著者
市村 哲 谷 寛之 中村 亮太 井上 亮文 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-25, 2005-01-15

近年,デジタルビデオカメラは小型化・軽量化しており,運動会や結婚式の撮影,旅行先での撮影など,きわめて幅広い分野で用いられている.しかしながら,いざ一般の人がビデオ編集をしてみてもなかなか満足できるような映像にならず,単調な映像の連続に感じられることが多い.一般撮影者の作成する映像は,単一角度から撮影した映像がほとんどであり,また,ビデオ編集に使う映像素材も自分自身が撮影した映像のみを用いていることが主たる原因の1 つである.本論文では,同じイベントに参加した複数撮影者の映像をサーバに集めて共有し,インターネット経由で映像編集できるようにするWeb システム「MediaBlocks」を提案する.MediaBlocks を利用すれば,同じイベントを撮影した人たちが映像素材を交換しあうことが容易にできるようになるため,たとえば,自分が撮影できなかったシーンを取り込むことや,プロフェッショナルの映像技法にそった多彩なビデオ編集が可能となる.MediaBlocks は,複数の撮影者が撮影した映像をサーバに集め,自動時間同期処理を施して整理し,Web ブラウザを利用してインターネット経由で映像編集できるようになっている.本論文では,システムの設計,実装,評価,改良について述べる.Recently, the spread of portable digital video cameras enabled us to easily record various family events. Although videotaping and video editing have got quite popular recently, the quality of the produced video has not been improved much. For instance, movies edited by nonprofessionals are likely to be a sequence of monotonous scenes. When editing home movies, users usually use video sources from their own single camcorder. This is one of the significant reasons why nonprofessionals can not create high-quality home movies. We developed MediaBlocks,a web-based video editing system for sharing personal video clips. In the system,video sources are collected from multi-users' camcorders via the Internet, shared among the users, and edited through each user's web browser. The system allows users to use other users' video clips, each of which is spontaneously videotaped by different digital video camcorder, and also enables them to create home movies according to the professionals' important editing rules. The system can extract the date and time information of video-recording from the digital video clips, and synchronize them automatically. Through evaluations of the system, we verified the effectiveness of our system.
著者
佐藤 徹
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

体育授業において、生徒に教材の運動を習得させる際には、動きのメカニズムや生理的機能の説明をするのではなく、自分の身体で動きのコツをつかませることが必要である。本研究の目的は、動きのコツをつかむことの内実を明らかにし、コツの獲得が効果的に実現される体育授業の方法を開発するための理論的基礎を探求することにある。従来、運動の研究は動きを外から見た特徴を分析するいわゆる科学的手法が主流であったが、それだけでは生命ある人間の運動の研究として不十分であることから、本研究では、フッサールの意味での発生現象学の方法を土台として、運動を実施している人間の内的過程を重点的に考察した。動きのコツをつかませるための方策を考えるにあたり、コツがうまくつかめない生徒は運動習得の過程においてどのような特徴があるのかを重点的に考察した。また、運動実施者がコツをつかむということは、新たな動きを発生させることであることから、動きを覚えさせるために効果的な言語指示のあり方などを研究した。上記の観点から、体育授業で行われるさまざまなスポーツ運動に関して事例的に考察を進めた結果、コツを指導するためには,他者の動きを外部から観察した情報に基づくだけでは不十分であり,指導者自身の運動経験や指導経験,なかでも運動感覚意識を形成していく努力が不可欠であることが分かった。具体的な研究事例に関しては、学会発表ならびに論文として公開された。
著者
山口 かおる
出版者
福井大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

○研究目的:幼児の体力や運動技能を高めるために、どのような遊具や体操が効果的であるか考え、教育課程の中に取り入れて実践してみた。○研究方法:遊具は、オリジナルの遊具を考案した。この遊具は、目的に応じて、ブランコや登り棒、ハンモック・はしご・吊り輪などのパーツを組み替えて使うことができる。この遊具を好きな遊びの時間に取り入れて遊んだ。オリジナル体操は、五十嵐淳子先生を講師に招き、各学年に応じた動きを取り入れて作成し、運動会の開会式に行った。この他にも、定期的に淳子先生を招き、学年ごとのみんなの時間に体を動かす活動を行った。遠足にも一緒に来ていただき、親子で踊ったり、ゲームをしたりして過ごした。○研究成果:オリジナルの遊具ができたことで、ブランコ遊びや登り棒など新しい遊びに挑戦する幼児が多くなった。特に、竹の登り棒で、腕や足で登っていく力をつけたり、吊り輪にぶらさがり、一回転する力をつけたりできた。また、揺れるはしごを自分の力で登ろうと挑戦する幼児も出てきた。この遊具を用いながら、忍者の修行ごっこを楽しむ幼児も出てきて、楽しみながら体を動かして遊ぶことができた。運動技能も高まったものと思われる。また、オリジナル体操をしたり、淳子先生から様々な動きを教えてもらったりすることで、体を動かすことは楽しいと感じる幼児が増えてきた。体操は、腕を伸ばす・回す・ジャンプするなど様々な動きを取り入れており、幼児が普段はしないような身のこなし方を教えてもらうことができた。
著者
梅原 頼子 福永 峰子 山田 芳子 田中 治夫
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.83-91, 1998

本学の生活学科女子学生(18〜19歳)1,815名を対象に過去6年間にわたる食生活の実態を調査し,次のような結果を得た。1)居住形態では,自宅外通学生が増えてきている。2)対象者の身体的特徴では,平均身長は6年間同一の傾向がみられるが,平均体重は年々増え,肥満傾向となっている。3)健康に対する自己評価は,約半数が元気でないと訴えており,その自覚症状としては疲れやすい,朝から体がだるい.睡眠が十分とれないと答えた者が多い。4)栄養素等摂取量は,食塩を除きその他の栄養素はどの年度も充足されず,特に鉄,カルシウムは最も低い値であった。5)PFCエネルギー比については,脂肪エネルギー比率は年々増加傾向を示している。6)食品群別摂取量は,穀類および肉類以外は目安量に対し大幅に不足している。また,年次推移では油脂類,牛乳・乳製品,野菜類,調理加工食品は増加傾向を示し,一方,穀類,果実類,肉類は減少している。
著者
佐々木 衞 聶 莉莉 園田 茂人 伊藤 亜人
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1,研究の目的中国朝鮮族家族の移住と定住、そして民族的アイデンティティの自覚とエスニシティの形成を、大都市に移住した家族と個人を対象に研究調査した。調査実施地は、北京、青島、上海、深〓および韓国ソウルであった。2,調査概要主な調査内容は次のものであった。(1)都市に居住する中国朝鮮族の移動と就業状況について、政府機関や報道機関および大学に勤務するもの、私営企業家、都市に出稼ぎに出てきている家族を訪問し、インタビュー記録を整理した。(2)韓国ソウルでの海外出稼ぎ者に対する訪問調査とその支援組織の活動を調査した。(3)延辺朝鮮族自治州創立50周年記念事業、青島における中国朝鮮族の運動会、朝鮮族学校など大都市における民族的な文化活動を調査した。3,調査から得られた暫定的な知見(1)都市への移動者(1)都市への移動は学歴・職歴が鍵になっている。大学卒業者もしくは軍隊経験者は、新しく企業を始めるにも文化的な資原を経済的な資源に転換している。これに対して、一般の地方出身者の多くは雑業層に就く。(2)「運動会」の挙行は、移住地にあらたな絆と凝集を構成する機会を提供している。(3)出稼ぎ者が集住する地域は、アメリカ社会学のシカゴ学派がtransition zone(推移地帯)と見なす地域である。(2)家族・親族の絆の再構成(1)同郷・親族ネットワークが相互支援のために不可欠の役割を果たしている。(2)誕生日や還暦の祝いが活発になっているが、家族における儒教的構成原理を状況主義的に再構成している。(3)エスニシティの構造(1)朝鮮族が「故郷」としての北朝鮮から自立的な立場を確立し、また、中国で生きる手段として中国語の習得を選択しているが、これらは「脱朝鮮族」の傾向を生んでいる。(2)他方では、朝鮮族であることが、韓国チャンネルとの接点を作り経済的な新たなチャンスとなっている。韓国にたいして「同胞」としての優遇を期待することも強くなっている。(3)中国朝鮮族としての自覚が高まっているとすれば、一種の「再朝鮮族」を見ることもできよう。4,これからの展開以上の研究成果をふまえて、論文集の刊行を計画している。
著者
佐藤 寛子
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.105, no.10, pp.26-31, 2006-10
著者
井上 雅子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.137, pp.21-25, 2008-07-17

タンチョウはアイヌの人々に「サルルン・カムイ」(湿原の神、ヨシ原の神)と呼ばれ、大切にされてきた。江戸時代までは北海道各地の湿地にいたと考えられていた。しかし、明治に入ると、北海道の開拓による営巣地の減少、狩猟による乱獲により、1900年頃には「絶滅した」と言われた。ところが、1924年、釧路湿原の一角で10数羽のタンチョウが「再発見」され、1935年には国の天然記念物に指定、さらに特別天然記念物となって今日に至っている。1950年頃から冬の給餌活動が始まり、現在は1200羽をこえるタンチョウが生息している。しかし、現在でも、生息地である湿原が減っている、交通事故や電線への接触事故など新たな危険にも曝されており、絶滅する危険性がある。本講演では、北海道に生息する野生動物の保護活動について紹介する。今後もずっとタンチョウとともに暮らしていくためには、その生態を知り、彼らにとって本当に必要なことは何かを考えて行動することが必要である。これは、タンチョウに限らず、道東にかろうじて残された野生動物すべてに言えることであり、彼らが生きていくことのできる自然を保全することが、めぐり巡って、人間の暮らしを豊かにすることにつながるのである。
著者
堅田 彰
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.136-139, 1950

無毛のアジアハツカネズミ (<i>Mus molossinus</i>) は生後約2週間目頃に脱毛し、成体になると肉眼では認識し難い発育の惡い粗毛がごくまばらに生じている程度である。皮膚を組織的にみると、眞皮が著しく肥厚していることがめだつ。毛嚢部における毛乳頭の発達は惡く、これが原因となつて毛の発育も從つて惡い。脱毛すれば再び毛の発生はなく、毛嚢は退化消失する。脱毛した毛嚢部にある毛嚢腺は退化して、大きな空所をもつた嚢状をなす。<br>裸頸鷄においては、胎兒には頸部から後頭にかけて羽毛の発育をみない。無羽毛部の皮膚の組織をみると、表皮の角層は肥厚しているが、眞皮の網状層の発達が惡い爲に、皮膚は甚だ薄い。眞皮の中には羽毛嚢も羽毛の運動に関係ある筋肉も存在しない。要するに、ハツカネズミの無毛は毛嚢部の陷が遺傳的に発現された結果であり、裸頸鷄においては羽毛嚢やそれに関係のある筋肉が遺傳子の作用によつて除したものであると考えられる。
著者
平野 満
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、採薬記を集成して資料集として提供するための基礎的研究にあった、主として諸写本の書誌的調査により関連史料を援用した。年度内の成果は以下である。1.小野蘭山の採薬記のうち、『常野採薬記』『甲駿豆相採薬記』の諸写本を書誌的調査と蘭山の『日記』によって検討し、成立事情と転写系統を明らかにした。(研究発表1)2.蘭山の採薬記のうち、『遊毛記』『紀州採薬記』『駿州勢州採薬記』『上州妙義山武州三峯山採薬記』について,1.と同様に、その転写系統を明らかにした。また、蘭山に同行した門人による採薬記,宮地維則『常毛採品目録附常毛物産目録』・『藤子南紀採薬志稿』三谷笙州『信州駒ヶ岳採薬記』についても触れた。また、『藤子南紀採薬志稿』の著者「藤子」が江戸金助町住の医師加藤玄亭であることを明らかにした。(研究発表2)1.2.の検討から蘭山「採薬記」の転写本は山本読書室の蔵本が底本となって流布した事実を確認できた、山本読書室は近世後期の本草挙の情報発信源であったことが判明した。3.蘭山門人山本亡羊読書室の採薬の年表を作成して、いかに山本読書室が採薬を重んじたかをみた。(研究発表3,原稿提出済み)4.山本読書室の採薬記について、所在の確認と書誌的な調査により転写関係を明らかにした。5.近世から明治期にいたる間に成立した「採薬記」すべての(仮)所在目録を作成した。適時、増補改定が必要であることはいうまでもない。
著者
鯨 幸夫
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、水田の環境を保全しながら水稲の超多収を実現させる戦略について検討した。得られた結果の概要は以下の通りである。1)1992年に998kg/10aの超多収を示した長野県伊那市の農家水田で生育するコシヒカリを調査し解析した。伊那コシヒカリの超多収性は、総根重、土壌表層根重の多さ、根の生理活性の高さに支えられた高い光合成速度と蒸散速度が背景にある。また、低水温の農業用水と土壌中の気相割合の多さも関係している。2)有機資材の連用により土壌中の腐植含有量は増加し、超多収を示した伊那コシヒカリと類似した根系形態を示すようになった。また、根の生理活性も高いことから、土壌への有機物連用は地力維持と環境保全への近道であると考えられた。3)コスト削減と外部環境に及ぼす影響を軽減するには、不耕起直播栽培や土中打込み点播方式も効果的である。また、LP肥料を用いたF1水稲品種の乾田不耕起直播栽培も北陸では有効であると考えられた。4)慣行的に施用されてきたN,R,K施肥の意味について、三要素継続試験から検討すると、三要素区、無P区、無K区での収量、根重、根の活力に有意な差が認められないことから、慣行的な施肥法を再考する必要性があることが明確となった。5)水稲の無農薬有機栽培の可能性について、コシヒカリBLを用いて検討した。再生紙マルチを用いて水稲を有機栽培すると575kg/10aの収量を示した。根系生育および根の生理活性は、超多収を示した伊那市のコシヒカリに近似していたことから、有機資材を用いて多収を実現することの可能性が示唆された。なお、畦畔にはアジュカ、イワダレソウを埴栽した。また、植物資材を利用した除草効果を検討したところ、米糠の利用が現実的であると判断された。6)2002年の伊那市の超多収コシヒカリの収量は800kg/10a以上を示した。
著者
中村 春作 市來 津由彦 田尻 祐一郎 前田 勉
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究で私たちは、東アジアにおける社会統治・統合と自己修養を語る普遍的な「言葉」として大きな力を有した儒学言説が、中国宋代、日本江戸前期において、どのようなプロセスで社会的意味を持つに至り、人間理解の基盤を形成したかを、個々の言説形成の型を対照比較することを通して、明らかにしようとした。以上の課題に即して、儒学テキストが、実際いかに「読まれ」血肉化したかという点から「訓読」論という新たな問題領域を開発し、他方、経書の一つ『中庸』を取り上げ、その多様な解釈の姿を明らかにした。
著者
古賀 徹
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、デザインに関する前年度の調査・研究を引き継ぐ形で、これを補充すると共に、主に理論的な面からの考察を発展させることに重点を置いた。倫理に関する基礎理論の研究としてはレヴィナスの他者論に立脚する論文「死と残余」を日本現象学会の学術誌『現象学年報』に発表したほか、アドルノのデザイン論である「今日の機能主義」にかんして、これを翻訳・解説した文章を本学の紀要『芸術工学研究』に発表し、それにもとづいて、西日本哲学会にて「象徴と機能-アドルノの啓蒙批判を通じて」という題目にて研究発表を行った。また、九州大学哲学会にて、「プログラムとしての僕らの生き方-映画『マトリックス』の超越論的考察」という題目にて、メディア論の観点からの講演も行った。11月には、「日本におけるドイツ年」の一環として、ヘッセン州のデザイン系の大学より、教員と学生が来日し、デザインに関する研究成果の発表を行った。この発表会を古賀が組織し、その内容を記録した。これと並んで、福岡市内の知的・情緒障害者の無認可作業所である「工房まる」におけるデザインを中心としたあらたな試みについてのインタビューを行った。また、デザインやアートを中心とした都市構築の試み、共同体再生の試みなどについても主に福岡を中心として幅広く研究した。これと並んで、公立美術館の役割の変化など、アートとデザインの役割の変化についても研究した。これらの現実の活動を哲学・倫理学的観点から深く掘り下げて検討し、その研究成果は、九州大学出版会より、『アート・デザイン・クロッシングVol2-散乱する展示たち』というかたちで、古賀の編著として出版された。以上が本年度の研究実績の概要である。
著者
鈴木 一成 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎 小池 義和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.81, pp.7-10, 2009-06-04

半導体枚葉洗浄において,石英導波路管を伝搬体とした新しい超音波洗浄機用振動子を提案する.中実棒を伝搬体とした場合,超音波は縦振動で伝搬し,定在波による振動分布が生じる.一方で導波路管壁での超音波は横(屈曲)振動で伝搬し,進行波成分が増す.また,導波路管壁は伝搬液を経由した音源振動により間接的に駆動する,導波路管壁面振動には伝搬液内で生成された高調波成分が観測される.枚葉スピン洗浄機に導波路管型振動子を搭載し,CMP後洗浄での微粒子除去率(PRE:Particle removal efficiency)との関連を評価した.
著者
宇都宮 裕貴 高野 忠夫 八重樫 伸生 小林 里香 山崎 幸 高林 俊文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

子宮内膜癌細胞株を用いてERαが直接結合する新たな転写制御領域を同定しその機能解析を行うことにより、新たな分子機構の解明を試みた。始めに転写制御領域を同定するためにChIP クローニングを行い、47 の標的部位を得た。それらの中には、従来まで重要でないとされてきたイントロンも多数含まれていた。そして、ERα転写コアクチベーターであるGRIP1 に着目しその機能を検討したところ、子宮内膜癌細胞株においてGRIP1はアポトーシスを抑制することにより生存細胞数を増加させる可能性が示唆された。
著者
田邉 裕貴 小川 圭二
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

セラミックス被覆鋼の高機能化を図るための新表面改質手法として 「成膜後レーザ焼入れ処理」 を提案し, 本手法の効果を調べた. 各種セラミックス被覆鋼に対して本処理を適用し, 薄膜の割れ, はく離等の損傷, 硬さや破壊強度の低下を生じることなく材の焼入れが可能で, 密着強度と耐摩耗性を向上させることができることを明らかにした. また, 本処理を応用した実部品を試作し,本手法の実用化の可能性についても検討した.
著者
鈴木 一成 小池 義和 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.17, pp.23-28, 2009-04-17
被引用文献数
1

半導体ウェーハの枚葉洗浄処理にスピン洗浄機が使用されており,1MHz程度の流水式高周波超音波振動子は微粒子除去に有効である.流水中の超音波は伝搬距離が短いが,内径4mm程度の石英ガラス製導波路管を適用することで伝搬距離が延長される.本稿ではCMP後洗浄での微粒子除去率(PRE)および導波路管内の音波伝搬について評価を行う.導波路管内の音波伝搬は壁面吸収による減衰が支配的となる.音源入力5Wでの壁面吸収係数は計算値と一致するが,30Wでは異なる.このとき音源近傍の音圧は578kPa(235.2dB)に達し,導波路管出口での受波音圧レベルは非線形吸収に伴う飽和現象を示す.高調波成分の観測や衝撃波形成距離についても検討する.