老年期を迎えていることが推察された。2)身体的活動量が多い高齢者は、精神的健康度も高かった。3)降圧を目的とした高齢者のテニス教室は「生きがい」にも影響した。4.自己効力感・自己概念に及ぼす効果1)体操の授業で学習者の構えが、自己効力感に影響を与えた。2)児童の水泳プログラムで水泳効力感が高まった。3)体育学部学生の自己概念は4年間で有意に変化した。5.精神の安定・集中に及ぼす効果1)大学生や予備校生のストレス症状は運動歴や態度と相関が高かった。2)寒暑耐性と運動経験年数に相関がみられた。3)身体運動が精神的作業能力に良い影響をもたらすことが示唆された。
著者
染田 秀藤
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究で取り上げたクロニカは、無文字世界のアンデスに生まれた先住民グァマン・ポマ(1550?-1616)が独習したスペイン語を駆使して書き綴った約1200ページに及ぶ浩瀚な『新しい記録と良き統治』(1615年擱筆。初版は1938年)である。20世紀末、イタリア人学者が「ナポリ文書」を論拠に、作品の著者をグァマン・ポマではなく、混血のイエズス会士ブラス・バレラとする新説を主張し、学界を揺るがす大論争を惹起した。新説は、その根拠である「ナポリ文書」が偽造文書であることが判明したため、学界ではほとんど支持されていないが、論争の結果、グァマン・ポマをスペイン語でクロニカを著した稀有な先住民として一方的に評価したり、その作品をアンデス文化の百科事典とみなしたりしてきた従来の研究の問題点が明らかになった。また、グァマン・ポマが、インカ期にワマンガへ移住させられたヤロ人のクラーカ(先住民集団の首長)を出自としていたことから、植民地時代初期のアンデス社会における「クラーカ」としての彼の行動や役割を解明して、作品編纂の動機や目的などを再検討する作業が急務となった。今回の調査・研究により、植民地時代当初よりスペイン当局に積極的に協力したグァマン・ポマが、17世紀初頭、他の先住民集団チャチャポヤ人との土地訴訟に敗れて以来、それまで、スペイン人聖職者ムルーアの影響下に書き綴っていたクロニカの草稿にかなりの修正を加え、最終的に、「インディオの父」と評価されるスペイン人ドミニコ会士ラス・カサスの思想を受け継ぐ論策として作品を完成させたのが判明した。また、16世紀末には、スペイン語に関して、会話のみならず、読み書きの能力も備えたクラーカが少なからず存在したことや、先住民たちが「訴訟」という法的手続きをスペイン支配の中で学び取り、生存手段として積極的に利用していたことなどが明らかになり、植民地時代における先住民社会の実態の解明に大きな手掛かりが得られた。
著者
後藤 達彦 江川 鍛 小川 博久 土用下 尚外 福田 浩幸 犬塚 博章 舘 忠裕 藤村 直也 安形 保則 ニラウラ マダン 安田 和人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.65-68, 2010-05-06

有機金属気相成長法によりSi基板上に成長した厚膜CdTe単結晶層を用いた、大面積X線・γ線画像検出器の開発を目的として研究を行っている。これまで検出器の製作では、Si基板上のCdTe成長層に部分的な剥離や、多結晶化、電気特性の不均一等が発生する場合があり、これらの防止とその改善が課題であった。これらの問題はCdTe成長に先立って実施する、Si基板の成長前処理(GaAs処理)に原因があると考えられるのでその改善を図った。GaAs処理の改善後、CdTe成長層の剥離は防止でき、Si基板上全面で高品質の単結晶CdTe層が成長可能となった。p-CdTe/n-CdTe/n+-Si構造の成長層をダイシングし、ダイオードアレイを試作した。その結果、ダイシング時にもCdTe層の剥離は発生せず、CdTeとSiの結合状態も改善されていることが分かった。またアレイ内のダイオードについて電流-電圧特性を測定したところ、場所によらず均一なダイオード特性を確認できた。
著者
デル ペッシェ ラウラ
出版者
京都大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03897508)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.123-159, 1997-03-31
著者
川島 慶子
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

一般的に18世紀の科学啓蒙といえば、その中心的課題は「科学理論そのものの普及」だけでなく「その普及により、科学的精神を公衆(ただし貧困階級はまず除外されている)にいきわたらせ、教会勢力の力を弱体化する」という二つの目標が設定されていることが多い。もちろん宗教に関しては啓蒙する個々人の宗教観の差から、単に「迷信」のみを廃し、キリスト教そのものは擁護する科学啓蒙もあれば、あらゆる宗教を廃止したい科学啓蒙まで様々である。ただ、こういった啓蒙の集積したものがいわゆるディドロとダランベールの『百科全書』となって結晶したというのは疑いのない事実である。さて、ここにジェンダーという視点を持ち込むとなにが見えてくるのか。まず発信者が男性で啓蒙の対象が女性である場合を考えると、上のような単純な図式にはならない。つまり、階級における矛盾(作者は「人類」といいつつ、その実貧困階級を無視しているといったこと)と同様、作者は中産階級の男性と女性を同列にみていないという問題の影響がでてくるからである。彼らは対象が女性の場合は、彼女たちを、より「教えられるべき存在」とみなしがちである。結果、教えるべき科学レベルは低いものへと限定される。たとえばフォントネルは女性たちに「数学」を抜いて宇宙論を説明した。実は男性読者も多数いながら、「女、子ども向き」科学は一段下のものとみなされるのである。では発信者が女性だとどうなるのか。これには作者が男性以上に、その女性の作品と実人生の両方を考慮する必要が出てくる。というのも、男性科学啓蒙家の女性に対する上記のような態度は、その社会のジェンダーの反映であり、女性たちもその束縛から完全にのがれることは困難だからである。本研究に調べた限りの女性たちにおいては、彼女たちが科学啓蒙にかかわるようになった事情はさまざまであるが、すべてのケースで当時のジェンダーのダイナミクスが彼女たちの活動と大きく関係していることがわかった。啓蒙の中身については、現代のフェミニズムと通じるような主張をする者から、男性科学啓蒙家のジェンダー観に忠実に、男女の「生得的」差異を強調する者まで幅広く存在することがわかった。ただどの場合でも、彼女たちの実人生は、当時のジェンダー規範に沿わないものであり、その主張の中身と彼女自身の行動は連動していないということも判明した。ここからも、女性が科学啓蒙の主体たることは、その思想如何にかかわらず、当時のジェンダー規範に反する行為だったのである。
著者
東 伸昭 入村 達郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

化学物質、放射線等の外界からの多様な刺激に応じて、体内では免疫細胞の脱顆粒、細胞交通の変化など様々な応答が生じる。この変化において、組織間の仕切りや顆粒内構造を形成するマトリクス分子とその複合体の性状は大きく変化すると考えられる。本研究では、細胞外マトリクス改変酵素としてのヘパラナーゼに着目し、その発現、局在と活性調節、酵素切断依存的な細胞応答の変化などについて3点に焦点を絞り検討した。1.ヘパラナーゼを検出するための抗体の調製とその性状解析疾患モデル動物のマウスに発現する内因性ヘパラナーゼ発現を検出するためのツールとして、16種類の抗ヘパラナーゼモノクローナル抗体を新規に確立した。その結合様式を解明するとともに、新規sandwich ELISAの系を含む複数の検出系を確立した。2.マスト細胞におけるヘパラナーゼの発現とその機能解析結合組織型マスト細胞にヘパラナーゼが高発現することを見出した。この細胞が顆粒内に蓄積するヘパリンがヘパラナーゼによって低分子化されることを見出した。この切断の結果としてヘパリンの細胞内外での動態が変化すること、さらにマスト細胞顆粒内のエフェクター分子の活性が転写非依存的に調節される可能性を見出した。3.好中球におけるヘパラナーゼの発現とその機能解析骨髄、末梢血、末梢組織など様々な部位に分布する好中球についてヘパラナーゼの発現分布を検討した。この結果、ヘパラナーゼが多数を形成する亜集団に分化依存的に発現することを見出した。また、基底膜浸潤におけるこの酵素の寄与を示した。マトリクス分解を司る酵素を発現する亜集団、しない亜集団の存在が予想された。
著者
畠山 勝義 VALERA Vladimir Alexander
出版者
新潟大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

大腸癌培養細胞を用いて癌に発現する蛋白群のパターンを同定する目的で、ヒト大腸癌由来の細胞株、LovoとSW480、の全細胞溶解液を調製、2次元電気泳動を行った。最適調製条件ならびにゲル濃度を確認し、改めて至適条件で電気泳動を行い、そのゲルを固定化し画像を検出、発現量に差のあったスポットをピッキング。トリプシン消化を行い、MLDI-MSを行った。しかし、勤務地異動に伴い、各蛋白の同定を行うまでには至らなかった。
著者
田村 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

3年にわたり「裁判所の手続裁量と当事者の証明活動の相関性」について研究してきたが、その間、アメリカ、北欧(スウェーデン・フィンランド)およびドイツの学者と交流することができ、比較法学的見地より、新しい知見を得ることができた。民事訴訟における証明のメカニズムを当事者対等の見地より見直し、裁判所は両当事者のために公平にかつ積極的に心証開示を行い、手続裁量を尽くすことが妥当である旨の結論に至った。
著者
ニラウラ マダン 中村 篤志 青木 徹 畑中 義式
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.19, pp.25-30, 2001-02-23
被引用文献数
4

ガンマ線計測とその画像応用の目的でCdTe単結晶を用いた核放射線検出器を作製し、その動作特性を報告する。この検出器はp-i-nダイオード構造をもち、n型CdTeは単結晶CdTe上にプラズマを利用したMOCVD法によりエピタキシャル成長法によって、沃素を不純物として添加し作製した。p型は金を電極とすることによりショットキー接合とした。この検出器でコバルト57の122keVのガンバ線に対して半値幅1.7keV(1.3%)の値を得た。また、画像検出のために、p型領域をエキシマレーザーによりストライプ状にドーピングするレーザードーピング法を開発した。これらの結果は、画像検出器に応用するのに良い指針を示した。
著者
橋川 裕之
出版者
大阪市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

今年度はビザンツ帝国末期における写本生産の問題を検討した。いわゆるビザンツ写本の研究は従来、美術史家と文献学者の独壇場であったが、近年、写本の作成経緯や利用のされ方が歴史学者の注目を集めている。言うまでもなく写本は書かれ、読まれ、さらには売買や貸借の対象となる中世の書物メディアであり、写本とそのコンテクストの関係を精査することで、研究者は同時代の社会や文化の知られざる諸側面に迫ることができる。本研究で具体的に取り上げたのは、現在、パリ国立文書館に所蔵されている一写本、パリ・ギリシア語写本857番(Codex Parisinus Graecus857)である。この写本は13世紀ビザンツのとある修道院で作成(コピー)されたものであり、11世紀の修道士パウロス・エウエルゲティノスの箸作『シュナゴゲ』(古代の修道文献のアンソロジー的作品)の第四部を内容とする。一部の学者は、この写本の作者(写字生)が写本末尾に書き込んだ韻文に現れるいくつかの固有名詞に注目し、13世紀から14世紀にかけて二度コンスタンティノープル総主教を務め、特異な教会改革を試みたアタナシオス(在位1289-93年、1303-9年)がその作者であると推測した。この特定の写本は二つの問題を提起する。一つは、一部の学者が推測するとおり、パリ写本の作者が総主教アタナシオスその人であるのかという問題、もう一つは、『シュナゴゲ』というテクストの普及度とその影響の大きさである。今年度の研究では、二つ目の問題を視野に入れたうえで、一つ目の問題に照準を合わせた。すなわち、従来の研究者が提示した状況証拠に加え、写本のテクスト『シュナゴゲ』の読書の痕跡が総主教アタナシオスの思想と行動に確認できる点から、ガレシオン(エフェソス近郊の山岳修道院共同体)のアタナシオスと名乗る写字生と後の総主教アタナシオスが同一人物である可能性が高いと結論づけた(拙稿「ガレシオンの修道士アタナシオスとは何者か」『史林』90巻4号)。一方、『シュナゴゲ』の写本は13世紀以降、大量に生産されており、ビザンツ末期の修道世界におけるその人気と、それが修道士らに与えた影響は甚大であったと考えられる。この問題については現在検討を進めている。
著者
ニラウラ マダン 安田 和人
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

有機金属気相成長法によりSi基板上の厚膜単結晶CdTe成長層を用いて作製した、エネルギー識別能力を持つ、放射線検出器の高性能化を目的とし、検出器動作時における暗電流の低減と成長層高品質化に関する検討を行った。成長条件の最適化と成長層アニールにより、成長層内に存在する結晶欠陥の不活性化による暗電流を低減できる成長条件及びアニール条件を確立した。これに伴い、作製した検出器の性能の向上を確認した。
著者
江馬 眞 納屋 聖人 吉田 喜久雄 永翁 龍一
出版者
The Japanese Society of Environmental Toxicology
雑誌
環境毒性学会誌 (ISSN:13440667)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-18, 2009 (Released:2010-07-01)
参考文献数
80

The present paper summarizes the data available in the literature concerning toxicity of the degradation products of 1,1,1,2-tetrahydrofluoroethane (HFC-134a), which is widely used worldwide as a refrigerant, and 2,3,3,3-tetrafluoropropene (HFO-1234yf), which is developed as a refrigerant for new generation. There are many studies available for toxic effects of carbon dioxide CO2) and carbon monoxide (CO) in humans and animals. General toxicity of excessive CO2 exposure in humans is well reported. However, information on reproductive and developmental toxicity of CO2 in humans and animals is inadequate for risk assessment. As for CO, further studies are required to evaluate the adverse effects of chronic exposure to low and near ambient levels of CO on development of fetuses and newborn infants in marginal condition because of high susceptibility to hypoxic effect in fetuses and newborn infants. There is a lack of information on toxicity of trifluoroacetic acid, carbonyl fluoride, hydrogen fluoride, and formic acid in humans and animals. Animal studies remain necessary for risk assessment of chemicals because it is difficult to find alternative methods to determine the toxic effect of chemicals.